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  • 貴方と夢見たその先へ(連載)【Part5】

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貴方と夢見たその先へ(連載)【Part5】

最終更新:2022年11月27日 14:29

mejiroeski

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前:貴方と夢見たその先へ(連載)【Part4】

本編

+ 夢への旅路2日目〜2人の誕生日
─────
翌朝、散らかった部屋をなんとか片付け、トレーナーと一緒に予定より少し早めに朝食を摂った。ある程度お腹に詰め込むとごちそうさまと手を合わせ、駆け足気味で受付へとトレーナーを連れて行った。

「あのー、すいません。少しいいですか?」
「どうされました、お客様?」

受付の人に(もちろん私の秘密は伏せた)事情を説明し、昨日連れの2人がしていたみたいにお願いできないかと伝えると、特に困った様子も見せずに受付のお姉さんは各所に電話してテキパキと段取りを進めていく。私はここまでスムーズに話が進むと考えておらず目を見張っていると、受付のお姉さんがその理由を教えてくれた。

「昨日同じように依頼されたお客様が部屋に向かう際、『今晩か明日の朝に同じ依頼をしにウマ娘が来ると思うから』と言伝をされたんです。昨晩はいらっしゃらなかったので、だとしたら今朝だと既に段取りは進めてありましたので」
「そういうことか……」

たぶんその言伝の主はエスキーだろう。たぶん昨日お風呂に行く際に私が2人の方へ振り向いたところもその時浮かべた表情も見逃すことなく、全て分かった上でそんな伝言をしたんだろう。やっぱり彼女は油断ならない。もちろんそのおかげで話がすぐに通ったのだから、あとで感謝を伝えておかないと。

「それでは案内しますので」
「は、はい。えーっとエスキモー? これは……」

1番事情が分かっていないトレーナーに対して昨日の話から全てを説明する。2人がウェディングドレスを着ていたこと、そして3人で写真を撮ったこと、そして私とあなたとで写真を撮りたいんだということを全て伝えた。細部まで言えたのかは分からないけど、トレーナーは、

「……分かったよ」

と納得してタキシード姿へと着替えに向かってくれた。私もその間に出発時間に間に合うようにと急いでウェディングドレスに着替えさせてもらい、彼の前へとその姿を現した。

「どう、かな……?」
「うん、とっても綺麗だ」

互いが互いに見惚れて、それ以上の言葉が口から出てこなかった。ただそのまま見惚れている場合ではなく、早く写真を撮ってもらわないと電車の時間に間に合わない。係の人に2人の世界を壊してもらいなんとか写真を何枚か撮ってもらった。そのあとはとっとと元の服に着替え、部屋へと戻る。もちろん受付の人を始め、私のわがままに付き合ってくれた従業員の人たち全員への感謝の言葉も忘れずに伝えてから。

「それじゃ、出発の準備急いでしないとね」
「ああ……エスキモー、ちょっとこっち向いて」

部屋に戻り、荷物の整理を始めようと自分のキャリーバッグの元へ歩こうとした刹那、トレーナーに肩を掴まれ後ろから声をかけられる。掴まれた手を振り払うことなく後ろを振り返ると、彼の顔が急接近して唇を奪われた。

「んっ……ぷはっ……えっ、いきなりどうしたの!?」
「できなかったから……誓いのキス」

さっきは急いでいたし、人前だしと我慢していたみたい。ただ部屋に戻って2人きりになったところで耐えられなくなったんだと彼はそう言った。

「そっか……嬉しい。ありがと」

もう一度口づけを交わし、今度こそ荷物の整理に取りかかる。2人して幸せそうな表情を浮かべつつ、手を止めることなくテキパキと後片付けをしていた。

─────
集合時間5分前、ロビーへと向かうと既にエスキーとママと姿がそこにあった。待たせちゃったと声をかけようとしたところ、なんだか屋内なのに既に2人ともマフラーを首に巻いていた。

「エスキーもママも昨日受付の人に説明してくれててありがと……ってもうマフラー巻いてるの? 早くない?」

感謝の気持ちとともに疑問をぶつけると、2人とも私から目をそらして苦い顔をして「あはは……」と笑う。

「外に出てバタバタしたくないですからねっ! ねっ、姉さまっ!」
「う、うん、そうだね。風邪引いちゃ駄目だし」

何やら慌てているような焦っているようなそんな2人の雰囲気を感じ取る。ただ何に焦っているのだろうと、何か隠しているんじゃないかと考えを巡らせていると、1つの結論にたどり着いた。

「……もしかして2人ともキス跡首についてるんじゃない?」
「「うっ……」」

ビンゴ。まあ私もトレーナーに同じことされて、2人みたいに首元見えないように苦労したことあるし、どうしようと困った2人の気持ちはとても分かる。だから特に追及もしない。

(まあ2人ともお幸せにってことで)

─────
鍵も返し、チェックアウトも終わったところで駅への送迎のバスへと乗り込む。10分ほど揺られたところで駅へと到着すると、改札横のコンビニで飲み物を買ってホームへと向かう。4人で電車を待ちながら談笑していると、乗る特急列車がホームに入ってきたんだけど、その電車が……

「「「パ、パンダ……!?」」」

パンダの顔をしていた。

「えーっと…、パンダ特急……近くの動物園のパンダをイメージして設計し、内装もパンダを中心にデザインしました……ですって」
「すご……エスキモーは……その顔だと調べきれてなかったみたいね」

電車については乗れればそれでと時間以外調べておらず、その列車がどうとかまでは全然調べようともしなかった。とりあえず写真を何枚か撮り、乗り遅れないように車内に入ってからまた数枚写真を撮る。

「こんな電車初めて……トレーナーは知ってたの?」

電車が発車し、荷物を上の荷物棚に載せ自分たちの席へと座ったところで通路側の席に座るトレーナーへ問いかける。ホームへやってきた電車を見た時唯一驚かなかったのがトレーナーだったから、知っていたのかと聞いてみたらやっぱり知っていたとのことだった。

「オレも乗るのは初めてだけど存在は知っていたぞ。知っていると思うけど、オレの出身大阪だからニュースにもなっていたぐらいだし」

なるほどと納得し、電車を乗り込む前に買ったペットボトルのお茶のキャップを開け、一口二口と口にして喉を潤す。買った時は持つと熱いぐらいだったお茶が外の冷気に当てられたせいか、少し温くなっていた。私は少し揺れながら走る電車の中で、窓の外を眺めながらふぅとため息をついた。

(旅はまだまだこれから……ここで終わらせるなんて無粋なことはやめてよね、神様)

─────
頻繁に携帯の電波が切れることに少々イライラしながらも、時折車窓から見える広大な太平洋に目を輝かせること2時間弱、終点であり目的地の駅に降り立った。座りっぱなしで丸まった背中をぐいーっと引き伸ばしながらレンタカー屋さんへと歩いていく。

「うーん……! おしゃべりしたり海の写真撮ってたらあっという間だったね」
「そうですねっ! 昨日とはまた違った海の景色が見られて面白かったですっ!」

笑顔でこう言っているエスキーも電波が頻繁に切れるせいで道中機嫌のアップダウンが激しかったんだけど、今は楽しそうだからそっとしておこう。ママとトレーナーは私たちより大人だからか、そんなに表情を表に出すことはなく淡々と過ごしていた。

「よし、じゃあ出発だな。といっても10分ぐらいで着いちゃうんだけど」

レンタカーの受付が終わり、昨日と同様にトレーナーが運転席で私が助手席、そしてエスキーとママが後部座席へと乗り込んだ。ちなみに荷物はというと、大きめのトランクになんとか4人全員のキャリーバッグを入れ込むことができたから、コインロッカー代が発生することはない。

「最初の目的地は……速玉大社、熊野速玉大社だね」

市街からほど近い場所に位置する熊野三山の社が一つ、熊野速玉大社。今日はここともう1つを巡り、明日に最後の1つに赴くスケジュールとなっている。

「へぇ、平安時代からあるんだね、この神社」

ママが携帯で熊野三山について調べ、その歴史の深さに感心していた。その言葉を聞いていたエスキーはなぜか得意げにうんちくを傾け始めた。そういえばこの子日本史が好きって言っていたなと思い出す。

「熊野三山を巡ること、一般的に熊野詣と呼ばれる行為はその平安時代から当時の上皇や法皇を始めとして、老若男女問わず数多くの人が行ってきました。中には合計で100回以上もこの地を来訪した人物もいるほどに、熊野の地は多くの人が訪れた場所なんです。その多くの人が詣でるために通ったのがいわゆる熊野古道、そう熊野三山を含め世界遺産になっている参詣道なんです」

彼女の深い知識にも感心しながら目の前に見えてきた神社を指差す。すぐそこに見えるのが熊野速玉大社、本日の第1目的地だ。

「そういえば知ってます、エスキモーちゃん?」

車を停め、駐車場へと下り立つ4人。鳥居を潜り、境内へ足を踏み入れるまでの道中で隣で歩いていたエスキーにこんなクイズを出された。

「紀の国、というよりこの熊野の地ってなんと呼ばれているでしょうかっ!」
「えっ、なんと呼ばれているかっていきなり言われても……」

携帯を取り出そうとした手はエスキーに抑えられ、うんうんと頭を捻らせるも全然思いつかない。熊野速玉大神という名の神様が祀られている速玉宮にたどり着くまでに正解が思いつかず、仕方なくエスキーに答えを聞いた。

「全然分かんない」
「ふっふっふっ……実は『蘇りの地』って呼ばれてるんですよっ!」

嬉しそうに彼女が告げた言葉に引っかかりを覚える。蘇り、黄泉がえり……それは三途の川の向こう岸から戻ってくることを指す言葉だけど、私にはなんだか違う意味に聞こえてきた。

「蘇り、ねぇ……」
「どうしましたか、エスキモーちゃん?」

答えを聞いて少し考え込む私を心配して、下から顔を覗き込んでくるエスキー。私は大丈夫だからと笑顔で返すも、再び頭をフル回転させこの地に来た意味を考える。

(別に私は命を落としかけてこの世界線に迷い込んだ訳じゃない。少なくとも健康なまま送り込まれたはず……だったらどうして『蘇りの地』とやらに惹かれたんだろう……偶然? それとも……)

考えれば考えるほど分からなくなってくる、まさに無限ループの中に落ちてしまった私。この問答は今日1日、いや『最後』まで頭の中を駆け巡っていたのだった。

─────
神社を出発し、お昼ごはんやこの旅2カ所目のお土産を購入する。なんだか甘そうな匂いが漂う店内で、今度はカバンに入れられるほどの小さな小袋をいくつか購入する。そのうちの1つは夜ホテルで食べる用として。

「ベビーカステラに似てるけど、形とかちょっと違うね」
「鈴焼きって言われてましたね。よく見たら鈴の形してますし、味もちょっと違いますね……あっ、1つ食べます?」

後部座席から差し出された袋から1つを自分の口の中に、もう1つを運転中のトレーナーの口に入れてあげる。次の目的地まで少々時間があって手持ち無沙汰になったのか、少し早めのおやつ時を迎えた車内は携帯で街のことを調べたり、外の風景を撮ったりと各々好きなように過ごしていた。そうやって40分少々揺られた先にあったのは熊野三山の総本山、いや全国の熊野神社の総本山となる熊野本宮大社だった。さっきの速玉大社とはまた雰囲気を異にし、古式ゆかしい趣を醸し出していた。

