もうすぐ放送が始まる。
DIOの言葉に嘘偽りは無く、事実そう口にしてから僅か数分後のことだ。
晴れ渡る青空を鉛色の雲が覆い隠し、島中にチャイムが鳴り響いたのは。
6時間ごとの定時放送を知らせる合図。
緊張で身を竦ませる甜花、忌々しそうに頭上を睨み付けるヴァニラ。
部下達とは正反対に至って涼しい顔で、DIOは主催者の言葉を静かに待つ。
DIOの言葉に嘘偽りは無く、事実そう口にしてから僅か数分後のことだ。
晴れ渡る青空を鉛色の雲が覆い隠し、島中にチャイムが鳴り響いたのは。
6時間ごとの定時放送を知らせる合図。
緊張で身を竦ませる甜花、忌々しそうに頭上を睨み付けるヴァニラ。
部下達とは正反対に至って涼しい顔で、DIOは主催者の言葉を静かに待つ。
『初めまして、殺し合いに参加している皆さん』
中央付近に浮かび上がった巨大モニター。
更には施設や民家に設置された全ての画面のある機器。
そこに映し出されるは仮面の怪人物でも、笑みを浮かべた青年にも非ず。
青白い肌をした異形。
主催陣営の新顔が登場して尚も、DIOには微塵の動揺も無し。
斉木空助が現れた時から殺し合いを仕組んだのは複数人いると分かっていたのだ。
今更一人二人増えた所で騒ぐ程の事ではない。
更には施設や民家に設置された全ての画面のある機器。
そこに映し出されるは仮面の怪人物でも、笑みを浮かべた青年にも非ず。
青白い肌をした異形。
主催陣営の新顔が登場して尚も、DIOには微塵の動揺も無し。
斉木空助が現れた時から殺し合いを仕組んだのは複数人いると分かっていたのだ。
今更一人二人増えた所で騒ぐ程の事ではない。
参加者達からのリアクションを知った事では無いとばかりに、ハワードと名乗った異形は伝達事項を口にする。
前回同様に死亡者と禁止エリアの発表、殺し合いを促進させるギミック、彼らにとってのアクシデント。
そしてハワード個人の夢を最後に再度チャイムが鳴り、二回目の放送は終わりを告げた。
前回同様に死亡者と禁止エリアの発表、殺し合いを促進させるギミック、彼らにとってのアクシデント。
そしてハワード個人の夢を最後に再度チャイムが鳴り、二回目の放送は終わりを告げた。
「……」
映像が消え、聞こえるのは風の吹く音のみ。
雲が出て来たからだろう、放送前よりも頬を撫でる風は冷たい。
ほんの数秒前までモニターの浮かんでいた場所を見上げつつ、DIOは腕組の姿勢を解かずに沈黙を保つ。
手に入った情報は多い、一つ一つをじっくりと噛み砕き今後の方針に溶け込ませる。
雲が出て来たからだろう、放送前よりも頬を撫でる風は冷たい。
ほんの数秒前までモニターの浮かんでいた場所を見上げつつ、DIOは腕組の姿勢を解かずに沈黙を保つ。
手に入った情報は多い、一つ一つをじっくりと噛み砕き今後の方針に溶け込ませる。
発表された死亡者の中にDIOが標的と見定めている者達はいなかった。
空条承太郎。
目障りなジョースターの小僧であり、ザ・ワールドが真の力を取り戻すのに必要不可欠なスタンド使い。
桐生戦兎、杉元佐一、我妻善逸。
小癪にも自分へ傷を負わせた、しかし相応の力はあると認めざるを得ない連中。
何より殺してやりたい、ついさっき逃げた変態天使の姉畑支遁。
簡単に死ぬような男達では無いだろうとは分かっていたが、やはりと言うべきか全員健在。
ならばこのDIOが手ずから始末してやるまで。
生存している者達をどうするかはこれまでと何ら変わらないスタンスだ。
空条承太郎。
目障りなジョースターの小僧であり、ザ・ワールドが真の力を取り戻すのに必要不可欠なスタンド使い。
桐生戦兎、杉元佐一、我妻善逸。
小癪にも自分へ傷を負わせた、しかし相応の力はあると認めざるを得ない連中。
何より殺してやりたい、ついさっき逃げた変態天使の姉畑支遁。
簡単に死ぬような男達では無いだろうとは分かっていたが、やはりと言うべきか全員健在。
ならばこのDIOが手ずから始末してやるまで。
生存している者達をどうするかはこれまでと何ら変わらないスタンスだ。
一方で死亡した者達、今回放送で名を呼ばれた10名の内DIOが知っているのは2人。
正確に言えば一匹と一隻か。
どちらも自分の目の前で死んだ、というか片方は自分が首を斬り落とした相手である。
別段今更になって気にするような連中で無いとは思っていたが、放送で表示された元の肉体の画像には少々面食らった。
片や人間どころか小動物、片やそもそも生物ですらない。
正確に言えば一匹と一隻か。
どちらも自分の目の前で死んだ、というか片方は自分が首を斬り落とした相手である。
別段今更になって気にするような連中で無いとは思っていたが、放送で表示された元の肉体の画像には少々面食らった。
片や人間どころか小動物、片やそもそも生物ですらない。
(……本当に貨物船だったのか)
何故フォーエバーの体になった者は自らを貨物船と名乗ったのか。
殺し屋としての通り名でもなく、ニックネームなどでもない。
単純明快ながら予想外にも程がある答え。
貨物船は本当に貨物船だったから。
何を言っているのか分からないかもしれないがれっきとした事実。
殺し屋としての通り名でもなく、ニックネームなどでもない。
単純明快ながら予想外にも程がある答え。
貨物船は本当に貨物船だったから。
何を言っているのか分からないかもしれないがれっきとした事実。
人間以外にもスタンド使いが存在するのは知っている。
ジョースター一行のイギーや、DIOが館の警護を任せていたペット・ショップなどが分かり易い例だろう。
何より貨物船の肉体だったフォーエバーだって人間ではなくオランウータンだ。
だが貨物船は人間でも動物でもなく船、無機物ではないか。
スタンドを使えるようになったから貨物船に意思が宿ったのか、意思がある貨物船だからスタンドも使えたのか。
考えれば考える程意味が分からなくなる。
ジョースター一行のイギーや、DIOが館の警護を任せていたペット・ショップなどが分かり易い例だろう。
何より貨物船の肉体だったフォーエバーだって人間ではなくオランウータンだ。
だが貨物船は人間でも動物でもなく船、無機物ではないか。
スタンドを使えるようになったから貨物船に意思が宿ったのか、意思がある貨物船だからスタンドも使えたのか。
