ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4094 普通の人とゆっくり
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『普通の人とゆっくり』 17KB
考証 日常模様 現代 独自設定 失礼します。
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anko3729 はじめてのぎゃくたい
anko3730 はじめてのしいく
anko3794 まりさとの勝負
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anko3855 ゆっくりと会話してみた
anko3932 ゆっくり観察日記
anko3933 ゆっくりと子供
anko3953 しんぐるまざーの朝は早い
anko4016 虐められるためのゆっくり
誤字脱字失礼します
「」ゆっくりの台詞
『』人間の台詞でお願いします
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誤字脱字失礼します
「」ゆっくりの台詞
『』人間の台詞でお願いします
「ゆっくちしていっちぇね! ゆっくちしていっちぇね! ゆっくちしちぇぇえぇええ!!」
平日の朝、脳みそにまで響くような声で私は目を覚ました。
『…………朝か』
「ゆっくちぃいい! ゆっくちしちぇぇぇえええ!! ゆっくちゆっぐちぃい!!」
目を覚ました私は、薄っすら明けた目で天井を見上げる。
見慣れきった天井、カーテン越しの光で薄っすら明るいそこをしばらく見つめる。
その間も目覚ましは鳴き続けていたが、私は朝が弱いのでしばらくボーっとしていた。
10分ほどして、目覚ましの声が濁り出した頃になって私はやっと枕元に置かれたそれのアラームを止めた。
「ゆっぐぎぃいいぃい!! ゆっぎぢじでぐだぎゃぁぁぁああああ…………ゅっ」
目覚ましの上部についている大きなボタンを押すと、一際大きな声をあげてアラームはとまった。
これは加工所ヒット商品のひとつ〔ぐっもーにんゆ〕である。
10cm四方の透明な箱の上に、デジタルの時計がついているもので、設定した時間になると透明な箱の中に入っているゆっくりが可愛い声で起こしてくれるという触れ込みの時計だった。
可愛いかどうかは判断に困るけれど、音の大きさから目覚ましとしてはかなり優秀であることは間違いない。
この〔ぐっもーにんゆ〕で三代目だけど、また次もこれを買おうと決めている。
「ゅぅ、ゆっぐ、ゅ」
口から餡子を吐いて苦しんでいる赤れいむをしばし眺めて頷く。
この時計は電池の代わりに、加工所ショップで売っているオレンジ電池を使用している。
それをセットしておけば、アラームを止めるときにボタンを押すだけで濃縮オレンジジュースが内部のゆっくりに注入されてまた明日元気に私を起こしてくれる優れものだ。
『あ、確か電池そろそろ終わりだったかな……』
頭が起きて来たのか、ふとそんなことを思い出した。
一つ思い出すと、他にも様々な日用品が頭を巡って行く。
『はぁ……起きるか』
誰にともなく呟いて、私はゆっくり身体を起こす。
伸びをしながら立ち上がり、まずはカーテンを開けて、窓を開けしばらくそこから自宅であるマンション前の道を眺める。
時刻はまだ早朝と言っても過言ではないくらいで、そんなに都会でもないこの街では車通りもなく、散歩してる人がチラホラ見える位だ。
しばらく見ていると、遠くからゆっくり、名前は知らないけど緑の帽子に紅い髪をしたゆっくりを連れた青年が歩いて来るのが見えた。
私はその散歩風景を見るのがちょっとした日課になっていたりする。
ちなみに青年は結構なイケメンである。
『……ゆっくりかぁ、私も買おうかなぁ』
「ゃお」だか「じゃう」だか鳴いて元気に跳ねて、たまに転んでは青年と笑い合うそのゆっくりを見ながらため息をつく。
一人暮らしのお供にゆっくりを買おうか結構本気で考え、もしかしたらあの青年と少しはお近づきになれるきっかけになるかも知れないと、邪にも考える。
『いっちゃった……』
しばらく見ていると、青年は曲がり角に入ってしまいこれ以上目で追うことは出来なくなってしまった。
窓の外に手をだるっと伸ばして、干された布団のような体勢になりしばらく動きを止める。
窓枠のサッシが、そんなに厚くない胸の脂肪に食い込んで痛かったので身体を起こした。
『よっし、ご飯、しよ』
また伸びをして、部屋から出てまずは洗面所に向かい、洗顔と歯磨きを済ませる。
顔と、寝汗をかいてしまったので脇も軽く〔にとりタオル〕で拭いておく。
薄い緑色の綺麗なタオルで、詳しくは知らないけれど‘にとり‘とか言うゆっくりのお飾りから出来ているらしく、水をかなり吸収してくれる。
『うわっ、汗くさ』
拭いたタオルを軽く嗅いでみたら思ったより臭いがきつかったので、自分の臭いだというのに顔をしかめてしまった。
ちょっとブルーになりながら、キッチン兼リビングに向かい、まずはトースターにパンを突っ込む。
その間にコーヒーを作ることにして出しっぱなしのインスタントコーヒーの〔ビタちぇん〕を手に取る。
これはちぇんを品種改良して、中身をコーヒー風味のカカオにしているもので、その実ゆっくりだかを収穫して乾かして、ビー玉くらいのレーズンみたいになっているやつだ
