LAST RESORT 過去ログ.3

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ノイマン「ようこそ、イーティスくん 」


つれてこられた先でわたしを出むかえたのは、まっ白い部屋と大きなセツビたちでした。


わたしが知っているものとはすこしだけ形がちがいましたが、ひと目みれば、なんとなく使い方がわかります。


きちんとせいとんされていて、ほこり一つないそこからは、性格がちらりと見えた気がしました。
どうやら、ノイマンの研究室のようです。


そう……研究室なのに、論文や、そういった学術的な記録をのこした読みものは……見当たりませんでした。


イーティス「…… …… …… 」


わたしはがっかりした気持ちになりました。


おさないながらも、わたしだって同じ研究者のいちいんです。
心のどこかでは、見たこともないすごい論文や、あっとおどろくような発明品、技術をきたいしていました。


見せたいものとは何だったのでしょうか? そう思って、ノイマンの顔を見あげます。


ノイマン「……? 」

イーティス「あっ……う…… 」


目と目がぴったりと合うと、わたしはあわてて視線をおとします。うまく声をだすことができませんでした。
わたしに向けられる目には、たいていは悪意がいっしょだからです。


ノイマン「ふむ…… 」

ノイマン「まずは、お互いをよく知ることからだね。僕たちは、まだ遠い星の宇宙人同士のようだ 」


彼はそう言って棚においてあった、ちょっとした板をもってきました。


ノイマン「チェスのやり方はわかるかい? 」

イーティス「チェス…… 」


チェスがボードゲームであることはもちろん知っていましたが、
どういったルールかまではわかりませんでした。わたしは小さく首をふります。


ノイマン「大丈夫、キミならきっとすぐに覚えられる。さあ、そこに座って 」


なぜ、とつぜんチェスなのでしょう? 「お互いを知る」は、なぜなのでしょう?
人と人の間には、「言う人」と、「言う通りにする人」の関係があるだけなのに……。


「なぜ?」が頭の中からなくなりません。
ですが、お母さんに「なぜ?」を口にしたときの経験を体がおぼえているわたしは、ノイマンの言う通りに、イスにすわりました。







それからお日さまがしずんで、お月さまがのぼって。
おいかけっこをするように、何度かくり返していました。


わたしはチェスのやり方をりかいしました。
そして、いっしょに生活をしていく内にわたしは少しずつノイマンに心を開いていきます。


ノイマンとの対局は毎日つづきました。わたしはずっと負けっぱなし。
うん、それでも楽しかったのです。


ノイマンはどのコマをうごかすだろう? ポーンでようす見?
それともルークで攻めこんでくる? あのビショップをさそい出せるかな?


彼の考えることを想像するのが、こんなに楽しいだなんて。


時計のはりがチクタク、チクタク。


たたかっている間は、おたがいに一言だって話しません。
ですが、チェスを通して、わたしとノイマンは心で対話をしていたのです。


めったに口を開かなかったわたしも、少しずつ口数がふえて、
ふとしたことで笑い合うことも増えていきました。








それから一ヶ月。チェスのこともさらに深くわかってきます。


だからこそ、ノイマン先生との対局で5手と少し打ち合うと、
わたしはため息をついてイスを立つことが多くなりました。


そんなわたしを見ても、最初は先生もなにも言ってきませんでした。


ですが、7回目のわたしの投了で先生はついに聞いてきます。




ノイマンイーティス、まだ僕の駒はキミのキングに届いていないよ。もう止めてしまうのかい? 」

イーティス「はい。もう詰んでいると思います 」

ノイマン「どうしてそう思う? 」

イーティス「……わたしの手番から交互に言います。ビショップfの4。クイーンbの6。ナイトcの3――――ルークfの6、チェック。ナイトfの6。ビショップeの7……チェックメイト、先生の勝ちです 」


およそ30手先までの棋譜を頭の中で作りあげ、言葉にして伝えます。
何度やっても、わたしが負ける未来しか視えません。先生は目を丸くしていました。


ノイマン「しかし、本当のところは……まだ結果は誰にも分からなかったはずだ。キミも研究者であるなら当然承知しているだろうが、結果とは観測者がいて初めて存在できる。仮説は検証しなければ真実にはならないんだ


わたしは先生の話すことを、もっともであるとうなずきながら聞いていました。


ノイマン「……だが、素晴らしい。たった一ヶ月でそこまで至れたのは、キミの努力と経験の賜物だろう 」


そう言って、先生は手をわたしの頭上にかざします。


――――――――あ。


瞬間、わたしの体はびくりと跳ね、半歩引いて身を縮めます。それはほとんど反射でした。


わたしが、今まで得た経験から導き出された反射です。


ノイマン「………難儀だね。キミはこの手のひらを、そういう意味に置き換えてしまったのか 」

ノイマン「キミにとって、この手のひらは自分を傷つけるもので……自分の意思を肯定できず、”あたたかい言葉”はキミの心に冷たく響く 」

ノイマン「……そうだね。僕が、キミを改造人間にしてあげよう 」

ノイマン「いつか、この手のひらが温もりだと感じられるように。キミが、他の誰でもないキミ自身を認められるように――――

ノイマン「愛とはなにかを、わかるように


そう言うと先生はゆっくりと、わたしの髪をなでたのでした。















『 LAST RESORT 』








#3:水を吐き瓶を倒る













― 第3調査兵団・事務所(※改修中) ―




ライオット「…………(間抜けな表情で「ぁー…」と大口を開けながら、ボロボロになった事務所の外装を見上げていた) 」

アサギ「…………(同じく横で「ほげー…」としながら、改修作業中の事務所を呆然と眺めている) 」

ライオット「……まーさか俺たちがどんぱちやってる間に事務所が襲撃されてたなんてな… けど、この荒れ模様…どー見ても……―――― 」

アサギ「……っすね… どー見ても……――――― 」

ライオット&アサギ『   はかせの仕業だ / っす   』

ラタリア(※二人の脳内イメージ)「  てへぺろっ☆(・ω<)   」

ライオット「はぁ……まぁた派手にやってくれたよなぁ博士のやつ… とはいえ、事務所が直るまではしばらくは他所で世話になるらしいが…どうしたもんか…(着替え等の入ったボストンバッグを「よっこらせ」と掲げ直す) てかアサギ、お前どこ行くの? 」

アサギ「うちは第2っす!(キャリケースに腰かける) 」

ライオット「まじかよ、ガトウ先輩んとこじゃねえか。俺もなぁ~…せめてアルかレヴィか、知り合いのいるとこに配属されたかったが… 」

アサギ「先輩のとこは新設されたばかりの第10でしたっけ?あそこは施設が新しく充実してる上に、社食はどの部隊よりも豪華で美味らしいっすよ♪可愛い娘たちも多いみたいだし、よかったじゃないっすか~♪(ニヤニヤ)(ライオットの脇腹を肘で小突く) 」

ライオット「ん~~~…けどなぁ… 俺みたいなやつが来てもアウェイなんじゃないかって…ってうぉいやめろ(軽く突き放す) 」

アサギ「先輩は今どこいっても話題が持ちきりの有名人っすからね。仲間外れにされることはないんじゃないスか?ま、あたしはその先輩の先輩…すなわち、大先輩から先輩の恥ずかしい過去とかあれこれを根掘り葉掘り聞いてくれるんで、任せといてくださいよ~(にまにま) 」

