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火星-13
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songunarmy
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2012年4月15日の金日成主席生誕100周年慶祝閲兵式で初公開された火星13号(画像出典:わが民族同士)
2012年に初めて公開されたICBMで、米国防総省のコードネームはKN-08。中国製大型重装輪トラックのWS-51200に搭載された火星13号は、当初はパレード用のモックアップと見なす風潮があったが、金正日がプロトタイプやMAZ-543Wを大型化したTELを視察していたことから実際に開発計画は進行していたようだ。
火星13号は北朝鮮初となるICBMでありながら、ミサイルは三段式、SLBM用エンジンの4D10を2基並列にして搭載する意欲的な設計だった。ただ、4D10は複雑なエンジンでありそれを2基もミサイル内に収めるのは非常に苦戦したかもしれない。これは公開された当時の北朝鮮にはICBMを充分飛ばせる強力なエンジンが、開発時にまだ無かったことを示している。2016年4月になってようやく西海(ソヘ)衛星発射場のテストスタンドで火星13号のメインエンジンの燃焼実験が行われたが、この時既に信頼性の高いRD-250を搭載するミサイルの開発が進行していたと見られる。


西海衛星発射場のテストスタンドで行われた燃焼実験(画像出典:KCNA)
開発の軌道修正を図ったのか、2015年10月10日の朝鮮労働党創立70周年慶祝閲兵式では三段式から二段式に減らし、ノーズコーンをトリコニック(三重円錐)形から丸みを帯びたシンプルなものへ変更した改良型が登場した。米国防総省のコードネームはKN-14であるこの改良型は、エンジン自体は4D10の2基並列配置をそのまま引き継いでいる。こうした改良や前述の2016年の燃焼実験を経た火星13号だが、その後は音沙汰がないまま表舞台から姿を消している。2016年10月15日と20日に発射されたが空中爆発で失敗したミサイルについて、発射されたのはムスダンと見られる中、海外アナリストのジェフリー・ルイス氏は衛星画像の分析から火星13号ではないかと指摘している。また、2017年12月に東京新聞が北朝鮮の軍需部門に近いという人物の情報を引用し、火星13号は「燃料注入時間やエンジン出力に多くの問題があることから金総書記の指示で開発を中止した上で開発チームは火星12号・14号・15号に分散配置された」と報じた。もし事実なら、開発が難航した上に二回も試射に失敗したことやより適切なエンジンの開発に目処が立ったことで、不要になった可能性がある。
なお信憑性は怪しいが、デイリーNKが2018年に報じた記事においてとある北朝鮮高官の話として、火星13号は15基製造され平安北道の雲田と亀城の地下基地に隠されているという。
なお信憑性は怪しいが、デイリーNKが2018年に報じた記事においてとある北朝鮮高官の話として、火星13号は15基製造され平安北道の雲田と亀城の地下基地に隠されているという。

改良型火星13号(画像出典:KCNA)
余談だが、2017年8月に金正恩が弾道ミサイルの研究や開発を行う国防科学院化学材料研究所を現地指導した際公開された画像には、火星13号の図面が写り込んでいたが、特にモザイクなどで隠されていないあたり隠す必要は無かったようだ。また、一部メディアの報道や実際に訪問した在外朝鮮人によれば、平壌の人民軍武装装備館には火星13号の実物が展示されているとのこと。

2016年3月の核兵器開発の事業を推進する金正恩の報道にて、核分裂型弾頭のモックアップの背後に写る火星13号(画像出典:KCNA)

見えにくいが左端に「화성(火星)-13」の文字と図面が掲示されている(画像出典:KCNA)
- スペック(推定)
別称:KN-08、KN-14(米国防総省コードネーム)、KN-08Mod2
全長:17m
直径:1.5~2m
重量:60,000kg
ペイロード:700~1000kg
弾頭:炸薬、NBC弾頭
推進剤:固体燃料
射程距離:8,000~10,000km
発射プラットフォーム:WS-51200
発射歴:無し(2016年に2回試射し2回とも失敗?)
開発年:2000年代後半
配備期間:未配備
運用状況:恐らく開発中止
保有数:不明
全長:17m
直径:1.5~2m
重量:60,000kg
ペイロード:700~1000kg
弾頭:炸薬、NBC弾頭
推進剤:固体燃料
射程距離:8,000~10,000km
発射プラットフォーム:WS-51200
発射歴:無し(2016年に2回試射し2回とも失敗?)
開発年:2000年代後半
配備期間:未配備
運用状況:恐らく開発中止
保有数:不明
