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  • さよなら絵美理

チェンジ・ロワイアル@ ウィキ

さよなら絵美理

最終更新:2023年12月25日 23:53

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だれでも歓迎! 編集
♪ラデツキー行進曲







     エッチな獄中生活


             [入監]☚(クリック)
             [帰監]
             [出監]







『キャアアアアアアアアアアァァァァーッ!!!』(爆発)







どこにでもいるごく普通の特戦隊の隊長、ギニューは今、網走監獄の敷地内を歩いていた。
そんな時に、突如として声をかけられた。

『やあギニュー。ちょっとだけ話をしてもいいかな?』

それと同時に目の前に、前の放送直後の時の、ボンドルドが現れたのと同じようにホログラム映像が現れた。


「お前は…確か、斉木空助といったか。お前たち、今度は何の用だ」

現れたのは小野寺キョウヤの身体を使う男、主催陣営の一人の斉木空助だ。


『君、この監獄にあるモノモノマシーンを探しているよね。実はそれ、結構分かりにくい場所にあってね』
「何だと?」
『だから、君だけにはその場所を教えてあげようと思ってね。せっかくジョーカーってことになったんだし、これくらいなら別にいいかなって』

空助が…と言うよりは、主催陣営が今ギニューに接触した目的は、探そうとしていた物の場所を教えるためだった。
網走監獄は広く、建物の種類もそこそこ豊富なため、分かりにくいという言葉には説得力があった。

ここで探そうとしていたものが、わざわざ教えてもらわなければ分からない場所にあったという事実には少し苛つきを感じた。
だがそんなものだということは、他参加者が発見するのも難しく、ここで自分だけが独占できるかもしれないというのならば、今回の話はそこまで悪くないかもしれない。


『モノモノマシーンがあるのは教誨堂という建物の中の地下室。ちなみに教誨堂はあっちの方ね』

空助は教誨堂のある方に向けて指を差す。

『それから、こう書かれている看板があるからそれを目印にするといいよ』

空助はさらに、文字を書き込んだ手持ち式のホワイトボードを見せる。
そこには、「堂 誨 教」と書かれている。
この網走監獄が機能していた頃の日本では、横方向の文章は右から左に読んでいたためこう書かれた。
実際、教誨堂にはこう書かれた看板がある。


「なるほど、分かった。すぐにでもそこに向かおう。だが、もう一つだけ聞きたいこともある」
『ん、何?』

ギニューの言葉に空助は少しわざとらしく首をかしげる。

「何故今回はボンドルドではなくお前が来たんだ、斉木空助」

ギニューが気になったのはその点だ。
場所を教えるくらいなら別に、前と同じくボンドルドでも可能だったのではと思ってしまう。

『それはまあ、一人だけに仕事を集中させるのも何だしってだけのこと。あんまり気にすることじゃないよ』

空助はこれまでと同じよう軽薄そうに答える。
ボンドルドに何か他の役割があることを隠すために誤魔化しているのか、それとも本当に深い理由も無くただ労力を少し軽減しようと思っただけなのか、判断はつかない。


『じゃあ今回はこれで終わりだから、後はジョーカーらしく頑張ってね』

空助は一方的に話を打ち切り、ホログラム映像も切られる。
後にはギニューが1人ポツンと立ったまま残される。


(一先ず、さっさと教誨堂という所に行くか)

気持ちはまだもやっとした部分があるが、とりあえずは目的の場所に向かうことにした。
時間がかかると思ってたモノモノマシーンの捜索も、これで短縮できる。
マシーンが見つけて使用することができれば、宇宙船にもすぐ行ける。

ギニューは先ほど空助が指を差した方角に向けて歩き出した。

◆


「くそっ…!何で寄りにもよってこんなものが出てくるんだ…!」

結果的に言えば、ギニューは教誨堂に何とかたどり着き、モノモノマシーンを発見・利用することができた。

教誨堂内の地下室は、すぐにそれだと分かる入口が見つからなかった。
入ってすぐの広間の奥の方には左右二つの扉があった。
最初は右の方を調べてみたがそこには何もなかった。
後に探ってみた左の方が、件の地下室に繋がっていた。
やがて地下室内にあった牢屋の中で、モノモノマシーンを発見した。

モノモノマシーンに近づいたら音声が流れた。
流れたのは前の放送でハワードが言った通りな、神経を逆撫でする口調での説明だった。
予告されていたものではあったが、流石に実際に聞くと苛つく気持ちがどうしても出てしまう。
それでも一先ずは気にせずに、役立つ物を手に入れるため、マシーンのハンドルを回してみた。

最初の参加者殺害分の1回で出たのは、ギニューが望んでいたような武器類ではなく、瓶に詰められた黄緑色の薬だった。
一緒に出てきたこの薬についての説明書を読んだ時、ギニューは前述のような台詞を漏らしてしまった。

何とこの薬には、材料として「ガッツガエル」という種類のカエルが使われているらしい。
せっかくケロロの身体は捨てられたのに、カエルとの縁がまだ断ち切れていなかったようで、思わず声が出てしまった。

説明をよく読んで見ると、この薬は「スタミナ薬」といい、飲めばスタミナを一時的にだが元の上限以上に回復できるらしい。
要するに、疲労が無くなるだけでなく、一度だけなら普段以上に連続で激しい動作をすることができるということだ。
より簡単に言えば、かなり元気になれるということになるだろう。
武器ではないが、役に立つものである。

(だが…カエル、カエルかあ…)

しかし、ギニューはこの薬を飲むことに拒否感を抱く。
現状、かなり疲労している状態のギニューにとって、この薬の効果だけならかなり良いものだ。
けれども、材料にカエルが使われているとなると、たとえこの身体でいるのは一時的であるに過ぎないにしても、体内に取り入れるのには拒否感が現れてしまう。
自分が二度もカエルになってしまった経験があるから、なおさらだ。

◇

(……とりあえず、もう一度回すか…)

スタミナ薬を飲むかどうかは後にして、ギニューは主催陣営からもらった首輪一つ分マシーンを利用することにした。
首輪をマシーンの投入口に入れ、ハンドルをもう一度回した。

「これは…ただの料理か?」

次に出てきた物もまた、武器類では無かった。
出てきたのは、お盆に乗せられた、定食セットだった。
米が一膳、みそ汁一杯、そして何かの肉の生姜焼きだった。
それぞれが入ったお茶碗や皿の上にはラップが掛けられている。
ギニューはこの定食セットを、お盆の端に手をかけて持ち上げる。

そしてギニューはこれら3品の品の他に、一つのメモが一緒に乗っていることに気付く。
この紙に書かれているのが、この定食の名前のようだった。
メモに書かれているのはそれだけだった。

「マキマの生姜焼き定食?マキマという人物が作った、ということか?」

これはギニューの推測で、そのような説明が書かれていたわけではない。
名前以外にこの定食を説明する物は存在しない。
生姜焼きに使われている肉が何なのかも、ここで分かることは無い。


◇

「はぁ…上に戻るか…」

モノモノマシーンを回し終えたギニューは一つため息をつき、ここを出ることにした。
全体的な結果としては、ギニューが望んでいたようなものにはならなかったと言えた。
得られた物の一つはちゃんと役立ちそうな効果があるとはいえ、心情的にはあまり使いたくないと感じてしまうもの。
もう一つは、ただの食事セットにしか見えず、特別な効果があるようなものじゃなかった。
結局、殺し合いに直接役立ちそうな武器等は入手できなかった。
もしここで主催陣営が現れず、かなりの苦労の末にマシーンを見つけて利用したとして、結果が同じだったらと思うと、それよりはまだ良かったかもしれない。
そう考えても、気分が少し下がったままなのは変わらない。

