ワールドメイトの事典
沈黙する教団 コスモメイト
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徹底追及!心をカネで買う時代【第2弾】
激震スクープ!!コスモメイト深見青山教祖がビデオで〝告白〟した愛人斡旋と隠し資産のカラクリ
雑誌
サンデー毎日93年4月25日号
サンデー毎日93年4月25日号
「許せない!」――信者たちの慟哭(どうこく)が響き渡る。
沈黙する教団「コスモメイト」。
が、本誌は深見青山教祖(42)自身が行状を〝告白〟したビデオを入手。そこには驚くべき事実があった。
宗教団体「コスモメイト」の深見青山教祖によるセクハラ、暴力、霊視商法などを暴いた本誌先週号は、発売直後から編集部に全国各地から怒りや不信の電話が殺到するなど反響を呼んだ。
「二年前に入会したが、カネだけ取られて何の効果もなく、返金請求も梨のつぶてだ。どんどん書いてくれ」(関西の二十代男性信者)
「教団に不信を抱き、『これ以上、おカネを取られないようにしようね』と会員同士で言ってた矢先で、思わず納得しました。本部に電話しても『事実無根です』と一方的に切られるし、真実が知りたいのでフロッピーを全文掲載して」(都内の四十代女性信者)
などそれらは皆、深刻だ。
それに引き換え、コスモメイト側からは四月十日現在、抗議、説明は一切ない。
なぜか?と思ったら、
「(一連の問題は)辞めたM幹部らが流したデッチ上げだが、慈悲深い深見先生は今でも(告発した)女性や元秘書らをかばい続けている」
ためらしく、その趣旨の文書を側近名で二万枚作成、教祖自身の肉声の入ったカセットテープまでつけて全国の信者に配っているのだ。
『慈悲深い教祖の言葉は実名非難』
しかし、その〝弁解〟文書がウソだらけであることを、コスモメイト側は図らずも自らの手で証明してしまった。
「平成五年二月十二日・全国たまがき会」とのタイトルがついたビデオがその証拠である。
全国たまがき会とは各地の支部代表者の月例会議で、問題のビデオは二月十一日深夜から翌朝にかけて東京都杉並区のコスモメイト会館で開かれた同会の模様を教団側が収録、編集したもの。
その中で、慈悲深いはずの教祖は何と、解雇した元幹部らの実名をあげ、ボロクソにこきおろしていたのだ。
ビデオ内の教祖発言を拾い出してみると、まず。
<元幹部のM(実名)は「セクハラは自分がやったと言われているが実は、深見先生」というようなことを言い回り、その噂(うわさ)が広まって……>
<父から「Mは寝首をかくヤツだから、気をつけろ」と言われたが、(略)私はMの醜聞を黙って握りつぶしていた>
と元最高幹部をヤリ玉に。
次に問題のフロッピーも、
<そういう噂を、秘書室の三人(実名)が“怪文書”で流していた(略)私は「文章がうまくなったと褒めてやろう」と思ったのに……>
<そういう噂を、秘書室の三人(実名)が“怪文書”で流していた(略)私は「文章がうまくなったと褒めてやろう」と思ったのに……>
と皮肉たっぷりに語り、その後、退会した信者を実名入りで非難している。
何とも、宗教者らしい寛大で、慈悲に満ちた“お言葉”ばかりだが、その究極の例が、若いスタッフA氏(27)の死についての発言だ。
A氏は昨年十二月に、関西のゴルフ場で教祖とプレー中に急死したのだが、
「あの日、A君の体調は最悪で、もともと体が弱い上に、神業やイベントが続き三日間、ほとんど睡眠をとっていなかった。その彼を教祖は半強制的に連れ回したのに、通夜、告別式にも参列していないんだ」(同行した元秘書)
との事情があったようである。
しかも、
「教祖はその後、スタッフ全員に『A君の寿命は三十年だったが、僕の代わりに三年早く死んでしまった』『彼の霊が出てきて、ゴルフが好きだったから本望だったと言っていた』と言うんです。ひどすぎるわ」(元スタッフ)
というから、遺族らが怒るのも無理はあるまい。