一個で一杯のコーヒーが作れるので、一々分量考えなくて良いから楽で気に入っている。
その粒を一個取ると、お気に入りのマグカップ、名前は知らないけどさっきの青年が連れていたゆっくりのイラストが描かれているそれに入れる。
そして、食器棚から皿を二枚取り出す、一つは普通サイズの、一つは深めの小鉢を。
それから冷蔵庫に向かい、二つ並んだ卵のパックみたいな入れ物から一個づつ赤ゆっくりを取り出す。
取り出した赤ゆっくりは、れいむと、たしか‘ぱちゅりー‘とか言うゆっくりだ。
これをパンに塗って食べるのが私は大好きだったりする。
そして更に、違うパックからまたぱちゅりーを取り出す。
これはパン用ではなく、コーヒー用の〔くりーむきゅ〕と言う商品だ。
これ一個で砂糖とミルク両方の仕事をしてくれる便利商品で気に入っている、なのでマグカップに放り込む。
放り込んだときに「むきゅ!?」っと声がしたので、冬眠から目が覚めたのかも知れないけれど、カップから出られる訳もないので放って置く。
マグカップ、皿二枚を一杯一杯になりながら食卓に運んだ頃にちょうどパンが焼けたらしく軽快な音を立てて、トースターから飛び出してくる。
飛びしてきたパンは、真ん中部分だけがゆっくりのまりさの形に、白く焼け残っていた。
子供の頃に両親にねだって買って貰ったもので、一人暮らしをするに当たって持ってきたのだ。
まりさの形といっても、三角帽子に丸い身体の形が解る程度だ。
だけど、何故かその模様を見ると落ち着いてしまう自分はいつまで子供なんだろうかと肩を竦めたくなってしまう。
そして、食卓に座りざまに、机の上に電気ケトルを手に取り、びたちぇんと、くりーむきゅの入ったマグカップにお湯を注ぐ。
「む、むきゃぁぁああ…………ゅ」
『あー…………』
マグカップから立ち上るコーヒーもどきの香りにまったり和みながら、それを箸でかき混ぜる。
「ゅ? ゅ、きょきょは、どきょ?」「むきゅ、もうあしゃなの?」
小鉢の中で、パン用の赤れいむ赤ぱちゅりーが起き出したけれど気にせずコーヒーもどきを飲む。
苦味と甘みに、うっとりしながらしばらくまったりする。
それから徐にトーストを掴んで一口齧る。
ザクッと歯ごたえ良いそれに気分を良くして、さくさくトーストをコーヒーで流し込む。
『うん、うんうまし、うまし』
「ゆゆ!? えーみゅにもごはんしゃん ちょーらいね!」「けんじゃには ぶれいくふぁすとはつきものよ!」
私は二枚焼いたトーストの一枚目は、コーヒーで食べるのを日課にしている。
どうしてかしらないけれど、それが好きだったりするのだ。
一応見える位置にテレビもあるけれど、それもつけない。
トーストを齧る音がどうにも好きで好きで仕方ない、ざくざく、ざくざく、さくさく、ごくん。
自分の中に響く音を十分に楽しんだら、次は小鉢のゆっくりに手を伸ばす。
箸で赤れいむのリボンを摘んで持ち上げる。
「れいみゅの おそらをとぶこうげき! だよ!」
赤れいむを、ちょっとだけ冷めたトーストにポトンと落とす。
「ゅ!? ぁ、あちゅいぃい! ゆぶ!?」
そして、箸を突き刺し、赤れいむの皮を破ってパンに広げてる。
この作業がちょっと面倒だけど、この餡子が一番私の口に合うのだから仕方ない。
「ゅぎ!? ぃ、いじゃ、いじゃい、よ、ゃ、ゃべちぇ、ね……」
広げきったら、次は赤ぱちゅりーを箸で持ち上げる。
「むきゅぅうう!? くさい! くさいわぁぁあ!!」
この時に何故か箸を臭がるので、ちょっと面倒だったりするけど、慣れた作業でパンの上に。
ぱちゅりーは毎回、餡子の上に乗ると動きを止めて自分からクリームを出してくれるのでありがたい。
クリームを出し切ったのを見たら、その餡子クリームトーストを半分に折って一気に食べ、コーヒーで流し込む。
『ぷはぁああ…………うん、うまい!』
甘い甘い朝食を食べきると、至福の気分でまた寝たくなってしまうけれどそれも出来ないので、無理にでも立ち上がり、服を脱いでいく。
寝ている間につけると胸が成長するブラをつけて早4年になるけれど目だった変化もないそれを外して、寝汗をかいたので一回全裸になってから服を新しく着なおす。
朝の空気に身体がキュッと締まるような気持ちになったけれど、腰周りには変化は見られずため息をついて服を選ぶ。
『なーにーに、しましょーかー、な』
服を漁りながら、頭の中でイメージを浮かべながら選んでいき、ワイシャツとハーフパンツを手に取る。
『りぐるコーデにしてみっかね』
最近流行っている、胴付きゆっくりの服装を元にしたコーディネイト、その一つである〔りぐるコーディネイト〕を選択した。
半ズボンにワイシャツ、そしてリボン帯をつけるだけの簡素なものだけど、結構自分に似合うのではないかと密かに思っていた。
他には、セーラーな〔むらさコーデ〕やフリル多様な〔ひなコーデ〕が人気らしいけれど、私にはちょっと合わないかなぁっと手を出していない。
『しかし、一回くらい挑戦してみるべきか……』
悩みながら着替えを済ますと、まだ出かけるまで時間があるのでテレビでも見て時間を潰す事にした。
『…………虐待ねぇ、やる奴の気が知れないよねぇ』
朝のニュースではゆっくりの特集をやっていた、前半は可愛らしいゆっくりの紹介とかで、私の興味も惹かれたけれど。
次に流れたのは若者の虐待人口の増加とかいうヤツだった。
