真・魔神転生if... ◆GvGzqHuQe.
三途の川。
人の魂が死に絶えたとき、最後にたどり着く場所。
そして、人の魂が次なる人生を迎える場所。
狭間偉出夫という一人の人間も例外ではなく、この場所にたどり着いた。
目の前には黄金に輝く花畑。
空は一転の淀みもなく澄み渡っていて、光は縦横無尽に広がっている。
足を動かすわけでもなく、超高速でどこかに呼び寄せられていく。
人の魂が死に絶えたとき、最後にたどり着く場所。
そして、人の魂が次なる人生を迎える場所。
狭間偉出夫という一人の人間も例外ではなく、この場所にたどり着いた。
目の前には黄金に輝く花畑。
空は一転の淀みもなく澄み渡っていて、光は縦横無尽に広がっている。
足を動かすわけでもなく、超高速でどこかに呼び寄せられていく。
やがて、川の前に立つ。
上裸の杖を持った老人が、狭間のことをなめ回すようにみる。
「天寿を全うせし人命よ」
そして、老人は告げる。
「これより先には、新たな命がある」
彼が死んだということを。
「人の命は巡りに巡る、終わらない輪廻」
これから新たな命に、生まれ変わるということを。
「新たな命として、また生まれ変わるが良い」
狭間偉出夫という少年は、死んでもう戻らないと――――
上裸の杖を持った老人が、狭間のことをなめ回すようにみる。
「天寿を全うせし人命よ」
そして、老人は告げる。
「これより先には、新たな命がある」
彼が死んだということを。
「人の命は巡りに巡る、終わらない輪廻」
これから新たな命に、生まれ変わるということを。
「新たな命として、また生まれ変わるが良い」
狭間偉出夫という少年は、死んでもう戻らないと――――
「ちょっと待ったァァァァァッ!!」
響きわたる声。
突如として老人の隣に現れる学生服の男。
呑める体はないとしても、思わず息を呑み込んでしまう。
「……魔人か」
「へへっ、こーやって現れるもんなんだなぁ。守護霊(ガーディアン)ってよォ」
既知の関係なのか、老人と少年はなにやら会話を飛ばしている。
強烈な思念を抱きし人間は、魔人として生まれ変わることがあるという。
狭間もその存在は知っていたが、よりにもよって"彼"がそうなるとは思ってもいなかった。
「……なるほど」
老人は何かを納得している。
狭間も薄々気づき始める。
ここは人間が新たな命を迎えるための三途の川であること。
隣に現れた男が魔人と呼ばれていること。
そして、何かを悟った老人の顔。
気づけない訳が、ない。
「生を全うした魂と思ったが、どうやら私の見込み違いだったようだな。
行け、そなたはまだ次なる命を迎えるべきではない」
その一言と共に、老人が杖を振るう。
実体のないはずの体がふわりと浮き、空へ登り始める。
それにしがみつくのは、学生服の男。
狭間偉出夫が憎みに憎み抜いたはずの男、蒼嶋駿朔。
またの名を、魔人・イフブレイカー。
男は狭間の体にしがみつきながら、にっこりと笑って語りかける。
「まっ、そう言うことでさ、許されたチャンスを掴んだんだし。もーちょい喜んでもいいんじゃねぇの?」
その笑顔に、狭間の口からは一つの言葉しか出ない。
「どうして」
心の中に渦巻く様々な"なぜ"は、そんな言葉でしか出てきてくれなかった。
その問いを投げかけられた本人も、不思議そうに頭を掻く。
「何でだろうな、"不思議なこと"でも起こったみたいだ。
魔人として彷徨ってるうちに、なんか呼ばれてる気がしてさ。
だったら、"こうやれば"出会えるんじゃないかって思ってた矢先に、お前がここに来たんだよ」
言葉で片づけるのは簡単だ。
もう、起こってしまったことなのだから。
それがなぜ、起こったのか。
当の本人が分からないのだから、誰も分からない。
「ま、んなことはいいだろ。それよりよ、早く行こうぜ」
くいっ、と天に向けて手を掲げ、魔人は叫ぶ。
「今から、"もし"をぶっ潰しによォッ!!」
その一言と同時に、二人の体がふわりと浮いて、白に溶けていった。
響きわたる声。
突如として老人の隣に現れる学生服の男。
呑める体はないとしても、思わず息を呑み込んでしまう。