ライオット「う゛ぉい!!何が任せといてくれだ余計なことすんじゃねえ!つーか、ガトウ先輩に失礼な態度とんじゃねーぞ!士官学校でお世話になったOBとはいっても、あの人は団長だし、政府本部でも大尉の階級持ってるんだ。舐めたことしてると…〆られるぞ…昔の俺のように……!(ガクガクブルブル)(走馬灯のように思い出される恐怖?の学生時代) 」

アサギ「(先輩のトラウマ…弱点が知れる絶好の機会かもしれない…絶対メモしとこ…)(恐怖?に怯えるライオットの影で眼鏡を光らせながら悪戯に笑う)でも先輩?肝心の目的を忘れないでくださいっすよ~?今回の団員研修配属制度の本当の狙いは…―――― 」

ライオット「……ああ…―――― "レギュレイター《 俺たち 》に潜む裏切り者の尻尾を掴むこと"、だろ。(いつになく真剣な眼差しで頭上を仰ぐ)事務所…いや、はかせの研究所が襲撃されたのは単なる偶然じゃない。俺やあいつ(イーティス)以外にも『ウォッチ』を持っていることも気がかりだし、それに…―――(先日相対したリベルの表情がちらつく)……"核心"に近づくためだ。警戒を忘れるなよ。 」

アサギ「あいあいさ~。(相変わらずのおちゃらけた態度で返す) 」

ライオット「っし…なら、行くか。一旦解散だ。何かあったら連絡しろよ。 」

アサギ「ういっす。先輩もお気をつけて~。 」


互いにグータッチを交わす二人。
それぞれの向かう先は正反対だが、向かうべき目的はただ一つであった――――



― 第10調査兵団・事務所 ―




ライオット「――― …と、いうわけで…!第3調査兵団から参りました、ライン・オーレットといいます!しばらくの間お世話になります。よろしくお願いしまぁす!(不慣れな挙動で90度にお辞儀する) 」

メトロライオットさんですね!お話は伺っております!あっ、私はメトロ・シモーネと申します!第10調査兵団ではメカニックとオペレーターを兼任しております!何か分からないことがあれば何でもおっしゃってください!お手洗いの場所からコンラード団長の口座暗証番号まで何でも教えますので!( *´꒳`*)(屈託のない笑顔で歓迎する) 」

コンラード「あー……ちなみに普段使用しているプライベートのカードの月上限額は100万ポッキリだ。最近は経費以外金を使う機会がめっきり減ったからこのカードなら好きなだけ買い物ができるとも。はっはっはっは……—————じゃないわッ!!(サンタのような笑顔から本場漫才に匹敵する成度のノリツッコミ) ん"ん"!……改めてようこそライン・オーレット団員。名乗るまでもないと思うが私が第10調査兵団団長、コンラード・ボルトーレである。最近よく勘違いされるがクック君ではなく、私が!団長だからね。間違えないでくれ給えよ君ィ 」

第10調査委兵団のマスコットキャラ・ニャオハ「食ってみな、立つぞ(お近づきのしるしに裂けるチーズを差し出す) 」

ライオット「(この人が第10の…そういえば、度々現場で目にするなと思ってたが…)う、ういっす…!(かしこまった態度でコンラードに)あ、あぁ…ありがとう。100万か…いざ使っていいとなるとすぐには思いつかないもんだな…(何(メトロに苦笑しつつ)うぉい裂けるチーズ!地味に美味いやつ!イタダキャス! ……にしても…(やっぱ綺麗だな、第10の施設って…俺らんとこより広いし、何より新設されただけあっていろんなものが取り揃えられてんな…)(挨拶の傍ら、施設内を見渡し感嘆する) 」

第4調査兵団団員「 こちらアギトさ……アギト戦闘員と氷川戦闘員の爆発に関するビル破壊損害賠償の申請書。で、こちらが件の爆発が両団員によるものでないことを証明する映像データの管理番号とアンロックパスです。こちら本部宛経理課へ……あ、こちらで請け負っていただけるんです?わかりました、お疲れ様です(—————申請受付と記載されたカウンターの職員に渡している。オペレーターやメディック、普段前線では基本非戦闘員に属する一部団員も受付を兼任しているようだ) 」

エドガー「すまない、これが不備があった申請書の修正分だ。それと第2に提供する共用トレーニング器具だが、他の団宛に提供する目度が着いた。予算案についてはそちらの第3予算案審議室まで回してくれ(銀行の受付に匹敵する長テーブル。窓口は番号が1~20番まであり、他の団員も含む多くが利用している) 」

メトロ「クック副団長は…ちょっと怖いですからね…いや、ちょっとどころじゃない、かも…あはは…(汗)第3調査兵団の件もお聞きしました。事務所が襲撃された時は心配しましたが…事務所の修理が完了するまではここを自由に利用していただいて大丈夫ですので!ラタリア博士は何かとお忙しいようなので…ガジェットのメンテナンスも、メカニックの私が責任もって請け負います!任せてください!(ふんす!) 」

ハロ「ハロハロハロハロ!!ハロ!!(ピョコピョコと施設内を飛び回り、上部から出るアームで資料を運んだりデータをやりとりしたりしている) 」

コンラード「うむうむ。本来なら為になる小話をアフタヌーンティーを添えて幾つか聞かせてやるのだが……(受付、他団員の出入りが激しい箇所を見やり)見ての通りだろう?広い、清潔、そして多機能にして多忙だ。先の帝国との闘いによる後処理に追われてんてこまいなのだよ。君の団の事務所の修繕費に関する予算調整も含めて…… な" (なんとなくラタリアが原因と察しているのか語調を強くし) そういうことだ、君はこれをかけてくれ。(ライオットの顔写真が張り付いたIDタグをライオットに手渡し)出入りの際は ピッ を忘れてはならんよ 」

ヴェスパー「ちょっとォ!!うちの団に"顔面整形外科"の新設する事に関してなんだけど!なんで予算申請下りてないのYO!許可ってなんだYO!うるせえよ!知らねえよ!許可ってなんだ 」

第7調査兵団団員A~B「はーい帰りますよそら帰りますよやれ帰りますよ(ガタイのいい団員がヴェスパーを両サイドから羽交い絞めにし受付から離そうとする)ちょ……離れ………! スゴイチカラダァ!!!!! 」

ヴェスパー「うっさいさわんなゴリラ面ァ!! うちの顔面偏差値を引き上げるんだァ!!第10みたいにィ!!!!! 」

ライオット「そうなのか… あ、あぁ…そのことまd――――  ギ ク ゥ (おいバレてんじゃねーか!!!はかせぇ~~~~ッ!!!)(口元を引きつらせる)おっ、あぁ…(IDタグを受け取り、早速首にかける)すまねえな…なにからなにまで…(頭が上がらないのか、へこへことメトロに慣れないお辞儀をする)………なんかどっかで見たことある奴らだな…(汗(受付にいるエドガーやヴェスパーを他所目に、人の出入れが頻繁に行われているその状況を思い知る)………ある意味、賑わってんのな…(呟くように) 」

ハロ「ハロ、ハロ、ハロロロロ………(ブン、と目のライトの色が変わって)『定期連絡だ』(突然のCV:石田彰) 」

コンラード「まああれに関しては状況からして妥当な判断だった。私は博士の選択を尊重しているし、わかったからと言って他の団に共有する事はない。ただこう手心をだね……(中年の小言が始まりかかったところであすr……ハゲの声が耳に入り咄嗟に口を手で覆う) あ"ー!アレックス君!? 私の専属ボディガードイージスの件だが!何であれ着手してないのかね!?予算申請通したはずだけど!?(なおアレックス本人は出してない) 」