グラフの推移や、町の声、そして虐待する人へのインタビューなどをへて、今はスタジオでコメンテーターと評論家が何やら議論を交わしていた。
やれ『ゆっくり虐待は高度なストレスの発散娯楽であり』だとか。
やれ『ゆっくりを虐待する人の心には深い闇と、他者への攻撃性が』だとか。
正直どうでも良い議論ではあるが、ギリギリ後者を私は応援したい。
そりゃ私も子供の頃には、ゆっくりを潰したり、川に投げ込んだりして遊んだ経験はある。
でも、そんなの小学校くらいのもんだ、それも低学年。
大人になってまでわざわざそんなことをする必要なんて感じられないし、共感も出来ない。
ちょっと前に友達に〔ゆ虐カフェ〕に連れていかれたけれど、正直五月蝿いだけで楽しめなかった私だ。
それを楽しむ人は沢山いるんだろうから、否定はしないけれど、押し付けられても正直、困る。
『…………』
ニュースの内容は、ゆっくりからゴミと環境の問題へ移り変わっていた。
ゆっくりなんかよりずっと私の、世界に関係あるんだろうけれど、さっきより内容は頭に入ってこない、が。
『あ、ゴミ……あっ!?』
ニュースを見ている内に、今日がゴミを出す日だと思い出して慌てて立ち上がる。
『わっすれてた! あ、あー!』
急いで部屋の隅に用意しといたゴミ袋を抱えて、サンダルを履いてマンション前のゴミ捨て場にダッシュする。
途中であったご近所さんに、会釈をして一気に駆け抜けた結果。
『ふぅううセーフ!』
まだゴミの回収は始まっていなかったらしく、大量のゴミが積まれていたので、私もそこにゴミを置こうとして……。
「ゅゆ!? なんでくそにんげんがいるんだぜぇぇぇえ!?!」
『あ、ゴミ漁り……』
ゴミ捨て場の隅には、薄汚れたゆっくりまりさがいて、私を見ながら汚い口を開けて何やら叫んでいた。
どうやらゴミを漁りに来た野良ゆっくりに遭遇してしまったらしい。
こっちを見て何やら汚い汁を撒き散らしてるゆっくりから視線をはずして、ゴミ捨て場に備え付けられているゴミ袋を一枚取る。
そしてこれまた備え付けられている、ゴム手袋をはめるとゆっくりを掴んでゴミ袋に突っ込む。
「ゃ! ゃべるのぜ! このまちさいっきょうのまりさに、こんなことして、ただですむと おもってんのかぜっぇえええ!!?」
袋に入れたら、後は口を硬く結んで、ゴミ捨て場の床に放り投げる。
「ゅべ!? な、なにを、するのぜ、も、もう、ゆるさな、ゆぎゅるべ?!」
最後にしっかり上から踏んで、これでお仕舞い。
あとは手袋を元の位置に引っ掛けて、マンション住民としての私の使命は完結だ。
『あー、間に合って良かった……』
ゴミ捨てとマンション住民の使命を終えて私は、行きとは正反対のまったり速度で部屋に戻った。
戻ったときには時間はちょうど良いくらいだったので、靴を履き替えて私はバイトへ出かけることにした。
『ん?』
「やべでね!? れいぶのおちびちゃんに、ひどいごどじないでぇぇええ!!」
「ちゃすけちぇぇぇええ!!」
バイト先であるコンビニに向かう途中、近道の公園を抜けようとしたときに、ふとゆっくりの声が聞こえて来たのでそちらに視線を向けた。
向けた先には、ダンボールの箱、おそらくはゆっくりの家が潰されていて、その前には一匹ゆっくりまりさが潰されていて、隣では涙を流す成体のれいむ、そしてれいむの視線の先には私と同じくらいの年齢の男性がいて、手に持った赤れいむを握ったり、指で弾いたりしていた。
『あー、ゆ虐、ね……あっ』
『あ』
さっき観たニュースが頭に思い浮かんで、ちょっと声に出してしまったら、それに反応して男性がこちらを振り向いて一瞬視線があった。
『…………ん、んん、ごほん、ちっ』
「ゆびぇ!?」
「お、おちびちゃあぁぁああん、だいじょうぶ? いたいとこない? だいじょうぶ?!」
誤魔化すような咳払いに、舌打ち一つして男性は赤れいむを放り投げると、いそいそと私から逃げるように公園から出て行った。
ここは小さな公園で、利用する人もそんなにいないので、虐待に来たのだろうけれど、タイミングが悪かったみたいだ。
舌打ちされた私は、肩を軽く竦めてまた歩き出した。
恥ずかしいくらいならしなきゃいーのに、そう思って首を捻り、バイト先に急いだ。
……。
…………。
『おつかれーっす』
『はい、お疲れ様です』
笑顔の無料配布を終えて、首をコキリとならしてバイト先であるコンビニから脱出する。
一緒にシフトに入った高校生に、りぐるコーデを誉められて若干テンションがあがっていたりする。
店長には『バイトの時は長ズボンが良いんだけど……』と注意されてしまった。
女子高生がスカートで来た時は注意しなかったくせに、カテゴリ分けするなんて失礼な、とちょっと憤慨。
しかし、まぁ、概ね楽しくバイトを終わらせた私は、コンビニで適当にパンを買って近道に使った公園に向かった。
お腹が空きすぎているので、軽く食べたい気分だったりしたのだ。
公園に一つしかないベンチに座り、買ってきたサンドイッチの包みをあけて頬張る。
『何でかくせになるんだよねぇ、コンビニのサンドイッチって』
何か悪いものでも入っているんじゃないかと不安になりながらも、食べる手は止まらない。
美味しい物は身体に悪いのかも知れない、とかも考えていても手は止まらず、あっと言う間に食べ切ってしまった。
『次は何にしようかな……』
「ゅゆ! そこのクソにんげん!」
