結縄(けつじょう)
英quipu
英quipu
『言語学大辞典術語』
結縄という言葉は,中国の古典の一つである『易経』の「繋辞伝」という篇の「上古結縄而治」という文句に出ている.上古,まだ文字のなかった時代に,縄の結び方で,物を数えたり,簡単な事柄の記憶の便に供して政治に役立ったというのである.この文句は,そのような結縄の存在の記憶を示すものであるが,現実には,ペルーのインカ帝国や日本の沖縄など,いろいろな所にも行なわれていた.アメリカのオリエント学者ゲルプ(I. J. Gelb)によると,文字の原形には,その文字の表わす語の意味する物を図形に描き出す面と,その図形が記憶され,その都度同定される面の2つが必要であったという.結縄(キープ)は,この記憶,同定の機能からいえば,文字の先駆者と考えられる.
結縄という言葉は,中国の古典の一つである『易経』の「繋辞伝」という篇の「上古結縄而治」という文句に出ている.上古,まだ文字のなかった時代に,縄の結び方で,物を数えたり,簡単な事柄の記憶の便に供して政治に役立ったというのである.この文句は,そのような結縄の存在の記憶を示すものであるが,現実には,ペルーのインカ帝国や日本の沖縄など,いろいろな所にも行なわれていた.アメリカのオリエント学者ゲルプ(I. J. Gelb)によると,文字の原形には,その文字の表わす語の意味する物を図形に描き出す面と,その図形が記憶され,その都度同定される面の2つが必要であったという.結縄(キープ)は,この記憶,同定の機能からいえば,文字の先駆者と考えられる.