ギニューは薬と定食セットをデイパック内にしまい、とぼとぼと歩きながら階段を登って地下室を出た。
そして教誨堂の広間も通りすぎ、建物の外に出ようと扉に手を掛けた。
雨音に書き消されそうなくらい小さく軋む音を出しながら、扉を半分程開けた、その時だった。

ギニューの身体の炭治郎の嗅覚が、ある匂いを捉えた。
雨の香りに紛れた微かなものだったが、確かに感じ取れた。
なぜならそいつは、教誨堂の直ぐ側に来ていたのだから。
ギニューが感じ取ったのは、血と、大きな殺意の香りだった。
同時に、ギニューは匂いのしてきた方向…上空へ向けてふと顔を向けた。
そこに、臭いの根源が居た。
ギニューは、そいつと目があった。



黄色い小さな雲の上に乗った、金髪でチンピラ風の容姿をした男がそこに居た。
男の顔には、青黒い血管のようなものが浮かび上がっているように見えた。
ギニューと目があった瞬間、そいつは手を自分の胸元にまで持っていった。

「いただきまあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっっっす!!!!!!」
『ヴヴン!!!!!』

チンピラ…絵美理は、自分の胸のスターターを引いてチェンソーの悪魔の姿へと変じ、食事に対する感謝の言葉を述べながら、ギニューの方へと突っ込んでいった。
殺意と、暴力と、破壊と、狂気と、混沌と、食欲と、あとその他諸々の化身とも言える存在が、そこに居た。


◆◆

絵美理がこの網走監獄まで来た過程は単純、
竈門家内である程度まで休み終わった後、筋斗雲に乗って全速力で山の中を突っ切ってここまで来た。
焼け焦げた生首は、特に役立てる方法が思い付かなかったので床の上に転がしたまま放置してきた。
ちなみに、最短ルートを行くため、方位磁石で方角を確認した後、竈門家の壁を一部壊して通り抜けて真っ直ぐに進んで来た。
それと、水に濡れた上着が重いと思ったので捨ててきた。
上半身裸になることに羞恥心は無い。
だって元からエッチな女の子だもん。
それにチェンソーマンは服なんて着ないし言葉も喋らないしやること全部滅茶苦茶だし。
絵美理は滅茶苦茶にベラベラ喋りまくってるけど。


ともかく、彼女はやがてこの網走監獄までたどり着き、その敷地内に侵入した。

絵美理は網走監獄に入り、適当なところからモノモノマシーンを探そうとした。
筋斗雲に乗っていた絵美理は、監獄に入るためにわざわざ正門から入る必要はなかった。
絵美理は監獄の周りを飛び回って中をある程度俯瞰した後、適当な壁の上から監獄内に突入したのだが、その壁の近くにたまたま教誨堂が存在していたのだ。
この網走監獄のどこに教誨堂があるかについては、ゴールデンカムイ原作の第136話を参照だ。

絵美理は、ギニューが教誨堂の出入口の扉を開けたタイミングで、その近くを通りすがるところだった。
扉を開ける音がかすかに聞こえたため、絵美理もそっちの方向に目を向けることができた。


絵美理は、先ほどからずっと人肉が食べたいと思っていた。
だからギニューを見つけた時、この人間を食べようと、直ぐに方針転換した。

◇

「うおあっ!!?」

突然現れ、襲いかかってきた敵対存在に対し、ギニューは驚きの声を出しながら咄嗟に横方向に避けた。
同時に、絵美理は半開きの状態になっていた教誨堂の扉をチェンソーで破壊しながら、建物内へ突入した。

攻撃を避けられた絵美理は勢い余って、筋斗雲ごと教誨堂の奥の方へと行ってしまう。
だがすぐに体勢を立て直しギニューの方へと向き直る。
ギニューもその間に、少し慌てながらも竈門炭治郎の日輪刀を鞘から抜き、敵の方に向き直る。
その際の少しの移動で、ギニューは先ほど破壊された出入口を背に向ける形になる。


「三枚下ろしだあああああああああああああぁぁぁぁぁぁーっ!!」

絵美理は再び入口近くのギニューの方へと突撃してくる。
右腕のチェンソーを振り上げ、ギニューを切り裂こうとしてくる。

それに対しギニューは体勢を整え、今使える技の中で、相手の攻撃を受け止められるものを出そうとする。

――水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き

それは、水の呼吸の型の中で最速を誇る突き技だ。
この技が、今にも自分に届きそうなチェンソーに対応できるものとして、ギニューが咄嗟に出せたものだった。

突きにより、刀の切っ先と振り下ろされるチェンソーの刃がぶつかった。
回転する刃が刀を表面から削り、火花を出した。


「グ、ガアーッ!?」

刀とチェンソーがぶつかり合った瞬間、ギニューは後方に吹っ飛ばされた。
絵美理の方が、パワーで上回っていたからだ。
よく鍛えてある竈門炭治郎の肉体だが、現在の疲労状態も相まって、悪魔の力と、ある細胞に感染している今の絵美理の怪力には敵わなかった。
だが絵美理の方は何事もないというわけではない。
チェンソーが刀とぶつかった反動で絵美理の頭よりも後ろの方に押され、彼女もよろめき、筋斗雲と共に後退させられていた。
その勢いは、ギニューよりは少し弱かった。

ギニューは勢いで、絵美理が破壊した教誨堂の出入口から外に押し出される。
けれども、地面が雨によりぬかるんでいたが、よろめきながらも、そこに何とか着地する。

「ぐっ…!いきなり何だ!誰だお前は!」

着地したギニューは、相手に対し思わずそう叫ぶ。
今の状況に、まだついてきれていないようだった。

「なんだてめぇはだああああああぁぁぁ~~っ!!?」

絵美理はそれに答えようとする。

「我が名は絵美理!どこにでもよくいるごく普通のエッチな女の子だ!ただし…エッチはエッチでもHellの方だがなあああああああぁぁぁーっ!!」

絵美理が返したのは、彼女のお決まりの前口上(ちょっとアレンジver.)だった。

「そう言う貴様こそ何者だああぁーっ!貴様が『柊』かああぁーっ!!」
「ヒイラギなんぞ知るか!俺はフリーザ様直属のギニュー特戦隊の隊長、ギニューだ!」
「そうですか。違いましたか。まあ、別にどうだっていいですけどね」

絵美理の方が逆に聞き、ギニューはその問いに即興のポーズをとりながら答えた。
だが自分から聞いておきながら、その答えには興味が無さそうに、絵美理は一瞬だけスンと静かに話す。
ギニューが勢い余ってフリーザについても喋ってしまっているが、絵美理はその点に関しても全く気にかけていない。
そして静かになったのは、本当に一瞬だけだった。

「私は今…とても腹が空いている!そして…すごく人肉が食べたい気分だ!だから…貴様を食らって、我が血肉とする!!」

◇◇

(何なんだ、こいつは…)

ギニューは絵美理の言動に対し、そう思った。

この網走監獄に自分以外に人が来ること自体はそもそもあり得たことではあった。
この施設にモノモノマシーンがあるという連絡は参加者全員に向けて通達されていた。
だが、自分の次にここを訪れたのがよりにもよってこんな奴になるとは思ってもなかった。

見た目と実際の性別が合っていないことは、この殺し合いにおいては不思議なことではない。
しかし、何というか、さっきから必要以上にうるさすぎる。
口調も女らしくないどころか、安定していない感じがする。
それと自分を普通のエッチな女の子だとか言っていたが、先ほどからの発言の仕方からして普通とは遠すぎる思ってしまう。
大体エッチはエッチでもヘルの方だとか言っている意味が、ギニューには理解できない。
エッチとヘルを結びつけられない。
これまでこの殺し合いで出会ってきた女たちは皆ろくでもない女ばかりと思ったが、目の前の絵美理と名乗る女?は、そいつらを遥かに超えるろくでもなさかもしれない。