『ん?』
袋の中を漁っていたら、いきなり声をかけられた。
甲高いその声に相手はゆっくりだろうと、チラッとそっちを見ると案の定ゆっくり、成体のゆっくりれいむだった。
それにしても妙に傷だらけなゆっくりで、頬には涙の痕が染み付いていた。
まぁ、ゆっくりなんて泣くのが仕事みたいなくらい泣いてるし仕方ないんだろう。
私はれいむから視線を外して、再びパン選びを再開する。
『甘いのは最後かなぁ』
「ゆぎぃい!! むしするなぁぁああ!! れいむはゲスでクズなクソにんげんにいじめられてかわいそうなんだよ! さっさとそのごはんさんよこしてね!」
何やら叫んでいるけど無視無視、ゆっくりは無視に限る。
黙々とパンを食べていく。
「きけぇぇぇぇええ!!! れいむにはかわいいおちびちゃんがいるんだよ! そのおちびちゃんもクソゴミにんげんにいじめられて いたいいたいなんだよ! かわいそうなんだよ! わかったかぁぁぁぁぁぁあぁあ!?!」
『この新作の美味しいなぁ……今度からこれ買お』
新発売とあったので買ってみたパンが予想外に美味しくて、びっくりしながらも簡単に食べきる。
袋の中を見るとまだパンがあったか、お腹は結構いっぱいになってしまった。
『さすがに買い過ぎたか……』
苦笑しながら立ち上がり、パンの袋を片手に歩き出す。
「ゆ?! どこいくの!? そのごはんさんおいていってね!」
『…………』
私の後ろをれいむはポヨンポヨン跳ねながら追ってきているようだった。
「とばれぇぇぇえええ!! それはれいぶのだぞぉおおおぉお!!」
『あー! うっさいなぁ! さっきから!』
「ゆびゅるべ!」
叫び声が癇に障ってついれいむを踏み潰してしまった、靴に汚い餡子がついてしまった。
『やっちゃった……うぇ』
かなりブルーになりながら、公園の水のみ場に向かい、なるべく内部に水を染み込ませない様に餡子を流していく。
ちょっとお気に入りの靴だったので、テンションの下がり方が半端じゃなかった。
『この公園人こないからゆっくり増えるんだよねぇ、あーあ、ん?』
ふと視線に気付いて視線を向けた先には、子ゆっくりサイズのまりさ一匹と、赤ゆっくりサイズのれいむが二匹いた。
かなりみすぼらしい格好で、こちらをじっと見てきていた。
向こうもこちらの視線に気付いたのか震えながら、ゆっくり口を開いた。
「お、おねーさん、おねがいが、あるのぜ、まりさたちにご、ごはんさんをください、なのぜ……」
子まりさはガクガク震えながらも、しっかり私に言葉を伝えてきた。
少しだけ考えて、袋の中にあったパンの一つを袋から出して、半分に割って放り投げてやる。
「ゅ、ゆわあああ!! ありがとうございますぅううぅうう!!」
涙を流しながら子まりさは何度も頭を下げてきたけど、私としては処分に近いのでどうでも良かったりする。
振り返りもせず公園を抜けて、そのままマンションを目指さないで、加工所ショップに向かう。
広めの明るい店内には、ゆっくりの飼育グッズから虐待グッズ、実際のゆっくり販売、それにちょっとエッチな道具やらまで何でも揃っている。
アイデア商品は面白い物が多いので私は良くここを利用させて貰っていた。
『オレンジ電池と、パン用のゆっくりと、くりーむきゅも買っとこ』
必要な商品を籠に放り込んでいく。かなり安いので、ついつい入れすぎてしまいガチになるが、どれも便利なので仕方ない。
それらを一通り購入して、ビニール袋を持ったまま店内を散策する。
ゆっくりコーデの服コーナーもあるので、そこもちょろっと見ようとしたが、若く可愛い女の子数人が試着したりして盛り上がっていたのでスルーして店の奥に進む。
『…………』
店の奥に進む。
『…………』
虐待コーナーの隣にある区画、入り口がカーテンで区切られたそこにゆっくり近づいていく。
興味もない虐待グッズを手に取ったりしてみながら、チラチラカーテンを見て、そして、すっと中に入る。
そう、ここはゆっくりアダルトグッズコーナー。
区画に誰もいないのを確認して急ぎ足で、愛用している〔舐めゆ〕を手に取り、内部カウンターに持っていく。
『…………』
『ありがとうございます……ポイントカードはお持ちですか?』
『え?』
普段なら何も言わずに買い終わるのに、何故か今日は急に声をかけられてしまった。
『ぁ、お、い、いえ、持ってないです、はい』
本当は持っているけれど、出すのが恥ずかしいので持っていないことにして話を終わらせようとしたが。
『でしたらお作りいたしますか? 使う度にポイントが貯まる便利なカードなんですけど』
『け、結構です』
早く切り上げてくれと本気で願いながら、顔が赤くなってしまうのが解る。
一応配慮でレジとカウンターは、お互いの顔が直接見えないようになってはいるが恥ずかし過ぎる。
そんな拷問のようなやり取りを終えて、そそくさと逃げ出すように店を出た。
内心で、例の店員さんを罵りながら、何となく持ってきた飼いゆっくりの購入カタログを見ながら歩く。
その中に、朝の青年が連れている紅髪のゆっくりが載っていた。
‘めーりん‘そう言うらしい、他のゆっくり見たいにしゃべることは出来ないが、人間の言葉は理解出来ていて、知能も高いらしい。『へぇ、飼い易そうなんね……』
ちょっと本気で購入を考えながらマンションに帰還。
買ってきた荷物をそれぞれの場所に収納して、紙袋に入れて貰った舐めゆを取り出す。
