学校の裏手にある山奥。
その山頂付近で、 陸上部一年、武藤由梨香と
かつて道場破り百戦無敗を誇った
空手家 権藤が対峙していた。
かつて道場破り百戦無敗を誇った
空手家 権藤が対峙していた。
殺意に満ちた目で由梨香をにらみつける権藤。
一週間前、格闘技未経験の由梨香に貰った
パンチの痛みは未だ引かない。
一週間前、格闘技未経験の由梨香に貰った
パンチの痛みは未だ引かない。
権藤は由梨香の持つ天性の才能と、
厳しい鍛錬を経て身につけた鋼の肉体の前に
ダメージすら与えることができなかった。
厳しい鍛錬を経て身につけた鋼の肉体の前に
ダメージすら与えることができなかった。
完膚なきまでにプライドを打ち砕かれ、復讐に燃える
権藤は由梨香の行動を調べ、反撃の機会を伺っていた。
やがて、由梨香が毎日自主トレーニングを行っているという
山奥に行き着く。人気の無いこの場所は
復讐にはうってつけだ。
権藤は由梨香の行動を調べ、反撃の機会を伺っていた。
やがて、由梨香が毎日自主トレーニングを行っているという
山奥に行き着く。人気の無いこの場所は
復讐にはうってつけだ。
しかし、やっとの事で探し当てた由梨香の姿に
権藤は戸惑いを隠せないでいた。
権藤は戸惑いを隠せないでいた。
一週間前、生まれて始めての格闘技を経験し
その魅力にのめり込んだ由梨香は
独学で拳の修行を始め
毎日部活終了後に、この場所で自主トレを行っていた。
その魅力にのめり込んだ由梨香は
独学で拳の修行を始め
毎日部活終了後に、この場所で自主トレを行っていた。
その過酷なトレーニングの結果・・・
露出度の高いユニフォームから
はみ出す肉体は傷だらけ。
身につけたオープンフィンガーグローブは
汗の臭いが染み込みボロボロ。
タンクトップの右肩部分は千切れ
形の良い右胸が露になっていた。
露出度の高いユニフォームから
はみ出す肉体は傷だらけ。
身につけたオープンフィンガーグローブは
汗の臭いが染み込みボロボロ。
タンクトップの右肩部分は千切れ
形の良い右胸が露になっていた。
しかし、その壮絶な姿は逆に
由梨香の澄んだ瞳と
鍛え上げられた肉体の美しさを
より一層引き立てている。
由梨香の澄んだ瞳と
鍛え上げられた肉体の美しさを
より一層引き立てている。
背筋を伸ばして礼をする佇まいは
精悍な武道家の風格をたたえていた。
精悍な武道家の風格をたたえていた。
「お久しぶりです。」
凛とした声で礼をする由梨香。
凛とした声で礼をする由梨香。
「うぅ・・・く、くそっ!」
権藤はおもむろに注射器を取り出し
自らの腕に突き刺す。
権藤はおもむろに注射器を取り出し
自らの腕に突き刺す。
それは非合法な手段で取得した薬物。
戦う前から既に圧倒的な格の差を
痛感させられていた権藤は
筋肉を何倍にも強化する、ドーピングの力で
対抗しようとしていた。
戦う前から既に圧倒的な格の差を
痛感させられていた権藤は
筋肉を何倍にも強化する、ドーピングの力で
対抗しようとしていた。
ビリッ!ビリリっ!
瞬く間に異形の怪物へと姿をかえてゆく権藤。
筋肉が膨れ上がり、道着が引き裂かれる。
「ぐへへっ!」
瞬く間に異形の怪物へと姿をかえてゆく権藤。
筋肉が膨れ上がり、道着が引き裂かれる。
「ぐへへっ!」
由梨香は構わず瞬時に間合いを詰め
突きを放つ!
突きを放つ!
ドゴっっ!!!!ズブズブっ!
怪物の体内に深くめりこんだ拳。
由梨香の腕が完全に埋まる程にまで
分厚くなった 肉の塊が
その一撃を何とか受け止める。
由梨香の腕が完全に埋まる程にまで
分厚くなった 肉の塊が
その一撃を何とか受け止める。
「ふはは・・・・効かんっ!効かんぞおっ!」
権藤はその破壊力に内心恐怖を覚えながらも
歓喜の声をあげる。
しかし、由梨香は確かな手ごたえを感じていた。
「この程度のボディなら・・・貫ける!」
そのまま、突き刺さったままの拳をひねる。
権藤はその破壊力に内心恐怖を覚えながらも
歓喜の声をあげる。
しかし、由梨香は確かな手ごたえを感じていた。
「この程度のボディなら・・・貫ける!」
そのまま、突き刺さったままの拳をひねる。
71 名前:名無しさん[] 投稿日:2012/03/29(木) 00:51:21
グビリっ!!!!
「!!!!!!!!!!」
グビリっ!!!!
「!!!!!!!!!!」
ドリルのように権藤の肉体に食い込む拳。
「ぎゃあああああっ!!!!!」
「ぎゃあああああっ!!!!!」
惨めな叫び声が、あたり一面に響く。
グビリっ!!!!