ヴェスパー「むっ!!イケボ!!イケボだけど頭皮薄そうなのでここはスルー!!(くわっ) 」

ウィルバー「  コツ  コツ       コ  ツ      (受付からライオットの近くまで、あたかもそこにいるのが予定調和であり目的であったかのように最短ルートで歩み寄ってくる)……………。(何重にも渦を巻いたような金の瞳。瞬き一つしない機械のレンズのようなそれは、ライオット、アレックスの扱うハロ両方を視界に収め微動だにしない) 」

ライオット「アレックス…って…ん?この声……!(ハロから聞こえる青年の声に目を丸くする。なお、ハロに釘付けになってることから、ウィルバーが近くにいることに気づいていない) 」

ハロ「『各隊に配備する自律型イージスの開発は九割方終わっている。貴方のボディガードに配属する護衛型の構築もほぼ完了した。理論上、今同時期に開発されている改良型ガジェットを使用した一定水準以上の隊員と同等以上の戦力になるはずだ。あとは制御チップが必要だ』(グルグルと回り、上部の耳のようなパーツをパタパタさせながら) 」

第6兵団員α「あーっと……どうも随分忙しいみたいで、邪魔して申し訳ないが……医薬品と弾薬の申請と消費量、それと長距離砲を軍に申請と……あと副隊長が戻ってくるからセキュリティ関係のあれやこれやエトセトラエトセトラ……(大量の書類を抱えて現れ)……一応データでも用意してあるぞ、そっちの方が良いか? 」

コンラード「 えっ そうなの……?というか仕事ビックリするほど早いねキミ、あと一週間は要するものかと……(目を点にし間の抜けた声で)ん"ん"!それは楽しみだ、納品を確認次第テストするとしよう。できれば開発者のアレックス君同伴を希望したいが、相変わらず多忙なのだろう。仕様を把握している者がいればこちらへ寄越してくれると助かるので是非希望したい。  ひっ……!?(ウィルバーが視界橋に入り素っ頓狂な悲鳴を上げ飛びのく)あー……そうだ私も仕事が山のように溜まっているのだ!すまんが失礼するよオーレットくん!あと他の団の情報もあるので、共用スペース以外は出入りしないように!メトロ君もその辺注意してね! 」

メトロ「はい、気をつけます!(びしっと敬礼)あ、では…!ライオットさん!ここは少し込み合っているので、奥の施設へご案内します!こちらへどうぞ!(コンラードと別れた後にライオットを先導する) 」

ロナ「\ロナー!悪いがその件だけ頼むぁー!/ はははははいぃ!(ブース奥からバタバタと忙しなく第6調査兵団αの元へ駆けてくる)おおおおまたせしましたっ……ぜぇ……。ふぅっ(呼吸を整え慣れた手つきで書類を受け取り、浮遊トレーの上に置く)申請内容は把握しました。基本はデータを参照しますが、外部からのハッキングによる改ざんリスクを避けるため、書類も原本としてお預かりしております。コピーは取っていらっしゃいますか?(てきぱきと書類の項目のみに目を通し端末へ入力しながら) (ええとこれ終わったらメトロさんと合流して新人さん?あれ?研修員さんて新人さんだっけ……?あたまぐるぐるするぅ) 」

ライオット「お、おう…!(マジで忙しそうだなここの団長…) ん、ああ…(メトロについていく)……?(ふと、誰かの視線を感じて振り返ったが、相変わらず混み入っている受付を見て「気のせいか」と思い、そのまま歩み進める) 」


一方、その頃―――


― 第2調査兵団・事務所 ―


ガトウ「おー!よく来たな!確かライオットの後輩のアサギといったな!ラタリアの奴から事情は聴いてるぞ。しばらくの間といわず、これからも末永くよろしくな!(来訪するアサギを快く歓迎する。が、何かがおかしい…)」

アサギ「あははー……よろしくっす、大先輩。……あの~、ところでぇ~……(何かを尋ねたそうに躊躇う表情を見せる) 」

ガトウ「どうした?何かあれば遠慮なく言ってくれ!俺ならどんなことでも答えてやるぞ!(ニッカニカ) 」

アサギ「……そのー……えっと…… 」

アサギ「   「頭」、大丈夫っすか…?    」

ガトウ「 おん? (なんとさっきから「頭」で逆さ立っているのだ)………???俺の「頭」は正常だぞ?がはは!何言ってんだww(逆さ立ちで腕を組みながらゲラゲラ笑う) 」

アサギ「(やべえよこの人…いろんな意味で「頭」大丈夫か疑うわ…)(汗)(多分今後の人生で絶対目にすることはないであろう、逆立ちで仁王立ちのポーズをする変人を前に眼鏡がズレる) 」

嵐千砂都「ちょっと団長ー!研修員さんの前でなんて体勢しているんですか!普通に立ってください!(と、ブレイクダンスでよく見るヘッドスピンをしながらガトウへ注意喚起する) 」

アサギ「(団長も団長なら副団も副団じゃないのー!)(汗) 」

メイヴィス「団長ー!女の子相手に首筋トレはデリカシー的にめっ!ですからねー!(タンカで筋トレに失敗したのであろう団員を運びながらすれ違い際声をかける) 」

腹筋崩壊太郎「研修員のアサギさんですね!こんにちパワーーーーーー!お腹空いてませんかーーーー?私のお手製「マグマパスタ」をご馳走しましょーーーー!それでは参ります!ヤーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!(ただのミートソースパスタに粉チーズをドバーーーーーーーーーーー!!!!!!) 」

ちゃちゃまる「うおー!今日も今日とて筋トレするぞー!オイラの筋肉も喜んでいるぞー!ふんふんー!(一般団員のちゃちゃまる君) 」

ネイマール「痛いンゴオオオオオオオオオオオオオ(筋トレ失敗して絶叫しながらメイヴィスに運ばれていく) 」

一般せがた三四郎「 頭 を 使 え !! ( 人 生 で 二 度 見 る 頭 逆 立 ち ) 」

アサギ「(あっっつあっづい゛!!あっついんすけどーーーーー!!)(もはやサウナに匹敵するレベルのむさ苦しい熱気に汗をかき始める)…師匠との修行でもこんなハードなことしたことないのに…上には上がいるもんなんすね…… ええぇ…(腹筋崩壊太郎やらネイマールやらせがた三四郎やらにツッコミが追い付かない) 」

ガトウ「はははは!おうよ!(千砂都やメイヴィスへ豪快に笑って応えると前転から華麗に直立する)……っし…!とまあ、よく来てくれた!俺がここの団長をやってるガトウだ!まあ、ライオットの奴から俺のことは聞かされているとは思うが、改めて仲良くしてくれ!シェイクハンズだ!(握手を求めるように自身の手を差し出す) 」

アサギ「う、ういっす…胡桃田浅稀っす、よろしくっす…(これ、手潰されんじゃないかな…)(恐る恐る握手する) 」

ハロ「ハロロ!キンニク!キンニク!(上の方から出てくる腕でちからこぶを作っている) 」

ガトウ「ほーぉ…腕細いな…?ちゃんと筋肉付けるか?ライオットの奴も細身だが、あいつも士官学校時代は一緒に筋トレした仲だ。俺についてこられるただ一人の男でな…なかなか見どころのあるやつだよ、あいつは。俺が卒業した後はちょくちょく筋トレをサボってるみてえだが…ちゃんと毎日25時間やっていれば今頃は俺のような肉体美を付けられていたかもしれないのにな…惜しいなぁ…(プロテインシェイカーに手を伸ばす) 」

