殺し合いの会場の末端。一人の初老の男が、佇まっている。
灰色一色の髪をおさげにまとめ、口髭を携えた厳格な顔つき。
若くはない見たくれからは考えられない程に鍛えられた肉体と風格。
灰色一色の髪をおさげにまとめ、口髭を携えた厳格な顔つき。
若くはない見たくれからは考えられない程に鍛えられた肉体と風格。
その男の名は、シュウジ・クロス。又の名は東方不敗マスター・アジア。
人類が宇宙に進出し宇宙コロニーに生活圏を移し始めた時代、未来世紀と呼ばれる世界にその名を轟かせる流派・東方不敗の継承者であり、第12回ガンダムファイト大会の“元”世界王者だ。
人類が宇宙に進出し宇宙コロニーに生活圏を移し始めた時代、未来世紀と呼ばれる世界にその名を轟かせる流派・東方不敗の継承者であり、第12回ガンダムファイト大会の“元”世界王者だ。
「羂索とやら。このワシをわざわざ生き返らせてまでやる事が殺し合いとはな」
東方不敗は堂々と大地に立ち、真っ直ぐに前を向いて言葉を発する。
この言葉の通り、彼の認識では自分は死した存在と感じている。
だが、気がついた時には暗黒一色の空間におり、頭部に大きな縫い目をした少女に最後の1人になるまで殺し合えと命じられ、更に気が付いたらまた別の地にいた。
ならばこの地は冥界であり、あの少女の姿は実は地獄の閻魔であり、大罪人たる自分を罰する地獄巡りの一環なのか――などという思いを脳裏に浮かぶが、自身の身体に伝わる感覚が生きているそれと変わりない。
何らかの手によって、主催の手によって蘇ったのだと結論づけていた。
この言葉の通り、彼の認識では自分は死した存在と感じている。
だが、気がついた時には暗黒一色の空間におり、頭部に大きな縫い目をした少女に最後の1人になるまで殺し合えと命じられ、更に気が付いたらまた別の地にいた。
ならばこの地は冥界であり、あの少女の姿は実は地獄の閻魔であり、大罪人たる自分を罰する地獄巡りの一環なのか――などという思いを脳裏に浮かぶが、自身の身体に伝わる感覚が生きているそれと変わりない。
何らかの手によって、主催の手によって蘇ったのだと結論づけていた。
「バトルロイヤル、殺し合い、人間の抹殺か…」
東方不敗は告げられたルールを口ずさむ。
かつての彼ならば、己の目的の為にゲームに乗り、参加者を殺し回る立場になる事に躊躇がなかっただろう。
何故ならば、生前は荒廃していく地球環境の浄化の為に、デビルガンダムという殺戮の悪魔の兵器を用いて人類の抹殺を掲げて暗躍をしていたのだから。
かつての彼ならば、己の目的の為にゲームに乗り、参加者を殺し回る立場になる事に躊躇がなかっただろう。
何故ならば、生前は荒廃していく地球環境の浄化の為に、デビルガンダムという殺戮の悪魔の兵器を用いて人類の抹殺を掲げて暗躍をしていたのだから。
ガンダムファイトとは、地球をリングとし「ガンダム」と名がついた機動兵器を使った、地球の覇権を争う広大な代理戦争。
第12回大会で優勝し高みに立っていた彼は、ガンダムファイトの陰で荒廃していく地球の姿を目の当たりにし、自分自身の戦いも地球を荒廃させる一端を担っていた事に深く絶望した。
その後、ネオジャパンコロニーより飛来したデビルガンダムの暴走した自己理論が「人類の抹殺し、地球環境汚染の原因を絶つ」という結論に賛同し、人類の敵として動いていたのだ。しかし……
第12回大会で優勝し高みに立っていた彼は、ガンダムファイトの陰で荒廃していく地球の姿を目の当たりにし、自分自身の戦いも地球を荒廃させる一端を担っていた事に深く絶望した。
その後、ネオジャパンコロニーより飛来したデビルガンダムの暴走した自己理論が「人類の抹殺し、地球環境汚染の原因を絶つ」という結論に賛同し、人類の敵として動いていたのだ。しかし……
―――東方不敗、あんたは間違っている!!
