血の海のような場所に浮かぶヴェンデッタが口ずさんでいる歌。
ヴェンデッタがずっと心に沈めてきた
死想恋歌の秘密。
なぜ
ゼファーにのみヴェンデッタが反応したか、その答えを示す歌にして、
『シルヴァリオ ヴェンデッタ』最大のネタバレ。
ハンプティ・ダンプティ、塀の上。
ハンプティ・ダンプティ、落っこちた。
王様の馬と、王様の家来。
みんな揃っても戻せないもの、なぁんだ?
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答えは――― |
答えは―― 卵。
マイナ・コールレインの子宮に芽生えた禁忌の証、近親相姦の末に生まれた、命にもなれなかった種子。
つまりゼファーとマイナの受精卵。
ヴェンデッタとなる直前に妊娠していたため、マイナの意識が残留することができた。
運命の車輪を劇的に狂わせた理由、それは死想恋歌の中にヴェンデッタ、マイナ、受精卵の三つの存在が宿っていたため。
男である 英雄と 神星には気づけず思い当たることができなかった、女だけの機能が有する 過失による奇跡である。
そして――死想恋歌は生まれる。
『私の瞼はあなたのものよ。彼らの願いを成就させるか、それとも否か。
決定権はマイナ・コールレインにある。
答えは……なんて、聞くまでもないでしょうけど………』
ええ、それは勿論――こんな祈りには付き合えない。
聖戦? 運命? そんなものに自分をわざわざ巻き込まないで。
強者だけに限定された未曾有の戦争、私はそれを拒絶する。
だからゴメンね、月天女。貴女はこのまま眠りにつくわ。
何より、死者は去っていくものでしょう?
納得できない最期でも、あれがマイナの人生ならその侘しさに報いたいの。
あの子に合わせる顔もないし……それなら、いっそ―――
『いいわ、私がそれを願うなら。冥府の底で微睡みましょう。
月天女ではなく死想恋歌のように、愛する人を想いながら眠ればいい――――』
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最終更新:2025年10月14日 16:06