アサギ「あはは…そうなんすね……(あ、これ先輩言ってたやつだ…「本当は筋トレとかあんまり興味なかったのに急に怖い先輩に目を付けられて半場無理矢理筋トレ部に入部させられてなくなく強制されて気づいてたら大先輩が卒業するまでずっと付き合わされてた」って、あの話…うっはカワイソスwww)ガトウ大先輩って、ライオット先輩とほんと仲良かったんすね(愛想笑いしながら) 」

嵐千砂都「あっ!私は嵐千砂都っていうんだ!一応これでも副団長してるよ。よろしくねっ♪ うぃ~っす!(立ち上がってアサギにピース) 」

メイヴィス「あ、ひょっとして劉狼副団長の隊の方ですか! お初にお目にかかります、メイヴィス・ドナ・レイディア、衛生兵です!(体にいいものを無限に合成した味を考慮していない液体を患者に飲ませながら微笑みを向ける。 >>大怪我をするとこうなる<<) 」

ガトウ「ああ…まさに、「裸」の付き合いだった…―――(ここでフッと爽やかな美顔になる) 」

ハロ「キタエルカ?キタエルカ?ハロ!!(アサギについてきた方のハロに筋トレを勧めている) 」

ヒロ「………(窓から事務所を覗いている)(…どうやらお取り込み中のようだな…) 」

アサギ「えっ!?それってつまり…先輩と大先輩が「裸」でお付き合い♂してた…ってコト!?わァ…ァ…これって…最高じゃん!!ふっ…腐腐腐腐っ…!!キャァ~~~ハハハ……ハッ!(我に返る)あ…副団長にメディックの方っすね!よろしくお願いするっす…!ズビッ(拭き忘れてた涎を高速で拭う)ヒェッ…(メイヴィスが患者たちに飲ませている謎液体に絶句し、ここに居る間は絶対に五体満足でい続けようと決意改めるのであった) 」

嵐千砂都「(この娘、「頭」大丈夫かなぁ…?)(腐のオーラを撒き散らすアサギに苦笑) 」

バンレッジ「おーい、また少しウェイトトレーニング用の機材を借りたいんだが……(事務所に入ろうとしている最中、ヒロの姿が目に入り)おや、君は確か……トレーニングかい?いやあ意外とこういう設備は無いからなあ 」

エドガー「  ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ (先まで第10の受付にいた男、堂々のダッシュで到着)チッ……0.3秒しか短縮できてないな…… ああそこの、悪い。ウチ設計のトレーニングマシーンが納品できることになったからここの団長に報告を……ん、なんだヒロに第6の……お前らもトレーニング化(シュタッシュタッ とその場で足踏みしながら) 」

メイヴィス「うちは皆さん筋肉に恋してらっしゃいますから人と人の絡みには恵まれてないんですよね~~(アサギに引くどころか何の話か察し糸目で) あ、でもレギュレイター全体でしたらいろんな色恋沙汰のお話に詳しいですよ~~私~~うふふ~~(にっこり) 」

ヒロ「…むっ(バンレッジが目に入り)その…(…トレーニングって言ったら中入れるか…?(何)そう、トレーニングだ(大嘘) 」

ガトウ「おっ?なんだそういうことか~~?まあ女なら女同士で仲良くするのがいいさ!ちなみに筋肉は誰とでも仲良くなれるぞ!やったな!(なんやそれ) 」

エドガー「ヒロはマコトとうちの事務所で走り込みだ。あと気を利かせて部屋は隣に引っ越すよう手配しておいた。(俺の手間が省けて)よかったな 」

バンレッジ「医師としても軍人としても、現場に出るなら身体が資本だからな。こういう時にしっかり鍛えておかないと……医療系の大学は運動部が盛んだったりする位だ。 そうか、なら色々聞いておくといい。この隊はその分野にとても詳しいからな(意気揚々と事務所へ入り) 」

ハロ「プププ…ハゲ、モテル!カオトフンイキハイケメンダカラケッコウモテル!!デモセイカクガアレダカラタチバガチカシイヒトニハサケラレテル!プークスクス! 」

ヒロ「(だるだるだるだるだるだる) 」

アサギ「えっ!!!!!本当っすか!!!?(メイヴィスの話に過剰反応)よかったらそこでお茶でもしませんか?(唐突なイケボ)ううっ…筋肉とお友達は…お断りしたいっすけどね…ははは…(ガトウに聞こえないくらい囁く声で)……あ、そういえば…大先輩にどうしてもお聞きしたいことがあって… 」

ガトウ「なんだ、逆三角形の鍛え方か?(背中を見せつけながら) 」

アサギ「いや、それはいいっす(即答) ……その…ライオット先輩のことっす。 」

ガトウ「(アサギの反応から、先日の団長会議での話題がふと脳裏を過った)……おう、いいぞ。まあただ話すだけじゃアレだな…おうバンレッジ!それにエドガーにヒロもいるな!…よーし…じゃあお前ら!今から焼肉行くぞ!全員俺がおごってやる!なに?トレーニングマシーン…?んなもんあとだあとだ!飯も食わなきゃ筋肉もつかねえからな!オラ行くぞ行くぞ準備しろォ!(太い腕でアサギをはじめ、バンレッジエドガーにヒロと、研修員や他部隊関係なく連れ出していこうとする) 」

アサギ「ごちになりまーす!(ひぇぇぇ~~!💦)(あわわっと慌てる余裕すらなく連れ出される) 」

エドガー「(あー、これ断った方が面倒な奴だな。食うフリして胃袋の容量空けとかねーと……)あいよ。(デフォ三白眼で引っ張られながら) 」

ヒロ「………(ちぃちゃんと焼き肉パーティ…)(引っ張られながら) 」

バンレッジ「ははっ、良いなあ焼肉か!なら有難く頂くとしよう!隊長には連絡を入れておかないとなあ、多分一人で隠れてリハビリに励んでいるだろうからな…(特に抵抗もせず引っ張られ) 」



― 第10調査兵団事務所 ―


片桐「(所長デスクの前にゆらりと、殺人鬼やジェイソンが手にした獲物のように紙袋をひっさげ佇む) 悪かったなぁァァァ……。そっちの教育のたまものだつぃてもなァァァ……手上げたのはこっちから詫び入れるのもこっちなんだよなァァァ捜査一課にいたことあるかわかるんだよなァァァ……だから今回はこっちが大人になってやる ほら(HAKATA通りもん(賞味期限が近い)を所長デスクの上に乱雑に投げる) 」

コンラード「ねえこれ明らかに知人の土産とか処分に困ったものを押し付けてないかね!?微塵も詫びる気ないよねこれが詫びだったら警察学校からやり直しだよね私でもわかるよその程度のことだよ!!(白目で繰り返し繰り返しツッコミを入れつつまくしたて)……はぁ。 元グリーンベレー……グリーンベレーといえば私の知る限り指折りの統率の取れた軍隊だ。 私は兵役こそ経験しているが、上級士官として振舞った事はない……。事実訓練や指導においては私に不足している全てを補ってくれているが……それがたまたま、たまたま裏目に出てしまった訳でだな…… 」

片桐「首輪は有刺鉄線にしておけェ……俺が言うのも難だが、上司次第じゃお手すらしねえぞォ……俺がそうだからなァァァ……。 (ふと、デスクに置かれたファイルに視線を落とし目を細めた)ところでレイカってメディックだがァ…… 固有関係は把握しているかァァァ 」