「……魔人か」
「へへっ、こーやって現れるもんなんだなぁ。守護霊(ガーディアン)ってよォ」
既知の関係なのか、老人と少年はなにやら会話を飛ばしている。
強烈な思念を抱きし人間は、魔人として生まれ変わることがあるという。
狭間もその存在は知っていたが、よりにもよって"彼"がそうなるとは思ってもいなかった。
「……なるほど」
老人は何かを納得している。
狭間も薄々気づき始める。
ここは人間が新たな命を迎えるための三途の川であること。
隣に現れた男が魔人と呼ばれていること。
そして、何かを悟った老人の顔。
気づけない訳が、ない。
「生を全うした魂と思ったが、どうやら私の見込み違いだったようだな。
行け、そなたはまだ次なる命を迎えるべきではない」
その一言と共に、老人が杖を振るう。
実体のないはずの体がふわりと浮き、空へ登り始める。
それにしがみつくのは、学生服の男。
狭間偉出夫が憎みに憎み抜いたはずの男、蒼嶋駿朔。
またの名を、魔人・イフブレイカー。
男は狭間の体にしがみつきながら、にっこりと笑って語りかける。
「まっ、そう言うことでさ、許されたチャンスを掴んだんだし。もーちょい喜んでもいいんじゃねぇの?」
その笑顔に、狭間の口からは一つの言葉しか出ない。
「どうして」
心の中に渦巻く様々な"なぜ"は、そんな言葉でしか出てきてくれなかった。
その問いを投げかけられた本人も、不思議そうに頭を掻く。
「何でだろうな、"不思議なこと"でも起こったみたいだ。
魔人として彷徨ってるうちに、なんか呼ばれてる気がしてさ。
だったら、"こうやれば"出会えるんじゃないかって思ってた矢先に、お前がここに来たんだよ」
言葉で片づけるのは簡単だ。
もう、起こってしまったことなのだから。
それがなぜ、起こったのか。
当の本人が分からないのだから、誰も分からない。
「ま、んなことはいいだろ。それよりよ、早く行こうぜ」
くいっ、と天に向けて手を掲げ、魔人は叫ぶ。
「今から、"もし"をぶっ潰しによォッ!!」
その一言と同時に、二人の体がふわりと浮いて、白に溶けていった。
かたり。
物音に反応して振り向く。
すると、今し方"奪った"はずの一人の少年が起きあがっている。
「……まだ、起きあがるというのか」
霊狐の問いに、答えはない。
ゆらりとした足取りで歩き出す少年に、霊狐は再び尾を伸ばす。
「ようやく、分かったんだ」
その尾は少年の体を貫かない。
光り輝く少年の体が、向かい来る尾を拒んでいるから。
少年の輝きはくすむことなく、ずっと輝き続けている。
「こんな当たり前のこと、ずっと分からずにいたんだ」
焦った霊狐が烈風を起こす。
けれど、その風も輝きの前には無力。
少年が翳した手から放たれた輝きが、全てを打ち消していく。
「みんな、ここにいる」
少年が胸に手を当てる。
その瞬間、霊狐の目にははっきりと映る姿があった。
黄色に輝く、一人の学生服の男。
いつの日かに、自分を打ち破った男の姿。
「僕の中に、みんないる。見守ってくれている」
背負っているのではなく、側にいる。
重圧ではなく、支えになってくれている。
たったそれだけ、けれどとても重要なことに、気づいた。
「僕が想う限り! みんな側にいるんだッ!!」
もう少年は迷わない。
進む道は決まったから、迷うことなど何もないから。
輝きを手に、少年は立ち向かう。
「痴れ言をッ……」
断罪者が再び罪を断とうと力を練る。
絶望を与えるための邪気を操る左手を翳し。
罪人に向けて、力として放つ。
物音に反応して振り向く。
すると、今し方"奪った"はずの一人の少年が起きあがっている。
「……まだ、起きあがるというのか」
霊狐の問いに、答えはない。
ゆらりとした足取りで歩き出す少年に、霊狐は再び尾を伸ばす。
「ようやく、分かったんだ」
その尾は少年の体を貫かない。
光り輝く少年の体が、向かい来る尾を拒んでいるから。
少年の輝きはくすむことなく、ずっと輝き続けている。
「こんな当たり前のこと、ずっと分からずにいたんだ」
焦った霊狐が烈風を起こす。
けれど、その風も輝きの前には無力。