両親はあまりの悲しみのためか、「何も申し上げたくない」というばかりだが、教団を相手に訴訟準備を進めていることで、その心中は察せられるだろう。
それを教祖はビデオで、
〈A君のお父さんの態度が変わったのは、“怪文書”のせい。亡くなった日の夜、お風呂に入り、きれいになって遺族に会おうと思い、スーツまで用意したが、A君の断末魔とご両親の霊かもしれない、急に悪寒が走ってガタガタと震えて会えなかった。
そのことを“怪文書”は、「深見青山は名誉を守るために会わなかった」と書いて、お父さんに流したんだ〉
というのだから、なんと慈悲深い教祖さまだろうか。
『私が愛人を紹介したのに断った』
が、教祖発言はその程度ではとどまらなかった。
〈神様が「(Mには)結婚よりも愛人のほうがいい」と言うので、私がスタッフから見つけてあげたんです。神様と私が許すからと。そこまで思ってあげているわけです、僕はね。それなのにMは断った〉
なんと、深見教祖は全国の支部代表者たちを前に、堂々と“愛人斡旋(あっせん)”を披露したのだ。
自ら“生涯不犯”を宣言している教祖が、である。
参加者があ然としたのは当然で、京都南の支部代表者から早速、質問が飛んだ。
参加者があ然としたのは当然で、京都南の支部代表者から早速、質問が飛んだ。
〈代表者が「ある内部事情に詳しい救霊師から『深見先生が女に狂っているから、諌(いさ)めるために支部をつぶしてくれ』と言われました。その例として愛人を紹介されたということや、深見先生が自分の手をつけた女を押しつけようとしていると言われた」と質問。
これに対し、話を終えて休んでいた深見教祖が、何を思ったのかマイクを取り上げ、
「私が紹介した愛人の名前を言います。B子さんです。男性経験が豊富だし……」
と言い出し、実名を挙げたばかりか、その女性を中傷する言葉を連発していたのだ〉
と言い出し、実名を挙げたばかりか、その女性を中傷する言葉を連発していたのだ〉
このビデオは全支部に配られ、信者たちは招集までされ、見せられた。
各地で騒然となったのは言うまでもない。
各地で騒然となったのは言うまでもない。
「最初から最後まで個人攻撃の連続で、あまりに露骨でひどい。この教団はもう普通じゃないと思った」(都内の四十代女性信者)
「ビデオに撮られた月例会議は深夜、狭い部屋で、七時間も話を聞かされたので、ボーッとなり、言いくるめられてしまった。
でも、幹部が辞めた別の女性スタッフを『結婚詐欺の常習者だ』と触れ回っていたんで、『もう騙(だま)されないゾ』と思った。外部には沈黙、内部には徹底した情報操作、は毎度のやり方です」(西日本のたまがき会員)
こうした批判が相次ぐ中で飛び出したのが、合同結婚式の話だ。
どこかで聞いたような名だか、昨年十二月「ジョイント・ウエディング」と名づけ、初めて催した式は、
どこかで聞いたような名だか、昨年十二月「ジョイント・ウエディング」と名づけ、初めて催した式は、
「教祖が十数組を推薦したのに、まとまったのは六組で、参列希望者もわずかだったため、教祖から直前『ご神業を何だと思っている。不参加の者にはタタリを進呈するからな』という伝言文がスタッフに送りつけられたほど」(元スタッフ)
「セクハラ被害の女性も含まれており、『可哀そうに……まるで昔の殿さまが手をつけた奥女中を家来にお下げ渡しをするみたいだ』という声もありました」(元会員)
というからメチャクチャではないか。
『馬や羊しかいない豪州の神社』
この月例会議では、ほかにも問題部分が数多く出ている。各支部に配ったダイジェスト版では、さすがにカットされていたが、本誌がキャッチした未公開部分には、
<札幌支部の代表者が「(札幌の)西野にコスモメイトの、言ってもいいんでしょうか……、一軒家があるんです。いつも疑問に思っていたんですが、何ですか」と質問。
司会者はあわてて別の会員に順番をふって時間を稼ぎ、最終的には「その家はMの隠れ家である」という話にしている>