「すっごい立派……」
「大きいですねえ……」

厳かな雰囲気に圧倒されつつも本宮へ参拝を済ませ、境内を各々好きに巡る。一旦集合してから数百メートル離れた先の、災害で流されてしまった昔の神社があった場所へと足を運んだ。

「鳥居おっきいね……」
「30m以上の高さがあるらしいです……」
「流石総本山……」

またもやそのスケールの大きさに圧倒されつつ周囲を巡ってから帰路につく。時計の針は16時を回り、日が傾き始める。私たち4人はチェックインの時間、というより駅からのバスの時間に遅れないよう急いで車へと乗り込み、レンタカーを返却してから今日泊まる宿へと向かった。

「えーっと、確かここから船に乗って向こう岸のホテルまで行くはずなんだけど……あっちょうど来た」
「事前に調べてはいたけど、船でホテル行くって凄いよね……」

わずか数分ではあったけど、海風に吹かれつつ珍しい船での旅路に心躍らせながら、一緒に乗っていた他のお客さんとともにホテルの玄関から中に入っていった。

─────
チェックインを無事に済ませ部屋へと向かう道中、目の前に現れた、先が見えないんじゃないかと思うぐらい長いエスカレーターに目を見開く。スペースウォーカーと呼ばれるそれは全長154m、高低差77m、そして乗っている時間は5分45秒と、どれをとってもとんでもない数字となっていた。

「……走っていった方が早くないです?」
「荷物なかったらそれもアリかもだけど……いや、誰かにぶつかったら危ないしやめとこっか」

エスキーの申し出に頷きかけるも、今までとは違い他にお客さんがいることを思い出して押し留まる。予約するのがわりと最近だったからかもう既にいくつか部屋が埋まっていて、なんとか部屋を確保できたような状況だったみたい。予約してくれたトレーナーが出発前に そう言っていた。

「今回も露天風呂つきだからな。見える海はそれぞれ違うけど」
「楽しみだね……誰かさんが変なことしてこなかったら」

最後の言葉はトレーナーにだけ聞こえるように彼の耳元でそっと囁く。「善処するよ」と信用の欠片もない台詞を宣った彼だけど、これで釘を刺せたことだし、少しは手加減はしてくれるだろう……

(あくまで手加減……なんだよねえ……)

受付でもらったホテル内の温泉を巡るスタンプラリーの用紙に目を落としながらため息をつく。少し諦めの気持ちも込めながら、誰にも見えないように1回、2回と。

─────
部屋に荷物を置いてからは浴衣に着替え、ホテルの中の温泉をみんなで巡り、夕食も会席料理を美味しくいただいた。そのあと部屋に戻ってからはゴニョゴニョし、日付が変わるか変わらないぐらいの時間の今はこうして1人部屋の露天風呂に浸かり、夜の海を眺めている。

「夜の海って静かで素敵だなあ……」

目の前に広がる太平洋を静かに見つめる。綺麗な夜空、そして丸い月に照らされた海は一体何を想っているのだろうか。時折立つ白波は空へと伸ばす腕のよう。

「なーんてね……」

少し詩的な言い回しをしてみたけど、私には向いてなかったようだ。こういうのはもっと向いている人がチームにいる。まさに丸い月夜の中、孤独に浮かぶ舟のようなそんな人が。

「……寝たくないな」

夢の景色、それは決して楽しいものではなく、むしろ見たくはない悪夢。夢を見ているはずなのに夢から現実に引きずり戻されるようなそんな感覚を覚えてしまう。光へと駆けていく夢……たぶんもう少しで私は光の中に行ってしまう。だから寝たら駄目なんだと、あの夢がまた進んでしまうからと、必死に眠ることを拒む。ただ無理をして旅行を台無しにしてしまうのは避けないといけないから、お風呂から上がれば横になろう。

「……こんな誕生日になるなんて思ってなかったな」

湯船から上がり髪や体を拭き、浴衣を着て部屋に戻る。トレーナーにどうぞと促すが、彼は私の申し出を断り逆に私に互いのベッドに向かい合わせに座るよう勧めた。

「どうしたの、そんな真剣な顔して」

あと数十秒で日付が変わる。そして日付が変わればお互いの誕生日を迎える……その表情が意味することが何なのかを察しながらも少しとぼけてみる。もちろん私も彼に渡す物は準備してある。

トレーナーのすぐ横に置いてあった彼の携帯のアラームが鳴り、日付が変わったことを私たちへと知らせる。彼はアラームをすぐに止めると、もう一度私の方に向き直す。

「誕生日おめでとう、エスキモー。プレゼント、受け取ってくれないか」

そう言って差し出されたのは小さな小箱。クリスマスの時よりは少し大きくて、包装を剥がすと箱にはよく聞くブランド名が記載されていた。一体何が入っているんだろうと箱をぱかっと開くとそこに入っていたのは、レザーのストラップと円盤の周囲を金色のケースで彩られた腕時計だった。よく見るとストラップにも金の刺繍が入っていて、日常使いができそうな素敵なデザインになっている。ただそれより驚いたのは……

「……ごめん、被っちゃったみたい」
「えっ、それって……」

ベッドから立ち上がり、自分のカバンの中から取り出したのは彼からもらった物と似た大きさの小さな箱。中に入っているのはブランドやデザインこそ違えど同じ腕時計には違いなかった。

「誕生日おめでとう、トレーナー。受け取ってくれる?」
「ありがとう……! 中に描かれているのは世界地図か……デザインもかっこいいし使いやすそうだし本当に嬉しいよ!」

「世界旅行者」を意味する名前の時計、彼が想像以上に喜んでくれてプレゼントした私もまた嬉しい気持ちになる。互いに贈りあった時計を腕に嵌めて笑いあう時間は本当に至福の時間そのものだった。

「……もうそろそろ寝ないと明日に響きそうだな」

時計を見ると0時30分を指し示そうとしていた。私たちは腕に嵌めていた時計を外し、ベッドの間にあるサイドテーブルに2つ横並びになるように置いた。同じ時間を刻む時計、ともに同じ時間を過ごせるようにと願いを込めて部屋の照明を消す。

(ワールドトラベラー、世界線なんてもの越えてみせてよ)

そう強く想い、静かに眠りの海に落ちていく。

──そして夢はもうすぐ終わりを迎える。己の意志とは関係なく、演劇の途中に無理やり舞台から引きずり下ろすように。

+ 夢への旅路3日目〜目覚め
─────
「ん……もう6時……」

枕元に置いていた携帯からアラームが鳴る。寝ぼけまなこを擦りつつアラームを止め、隣で寝ていたトレーナーを叩き起こす。

「ほら、もう起きる時間だよ。今日出るの早いんだから早く!」

布団を引き剥がし、うんうん唸る体を必死に揺さぶる。まだ寝ぼけているのか、それとも私を抱き枕か何かと勘違いしているのか、腕を引っ張って両腕で抱き抱えようとするところをなんとか耐え、逆に引っ張り起こす。

「ほら、とっとと起きた! 私先に洗面所使うけどその間に二度寝しないこと!」
「……ふぁい」

その返事に不安を抱きつつも洗面所に向かい身なりを整える。顔を洗ったり髪を梳かしたり……誰かさんにキスの跡をつけられていないか鏡で確認したり。このあと朝ご飯を食べるから、食べてからできることは後回しにして、まだ頭が起動しきっていないトレーナーに洗面所を譲る。

「はい、洗面所空いたから早く使ってよね。私はその間にぱぱっと着替えちゃうから」
「ん……」

トレーナーが洗面所に向かったタイミングで昨日の時点でキャリーバッグから取り出していた服に着替える。今日は少し歩くから、一昨日や昨日と違って少しスポーティーな格好になっている。

「まあ別に着替え見られたところでどうってことないんだけど、マナー的にね」

着替えどころかそれ以上の部分を見られている以上今更感が強いけど、それでも男の人の前で下着を含め堂々と着替えるのは流石に気が引ける。いくら好きな人の前とはいえ。そうやっていろいろ理由をつけながら着替えを済ませたタイミングでさっぱりとした顔のトレーナーが洗面所から出てきた。

「じゃあ先に出てるから……あっ、その前にエスキーに誕生日プレゼント渡しに行かなきゃだから、2人の部屋まで一緒に行かなきゃ駄目か」

そう、今日は私たち2人だけじゃなくエスキーも誕生日。3人も誕生日が被るなんてありえないなって思っていたけど、こうして旅行に来て一緒に祝えるからそれもありかって今なら思える。

「タブレットだったっけか」
「それとケースとタッチペン。仕事に使えるようにって」

そう、今回彼女にプレゼントするのは新型のタブレットとそのケースにタッチペン。しばらくすれば人の体に戻る彼女にはぴったりのプレゼントだと思って2人で一緒に買いに行った。

「それじゃあオレも洗面所でササッと着替えてくるか」
「うん、待ってるね」

トレーナーを待っている間ベッドに腰かけ1人物思いに耽る。そういえば彼女たちからは何をもらえるんだろうと。プレゼントをあげることとこの旅行のことばかりに集中しすぎていて、プレゼントをもらうことを全く考えていなかった。

(センスを疑っている訳じゃないんだけど……まあ考えすぎるのも値踏みしてるみたいで2人に悪いか)

そうやって頭を切り替えたタイミングで着替えたトレーナーが洗面所から出てきたから、私は横に置いていたプレゼントを持ち、彼とともに2人の部屋へと向かった。

「起きてる?」

扉をノックして呼びかけると、すぐにパタパタとした音が近づいてきてドアが開く。2人ともとっくに着替え終わっていたみたいで、今にでも出発できる態勢を整えていた。

「おはようございます、エスキモーちゃん、トレーナーさんっ。そして……誕生日おめでとうございますっ! はい、わたしと姉さまから2人へのプレゼントですっ!」

そう言って差し出されたのは小さな長細い箱。指輪とか時計が入っているような立方体ではなく、高さがそれほどない代わりに奥行きが長い長方体の形をしていた。何が入っているのかまるで見当がつかないまま、入れてもらった部屋の中で包装を解き中身を取り出す。中に入っていたのは綺麗な木箱で、さらにその中には二対のお箸が入っていた。

「お箸?」
「はいっ! 普段使いができて、かつ2人にまとめて贈れる物は何なのか考えた結果、お箸がいいんじゃないかと姉さまから提案いただいたのでそちらにしましたっ!」

ふふんと胸を張ってプレゼントの理由を説明するエスキー。彼女とベッドに腰かけていたママに感謝の気持ちを伝え、自分たちの部屋に戻りプレゼントをバッグに入れる。そうしてまた2人で部屋から出てくるのに合わせて向こうの部屋からも2人が待っていたかのように出てきた。