自分のことを食うと言っているのは、人間を補食するタイプの異星人の身体だからなのか、それとも精神の方の趣向なのか、その辺りも分からない。
気分だとか言っているから、聞いても詳しくは答えないだろうし、ギニューもそれについて聞くつもりはない。

突然『柊』なのかどうなのか聞いてきたのは、おそらく参加者の『柊ナナ』のことを指しているが、ギニューは一々そこを気にかけはしない。
会ってもいないしいずれは殺すかもしれない相手の知り合いのことなど、自分は知るかとしか言えない。
せいぜい、こんな奴が気にかける『柊ナナ』とやらはそれこそ一体どんな奴なのだろうかといったことが、脳裏に一瞬浮かぶが、今はそれについて詳しく考察する時ではない。
なおギニューは知らぬことだが、柊ナナは絵美理とは全く関係が無いし、実際には絵美理の方からのかなり身勝手な理由での一方的な因縁付けである。

何にせよ、ただ変な奴と扱えばいいのか、とんでもなくヤバい奴だとすればいいのか、絵美理についてどう思えばいいのかの判断がギニューにはつかなかった。

(だが、油断してはならない)

先ほどの打ち合いで、相手の身体のパワーをある程度実感した。
そこから思うのは、相手は現状の自分よりも、もしかしたら強いかもしれないことだ。
今戦うのは避けられそうにないのに、このままでは勝てない可能性もある。
この状況を切り抜けるために、ギニューは瞬間瞬間の判断を誤るわけにはいかなかった。

◆◆

「サイコロステーキにしてやるぜえええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇーっ!!!」

先に絵美理が動く。
腹が減っているからか、具体的な料理名を叫び、両腕のチェンソーを振り上げながらギニューの方に再び突撃してくる。

「うおあっ!?」

しかし一瞬、視界が遮られる。
大きな赤い布が、絵美理の頭部目掛けて覆い被さっていく。
これは、ギニューが投げたエドワードのコートだ。

「何だこんなものおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉーっ!!」

絵美理は頭と両腕のチェンソーを振り、コートをあっさりと間に切り裂く。
コートはバラバラになり、その破片が絵美理に降りかかる。

「ハンバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァーーーーッグ!!!」

そして開いた視界に捉えたギニューを絵美理は某師匠のお笑い芸人のように叫びながら切り裂こうとする。
具体的な肉料理名を何度も叫ぶのは、腹が空いているからだろうか。
ともかくとして、コートを投げたばかりでほぼ棒立ち状態のギニューに、チェンソーの刃が迫る。

――ヒノカミ神楽 幻日虹

「ハァッ!?」

しかしチェンソーが届いた瞬間、その攻撃が相手の体をすり抜けた。
その直後に、幻でも見ていたかのように消え失せる。

「どこ行きやがったああああああああああああああああぁぁぁぁぁーっ!!」

絵美理は辺りを見回し、消えたギニューを探す。
けれども、ギニューはすぐには見つからない。

ギニューは今、絵美理の背後に位置する教誨堂の入口付近に移動していた。
だがギニューはそこから絵美理に対して死角からの攻撃を行おうとしない。
今そうしても、気付かれて防がれてカウンターされる可能性の方が高いと判断した。
だからギニューは、ある決意する。

ギニューはデイパックの中から先ほど手に入れた薬瓶…スタミナ薬を取り出す。
このような状況になってしまった以上、もはやこの薬を飲むことについてうだうだ考えている場合ではない。
こんなカエル汁を飲むことに対して抱く忌避感も、今は耐えるしかない。

ギニューは絵美理がまだ自分の位置に気付いていない隙に、すぐさまこのスタミナ薬を飲み干す。
すると確かに、体から疲労感が消えていく感覚があった。
体中にエネルギーが満ち溢れる感じがした。
刻まれた傷や痛みまでは癒えなかったが、今はそれも耐えるしかない。

「そこかああああああああああああああああああぁぁぁぁーっ!!」

ギニューが薬を飲み終えると同時に、絵美理もギニューの位置に気付く。
もう一度、両腕のチェンソーを振るいながらギニューへと迫っていく。

――ヒノカミ神楽 炎舞

「ぐあぁっ!?」
「くっ…!」

しかし、ギニューに刃が届きそうになった瞬間、両腕とものチェンソーがギニューの刀によって弾かれた。
それだけでなく、チェンソーにかなり小さいがヒビも入っていた。
先の雫波紋突きの時と違い、絵美理の方も思わず声を漏らし、ギニューはあまり後退りさせられずにその場で踏みとどまれた。

ギニューが今出した技の炎舞は、大きな半円を描く斬撃を二度入れる連続技だ。
この技は本来一撃を躱されてももう一度狙えるようにするためのものだが、ここにおいてはそれぞれ別方向からせまるチェンソーをどちらも弾けるようにするために使われた。

チェンソーを弾かれた絵美理は、筋斗雲の上でバランスを崩しかける。
今回のギニューの攻撃は先と違い、たしかに絵美理に対抗できているようだった。
疲労感が無くなっている分、前よりもしっかりと刀を握り、地にしっかりと足を踏み込んで技を出せた。
そのため、筋力の差がある相手でも対応できていた。
そしてギニューは、今の打ち合いである事に気付く。

(こいつ…力に対して技術が伴っていない!戦闘に関しては素人か!?)

それは今から12時間ほど前にも、今のギニューと同じく鬼殺隊の全集中の呼吸の技術を持つ者も気付いたことだった。
絵美理は相手を殺そうとする気概だけなら自分をも超えそうだが、戦いのための技術ならば自分よりもはるかに格下であるとギニューは感じた。
両腕の凶器もただやみくもに振り回しているだけ、そこにこいつの隙がある。
スタミナ薬を飲んだ今なら、怪我がまだある現状でも勝機はある。
そう、ギニューは思った。

「この痣野郎おおおおおおおおおおおぉぉぉぉーっ!肉団子にしてやるううううううううううううぅぅぅぅーっ!!」

絵美理は学習していないかのようにチェンソーを振り回しながらまたも突撃をかます。
それに対しギニューは、後ろ向きに飛んで教誨堂内に戻りながら、その攻撃を避ける。
絵美理は勢いで、それを追う形になって彼女も教誨堂内に再び入る形になる。

「下ががら空きだ!」

――ヒノカミ神楽 陽華突

ギニューは、素早く筋斗雲に乗った絵美理の下の方に潜り込んだ。
そこからすかさず跳び上がり、刀を真っ直ぐと突き出しながら、上空にいる絵美理に向け一点集中の攻撃を仕掛けた。
この攻撃により、絵美理の足を傷つけながら彼女を雲の上からバランスを崩させて落下させるつもりだった。

