Avenger ◆ew5bR2RQj.
「くっ……」
レイ・ラングレン口から溜息が漏れる。
表情は憂いを帯びているが、同時に苛立ちも見て取れる。
早く進みたいのに、何かに妨害されて進めない。
そんな表情を浮かべているのだ。
彼がそんな表情を浮かべている原因。
それはつい先ほど行われた、第一回目の定時放送にあった。
表情は憂いを帯びているが、同時に苛立ちも見て取れる。
早く進みたいのに、何かに妨害されて進めない。
そんな表情を浮かべているのだ。
彼がそんな表情を浮かべている原因。
それはつい先ほど行われた、第一回目の定時放送にあった。
彼はあの場から離脱して以降、ただひたすらに移動を続けていた。
カードデッキで強化された身体能力を、ただ移動のためだけに生かす。
その甲斐あってか、変身が解除されてからすぐに隣のCー8に移動することができた。
それからしばらくもしないうちに、彼の耳に聞き覚えのある声が届く。
それがV.V.の行う第一回目の定時放送だったのだ。
放送の内容を聞き漏らすわけにもいかず、休憩も兼ねて近くの木陰に身を預けるレイ。
デイパックから名簿や地図を取り出し、放送に耳を傾ける。
そして今に至るのだ。
カードデッキで強化された身体能力を、ただ移動のためだけに生かす。
その甲斐あってか、変身が解除されてからすぐに隣のCー8に移動することができた。
それからしばらくもしないうちに、彼の耳に聞き覚えのある声が届く。
それがV.V.の行う第一回目の定時放送だったのだ。
放送の内容を聞き漏らすわけにもいかず、休憩も兼ねて近くの木陰に身を預けるレイ。
デイパックから名簿や地図を取り出し、放送に耳を傾ける。
そして今に至るのだ。
「チィッ……!」
舌打ちをし、鬼のような形相で前方を睨みつける。
普段あまり感情を表に出さない彼にとっては、珍しい光景であった。
しかし他の参加者達のように、誰かの死に悲しんでいるわけではない。
そもそも彼は妻を殺されて以降、他者との接点を殆ど捨てている。
残されているのは唯一の肉親であるジョシュアとの物だけであり、それすらも希薄。
そのジョシュアもこの場にいないため、誰が死んでも悲しむことはない。
彼が憤っている原因は、別にあった。
普段あまり感情を表に出さない彼にとっては、珍しい光景であった。
しかし他の参加者達のように、誰かの死に悲しんでいるわけではない。
そもそも彼は妻を殺されて以降、他者との接点を殆ど捨てている。
残されているのは唯一の肉親であるジョシュアとの物だけであり、それすらも希薄。
そのジョシュアもこの場にいないため、誰が死んでも悲しむことはない。
彼が憤っている原因は、別にあった。
(十六人……もう少し減っていると思っていたが)
そう、彼が気にしているのは死者の数。
V.V.が告げた人数は、彼が予測していた数を大きく下回っていたのだ。
V.V.が告げた人数は、彼が予測していた数を大きく下回っていたのだ。
(あの場にいた連中はほとんど逃げたということか……)
彼がエンド・オブ・ワールドを発動した時、少なくとも七人があの場にいた。
もし全員の抹殺に成功していたのなら、死者の数がもっと増えていてもおかしくないだろう。
だが実際の人数は、予測を遥かに下回る十六人。
数人は始末できていたのかもしれないが、攻撃の規模ほどの成果は上げていなかったようだ。
もし全員の抹殺に成功していたのなら、死者の数がもっと増えていてもおかしくないだろう。
だが実際の人数は、予測を遥かに下回る十六人。
数人は始末できていたのかもしれないが、攻撃の規模ほどの成果は上げていなかったようだ。
(俺は……早くカギ爪を殺さなければならないというのにッ!)