コンラード「ん?ああ……被害者のひととなりかね?(思いがけない質問に目を丸くするが、特に疑問は持たず掌を重ね顎を置き) うむ……過去に少々問題があってね……男性不信なのだ。そうでなくてもトラウマが原因でかなり内向的になっている。 とはいえ医療の腕は確かだ、 幸いうちの戦闘員のロナという女性団員は無茶が多く怪我ばかりしている。このことから同姓の友人として行動を共にしているので、今回のようなことがなければ別段心配はいらないと思うがね 」

片桐「(粗方聞きたい内容は把握したのか、踵を返しIDタグを掲げるようにして手にし)—————こいつ、まだ少し借りるぞォ……。 (とだけ告げると、コンラードの返答を待たず所長室を後にした) 」



― レギュレイター本部 総合訓練施設 ―


ヴェスパー「 HEY ラスカルガール!ユアテディの整備終わったYO!(下降するリフトからスピーカー要らずの大声でそう呼びかけ、ユアテディ……緋色の人型戦車ガシェット『アリエル』から離れる) 」

ロナ「わー!アリエルゥー!! よかったねぇうちに来た時みたいにピッカピカァ! (アリエルの爪先にひしぃとしがみつき頬ずりをしながら喜びが悲鳴になって溢れ出る) 完璧な仕上がりですぅ……動作テストしなくても『元気だよ』って声が伝わってくるー! 」

ヴェスパー「此処まで大型な兵器となると並みのメカニックじゃ整備経験なかったりするからね。私ちゃんのブロマイドいる?ルームに飾って神のように崇め奉って構わないよ(腰に手を当てふふんと得意げに鼻を鳴らす。が……)……ところでアライグマガール。このガシェットなんだけど、"自己修復機能"でも着いてるの? 」

ロナ「 ?…… ??? じこしゅーふく……? あ、マリモとかによくあるやつですか? そんなのありませんよ、ない……よね?うーん?(よくわかっていない。自身の狩る機体に何一つ疑問を持ったことがないのか機体に対する問いに答えられず天井を仰ぎ見る) 」

ヴェスパー「………。(あり得ない。普通整備でどうにかなる問題じゃないんだ……だってあの時———————) 」


―――時は遡り、リベル率いるレギュレイターがゼレオロス帝国と接触したあの日


コンラード「  ギャリ  ギ ギ ギ   ギギギ  (現場へ続く高速道路を装甲車で移動する。対向車線を占拠する自走砲の砲撃。正面から迫るそれを蛇行し掻い潜っていく)だああああああ!! 救援要請とは聞いたがこれはむしろ増援要請ではないかね!?誰かね伝令の内容を間違えたの!!私が!!ついうっかり前線に出てしまったではないかね!! 」

ナガタ「(天井ハッチを開き対物ライフルで応戦するが) 当た……らない!!団長少し止まりましょうよ!!これ照準合いませんてオボロロロロ 」

コンラード「止まったら的にあんるんだってば!!そもそもそれでは現場へ辿り着けないではないかね!? くそう救助対象は見えているというのに……!! 」

ロナ【アリエル】「『とーーーーーーーう!!(遥か上空から緋色の鉄の巨体が"ライダーキック"を振りかざし……)  ド  グォ   ム   (爪先が自走砲の近くへ被弾。衝撃波が高速道路を勝ち割り、めくれ上がったそれが自走砲の内一台をひっくり返す) 団長!!先に行ってください! 自走砲2台なんてアリエルの敵じゃありませんからっ! (当然のように退ける。そう信じて疑わない弾む声でそう告げ、ファイティングポーズを取る)』 」

コンラード「うわぁ震度5弱!!(攻撃の余波で装甲車も横転しそうになるがドラテクで切り抜け)(巻き添えを被るのは勘弁だ……彼女の足手まといになるわけにもいくまい) よし!!ここは君に一任する、いいかね!!事務所に戻るまでが戦闘行動だ!!(ここぞとばかりに表情筋肉を引き締めそう言うと、ハンドルを切りライオット達の救助へ向かう) 」

ロナ「了解しました! よぉーっし、やるよアリエル!ここから先……誰一人皆のところには行かせない!(そう宣言するや、コントロールパネルから"手を放す"。目を閉じ、まるで無釉するかのように少女はコックピット内で身を委ねるように脱力し……)   ギュ   イ      ン    ッ     (アリエルの双眸が閃光を放つ。ただの機械が、意思を持ったかのように、人の肉体であるかのようななめらかな挙動で片腕を自走砲へ向け……)  キュ   オ   ッ   (腕にまとっていた装甲が複数のパーツとして分離、それぞれがファンネルの役割を担い、複雑怪奇、予測不能な軌道のレーザーを放ち弾幕が空間を掌握する) 」

ゼレオロス帝国自走砲B「  キィン ッ     (第一射で砲塔を切断され反撃手段を失い、続けざまに雨のように降り注ぐレーザーがキャタピラ、サブ武装、内部配線と次々と切断し瞬く間に無力化してしまう) 」

ゼレオロス帝国自走砲A「 ガコン ッ    (先にひっくり返された自走砲Aが持ち直し、砲塔をアリエルへ向けトリガーを引いた、その刹那だった) 」

ロナ【アリエル】「うんわかった、そこだね(目を閉じたまま、何かに応答するかのように囁き)  ガコ ン    キュオtッ   (ノールック。コンソールのレーダーすら視界に入れず機体が勝手に動き、自走砲Aヘ振り返らず掌だけを向け、 それに従ったファンネルが一斉に向きを変えレーザーを掃射。自走砲Aを切断、分解し騎乗者を傷つけず分解していく) 」

ロナ【アリエル】「ん————— スゥゥゥッゥ(爆音の余波が過ぎ去り、瞼をゆっくりと空けメインモニターを確認、解体された残骸を見るなりハッツポーズを取った)楽勝!! これならすぐに皆と合流できるね!行こっかアリエル! 」

ゼレオロス帝国兵士A・B「  ゴトンッ  ゴッ  (ロナが勝利を確信したタイミングを見計らっていたのか、それぞれの自走砲から兵士がはい出て高速道路に滑り落ち……)……… カチt  (何らためらいなく、片手に握られたスイッチを押した) 」


ロナ【アリエル】「   え?    」


         カ  ッ               (二つの熱源と光源。自走砲が残された弾薬庫、動力、そして備え付けられた"自爆装置"。それら全てに点火し、残弾全てを一か所にぶちまける威力の爆発が、炎が膨張し一帯を包み込む)


ロナ【アリエル】「 っ  う"ぁ"  ア"  ア"ァ" ———!!——————— (自らの悲鳴さえも遠のく爆音と閃光の渦の中、砕けるアリエルの装甲と共に中空屁報られ、高速道路へ力なく打ち捨てられる) 」

ロナ【アリエル】「(痛い……熱い…… いたい イタイ いし、イシき ガ……   血が足りなィ奴ダ これ……ボ、ボルシチ 食べたィ………)……ぁ……アリエ、ル……だいじょう、ぶ……(這って進み、上体を持ち上げ少しでも視界を高くし状況を把握しようとする)……ぁ、ァァ ァ……。(希望から転じて絶望の省庁が荘にはあった。 大破、それも無残に、胸部は骨組みが露出し頭部は半壊して項垂れている。それ以外は見る影もない程に砕かれたアリエルの姿があった) 」


ザッ    ザッ       ザッ             (軍靴が床を打ち鳴らす。足並みをそろえて死を運ぶ音が、損傷した聴覚でも認識できた。大破したアリエルの向こうからは目を疑いたくなる光景が広がっていた)