「それじゃ、朝ごはん食べに行こっか」

同じ山上館の中にあるバイキング会場へと足を運ぶ4人。どんな料理が出てくるのかとワクワクしながら談笑している中、ママがしっかりと食べすぎないよう釘を刺す。

「そうですねっ! バイキング楽しみです〜っ!」
「2人とも食べすぎには注意だからね」
「「はーい」」

ママの注意とそれに対して2人被った返事にトレーナーが笑みを浮かべる。

「なんかやりとりが親とその子どもみたいだな。年齢近いのに」

そんな近からずも遠からずなトレーナーの言葉に私たちもクスクス笑って楽しく和やかな雰囲気がその場に出来上がっていた。そんな楽しい1日がこれから始まろうとしていた。

─────
食事を楽しんだあとは部屋に戻って出発の準備をし、一同部屋を後にする。ロビーでチェックアウトを済ませると、行きと同様に今度は桟橋へと向かって船に乗り込んだ。

「温泉気持ちよかったね」

館内5つの温泉と部屋の露天風呂の合計6つの温泉を全て入った上でスタンプラリーも全部埋めることができた。その全部4つ全部埋めることができた成果として受付でもらえた温泉の素をカバンから取り出し、露天風呂から見た海の広大さに思いを馳せる。

「忘帰洞、だったっけ、ほんとにずっと浸かっていたいぐらいだったよね。エスキーはどうだった?」
「もちろん最高でしたっ! 少し肌寒くはありましたけど、それでも肩までしっかり湯船に浸かれば逆に顔だけ涼しくて心地よかったぐらいでしたしっ」

この様子だと2人ともとっても満足してくれたみたい。このホテルを選んだ甲斐があったというものだ。そうホッとしているうちに桟橋へとたどり着き、他のお客さんに一緒に船から下りる。そこからまた駅まで数分ほど歩いていき、コインロッカーに荷物を預け、今度は路線バスへと乗り換える。

「那智山行き……でもこれ終点までは乗らないんだよね?」

車内の行き先表示を見たママが携帯で私が送った旅程表を見ながら確認してくる。私はそうだよと頷き、さっき自動販売機で買ったスポーツドリンクをみんなに渡した。もちろん差し出す左の腕にはトレーナーからもらった腕時計を、左指には指輪を嵌めている。

「流石に熊野詣全部は時間の都合で無理だけど、流石に少しは歩きたいなって思ってね。いい運動にもなるかなーって」

そう言っている間にバスの後ろ扉が閉められ、目的地へと動き出した。月曜日の朝だからかそれほど多くの人は乗っていないが、それでも車内が少しざわざわする程度の人たちが同じバスに乗り込んでいた。

「歩くのは大体1時間ぐらいで、帰りはバスなんだよな」
「そうなの。帰りも歩いてもよかったんだけど、電車の時間もあるし、その電車までにお昼食べないと行けないから」

それこそ本当であれば山の手前から登っていきたかったところだったんだけどね。トレーナーも体力あるし、私たち3人は当然ウマ娘だから大丈夫だし、時間さえ許せば山の下から山上まで登ってみたかった。それを今回は時間の都合で泣く泣く諦め、途中までバスで行くことにした。

しばらく街の中を抜けていき、鉄道の駅や道の駅、地元の温泉などを兼ねた施設の広い駐車場へバスが入っていく。「帰りはここで温泉入るのもいいかな。いやいや時間がないし…」などいろいろ考えていると停車していたバスが再び動き出し、いよいよ那智山の方へと進んでいった。

─────

『次は大門坂ー、大門坂バス停です』

車内放送が流れるやいなや、ピンポンとママが降車ボタンを押した。あまりにも押すのが早かったからか、エスキーが「わたしも押したかったです……」みたいな独り言をポツリと零していた。アンタは子どもか。

「ここで合ってるよね?」
「うん。ありがと、ママ」

ものの数分でバス停へと到着し、他の乗客も含めてぞろぞろとバスを降りていく。この肌寒い季節でも、というか逆にこの季節だからなのか、ここから上まで上がっていく人は一定数いるようだ。

「それじゃあ上までレッツゴー!」

もちろん他の人もいるし石の階段で危ないしということで、駆け上がることもなくゆっくりと4人ペースを合わせて石段を一段一段上がっていく。昔この階段を上って神様に会いに行った人たちへと畏敬の念を籠めて、一歩ずつしっかりと足を踏みしめていく。

「歩いてる分マシですけど、木で日光が遮られてるせいで少し寒いですね」

そう言って寒さをしのぐために両手でそれぞれ逆側の二の腕を何度か擦るエスキー。彼女の言うとおり、近くに道路は通っているもののやはり山の中、そして木と木の間を抜けていく道だからか、光があまり届いてこない。

(木がいっぱい……そういう意味でも「『き』の国」か、なーんて……ううん、ちょっと待って)

歩きは止めることなく、ただ意識を少しだけ歩くことから切り離す。さっきのことで何か引っかかった。

「き」と読む漢字は当然この世に多数存在する。それこそ「木材」の「木」であったり、「紀の国」の「紀」であったり、「喜ぶ」の「喜」であったり数え切れないぐらい世の中には転がっている。ただそこで私が引っかかったのはこれらとは違う2つの漢字だった。

(「帰る」の漢字も「き」と読むし、「起きる」の漢字も「き」って読む……考えすぎなのかもしれないけど、でもあの夢が「そう」だとするなら、まさにぴったりな場所……)

エスキーも言っていた、ここは「蘇りの地」なんだと。心身ともに清められ新たに生まれ変わる場所なんだと。

(蘇り……よみがえり……かえる……帰る……そして夢から「起きる」……都合が良すぎるけどもしかして……)

そもそも私が「この世界」に来る直前にどこにいたのか、そこも1つの問題かもしれない。すっかり「この世界」の空気に馴染んでしまったけど、戻るとなれば「元の世界」の空気に馴染み直さないといけないんだから。

私がこの世界に来た理由、果たしてそれは一体──

「エスキモーちゃーん、着きましたよー」
「……はっ! もう着いたんだ。ありがと、エスキー」 

深く考え込んでいるうちに石段を上りきり目的地の熊野那智大社へと到着したことに気づいたのは、エスキーから肩をトントンと叩かれ、昨日みたいに心配そうな顔で下から覗き込まれた時だった。

(とにかく今は目の前の旅行を楽しまないと……!)

頭をブンブンと振り、変な考えを頭から追い出し、みんなと一緒に境内へと足を踏み入れる。

──お別れするのもすぐ目の前のことなんだと気づかないまま時間は過ぎていった。

─────
大門坂を抜け、表参道を抜け、そして社務所の横を抜けた先に現れたのは霊験あらたかな礼殿と御本殿。そしてこの社に祀られているのは通称「熊野権現」と呼ばれる熊野夫須美大神、とのこと。トレーナーが携帯で調べてくれた。

「ご神徳により結宮(むすびのみや)と呼ばれている、らしい」
「結び……それって人の縁を結ぶってことなのかな」

私が結びたいのはもちろんトレーナーとの縁。ただそれは心の繋がりという意味だけではなく、体の繋がり、すなわち離れ離れにならないという意味の繋がり。

「あとは諸々の願いを結ぶって意味もあるらしい。諸々の願いってなんだよって思っちゃうけど」

願い。それはさっきと同じ、トレーナーとずっと一緒でいられますように、ただそれだけ。むしろそれさえ叶えば他には何もいらない。

(そうか、それを神様に願えば……)

願いは決まった。私は本殿へと歩き、財布から一番大きいお札を取り出すと躊躇なく賽銭箱へと放り込む。そして強く、強く、神様に願う。

(どうか、どうか、トレーナーとずっと一緒にいられますように……離れ離れになりませんように……神様、お願いします……)

何度も繰り返し願い続ける。愛する人と別れることがないように……例え「この世界」であの人から遠くへ行ってしまっても、どうか「元の世界」で再会できますようにと。そう強く、力を籠めて。

『その願い、確かに聞き入れた』

すると、なぜかそのときどこからか声が聞こえた。周りを見渡しても誰もこの声が聞こえていなさそう。ということはこの声の主は……

「神、様……?」

一緒に参拝していたトレーナーや他の2人にそれとなく聞いてみても納得のいく回答を得ることができず、少し信じがたいけどそう結論づける他に思いつく答えが見つからなかった。

─────
次に向かったのは境内から歩いて数分のところに位置する那智の滝。華厳の滝や袋田の滝と合わせて日本三名瀑の1つに数えられているらしい。これもトレーナーが調べてくれた。滝自体を御神体として祀っているとのこと。物の1つ1つに神様が宿ると考えられているこの国ならではの神様なのかもしれない。私はまたここで強く未来を願った。縋る思いで、どうか、どうかと。

「……それじゃ行こっか」
「エスキモー、ちゃん……?」

何やらエスキーが変な物を見たような不思議な顔をして私をじっと見つめていた。何か顔についているのかとぺたぺた自分の顔を触っても何もなかったから、そんな顔してどうしたのと彼女に問いかける。

「なんか私ゴミでもくっつけちゃってる?」
「いえ、そうではなくて……」

何やら深刻そうな顔をして見つめられるからなぜかこっちまで深刻な面持ちになってきた。

「……何か心配ごとでもあるんですか? もしかしてもうすぐ……とか」

やっぱりこの子には敵わない。洞察力というのか、人を見る目というのか、何に対しても物事の核を見抜く能力は周りの人たちと比べてずば抜けている。おそらく石段を上がっている途中からここに来るまでの間に見た私の顔でいろいろと察したのだろう。ここまで見抜かれてしまってはこれ以上黙っていても仕方ないと、少しみんなから離れて小さな声で本当のことを伝える。夢の話も含めて全部。

「……なるほど。トレーナー試験の時にスポーツ心理学を触ったぐらいで本格的な心理学は修めていませんけど、『そういうこと』なんだと思います」
「やっぱりエスキーもそう思うよね……」

漠然と考えていた訪れるだろう未来、それが他者からの意見が加わると、「訪れるだろう」ではなく「訪れる」ものとして固定されてしまう。主観的ではなく客観的、しかもエスキーからの意見であればそうなるとしか思えなくなる。

「……たぶんもうすぐだと思うんです。それこそ今日の夜とか、もしかしたらそれより前なのかも……うぅ……」
「……家に帰れるかな。帰れたらいいけど……ってなに泣きそうになってんの! アンタが泣くことじゃ……!」

そう言いかけるも続きの言葉が出ない。だって私と同じだから、置かれている状況は同じだから。

(そうか、もう会えなくなるのはこの子も一緒か……)

ママは「元の世界」でまた会える。トレーナーは……分からないけど、きっと会えるって信じてる。だけどこの子とはここで別れたら二度と……

「約束する、エスキーと会えたこと絶対忘れないって。アンタとの思い出は絶対忘れたりなんかしないって」
「ぐすっ……本当、ですか?」

彼女の瞳から流れる涙を指で掬って、彼女を強く抱き締める。そして約束、いや誓いの言葉を小さくとも気持ちを籠めた声で彼女に届ける。

「うん、この命に代えても、一生」

1分、2分……どれぐらい経っただろうか、エスキーの涙が止まるまで私はずっと彼女のことを抱き締め続けた。

─────
「エスキー、なんだか目元腫れてるけど大丈夫?」

トレーナーとママたちと合流し、帰りのバスに乗り込む4人。後部座席に全員並んで座っていると、彼女の顔の異変に気づいたのか、ママが心配そうに彼女の頬に手を当て、顔をじっと見つめる。