考えれば考える程意味が分からなくなる。
なのでDIOは早々に貨物船について思考を重ねるのを放棄した。
不可解な存在だろうと既に死んでいるのだ、生きている者へは何の影響も与えない。
不可解な存在だろうと既に死んでいるのだ、生きている者へは何の影響も与えない。
また貨物船の正体程の驚きは無いが、デビハムが実は小動物だったというのも中々に衝撃的だ。
ラブを嫌悪するハムスター。
文字にしてみても意味が分からない。
それを言ったらサキュバスの風俗店をレビューする天使や、動物に性的興奮し強姦する変態なども大概ではあるが。
ラブを嫌悪するハムスター。
文字にしてみても意味が分からない。
それを言ったらサキュバスの風俗店をレビューする天使や、動物に性的興奮し強姦する変態なども大概ではあるが。
疑問はあるが貨物船もデビハムも所詮は死者。
長々と連中に関しての考察に費やした所で時間の無駄。
長々と連中に関しての考察に費やした所で時間の無駄。
前回の組み合わせ名簿と同様、また殺し合いを有利に進めるシステムが導入された。
モノモノマシーンとやらを使えば何らかの道具が手に入る。
元々支給されたエターナルメモリやホレダンの花粉のように役立つ物を入手可能ならば、利用しない手は無い。
それだと貨物船を殺したのは早計だったかと、ほんのちょっぴりの後悔が浮かぶ。
モノモノマシーンは参加者を殺した者なら一度だけ首輪を投入しなくても利用が可能。
ならPK学園で一人殺していた貨物船にも利用権は存在した。
貨物船にモノモノマシーンを先に使わせてから、改めて用済みとして始末するべきだったか。
そのように考えるが、貨物船は既に重症の身だったのを思い出す。
あれでは余計な荷物を抱えたまま移動するのと同じ、やはり殺しておいて正解だった。
それにモノモノマシーンの使用権は貨物船を殺したDIOにも有しており、回収可能な首輪が目の前に二つ転がっている為三回は確実に利用できるのだ。
モノモノマシーンとやらを使えば何らかの道具が手に入る。
元々支給されたエターナルメモリやホレダンの花粉のように役立つ物を入手可能ならば、利用しない手は無い。
それだと貨物船を殺したのは早計だったかと、ほんのちょっぴりの後悔が浮かぶ。
モノモノマシーンは参加者を殺した者なら一度だけ首輪を投入しなくても利用が可能。
ならPK学園で一人殺していた貨物船にも利用権は存在した。
貨物船にモノモノマシーンを先に使わせてから、改めて用済みとして始末するべきだったか。
そのように考えるが、貨物船は既に重症の身だったのを思い出す。
あれでは余計な荷物を抱えたまま移動するのと同じ、やはり殺しておいて正解だった。
それにモノモノマシーンの使用権は貨物船を殺したDIOにも有しており、回収可能な首輪が目の前に二つ転がっている為三回は確実に利用できるのだ。
問題はモノモノマシーンが設置された場所の方。
現在DIO達がいるエリアから北上すると行く事が出来る網走監獄に、一つ目が設置されている。
監獄と言うからには相応の広さと防衛設備が整っているだろう。
自分達がモノモノマシーンを使うついでにそこを拠点とし、モノモノマシーン目当てで近付いて来た参加者を待ち構えるのも一つの手。
なのだが面倒なことにD-1とD-2が禁止エリアに指定されてしまった以上、網走監獄へ向かうには遠回りしなくてはならない。
現在DIO達がいるエリアから北上すると行く事が出来る網走監獄に、一つ目が設置されている。
監獄と言うからには相応の広さと防衛設備が整っているだろう。
自分達がモノモノマシーンを使うついでにそこを拠点とし、モノモノマシーン目当てで近付いて来た参加者を待ち構えるのも一つの手。
なのだが面倒なことにD-1とD-2が禁止エリアに指定されてしまった以上、網走監獄へ向かうには遠回りしなくてはならない。
余計な事をされたと思いながら地図を取り出すと、南西の森林エリアにこれまで無かった施設名が追加されているのを見つけた。
偶然とはいえ今のDIOには好都合。
よってここはモノモノマシーンのもう一つの設置場所、地下通路を目指す。
こちらもすぐに到着可能という距離では無いが、南下した際にはジョースター邸にも立ち寄れる。
DIOとも因縁深いあの屋敷があるのはF-4。
杉元との戦闘で火事が起きた森林エリアに有り、わざわざ火の中に突っ込む気も無いので探索を諦めていた。
その問題は直に降る雨が解決してくれる。
放送でハワードが火事の勢いが弱まり鎮火するかもしれないと言ったのは記憶に新しい。
あのようなどこか含みのある言い方をしたのは、暗に火事になっていた森林エリアが探索可能になったと伝えたかったのだろうか。
であればジョースター邸だけでなく、他にも何らかの施設が存在するのかもしれない。
最悪森林エリアの探索が無駄足に終わったとしても、火事が弱まり地下通路に入れるならそれで問題無し。
偶然とはいえ今のDIOには好都合。
よってここはモノモノマシーンのもう一つの設置場所、地下通路を目指す。
こちらもすぐに到着可能という距離では無いが、南下した際にはジョースター邸にも立ち寄れる。
DIOとも因縁深いあの屋敷があるのはF-4。
杉元との戦闘で火事が起きた森林エリアに有り、わざわざ火の中に突っ込む気も無いので探索を諦めていた。
その問題は直に降る雨が解決してくれる。
放送でハワードが火事の勢いが弱まり鎮火するかもしれないと言ったのは記憶に新しい。
あのようなどこか含みのある言い方をしたのは、暗に火事になっていた森林エリアが探索可能になったと伝えたかったのだろうか。
であればジョースター邸だけでなく、他にも何らかの施設が存在するのかもしれない。
最悪森林エリアの探索が無駄足に終わったとしても、火事が弱まり地下通路に入れるならそれで問題無し。
とは言ったものの今すぐ地下通路へ向けて出発する訳ではない。
DIOを含めて全員が体力を消耗している。
ここは一度PK学園に戻って体力を回復させるなどの準備をしておく。
あと一時間もすれば雨が降る、ならハワードの言った通りレインコートなり傘なりもPK学園で手に入れておくべきだろう。
体を冷やして無駄にコンディションを低下させる必要もあるまい。