ゼレオロス帝国兵士「  ザッ  (別動隊だろうか。明らかに増援という規模では説明のつかない兵が、隊列を成して行進してくる。増援では説明がつかない、それは一般的な軍の話だ。ゼレオロスという国家の軍力、その"余裕"を、この規模が物語っていた)………。(最前線の兵士が手を上げ、射撃を促す合図を送る) 」

ロナ「———————(現在の視界と、過去の残滓が視界に重なる。 )(タス、け て……)」


さむい さむい ゆきのひでした


呪いを祝福するように雪は降り注ぎます 私の嘆きを嘲笑うかのように空気は凍てつきます


お腹がすいた 寒い 痛い 助かりたい 両親が生きてもいいよと送り出してくれたから、何が何でも生きていたいのです


それで"らくえん"はゆるしえくれません かわいそうだがしかたない しかたないからかわいそうではない

そうはなしあいが おわったのか わたしにけんをふりかざしました





ぐしゃ。




さむい さむい ゆきのひでした けれどゆかはあたたかく おはなは 赤く 咲いていたのです


ロナ「 だ、れ………? おとうさん、おかあさん……? 」


わたしのかおは 赤くぬれてまっかでした らくえんのひとは あかくぬれてまっかでした

わたしをたすけてくれる ゆいいつの おとなは おとうさん か おかあさんしか ありえませんでした


■■■■「(それは赤だった。それは白だった。積み上げた死を身に纏うかのような赤の装束を纏い、雪景色に溶け込みそうな白い肌は透き通り、白髪を神になびかせていた。 それは "空洞" だった。人の形をしたこの世界に空いた穴だった) …………。(人の形をした獣は答えない。 ただ、口元に指を当て) 」


『 家へ来なさい。 食べ物も暖かいベッドも、お友達もいる。 世界が君を否定しても君は生きていける 存在する者ならば、世界でさえも私は殺してみせる 』


それが 私と "おかーさん" の出会いだったのです


ロナ「————————————たすけて、おかーさん……!(強く、強くそう念じた。死を間際にしたら、ただそう願えと"教えられた"からそうした。それだけだった     ) 」


それからの記憶は曖昧だ。
"記録"も残されていない、その瞬間に起こった事、それを証明する痕跡も消えていた。
だが、ロナのおぼろげな記憶が仮に確かなものであるなら。


ゼレオロス帝国兵士「 …… ? 」

士オロ国ゼレス帝「「「「「「「   ?    」」」」」」」 」

士 オ ロ 国 ゼ レ ス 帝 「「「「「「「        」」」」」」」 」


首の根が床に着き、胴体は頭部の上で両腕が正座をし、
肩につながった足が祈りを捧げるようにして足裏を合わせ、首だけが地に垂れている。
そんな帝国兵士だった"芸術作品"が、"二列"に、規則正しく並んでいるのをロナは見た。
人の原型を保ちながら、人ではないような有様にされ、陳列された兵士の鳴れの果てを見た。
その奥で、赤の装束と白の髪を靡かせる…… 【おかーさん】の姿を。


ウィルバー「  コツ     コ ツ     (同刻、決死の自爆でもろとも吹き飛んだはずのウィルバーが、黒のコートをはためかせ、何事もなかったのように五体満足でその場に訪れていた。【おかーさん】と真っ向から対峙し、普段あらぬ方へ向いている筈の目は明確に"敵"を見定め、赤装束の人物と対峙していた)………。 」

■■■■「(言葉一つ発さず、息遣いさえも感ぜられない。ただそこに存在する虚無は"日本刀"を携え、ウィルバーへ向かって歩みだし) —————————————— 正しいのは君です、ロナ。君が続ける限り、誰もが意思決定をする限り、その答えの全てが正しい  (脳裏へ焼き付けるような言葉をロナの頭の中へ響かせ……) 」



――――――――ブツッ――――――――


――――――時は遡り、再び現在


ヴェスパー「………。あー、忘れて!なんでもないよ、とにかくユアテディは無事動くから(ひらりと手を振って先の質問を取り消すような仕草をし、踵を返して歩き出す)……。(重症のロナ回収した時、あの機体は"修復不可能な傷"を負っていた。整備でどうこうなるレベルじゃない……、パーツの9割を換装、もはや別の機体と言っても差し支えのない状態にするしかない程……。でもあれは   ) 」

ヴェスパー「(あれは基地に戻る頃には、ぼろぼろだったけど"原型を取り戻していた"。それも不自然に、まるで鉄がプランクトンのように増殖するみたいに……。 あれは"ガシェット"じゃない……。 ロナの証言を裏付けるような痕跡はなかったし、脳震盪が原因の幻覚で形付けられたけど……。  ラタリア辺りに確認してもらう必要があるかもしれない…… 」

ロナ「あ、ああああの!、ありがとうございまし……た……?(終始疑問符を浮かべながらヴェスパーを見送っていた)なんか、怖い顔してた……?お腹の調子悪かったのかな……。  そうだ!レイカさんのお見舞い、いかなきゃ!入院はしてないけど心配……(慌てて振り向き走り出そうとするが) 」

片桐「  ドンッ  (胸板にロナの顔が直撃。ボトルで酒をあおりながら歩いていたのかせき込んでしまう) 全方位確認して行動しろォ……。ヤニが目に入ったら2000度の灼熱で目を焼かれるって聞いたぞォ…… 」

ロナ「ひゅい!!(思わぬ人物との衝突に心臓が口から飛び出そうなほどに驚愕し、高速ムーンウォークで距離を取って何度も頭を下げる)ごごごごごごべべべべべごべんなさい!!まままままさか片桐団長がここここんななななところででででで(ブンブンブンブン) 」

片桐「まあそうだなァ……非番ならァ家でマガジン読んでるよなァァァ……。 何、形式的な確認だガキィ (人差し指でロナの頬を挟み、自分と無理やり目線を合わせさせ……) 」

片桐「 最近 "おかーさん" には会ったか  」

ロナ「(思考が白紙化された。その問いは、まるであの朧げな記憶を証明しているかのようで……)どう、して……? 」

片桐「………。ああ、もういい(答えを得たのか、手を放し肩透かしにすれ違い、足早にその場を後にする。一瞬だけ、足を止め)   あの女の存在を忘れろ。 誰かを"絶対に"助けるという事は、誰かを"絶対に"殺 すということだ (とだけ告げ、通路奥の暗がりへ消えた) 」



― 第10調査兵団・事務所・食堂 ―


ライオット「………にしても…なーんか落ち着かねえな…(だだっ広い食堂で一人豪勢なランチを食べているが、いかんせん浮かない表情をひとつ浮かべながらぎこちなく箸を進めている)…モグモグ……にしても、美味すぎんだろここの社食…ここの連中いつもこんなもん食ってんのかよ…モグモグ… 」

ライオット「……そういやアサギの奴も上手く馴染めてんのか……?(スマホのLI○E着信音に気づく)……おっ、ちょうどいいタイミングで奴から来たな。寂しくて先輩の俺に頼ってきて…ったく、可愛い後輩め…(それがアサギからの着信だと知るとすぐに確認するが…) 」

アサギ(LI○E)「イエーイwww先輩見てるー?今大先輩と一緒に焼肉に来てまーすwwwこれからめちゃくちゃ肉パしちゃいまーすwwww早く来ないと先輩の分もなくなっちゃいますよーwwwwまあ先輩が来る頃にはもう何も残ってないと思いますけどねーwwwww(と、第2をはじめ他の部隊の連中も一緒に交えて楽しそうに焼き肉している写真も添付されている) 」