「こ、これは滝が凄いなと考えていたら涙が出てきちゃっただけで……全然気にしなくて大丈夫ですからっ!」

そう言って自分のカバンで顔を見られないように隠すエスキー。傍から見ても絶対何かあったのはバレバレな彼女からママは目を離すと、ギロリと隣に座っている私の方にその視線を向けた。

「エスキモー?」
「わ、私には何がなんだか分からないかな……?」

相変わらず嘘をつくのが下手くそな私。これはエスキー、いやパパからの遺伝なのかなと顔を必死に隠している彼女を見て思う。

「……ご飯食べる時に全部聞くから」
「ハイ……」

有無を言わさぬその言葉。クールビューティーと呼ばれた意味を声と表情だけで示したママはかっこよく……いや少し怖かった。その時なぜか昔パパと遊んでいた時こんな顔で怒られた気がしたのを思い出した。

(……全部話すしかないか)

バスは走る、終点へとただひたすらに。私は走る、夢の終点へと。

──ゴールまで残り50m、夢の終わりはすぐそこだ。

─────
バスが駅に到着し、駅前のロッカーからそれぞれのキャリーバッグを取り出したあと、バス停と駅の間に位置するごはん屋さんに入る。テーブル席に案内された私たちは、自然と私とエスキーが店の入口側に、トレーナーとママが店の奥側の椅子へと腰かけた。面接か、それとも二者面談か、いや子どもが親にテストで悪い点を取ったことを報告する場か……本来楽しいはずの昼食の場に重々しい雰囲気が漂っていた。注文を取りに来た店員さんも少しよそよそしい感じで水を運びに来て、4人分の生まぐろの定食の注文を受けると、とっとと奥へと引っ込んだぐらい。

「……とりあえずエスキーに伝えたこと全部教えて?」

ママはただ真実を知りたいだけなんだと思うんだけど、その声のトーンと真剣な表情からはまるで怒られているようにも感じられる。そういえば小さい頃同じシチュエーションがあったかもなんてことが一瞬頭によぎったものの、ママの言うとおりエスキーに言ったことを洗いざらい話した。私がゆっくりと話している間、2人とも相槌を打つように時折うんうんと頷いていたのがなぜか印象に残っている。全部話し終わったタイミングでまるで計ったかのように4人全員の注文が運ばれてきた。

「──ということなの……なんか突拍子もない話でごめんね」
「そもそもエスキモーが今ここにいること自体ありえないことでしょ? エスキーのこともあるし、今更だから」
「そうそう。むしろ話してくれてありがとう。全て抱え込んだままさよならなんて、その方が気分悪いだろうし」

ママもトレーナーもそう言って慰めてくれる。私は目の前に運ばれてきた自分の分のまぐろ定食を食べ進めながらこれまでの感謝を伝えた。

「……これまでありがと。どんな感じでお別れするのか分からないけど、たぶんみんながこの状態で会うのはもうないと思う。ママはもちろん私を産んでからの再開だからもっと大人になってるし、エスキーは……アレだし、トレーナーとはそもそも出会えるかも分かんないし……うぅ……」


ある意味今生の別れが近づく中、話す言葉も徐々に涙混じりになってしまう。こんな悲しい結末なんて誰も望んでいないはずなのに、せめて笑ってハッピーエンドで幕を下ろしたかったのに、泣いてしまっては全ておじゃんだ。取り出したハンカチで最初は目尻を押さえ涙が下へと落ちないように、そして涙が零れる目を見られないようにハンカチを広げて目を隠す。そんな私に向かってママは優しい声で語りかけてくれた。

「ねえエスキモー? 確かにもうすぐアタシたちはお別れなのかもしれない。もう二度とこうやって会えないかもしれない。でも、でもさ、エスキモーが覚えてさえくれていれば、何かの形でアタシたちとの出会いを残してくれてさえいれば、それは間違いなく出会った証になるんじゃないかな」
「出会った、証……?」

目元を隠していたハンカチを膝に置いてママの方を見つめる。涙はまだ流れているけど、もう零れるのを止めたり隠したりはしない。

「そう。もちろんアタシたちも忘れないよ? けどそもそもこの……世界線だっけ? それが残るかどうかなんて分からない。消えてなくなってしまうかもしれない。だったらさ、『元の世界』に戻るエスキモーが覚えてて、出会ったことを残してくれればアタシたちはその中で生き続ける」
「うん……うん……!」

もう一度だけハンカチで目元を押さえ涙を拭く。1秒、2秒と押さえたハンカチを外すともう涙は出てこない。代わりに出てきたの相手を睨みつけるような鋭い視線。もう泣かないよと言わんばかりのその瞳。未来を、「夢」の先を見つめるその目は「今」この時を記憶に焼きつけんとばかりに強く、強く前を見つめていた。

「……オレのことも覚えていてほしい」
「……わたしも」

トレーナーとエスキーがおずおずと手を挙げる。私は当然でしょと2人に笑顔を向ける。

「嫌って言っても覚えていてあげる! だって私、みんなのこと大好きなんだから!」

─────
そのあとはみんな笑顔で定食を食べきり、帰りの電車の中でみんなで食べるおやつを駅からほど近いお土産物屋さんで購入した。せっかくだからと私が選ばせてもらったのは、この季節ならでは、そしてこの県ならではのお土産、みかんだった。

「ここでみかんを選ぶセンス……見習いたいものです」
「ちょっとエスキー、それバカにしてない?」
「……ノーコメントで」

明らかにからかっている顔と台詞にちょっとムカッときて彼女のほっぺをむにむにと両手でつねる。彼女は両手で自分のほっぺを弄る私の手を引き剥がそうとするけど、なんだかその力が強くない。

(……こういうやりとりも最後だから、なのかな……ってしんみりするのはもうなし! こうなったら最後まで楽しんでやるんだから!)

そう心に誓うと、3人を引き連れて駅の方に戻り車内で飲むお茶を自動販売機で買うと、駅前の足湯で少しばかり足を休める。5分、10分のことだったけど足だけでなく体もぽかぽかと暖かくなり、お昼のあとということもあってか、少しずつ頭がぼんやりとしてきた。

「……ってもう電車来るよ! エスキモー急いで!」

ママのかけ声ではっとなり、腕時計で時間を確認する。そこでもうあと数分で電車が到着することに気がついた私たちはカバンから取り出したタオルで急いで足の水気を取り靴を履く。靴を履ききった人から順に荷物を抱えダッシュで駅の階段を駆け上がり、改札を通り抜け、またホームへと駆け下りる。

「はぁ……はぁ……なんとか間に合った……」

最後にトレーナーがホームへたどり着いたタイミングで電車が停車し扉が開く。呼吸を落ち着けながらも電車に乗り込んだ私たちは特急券に記載された席までゆっくりと車内を歩いていった。

「ふぅ……これでひと安心……ふあぁ……」

2人掛けの席をくるりと反転させ、各自のキャリーバッグを上の荷物棚に入れたところで向かい合わせになった座席に腰かける。既に電車が動き始めていたせいか、少しよろけながらも自分の席へ腰を落ち着かせることができた。ちなみに私とトレーナーが隣で、私の前にママ、トレーナーの前にエスキーといった席順になっている。

「ねえ、せっかくだからエスキモーが選んだみかん食べようよ」
「うん……はい、みんなの分……ふあぁ……」

眠気が再度襲来し、みんなにみかんを配りきったところで頭ががくんがくんと上下に揺れ始める。まだ話していたいのに……まだ話し足りないこといっぱいあるのに……

「ゆっくり休め、エスキモー。そしてまた会おう、絶対に」

「次に会うときもママって呼んでよね」

「また会いましょう、エスキモーちゃん」

みんなの声が徐々に薄れ、意識が少しずつ夢の中へと落ちていく。眩しい光へと駆けていく夢、それの道のりはついに終わりを迎え、私は「自分の意志で」最後は光の中へと飛び込んだ。

─────
夢が終わる。楽しい夢が、今ここで。
これはハッピーエンド? バッドエンド? それは誰にも分からない。だけどこれだけは言える。

──私の「物語」は、まだ終わってなんかいない。

─────
「……モー! ……キモー! エスキモー!」
「……ママ?」

疲れが溜まっていたのか、それとも電車の揺れが心地よかったのか、すっかり眠ってしまっていた。車窓から外を見ると、すっかり日も落ち、通り過ぎていく街には灯りが灯っていた。

「やっと起きた! ほら、次の駅で乗り換えるから、早くそのみかん食べちゃって」

そうママに言われて目線を下に下ろすと、膝の上に置いた両手の手の上にちょこんと小さなみかんが置いてあることに気づいた。私は急いで皮を向いて一房一房口の中に放り込んでいく。あまりにもパクパク食べるものだから、パパは私の方を見て軽く噴き出していた。

「そんなに焦らなくていいって……ははっ!」

ママはママで私が喉を詰まらせないか、詰まらせたときのために手元にペットボトルのお茶を用意しながら少し心配そうな顔をしていた。

「もぐもぐ……ごっくん……よし、なんとか食べ切れたよ」
「じゃあ皮は乗車口の近くのゴミ入れに捨てておいで」
「はーい」

左手にみかんの皮を握り締め立ち上がろうとしたその時、ふと左手に嵌めている腕時計が目に入る。確かこれは誕生日にトレーナーからもらった腕時計だったはず。どうして今私が着けているんだろう?