雨具が見つからなければエターナルに変身すれば良い。
もしかしたらPK学園で休んでいる間に甜花を奪還すべく戦兎達がやって来るかもしれないが、その時はその時だ。
纏めて返り討ちにし、柊ナナを奪うのみ。
DIOを含めて全員が体力を消耗している。
ここは一度PK学園に戻って体力を回復させるなどの準備をしておく。
あと一時間もすれば雨が降る、ならハワードの言った通りレインコートなり傘なりもPK学園で手に入れておくべきだろう。
体を冷やして無駄にコンディションを低下させる必要もあるまい。
雨具が見つからなければエターナルに変身すれば良い。
もしかしたらPK学園で休んでいる間に甜花を奪還すべく戦兎達がやって来るかもしれないが、その時はその時だ。
纏めて返り討ちにし、柊ナナを奪うのみ。
これからどう動くかは決まった。
まずは死者二名が残していった支給品と首輪の回収を済ませ、PK学園に戻る。
地図を仕舞った主の考えを察したらしく、青い髪の少女がDIOの眼前で跪く。
まずは死者二名が残していった支給品と首輪の回収を済ませ、PK学園に戻る。
地図を仕舞った主の考えを察したらしく、青い髪の少女がDIOの眼前で跪く。
「DIO様。雑事は私が…」
「そうか。なら我々は先に学園へ行く。お前も済んだらそこに来い」
「そうか。なら我々は先に学園へ行く。お前も済んだらそこに来い」
主に余計な手間を掛けさせるなど以ての外。
ヴァニラの申し出に遠慮も感謝も抱かず、当然の事として受け入れる。
首を垂れたままの部下へ背を向け、傍らの甜花を伴いPK学園への道を引き返した。
ヴァニラの申し出に遠慮も感謝も抱かず、当然の事として受け入れる。
首を垂れたままの部下へ背を向け、傍らの甜花を伴いPK学園への道を引き返した。
「甜花、私達は先に戻っていよう」
「う、うん……。でも、いいの……?」
「構わないさ。色々あって君も疲れているだろうし、一刻も早く休ませてあげたいと思ったんだが…迷惑だったかい?」
「っ!う、ううん!そんなこと、ないよ……!」
「う、うん……。でも、いいの……?」
「構わないさ。色々あって君も疲れているだろうし、一刻も早く休ませてあげたいと思ったんだが…迷惑だったかい?」
「っ!う、ううん!そんなこと、ないよ……!」
愛する男が自分を気遣ってくれている。
姉畑に怒りを燃やしていた時とは違う、甜花の大好きなDIOらしい優しさ。
瞬く間に頬を染め、心が浮かれ出す。
学園を出発する前と比べたら幾分か精神的な余裕を取り戻し、甜花が喜ぶだろう言葉選びを行ったDIOは好青年のスマイル。
それが表面上のみである事は甜花以外の目には明らかだった。
姉畑に怒りを燃やしていた時とは違う、甜花の大好きなDIOらしい優しさ。
瞬く間に頬を染め、心が浮かれ出す。
学園を出発する前と比べたら幾分か精神的な余裕を取り戻し、甜花が喜ぶだろう言葉選びを行ったDIOは好青年のスマイル。
それが表面上のみである事は甜花以外の目には明らかだった。
戦闘と移動の疲れからかふらつきを見せる甜花の肩を抱き歩く。
真っ赤に茹で上がる少女と共に主が去り、残されたのは狂信者ただ一人。
散らばった物資を回収すべく、まずは胸から刀を生やした死体へと近付く。
真っ赤に茹で上がる少女と共に主が去り、残されたのは狂信者ただ一人。
散らばった物資を回収すべく、まずは胸から刀を生やした死体へと近付く。
その内心は、彼自身も驚く程に落ち着いていた。
◆◆◆
「お待たせしました、DIO様」
「構わん、入れ」
「構わん、入れ」
必要な物を全て回収し終え、ヴァニラは迅速にPK学園へと移動。
初めて訪れる施設であったが、地図に記されていた為特に迷う事なく到着。
中へ入ると人の気配が二つあるのを、校長室と呼ばれる部屋から感知。
許可を貰い入室、学校長専用の椅子に堂々と腰掛けるDIOの姿がそこにあった。
チラと視線をずらせばもう一人の存在も確認、来客用のソファーへ横になる少女。
スヤスヤと可愛らしい寝息を立てる甜花へヴァニラが向ける目は険しい。
DIOの眼前で呑気に眠りこけるとは何たる不敬。
部下が顔色を変えたのを目敏く見つけたのか、何でも無いようにDIOが言う。
初めて訪れる施設であったが、地図に記されていた為特に迷う事なく到着。
中へ入ると人の気配が二つあるのを、校長室と呼ばれる部屋から感知。
許可を貰い入室、学校長専用の椅子に堂々と腰掛けるDIOの姿がそこにあった。
チラと視線をずらせばもう一人の存在も確認、来客用のソファーへ横になる少女。
スヤスヤと可愛らしい寝息を立てる甜花へヴァニラが向ける目は険しい。
DIOの眼前で呑気に眠りこけるとは何たる不敬。
部下が顔色を変えたのを目敏く見つけたのか、何でも無いようにDIOが言う。
「寝かせておいてやれ。脆い人間の肉体だ、休まねば使い物になるまい」
「はっ。DIO様、まずこちらを……」
「はっ。DIO様、まずこちらを……」
差し出されたのは先程回収した複数の物。
デビハムに支給された大業物、秋水。
ワノ国の剣豪リューマの愛刀。
スリラーバークにてロロノア・ゾロが一騎打ちの末に手に入れ、後に閻魔と交換するまで振るわれた名刀である。
刀剣類への目利きが得意でないDIOからしても、強度と切れ味の異様な高さには感心を抱いたものだ。
デビハムの支給品はもう一つある。
アトラスアンクルという名のアクセサリーは、装着者の力を強化する効果を持つ。
デイパックに入っていた説明書を読んだヴァニラはこれも使えると判断、死体から剥ぎ取った。
鞘に納められた秋水とアトラスアンクルを受け取りデイパックへと仕舞う。
デビハムに支給された大業物、秋水。
ワノ国の剣豪リューマの愛刀。
スリラーバークにてロロノア・ゾロが一騎打ちの末に手に入れ、後に閻魔と交換するまで振るわれた名刀である。
刀剣類への目利きが得意でないDIOからしても、強度と切れ味の異様な高さには感心を抱いたものだ。
デビハムの支給品はもう一つある。
アトラスアンクルという名のアクセサリーは、装着者の力を強化する効果を持つ。
デイパックに入っていた説明書を読んだヴァニラはこれも使えると判断、死体から剥ぎ取った。
鞘に納められた秋水とアトラスアンクルを受け取りデイパックへと仕舞う。