だが、結果的に言えばそんなことにはならなかった。
ギニューの刀は『ガキィン』という金属同士がぶつかり合う音と共に受け止められた。

刀がぶつかったのは、絵美理の足からも飛び出て来たチェンソーであった。


「なっ!?」

ギニューは思わず、驚きの声を漏らす。
さっきから腕のチェンソーをブンブン振り回してはいたが、まさか足からも生えてくるとまでは想像していなかった。


「うおおおおおおおおおおおおおおおお肉まんんんんんんんんんんんんんんんんーっ!!」

刀を弾いた後も、絵美理は足のチェンソーの刃をそのまま回転させる。
ちなみに、彼女が発動させていた足のチェンソーは右足片方だけだ。

結果、足のチェンソーはそのまま絵美理の乗る筋斗雲を切り裂いた。

「んんんんなあああああああぁぁぁぁーっ!」

絵美理は、バランスを崩して筋斗雲の上から右足から落下し始めた。
足先のチェンソーを、下に向けながら。

「くっ!」

陽華突が失敗したギニューは跳躍による勢いがついたまま上昇、足のチェンソーへと頭から近づいていく。
チェンソーが触れそうになり、頭を咄嗟に横に振って避ける。
体の上昇に伴い、右耳にチェンソーの刃が掠め、肩の鬼殺隊の隊服を切り裂き、肩の肉をほんの数ミリ抉る。
そこで体の上昇は止まり、下に向かって落ちる。
絵美理はもう片方の足が筋斗雲に乗ってため、ギニューは彼女よりも早く自由落下、先に床の上へと着地する。
その直後に、自身のすぐ上で回転する凶器がそのまま自分に向かって落下して来ていることを認識する。
これもまたすぐに、後ろの方に向かって跳び、避ける。
そして、絵美理は右足で床の上を派手に切り裂き、破壊しながら着地する形になる。

「ふう、まさかこんなものが出るとは思いませんでした」

筋斗雲から落ちた絵美理は、急に落ち着いた感じになり、足のチェンソーも引っ込めた。


(まさか、こんなこともできるとは)

その様子を見ていたギニューは考える。
さっきは相手の足からチェンソーの刃が出るということまで想像が及ばず、危うく頭から切り裂かれるところだった。
しかもどうやら、相手の方も自分が足からも出せることをよく把握せずにやったみたいだった。

(やはり、ここは『アレ』をやってみるべきか)

ギニューは絵美理を倒すために必要な手段の一つについて考え始めていた。
早くフリーザ様の宇宙船に行くためにも、これをやるしかないと判断していた。
足のチェンソーのように、自分の知らない新たな技を急に出されるのを防ぐためにも、相手を早く倒すしかないと思い始めていた。
そのためにも、先ほどからこの教誨堂の建物の中になるべく誘導ようにしていた。
外の雨の環境では、足下が滑る可能性や、雨の匂いで相手の匂いが紛れて炭治郎の嗅覚を上手く扱えないかもしれないからだ。

そして今、絵美理が急に一瞬落ち着いたことで、ギニューも新たに呼吸を整える時間を作ることができた。
スタミナ薬による疲労回復も十分残っている、考えている手段である『技』を出すことは可能と思われる。

今切られた肩の痛みや体にある他の傷の痛みも含め、それにより体を動かすスピードも落ちるかもしれないが、それらを気にする暇はない。
とにかく、それに挑戦するしかないのだ。
以前の時は殆ど竈門炭治郎に操られた状態で行ったらしき最終奥義…ヒノカミ神楽、十三の型を。

◆◆

「ふぅ……もつ煮込みいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃーっ!!」

絵美理は一息入れた後、再びチェンソーを振り回しながらギニューの方へと向かってくる。

――ヒノカミ神楽 円舞、碧羅の天

「ぶおぉっ!?」

またまた、チェンソーの刃が弾かれる。
正面から弧を描く斬撃と、円を描く斬撃が両腕の凶器にぶつかる。
その刃に入っていたヒビが、先ほどより少し大きくなる。

――ヒノカミ神楽 烈日紅鏡、灼骨炎陽

「ぬうううううううううぅぅぅぅぅーっ!ナゲットオオオオオオオオオオォォォォーッ!!」

今度は、絵美理が防ぐ側に回る。
∞を描くような斬撃と、高速の回転斬りを、自分の体に直接届かないよう二つのチェンソーを動かし、守る。
チェンソーに入るヒビが、さらに大きくなる。

――ヒノカミ神楽 陽華突

「ぐうぅっ!カツッ!!」

先ほどもやられた飛び上がりの突き技を、今度は両腕のチェンソーを交差させて自分の胸元の真ん前で防ぎ、すぐにカウンターを仕掛ける。
チェンソーは回転する刃の近くだけでなく、側面から見ての中央辺りにも新たにヒビが入る。
カウンターもまたバックステップで避けられ、距離をとられる。

――ヒノカミ神楽 日暈の龍 頭舞い

「どわあああああああああああああああぁぁぁぁーーっ!!」

距離をとられたと思った瞬間にすかさず、ギニューは素早く接近しながら攻撃を仕掛けてきた。
絵美理がそれに対抗しようとして両腕を突き出し、刀とチェンソーがぶつかり合ったその時だった。
ヒビが遂に全体に周り、腕のチェンソーは両腕とも砕け散った。

――ヒノカミ神楽 斜陽転身

先ほどの技で絵美理の後方に移動する形になったギニューは、そこから跳躍する。
そのまま空中で身を捩り、体の上下と前後を反転させながら背後から絵美理の頚に向かって刀を振るう。

「まだまだあああああああああああああああぁぁぁーーっ!!」

しかし絵美理はすぐに首から振り向き、自分の体を回転させ、頭部のチェンソーを振り、それで刀を受け止めた。

――ヒノカミ神楽 飛輪陽炎

刀を弾かれた後のギニューは、空中で一回転した後着地し、すぐさま次の技を仕掛ける。

「ぱああああああああああああああああああぁぁぁぁーっ!?」

振られた刀は切っ先がまるで陽炎のように揺らぎ、絵美理からはまるで刀身が伸びたかのように一瞬見えた。
その不可思議な現象のせいで攻撃範囲が読めず、頭のチェンソーを防御のために使えず、咄嗟にチェンソーの無い腕を前に出すことしかできなかった。
結果、両腕の前腕部が刀により深く斬られた。
切断されるまでには至ってないが、肉だけでなく骨にも切れ込みが入れられる。
直接的な痛みを伴うダメージを受けた絵美理は、今までよりも更に大きく後退りさせられる。

――ヒノカミ神楽 輝輝恩光

そこからギニューは鋭く強く踏み込み、素早く剣を振り抜いた。
刀が再び、絵美理の首元目掛けて飛んでくる。

「寿司いいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃーっ!!!」

それに対し絵美理は頭を強く下に向けて振り、刀と頭部のチェンソーを再びぶつかり合わせる。

「ぐえええええええええええええええええぇぇぇぇーっ!?」

しかしここでも、絵美理の刃は破壊された。
両腕のものとは違い、頭部のチェンソーはこの二回目の激突で砕かれた。

◇

(いける…!)

ここまでヒノカミ神楽が繋がって、ギニューはそう確信する。
自分が目の前の化け物女(?)相手に勝てるということを。

主要武器であろう腕と頭のチェンソーを砕くことには成功した。
足のチェンソーはまだ残っているが、これだけで自分に対抗できるのは難しいだろう。
足を持ち上げて振り回すにしても、基本的に片方の足は地面に着けて立っていなければならない。

警戒するにしても、『透き通る世界』で相手がチェンソーを展開するタイミングは読めるだろう。
今回の戦いでのこの境地は、ヒノカミ神楽十三の型を行っている途中で入れている。
それにより相手の体の構造も把握できている。
相手は基本的な構造は人間のものと同じだが、外観からでも分かる頭部と両腕は透き通る世界でも違って見える。
足もチェンソーにしようものなら、実際に飛び出てくるよりも前に先に気付けるだろう。
あと、相手は心臓の形が普通とは違って何らかの生物のように見えることであるが、今のところはそれに何らかの特殊な動きがある様子は見られない。
せいぜい気になることがあるとすれば、最初にこの教誨堂の外で遭遇した時に変身の際に引いていたスターターと心臓が繋がっているところだろうか。
そこから導き出される答えとしては、相手の体からチェンソーを生やす能力は、特殊な心臓に由来するということだろうか。

ともかくとして、ギニューはこの瞬間有利な状況にいた。
相手の能力は心臓に秘密があるようで、そこを何とかしなければまたスターターを引くなりで砕いたチェンソーも復活する可能性は考えられる。
だがそうなる前に首でも心臓でも斬って捨ててしまえばいい。
もはや自分の完全勝利は揺るぎないものだと、そう思っていた。


◆


――ヒノカミ神楽 火車

ギニューは絵美理の真上に飛んだ。

(見えたぞ…隙の糸!)

