BEYOND

世界観

物語の舞台

人類の進化

その世界において人間の精神はデジタルデータとして「アニムス」と呼ばれる装置に格納され、コアは首の頚椎のあたりに埋め込まれる。一方で肉体はただの入れ物と化し「シェル」と呼ばれ、代替の利く代物となった。肉体の老化や病床による衰弱はフレームの取替によって回避することが可能となっている。ある意味、不死身が実現されている世界。この世界での死は「アニムス」による精神の完全崩壊のみとなった。

先住民「エルダー」

惑星ローダンには「エルダ―」と呼ばれる知的生命体が原住していた。人間とほぼ変わらない姿や獣人のようなものと異なり、超常的な能力を持った未知の種族だ。エルダーたちは争いを嫌い、世界を滅ぼしうる力を持っていながらもその力を暴力の為に使うことを嫌った。
ローダンを植民地に選んだ地球人とも友好的な関係を築いていたが、外から来た地球人側がエルダーの力を恐れ、エルダーたちに対して恐怖心を抱くようになり、地球人はエルダーを迫害するようになった。
世代が変わっていくにつれ、エルダー擁護派の力は弱くなり、エルダーたちは蹂躙され、エルダーは姿を消した。
エルダーの超常的な力はエルダー人特有の呪いとして捉えられ「エルダーカース」と名付けられた。

悪魔に魂を売った代償

ロフォカレでは近年、エルダーのように超常的な力を有した人間による犯罪が横行していた。エルダーが持つ異邦の力に魅入られた一人の人間は異邦の力を追い求めた。その人間は悪魔に魂を売り、異邦の力を手に入れた。その人間は他のエルダーカースに魅入られた人々にその力を分け与えた。どういった手段と経緯で作られているかが一切不明の薬品を投与するとエルダーのような特殊な能力が芽生えた。何処からか出現したエルダーと酷似した力を使うことは、悪魔に魂を売る事と同じだと考えられ、人工の異邦の力は「デモンカース」と名付けられた。
今ではデモンカースはあちこちで取引され、その驚異的な力を簡単に手に入れられるようになってしまっていた。ロフォカレは能力を有した悪党で溢れかえり、犯罪都市化は一層加速していった。

心身二元論の世界

この世界においては精神と身体は互いに不可分であり干渉しません。しかしそれを認めない、生理的に拒否する人々も当然います。しかしそれは古い価値観として、昔の宗教観を持った人々として描写しています。肉体の取替ということはある種の「転生」に当たります。したがって宗教観として転生を認められないという観念が勝るのがそういった人々です。
中身が同じであっても肉体が外見が異なれば「違う」という拒否反応を示すでしょう。
彼らには心身の合一をもって特定されるという信念がそこにあります。心身は別物であっても個人は心のイコールではないという思想です。
逆に言えば、この世界のほとんどの人々が肉体の取替という行為を何の問題もなく受け入れているというのが分かるでしょう。

用語

アニムス

  • 心や魂という人間に精神を保存したチップ状のメモリーデバイス。全人類は生後一年になると脊髄上部にこのチップを埋め込まれる。アニムス=魂というように同義に扱われることが多い。

義体(シェル)

  • 人間の肉体の新たなカタチ。
  • 物品のように販売されているが、高価であり、主な所有層は富裕層に限られる。一般層向けにはリースやレンタルされたり、社会保障として事故被害者に無償貸与されたりすることもある(ただし選り好みは出来ない)。
  • 同じ惑星内に同一のシェルを造り出すのは重罪に当たる。