―――何故ならば、あんたが抹殺しようとしている人類もまた、天然自然の中から生まれたもの!!
―――いわば地球の一部。それを忘れて何が自然の、地球の再生だ! そう、共に生き続ける人類を抹殺しての理想郷など!愚の骨頂!!
―――何故ならば、あんたが抹殺しようとしている人類もまた、天然自然の中から生まれたもの!!
―――いわば地球の一部。それを忘れて何が自然の、地球の再生だ! そう、共に生き続ける人類を抹殺しての理想郷など!愚の骨頂!!
自らが武を教え、自らの野望に真正面から立ちはだかった一番弟子、ドモン・カッシュから放たれた言葉。
その言葉は、東方不敗の考えを論破させる言葉であり、同時に自身の弟子が師匠である自分を超えた瞬間であった。
そして、第13回ガンダムファイト大会決勝ラウンドという場をもって行われた決戦の場。弟子のドモンとの最終奥義の撃ち合いに競り負け、敗北した。
その言葉は、東方不敗の考えを論破させる言葉であり、同時に自身の弟子が師匠である自分を超えた瞬間であった。
そして、第13回ガンダムファイト大会決勝ラウンドという場をもって行われた決戦の場。弟子のドモンとの最終奥義の撃ち合いに競り負け、敗北した。
―――なあドモン…、お前には教えられたよ…。人類もまた自然の一部…、それを抹殺するなど自然を破壊するも同じ…。
―――ワシはまた、同じ過ちを繰り返すところであった…
―――ワシはまた、同じ過ちを繰り返すところであった…
以前から己に罹っていた不治の病の悪化もあり、限界が訪れた東方不敗が最期に見た光景。それは弟子との決着を終えた地にて、新たな王者となった最愛の弟子の腕の中で見た朝日であった。
自らが大罪人となろうとも守ろうとした地球の美しさ、それが生み育んだ命という自然の理を崩そうとした自らの過ちと愚かさを認め、流派・東方不敗の名乗りを共に口に出し、直後にその生涯を終えた。その筈だった。
自らが大罪人となろうとも守ろうとした地球の美しさ、それが生み育んだ命という自然の理を崩そうとした自らの過ちと愚かさを認め、流派・東方不敗の名乗りを共に口に出し、直後にその生涯を終えた。その筈だった。
東方不敗の体感では数十分ほど前にドモンと死闘を行い、分かり合い語らい合った状況から何もかも劇的に一変しているが、今の彼の心は明鏡止水の如く静かに落ち着いている。
澄み切った彼の精神に邪な思いは無く、一点の曇り無し。
今の東方不敗には、殺し合いに乗り参加者を殺し回ろうという意思は全くない。
澄み切った彼の精神に邪な思いは無く、一点の曇り無し。
今の東方不敗には、殺し合いに乗り参加者を殺し回ろうという意思は全くない。
人類抹殺の考えを捨てた自分が、この血で血を洗うゲームで出来る事は一つ。
即ち、主催者の打倒を志す者達と共に戦い、叛逆を仕掛ける事のみ。
即ち、主催者の打倒を志す者達と共に戦い、叛逆を仕掛ける事のみ。
少女の身体をした主催は最初のルール説明の場にて、ゲーム運営の叛逆を善しとした。自身がこうなる事も織り込み済みだろう。
元より自身は死した身。大体、人類抹殺の頃でなく生き返らせた後に呼ぶよう様な手間をかける事をした主催達が悪いのだ。
元より自身は死した身。大体、人類抹殺の頃でなく生き返らせた後に呼ぶよう様な手間をかける事をした主催達が悪いのだ。
「しかし、死して尚病に掛かるとは、ワシは病とどうやら切れぬ縁らしいな」
東方不敗は自身の胸に手を当てて、己の身体の調子を確認する。