「どうした、エスキモー? 何かおかしなことでもあった?」
「……この腕時計、誰にもらったんだっけ」

私のその言葉にパパもママも不思議そうな顔をする。2人が顔を見つめあい、パパの方から心配そうな声で教えてくれた。

「誰って……パパとママからの誕生日とトレセン学園合格祝いにプレゼントしたばっかりじゃないか」
「パパとママから……合格祝い……ああ、そっか」

そう言われて思い出した。そうだ、私が2人にねだって買ってもらったんだ。誕生日と一緒でいいからって言ったら私の年齢からすると高級品なこの腕時計を買ってもらったんだった。しかもこの旅行も合わせてのプレゼントなんだった。頭の中では3年以上も前の話だったから忘れかけていた。

「大丈夫? 寝ぼけてる?」
「ううん、心配しないでママ。もうばっちり目も覚めたから」

まだ心配そうなママに笑顔で問題ないことを伝えて、再び手に持ったみかんの皮を捨てに行く。ゴミ入れに皮を放り込むと少し手を洗おうと洗面台へと足を運ぶ。

「そっか……戻ってきたんだ……」

流れる冷水で手を洗い、軽く手を振って水気を飛ばすとポケットに入っていたハンカチで手を拭きながら自分の席へと戻る。席に戻るとあと数分で終点及び乗り換えの駅に到着するという車内放送が流れ、パパとママとで荷物棚からみんなのキャリーバッグを下ろしていたところだった。

「ありがとパパ、ママ」
「はい、これがエスキモーの分。座ってないでデッキに行くよ」

ママから自分の分のキャリーバッグと席に置いていたリュックを渡され、押されるように電車の降車口へと歩いていく。リュックを背負いながらキャリーバッグを引いて、前にいた人の後ろに並ぶ格好で駅へ着くのを待つ。

『新大阪〜新大阪〜終点です。お忘れ物なきようお降りください。新幹線にお乗り換えのお客様は〜』

電車が停車し、降車側の扉が開く。前の人に続いて順番に駅のホームへと降り立ち、扉から少し離れたところでパパとママと一度集まる。

「このあとは新幹線?」
「そ。ホーム離れてるし、改札抜けないとだから早く行くよ」

20分ほどの乗り換えの間にぱぱっと駅弁を購入し、急いで新幹線のホームへと急いで進む私たち3人。エスカレーターで歩くのは危険なため、少し長い階段をキャリーバッグを持ちながら一段飛ばしで他の人とぶつからないよう駆け上がっていく。やはりここでもウマ娘と人との差が出たのか、ママと私が同時にホームに到着し、少し遅れてパパが息を切らせて広いホームへとたどり着いた。

「はぁ……はぁ……エスキモーもすっかり成長したなあ……」
「当たり前でしょ。この子も春からトレセン学園に入るんだから、むしろパパに負けてたら駄目なんだから」

パパとママが私のことを話しているところを少し離れた場所でぼーっと見つめる。

(「あの世界」はやっぱりただの夢で、私はまだトレセン学園に入学していない身……もちろんトレーナーとは会えてない)

新幹線が到着しパパとママの後ろにくっついてぞろぞろと乗り込む。手元の切符に記載されている席の番号と、座席上部の荷物棚の部分に書かれている座席番号とをチラチラ見比べながら、自分たちの席へとたどり着く。3人の座席を横並びに購入していたから特に席を反転させる必要もなく、荷物棚に3人分のキャリーバッグを押し込むとパパ、私、ママの順に奥から詰めて座っていく。

「これでよしっと……あとは東京駅までずっとこのままだからエスキモーは寝ててもいいぞ」
「ううん、さっき寝てたから眠くなくなっちゃった」

そっかと言って私の頭を何度か撫でると、車窓を眺めるパパ。少し疲れていたのか、私に寝ないのと言いながら自分がうとうととし始めている。私はさっきとは逆にパパの頭を撫でてあげると、逆側に座っていたママの方に振り向き、さっきまで見ていた夢のことをかいつまんで伝えた。突拍子もない夢のはずなのに、ママは小さく頷きながら、私の話を真剣に聞いてくれた。

「──それで最後は電車で寝ちゃったところで終わっちゃったの」
「……そっか。ねえ、エスキモー、その夢、見てて楽しかった?」
「もちろん! いろんな人と走れたし、夢の中だけど好きな人もできたし、みんなで旅行にも行けたし……すっごい楽しかった!」

ママの問いかけに満面の笑みで答えると、ママも嬉しそうに笑った。夢の中で見たママと同じ素敵な笑顔を浮かべて。

「よかった……じゃあさ、いつか夢の中でどんなことがあって、こんな場所に行って、どんな気持ちになったとか全部何かでまとめてママとパパに教えて? これでもまだ一部だけなんでしょ?」
「全部……うん、頑張ってみる! 絵はママと違って苦手だから……文章にして……できるかな?」

見た夢を全部だなんて一体どれほど時間がかかるのだろう。しかも文字でだなんて私にできるだろうか。だけどママからのお願いなんだから頑張らないと!

「ふふっ……頑張って、エスキモー」

気合いが入った様子の私を見て、ママが応援してるよと頭を撫でてくれる。その優しい手の温もりにまた笑みが零れるのだった。

+ パパとママと3人で
─────
それから1ヶ月、2ヶ月と経ち、いよいよ春が近づいてくる。私は入学前に体が鈍らないようパパとママ指導のトレーニングを日々繰り返していた。もちろんその最中にも夢を携帯のメモ帳アプリでまとめることは怠っていない。

「えーっとあの時は確か……エスキーとのメッセージはどこだった……あっ」

一旦メモ帳アプリを閉じ、彼女とのやりとりを確認しようとメッセージアプリを開く。ただそこには彼女の名前はなく、あったのは家族や親戚、友人の名前ばかりだった。

「またやっちゃった……」

夢を書き起こし始めてから一体何度繰り返したことだろう。エスキーだけじゃなく、「向こうの世界」でのママやクラスメイト、チームのみんな、カジっちゃん先輩とどんな話をしていたのか思い出そうとアプリを開き、名前がないことに気づき肩を落とす、そんな動作を幾度となく。

「ううん、落ち込んでる場合じゃないでしょ私! ちゃんと書き残すことが私とみんなとの約束なんだから!」

そう、夢の最後で約束したんだ。みんなとの日々を絶対忘れないということを、いつまでもいつまでも覚えているということを。

「よーし! 頑張るぞ私!」

そうして再びメモ帳のアプリを立ち上げ、あの世界での記憶を覚えている限り書き連ねていく。下手な文章だったとしても、少し感情的な言い回しだったとしても、あの時何を見て何を感じて何をしたのか、記憶の限り書いていった。記憶が薄れない間にただひたすらに。

─────
そうして書き終わったのは入学前の最後の土曜日。学園の寮へと入る前になんとか書き上げることができた。あっ、もちろん恥ずかしい部分は端折ってるからね? 流石にあの話をパパやママに開けっ広げに伝えるのはいくらなんでも憚れるから……

「──これでよしっと! ほんとだったら1回読み直したいところなんだけど……日記みたいなものだから気にしなくていいかな?」

そう呟き、2階の自分の部屋から飛び出し、1階へと駆け下りていく。急いで階段を下りてリビングへのドアを開けたその瞬間、12時の鐘が部屋中に鳴り響いた。

「あれ、この時計って……」

リビングの壁に掛かってある古めかしい木の時計。こんな時計あったっけと思うのと同時に、夢の『夢の中』で見た時計にそっくりなことに気がついた。

「この時計ずっと前からあったでしょ? ただ最近調子悪くてずっと修理に出してて、今日やっと戻ってきたんだけど」
「そういえば大おばあさまからもらったって聞いたような……」

確かこの家を建てる時にもらったとかだった気がする。小さい頃の話だから詳しくは覚えてないけど。

「……偶然なのかな」

ぽつりと小さく零したその声は幸いにもパパとママに聞かれることなくリビングの床に吸い込まれていった。

─────
「それで勢いよく階段下りてきたけど、何か急ぎの用事か?」

パソコンとにらめっこしていたはずのパパがぱっと顔を上げて何の用かと聞いてきた。私は前にパパにも話していた夢の話が完成したことを伝えると、ちょっぴり驚いた顔をしてソファの自分とママの間に座るよう促す。私は空いたスペースにちょこんと入り込み、携帯を見ながら2人に夢の話を思うがままに語り始めた。途中で誰かのお腹が鳴り、お昼ごはんを食べている間もずっと。パパとママもしっかりと私の話に耳を傾けてくれていて、時折笑ったり、時には悲しんだりと真剣に聞いてくれていた。そうやって全てを語り終えた頃には日も傾き、窓から夕焼けの光が差し込んでいた。

「……それでさ、パパってエスキーなの?」

しゃべり続けたせいか喉がからっからになり、ソファから立ち上がるとキッチンへ向かい、冷蔵庫からお茶を取り出す。それを棚にあったコップに注いでぐびぐびと一気に飲み干し、コップを水ですすいだところで再びソファに腰かける。

「……言ってもいい?」
「……うん。エスキモー、絶対に他のみんなには秘密だからね?」

パパとママが顔を見合わせ、問題ないことを確認すると、私に他言無用を申しつけた。私はこくりと頷くと、「この世界」でのエスキーのことをパパが教えてくれた。

「そう、エスキモーが夢で見たのと同じでここでもパパはウマ娘になっていたんだ。走ったレースはちょっと違うけど海外にも行った。だけど負けることは最後までなかったかな……映像残っていたっけな……」

目の前のパソコンをカタカタと叩き出すといくつかの映像ファイルを見せてくれた。そこで走っていたのは私が夢で一緒に走っていたエスキーの姿そのままだった。

「ほんとエスキーは凄かったよ。その代わりいろいろあったけどね。ね、パパ」
「あー、うん……本当にごめん」

ジト目でパパを見つめるママと、そんなママに間髪入れずに頭を下げるパパ。何があったのかは今は詳しくは聞かないことにするけど、いつか教えてもらおっと。

─────
全部のレースを見終わる頃にはすっかり日も落ち、外も暗くなっていた。ママは急いで晩ごはんの支度を始め、パパはお風呂の準備をして、お湯が一杯になる間に洗濯物をダッシュで取り入れていた。私はパパが取り入れた洗濯物を畳み、みんなの分を分けて整理すると、ママの料理を少しだけ手伝った。

「あれ、エスキモーって料理できた?」
「夢の中でだけど……ちょっとはできるようになってる、と思う」

自信はないけど夢を頼りにママのサポートを行う。たまたまなのか、それとも夢で身についた実力の成果か、自分でも驚くほど上手く作ることができた。

「……凄いね」
「私もこんなに上手くいくなんて思ってなかった」

味もばっちりで盛りつけも完璧、まさに言うことなしだった。やっぱりあの夢のおかげなんだろうか。ママに偉い偉いと頭を撫でられながらそんなことを考えていた。

─────
お風呂に入り、ママと私で作ったご飯を家族みんなで食べている最中、パパが明日の予定について話し始めた。入学前最後の日曜日、メジロのお屋敷の外庭で人を呼んでパーティーをするとかなんとか。

「そのパーティーって誰が来るの? パパの友達?」

パパはまだトレーナーを続けているから同僚の人たちだろうか。それにしてもわざわざお屋敷まで行ってするものなのかと不思議に思っていると、ママが横から教えてくれた。

「パパが率いてるチームのOGが久しぶりに集まるんだって」
「OG? というかパパってチーム率いてたんだ」

そんな話を前に聞いたような聞いていないような。たぶん聞いてはいたが、右から左に聞き流していたんだろう、パパは少し肩を落としながらそうだよと教えてくれた。

「それでなんて名前のチームなの?」
「チーム名か? それは……」

ひと呼吸置いてパパの口が紡いだその名前は──

「カオスだよ。チームカオス」

あの世界で私が入っていたチームの名だった。

─────
「ふあぁ……よく寝た……」

土曜日の朝、窓から零れる太陽の光に目が覚め、ベッドの上でうんと伸びをする。ゆっくりと立ち上がるとカーテンを開け日光を体中に浴び、体内時計をリセットさせる。

「なんだかめっちゃ長い夢を見ていた気がする……」

この春からやっと独立できるとあって、新しく入ってくる新人への引き継ぎの書類作成であったり、独立するにあたっての手続きなどに追われ忙しない日々を過ごしていた。そのせいなのか、それとも書類整理が無事に終わった気の緩みなのか、今日は随分と遅い起床となった。