ライオット「ブフォァッwwwwww(くっそが~~~~~~~~~~~~~~~~~!めちゃくちゃ満喫しとるやんけ)(グヌヌヌヌ)(盛大に噴き出した後、ジェラシーからスマホをそっ閉じした)………なんか急に切なくなってきた。これがセンチメンタルか。(ぴえん) 」




セイン「お悩みとあらば、私で良ければお話を聞きますよ。(ライオットの向かい席で両膝を突いて紳士的に微笑んでいる) 」

ライオット「ああ、恩に着るぜ…(フキフキ…) 」

ライオット「……………………………ってぶお゛ぉ゛い゛ッ??!(仰天で目玉が飛び出る)な゛っ…ななななっ…!?な、なんで第8の団長がこんなところにィ?!?!? 」

セイン「ふふふ…こんにちは、ライオットさん。こうしてお会いするのは初めてですね。セイン・マーカスです。以後、お見知りおきを。(激しく動揺する彼を面白おかしそうに見つめては微笑み続ける) ええ、実はですね… これから我々第8調査兵団でラステルム王国のスフィア城へと赴き、『ヴィエル』女王陛下の謁見へと向かいます。 」

ライオット「女王に……?(そういえば、この国に駐屯してからというものまだ一度も顔を見たことがねえな…) 」

セイン「女王陛下は、ラステルム王国をはじめ、この五大国を築き上げた高貴なる王族の末裔… 即ち、深い歴史に精通するお方です。我々が詮索している『ゼレオロス帝国』の情報聴収するのに絶好の機会といえます。そこで、我々だけでなく他の部隊からも一部の方々を招き、お話を拝聴できれば考えています。つきましては、ライオットさん、貴方もいかがですか?先日、帝国軍と交戦した貴方であれば、気がかりな点もきっと明確になるかと思われますが…。 」

ライオット「…そう、だな……(先日の帝国軍との戦い、そこで一発触発の戦闘を交えたリベルのことが過る)……わかった、俺も女王に会いに行きます。(少しでも、何か手掛かりがつかめれば… そうすれば…――――) 」


こうして、第8調査兵団を筆頭に、招かれたレギュレイター各部隊の一部メンバーたちはラステルム王国を統べる女王のもとへ向かうこととなった――――



― PM 13:00 ラステルム王国・スフィア城・女王の間 ―






コツ、コツ、コツ、コツ……――――(案内人の衛兵に先導され、荘厳な城内の廊下を歩み進めるレギュレイター陣。これから女王と初の顔合わせを迎えることから、各々に緊張感が迸っていた―――)


ライオット「………(田舎もんの俺からすれば、こういう場所はもっと落ち着かねえな… とはいえ、奴等のことを少しでも知れるなら… それがあの『記憶』に少しでも繋がるなら…)(ステンドグラスから差し込む陽光が照らす廊下を進んでいる) 」

津上翔一「今から女王様と謁見かぁ……まいったないつも通りの服で来ちゃった。いいなぁ氷川さんスーツ持ってて。あれ、氷川さん緊張してます?んも~氷川さんが固まってどうするんですかお見合いじゃあるまいし(軽口を叩きながら隣でガチガチになる氷川さんを励ます) 」

メトロ「はわわっ…お城なんて生まれて初めて入りました…!ここに女王様が…どんなお方なのか気になりますね…!(委縮しながらも短い歩幅で進みだす) 」




相馬和樹「やれやれ、これじゃガキの遠足だな……。しかしここは空気がいいねぇ。埃っぽくない。さすがは高貴な場所だ。 」


第8調査兵団・副団長 ――― 『 相馬和樹 』


コンラード「そう構えることはない。謁見には真心・畏敬の念を心に置き、許可された発言以外はしない。これを押さえておけば早々礼を欠くことはあるまい。食事会に誘われたわけではないんだからね君達ィ……(元貴族階級故か毅然と後ろ手を組んで時を待つ) 」

ロナ「ここここっ、このータビハー……おおおお日柄も大変よろしくぅっ お足元が悪い中ァァ ッ (ガッチガチに震えながら隣の団員に向かって挨拶の魔法を練習している) 」

コンラード「人の話聞いてくれない……? 」

セイン「ラステルム王国現女王『ステラー・ル・ヴィエル』様。その方は、お父上のバロンス王がお亡くなりなった後、その後継人として王国の実権を担ってきました。ステラー家には代々、その一声で民を束ねる不思議な声「星の歌声」が備わっているとされています。まさに鶴の一声を実現した女王の声により、帝国が襲来した際も民衆は慌てふためくことなく迅速に避難してきた。これまでの機械生命襲撃事件も、女王陛下のご尽力がなければ、避難誘導に戦力を削らざるを得なくなっていたのです。我々もまた、女王陛下の加護を得ているのですよ。(歩を進めながら背後の面々にそう語りかける)  」

ハロ「ハロロ~ン(ライオットの肩に乗っかって跳ねながら)コレショーサイ!ショーサイ!(空中に向けてプロフィールを投影する) 」

ライオット「…そうなのか……ただの女王じゃないんだな……って、若っ…!?お、俺より年下なのか…!?(ハロにより投影された女王のプロフィール、そこに映し出されている写真に驚く) 」

平安名すみれ「(クックックッ…まさか女王陛下との謁見に選ばれるとは思わなかったわ…ここで注目されれば…!ククク…)(終始黒い笑みを浮かべている) 」


第6調査兵団・戦闘員 ――― 『 平安名すみれ 』


ガ コ ン … ――――(やがて女王の間への扉を潜り抜け、彼らは対面を果たす―――)


衛兵が隊列を成した先に、二つの人影。一人は玉座に腰かけ、もう一人はその場に凛とした佇まいで直立している。



セイン「 ス … ―――(女王陛下を前に、紳士たる佇まいで跪く)世界政府直下組織・調査兵団『レギュレイター』・第8調査兵団・団長のセイン・マーカスと申します。この度は、我々の調査活動にご協力いただいたこと、またこのような機会をいただき、誠に感謝申し上げます。 」

ヴィエル「 ス … (玉座から静かに立ち上がり、そっと片手を上げ、頭(こうべ)を上げてくださいと促す) 皆様、ようこそおいでくださいました。はじめまして、ラステルム王国・現女王の『 ヴィエル 』と申します。(赤朽葉色の髪を腰まで伸ばした童顔の聖女。透き通るようなルビー色の瞳にレギュレイターの面々を捉えると、聖母のような優しい微笑みを浮かべるのだった) 」


ラステルム王国・女王 ――― 『 ステラー・ル・ヴィエル 』


ヴィエル「そしてこちらが…私の「姉」にして、特別執政官の『 リオン 』です。 」

リオン「―――――(女王にして「妹」のヴィエルより紹介に預かった男装の麗人。衛兵の白衣装を纏うその風貌は貴公子のようでありながらも、よく見れば女王と同じ髪色と顔を持った一人の女性であった。髪の色こそは同じだがその長さは異なり、また瞳の色も碧眼。なにより、柔和な表情をする妹とは対照的に凛々しく、一瞬男性と見紛う勇ましさがそこにあった) 」


ラステルム王国・特別執政官 ――― 『 ステラー・ル・リオン 』


ライオット「……!(あの人が、女王陛下…さっきの写真で見た通り、思ってた以上にめちゃくちゃ若ぇ…それに…)……!?(妹が女王で…その姉が、執政官…?なんつー不思議な立場だ……)(セインに倣って跪きながら、意外そうに茫然と二人の顔を見比べている) 」