少年が翳した手から放たれた輝きが、全てを打ち消していく。
「みんな、ここにいる」
少年が胸に手を当てる。
その瞬間、霊狐の目にははっきりと映る姿があった。
黄色に輝く、一人の学生服の男。
いつの日かに、自分を打ち破った男の姿。
「僕の中に、みんないる。見守ってくれている」
背負っているのではなく、側にいる。
重圧ではなく、支えになってくれている。
たったそれだけ、けれどとても重要なことに、気づいた。
「僕が想う限り! みんな側にいるんだッ!!」
もう少年は迷わない。
進む道は決まったから、迷うことなど何もないから。
輝きを手に、少年は立ち向かう。
「痴れ言をッ……」
断罪者が再び罪を断とうと力を練る。
絶望を与えるための邪気を操る左手を翳し。
罪人に向けて、力として放つ。
狭間偉出夫という一人の少年が、光り輝く。
弾き飛ばされる、邪気。
体を貫いていく、光。
傷だらけの体を引きずりながら、チェフェイは少年に向けて、欲を司る右手を翳す、が。
「傷の治りが遅いっ、だと? まさか!?」
傷が治らない、いくら右手を伸ばしても、欲の一つも吸収できない。
まさか、欲望をコントロールしているということなのか。
「魔神皇、貴様ッ……」
歯を鳴らす霊狐の読み通り、少年はすでに"欲望"を失っていた。
守護霊(ガーディアン)として憑依した魔人・イフブレイカー。
その正体はほかの誰でもなく、軽子坂高校の蒼嶋駿朔だ。
側にいて欲しい、と願った人間が側にいる。
そしてその人間から教えられたこと。
それが、先ほどまでの狭間の最大の望みを、全て叶えてしまったのだ。
強大な欲望は、すでに狭間の体には宿っていない。
「チェフェイ、僕の望みは……」
狭間が片手に輝く光を集めながら、ゆっくりと口開く。
「これから、一人の人間として生きることなんだよ」
その姿は、かつて魔界を統べる王として恐れられた魔神皇ではなく。
「ようやく、分かった。それだけでいいって、ようやく分かったんだ」
その姿は、魔の力を以て"人"々の道を照らす魔"人"皇ではなく。
「僕が生き続けて、新しい世界を見て、みんなと出会った思い出を忘れずにいる、それだけでいい」
狭間偉出夫という、等身大(ありのまま)の一人の少年。
「だから、もう何もいらないさ」
ただ、一人の人間として。
今まで手にできなかったもの、知らなかったこと。
それらを手にするために、もう無くしてしまわないために。
「悪いけど、先に進ませて貰う」
前へ、行く。
手を伸ばし、かき集めた光を一気に放つ。
輝く光線はやがて面となり、霊狐の体を抉り取っていく。
その傷を癒す為の力は、もう霊狐には残っていない。
「……生存本能、それが人間の抱きし最大の欲望」
だが、彼女は欲望の断罪者。
最後の最後まで、欲に対する戒めを忘れない。
それは、かつて忠誠を誓った者だからか。
それとも、少年の輝きに心を奪われたからか。
消えゆく体の中、その言葉だけを紡ぐ。
「努々忘れるな、強き欲望は身を滅ぼすと言うことを……」
「ああ、分かっている」
少年は、霊狐の言葉に一言だけ返し、立ち去っていく。
粒子となり消え去っていく霊狐の隣を、振り向かずに歩き続けていく。
「行ってきます」
最後に言い残したのは、挨拶の言葉。
これから進む、"人間"としての道への、始まりの言葉。
その背には、黄金に輝く学生服の男の姿が包み込むように被さっていた。
体を貫いていく、光。
傷だらけの体を引きずりながら、チェフェイは少年に向けて、欲を司る右手を翳す、が。
「傷の治りが遅いっ、だと? まさか!?」
傷が治らない、いくら右手を伸ばしても、欲の一つも吸収できない。
まさか、欲望をコントロールしているということなのか。
「魔神皇、貴様ッ……」
歯を鳴らす霊狐の読み通り、少年はすでに"欲望"を失っていた。
守護霊(ガーディアン)として憑依した魔人・イフブレイカー。
その正体はほかの誰でもなく、軽子坂高校の蒼嶋駿朔だ。
側にいて欲しい、と願った人間が側にいる。
そしてその人間から教えられたこと。
それが、先ほどまでの狭間の最大の望みを、全て叶えてしまったのだ。