が、登記簿謄本を見ると、その家は木造二階建て一〇七平方メートルで、四年前に(株)コスモメイトが購入していた。
「看板も何もないし、一部の幹部が使うだけで、一般信者はほとんど知らない。教団はそんな“隠し資産”をいくつも持っていますから、あの素朴な質問は教団上層部を予想以上に震え上がらせたんですよ」(北海道の信者)
実際、北アルプスの山々を一望できる温泉地、長野県穂高町の旅館(木造二階建て)も(株)コスモメイト所有。
元経営者の話
「五年前に開業し結構はやってたんですが、年をとり、体もしんどくなってきたんで、地元の不動産屋さんを通じ、買い手を探していたところ、昨年末、コスモメイトが買ってくれたんです。何をしている会社か知らないが、会社の保養所にしたいと言ってたね」
「五年前に開業し結構はやってたんですが、年をとり、体もしんどくなってきたんで、地元の不動産屋さんを通じ、買い手を探していたところ、昨年末、コスモメイトが買ってくれたんです。何をしている会社か知らないが、会社の保養所にしたいと言ってたね」
ここにもコスモメイト色は一切なく、今も玄関には旅館の看板やタヌキの置物が残ったまま。
内部資料によると購入代金は約一億三千万円だが、
「教祖は温泉がえらく気に入ったようで、『幹部会をここでやろう。ゴルフに来ても泊まれるしな』と言っていた」(元秘書)
程度の利用目的らしい。
程度の利用目的らしい。
一方、同県管平高原の高級別荘地にも、コスモメイトの不動産があった。洒落(しゃれ)たログハウスである。
地元の不動産会社の話
「もともと別の会社が保養施設を造ろうと四区画持っていたんですが、事情があって手放そうとしたら、昨年十二月にコスモメイトがまず二区画買ったんです。夏にはさらに二区画買う予定だそうです」
「もともと別の会社が保養施設を造ろうと四区画持っていたんですが、事情があって手放そうとしたら、昨年十二月にコスモメイトがまず二区画買ったんです。夏にはさらに二区画買う予定だそうです」
関係者によると、二区画分の値段は三千万円以上で、ログハウス本体は一棟約三百万円という。
さらに、
「コスモメイトグループ(G)は海外に現地法人をいくつも持っていて、その会社名義で豪華な家やマンションを買い漁(あさ)っているんです。しかし、使うのは深見教祖らごく一部で、お付きの人たち以外は、その存在すら知らないんです。」
とは元お付きの一人。
とは元お付きの一人。
内部資料によるとコスモメイトGが最も早くから盛んに投資しているのはオーストラリア西部の都市・パースで、永遠の財宝を生み出す豊玉姫大神とエホバ、ゼウスなどヨーロッパの神々を祭るという「パース皇大神社」を持っている。
ところが、
「現地に行くと、広大な牧場の片隅に、少し玉砂利が敷かれ、鳥居が一本立っているだけで、太陽を拝むと言うが、拍子抜けした。何せ馬や羊しかいないんだ」(団体参拝に参加した大阪の信者)
この十万坪あるという牧場はもちろんコスモメイトGの所有である。ほかにも現地法人「コスモメイト・オーストラリア」は傘下にマリーナや高級家具の会社も擁しており、社長は半田晴久(深見教祖の本名)氏なのだ。
現地の日本商社マンの話
「彼はここではミスター半田で通っており、実業家として有名なんですよ」
「パースの高級住宅地にはプール付きの豪邸があり、教祖とそのお付きしか見ることはありません」(元秘書)
とも。
「彼はここではミスター半田で通っており、実業家として有名なんですよ」
「パースの高級住宅地にはプール付きの豪邸があり、教祖とそのお付きしか見ることはありません」(元秘書)
とも。
ほかに英、米両国に現地法人があり、ロンドン郊外やホノルルに豪邸を所有。ノルウェーやベルギーにも結構なアパートがある。これらの購入資金は一体、どういう形で捻出されているのか。
『「焼肉食べても神業」に怒り爆発』
「カラクリは皇大神社だよ」
と元幹部。
と元幹部。