上に飛んだ分、相手は自分に向けて残された足のチェンソーを届かせることは難しくなる。
まだ十二の型全てが繋がっているわけではないが、これで相手の首目掛けて刀を振るえる。
首を刎ねられて死なない奴はいない、これで今回の戦いは終わりだ。
そう思った瞬間だった。

『透き通る世界』が奇妙なものを捉えた。


「ばああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁーっ!!!」
「!?」

絵美理の体から、突如として蒸気が噴き出した。
同時に、『透き通る世界』で、絵美理の体の構造が一瞬で変化していく様子が見えた。
『隙の糸』も、その時切れた。

相手の体のまだ人間だった部分中に、青く変色した血管が次々と張り巡らされるように浮かび上がった。
そして、それらの部分もまた、通常の地球人類とは異なる形に変わっていった。

「刺身ィッ!!」
「うおっ!?」

絵美理の首元へと向かっていたはずの刀が弾かれた。
彼女はその刀を、自分の頭を振って弾いた。
既に、チェンソーは無いはずの頭でだ。

元から悪魔としての異形をしていたその頭部には、チェンソーとは違う、新たなものが生えていた。

頭から生えていることを鑑みれば、それは『角』と呼ぶのが適切だろうか。
それとも、本来それを持つ生物の体の部位の正式名称として、『顎』と言うべきだろうか。

絵美理の頭部から生えていたのは、まるでクワガタムシの顎のようなものだった。
この2本の突起が、まるで角のように出現していた。
先のギニューがヒノカミ神楽の火車を行おうとした際に刀がぶつかったのも、これのようだった。

そして、首からしたの胴体部分も、これまでのような人の肌が見えなくなり、まるで昆虫のような怪人のものになっていた。
腰の辺りには、それこそ昆虫が持つような肢のようなものがいくつか生えていた。
それは、本来の昆虫のものよりは大きかった。

◇

絵美理の体から突如として出現のは、溶原性細胞に感染した者が変貌するアマゾンの一種であるクワガタアマゾンの特徴である。
溶原性細胞により人が変じたアマゾンは、赤の他人同士でも似たような生物の特徴を備えた姿のアマゾンになることがある。
実際のクワガタアマゾンは、ある結婚式の途中だった花嫁が変貌したものしか確認されていない。
しかしここで、新たにそのクワガタアマゾンの力が発現した者が現れていた。

◇

「ヤバジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥーーーーッス!!」

ギニューが困惑している間にも、絵美理は更に新たな攻撃を仕掛けてくる。
前述した昆虫の肢が、ギニューに向けてかなりの速さで刺突するように伸びてきた。

「くっ!」

――ヒノカミ神楽 幻日虹

ギニューはその肢の刺突を、体を高速に捻り、回転しながら避ける。


「鍋ぇっ!マジ闇鍋えぇっ!!」

避けられた後も、絵美理は肢による刺突を連続で続ける。
四方八方に向け、ひたすら無差別に複数の肢を何度も突き出す。
ほとんどは教誨堂の壁に当たり、それを破壊し穴を開け、外で降る雨が見える。



――ヒノカミ神楽 炎舞

無差別な攻撃はやがて視界外にいたギニューにも迫る。
その向かってくる肢を、ギニューは炎舞で防ぎ、斬った。
それにより肢が二本、切断される。
しかしこれは、相手に対し致命的なダメージにはならない。

「そこかああああああああああああああああああぁぁぁぁーっ!肉だけカレエエエエエエエエエエエエエェェェェーーッ!!」

肢を斬られたことで絵美理はギニューの位置を把握する。
そこからさらに、肢を伸ばして刺突を仕掛ける。


――ヒノカミ神楽 円舞

それも何とか、ヒノカミ神楽の型で防ぎ、肢に切れ込みを入れる。
そして、ヒノカミ神楽十三の型も、円舞と炎舞が繋がり一周を果たしていた。


(よ、よし…これならまだ何とか…)

突如相手の体が、チェンソーに全く関係のない形に大きく変化したのは驚いたが、ギニューはまだ何とか対応できていた。
ヒノカミ神楽十三の型は十二の技を続けて繰り返すことに意味がある。
早期決着が難しそうだが、まだ自分が負けたわけではない。
そう思い、絵美理の方にギニューが目を向け、次の技を仕掛けようとした。

その時、絵美理は、怪物と化した腕を自身の胸の方に持っていった。
刀による腕の傷はそのままだが、彼女はその痛みに耐えながら指を胸のスターターに引っ掛けようとしていた。


(!…まずい!)

絵美理が今何をしようとしているのかをギニューは直感する。
おそらく、先ほど自分が砕いたチェンソーを復活させようとしているのだと。

先の肢を伸ばして刺突する攻撃のせいで、絵美理とギニューの距離は離されてしまっていた。
ギニューがここから攻撃するのと、絵美理がスターターを引くのとではどちらが間に合うのかは分からない。
今の絵美理にこのままチェンソーの復活を許してしまえば、どうなるのかは分からない。


(こうなったら…!)

ギニューは咄嗟に、あるものを絵美理に向かって投げつけた。
それは手に持つ日輪刀ではない。
貴重な武器はそう簡単に手放すわけにはいかない。

ギニューは今、自分が背負うデイパックの中に手を入れ、何かを掴み、それが何なのかを確かめずに投げた。
先ほどスタミナ薬を出した際に出し入れ口は開けっ放しだったため、手を突っ込むことはすぐできた。
そして今は、このデイパック内に武器になりそうなものは特に入っていない。
強いて言うならばバギブソンは攻撃に使えるものだろうが、それはさっと手に取って投げられるものではない。
今投げた物は、デイパック内の上の方にあったことから、おそらくは先ほどモノモノマシーンから入手したものの内のどれかだ。


「あたっ!?」

ギニューが投げた物は絵美理の頭辺りに当たった。
その時点で、胸のスターターはまだ引かれていなかった。

そして絵美理はここで、物をぶつけられた衝撃で怯むだけでなく、動きを止めてしまった。


さっき絵美理の頭にぶつかったものは、ギニューが手に入れたばかりの、生姜焼きが乗った皿だった。
絵美理の頭にそれが当たった後、衝撃でラップがずれ、中の生姜焼きは皿からこぼれ落ちた。
その生姜焼きは、皿が当たったことでのけぞって上向きになった絵美理の顔に落ちた。
その中から、衝撃に驚いて絵美理が開けた口の中に入ったものもあった。
絵美理はそんな生姜焼きをほぼ無意識に咀嚼、飲み込んだ。

その時絵美理は、こう感じた。
自分は、この生姜焼きを食べたことがあると。
生姜焼きは、前に食べた弁当とは違い、味を感じた。
舌の上で感じるこの味は、自分の記憶にはないはずなのに。
それに何だか、普通は食べ物に対しては抱かないようなこともこの生姜焼きに感じる。
言うなれば、これは異性に対する愛情…