巨大都市ロフォカレ

  • 惑星ローダンで最も大きく名の知れた都市。曰く「世界中の悪という悪が集まった場所」。エルダーと呼ばれる原住民たちを排斥し占領した大陸に建てられた都市を「旧市街」、海を埋め立て新たに建設した都市を「新市街」と呼ぶ。新市街は人工島ゆえに土地代が非常に高く、住宅のほとんどが集合住宅で一軒家を買うことが富裕層のステータスとなっている。土地の狭さから耕地や牧場を設置できず食料自給率も限りなく低く、生活物資なども船上輸送でコストがかかるため、物価が高い。
  • 一方で旧市街は複数の犯罪組織により共同で実効支配されている悪徳の街。警察を始めとする司法組織すら買収されており、ぽっと出の余所者がちょっかいをかける事を決して許さない。新市街を警護する公的機関「新市街警備隊(N.C.G.)」のみがそれら犯罪組織と対峙し人々を守る盾となっている。
  • 新市街と旧市街を隔てる境には強固で高い壁が設置され完全に二つの都市を隔絶している。総督府を含め富裕層の住民たちは新市街で新しい世界・新しい生活を確立し、壁の向こうの旧市街を敵として認識している。

人間族

  • 地球を捨て新たな惑星を開拓している。
  • 進歩した技術により半永久的な生命を獲得している。
  • 非常に暴力的な思考を持った生物と称されている。

老獣族

  • 老獣族。エルダーと読む。動物と人間が融合したような外見を持つ。動物的特徴もあるが人間のような二足歩行生物的な特徴の方が色濃く残っているタイプがほとんど。
  • 超常的な能力を宿したローダンの原住民。例えるなら鳥や蝙蝠が有する飛行能力を翼などの器官を持たずして同等の飛行能力を持っていたり、伝説上のドラゴンのように口から炎を吐くなどを可能とした肉体のこと。
  • その特異過ぎる力を持った肉体はシェル用に改造を施され非常に高値で取引されることも。
  • アニムス技術を持たない本来の人間の寿命が100年とすると老獣族はその二倍から三倍ほどの長寿で、100歳になるとようやく成人として扱われる。

デモンカース

  • 出自不明の薬品。投与する事でエルダーのような特別な力が手に入る。
  • しかしその代償は大きく身体に対して様々な影響を与える。毒性が強く、能力の活性化を抑える抑制剤の常用が必要となる。
  • 能力の強弱などで値段が変動する。民間人でも手を出せる安価なものが多いがそれらの脅威度は比較的低い。

シュガー

  • デモンカース使用者が常用しなければならない抑制剤の名称。
  • 味は砂糖のようにほのかに甘く、抑制剤でありながら非常に中毒性が高いことからシュガーと名付けられた。

有機義体・無機義体

  • 有機体シェルは人間の肉体に寄り近く設計されたモデルで生殖器を有し、血液も赤い。人間の身体で起きうる事象を全て再現できる高クオリティモデル。無機体シェルは量産型の一般的なシェル。血液は青く、生殖器もない。有機体シェルに比べ比較的安価で入手できる。

アニマジェイル

  • 主に犯罪者の自供用にN.C.G.が開発した自白剤。
  • 老獣族に使用すると強い幻覚・催眠症状が現れる。第七行動班ではその効果を利用して確保した老獣族の中で優秀な力を持った者にこれを注射し、老獣族狩りの武器として使役している。

エルダーズストーン

  • 旧市街方面の大陸の多くの鉱山で採掘可能な石。今にも崩れそうに表面に入った亀裂からは内部の宝石のように綺麗な青い液体が放つ青白い光が漏れ出している不思議な鉱石。
  • 内部の詳細不明な液体を体内に摂取することで老獣はエルダーカースを獲得することが長年の研究により判明している。

エルダーズツリー

  • 世界のあちこちに点在するエルダーズストーンと同じ青い液体を内包した巨大樹。
  • 大抵エルダーズツリーの麓には老獣の部族が集落を築いている。長老と呼ばれる人々はエルダーズツリーに宿る歴代の長老たちの精神と自身の精神をリンクさせ、助言を聞く力を持つ。長老たちにはエルダーズツリーの加護が宿っており、通常の老獣よりも強力なエルダーカースを持つ。