皇大神社はコスモメイトが今、宗教法人申請を準備中で、会費や救霊代金が玉串料として同神社に集められ、非課税の扱いになっており、(株)コスモメイト自体は同神社の宗教行事を引き受ける“イベント会社”にすぎないことは先週号で述べた。
「その皇大神社のカネは宗教行事代行費としてコスモメイトに支払われ、戻ってくる。また、それ以外に将来の行事準備金という『前受け金』の形でも大量に流れてくるんだ」
と明かすのは経理に詳しい元スタッフ。
と明かすのは経理に詳しい元スタッフ。
本誌が入手した(株)コスモメイトの収支決算報告書などの財務資料によると、一昨年三月末時点で「前受け金」残高は約十五億円で、
「それを、不動産購入で赤字を出している現地法人への貸付金や増資などの形で送金している。事実上、コスモメイトが『前受け金』で不動産を買っているのと同じさ」
と元経理スタッフは語る。
と元経理スタッフは語る。
都内の公認会計士の話
「一応、会計上の辻褄(つじつま)は合っているが、この形はバブルに陥った企業の典型。それに、税務署が『実は神社と会社は一体である』とみなしたら課税の問題が発生する。もし『一人の人間の思うがまま』というのなら、なおさらでしょうね」
「一応、会計上の辻褄(つじつま)は合っているが、この形はバブルに陥った企業の典型。それに、税務署が『実は神社と会社は一体である』とみなしたら課税の問題が発生する。もし『一人の人間の思うがまま』というのなら、なおさらでしょうね」
ところが、実際、
「皇大神社は非課税の収入で紳士服や外国製婦人靴などを購入し、百円単位の日用品まで“神業経費”で落としているんだ」(元経理スタッフ)
「皇大神社は非課税の収入で紳士服や外国製婦人靴などを購入し、百円単位の日用品まで“神業経費”で落としているんだ」(元経理スタッフ)
これらは一体、誰が何のために使っているのだろうか。
ある現役信者がこう話す。
ある現役信者がこう話す。
「教祖さまはとてもお心の広い方で、地方へ行かれると、土産として七万円のチクワを買われたり、スタッフのためにクリスマスのケーキを百個以上、ソバを八十杯注文されたこともあるんですよ」
本部近くのケーキ屋の話
「今までに二回あるが、さすが宗教団体は儲(もう)かっているんだろうね。領収書もコスモメイトあてだったよ」
「今までに二回あるが、さすが宗教団体は儲(もう)かっているんだろうね。領収書もコスモメイトあてだったよ」
会社の経費で支払って、心が広いもないだろう。
「教祖はスキーに行くのも、焼肉食べても神業なんです。一台一千万円もするキャンピングカーや馬も持ってる。それが会員さんの玉串料と知った時、私は、こんな人を信じてバカだったと情けなくなりました」(元スタッフ)
公私混同とは、まさにこのことを指すのであろう。
コスモメイト側の、
「女性の件で『Mがやった』と説明したことはないし、A君の遺族には面会を拒絶された。確かに資産はあるが、膨大ではなく、一般会員も知っている」(広報担当)
「女性の件で『Mがやった』と説明したことはないし、A君の遺族には面会を拒絶された。確かに資産はあるが、膨大ではなく、一般会員も知っている」(広報担当)
との回答はビデオの前では空しい。実際、各地で、玉串返還運動や支部単位での離脱が出始めているという。
「返金請求したら、紙っぺら一枚で拒否回答してきた。許せない。仲間と正式に訴訟を起こすつもりだし、詐欺で告訴してもいいくらいだ」(九州の二十代男性信者)
といった具合だ。
といった具合だ。
が、こうした悲劇はコスモメイトに限ったことではない。
「私は訳あっていろいろな新興宗教に入り、渡り歩いてきました。でも、どこも皆、同じでインチキだったのよ。『深見教祖!あなたもそうだったの!』と叫びたいわ」(都内の四十代女性信者)
という言葉は「心をカネで買う時代」が決して明るい未来につながっていないことを如実に示している。
本誌・湯浅啓/広野伊佐美