と、絵美理が思った瞬間だった。


「スキありーーーーーーっ!!!!」


――円舞一閃

轟音と共に、高速の刃が彼女の首元目掛けて飛んできた。

◇

今ギニューが放った技は、ヒノカミ神楽十三の型に繋がるわけではない。
けれども、今放てる技の中で相手を仕留められる可能性が高いのはこれであるような感じがした。
これはかつて、竈門炭治郎が上弦の肆との戦いで編み出した、ヒノカミ神楽の円舞と雷の呼吸の霹靂一閃を組み合わせた技だ。
雷の呼吸の応用で、足に力を集中させて地面を蹴り、円舞に霹靂一閃の如き速度を乗せた技だ。


そして、ギニューはこれで遂に、絵美理の首に対し日輪刀の刃を通すことができた。
ギニューは生姜焼きが相手の口の中に入ることを狙って皿を投げたわけではないが、結果的に大きな隙を作ることができた。

「ふう…ようやく終わったか」

遂に戦いに勝利したと確信したギニューは、勢いで絵美理のいた場所を通り過ぎたままの所で、彼女を背に向けながら一息つく。
これでようやく宇宙船の方に行けると、安心した気持ちも出てくる。


後には、戦いの終わった静かな空間が残っていた。
…そう、どこか不自然なほどに不気味な静けさがそこにあった。


「………ん?」

ギニューも違和感に気付いた。
自分が首を斬ったはずならば、その首が落ちる音や、動かぬ死体となった相手が倒れる音が聞こえるはずだ。
しかし、そんな音が聞こえてくることはなかった。

ギニューはゆっくりと振り向いて、自分の背後の様子を確かめた。




『ヴヴン』

「まだ首を斬られただけだああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁーっ!!!」


戦いはまだ終わっていなかった。
とにかくイカれているとしか形用できないその女は、未だしぶとくその場所に立っていた。

その姿は、異形から人の姿に戻っていた。
チェンソーの悪魔としてでも、クワガタアマゾンとしての姿も維持できていなかった。


振り向いたギニューが見たものは、太い銃のようなものをこちらに向けている絵美理の姿だった。

◆

絵美理は確かに、円舞一閃によって首を斬られたはずだった。
しかし、彼女はまだ生きていた。

彼女の今の身体であるチェンソーマンことデンジや、感染している溶原性細胞に、その秘密があるわけではない。
いや、これがデンジの身体だったりアマゾン化したりしてなかったらここに立って元気よく銃口を向けたりすることはできないのだろうが、その辺については後だ。
とにかく、絵美理がここで致命的な攻撃を耐えられたのは、彼女自身のその異常な精神性によるだった。

絵美理はかつて死の直前、自分の花婿候補に頭部を粉砕された。
しかし彼女はその時、即死せず頭が無いままに喋り、動けていた。
その時のような根性とも、不条理とも呼べそうなものが、発動していた。

チェンソーの悪魔の心臓を持つデンジは元々、致命傷を受けても、胸のスターターを引けば復活できた。
もちろんただではなく、体に血が十分に足りてないといけないが。
それに、完全に死んでいる状態であれば、他者にスターターを引っ張ってもらわないと復活はできない。
しかし絵美理は、そうなる前に自力で引いた。

隙を晒して首を斬られた直後、彼女の首から下は動き、まず両手が頭をキャッチした。
そして頭と首から下の断面を合わせ、片手で頭が吹っ飛ぶのを抑え、片手が胸のスターターを引いた。
それにより、斬られたばかりの首の切断面を、接着した。
ついでに、腕の斬られた部分の傷も一応塞がっていた。
なお、チェンソーは血が足りなくて再生できなかった。

首がくっついたことには、先ほどぶつけられた生姜焼きを食べることができたのも幸いした。
本来悪魔は、肉ではなく血を摂取することで回復する。
しかし今の絵美理は悪魔の(心臓を持つ)体だけでなく、アマゾン細胞の一種である溶原性細胞も保有している。
アマゾン細胞を持つ者…アマゾンはタンパク質、特に人のものを好む。
そしてアマゾンには、高い回復力を有する者もいる。
そんなアマゾン細胞が悪魔の体に感染・反応・融合…その際に、変異が起きた可能性がある。
今の絵美理は、タンパク質の摂取だけでもある程度血の代わりとなるかもしれない。
そして絵美理が食べたのは、人の形をした悪魔の肉だ。
首の接着のためならば、足りない分の血をこれで補うには十分と見られるかもしれない。


ここにあった精神が絵美理でなければ、こんなことにはならなかった。
彼女の前の死の時とは違い、頭部が粉砕されていなかったから成功した。
とんでもない無法で、インチキな、離れ業だが、今ここで実際に起きてしまった。
『そうはならんやろ』と言われても、『なっとるやろがい!』としか答えられない。
精神が身体の影響を受けるだけなのではない。
身体もまた、精神の影響を受けるのだ。

◇

首を治した絵美理は、直ぐ様に敵…ギニューを殺そうと思った。
それほどの、大きな怒りを感じていた。
自分を殺しかけたこともそうだが、それ以上に許せないことがある。

それは、自分に向かって生姜焼きの入った皿を投げつけて来たことだ。
自分にぶつかった生姜焼きは皿の上からこぼれ落ちた。
そのうちの少しは自分の口の中に入ったが、ほとんどは床の上に落ちた。
相手は、食べ物を粗末に扱ったのだ。
それに何故だか、この生姜焼きを乱雑に扱われたことが、自分の愛する者を乱暴にされたのと同じような気持ちになる感じがする。
絵美理はそのように錯覚していた。


だから、今すぐどんな方法を使ってでも確実にギニューを殺そうとした。
そのための手段として、これまで腰の方で装備状態にはあったが、使おうとしなかった武器を取り出した。
それを使おうとしなかったのは、これを当てることによる爆発で、相手の体の可食部が吹っ飛んで食べられない状態になることを考えてのことだった。
相手は以前これを喰らわせた奴のように体を鎧のようなもので覆っているわけではない、爆発の威力で台無しになる可能性は十分考えられた。

しかし、怒りに身を任せた絵美理はそんな風に考えていたことを忘れた。
とにかく相手をすぐに殺すことしか考えていなかった。
血が足りなくなってチェンソーをすぐに出せないこの状況、デイパック内から輸血パックやその他のアイテムを出す時間も惜しかった。

絵美理は腰から引き抜いたその武器…圧裂弾を構え、銃口をギニューに向けた。


「ポップコーンにでもなっちまいなあああああああああああああああぁぁぁぁーっ!!ンゴェャッヨ砲おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっう!!!」

絵美理は、思いっきり大嘘な技名を叫びながらその引き金を引いた。
圧裂弾は真っ直ぐにと、ギニューに向かって行った。


ヒノカミ神楽を繰り返していたギニューにはこれを避ける体力は残っていなかった。
スタミナ薬で回復した分も、もう使い切っていた。

ギニューが避けようとしない様子を見て、絵美理が勝利を確信したその瞬間だった。






「チェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンジ!!!!」

二人の世界が、変わった。


◆◇


その時、絵美理が見た光景は、信じられないものだった。
自分の目の前に、絶対にいるはずのない人物が立っていたからだ。

そこにいたのは自分が身体を使っていたはずの男、『デンジ』だ。


見えるはずのないものはそれだけではない。
視界に写ったのはほんの一瞬にも満たない時間、認識することなんて絶対に不可能なもの。

それは絵美理自身がさっき放ったはずの、圧裂弾だ。


目の前で立っているデンジも、圧裂弾を発射するための銃をその手に持っている。
それを持っていたのは自分のはずなのに。
デンジを姿をした奴は、これで終わりだとでも言わんばかりに、絵美理に背を向け蹄を返して歩き出す。


そして、絵美理はこれを認識することは終ぞ出来なかったが、彼女の意識が存在する身体も、変わっていた。
絵美理は、自分が戦っていた相手のギニューが身体に使っていた、『竈門炭治郎』になっていた。


