表記(ひょうき)
英writing, 仏écriture, 独Schreiben
英writing, 仏écriture, 独Schreiben
『言語学大辞典術語』
writingという英語の名詞は便利な言葉である.元来は「書くこと」であるが,それが「文字」の意味にも使われる.日本語ではそうはいかない.{文字}はあくまでも「書かれた文字」であって,「書くこと」にならない.その点,古典中国語の{書}は英語のwritingと同じく,どちらにもなる.そこで日本語では,「書くこと」の方に何らかの漢語が必要となってくる.その穴を埋めるのが{表記}である.これはまた,書記ともいう.
writingという英語の名詞は便利な言葉である.元来は「書くこと」であるが,それが「文字」の意味にも使われる.日本語ではそうはいかない.{文字}はあくまでも「書かれた文字」であって,「書くこと」にならない.その点,古典中国語の{書}は英語のwritingと同じく,どちらにもなる.そこで日本語では,「書くこと」の方に何らかの漢語が必要となってくる.その穴を埋めるのが{表記}である.これはまた,書記ともいう.
ある言語を文字に書く,その書き方を「表記法」という.そして,正式に国家ないし社会が規範として定めた表記法を「正書法(orthography)」という.