強く拳を握り締めることで、掌に爪が食い込む。
鋭い痛みが掌に走るが、彼が力を緩めることはない
それほどまでに、苛立ちは募っているのだ。
鋭い痛みが掌に走るが、彼が力を緩めることはない
それほどまでに、苛立ちは募っているのだ。
彼はここに連れ去られるまで、カギ爪の男を探し回っていた。
手掛かりは皆無に近く、砂漠に落ちた一粒の砂を探すかのような作業。
僅かな情報を頼りに、あらゆる場所を駆け巡る。
何度も危険と相対し、生死の境をさまよったこともあった。
それでも挫けなかったのは、彼の中にある復讐心の強さが尋常ではなかったからだろう。
愛する妻を殺害し、彼から夢を奪ったカギ爪の男。
今のレイ・ラングレンという男を動かしているのは、カギ爪の男への復讐心だけだった。
手掛かりは皆無に近く、砂漠に落ちた一粒の砂を探すかのような作業。
僅かな情報を頼りに、あらゆる場所を駆け巡る。
何度も危険と相対し、生死の境をさまよったこともあった。
それでも挫けなかったのは、彼の中にある復讐心の強さが尋常ではなかったからだろう。
愛する妻を殺害し、彼から夢を奪ったカギ爪の男。
今のレイ・ラングレンという男を動かしているのは、カギ爪の男への復讐心だけだった。
そう、彼にとって永遠の仇敵であるカギ爪の男。
そんな男が、今は手を伸ばした先にいるのだ。
今までのような、闇雲な作業ではない。
他の参加者を抹殺し、最後まで生き残る。
そうして生き残ったただ一人の願いを叶える。
過酷ではあるが、明確な条件が提示されているのだ。
他人の力を借りるのは癪だが、背に腹は代えられない。
やっと、あのカギ爪の男を殺せる。
そう思うと、多少の不愉快さには目を瞑ることができた。
そんな男が、今は手を伸ばした先にいるのだ。
今までのような、闇雲な作業ではない。
他の参加者を抹殺し、最後まで生き残る。
そうして生き残ったただ一人の願いを叶える。
過酷ではあるが、明確な条件が提示されているのだ。
他人の力を借りるのは癪だが、背に腹は代えられない。
やっと、あのカギ爪の男を殺せる。
そう思うと、多少の不愉快さには目を瞑ることができた。
V.V.が実際に願いを叶えるかは分からないが、これだけの人数を攫ってきたのだ。
それをもう一人増やすくらい、容易いことだろう。
仮にV.V.が首を横に振ったとしても構わない。
脅迫でもして、強制的に行わせればいい話である。
それにV.V.は最後の一人以外は元の世界に戻れないと言った。
どちらにしろカギ爪の男への復讐を果たすには、最後の一人になる必要があるのだ。
それをもう一人増やすくらい、容易いことだろう。
仮にV.V.が首を横に振ったとしても構わない。
脅迫でもして、強制的に行わせればいい話である。
それにV.V.は最後の一人以外は元の世界に戻れないと言った。
どちらにしろカギ爪の男への復讐を果たすには、最後の一人になる必要があるのだ。
(とりあえず……今後の方針を固めるか)
復讐心の滾った頭を切り替え、今後の方針を考え始めるレイ。
カギ爪の男に対する憎悪が消えた訳ではないが、沸騰した頭では生き残ることができない。
それを判断できないほど、彼は愚かな人間ではなかった。
カギ爪の男に対する憎悪が消えた訳ではないが、沸騰した頭では生き残ることができない。
それを判断できないほど、彼は愚かな人間ではなかった。
とりあえず当初の目的通り、常時使える銃を探すこと。
ゾルダのデッキはまだ時間制限で使えない。
仮に解除されたとしても、変身すればまた制限が掛けられる。
常に襲撃される危険に晒されてる以上、やはり銃を入手しておきたかった。
それにゾルダのデッキはその高火力故に、相手の支給品まで燃やし尽くしてしまう。
このゲームは性質上、後半になるにつれ一人一人が所持する支給品は増えていく。
ゾルダのデッキが封印されている間に、強力な支給品で襲撃を受けたら笑い話にもならない。
それを考慮すると、なるべく多くの支給品を集めておきたかった。
ゾルダのデッキはまだ時間制限で使えない。
仮に解除されたとしても、変身すればまた制限が掛けられる。
常に襲撃される危険に晒されてる以上、やはり銃を入手しておきたかった。
それにゾルダのデッキはその高火力故に、相手の支給品まで燃やし尽くしてしまう。
このゲームは性質上、後半になるにつれ一人一人が所持する支給品は増えていく。
ゾルダのデッキが封印されている間に、強力な支給品で襲撃を受けたら笑い話にもならない。
それを考慮すると、なるべく多くの支給品を集めておきたかった。
(強力すぎる力には、リスクが伴なう、か)
やはり気軽に使用できる銃を入手しておくべきだろう。
愛用の銃を見つけられるのが最善だが、そう簡単に見つかるとも思えない。
だが鉈だけの現状に比べれば、随分とマシになるはずだ。
愛用の銃を見つけられるのが最善だが、そう簡単に見つかるとも思えない。