支給品以外にヴァニラが献上したのは死体から回収した首輪が二つ。
念の為にとデビハムの肉体に関するプロフィール用紙もだ。
それらも同じく自身のデイパックへ放り、DIOは改めて跪く部下を見やる。
念の為にとデビハムの肉体に関するプロフィール用紙もだ。
それらも同じく自身のデイパックへ放り、DIOは改めて跪く部下を見やる。
「ご苦労だったなアイス。では、改めて報告を聞こうか。お前の肉体である小娘についても含めて」
ヴァニラの全身が引き締まる。
避けては通れぬ質問だと分かってはいても、実際に聞かれれば緊張が顔に浮かぶ。
だが黙秘するなど断じて否だ。
たとえ自らの無能さを口にせねばならないとしても、DIOからの質問に無言を返すのは不敬どころの話ではない。
無意味に沈黙を続けて主を待たせるつもりもなく、意を決してヴァニラは口を開いた。
避けては通れぬ質問だと分かってはいても、実際に聞かれれば緊張が顔に浮かぶ。
だが黙秘するなど断じて否だ。
たとえ自らの無能さを口にせねばならないとしても、DIOからの質問に無言を返すのは不敬どころの話ではない。
無意味に沈黙を続けて主を待たせるつもりもなく、意を決してヴァニラは口を開いた。
自身に与えられた肉体、立神あおいの経歴と持ち得る能力。
キュアジェラートの力ならばDIOの肉体を傷付けず確保可能である。
上記に関してはDIOの体は殺し合いの参加者には与えられていないと本人から伝えられ、不要な心配だと気付いた。
最初の6時間で発見したフリーザの宇宙船という施設、一度だけ使える回復ポッドの存在。
宇宙船内で見たフリーザとギニューの情報。
参加者との遭遇は市街地で戦闘になったデビハム達が初めてである。
以上を説明すると、校長室には暫しの沈黙が流れた。
承太郎を始めとするDIOの障害をただの一人も始末していない。
失望されてもおかしくはなく、不要と見なされても当然。
このような役立たず、DIOの手を煩わせる前に自ら命を絶つべきか。
本気で実行に移しかねないヴァニラを引き留めたのは、ややあって放たれたDIOの言葉だ。
キュアジェラートの力ならばDIOの肉体を傷付けず確保可能である。
上記に関してはDIOの体は殺し合いの参加者には与えられていないと本人から伝えられ、不要な心配だと気付いた。
最初の6時間で発見したフリーザの宇宙船という施設、一度だけ使える回復ポッドの存在。
宇宙船内で見たフリーザとギニューの情報。
参加者との遭遇は市街地で戦闘になったデビハム達が初めてである。
以上を説明すると、校長室には暫しの沈黙が流れた。
承太郎を始めとするDIOの障害をただの一人も始末していない。
失望されてもおかしくはなく、不要と見なされても当然。
このような役立たず、DIOの手を煩わせる前に自ら命を絶つべきか。
本気で実行に移しかねないヴァニラを引き留めたのは、ややあって放たれたDIOの言葉だ。
「ふむ、まぁそういう事もあるだろう」
「は?…はっ!DIO様、私は…」
「アイス、お前の忠誠と能力に今更疑念を抱きはしない。大した成果を挙げていないと自覚しているのならば、これからの働きで挽回する。そうだろう?」
「はっ!この身を粉にし、DIO様に尽くす所存でございます」
「は?…はっ!DIO様、私は…」
「アイス、お前の忠誠と能力に今更疑念を抱きはしない。大した成果を挙げていないと自覚しているのならば、これからの働きで挽回する。そうだろう?」
「はっ!この身を粉にし、DIO様に尽くす所存でございます」
ヴァニラが思っていたような成果を挙げていない。
全く落胆しなかったと言えば嘘になるが、だからといってアッサリ切り捨てるのは愚行である。
超人的な身体能力と氷を操る能力を持つプリキュアの体、強力無比なスタンドのクリーム。
何よりDIOへの絶対的な忠誠心。
これらを併せ持つヴァニラを一時の感情で失うのは余りに惜しい。
殺し合いが中盤に差し掛かった現状、今後を考えればまだ必要な人材故にDIOはヴァニラを生かした。
全く落胆しなかったと言えば嘘になるが、だからといってアッサリ切り捨てるのは愚行である。
超人的な身体能力と氷を操る能力を持つプリキュアの体、強力無比なスタンドのクリーム。
何よりDIOへの絶対的な忠誠心。
これらを併せ持つヴァニラを一時の感情で失うのは余りに惜しい。
殺し合いが中盤に差し掛かった現状、今後を考えればまだ必要な人材故にDIOはヴァニラを生かした。
加えて参加者がどの地点からスタートするかは完全にランダム。
ならヴァニラのように誰ともロクに会えなかったという事態が起きるのも、分からんでもない。
ならヴァニラのように誰ともロクに会えなかったという事態が起きるのも、分からんでもない。
恭しく首を垂れるヴァニラへこれからどう動くかを伝え、雨具の確保と見張りを命じる。
ついでにもう一つ、学園内に死体がある筈だから首輪を回収しておくことも。
貨物船が殺した参加者の首輪は手付かずで放置していたのを思い出したからだ。
命令を受けたヴァニラは心なしか、先程よりも生き生きとした様子で退出して行った。
ついでにもう一つ、学園内に死体がある筈だから首輪を回収しておくことも。
貨物船が殺した参加者の首輪は手付かずで放置していたのを思い出したからだ。
命令を受けたヴァニラは心なしか、先程よりも生き生きとした様子で退出して行った。
パタンと扉が閉じられれば、後には小さな寝息と時計の針が規則的に音を立てるだけ。
完全なる静寂ではなく、されど耳を削ぎ落したくなる程の騒音にもあらず。
得られた情報を再度噛み砕き、咀嚼し、己の糧とするのに問題無い。
完全なる静寂ではなく、されど耳を削ぎ落したくなる程の騒音にもあらず。
得られた情報を再度噛み砕き、咀嚼し、己の糧とするのに問題無い。
フリーザの宇宙船。
ヴァニラの話では宇宙船内の機器を使いフリーザの画像を見ており、放送で姿を見せた異形と同じ容姿だと言う。
であれば、放送でハワードが自らの精神を閉じ込めた肉体と関係のある施設と見て間違いない。
と言っても現段階でDIOが宇宙船へ向かう優先度は低く、時間に余裕があれば一応行ってみる程度のもの。