ギニューと絵美理は、互いの身体が入れ替わっていた。


絵美理がそのことを理解する暇もなく、圧裂弾は今の彼女の身体である竈門炭治郎の腹の辺りに命中した。
弾は体内に撃ち込まれ、そのままそこで起爆した。
彼女/彼の身体は、オレンジ色の液体をまき散らしながら、内側から弾け始めた。



「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!!?!!!!?!!!!??!!!!!??!!!!!!!!!???!!」(CV:花江○樹)

『竈門炭治郎は1827381537354つの肉片に別れた!』
『絵美理は死に55631133927858324899021345438957649611335470526歩近づいた!』


状況を理解できないずに大混乱したまま、絵美理は断末魔にかつての花婿候補のピエロの鳴き声・奇声と同じ言葉を叫んだ。
激しい轟音・閃光と共に、彼女を中心とした大爆発が起きた。
周囲の床や天井、屋根までも巻き込まれながら、そこにあったものは全て吹っ飛ばされた。

こうして自分で引いた引き金により、彼女自身は全く訳が分かってないまま、自業自得に、


絵美理は生命活動を停止…死んだのだ。



【絵美理@エッチな夏休み(高橋邦子)(身体:竈門炭治郎@鬼滅の刃) 死亡】



◇◆

「ゼエ…ハア……あ、危なかった…!」

教誨堂内に後に残ったのは、周りが焼け焦げている床の大穴と、雨が入り込む天井の穴と、竈門炭治郎の身体に背負われていたデイパックが焼き飛ばされたことで散乱した中の荷物、
そして、どっと襲ってきた肉体的・精神的疲れからその場に膝をついて座り込んだ、デンジの身体を手に入れたギニューだった。
今回はかなり肝が冷えた。
この殺し合いの中では今までで一番かもしれない。


(……まるで、何ともなかったかのようだ)

ギニューは首をさすり、これが確かに傷もなくくっついていることを確認する。
今でこそこれは自分の体になっているが、取り替える前は確かにこれを斬ったはずだった。
けれど、今は傷痕一つも残っていなかった。
自分が斬り着けた腕の方の傷も、綺麗に消え失せていた。
まさか胸のスターターを引くことで再生するのがチェンソーだけでなく、致命的な傷までもだとは思っていなかった。

今回のボディ・チェンジは咄嗟のことで、元からやるつもりではなかった。
相手の身体はチェンソーやクワガタの能力を持っており、おそらく竈門炭治郎のものよりはスペックは高いとは思われたが、そこまで積極的にチェンジしようとは考えていなかった。
今のボディ・チェンジは一度使うと二時間使えなくなる、使用する際はもっと慎重にしたかった。
今の自分で殺せそうならば、それはそれで進めるつもりだった。

相手が腰に大きな銃を着けていたことにも気付いていて、警戒もしていたが、それを使われる前に倒せるはずだった。
しかし、まさか首を斬った直後にそれを治して、それからさらに銃を使ってくるとまでは流石に想像に及ばなかった。

そのおかげで、咄嗟のボディチェンジをするしかなくなった。
そうしなければ死んでいたのは自分だった。
この身体は竈門炭治郎のものより上手く扱えるかどうかは分からないが、切り替えていくしかない。

そのためにもまずは、この身体の人物のプロフィールや、デイパックの中にあるものを確認しなければならない。
その次には、今の爆発で元々自分が持っていたデイパックが破け、吹き飛ばされたことで散らばった中身を回収しなければならない。

それから、着替えも欲しいと思っている。
絵美理が服を脱ぎ捨てていたため、ギニューは今上半身裸だ。
正直なところ、寒い。
雨が降っているため、気温も下がっている。
何を思って服を脱ぎ捨てていったんだと、ギニューは思う。
だから、何か新しい服が欲しいと思っている。
この場所は監獄だ、囚人用か看守用といった服はあるかもしれない。
流石に囚人服は嫌ではあるが。


「そういえば…首輪はどこに行った?」

ここで言う首輪とは、自分が今着けているもののことではない。
この首は自分によって一度斬られたが、その際に外れてしまう前に治されたようだった。
と言うか、斬って外して治すということをやろうとした場合、主催がどのような動きを見せるかは分からない。

とにかく、今ここで述べられているのは絵美理の首輪の方の話だ。
身体を入れ替えたとはいえ、お互いに首輪は着いたままだった。
絵美理を死に追いやれたのだから、新しい首輪を回収してモノモノマシーンをもう一度使用できるはずだった。
しかし、目に見える範囲には首輪が無い。
そして、それが付いているはずの死体は爆散して消滅してしまったようだ。
そこから、ある可能性が考えられる。

「まさか、誘爆したか?」

実は、その通りだった。
竈門炭治郎の身体に着けられていた首輪は、圧裂弾の爆発に巻き込まれて誘爆、消失してしまった。


「くっ……!せめてこの体を手に入れられたことが幸いか…」

結果としては今回の戦いはギニューの勝利だったが、どこか晴れた気分にはなれない。
何か、勝ったような気がしない。
苛つきも感じている。
結局のところ、間一髪でボディ・チェンジができなければ自分は死んでいた。
相手が強力な爆発物を使ってきたせいで、自分の元からの荷物はバラバラになり、使えたはずの首輪も失われた。
服が無くて寒いため、服を探すという余計な手間をかけさせられることになった。
それに戦いの余波でこの教誨堂はあちこち破壊されてボロボロになっている。
外から見てもこのことはすぐに分かるだろう。
それにより他参加者が監獄を訪れた場合、ここで何かがあったのかと気になって近づき調べてみて、モノモノマシーンを発見するのに時間がかからないかもしれない。
こんなことになったのはどれもこれもあの頭のおかしすぎる女…絵美理のせいだった。

まだプロフィールを確認していない今、実際に戦ってみて感じられた強さしか身体の良いところは分からない。
それに他にやるべきだろうことが増えたせいで、宇宙船に行くのが更に遠ざかってしまっている。
この事実もまた、ギニューに対しストレスを与えてしまう。


「それに何だか…腹が減った」

ギニューは空腹も感じていた。
これは元々絵美理が感じていたものを、ギニューは引き継いでいた。
この身体には先ほどの戦いの際に生姜焼きを少し食べていたが、それだけでは足りなかったようだ。
そしてこの空腹を紛らわせるものは、すぐそこにあった。

◇

「これは…さっき投げた生姜焼き…」

ギニューは、自分が投げて絵美理の口に入らずに床に落ちた生姜焼きに目が釘付けになった。
この生姜焼きが、美味しそうに見えてきた。

『ゴクリ』

ギニューは唾を飲み込んだ。
床に落ちたものを食うなど、そんな浅ましい真似はフリーザ様直属の特戦隊隊長としてのプライドが許さないはずだった。

しかし、ギニューは思わずその生姜焼きに手が伸びた。
色んな疲れのせいもあるのか、思考力が低下しているようだった。

ギニューはほぼ無意識のうちに、床の生姜焼きを拾い上げ、それを口の中に運んだ。
ギニューもまた、生姜焼きを咀嚼し、飲み込んだ。

生姜焼きは、とても美味しく感じられた。
思わず、他に落ちている生姜焼きにも手が伸び、それらも次々に口の中へと放り込んでいった。


「………ハッ!お、俺は一体何をしているんだ!?ペッ!ペッ!」

正気に戻った時は、既に生姜焼きを平らげていた。
もう床の上に落ちていたりはしない。
ギニューは、自分が粗末にした分の後片付けをしたのだ。

慌てて吐き出そうと思っても、何故だかそんな気になれない。
汚れたものを口に運んだという思いはあるため、せめてのこととして唾を飛ばす。


「チッ…この体もかなり厄介な代物のようだな」

ギニューは今の自分の行動を身体に何か原因があると考える。
空腹ならば勝手に、無意識のうちに、例え汚れていても食べ物に手を伸ばしてしまうようでは扱いは難しいかもしれない。