だが鉈だけの現状に比べれば、随分とマシになるはずだ。
(ならばどうやって手に入れる)
方針を決めたのなら、次はその方法。
銃を入手するのが目的なのだから、どうしても他の参加者と接触する必要が出てくる。
銃を入手するのが目的なのだから、どうしても他の参加者と接触する必要が出てくる。
(いざとなったら誰かと交渉する必要が出てくるかもな……)
他の参加者から強奪するのが一番単純だが、鉈だけでは返り討ちにあうかもしれない。
この場には、自力であの爆発から脱出できる者が何人もいるのだ。
慢心や油断を捨て、確実な作戦を取っていくべきだろう。
死体を漁って入手するのも考えたが、銃を持つ死体に遭遇する可能性は決して高くない。
そうなると他の参加者と交渉し、銃を譲り受ける。
この方法を視野に入れていく必要が出てくる。
もちろん強奪という選択肢も捨てたわけではないが、交渉できるのならそれに越したことはない。
復讐の過程で何度か交渉する機会もあったため、ある程度の自信はあった。
この場には、自力であの爆発から脱出できる者が何人もいるのだ。
慢心や油断を捨て、確実な作戦を取っていくべきだろう。
死体を漁って入手するのも考えたが、銃を持つ死体に遭遇する可能性は決して高くない。
そうなると他の参加者と交渉し、銃を譲り受ける。
この方法を視野に入れていく必要が出てくる。
もちろん強奪という選択肢も捨てたわけではないが、交渉できるのならそれに越したことはない。
復讐の過程で何度か交渉する機会もあったため、ある程度の自信はあった。
それに彼自身、交渉を行うには絶妙の立場にいる。
仮面ライダーゾルダに変身して、あの場に居合わせたのが上手く作用していた。
あの場にいた危険人物の容姿は把握しているため、不用意に接触することはない。
逆に彼自身は変身した状態でいたため、爆発の下手人の正体が彼だと知る者は誰もいないのだ。
さらに山小屋で遭遇した野獣のような男が、彼を別人だと勘違いしたことも追い風である。
あの男は彼に向かって、大声で「キタオカ」と叫んだのだ。
「キタオカ」というのは、おそらく名簿に掲載されている北岡秀一のことだろう。
ゾルダのデッキの本来の持ち主なのか、あのデイパックの持ち主かは分からない。
だがそれは、どうでもいい話である。
少なくともあの場にいた連中は、仮面ライダーゾルダの正体を北岡秀一だと考えているはずだ。
連中の注意は北岡に向くため、彼に危険が及ぶこともない。
同時に危険人物扱いされることもないため、交渉相手には事欠かないのだ。
仮面ライダーゾルダに変身して、あの場に居合わせたのが上手く作用していた。
あの場にいた危険人物の容姿は把握しているため、不用意に接触することはない。
逆に彼自身は変身した状態でいたため、爆発の下手人の正体が彼だと知る者は誰もいないのだ。
さらに山小屋で遭遇した野獣のような男が、彼を別人だと勘違いしたことも追い風である。
あの男は彼に向かって、大声で「キタオカ」と叫んだのだ。
「キタオカ」というのは、おそらく名簿に掲載されている北岡秀一のことだろう。
ゾルダのデッキの本来の持ち主なのか、あのデイパックの持ち主かは分からない。
だがそれは、どうでもいい話である。
少なくともあの場にいた連中は、仮面ライダーゾルダの正体を北岡秀一だと考えているはずだ。
連中の注意は北岡に向くため、彼に危険が及ぶこともない。
同時に危険人物扱いされることもないため、交渉相手には事欠かないのだ。
万全を尽くすなら誰かと接触した際に、ゾルダの正体が北岡秀一という情報を流しておけばいい。
これだけでは信用しない者もいるだろうが、情報はどんどんと広まっていく。
あの場にいた連中がこれから他の参加者と情報交換をする度に、この嘘の信憑性は上がっていく。
蔓延しすぎた嘘は、時として真実に変わる。
たったこれだけで、全ての矛先は自分から背けられるのだ。
これだけでは信用しない者もいるだろうが、情報はどんどんと広まっていく。
あの場にいた連中がこれから他の参加者と情報交換をする度に、この嘘の信憑性は上がっていく。
蔓延しすぎた嘘は、時として真実に変わる。
たったこれだけで、全ての矛先は自分から背けられるのだ。
(よし、今後の方針は決まった、ならば次は目的地だ)
方針の次は目的地。
だがこれに関して、それほど迷うことはなかった。
その大きな要因としては、Dー7にて発生した火災である。
炎は木々を巻き込みながら、刻々と陣地を広げつついる。
何時までも森林部に残っていれば、あっという間に巻き込まれてしまうだろう。
だから一刻も早く、森林地帯から脱出する必要があった。
同時に他の参加者が火災から逃れるため、市街地に避難することは容易に想像できる。
多くの参加者が集まるのならば、それだけで銃を入手できる確率も上がる。