この会場に転移してから十分も経っておらず、まだ何もしていない段階だが、彼ほど武を極めた者ならば呼吸一つで自分の身体の調子を十全に知る事が出来る。
生前に侵された病の感覚は既にない。どうやら生き返らせる際に取り除かれたらしい。
一方でこの身体には、バグスターウイルスなる未知の病が蔓延している。身体に異変こそ感じないが、脳裏には留めておくべき問題だ。
この会場に転移してから十分も経っておらず、まだ何もしていない段階だが、彼ほど武を極めた者ならば呼吸一つで自分の身体の調子を十全に知る事が出来る。
生前に侵された病の感覚は既にない。どうやら生き返らせる際に取り除かれたらしい。
一方でこの身体には、バグスターウイルスなる未知の病が蔓延している。身体に異変こそ感じないが、脳裏には留めておくべき問題だ。
何より一番懸念すべき点は、思っているより身体の動きに鈍さがある。
主催が最初に説明した時に話した制限が課せられているのだろうか。現状では流派・東方不敗の奥義も十全に放つのも厳しい有様だ。
だが、流派・東方不敗とは力で相手をねじ伏せ、見せつけるだけの武道ではない。
主催が最初に説明した時に話した制限が課せられているのだろうか。現状では流派・東方不敗の奥義も十全に放つのも厳しい有様だ。
だが、流派・東方不敗とは力で相手をねじ伏せ、見せつけるだけの武道ではない。
――― 新一派 東方不敗 王者之風 全新招式 石破天驚 看招 血染東方一片紅 ―――
常に新しい波乱に満ちているこの世にて、嘆きと助けを求める声は天を破ろうとする。
流派・東方不敗の役目とは、王者の風を吹かせ悲しみを鎮めることが至上とされる一派なのだ。
流派・東方不敗の役目とは、王者の風を吹かせ悲しみを鎮めることが至上とされる一派なのだ。
この殺し合いの状況など、正に嘆きと助けが満ち溢れる血に染まる世界。
ならば、本名を捨て流派の名を自身の名とした己こそが、命を燃やし王者の風を吹かせ、抗う者達にその手に黄金の勝利を齎す為に前に立つべきであるのだ。
ならば、本名を捨て流派の名を自身の名とした己こそが、命を燃やし王者の風を吹かせ、抗う者達にその手に黄金の勝利を齎す為に前に立つべきであるのだ。
東方不敗は顔を上げ、空に向かい大きく吠える。
我の存在此処に在りと、大きくアピールするように叫んだ。
我の存在此処に在りと、大きくアピールするように叫んだ。
「覚悟せぃ、羂索に他の主催達よ!流派・東方不敗の真髄をその身に教え込んでくれるわぁ!!」
人類抹殺という漆黒の野望を捨て、文字通り再誕を果たした男の新たな闘いが始まった。
【東方不敗マスター・アジア@機動武闘伝Gガンダム】
状態:健康
服装:いつもの服装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:打倒主催
01:他の参加者と合流し、勝利に導く
参戦時期:死亡後
備考
※名簿には本名(シュウジ・クロス)ではなく、東方不敗マスター・アジアの名が載ります。
※流派・東方不敗の奥義は制限されています。少なくとも最終奥義・石破天驚拳は令呪を使わないと放てません。
状態:健康
服装:いつもの服装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:打倒主催
01:他の参加者と合流し、勝利に導く
参戦時期:死亡後
備考
※名簿には本名(シュウジ・クロス)ではなく、東方不敗マスター・アジアの名が載ります。
※流派・東方不敗の奥義は制限されています。少なくとも最終奥義・石破天驚拳は令呪を使わないと放てません。