肉体のみとはいえ主催者側にいる者の重大な情報を会場の一施設に置いてあるとは考えにくく、事実ヴァニラからも基準不明の戦闘力やら詳細不明の技名しか分からなかったと伝えられた。
フリーザに関する情報目当てで宇宙船を目指す価値は相当低いだろう。
唯一宇宙船へ行く価値を見出せるものとしては回復ポッドがあるが、一回しか使えないという点がマイナスだ。
ヴァニラが去った後で宇宙船を訪れた者が既に使ってしまったかもしれないし、今こうして考えている間に使われている可能性もある。
それに宇宙船は網走監獄と同じ、街から北のエリアに設置されているのも困りものだ。
禁止エリアを避けて向かわねばならず、時間をロスしたせいで他の参加者に回復ポッドを使われたとなっては目も当てられない。
現状、傷は負ったものの回復ポッドが必須な程でも無い為、やはり優先して宇宙船へ行こうという気にはなれなかった。
ヴァニラの話では宇宙船内の機器を使いフリーザの画像を見ており、放送で姿を見せた異形と同じ容姿だと言う。
であれば、放送でハワードが自らの精神を閉じ込めた肉体と関係のある施設と見て間違いない。
と言っても現段階でDIOが宇宙船へ向かう優先度は低く、時間に余裕があれば一応行ってみる程度のもの。
肉体のみとはいえ主催者側にいる者の重大な情報を会場の一施設に置いてあるとは考えにくく、事実ヴァニラからも基準不明の戦闘力やら詳細不明の技名しか分からなかったと伝えられた。
フリーザに関する情報目当てで宇宙船を目指す価値は相当低いだろう。
唯一宇宙船へ行く価値を見出せるものとしては回復ポッドがあるが、一回しか使えないという点がマイナスだ。
ヴァニラが去った後で宇宙船を訪れた者が既に使ってしまったかもしれないし、今こうして考えている間に使われている可能性もある。
それに宇宙船は網走監獄と同じ、街から北のエリアに設置されているのも困りものだ。
禁止エリアを避けて向かわねばならず、時間をロスしたせいで他の参加者に回復ポッドを使われたとなっては目も当てられない。
現状、傷は負ったものの回復ポッドが必須な程でも無い為、やはり優先して宇宙船へ行こうという気にはなれなかった。
尤もフリーザの宇宙船を発見したのが全くの無意味という訳でもない。
ヴァニラが宇宙船内で見たのはフリーザ以外に、別の者の情報もあった。
ギニューという、殺し合いの参加者として名簿に登録された男だ。
こちらもフリーザ同様そこまで詳しいプロフィールでは無かったらしいが、気になる点もある。
それがボディーチェンジ。ギニューの特技であり具体的な内容は不明。
しかし名前から察せられるのは、他者の肉体で殺し合うバトルロワイアルの特殊なルール。
一つの予感に駆られてデイパックより名簿を取り出す。
参加者を殺害した者にのみ与えられる、精神と肉体の組み合わせを記した特殊な名簿。
貨物船から献上されたのとは別に、自らの手で部下を始末したDIOにも同じ物がもう一冊支給されたソレを開く。
ヴァニラが宇宙船内で見たのはフリーザ以外に、別の者の情報もあった。
ギニューという、殺し合いの参加者として名簿に登録された男だ。
こちらもフリーザ同様そこまで詳しいプロフィールでは無かったらしいが、気になる点もある。
それがボディーチェンジ。ギニューの特技であり具体的な内容は不明。
しかし名前から察せられるのは、他者の肉体で殺し合うバトルロワイアルの特殊なルール。
一つの予感に駆られてデイパックより名簿を取り出す。
参加者を殺害した者にのみ与えられる、精神と肉体の組み合わせを記した特殊な名簿。
貨物船から献上されたのとは別に、自らの手で部下を始末したDIOにも同じ物がもう一冊支給されたソレを開く。
「…やはり、か」
名簿に記載されたギニューの肉体の名はケロロ軍曹。
おかしな話だ、何せケロロ軍曹とは最初の定時放送の際に死者として名前が発表された。
その時に精神として名を呼ばれたのは鳥束霊太なる少年。
だが組み合わせ名簿には鳥束の肉体の名は竈門炭治郎となっており、ケロロ軍曹とは一文字も合っていないではないか。
主催者のミス?絶対にあり得ないとは言い切れないが、ギニューについて知った今となってはその線は低いように思える。
恐らくだがギニューはボンドルド達とは別に、他者と肉体を入れ替える能力を有している可能性が高い。
スタンドとて最強と豪語するザ・ワールドもあれば、嘗て友との語らいで手に余ると言ったサバイバーなど固有の能力は千差万別。
それに参加者には杉元の体の少女のように、スタンド以外の特殊な力を持つ者も存在する。
なら肉体を入れ替える能力者がいたとしても、何らおかしな話ではない。
ギニューが本当にそういった力の持ち主だというならば、要警戒が必要だろう。
もし自分がケロロのような体と入れ替わってしまたらと考えると、DIOと言えども悪寒が走るのを抑えられない。
スタンドは変わらず使えるからと言って、あんなふざけた生物の体になるのは生理的にもプライド的にも抵抗がある。
おかしな話だ、何せケロロ軍曹とは最初の定時放送の際に死者として名前が発表された。
その時に精神として名を呼ばれたのは鳥束霊太なる少年。
だが組み合わせ名簿には鳥束の肉体の名は竈門炭治郎となっており、ケロロ軍曹とは一文字も合っていないではないか。
主催者のミス?絶対にあり得ないとは言い切れないが、ギニューについて知った今となってはその線は低いように思える。
恐らくだがギニューはボンドルド達とは別に、他者と肉体を入れ替える能力を有している可能性が高い。
スタンドとて最強と豪語するザ・ワールドもあれば、嘗て友との語らいで手に余ると言ったサバイバーなど固有の能力は千差万別。
それに参加者には杉元の体の少女のように、スタンド以外の特殊な力を持つ者も存在する。
なら肉体を入れ替える能力者がいたとしても、何らおかしな話ではない。
ギニューが本当にそういった力の持ち主だというならば、要警戒が必要だろう。
もし自分がケロロのような体と入れ替わってしまたらと考えると、DIOと言えども悪寒が走るのを抑えられない。
スタンドは変わらず使えるからと言って、あんなふざけた生物の体になるのは生理的にもプライド的にも抵抗がある。
ヴァニラからはギニューが主催者と繋がっている可能性もあると報告された。