グビリっ!!!!
グビリっ!!!!
由梨香は左右交互に回転し、権藤の肉体を抉る。
「ひぎいいいいっっ!!!!!」
「ひぎいいいいっっ!!!!!」
「お、おのれえええっ!」
奥の奥まで拳を捻じ込まれ、激痛に悶える
権藤はさらに大量の注射を取り出し
一気に突き刺す。
奥の奥まで拳を捻じ込まれ、激痛に悶える
権藤はさらに大量の注射を取り出し
一気に突き刺す。
肉体がさらに膨れ上がり、硬化する。
ビキっ!ビキッ!
筋肉の密度が跳ね上がり、
由梨香の拳が押し戻される。
筋肉の密度が跳ね上がり、
由梨香の拳が押し戻される。
「ふははっ!」
次第に人間離れした化け物に
変貌してゆく権藤。
しかしこの戦況にも関わらず、
由梨香は戦いを楽しんでいた。
相手が強ければ強いほど
より自らを高めてくれる相手であるほど
燃え上がる性分なのだ。
次第に人間離れした化け物に
変貌してゆく権藤。
しかしこの戦況にも関わらず、
由梨香は戦いを楽しんでいた。
相手が強ければ強いほど
より自らを高めてくれる相手であるほど
燃え上がる性分なのだ。
「もっともっと、強い力が必要ね。
まだまだ私も修行不足だわ。」
まだまだ私も修行不足だわ。」
自らの慢心を恥じながらも
由梨香は己に高いハードルを課す
権藤に心から感謝する。しかし
当然の如く、この勝負をあきらめる気はない。
由梨香は己に高いハードルを課す
権藤に心から感謝する。しかし
当然の如く、この勝負をあきらめる気はない。
「今、このボディを撃ち抜くには・・・」
由梨香は背後の木の枝につかまり
瞬時に木を伝って駆け上がる。
由梨香は背後の木の枝につかまり
瞬時に木を伝って駆け上がる。
「ばかめっ」由梨香が逃げたと
思い込んだ権藤は優越感に満たされる。
思い込んだ権藤は優越感に満たされる。
「逃げられると思うなよ! 」
常軌を逸した脚力で飛び上がり、
瞬時に由梨香のいる場所に近づく。
常軌を逸した脚力で飛び上がり、
瞬時に由梨香のいる場所に近づく。
「俺の勝ちだあああああっ!」
勝利を確信した権藤。
しかし、その油断しきった顔面に
由梨香の右ストレートが炸裂する。
勝利を確信した権藤。
しかし、その油断しきった顔面に
由梨香の右ストレートが炸裂する。
「ひぎいっ!」予想だにしない反撃に
権藤はしがみついた木の上で顔を抑え
もがき苦しむ。
権藤はしがみついた木の上で顔を抑え
もがき苦しむ。
「こっちよっ!」
すでに由梨香は地に降り立ち
権藤を挑発する。
すでに由梨香は地に降り立ち
権藤を挑発する。
「な、な、舐めやがってえええっ」
権藤は垂直に落下しながら襲い掛かる。
しかし、それは由梨香の狙いどおりであった。
権藤は垂直に落下しながら襲い掛かる。
しかし、それは由梨香の狙いどおりであった。
「パワーが足りないなら、借りるまでっ!」
由梨香は権藤の真下で、拳を天高く突き上げる。
「し・・・しまったっ!!!」
由梨香は権藤の真下で、拳を天高く突き上げる。
「し・・・しまったっ!!!」
筋肉の硬化により、常時の3倍以上に膨れ上がった体重。
それがもたらす加速によって、容赦なく突き刺さる拳!
それがもたらす加速によって、容赦なく突き刺さる拳!
バリバリバリっっ!!!
超圧縮された自らの筋肉の鎧が
腹部に侵食し、体内を破壊する。
権藤自身の体重の力を借りた
由梨香の拳が、あらゆる衝撃を
弾くはずの肉体を貫く。
超圧縮された自らの筋肉の鎧が
腹部に侵食し、体内を破壊する。
権藤自身の体重の力を借りた
由梨香の拳が、あらゆる衝撃を
弾くはずの肉体を貫く。
「ぐ、ぎゃあああああああああああ!!!!!!!」
自らを貫く激痛。体液の雨を降らせながら絶叫する。
「体が・・・体がああああああああああっ!!!」
自らを貫く激痛。体液の雨を降らせながら絶叫する。
「体が・・・体がああああああああああっ!!!」
由梨香は地面に突っ伏してなお、血まみれの嘔吐物を
吐き出す権藤に深く礼をする。
吐き出す権藤に深く礼をする。
「ありがとうございました。」
その醜態を見下ろしながら
由梨香は自らの拳を見つめる。
その醜態を見下ろしながら
由梨香は自らの拳を見つめる。
「もっともっと、強くならなくちゃね。」
自らにいい聞かせるように
さらに厳しい修行に励む事をその拳に誓った。
自らにいい聞かせるように
さらに厳しい修行に励む事をその拳に誓った。