これは加工所で作られたゆっくりで、基本的には寝ているがしばらく揺すると起き出して、その、まぁ、舐めだすものなのだ。
元は男性用に作られたらしいけれど、どうしてか女性人気のがあるらしい。
そんな私も結構な頻度で買ってしまっている、何故なら毎日のように使っているので直ぐに駄目になってしまうのだ。
ちょっと前に壊れてしまい、今日やっと買うことが出来てテンションが変なあがり方をしていた。
他人に見せられないニヤニヤ顔をしながら、舐めゆを握り締め……。
『お風呂前に、一回、良いよね、久しぶり、だしぃ……♪』
私は、そっとトイレに向かい、そっと戸を閉めた。
……。
…………。
………………。
終わり。
平日の朝、脳みそにまで響くような声で私は目を覚ました。
『…………朝か』
「ゆっくちぃいい! ゆっくちしちぇぇぇえええ!! ゆっくちゆっぐちぃい!!」
目を覚ました私は、薄っすら明けた目で天井を見上げる。
見慣れきった天井、カーテン越しの光で薄っすら明るいそこをしばらく見つめる。
その間も目覚ましは鳴き続けていたが、私は朝が弱いのでしばらくボーっとしていた。
10分ほどして、目覚ましの声が濁り出した頃になって私はやっと枕元に置かれたそれのアラームを止めた。
「ゆっぐぎぃいいぃい!! ゆっぎぢじでぐだぎゃぁぁぁああああ…………ゅっ」
目覚ましの上部についている大きなボタンを押すと、一際大きな声をあげてアラームはとまった。
これは加工所ヒット商品のひとつ〔ぐっもーにんゆ〕である。
10cm四方の透明な箱の上に、デジタルの時計がついているもので、設定した時間になると透明な箱の中に入っているゆっくりが可愛い声で起こしてくれるという触れ込みの時計だった。
可愛いかどうかは判断に困るけれど、音の大きさから目覚ましとしてはかなり優秀であることは間違いない。
この〔ぐっもーにんゆ〕で三代目だけど、また次もこれを買おうと決めている。
「ゅぅ、ゆっぐ、ゅ」
口から餡子を吐いて苦しんでいる赤れいむをしばし眺めて頷く。
この時計は電池の代わりに、加工所ショップで売っているオレンジ電池を使用している。
それをセットしておけば、アラームを止めるときにボタンを押すだけで濃縮オレンジジュースが内部のゆっくりに注入されてまた明日元気に私を起こしてくれる優れものだ。
『あ、確か電池そろそろ終わりだったかな……』
頭が起きて来たのか、ふとそんなことを思い出した。
一つ思い出すと、他にも様々な日用品が頭を巡って行く。
『はぁ……起きるか』
誰にともなく呟いて、私はゆっくり身体を起こす。
伸びをしながら立ち上がり、まずはカーテンを開けて、窓を開けしばらくそこから自宅であるマンション前の道を眺める。
時刻はまだ早朝と言っても過言ではないくらいで、そんなに都会でもないこの街では車通りもなく、散歩してる人がチラホラ見える位だ。
しばらく見ていると、遠くからゆっくり、名前は知らないけど緑の帽子に紅い髪をしたゆっくりを連れた青年が歩いて来るのが見えた。
私はその散歩風景を見るのがちょっとした日課になっていたりする。
ちなみに青年は結構なイケメンである。
『……ゆっくりかぁ、私も買おうかなぁ』
「ゃお」だか「じゃう」だか鳴いて元気に跳ねて、たまに転んでは青年と笑い合うそのゆっくりを見ながらため息をつく。
一人暮らしのお供にゆっくりを買おうか結構本気で考え、もしかしたらあの青年と少しはお近づきになれるきっかけになるかも知れないと、邪にも考える。
『いっちゃった……』
しばらく見ていると、青年は曲がり角に入ってしまいこれ以上目で追うことは出来なくなってしまった。
窓の外に手をだるっと伸ばして、干された布団のような体勢になりしばらく動きを止める。
窓枠のサッシが、そんなに厚くない胸の脂肪に食い込んで痛かったので身体を起こした。
『よっし、ご飯、しよ』
また伸びをして、部屋から出てまずは洗面所に向かい、洗顔と歯磨きを済ませる。
顔と、寝汗をかいてしまったので脇も軽く〔にとりタオル〕で拭いておく。
薄い緑色の綺麗なタオルで、詳しくは知らないけれど‘にとり‘とか言うゆっくりのお飾りから出来ているらしく、水をかなり吸収してくれる。
『うわっ、汗くさ』
拭いたタオルを軽く嗅いでみたら思ったより臭いがきつかったので、自分の臭いだというのに顔をしかめてしまった。
ちょっとブルーになりながら、キッチン兼リビングに向かい、まずはトースターにパンを突っ込む。
その間にコーヒーを作ることにして出しっぱなしのインスタントコーヒーの〔ビタちぇん〕を手に取る。
これはちぇんを品種改良して、中身をコーヒー風味のカカオにしているもので、その実ゆっくりだかを収穫して乾かして、ビー玉くらいのレーズンみたいになっているやつだ
一個で一杯のコーヒーが作れるので、一々分量考えなくて良いから楽で気に入っている。
その粒を一個取ると、お気に入りのマグカップ、名前は知らないけどさっきの青年が連れていたゆっくりのイラストが描かれているそれに入れる。
そして、食器棚から皿を二枚取り出す、一つは普通サイズの、一つは深めの小鉢を。
それから冷蔵庫に向かい、二つ並んだ卵のパックみたいな入れ物から一個づつ赤ゆっくりを取り出す。
取り出した赤ゆっくりは、れいむと、たしか‘ぱちゅりー‘とか言うゆっくりだ。
これをパンに塗って食べるのが私は大好きだったりする。