「もう昼前か……えーっと、朝ごはんは作って……ないか」

見ていた夢のせいなのか、誰かが朝食を作ってくれていると錯覚していた。というよりその前にいつもだったら起こしてくれるのになといった勘違いもしてしまっていた。

「夢の話、だもんな……」

朝から晩までご飯を作ってくれ、しかも毎朝起こしてくれるあの子はいない。全ては夢のおはなし。

「……冷凍のご飯温めるか」

冷蔵庫の下の段から何個も冷凍していたご飯を1つ取り出し、電子レンジの中に放り込み、温めを開始する。温められている間に電動ポットでお湯を沸かし、インスタントの味噌汁を作る。

「料理勉強するかな……」

夢の中ですら完全に任しきりになっていたキッチン周り。もう一人暮らしを始めて長いんだから、いい加減簡単な料理でも覚えないとなと思い始めてどれほどの時間が過ぎただろう。とりあえず形から入るかと考えこのあと本屋に行く予定を頭の中で組んでいると、レンジとポットから同時に音が鳴った。

「いただきます、と」

コップにお茶を、ご飯にはふりかけをかけ、あっさりとした朝食を食べる。携帯でニュースやスケジュールを確認しながら、咀嚼の音が聞こえるほど1人で黙々と箸を進めていた。

「今日は本屋とスーパー寄って、明日は……あっぶな、忘れるところだった」

明日の昼からこれまでお世話になっていたチームのパーティーがあるのをスケジュールを確認するまで忘れてしまっていた。大事な予定を危うくすっぽかすところだった……

「お土産は……別にいいか。とりあえずジャージじゃなくてちゃんとした服装で行かないとな」

頭の中で衣装棚の服をとっかえひっかえし、一番まともそうな組み合わせをなんとかチョイスする。服を選んだあとは小物類。ただアクセサリーに疎い自分は大した物を持っていなく、あえて言うならトレーナー試験に受かった時に親から買ってもらった腕時計ぐらいだった。

「まあ……あれでいいか。デザインは好きだし」

円盤の中に世界地図がドットで描かれた、世界中どこでも使える時計。親から「トレーナーになるんだったら、夢は大きく世界制覇!」なんて勝手に決められちょっと引きながら受け取ったプレゼントだけど、今ではすっかり左腕に馴染んでいる。

「……夢の中でもらった物とたまたま同じ名前なんだよな」

そう、何かの偶然か、それとも己の深層意識が夢に影響したのか、細部は異なっているけど今自分が持っている物とほぼ同じ造形をしていたあの時計。しかも名前は同じ──

「ワールドトラベラー。世界旅行者……偶然か?」

箸を止め考え込むも答えは出ない。しばらく考えていると、携帯が突然鳴り響き現実に引き戻される。

「こんな時に電話? 相手は……チームトレーナー? はい、もしもし」
『休みの日にごめんな。そういえば明日のことで伝え忘れていたことあってさ』
「なんでしょう? 予定が変更になったとか?」
『変更というか、オレの娘も連れて行くの言ってなかったな。この春から学園に入学するんだけど、せっかくだし顔見せでもって思って』
「へぇ、チームトレーナーその奥さんとの間の娘さんだったらまさにサラブレッドですね。会えるの楽しみにしています」
『ああ。だけどスカウトはまだだからな? あっ、娘が話あるみたいだからもう切るぞ』
「分かってますって。では失礼します」

そう言って電話を切り携帯を机に置いて、少し冷たくなった味噌汁を啜る。冷たくてもホッとひと息つけるこの味、自分が日本人だということを改めて自覚する。

「そういえば娘さんの名前聞いてなかったな……まあいいか、明日聞けば。さて、早く食べて本屋とか行きますか」

急いでご飯を食べきり、味噌汁とお茶を飲み干すとちゃちゃっと食器を洗う。そのあと歯磨きや着替えを済ませて小走りで玄関を飛び出し駅へと向かう。

「……誰か美味しいご飯作ってくれないかなあ」

そんな夢のまた夢の話を1人呟きながら先を急ぐ。そういえば包丁も全然使ってないなと思い出しながら駅への道を駆けていった。

─────
その日の夜、寝る前に夕方パパから聞いた話を少し思い出す。パパがチームカオスを率いていた話、それにみんなの話。

「フラりんは実家の花屋さんを継いで、バラカ先輩はイラストレーター、だっけ? クイン先輩はトレーナーやってて、ミラちゃんは学園の養護教諭……」

そういえば夢の中の話だけど、将来何になりたいかってみんなで話し合ったことがあったのを思い出した。たぶんほとんどみんなその時なりたいと言っていた職業な就くことができたんじゃないかなって思う。そういえば政治家になりたいって言っていた子もいたような……?

「みんな、前に進んでるんだなあ……」

みんなが夢を掴む中、私は1人前に進むどころか後ろに下がってまた学園生活を最初からやり直すみたいになっている。もちろん夢の中の話だから実際には初めての学園生活なんだけど、ひと通り経験し終わった感じが凄くある。

「エスキーみたいに仲のいい子ができたらいいけど」

夢の世界では学級委員長なんかやっちゃったりして、みんなから慕われていた私だけど、その実わりと気にしいな部分があるから、一挙手一投足何かする度陰口を叩かれてないか気にしてしまう。もちろんそんなことは一切なかったんだけどさ。

「とりあえず入ってみなくちゃ分かんないか……」

ベッドにうつ伏せで倒れ込み、枕へ顔を埋める。ひとしきりうんうん唸ったあとに顔を横に向け枕元に置いていた携帯で時間を見ると、もう22時を回るところだった。

「やば! 明日パパとママと出かけるんだから夜ふかししてる暇ないじゃん!」

携帯のアラームをセットすると、急いで部屋の電気を消して布団に籠もって目を閉じる。さっきまではっきりしていた頭も部屋を暗くして目も閉じると、次第に眠りの海へと沈んでいくのであった。

+ 終章 貴方と夢見たその先へ
─────
ピピピッピピピッ

「もう7時……うーん……」

携帯のアラームを止め、部屋のカーテンを全開にするとうんと伸びをする。まだまだ眠いと思っていた頭も太陽の光を浴び、背筋をぐぐっと伸ばしてあげると徐々にはっきりと世界を認識し始める。朝の陽射しが差し込んでいる部屋をぐるりと見渡すと、机の上にパパとママからもらった腕時計と旅行で買ってもらったパンダのぬいぐるみが置いてあるのが目に入った。

「なんだか不思議なぐらいにリンクしてたんだよね、夢の中での最後の旅行と家族で行った旅行の内容」

旅行のあと携帯でたくさん撮った写真を見返していると、まるで夢の世界と繋がっているかのごとく同じ流れで、かつ同じ場所で撮っている写真を見つけた。初日の昼に空港に着いて市場に行って、旅の最後には大きい神社にお参りして……まるで夢が現実に引っ張られたような感覚を覚えた。

「……考えすぎるのもよくないかな。早く朝ごはん食べて出かける準備しよーっと」

頭をリセットするかのように、もう一度ぐるりと体を回転させてから部屋を飛び出す。階段を下りてリビングへのドアを開けるとそこには既にパパとママの姿があった。

「おはよ、パパ、ママ」
「「おはよう、エスキモー」」

いつものようにママの作った朝食から始まる1日。こっちの世界では初めて会う人ばかりだし、もしかすると少し特別な日になるかと胸を高鳴らせていた私。

──少しどころか人生で一番の特別な日になるなんてこの時はまだ知る由もなかった。

─────
「エスキモー、そろそろ行くぞー」
「はーい、もう行くー」

既に車のエンジンをかけたパパがまだ玄関にいる私を呼ぶ声が聞こえた。ママはとっくに車の助手席に乗っていたから、私は急いで靴を履いてショルダーバッグを肩から掛ける。最後に忘れ物がないかだけ軽くチェックしてから家の鍵をかけて庭の車へと小走りで向かう。そのままの勢いで後部座席に滑り込むと、パパも運転席へと乗り込み車を発進させた。

「なんだかお屋敷行くの久しぶりな気がする」
「そういえば最近行ってなかったね。前行ったのいつだっけ? 先月とか?」

ママの質問にハンドルを握っているパパが答える。

「確か正月に挨拶に行ったっきりじゃないかな。本当だったらエスキモーの合格を伝えに行かなきゃだったんだけど、なかなかオレと向こうの予定が合わなくて」
「パパ最近忙しそうだったもんね」

なんだか1人チームを手伝ってくれていたトレーナーがこの春独立するからその人の分の仕事の整理とか、次に入ってくれる新人さんの選定とかいろいろあって毎日遅くまで忙しそうだった。もちろんあの旅行は絶対行くんだって無理にでも予定を空けてくれたんだけど、その次の日からはまたバタバタと仕事に追われていたみたいで、ママが晩ごはんの度に寂しそうな顔をしていたのを覚えている。ただそのことをママの前でパパに言ったら、ママは真っ赤な顔して否定していたんだけど。

「そういえばその独立する奴も今日来るから。もちろんスカウトは早いからって伝えてあるから安心して」
「ふーん……」

初めて会う人が1人増えたところで特に思うところはない。パパとママが前で話しているのをBGMにしながら、チームのみんながどんな活躍をしていたのかをお屋敷に着くまで携帯でずっと調べていた。

─────
お昼前、時間通りにお屋敷へと到着して私たちは使用人の人に中へ入るよう促される。ママと腕を組んでひっつきながら歩いていると、少し広い客間に案内された。そこには既に何人か立ち話をしていて、机の上には美味しそうな料理やお菓子が並んでいた。

「到着っと。えーっとあそこにいるのは……」

ピンクの髪の人はおそらくフラりん、相変わらず背の高い中性的な面持ちをしているのはバラカ先輩、そして綺麗なお団子を2つ頭につけているのはカジっちゃん先輩。他にも成長はしているけど見知った顔がいくつもあった。

「みんな久しぶり! 元気にしてたか?」

パパがそう言って談笑している輪に入っていくと、みんなが輪を崩しパパの方へと歩み寄ってきた。ママはおばあさまに挨拶してくるからと部屋を出ていっていたから、私はパパの後ろをおずおずと歩いていった。

「お久しぶりです、元チームトレーナーさん。元気にされてました? あっ、これ私の店からのプレゼントです。よかったらどうぞ!」
「久しぶり、フラりん。ああ、最近忙しかったけどなんとか元気にしていたよ。花束もありがとう、家に帰ったら早速飾るよ」

色とりどりの花束を受け取り嬉しそうな顔をしているパパ。それからも元チームメンバーの人たちと話している中、そうそうと何かを思い出したかのように花束を崩れないよう一旦机の上に置くと、後ろに隠れていた私を自分の前へと引っ張り出してきた。パパは私の両肩をガッシリと掴み、みんなに私のことを紹介し始めた。私は花束の中にスズランの花が一輪あるのを視界の端に入れつつ、『元』チームメイトの顔をまっすぐ見つめる。