強大な欲望は、すでに狭間の体には宿っていない。
「チェフェイ、僕の望みは……」
狭間が片手に輝く光を集めながら、ゆっくりと口開く。
「これから、一人の人間として生きることなんだよ」
その姿は、かつて魔界を統べる王として恐れられた魔神皇ではなく。
「ようやく、分かった。それだけでいいって、ようやく分かったんだ」
その姿は、魔の力を以て"人"々の道を照らす魔"人"皇ではなく。
「僕が生き続けて、新しい世界を見て、みんなと出会った思い出を忘れずにいる、それだけでいい」
狭間偉出夫という、等身大(ありのまま)の一人の少年。
「だから、もう何もいらないさ」
ただ、一人の人間として。
今まで手にできなかったもの、知らなかったこと。
それらを手にするために、もう無くしてしまわないために。
「悪いけど、先に進ませて貰う」
前へ、行く。
手を伸ばし、かき集めた光を一気に放つ。
輝く光線はやがて面となり、霊狐の体を抉り取っていく。
その傷を癒す為の力は、もう霊狐には残っていない。
「……生存本能、それが人間の抱きし最大の欲望」
だが、彼女は欲望の断罪者。
最後の最後まで、欲に対する戒めを忘れない。
それは、かつて忠誠を誓った者だからか。
それとも、少年の輝きに心を奪われたからか。
消えゆく体の中、その言葉だけを紡ぐ。
「努々忘れるな、強き欲望は身を滅ぼすと言うことを……」
「ああ、分かっている」
少年は、霊狐の言葉に一言だけ返し、立ち去っていく。
粒子となり消え去っていく霊狐の隣を、振り向かずに歩き続けていく。
「行ってきます」
最後に言い残したのは、挨拶の言葉。
これから進む、"人間"としての道への、始まりの言葉。
その背には、黄金に輝く学生服の男の姿が包み込むように被さっていた。
"魔人"が"魔人"と出会った"もし"の話が、始まる。
【二日目/午前/???】
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世、ベレッタM92F(7/15)@バトルロワイアル(小説)
[所持品]:支給品一式×2、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、真紅の下半身@ローゼンメイデン、USB型データカード@現実、ノートパソコン@現実、
鉈@ひぐらしのなく頃に、琥珀湯×2
[状態]:人間形態、ガーディアン:【魔人】イフブレイカー
[思考・行動]
0:殺し合いから他の者達と一緒に脱出する。
1:進む
[備考]
※参加時期はレイコ編ラストバトル中。
※バトルロワイアル第二会場へと飛ばされました。
※首輪が解除されました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページのユーザ名はtakano、パスワードは123です。
またこれらを入手したことにより、以下の情報を手に入れました。
全参加者の詳細プロフィール
全参加者のこれまでの動向。
現時点での死者の一覧。
各参加者の世界観区分。
nのフィールドの詳細及び危険性。
「彼」が使用したギアスの一覧。
※目的の欄を閲覧することはできませんでした。
※魔人・イフブレイカーがガーディアンとして憑依しました。能力の変動はお任せします。
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世、ベレッタM92F(7/15)@バトルロワイアル(小説)
[所持品]:支給品一式×2、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、真紅の下半身@ローゼンメイデン、USB型データカード@現実、ノートパソコン@現実、
鉈@ひぐらしのなく頃に、琥珀湯×2
[状態]:人間形態、ガーディアン:【魔人】イフブレイカー
[思考・行動]
0:殺し合いから他の者達と一緒に脱出する。
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