そして更に、違うパックからまたぱちゅりーを取り出す。
これはパン用ではなく、コーヒー用の〔くりーむきゅ〕と言う商品だ。
これ一個で砂糖とミルク両方の仕事をしてくれる便利商品で気に入っている、なのでマグカップに放り込む。
放り込んだときに「むきゅ!?」っと声がしたので、冬眠から目が覚めたのかも知れないけれど、カップから出られる訳もないので放って置く。
マグカップ、皿二枚を一杯一杯になりながら食卓に運んだ頃にちょうどパンが焼けたらしく軽快な音を立てて、トースターから飛び出してくる。
飛びしてきたパンは、真ん中部分だけがゆっくりのまりさの形に、白く焼け残っていた。
子供の頃に両親にねだって買って貰ったもので、一人暮らしをするに当たって持ってきたのだ。
まりさの形といっても、三角帽子に丸い身体の形が解る程度だ。
だけど、何故かその模様を見ると落ち着いてしまう自分はいつまで子供なんだろうかと肩を竦めたくなってしまう。
そして、食卓に座りざまに、机の上に電気ケトルを手に取り、びたちぇんと、くりーむきゅの入ったマグカップにお湯を注ぐ。
「む、むきゃぁぁああ…………ゅ」
『あー…………』
マグカップから立ち上るコーヒーもどきの香りにまったり和みながら、それを箸でかき混ぜる。
「ゅ? ゅ、きょきょは、どきょ?」「むきゅ、もうあしゃなの?」
小鉢の中で、パン用の赤れいむ赤ぱちゅりーが起き出したけれど気にせずコーヒーもどきを飲む。
苦味と甘みに、うっとりしながらしばらくまったりする。
それから徐にトーストを掴んで一口齧る。
ザクッと歯ごたえ良いそれに気分を良くして、さくさくトーストをコーヒーで流し込む。
『うん、うんうまし、うまし』
「ゆゆ!? えーみゅにもごはんしゃん ちょーらいね!」「けんじゃには ぶれいくふぁすとはつきものよ!」
私は二枚焼いたトーストの一枚目は、コーヒーで食べるのを日課にしている。
どうしてかしらないけれど、それが好きだったりするのだ。
一応見える位置にテレビもあるけれど、それもつけない。
トーストを齧る音がどうにも好きで好きで仕方ない、ざくざく、ざくざく、さくさく、ごくん。
自分の中に響く音を十分に楽しんだら、次は小鉢のゆっくりに手を伸ばす。
箸で赤れいむのリボンを摘んで持ち上げる。
「れいみゅの おそらをとぶこうげき! だよ!」
赤れいむを、ちょっとだけ冷めたトーストにポトンと落とす。
「ゅ!? ぁ、あちゅいぃい! ゆぶ!?」
そして、箸を突き刺し、赤れいむの皮を破ってパンに広げてる。
この作業がちょっと面倒だけど、この餡子が一番私の口に合うのだから仕方ない。
「ゅぎ!? ぃ、いじゃ、いじゃい、よ、ゃ、ゃべちぇ、ね……」
広げきったら、次は赤ぱちゅりーを箸で持ち上げる。
「むきゅぅうう!? くさい! くさいわぁぁあ!!」
この時に何故か箸を臭がるので、ちょっと面倒だったりするけど、慣れた作業でパンの上に。
ぱちゅりーは毎回、餡子の上に乗ると動きを止めて自分からクリームを出してくれるのでありがたい。
クリームを出し切ったのを見たら、その餡子クリームトーストを半分に折って一気に食べ、コーヒーで流し込む。
『ぷはぁああ…………うん、うまい!』
甘い甘い朝食を食べきると、至福の気分でまた寝たくなってしまうけれどそれも出来ないので、無理にでも立ち上がり、服を脱いでいく。
寝ている間につけると胸が成長するブラをつけて早4年になるけれど目だった変化もないそれを外して、寝汗をかいたので一回全裸になってから服を新しく着なおす。
朝の空気に身体がキュッと締まるような気持ちになったけれど、腰周りには変化は見られずため息をついて服を選ぶ。
『なーにーに、しましょーかー、な』
服を漁りながら、頭の中でイメージを浮かべながら選んでいき、ワイシャツとハーフパンツを手に取る。
『りぐるコーデにしてみっかね』
最近流行っている、胴付きゆっくりの服装を元にしたコーディネイト、その一つである〔りぐるコーディネイト〕を選択した。
半ズボンにワイシャツ、そしてリボン帯をつけるだけの簡素なものだけど、結構自分に似合うのではないかと密かに思っていた。
他には、セーラーな〔むらさコーデ〕やフリル多様な〔ひなコーデ〕が人気らしいけれど、私にはちょっと合わないかなぁっと手を出していない。
『しかし、一回くらい挑戦してみるべきか……』
悩みながら着替えを済ますと、まだ出かけるまで時間があるのでテレビでも見て時間を潰す事にした。
『…………虐待ねぇ、やる奴の気が知れないよねぇ』
朝のニュースではゆっくりの特集をやっていた、前半は可愛らしいゆっくりの紹介とかで、私の興味も惹かれたけれど。
次に流れたのは若者の虐待人口の増加とかいうヤツだった。
グラフの推移や、町の声、そして虐待する人へのインタビューなどをへて、今はスタジオでコメンテーターと評論家が何やら議論を交わしていた。
やれ『ゆっくり虐待は高度なストレスの発散娯楽であり』だとか。
やれ『ゆっくりを虐待する人の心には深い闇と、他者への攻撃性が』だとか。
正直どうでも良い議論ではあるが、ギリギリ後者を私は応援したい。
そりゃ私も子供の頃には、ゆっくりを潰したり、川に投げ込んだりして遊んだ経験はある。
でも、そんなの小学校くらいのもんだ、それも低学年。
大人になってまでわざわざそんなことをする必要なんて感じられないし、共感も出来ない。