「今年の春から娘がトレセン学園に入学することになったんだ。ほらエスキモー、挨拶」
「子どもじゃないんだから言われなくてもできるって……ん゛っ! 春からトレセン学園に入学するメジロエスキモーです。今日はいろんな話が聞けたら嬉しいです、よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げると、万雷とは言えないけど大きな拍手に包まれる。とにかく噛まずに言えたことにホッとして頭を上げると、誰かがこっちを見つめていることに気がついた。

「どうしたカジツ? カップラーメンにお湯を入れたまま寝落ちして、目が覚めたら1時間経っていたことに気づいたみたいな顔して」
「具体的すぎません? いや……どこかで見たことあるようなないようなって思ってッスね……私の気のせいかもッスけど……」

それはカジっちゃん先輩だった。夢の中では同じ部屋で3年ほど過ごした、小動物感溢れる愛らしい先輩。今となってはその面影を残しつつも、すっかり大人のお姉さんに様変わりしていた。

「カジっちゃん先輩……?」

思わず漏らしてしまった声を隠すように慌てて手で口を塞ぐ。ただその小さな声は相手にしっかりと伝わっていて、頭の上にはてなマークが浮かんでいるのが見えるほど先輩は首を傾げていた。

「えっ、どうしてその呼び方を知ってるンスか? やっぱり私たちどこかで……?」

(カジっちゃん先輩はあの世界のことを覚えてる? でもそんなはずは……あれは私だけが見ていた夢のはず……)

2人が考え込む様子を見て少し静まり返っている部屋。誰かが口を開きかけたその刹那、客間の扉が開き、使用人さんに連れられて男の人が1人部屋に入ってくるのを認めた。

「もしかして皆さん揃っています? 遅れてごめんなさい、オレは……」

その男の人は──

「トレー……ナー……?」

夢でよく見た顔をしていた。

─────
彼の顔を見て文字通り呼吸が止まる。時さえ止まってしまったような、世界が固まってしまったような感覚すら覚えたまま私の瞳は彼の姿に釘づけになってしまっていた。ただそんな彼も私の方を見つめたまま歩くのをやめ、見間違いでも起こしたのかとしきりに目を擦っていた。ただ見間違いではないと、幻覚ではないと認識したような彼の口から出てきたのはまるで想像もしていなかった言葉だった。

「え、エスキモー…なのか…?」
「な、なんで私の名前を……?」

『この世界』では会ったことがないはずの2人がまるで会ったことがあるかのように言葉を交わす。その時私の頭によぎったのは、本来起こり得ないはずの1つの可能性だった。それは──

彼と私が同じ夢を見ていた。そんな夢物語。あったらいいなと思っていたけど、そんなのありえないよねと笑って切り捨てた可能性の欠片。

だけど、だけどこうして今顔を合わせた今、夢の続き、いやあの夢の先へと一歩踏み出したかもしれない、そんな予感が胸の中で膨らんだ。

「……外で話がしたい」
「うん、分かった」

彼の誘いを承諾し、2人部屋から外に出る。向かった先は敷地内のトレーニングコースだった。

──夢の先がここから始まる。また貴方とともに。

─────
コースまでの道中、互いに口を開こうとするも言い淀むか口を噤むかしてしまい、なかなか話が始まらない。コースがもうすぐ見えてくる時になって、私は意を決して彼に声をかけた。

「あ、あの!」
「ど、どうした急に?」

まるで飛び上がるかのように彼の肩がびくっと跳ねる。

「あのさ……夢の話、しない?」

コースへとたどり着き、外ラチの手前の芝生に2人横に並んで腰を下ろす。2人の間は夢の中よりは少し遠く、だけど初対面の相手にしては少し近い、そんな微妙な距離が空いていた。

「どこから話せばいい?」
「うーんっと……じゃあ初めて『あの世界』──夢って言った方がいいかな──に飛ばされたことに気づいたのっていつ?」

私の場合は旅行の帰りに寝ていたら、突然学園の門の前、しかも制服を着た状態で立っていたのに気づいたのが最初。彼はと聞くと、彼もほとんど同じ状況だったみたい。

「オレも旅行の帰り、和歌山からの帰りの電車の中でこっくりこっくり舟を漕いでいたら、なぜかトレーナールームで1人パソコンに向かって座っていてさ。もちろんこっちでもサブトレーナーとして既に働いていたから最初はあまり違和感がなかったんだけど、チームトレーナー──君のお父さん──は来ないし、部屋に来たたづなさんに『今日から1人で頑張ってくださいね!』なんて言われるしで訳が分からなかったよ。当然同期の姿はないし、サブで入っていたチームにも顔を出したんだけど見知った顔はなかったしで何が何やら状態だったな」

なるほど。入学前の私と違って既に学園で働いていたから最初はそんなに違和感を感じなかったのか。でもそこから現実と違うことが次々と起きておかしいことに気づいたという訳ね。

「でも私と初めて会った時は周りと馴染んでた気がするけど?」
「それは馴染んでいるように見えていただけだよ。向こうは自分を知っている体で話してくるけど、こっちは相手のこと全く知らないなんてザラだったしさ。たぶん会ったのが初日だったらボロボロだっただろうな」

エスキーに負けた模擬レースのあと初めて会ったこの人は若いながらも堂々とした雰囲気を醸し出していた。新人っぽく見えるけどそうじゃない、まさに新進気鋭のトレーナーという風に私には見えた。

「そっか……とりあえずさ、念のためあと何個か確認させてね」

そう言って私は「あの世界」で私とトレーナーしか知らないと思われることをいくつか問いかける。例えばクリスマスに互いに何をプレゼントしたかとか、彼の実家に行った時のこととか……「初めて」の話とか。彼はその全てを私から見て右上、すなわち彼からしたら左上の方に視線を寄せながら答えを言っていった。もちろんその全てが私が「あの世界」で覚えている内容と一致していて、同じ世界、同じ夢を見ていたんだとはっきりと分かった。

「じゃあ最後……これは質問じゃなくて単に聞きたいことなんだけど……白い部屋にいた夢って見た記憶ある?」

私の言葉に彼は「あぁ……」と言いながら青い空を見上げる。彼の答えを聞かなくても、私はそのぼやきと動作で理解してしまった。

「見たよ。でも最初は誰も部屋にはいなかった。ある時突然なぜか顔だけ分からない女の子の前に出てきてさ、時計を軽く修理した気がする。ただ時計が直るやいなや、その子は扉から部屋の外に走り出していってしまったけど」
「あの時の男の人って、貴方だったんだ……」

私たちの中の全てが結びつき、1つの結論を導き出す。すなわち……

「「私(オレ)たちは同じ夢を見ていた……?」」

今芝生に並んで座り込む2人は奇跡か、それとも何かの理かに導かれ同じ夢を、同じ世界線を過ごしていたという事実。まるで漫画みたいなおはなしに胸が、頭が、体全部が熱くなる。たぶん、ううん、きっと、違う、絶対これは……

「運命、だよ。貴方と出会えたのも、今貴方と話しているのも運命」

じゃないと説明がつかない。あの時神様に祈ったからなのか、それとももっと前に彼と繋がる何かが存在したのかは分からない。だけどこれは運命としか私には言えない。

「最後の2人の初詣の時に引いたおみくじのこと覚えてる?」

そう言いながらゆっくりと立ち上がり、うんと背伸びをする。そんな私に釣られて立ち上がろうとする彼の手を私は掴み、上へと引っ張り上げて立つのを手助けする。

「えーっと、確かオレが『待ち人来る喜びあり』で、君は……」
「『待ち人来る驚きあり』、だよ」

あの時のおみくじは「あの世界」の話を指し示していた訳ではなかった。こっちの世界、元の世界に戻ったときのことを言っていたんだ。

「だから、ね?」

今まで起きたことは全てこの日、この時、この言葉に繋がっていた。

「私のトレーナーになってくれない?」

もう一度世界を動かすその台詞。夢の先へと駆けていく最初の一歩。最後に交わした約束を守ってくれた彼に伝える始まりの言葉。

「ああ、喜んで!」

彼のその言葉に私は思わず勢いよく抱きつき、彼のことを押し倒してしまう。だけど2人とも笑いあって、だけどちょっぴり涙を流して。

──貴方と夢見たその先で、私は再び夢を見る。終わらない夢を2人で、ずっと、ずっと。

〜fin〜

エピローグ

+ 改めてのよろしく
─────
「えーっと……あの2人は何してるの?」
「さぁ……?」

パーティーから帰ってきて一息ついた私とママの目の前に広がっていたのは……

「おい」
「はい……」

パパが腕組みをしながらソファに座り、俯きながら床に正座しているトレーナーを真正面から睨む光景だった。

─────
時は1時間ほど前に遡る。まだ入学前ということもあって仮ではあるものの専属契約を結んだ私たちは、2人揃ってパーティー会場へと帰ってきた。周囲からすれば初対面のはずの2人が仲良さそうに戻ってきたところを見てパパはいささか不審がってはいた。ただ元チームメンバーとの交流の方に気が向いていて、その時はまさかもうトレーナー云々の話をしているとは思ってもみなかったみたい。ただ帰りの車の中で会場の外に出て何を話していたのかを聞かれて、隠すのもなんだしと思い私は正直にありのままを伝えた。するとパパは車を安全な場所に寄せ携帯をカバンから取り出すと、誰かに電話をかけ、「家の場所は分かるな? 話があるから来てくれ」と有無を言わさぬ口調で話し電話を切った。そこから先、それまでとはうってかわって家に帰るまで終始無言だったパパは、家に帰ると手洗いとうがいを済ませ、呼び出した人物をリビングのソファに座ってじっと待っていた。

しばらくして私とママが夕飯の準備を始めた頃、玄関のチャイムが鳴った。気持ち長めのピンポンの音はまるで来訪者の躊躇う気持ちを表しているかのようだった。

「はいはーい、私が出てくるね」

手を洗いキッチンの棚に設置してあるフックに引っ掛けている小さなタオルで水気を取ると、少し小走りで玄関の扉を開ける。するとそこには本日2回目のトレーナーの姿があった。ピンポンの音が示していたように少し緊張気味と思われるその顔は、私とお屋敷で話していた時の顔とはまるで別人のようだった。

「ト、トレーナー? もしかしてパパが呼び出したのって……」
「エスキモー、さっきぶりだね……とりあえず上がらせてもらってもいい?」
「う、うん。どうぞ?」

玄関の扉を開けたまま少し呆気にとられる私をよそに、おずおずと家の中に入っていくトレーナー。そのまま靴を脱いで綺麗に並べると、常に来客用で並べてあるスリッパに履き替えてリビングの中へと向かっていく。その光景を見て意識を取り戻した私は、早く夕飯のお手伝いに戻らないとと、慌てて扉を締めてキッチンへと小走りで帰っていった。

─────
そして時は今この時間へと回帰する。そろそろ夕方と夜との境目が曖昧になるこの時間、この調子だとトレーナーにも夕飯を食べてもらおうかとリビングの2人には聞こえないようにママと相談し、冷蔵庫のドアを開け何か作れないかと頭を捻る。右、左と視線を向けるとそこにあったのは卵と余った野菜たちだった。