ただこちらに関してはあくまで推測の域を出ず、ヴァニラ自身もあくまで可能性の一つという認識。
実際にギニューと遭遇した際に確かめてみれば良いとして、ギニューに関して考えるのはここまでとなった。
ただこちらに関してはあくまで推測の域を出ず、ヴァニラ自身もあくまで可能性の一つという認識。
実際にギニューと遭遇した際に確かめてみれば良いとして、ギニューに関して考えるのはここまでとなった。
「それにしても……」
険しい顔付きから一転、嘲笑を浮かべるDIOが思い返すは先程の放送。
肉体側の意識の復活という、主催者側にとっても予想外の事態。
何故そのようなアクシデントが起きたかはともかく、それをわざわざ参加者に知らせるとは。
あれでは自らの管理能力の杜撰さを露呈したも同然だろうに。
存外、ボンドルド達が開催した殺し合いには穴が多いのかもしれない。
肉体側の意識の復活という、主催者側にとっても予想外の事態。
何故そのようなアクシデントが起きたかはともかく、それをわざわざ参加者に知らせるとは。
あれでは自らの管理能力の杜撰さを露呈したも同然だろうに。
存外、ボンドルド達が開催した殺し合いには穴が多いのかもしれない。
とはいえ、連中の持つ力が今だ底知れないのも確か。
ならばDIOの方針に変わりは無し。
最後に勝利し笑うのはボンドルドでも、斉木空助でも、ハワード・クリフォードでもない。
このDIOが主催者すらも支配下に置き、奴らの力を一つ残らず手中に収めるのだ。
ならばDIOの方針に変わりは無し。
最後に勝利し笑うのはボンドルドでも、斉木空助でも、ハワード・クリフォードでもない。
このDIOが主催者すらも支配下に置き、奴らの力を一つ残らず手中に収めるのだ。
○
「これは…カエルなのか?」
机と椅子の残骸が散乱する教室にて、乾いた血の上に横たわる死体。
人間の幼子くらいのサイズをしたカエルらしきそれはケロロ軍曹。
今は亡き鳥束霊太がボディーチェンジにより精神を閉じ込められた体である。
人間以外が参加しているのを知ってはいたが、実際に奇妙な生物を目にするとやはり困惑を隠せない。
人間の幼子くらいのサイズをしたカエルらしきそれはケロロ軍曹。
今は亡き鳥束霊太がボディーチェンジにより精神を閉じ込められた体である。
人間以外が参加しているのを知ってはいたが、実際に奇妙な生物を目にするとやはり困惑を隠せない。
まじまじと見つめるもヴァニラはすぐにどうでも良いかと興味を失くす。
死んだ相手を長々と考えた所で何になるのか。
それよりDIOから受けた命令の方が重要、ケロロの首には未だ首輪が装着されたままだ。
キュアジェラートの能力で右手に冷気を纏わせる。
此度はデビハムやしのぶとの戦闘時で作った氷のブロックではなく、刃状へと変化。
右手を振るい首を斬り落とし、地面を転がる首輪を拾う。
これで一つ目の目的は果たせた。
支給品なども落ちてない以上、この教室に長居する理由も無く早々に出る。
死んだ相手を長々と考えた所で何になるのか。
それよりDIOから受けた命令の方が重要、ケロロの首には未だ首輪が装着されたままだ。
キュアジェラートの能力で右手に冷気を纏わせる。
此度はデビハムやしのぶとの戦闘時で作った氷のブロックではなく、刃状へと変化。
右手を振るい首を斬り落とし、地面を転がる首輪を拾う。
これで一つ目の目的は果たせた。
支給品なども落ちてない以上、この教室に長居する理由も無く早々に出る。
廊下を歩いている最中、ヴァニラが考えるのは定時放送で姿を見せた異形。
二度目となるフリーザの姿を目の当たりにした時、自分の中に絶望が広がっていくのを感じた。
宇宙船内で画像を見た時と同じ衝撃。
DIOに匹敵、或いは凌駕する悪のカリスマなのではないか。
あり得て良い筈が無い存在にまたもや自らの忠誠心が崩壊する音が聞こえ、その直後、フリーザが自らをハワード・クリフォードと名乗った瞬間ピタリと音が止んだ。
不思議な事にあれだけ自らを苦しめていたフリーザのカリスマを微塵も感じられず、その後はハワードが連絡事項を伝えるのをヴァニラ自身も驚く程冷静に聞いていた。
二度目となるフリーザの姿を目の当たりにした時、自分の中に絶望が広がっていくのを感じた。
宇宙船内で画像を見た時と同じ衝撃。
DIOに匹敵、或いは凌駕する悪のカリスマなのではないか。
あり得て良い筈が無い存在にまたもや自らの忠誠心が崩壊する音が聞こえ、その直後、フリーザが自らをハワード・クリフォードと名乗った瞬間ピタリと音が止んだ。
不思議な事にあれだけ自らを苦しめていたフリーザのカリスマを微塵も感じられず、その後はハワードが連絡事項を伝えるのをヴァニラ自身も驚く程冷静に聞いていた。
(…フン、やはり私のくだらん思い違いだったということか)
一時期はアイデンティティの崩壊の危機を招いたフリーザの存在。
それをヴァニラは単なる勘違い、或いは未知の生物を目にした事による動揺に過ぎないと片付ける。
考えてみれば当然の話だ。
世界を支配するに相応しいカリスマの持ち主が、ホイホイ簡単に生まれる筈が無い。
DIOに匹敵する存在など、まして凌駕する者などいる訳が無い。
だからこそDIOは唯一無二の悪の救世主として君臨しているのだから。
第一あのようにどこぞの馬の骨とも知れぬ輩へ体を奪われ好き勝手されている者が、DIOを超える悪な訳が無かろう。
主を信じ切れなかった己の脆弱な忠誠心を強く悔やみ、同時に決意する。
もう二度とフリーザにも、他の何者にも心を揺さぶれるような醜態は晒さないと。
それをヴァニラは単なる勘違い、或いは未知の生物を目にした事による動揺に過ぎないと片付ける。
考えてみれば当然の話だ。
世界を支配するに相応しいカリスマの持ち主が、ホイホイ簡単に生まれる筈が無い。
DIOに匹敵する存在など、まして凌駕する者などいる訳が無い。
だからこそDIOは唯一無二の悪の救世主として君臨しているのだから。
第一あのようにどこぞの馬の骨とも知れぬ輩へ体を奪われ好き勝手されている者が、DIOを超える悪な訳が無かろう。
主を信じ切れなかった己の脆弱な忠誠心を強く悔やみ、同時に決意する。
もう二度とフリーザにも、他の何者にも心を揺さぶれるような醜態は晒さないと。
(そうだ…頂点は常にDIO様ただ一人なのだ!)