ちょっと前に友達に〔ゆ虐カフェ〕に連れていかれたけれど、正直五月蝿いだけで楽しめなかった私だ。
それを楽しむ人は沢山いるんだろうから、否定はしないけれど、押し付けられても正直、困る。
『…………』
ニュースの内容は、ゆっくりからゴミと環境の問題へ移り変わっていた。
ゆっくりなんかよりずっと私の、世界に関係あるんだろうけれど、さっきより内容は頭に入ってこない、が。
『あ、ゴミ……あっ!?』
ニュースを見ている内に、今日がゴミを出す日だと思い出して慌てて立ち上がる。
『わっすれてた! あ、あー!』
急いで部屋の隅に用意しといたゴミ袋を抱えて、サンダルを履いてマンション前のゴミ捨て場にダッシュする。
途中であったご近所さんに、会釈をして一気に駆け抜けた結果。
『ふぅううセーフ!』
まだゴミの回収は始まっていなかったらしく、大量のゴミが積まれていたので、私もそこにゴミを置こうとして……。
「ゅゆ!? なんでくそにんげんがいるんだぜぇぇぇえ!?!」
『あ、ゴミ漁り……』
ゴミ捨て場の隅には、薄汚れたゆっくりまりさがいて、私を見ながら汚い口を開けて何やら叫んでいた。
どうやらゴミを漁りに来た野良ゆっくりに遭遇してしまったらしい。
こっちを見て何やら汚い汁を撒き散らしてるゆっくりから視線をはずして、ゴミ捨て場に備え付けられているゴミ袋を一枚取る。
そしてこれまた備え付けられている、ゴム手袋をはめるとゆっくりを掴んでゴミ袋に突っ込む。
「ゃ! ゃべるのぜ! このまちさいっきょうのまりさに、こんなことして、ただですむと おもってんのかぜっぇえええ!!?」
袋に入れたら、後は口を硬く結んで、ゴミ捨て場の床に放り投げる。
「ゅべ!? な、なにを、するのぜ、も、もう、ゆるさな、ゆぎゅるべ?!」
最後にしっかり上から踏んで、これでお仕舞い。
あとは手袋を元の位置に引っ掛けて、マンション住民としての私の使命は完結だ。
『あー、間に合って良かった……』
ゴミ捨てとマンション住民の使命を終えて私は、行きとは正反対のまったり速度で部屋に戻った。
戻ったときには時間はちょうど良いくらいだったので、靴を履き替えて私はバイトへ出かけることにした。
『ん?』
「やべでね!? れいぶのおちびちゃんに、ひどいごどじないでぇぇええ!!」
「ちゃすけちぇぇぇええ!!」
バイト先であるコンビニに向かう途中、近道の公園を抜けようとしたときに、ふとゆっくりの声が聞こえて来たのでそちらに視線を向けた。
向けた先には、ダンボールの箱、おそらくはゆっくりの家が潰されていて、その前には一匹ゆっくりまりさが潰されていて、隣では涙を流す成体のれいむ、そしてれいむの視線の先には私と同じくらいの年齢の男性がいて、手に持った赤れいむを握ったり、指で弾いたりしていた。
『あー、ゆ虐、ね……あっ』
『あ』
さっき観たニュースが頭に思い浮かんで、ちょっと声に出してしまったら、それに反応して男性がこちらを振り向いて一瞬視線があった。
『…………ん、んん、ごほん、ちっ』
「ゆびぇ!?」
「お、おちびちゃあぁぁああん、だいじょうぶ? いたいとこない? だいじょうぶ?!」
誤魔化すような咳払いに、舌打ち一つして男性は赤れいむを放り投げると、いそいそと私から逃げるように公園から出て行った。
ここは小さな公園で、利用する人もそんなにいないので、虐待に来たのだろうけれど、タイミングが悪かったみたいだ。
舌打ちされた私は、肩を軽く竦めてまた歩き出した。
恥ずかしいくらいならしなきゃいーのに、そう思って首を捻り、バイト先に急いだ。
……。
…………。
『おつかれーっす』
『はい、お疲れ様です』
笑顔の無料配布を終えて、首をコキリとならしてバイト先であるコンビニから脱出する。
一緒にシフトに入った高校生に、りぐるコーデを誉められて若干テンションがあがっていたりする。
店長には『バイトの時は長ズボンが良いんだけど……』と注意されてしまった。
女子高生がスカートで来た時は注意しなかったくせに、カテゴリ分けするなんて失礼な、とちょっと憤慨。
しかし、まぁ、概ね楽しくバイトを終わらせた私は、コンビニで適当にパンを買って近道に使った公園に向かった。
お腹が空きすぎているので、軽く食べたい気分だったりしたのだ。
公園に一つしかないベンチに座り、買ってきたサンドイッチの包みをあけて頬張る。
『何でかくせになるんだよねぇ、コンビニのサンドイッチって』
何か悪いものでも入っているんじゃないかと不安になりながらも、食べる手は止まらない。
美味しい物は身体に悪いのかも知れない、とかも考えていても手は止まらず、あっと言う間に食べ切ってしまった。
『次は何にしようかな……』
「ゅゆ! そこのクソにんげん!」
『ん?』
袋の中を漁っていたら、いきなり声をかけられた。
甲高いその声に相手はゆっくりだろうと、チラッとそっちを見ると案の定ゆっくり、成体のゆっくりれいむだった。
それにしても妙に傷だらけなゆっくりで、頬には涙の痕が染み付いていた。
まぁ、ゆっくりなんて泣くのが仕事みたいなくらい泣いてるし仕方ないんだろう。
私はれいむから視線を外して、再びパン選びを再開する。
『甘いのは最後かなぁ』
「ゆぎぃい!! むしするなぁぁああ!! れいむはゲスでクズなクソにんげんにいじめられてかわいそうなんだよ! さっさとそのごはんさんよこしてね!」
何やら叫んでいるけど無視無視、ゆっくりは無視に限る。