「そういえば前簡単に作れる卵料理調べてたっけ……卵は4個あるし、トマトもある。刻みねぎとか鶏ガラスープの素も……ある。よし」

頭の中に料理とレシピを広げ、冷蔵庫から材料を取り出す。幸いにもフライパンは別の料理で使い終わったあとだったから、ササッと洗って水気を切り、IHコンロへと置く。

「ねえ、ママ。卵とかトマトとかいろいろ使っちゃっていい?」
「うん、いいよ……その2つを使うってことは……」

流石ママといったところだろうか、私が今から何を作ろうとしているのかをすぐに看破し私のサポートに回ってくれる。この家の台所を担当して十数年、自分からは絶対言わないだろうけど、やっぱりママは凄い人だ。人じゃなくてウマ娘だけど。

「とりあえずトマトをくし切りにして……ってパパたち静かだね」
「お互い黙ったまま……何かあったのかな」

キッチンからリビングが繋がっているから、リビングで何が起きているのかは手に取るように分かる。距離も遠くはないから、何か話していればよほどの小声じゃない限り聞こえるはずなんだけど、私の耳はママの声と料理を作っている音しか捉えていない。

(長くなりそうな予感……)

その言葉を口に出すことはなくいつものようにママと料理を作っていく。何も気にしてないよと、話を進めてくれていいからと向こうの2人に伝えるかのように、淡々と、普段通りに。

──そうして追加の料理を作り進めていく最中、IHコンロのスイッチを入れたところでリビングからパパの声が聞こえてきた。

─────
沈黙が続いた十数分、最初に口を開いたのはエスキモーの父であり、オレの“元”チームトレーナー──一応オレもこの3月まではチームに所属しているから、今はまだチームトレーナーと呼ぶのが正しいが──の方だった。

「……別にオレは怒るために呼んだんじゃないからな。ガチガチに緊張しているところ申し訳ないけど。正座も崩してくれて構わないよ。というか隣に座ってくれた方が話しやすいから」

チームトレーナーのその言葉に石のように固まっていた背筋と、感覚が少しずつ無くなりかけていた脚からどっと力が抜ける。「失礼します」と一声かけてから脚を崩して立ち上がり、数歩歩いてチームトレーナーの横に腰かける。

「えーっと……それでお話とはなんでしょう……?」

半分、いやほとんど答えが分かっていても聞かざるを得ないこの問い。パーティーの場ではなくわざわざ自宅まで呼んで聞く意味。それはたぶん、きっと……

「娘、エスキモーから夢の話を聞いたんだ。あの子が学園に入ってレースでライバル達と競って、そして勝利を掴む、そんな夢の話を」

やっぱりそのことかと聞こえないように小さくため息をつく。チームにいる間から娘さん──当時はエスキモーのことだとは気づかなかったんだが──の話はよく聞いていた。「母親似の綺麗な子で!」とか「頭の回転もいい、流石オレとママの娘だ」とか、そんな話をよくしていたことははっきりと覚えている。去年の後半から今年の頭にかけては、「娘がトレセン学園に入りたいって言ってて……」から始まり、「合格、本当によかった……」と続き、「今度合格祝いに家族旅行に行ってくるんだ」で締めた一連の流れはチーム所属のウマ娘からも「親バカですよ、チームトレーナー」とからかわれていたのが印象深い。もちろんいくら親バカだったとしてもトレーナーとしての能力や閃き、そしてオレたち新人への指導力は卓越したものがあった。そしてその閃きによって、あのパーティーの一件から彼女が語った「夢」の話を思い出し、「そういうこと」だと分かったんだろう。

チームトレーナーはオレの言葉を待たずに話を続ける。

「あの子はすごく楽しそうに語っていたよ。もちろん中には悔しい話、悲しい話もあった。なにせ最後は『夢』から目覚めてしまうんだから。だけどあくまでそれは楽しい話のスパイスだった。ライバル達とたくさん走って、勝って、負けて……友達とも笑って、泣いて……」

まるで彼女が語っているかのような感覚に陥る。目の前にいるのは彼女ではなくチームトレーナーだというのに、薄っすらと彼女と影が重なりまぶたを擦る。もちろんそれは幻影で、次の瞬間には一旦言葉を区切ったチームトレーナーが再び語り出す場面が網膜にはっきりと像を結んだ。

「──そして君がいた。そうだろう?」
「……はい」

ここではっきりと分かった。この人はパーティー前日に「まだ娘をスカウトするなよ」と忠告したことを破ったオレを怒るために呼んだのではなく、ただ確認をしたかっただけなんだと。「夢」の中で自らの愛する娘を導き、そして想いを寄せた相手を確かめたかっただけなんだと。

チームトレーナーはオレの頷きにふぅと長く息を吐き、ソファからゆっくりと立ち上がる。オレもそれに釣られて遅れて腰を上げる。最初は距離を離して相対し、次は並んでソファに腰かけ、そして今は対等に真正面から、かたや娘を愛する一人の父親として、かたやその娘を預かる一人のトレーナーとして向かいあう。

「……娘のこと、よろしく頼んだよ」
「……はい、立派なウマ娘に育ててみせます」

差し出された右手を同じく右手で強く握り返す。まだ仮だった契約はここで「仮」の文字が外れ、正式に彼女、メジロエスキモーと専属契約を結ぶことになった。

─────
パパとトレーナーが静かに語り合っている最中、言葉の節々を耳で拾いながら、追加の料理にお風呂掃除に洗濯物の取り入れにとママと2人で手分けしながら精を出す。トレーナーがどんな動きをするのか、ご飯だけ食べてそのまま帰るのか、果たしてお風呂も入って泊まるのかは分からなかったけれど、どんなパターンでも対応できるようにひとまずお風呂に湯船を張ることにした。ご飯は……たぶんあの人のことだから、夢じゃなくても自炊なんてまともに出来てないはず。本当に仕方ないから、入学したら夢の時と同じように料理作りに行ってあげよっかな。トレーナーの健康のためだからね、うん。

そうこうしていると話が終わったのか、パパとトレーナーがキッチンの方へと向かってきた。家に来た当初はガチガチに緊張していたトレーナーはすっかり元の爽やかな雰囲気を取り戻し、パパもなんだか怒る直前みたいな顔から元の優しい顔に戻っていた。

「話、終わった?」

着ていたエプロンを綺麗に折り畳みながら私が2人に声をかけると、2人とも食卓の椅子に並んで腰かけて口を開いた。

「エスキモー、改めてこれからよろしく」
「こいつなら大丈夫だ。オレが保証する」

本当にこれまでの重い空気はどこに行ったのやら……というより改めてって……

「パパ、本当にいいの?」
「ああ。ちょっと残念な気持ちはあるけど、エスキモーが選んだのなら文句はない」

もしかしたらパパと組んだ方がいいのかもしれない。ママを導いた指導力、もちろんそれは唯一じゃなくてその後も十分、いや十二分に発揮されている。しかも偶然とはいえウマ娘となった経験がそれに磨きをかけているのだから、まさに鬼に金棒、虎に翼だ。

だけど、それでも私はトレーナーを選ぶ、選んでしまう。だってそれは……

──夢の中でも心から愛した人、その人なんだから。

─────
そして案の定トレーナーはご飯を食べるとのことだった。もちろん仮にトレーナーが食べずに帰ったとしても、私たち家族だけで食べられる量には調整していたから問題は何もなかったんだけど。

「すいません、ご馳走になってしまって」
「トレーナー気にしないで……というかやっぱり自炊出来てないんでしょ。ご飯の話振った時の顔忘れてないからね?」

4人で食卓を囲みながら和気あいあいとお喋りする私たち。まだ契約を結んで時間が経ってないのにも関わらず早くも息がぴったりなトレーナーと私が並んだ姿を見て、パパとママが何かを思い出すかのように口を開いた。

「そういえば初めてママのお父さんとお母さんに挨拶しに行った時もこんな感じだったな。もちろん君の現役の時からある程度よくしてもらっていたから、険悪なムードにはならなかったけど」
「お父さんもお母さんもすぐにアタシと貴方の交際……というか結婚まで話進めてなかった?」
「トントン拍子に話が転がっていってな……交際の挨拶というよりもはや結婚の報告になってたよな」

なんだか面白そうな話が机の向こう側から聞こえてきて、またトレーナーの家に料理を作りに行く約束を取りつけた所で話に加わる。

「パパ、ママ、なに面白そうな話してるの? 私にも聞かせてよ!」
「おっ、エスキモーも聞くか? パパとママとの結婚の裏話」
「ちょっ!? この子に聞かせるの!? 流石にそれは……」

一旦落ち着いたと思った食卓が再び盛り上がりを見せようとしている。パパは冷蔵庫から日本酒を持ってきてトレーナーに勧め、ママもママでこうなったら仕方ないと諦めムードを漂わせ、空になっていた自分と私のコップにお茶を注いだ。

「ママ、お酒飲まないんだね。何かあったの?」

そういえば最近ママがお酒を飲むことが減った。というより年が明けたぐらいから見た覚えがない。パパの晩酌に付き合って一杯交わすことも少なくなかったからいささか違和感を覚えた。

「あー、うん……」

何やらママの歯切れが悪い。痛いところを見事に突かれたようなそんな物言いに抱いた違和感はさらに膨らむ。

「もう言ってもいい?」

躊躇いがちにパパの方に目をやるママ。おそらく全てを知っているのだろう、パパは小さく頷いた。ママもそれに頷き返し、再び私の方に顔を向けた。

「ねぇ、エスキモー、驚かないでね」
「えっ、う、うん……」

「あなた、しばらくしたらお姉ちゃんになるの」

え、え、え……?

「えええええぇぇぇぇぇっっっっっ!?!?!?」

家中に響き渡る叫び声。それと同時に鳴る20時を示す時計の音。隣のトレーナーもビクッと震え、お箸で掴んでいたトマトを危うく落としそうになっていた。

──これって私の物語だよね?

─────
そのあとはもうむちゃくちゃ。文章で表現するにはちょっと余白が狭すぎるからばっさりカットするけど……とりあえず「この世界」では卒業まではトレーナーと健全な関係でいようと心に誓った私だった。寝る前にトレーナーにこっそり聞いたら同じことを言っていたから、たぶん大丈夫だと思う、たぶん。

(というか民法?っていうのが改正されて、本当にトレーナー捕まっちゃうんじゃなかったっけ……)

トレーナーが警察に連れて行かれないようにまた明日調べておこう、そう心に誓って自分の部屋に戻って眠りにつく私だった。

さてさて、もういくつ寝るとトレセン学園の入学式かな。果たして「今度の」学園生活は一体どんな出会いが待っているのだろうか。今からもうワクワクが止まらない。

(目いっぱい走りたいな、あのターフの上を思いっきり。今度はレースができるかな……)

真っ暗な部屋の中で未来を想う。まだ見ぬ友達を、そしてライバルを待ちわびながら。

──夢の先で私は駆ける。忘れられない夢をこの世界に刻みつけるために、「貴方」と2人で、ずっと、ずっと。

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