ヴァニラにとって一つ幸運があるとすれば、主催者として顔を見せたのはフリーザ本人では無かった事だろう。
肉体こそは紛れも無く宇宙の帝王であっても精神は全く無関係の男。
それ故にフリーザ本人が持つ存在感、数多くの惑星を支配下に置いた帝王としての貫禄が失われている。
ハワードの精神が入ったフリーザを見たヴァニラが抱いたのは猛烈な違和感。
なまじ宇宙船で見た画像でフリーザのカリスマを感じ取っただけに、放送でのフリーザからは酷くちぐはぐな印象を受けた。
ある意味ではDIOと正反対の状態だ。
ジョナサンの肉体であろうと精神はDIOのもの、その為支配者のオーラとも言うべき存在感に当てられた参加者は複数いるのだから。
肉体こそは紛れも無く宇宙の帝王であっても精神は全く無関係の男。
それ故にフリーザ本人が持つ存在感、数多くの惑星を支配下に置いた帝王としての貫禄が失われている。
ハワードの精神が入ったフリーザを見たヴァニラが抱いたのは猛烈な違和感。
なまじ宇宙船で見た画像でフリーザのカリスマを感じ取っただけに、放送でのフリーザからは酷くちぐはぐな印象を受けた。
ある意味ではDIOと正反対の状態だ。
ジョナサンの肉体であろうと精神はDIOのもの、その為支配者のオーラとも言うべき存在感に当てられた参加者は複数いるのだから。
全ては自分の不甲斐なさが引き起こした勘違いである結論付けたヴァニラだが、果たして彼は気付いているのだろうか。
ただの勘違いであそこまで精神を揺さぶられはしない。
DIOという強烈な悪を知っているからこそ、画像だけでもフリーザが絶対的な支配者であると感じ取ったと言うのに。
何よりフリーザへの畏怖を勘違いで誤魔化し続けても、DIOへの忠誠に罅が生じた事実は変わらないのだ。
本人の気付かない所で罅は少しずつ、されど確実にヴァニラの心を蝕んでいた。
ただの勘違いであそこまで精神を揺さぶられはしない。
DIOという強烈な悪を知っているからこそ、画像だけでもフリーザが絶対的な支配者であると感じ取ったと言うのに。
何よりフリーザへの畏怖を勘違いで誤魔化し続けても、DIOへの忠誠に罅が生じた事実は変わらないのだ。
本人の気付かない所で罅は少しずつ、されど確実にヴァニラの心を蝕んでいた。
○
スタンド使い達の思惑を知らぬまま、甜花は眠り続ける。
一足先にPK学園に到着した際、うっかり欠伸を漏らしたのをDIOに見られた。
羞恥に顔を染めるとDIOからは無理せず寝ても良いと言われ、その優しさに胸が高鳴ったのは言うまでもない。
起きて少しでも長く大好きな異性の顔を見たり話をしたいという気持ちはあったが、度重なる戦闘や諸々の事態で心身ともに疲弊していたのもまた本当のこと。
それに甜花は元々お昼寝が大好きな少女、迷いはしたが最終的にはDIOの言葉に甘え睡眠を取る事にした。
ヴァニラと言う名の少女との関係をDIOに聞きたかったが、DIOは自分を無視して浮気に走るような男ではない。
きっと自分が心配するような関係では無い筈と己に言い聞かせ目を閉じ、数分もしない内に夢の世界へと旅立った。
一足先にPK学園に到着した際、うっかり欠伸を漏らしたのをDIOに見られた。
羞恥に顔を染めるとDIOからは無理せず寝ても良いと言われ、その優しさに胸が高鳴ったのは言うまでもない。
起きて少しでも長く大好きな異性の顔を見たり話をしたいという気持ちはあったが、度重なる戦闘や諸々の事態で心身ともに疲弊していたのもまた本当のこと。
それに甜花は元々お昼寝が大好きな少女、迷いはしたが最終的にはDIOの言葉に甘え睡眠を取る事にした。
ヴァニラと言う名の少女との関係をDIOに聞きたかったが、DIOは自分を無視して浮気に走るような男ではない。
きっと自分が心配するような関係では無い筈と己に言い聞かせ目を閉じ、数分もしない内に夢の世界へと旅立った。
「うゆ……なーちゃん……」
寝言で妹の名を呟くその顔は、幸せいっぱいなふにゃりとした笑み。
ここが殺し合いの場である事を忘れさせる、幸福に包まれた姿。
されど目を覚ました彼女を待ち受けるのは283プロダクションでの幸せな日々ではなく、邪悪の化身に利用される偽りの幸せ。
まやかしの愛に囚われた少女が解放される気配は未だ皆無。
だがその瞬間は近付いている。
ここが殺し合いの場である事を忘れさせる、幸福に包まれた姿。
されど目を覚ました彼女を待ち受けるのは283プロダクションでの幸せな日々ではなく、邪悪の化身に利用される偽りの幸せ。
まやかしの愛に囚われた少女が解放される気配は未だ皆無。
だがその瞬間は近付いている。
甜花は気付いていない。いや気付く事を恐れているのか。
先の放送で桐生戦兎の名が呼ばれず安堵したことを。
その戦兎が仲間と共に、甜花達がいるエリアへ向かっていることを。
先の放送で桐生戦兎の名が呼ばれず安堵したことを。
その戦兎が仲間と共に、甜花達がいるエリアへ向かっていることを。
◆
帝王は完全なる勝利を収めてはいない。
狂信者は自らの背信と真に向き合えてはいない。
少女は己を縛り付ける偽りの愛から解き放たれていない。
狂信者は自らの背信と真に向き合えてはいない。
少女は己を縛り付ける偽りの愛から解き放たれていない。
本当の夜明けは未だ訪れる事無く、誰もが先の見えぬ暗闇を藻掻き続けている。
【E-2 街 PK学園高校/日中】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:ジョナサン・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険
[状態]:ダメージ(中)、両腕火傷、疲労(大)、火に対する忌避感、姉畑支遁への屈辱と怒り(大・幾らか冷静にはなった)
[装備]:ロストドライバー+T2エターナルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、ジークの脊髄液入りのワイン@進撃の巨人、秋水@ONE PIECE、アトラスアンクル@ペルソナ5、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル×2、クリムヴェールのプロフィール、ピカチュウのプロフィール、天使の悪魔のプロフィール、デビハムくんの首輪、貨物船の首輪
[思考・状況]基本方針:勝利して支配する
1:学園で体力を回復させた後、G-3の地下通路へ向かう。
2:アイスと甜花を従えておく。
3:どちらも裏切るような真似をしたら、或いは役立たないと判断した場合も殺す。アイスにそれは無いだろうがな。
4:アネハタは必ず殺す。三度目は無いと思え。
5:学園から逃げた連中への苛立ち。次に出会えば借りは返す。(特にスギモト、戦兎、ピカチュウ(善逸))。
6:元の身体はともかく、石仮面で人間はやめておきたい。
7:承太郎と会えば時を止められるだろうが、今向かうべきではない。
8:ジョースターの肉体を持つ参加者に警戒。東方仗助の肉体を持つ犬飼ミチルか?
9:エボルト、柊ナナに興味。
10:仮面ライダー…中々使えるな。
11:少女(しのぶ)は…次に会う事があったら話をすれば良いか。
12:ギニューの能力が本当に肉体を入れ替えるのなら要警戒。
13:もしこの場所でも天国に到達できるなら……。
[備考]
※参戦時期は承太郎との戦いでハイになる前。
※ザ・ワールドは出せますが時間停止は出来ません。
ただし、スタンドの影響でジョナサンの『ザ・パッション』が使える か も。
※肉体、及び服装はディオ戦の時のジョナサンです。
※スタンドは他人にも可視可能で、スタンド以外の干渉も受けます。
※ジョナサンの肉体なので波紋は使えますが、肝心の呼吸法を理解していません。
が、身体が覚えてるのでもしかしたら簡単なものぐらいならできるかもしれません。
※肉体の波長は近くなければ何処かにいる程度にしか認識できません。
※貨物船の能力を分身だと考えています。
※T2エターナルメモリに適合しました。変身後の姿はブルーフレアになります。
※主催者が世界と時間を自由に行き来出来ると考えています。
※杉元佐一の肉体が文字通り不死身のものである可能性を考えています。
[身体]:ジョナサン・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険
[状態]:ダメージ(中)、両腕火傷、疲労(大)、火に対する忌避感、姉畑支遁への屈辱と怒り(大・幾らか冷静にはなった)
[装備]:ロストドライバー+T2エターナルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、ジークの脊髄液入りのワイン@進撃の巨人、秋水@ONE PIECE、アトラスアンクル@ペルソナ5、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル×2、クリムヴェールのプロフィール、ピカチュウのプロフィール、天使の悪魔のプロフィール、デビハムくんの首輪、貨物船の首輪
[思考・状況]基本方針:勝利して支配する
1:学園で体力を回復させた後、G-3の地下通路へ向かう。
2:アイスと甜花を従えておく。
3:どちらも裏切るような真似をしたら、或いは役立たないと判断した場合も殺す。アイスにそれは無いだろうがな。
4:アネハタは必ず殺す。三度目は無いと思え。
5:学園から逃げた連中への苛立ち。次に出会えば借りは返す。(特にスギモト、戦兎、ピカチュウ(善逸))。
6:元の身体はともかく、石仮面で人間はやめておきたい。
7:承太郎と会えば時を止められるだろうが、今向かうべきではない。
8:ジョースターの肉体を持つ参加者に警戒。東方仗助の肉体を持つ犬飼ミチルか?