また森林地帯にいた参加者は、多少の差はあれど負傷している者が多い。
交渉するにしても強奪するにしても、負傷している方が優位に立てる。
弱っていれば強奪も容易いし、交渉の際にも相手は弱気になりやすい。
出し抜かれないように、怪我人を狙うのが最善手なのだ。
だがこれに関して、それほど迷うことはなかった。
その大きな要因としては、Dー7にて発生した火災である。
炎は木々を巻き込みながら、刻々と陣地を広げつついる。
何時までも森林部に残っていれば、あっという間に巻き込まれてしまうだろう。
だから一刻も早く、森林地帯から脱出する必要があった。
同時に他の参加者が火災から逃れるため、市街地に避難することは容易に想像できる。
多くの参加者が集まるのならば、それだけで銃を入手できる確率も上がる。
また森林地帯にいた参加者は、多少の差はあれど負傷している者が多い。
交渉するにしても強奪するにしても、負傷している方が優位に立てる。
弱っていれば強奪も容易いし、交渉の際にも相手は弱気になりやすい。
出し抜かれないように、怪我人を狙うのが最善手なのだ。
今すぐに森を抜け、多くの参加者が集まり、怪我人が多い。
幸いにも森林地帯を出てすぐのところに、全ての条件を満たす施設がそびえ立っていた。
幸いにも森林地帯を出てすぐのところに、全ての条件を満たす施設がそびえ立っていた。
総合病院。
これがレイ・ラングレンが次なる目的地に定めた場所だった。
これがレイ・ラングレンが次なる目的地に定めた場所だった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
弱者や怪我人を利用し、見知らぬ者に自らの悪行を押し付ける。
それらが最低の手段であることくらい、レイは重々承知していた。
だが彼はもう、止まることはできないのだ。
それらが最低の手段であることくらい、レイは重々承知していた。
だが彼はもう、止まることはできないのだ。
愛する妻を奪われた彼の心は、もうどうにもならない。
埋まることのない苦しみに、怒りに、悲しさに心と体を苛まれ続ける。
それを少しでも晴らすために、彼はカギ爪の男への復讐を目指すのだ。
カギ爪の男への復讐を果たせるのなら、彼は殺人鬼にすら身を落とす。
既に妹や仲間の身を案じる優しい少年や、正義感に溢れる青年を手に掛けた。
そしてこれからも彼は、幾人もの人間を手に掛けるのだろう。
埋まることのない苦しみに、怒りに、悲しさに心と体を苛まれ続ける。
それを少しでも晴らすために、彼はカギ爪の男への復讐を目指すのだ。
カギ爪の男への復讐を果たせるのなら、彼は殺人鬼にすら身を落とす。
既に妹や仲間の身を案じる優しい少年や、正義感に溢れる青年を手に掛けた。
そしてこれからも彼は、幾人もの人間を手に掛けるのだろう。
外道と罵られても構わない。
畜生と蔑まれても受け入れよう。
畜生と蔑まれても受け入れよう。
もう彼には復讐を成し遂げる以外に、残された道はないのだから。
【一日目/朝/C-8 南部】
【レイ・ラングレン@ガン×ソード】
[装備]ゾルダのカードデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間半変身不可)
[所持品]支給品一式×2(食料と水を一つずつ消費)、鉈@バトルロワイアル、確認済み支給品0~2(銃器類は入ってません)
[状態]健康
[思考・行動]
1:優勝を目指す。
2:銃を入手する。
3:即急に森林地帯を抜け、総合病院を目指す。
4:デッキの力はいざという時に使う。銃が手に入るまで無理はしない。
5:北岡秀一の存在を最大限に利用する。
6:願いを叶える権利が本当なら、カギ爪の男を連れて来させる。
【レイ・ラングレン@ガン×ソード】
[装備]ゾルダのカードデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間半変身不可)
[所持品]支給品一式×2(食料と水を一つずつ消費)、鉈@バトルロワイアル、確認済み支給品0~2(銃器類は入ってません)
[状態]健康
[思考・行動]
1:優勝を目指す。
2:銃を入手する。
3:即急に森林地帯を抜け、総合病院を目指す。
4:デッキの力はいざという時に使う。銃が手に入るまで無理はしない。
5:北岡秀一の存在を最大限に利用する。
6:願いを叶える権利が本当なら、カギ爪の男を連れて来させる。
※Dー7 北部にて発生した火災は中央部まで延焼しました。今後も燃え広がる可能性があります。
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069:BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち(後編) | レイ・ラングレン | 100:癒えない傷 |