組織

総督府

  • 地球を中心に様々な惑星に進出する国々の首脳を集めた世界政府機関。惑星進出の基礎となる地球を除き、大小異なるが一国に一つの惑星進出権利が送られている。

N.C.G

  • ローダンを統治する総督府所属の軍隊。世界政府により治安維持のため植民地に派遣される特殊部隊。皆一同に黒いパワードスーツを装着している。ありとあらゆる状況での戦闘を想定した特別な訓練を受けており、エルダー相手にも引けを取らない。ロフォカレにおいては「新市街警護隊(New City Guard)」と呼称される。
  • 新市街の守護者。壁の向こうの旧市街の犯罪組織・反政府団体から総督府や富裕層、力を持たない民間人を守るのを職務としている。軍隊や警察・医療・研究機関を総括している。

ソートゥース

  • 旧市街の反総督府思想の若者を中心に集結した暴徒の集団。
  • 元は旧市街一部地域のヤンキーの暴走団だったが、二人の人物の加入でグループは大きく変貌。今の組織の礎となる組織が完成した。二人の出現により暴走族は「強力な武器」「優れた知恵」「噴水の様に湧き出る資金源」を手に入れ、賭博・詐欺・殺人・違法取引・強姦、なんでもありの極悪集団へと変貌した。

アルトアイゼン

  • 人道主義の富裕層から多額の資金援助を受けている難民キャンプでもあり、貧困層に働き口を提供する鉱業産業。ロフォカレ旧市街の北部の鉱山から採掘される特殊鉱石を用いたシェルの改造改造業も行っている。傷痍軍人の老獣や難民キャンプの低所得の人々に安く義体改造を行う。あくまで中立的な立場でしっかりと支払いさえすれば、N.C.G.にも、ソートゥースにも、民間人にも分け隔てなく武器を提供する。
  • 難民受け入れに対して非常に寛大で貧困層の人間に働き口として北部地域の鉱山で武器の改造などに使われる鉱石の採掘を提供している。

蜂須賀組系紅月会

  • シェルの取替を禁忌と定め、定められた時間だけを生きる古風なヤクザ組織。新市街に半端な犯罪組織が芽生えないようにするための抑止力として定住を許可されている。
  • 紅月は襲名制で「紅月 森厳」という名と共に当主の座を受け継ぐ。襲名の儀は当主が七十の齢になる夜。蜂須賀タワービルの屋上の屋敷で行われる。伝統的な儀は一部映像配信サービスにて視聴する事が可能。
  • 総督府の一部官僚と密接な関係にあることが新市街内部でひそかに囁かれている。

サイレンス・マジョリティー

  • 姿なきギャング。電子世界の帝王。
  • ロフォカレのVR空間全土を支配するインターネットギャング。総督府が富裕層のために作り上げた最高級の技術の結晶のVR空間を一夜にして陥落させ、貧困層から富裕層まで誰もが楽しめる空間に作り替えた。その後VR空間の管理権限をクラッキングにより総督府から奪い、管理を行っている。
  • VR空間に限らずインターネット上にある全ての情報を網羅しており、N.C.G.から四大父に至るまでが頼っている情報屋でもあるが、守秘義務がなく情報を洩らしがち。
  • VR空間の管理・情報屋稼業が単独のハッカーによるものなのか集団によるものなのかが一切分かっていない。



登場人物

ΔIX(デルタ・ナイン)

  • N.C.G.に保護された記憶喪失の青年。極限の改造を施された軍用フレームを使用した特別な義体を着ているが、アニムスが一部損傷しているのか、呼び起こされる前までの記憶が一切なく、自分自身の名前も分かっていなかった。
  • 肩にタトゥーのようなマークが彫られており「ΔIX」と刻まれていた。真意は不明だが、そのデルタ・ナインという文字を彼の名前にした。