黙々とパンを食べていく。
「きけぇぇぇぇええ!!! れいむにはかわいいおちびちゃんがいるんだよ! そのおちびちゃんもクソゴミにんげんにいじめられて いたいいたいなんだよ! かわいそうなんだよ! わかったかぁぁぁぁぁぁあぁあ!?!」
『この新作の美味しいなぁ……今度からこれ買お』
新発売とあったので買ってみたパンが予想外に美味しくて、びっくりしながらも簡単に食べきる。
袋の中を見るとまだパンがあったか、お腹は結構いっぱいになってしまった。
『さすがに買い過ぎたか……』
苦笑しながら立ち上がり、パンの袋を片手に歩き出す。
「ゆ?! どこいくの!? そのごはんさんおいていってね!」
『…………』
私の後ろをれいむはポヨンポヨン跳ねながら追ってきているようだった。
「とばれぇぇぇえええ!! それはれいぶのだぞぉおおおぉお!!」
『あー! うっさいなぁ! さっきから!』
「ゆびゅるべ!」
叫び声が癇に障ってついれいむを踏み潰してしまった、靴に汚い餡子がついてしまった。
『やっちゃった……うぇ』
かなりブルーになりながら、公園の水のみ場に向かい、なるべく内部に水を染み込ませない様に餡子を流していく。
ちょっとお気に入りの靴だったので、テンションの下がり方が半端じゃなかった。
『この公園人こないからゆっくり増えるんだよねぇ、あーあ、ん?』
ふと視線に気付いて視線を向けた先には、子ゆっくりサイズのまりさ一匹と、赤ゆっくりサイズのれいむが二匹いた。
かなりみすぼらしい格好で、こちらをじっと見てきていた。
向こうもこちらの視線に気付いたのか震えながら、ゆっくり口を開いた。
「お、おねーさん、おねがいが、あるのぜ、まりさたちにご、ごはんさんをください、なのぜ……」
子まりさはガクガク震えながらも、しっかり私に言葉を伝えてきた。
少しだけ考えて、袋の中にあったパンの一つを袋から出して、半分に割って放り投げてやる。
「ゅ、ゆわあああ!! ありがとうございますぅううぅうう!!」
涙を流しながら子まりさは何度も頭を下げてきたけど、私としては処分に近いのでどうでも良かったりする。
振り返りもせず公園を抜けて、そのままマンションを目指さないで、加工所ショップに向かう。
広めの明るい店内には、ゆっくりの飼育グッズから虐待グッズ、実際のゆっくり販売、それにちょっとエッチな道具やらまで何でも揃っている。
アイデア商品は面白い物が多いので私は良くここを利用させて貰っていた。
『オレンジ電池と、パン用のゆっくりと、くりーむきゅも買っとこ』
必要な商品を籠に放り込んでいく。かなり安いので、ついつい入れすぎてしまいガチになるが、どれも便利なので仕方ない。
それらを一通り購入して、ビニール袋を持ったまま店内を散策する。
ゆっくりコーデの服コーナーもあるので、そこもちょろっと見ようとしたが、若く可愛い女の子数人が試着したりして盛り上がっていたのでスルーして店の奥に進む。
『…………』
店の奥に進む。
『…………』
虐待コーナーの隣にある区画、入り口がカーテンで区切られたそこにゆっくり近づいていく。
興味もない虐待グッズを手に取ったりしてみながら、チラチラカーテンを見て、そして、すっと中に入る。
そう、ここはゆっくりアダルトグッズコーナー。
区画に誰もいないのを確認して急ぎ足で、愛用している〔舐めゆ〕を手に取り、内部カウンターに持っていく。
『…………』
『ありがとうございます……ポイントカードはお持ちですか?』
『え?』
普段なら何も言わずに買い終わるのに、何故か今日は急に声をかけられてしまった。
『ぁ、お、い、いえ、持ってないです、はい』
本当は持っているけれど、出すのが恥ずかしいので持っていないことにして話を終わらせようとしたが。
『でしたらお作りいたしますか? 使う度にポイントが貯まる便利なカードなんですけど』
『け、結構です』
早く切り上げてくれと本気で願いながら、顔が赤くなってしまうのが解る。
一応配慮でレジとカウンターは、お互いの顔が直接見えないようになってはいるが恥ずかし過ぎる。
そんな拷問のようなやり取りを終えて、そそくさと逃げ出すように店を出た。
内心で、例の店員さんを罵りながら、何となく持ってきた飼いゆっくりの購入カタログを見ながら歩く。
その中に、朝の青年が連れている紅髪のゆっくりが載っていた。
‘めーりん‘そう言うらしい、他のゆっくり見たいにしゃべることは出来ないが、人間の言葉は理解出来ていて、知能も高いらしい。『へぇ、飼い易そうなんね……』
ちょっと本気で購入を考えながらマンションに帰還。
買ってきた荷物をそれぞれの場所に収納して、紙袋に入れて貰った舐めゆを取り出す。
これは加工所で作られたゆっくりで、基本的には寝ているがしばらく揺すると起き出して、その、まぁ、舐めだすものなのだ。
元は男性用に作られたらしいけれど、どうしてか女性人気のがあるらしい。
そんな私も結構な頻度で買ってしまっている、何故なら毎日のように使っているので直ぐに駄目になってしまうのだ。
ちょっと前に壊れてしまい、今日やっと買うことが出来てテンションが変なあがり方をしていた。
他人に見せられないニヤニヤ顔をしながら、舐めゆを握り締め……。
『お風呂前に、一回、良いよね、久しぶり、だしぃ……♪』
私は、そっとトイレに向かい、そっと戸を閉めた。
……。
…………。
………………。
終わり。