9:エボルト、柊ナナに興味。
10:仮面ライダー…中々使えるな。
11:少女(しのぶ)は…次に会う事があったら話をすれば良いか。
12:ギニューの能力が本当に肉体を入れ替えるのなら要警戒。
13:もしこの場所でも天国に到達できるなら……。
[備考]
※参戦時期は承太郎との戦いでハイになる前。
※ザ・ワールドは出せますが時間停止は出来ません。
ただし、スタンドの影響でジョナサンの『ザ・パッション』が使える か も。
※肉体、及び服装はディオ戦の時のジョナサンです。
※スタンドは他人にも可視可能で、スタンド以外の干渉も受けます。
※ジョナサンの肉体なので波紋は使えますが、肝心の呼吸法を理解していません。
が、身体が覚えてるのでもしかしたら簡単なものぐらいならできるかもしれません。
※肉体の波長は近くなければ何処かにいる程度にしか認識できません。
※貨物船の能力を分身だと考えています。
※T2エターナルメモリに適合しました。変身後の姿はブルーフレアになります。
※主催者が世界と時間を自由に行き来出来ると考えています。
※杉元佐一の肉体が文字通り不死身のものである可能性を考えています。
【大崎甜花@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[身体]:大崎甘奈@アイドルマスターシャイニーカラーズ
[状態]:疲労(大)、胴体にダメージ(中)、DIOへの愛(大)、姉畑への恐怖と嫌悪感と怒り(大)、服や体にいくつかの切り傷、戦兎に対し複雑な気持ち、睡眠中
[装備]:戦極ドライバー+メロンロックシード+メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武、PK学園の女生徒用制服@斉木楠雄のΨ難
[道具]:基本支給品、甘奈の衣服と下着
[思考・状況]基本方針:DIOさんの為に頑張る
0:……。
1:DIOさん大好き♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥
2:あの人(姉畑支遁)……絶対に許さない…!
3:戦兎さん…DIOさんに酷いことしたのに……この気持ちは何で…?
4:ナナちゃんと燃堂さんも……酷いよ……。
5:なーちゃん達はDIOさんが助けてくれる……良かった……。
6:千雪さんと、真乃ちゃんまで……。
7:ヴァニラちゃんっていう女の子……DIOさんとどういう関係なんだろう……。
8:貨物船さん……死んじゃった……。
[備考]
※自分のランダム支給品が仮面ライダーに変身するものだと知りました。
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※参加者が並行世界から集められている可能性を知りました。
※ホレダンの花の花粉@ToLOVEるダークネスによりDIOへの激しい愛情を抱いています。
どれくらい効果が継続するかは後続の書き手にお任せします。
[身体]:大崎甘奈@アイドルマスターシャイニーカラーズ
[状態]:疲労(大)、胴体にダメージ(中)、DIOへの愛(大)、姉畑への恐怖と嫌悪感と怒り(大)、服や体にいくつかの切り傷、戦兎に対し複雑な気持ち、睡眠中
[装備]:戦極ドライバー+メロンロックシード+メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武、PK学園の女生徒用制服@斉木楠雄のΨ難
[道具]:基本支給品、甘奈の衣服と下着
[思考・状況]基本方針:DIOさんの為に頑張る
0:……。
1:DIOさん大好き♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥
2:あの人(姉畑支遁)……絶対に許さない…!
3:戦兎さん…DIOさんに酷いことしたのに……この気持ちは何で…?
4:ナナちゃんと燃堂さんも……酷いよ……。
5:なーちゃん達はDIOさんが助けてくれる……良かった……。
6:千雪さんと、真乃ちゃんまで……。
7:ヴァニラちゃんっていう女の子……DIOさんとどういう関係なんだろう……。
8:貨物船さん……死んじゃった……。
[備考]
※自分のランダム支給品が仮面ライダーに変身するものだと知りました。
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※参加者が並行世界から集められている可能性を知りました。
※ホレダンの花の花粉@ToLOVEるダークネスによりDIOへの激しい愛情を抱いています。
どれくらい効果が継続するかは後続の書き手にお任せします。
【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:立神あおい@キラキラ☆プリキュアアラモード
[状態]:疲労(中)、全身に切り傷、精神的動揺、DIOのカリスマへの僅かな疑問(無意識)、キュアジェラートに変身中
[装備]:スイーツパクト&変身アニマルスイーツ(ライオンアイス)@キラキラ☆プリキュアアラモード
[道具]:基本支給品、回転式機関砲(ガトリングガン)@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-、鳥束の首輪
[思考・状況]
基本方針:DIO様以外の参加者を殺す。
1:雨具を確保し学園での見張りをする。
2:参加者は見つけ次第殺す。但し、首輪を解除できる者については保留。
3:空条承太郎は確実に仕留める。
4:あの娘(甜花)は、DIO様に従うのなら自分から言う事は無い。
[備考]
※死亡後から参戦です。
※ギニューのプロフィールを把握しました。彼が主催者と繋がっている可能性を考えています。
[身体]:立神あおい@キラキラ☆プリキュアアラモード
[状態]:疲労(中)、全身に切り傷、精神的動揺、DIOのカリスマへの僅かな疑問(無意識)、キュアジェラートに変身中
[装備]:スイーツパクト&変身アニマルスイーツ(ライオンアイス)@キラキラ☆プリキュアアラモード
[道具]:基本支給品、回転式機関砲(ガトリングガン)@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-、鳥束の首輪
[思考・状況]
基本方針:DIO様以外の参加者を殺す。
1:雨具を確保し学園での見張りをする。
2:参加者は見つけ次第殺す。但し、首輪を解除できる者については保留。
3:空条承太郎は確実に仕留める。
4:あの娘(甜花)は、DIO様に従うのなら自分から言う事は無い。
[備考]
※死亡後から参戦です。
※ギニューのプロフィールを把握しました。彼が主催者と繋がっている可能性を考えています。
122:Ψ適解を答えよ! | 投下順に読む | 124:すべてがそこにありますように(前編) |
120:汚れなき子ども | 時系列順に読む | 119:さよなら絵美理 |
103:Lが呼ぶほうへ/矛盾に脳を惑わして | DIO | 124:すべてがそこにありますように(前編) |
大崎甜花 | ||
ヴァニラ・アイス |