バリカンの旧友

「くそーっ!一体どうしようってんだ!オレはバリカンの友達だぞ!」


第61話「バリカンの旧友が尋ねてきた」に出演。

達の通う学校に突如現れて、帰宅途中の研に自らバリカンの古い友人だと称し、半ば強引な形で泉家に押し掛ける。
因みに正しくは「訪ねて」なのだが、「君は泉研君だろう?」「君んとこにバリカンってロボットいるだろ?」
「尋ねて」いるので、ある意味間違いではない。

なぎさ先生や当の旧友に関する記憶のないバリカンを怒らせる程の馴れ馴れしい発言や厚かましい態度といい、
色々とうさん臭さ溢れる事この上ないのだが、泉家の面々は(パパを除いて)彼を本物の「バリカンの友人」と信じて疑わなかった。
恐らく頭身やアホっぽさ、どことなく発するウザさ等にバリカンとの共通点を見出したのであろう

その後、バリカンが公園内で盗み聞きをした人間に扮するジュラル星人達の会話により、
旧友が実はジュラル星人の手下で、夜の7時に自爆する予定の「爆弾ロボット」である事が判明する。
しかし、真相を知り捕われたバリカンがキチパシーによって研に危険を知らせた為、ボルガ式解決法の餌食となり処理された。

因みに頭部のプロペラを使って飛行する事が可能だが、研に投棄された時には何故かその事を忘れている。
また、夕飯時に研が「(バリカンが帰ってくるまで)もう少し待とうよ」と言った際に物凄く悔しそうな表情を浮かべたが、
絵コンテの方でも(本編と同じシーンが描かれてはいるが)その件については触れられていない。
(※以下、編集者による個人的な解釈が含まれています)
+ ...
旧友にとっての最大の不幸は、「バリカンの友人」という非常に回りくどい体裁を取り繕う為に
バリカンが持つ「人間に近い感情」の回路をジュラル星人によって植えつけられた点であろう。

片や「人間の家族として暮らすロボット」。片や「殺人兵器として自爆する事を運命づけられたロボット」
泉一家と(擬似的に)触れ合った事により、皮肉にも旧友は知らず知らずの内に自分とバリカンとの立場の違いを思い知らされる事となる。
そして研のバリカンに対するキチガイ気遣いにより、旧友は(「友人」と名乗っていながら)一言も会話を交わす事の
なかったバリカンの存在を(嫉妬という形とは言え)初めて強く意識し始めたのである。

仮に旧友がこれまでにジュラル星人が産み出したロボット達や人形のジェーンの様に「ただ操られるだけの存在」であったならば、
自分の存在意義や確実に訪れる運命に不満を抱く事も、ましてや(同族である)他者を羨む事もなかった筈なのである。
この夕食時の一連のシーンは、スタッフが旧友の「兵器であるが故の悲哀」を描くつもりであった事の証左なのであろう。

…もっとも、ただ単に御馳走が食べられなくて悔やんでいただけなのかも知れないが。
最終更新:2017年07月18日 23:49