ジョエル・ドラッドー

  • バンガードの第七行動隊の指揮官。階級は大佐。ロフォカレ西部ダニカ地域占領戦線の功労者。N.C.G.創設者オーレッド・ドラッド―を祖父に持つ。未婚。

ウォーデン姉弟

  • 姉、ナキアは湯水のように湧く資金源をソートゥースに提供したコンサルタント。医学・薬学・人間工学に精通した優れた知識を持つ。N.C.G.に匹敵する軍隊のような武装組織となったソートゥースには無くてはならない存在。暴力的な弟、バーソロミューを制御する頭脳であり、枷。
  • 弟、バーソロミューはただのチンピラだった部下たちを兵士に育て上げた。様々な国の軍隊式格闘術や銃器の扱いなどを熟知しており、他者を育て上げる才覚に秀でていた。暴力によって生じた恐怖で他者の心を掌握する術を用いて軍隊の忠誠をより強固なものに仕上げ、軍隊を姉弟の命を守る為なら自身の命を投げ出す駒のように作り替えた。

タクヤ・エラッド

  • まだソートゥースがただの街の暴走族だった頃グループを治めていたリーダー。ウォーデン姉弟が組織に加入してから変貌していく仲間達の姿に苦しみながらも、姉弟と同格の幹部という立場に甘んじていた。組織が暴走族から何でもありの極悪犯罪集団となっていき、人を人とも思わない行動をするかつての仲間達に恐怖を覚えていたが、幹部という立場上、ウォーデン姉弟の目の届く範囲からの脱却が出来ず苦しんでいた。

リク・シェイン・ロッソ

  • アルトアイゼンの代表取締役社長。かつてはバンガードに所属しており、ロフォカレ北部占領作戦の功労者で、タイタンの異名で恐れられた兵士だった。今は亡き両親から貰った有機体シェルを形見として大事にしており、新しい義体への更新を嫌がっていたが、北部占領作戦でエルダーに身体を焼かれてしまった。新しい義体へ乗り換えなければアニムスの損傷も懸念されていたが、形見を手放せないという強い想いから、有機体シェルを機能拡張。自身が持ち得る莫大な資産を全て投じ、有機義体を残したまま軍用無機義体と同等の性能にまで機能を拡張した。
  • 占領作戦後、貧困層の地球人がロフォカレ北部の集落でエルダーに守られ生活していたと知り、エルダーに対する考え方を変えた。しかし保護された貧困層の地球人もエルダーの仲間として虐殺したN.C.G.の上層部と意見がぶつかり組織を離反。単身で北部のN.C.G.拠点に乗り込み再び占領。支部を改良し貧困層の難民を受け入れる難民キャンプを創設した。

コルト・ソクラテス

  • アルトアイゼンに多額の資金援助をしている人道主義の富豪。
  • 総督府と繋がりを持つ富裕層の人間にしては珍しくエルダー擁護派。最高級品質の軍用シェルを着込んでいるが自身が戦闘に参加することはほとんどない。軍用義体を着込んでいるのは軍用シェルが最も頑丈という理由だけ。

V(ヴァルチャー)

  • インターネット上に存在するとある掲示板に書き込みをすると現れるデモンカースのブローカー。黒い羽で作られたファーを首に巻いた淡い茶色のフード姿に様々な動物の仮面を着けている。素顔は誰も見たことがなく、世界中で起きている事件事象を観測するサイレンス・マジョリティーでさえ、ヴァルチャーの素顔を知らない。
  • 最近の旧市街で多発する様々な事件の裏には必ずVの影があるという。

クリムゾン・クイーン

  • 老獣族が率いる戦闘部隊のリーダー。
  • 圧倒的な技術力を持つ人類に超能力で対抗するエルダー部隊の指揮官。自身の血液を自在に操り武器を生み出したり、血液を身体に纏わせ強化外骨格のように纏ったり、血液を付着させた物質を自在に操る事が出来るエルダーカースを持っている。
  • ロフォカレから少し離れた小さな島にエルダーの生き残りが暮らせる場所を作り、仲間達と共にロフォカレに取り残された同士を救い出すために、何度もロフォカレ市街に姿を現している。
最終更新:2020年05月22日 00:55