よって、自分がやらなければならないことの内、優先順位を最初にするのはプロフィールの確認とした。
これからこの身体とは最低でも二時間は絶対に付き合わなければならない。
犬みたいな浅ましい真似を勝手にしてしまうのがそれなりに強い力を持つこの身体を捨てる理由にするには弱い、これで新たにボディチェンジするつもりがあるわけではない。
でも、念には念を入れて確認は必須だと判断した。

せめてもっと良い情報が手に入ればと思いながら、ギニューはデイパックの中からプロフィールを取り出し、内容に目を通し始めた。



【B-1 網走監獄 教誨堂内/午後】

【ギニュー@ドラゴンボール】
[身体]:デンジ@チェンソーマン
[状態]:肉体的疲労(大)、精神的疲労(大)、貧血、イライラ(中)、溶原性細胞感染、体質の変化、クワガタアマゾンの特徴の発現、空腹感(微小)、上半身裸、服・体が濡れている、姉畑への怒りと屈辱(暴走しない程度にはキープ)、ボディチェンジ使用不可(残り約2時間)
[装備]:圧裂弾(0/1、予備弾×2)@仮面ライダーアマゾンズ
[道具]:基本支給品、輸血パック×3(1つは3分の1程消費)@現実、虹@クロノ・トリガー、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、杖@なんか小さくてかわいいやつ、ランダム支給品0~1(童磨の分)
[思考・状況]
基本方針:ジョーカーの役割を果たしつつ、優勝し、主催を出し抜き制裁を下して、フリーザを完全に復活させる。
1:この身体(デンジ)のプロフィールとデイパック内にある他のものを確認する。
2:新しい服を監獄内で探す。
3:散らばった荷物を回収する。
4:何でこうもフリーザ様の宇宙船に行くのを後回しにしなければならないようなことばっかり起きるんだ…!結果的には勝ったのに全然スッキリしない…!
5:もしベジータの体があったら優先して奪う。一応孫悟空の体を奪うことも視野に入れている。
6:ヒノカミ神楽とかは今も使えるのか?
7:変態天使(姉畑)は次に会ったら必ず殺す。但し奴の殺害のみに拘る気は無い。
8:炎を操る女(杉元)、エネルギー波を放つ女(いろは)、二刀流の女(ジューダス)にも警戒しておく。
9:ここにはロクでもない女しかいないのかと思っていたが、さっきの絵美理とかいう頭のおかしいうるさい女と比べたら、他は全然マシなやつらだったかもしれん。
10:さっきの奴(絵美理)が気にしていたヒイラギにも少し警戒。
[備考]
※参戦時期はナメック星編終了後。
※ボディチェンジによりデンジの体に入れ替わりました。
※今後も全集中・水の呼吸、ヒノカミ神楽を今の身体で使用可能かどうか、透き通る世界が見れるかどうかは後続の書き手にお任せします。
※主催側のジョーカーとしての参戦になりました。但し、主催側の情報は何も受け取っていません。
※ボディチェンジは普通に使用が可能ですが、主催によって一度使用すると二時間発動できない制限をかけました。
※デンジの身体の参戦時期は、少なくとも第一部終了以降とします。
※オリジナル態の血液を摂取した為、溶原性細胞に感染しました。
※クワガタアマゾンの特徴が発現してきています。チェンソーの悪魔への変身時にもクワガタアマゾンの特徴が混じった状態になることがあるものとします。
※肉の摂取でも、ある程度は血の代わりになるよう体質が変化してきているものとします。
※溶原性細胞によるアマゾンの特徴として、特定の部位への執着があるかどうかは後続の書き手にお任せします。


※竈門家の中に遠坂凛(身体)の焦げた頭、デンジの上半身の服が放置されています。
※竈門家の壁の一部が人の通れるサイズに破壊され外に出られるようになっています。

※教誨堂内に【筋斗雲@ドラゴンボール】が二つに切り分けられた状態で存在します。元に戻して今後も使用可能かどうかは後続の書き手にお任せします。
※教誨堂は、出入口の扉が破壊され、壁にいくつかの穴、床と屋根・天井に周りの焼け焦げた大きな穴があります。
※【エドワードのコート@鋼の錬金術師】は破壊されました。
※マキマの生姜焼きが入っていた皿が教誨堂内の床に落ちています。
※竈門炭治郎の身体に背負われていたデイパックの中身(基本支給品、バギブソン@仮面ライダークウガ、プリンアラモード@現実、定食の残りの米とみそ汁)と【竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃】は教誨堂内かその周囲のどこかに爆風で飛ばされ散らばっています。それぞれどんな状態にあるのか、使用可能かどうかは後続の書き手にお任せします。
※竈門炭治郎(身体)の遺体は爆散して残っていません。また、そこに着けられていた首輪も誘爆により失われました。


[モノモノマシーンの景品紹介]

【スタミナ薬@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド】
ガッツガエルとマモノ素材を使って作成する薬。
飲むとがんばりゲージが上限を超えて回復する。

【マキマの生姜焼き定食@チェンソーマン】
デンジが作ったマキマの生姜焼き定食。
米、みそ汁、生姜焼きの三点セット。
どこの部位の肉を使っているかは不明。






◆◆◆
♪オーラ・リー(Aura Lee)


今回も厳しい戦いだった…だが我々は勝利したのだ!


絵美理…とても恐ろしい相手だった…
彼女の敗因は、相手の見方にブレを生じさせてしまったことだろう。

最初は相手のことを『食料』だと認識して、『狩り』のつもりで戦っていた。
しかし、最後の最期で相手を排除すべき『敵』と認識してしまった。

途中まで叫んでいた料理名は実際に調理できるつもりのものの名を叫んでいた。
しかし最後のポップコーンは…ただの比喩表現だった。

それほどまでに絵美理は相手に対して怒りを抱いていた。
けれども彼女が怒りを抱いたのは、相手が食べ物を粗末に扱ったからだ。
そこだけは、彼女の信念はズレていなかったことを示しているだろう。

今回の戦いでは米やみそ汁にプリンアラモードも犠牲になった可能性がある。
もしそうなっていたらそれらに使われた食材を育てたり、収穫したり等してくださった農家を始めとする生産者の方々にとても申し訳ない…
今できるのは、せめてもの無事を祈ることだけだ。


現代においても、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品が大量にある。
令和2年度のデータにおいては、年間522万tもあると推計された。

そんな食品ロスを減らすためには、一人一人の行動が大切だ。
例えばただ食べ残しをしないだけでなく、食べ物を買う際には消費期限の近いものを優先して購入・消費するといった方法もある。


そして日本には「もったいない」という言葉が存在する。
これは日本が世界に誇る文化の一つとして見られることもある。
この言葉を心に留めて、しっかりと食べて生きていきたい。


さて、今日の晩御飯は何にしようかな…



◇◇◇
♪ハンガリー舞曲 第5番 終奏







           おわり











『キャアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァーッ!!!!』(爆発)




118:待ち伏せという決断 投下順に読む 120:汚れなき子ども
123:Did you see the sunrise? 時系列順に読む 121:絶対絶望バースデー
110:腹ペコのエミリー 絵美理 GAME OVER
116:Dance In The Game ギニュー 127:チェンジ・チェンソー・アマゾン
113:消失と再誕の若おかみ 斉木空助 136:第三回放送

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  • 本スレ①:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12648/1615384066/
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