ハロ「ハロロロロロ……ヨロシクオネガイシマス(ライオットの肩でぺこりと頭を下げるように) 」

メトロ「……!(あの人が…女王様…!わ、わぁぁ~~…!とっても美して、可愛いです…♪)(ヴィエルの、神々しさの中にあるあどけない容姿にうっとりしている) 」

津上翔一「(うわぁ~いかにもな女王様だ。なんだか優しそうだなぁ。あ、氷川さん片膝じゃなくて正座してる)(隣で苦い顔) 」

平安名すみれ「(美しい王女様ね…無礼は禁物ったら禁物よ…)(ギャラクシー(跪きながらもとてつもないオーラを発している) 」

ヘザー「(……彼女たちが、王国の………流石は王族、まさに高貴を絵に描いたような……そして執政官、彼女に至っては思わず見惚……)ゴホン(車椅子ながら、彼女たちの前で軽く咳払いの後、恭しく頭を下げていたが王女の声で顔を上げ)このような姿で申し訳ありません……同じく『レギュレイター』・第6調査兵団・団長のヘザー・タウンゼントと申します 」

ロナ「えっ これであってますよね……作法あってますよね!?(隣の氷川さんに習い正座をしつつ困惑する) 」

津上翔一「いや、ふたりとも違いますって。ホラこうやるんですよ氷川さん。ちょっと足をホラこうやって立てて(氷川さんの片足を無理矢理立たせようとする。しかし正座の影響で足がしびれたのロナの方向にぐらりとバランスを崩して倒れる氷川さん)あぁ!!(思わず声を上げた) 」

コンラード「(ふむ、流石に他の面々はこの気品を前に気後れするか……。まあ無理もない、血統書付きの私でさえ後ずさりかねんほどの貴族力だ)同じく、第10調査兵団団長、コンラード・ドンポーレ。この度は謁見の機会を賜り光栄の至り。 」

ロナ「(あっ、これ一斉に頭を下げるYAKUZAのあrめいたいなものかな……) あ"あ"っ!(氷川さんに習ってぐらりと倒れ、翔一に習い声を上げる) 」

相馬和樹「……。(出生も出自も不明。しかしどこか気品あふれるような所作で王族への礼をこなしている)第8調査兵団・副団長……相馬和樹です。 」

メトロ「ふぇ―――きゃー!><(後ろから聞こえる叫び声に振り返ろうとした次の瞬間、ロナに押されるように倒れだしてしまう) 」

ライオット「どはーーーー!?(氷川さんからロナ、ロナからメトロへ、メトロから自分へドミノ倒し形式に倒れ込む) 」

津上翔一「あー……ふたりとも女王様の前でなにやってんですかもー! ホラ、しっかりしてください氷川さん!(足がしびれて苦悶の表情を浮かべる氷川さんと同じく倒れたロナを助けながら) 」

津上翔一「あ、あーあ……(苦い顔で倒れた面々を観ながら)あ、アハハハハハハハ……(気まずそうに女王や執政官に笑いかけ) 」

ヴィエル「あはは…(転倒す者たちに苦笑する) 皆様、どうぞ気を楽にしてください。こちらこそ、世界政府・レギュレイターの皆様には、日頃より我が国をはじめ、五体国を守っていただき感謝しております。(にこりと母性的な微笑みを送る。だが…)……お話は伺っております。なんでも…―――まさか、『ゼレオロス帝国』が再び動き出したとか…(その用語を口にする時、表情が曇り出す) 」

コンラード「(白目を剥いて立ち尽くしている) 」

セイン「……ええ、そうです。先日のラステルム王国発電所区域で起きた襲撃事件。そこに、間違いなくゼレオロス帝国の国旗を掲げた集団が現れ、我々は交戦いたしました。幸い被害は抑えられたものの、我が部隊では負傷者が数名出てしまい、また帝国の者が残したと思われる貴重なサンプルまでもを奪われてしまい、打撃を受けてしまいました。 」

セイン「先日の事件を受け、我々レギュレイターはゼレオロス帝国についてあまりにも無知であったことを痛感いたしました。今回、ゼレオロス帝国に誰よりも精通している女王陛下よりお話を伺い、次の襲撃に備えた対策を講じることができればと思います。些細な情報でも構いません。ゼレオロス帝国について、何か情報があれば是非とも教えていただきたいです。 」

平安名すみれ「(な、なんなのよったらなんなのよ!)(転倒した面々を見て)…!(ゼレオロス帝国…!) 」

ハロ「シッカリシロヨ!(転んだライオットを小さい身体で必死に抱き起こす) 」

ヘザー「(何やってんだこいつら……)(転倒した面々を怪訝な目で見ながら)……見苦しい所を見せてしまいましたが…どうか、ご協力をお願いします 」

ヴィエル「…そうでしたか…(セインの報告を受けて痛々しい表情をひとつ浮かべる) ゼレオロス帝国…彼らの国の在り方としては根っからの覇権主義であり、強大な軍事力を用いて周辺国を征服してきました。というのも、ゼレオロス帝国の主要民族である『 ゼレオロス族 』の人口が少ないからです。純粋なゼレオロス族は今現在でもその数は極めて少なく、それ故に、征服した周辺国を属州としながら被征服民を帝国人として採り込み、次々と国力を肥大化させていったのです。 」

ヴァニタス「(これ乗っておいた方が空気読めてるってことなのかな)………。(にっこりと微笑みを保っていたが、ゼレオロスの議題となるや片眉が僅かに動き) 」

セイン「なるほど。既にレギュレイター内部でも共有されているゼレオロス帝国の情報にもあるように、彼らが他国へ侵略する理由の一つが、民衆や兵力の確保…ということだったのですか。無益な殺生は行わず、利用できるものは取り入れる…それが、帝国の在り方… 」

平安名すみれ「………(まさか、この前あの子達を襲ったやつもそいつらの手のもの…なんてことはないわよね…?) 」

リオン「ゼレオロスの劣悪な環境のことはご存じのはずだ。その環境が要因となり、一族自体の人口は極めて少なく、被征服民を帝国人として採り込まれたものがその大半以上を占めている。(女王に続くように語り出す) 一般的には魔法に対する適性が著しく低く、エーテルのコントロールが極端に苦手な奴らだ。無論その中には、極僅かではあるが魔法を得意とする者も例外的に存在する。我々が奴らの科学力を警戒しているように、奴らもまた、身ひとつで魔法を自在に操る我々五体国を脅威だと恐れている。 」

メトロ「帝国と五体国…科学と魔法…相対する二つの力が、今も長く続いているのですね… 」

ハロ「ハロハロハロハロ…(空中に資料を映し出しながら静かに声を出していたが、急に目の光を緑色に変色させると黙り込む) 」

相馬和樹「(覇権争いの根底にあるのは、なるほど恐怖か。……国家も極道もあり方は変わんねぇなやっぱ)どの世界でも戦争は数が物をいいます。機械生命体だろうがガラクタだろうが、殺傷能力をもたせりゃひとつの兵隊に早変わり。……ただ物量でくるだけならいいが、連中の裏で何者かが絵図を書いている。心当たりとか、あったりはしませんかね? 」

ヴァニタス「(魔力資源に乏しいという弱点を突いて五大国ぐるみでエーテルベールで囲んでいるわけか。面白くないだろうなぁ) 」

ヘザー「想像は付いていたとはいえ、完全に略奪が主体……分かり易くならず者国家という事ですか……成程、魔法を民族単位で苦手としている……しかし、あのレベルの科学力は完全に脅威……(リオンの説明を聞きながら)……確かに、相馬の言う通り……何か別の思惑が無いとも限りませんね 」

ヴィエル「……ええ、それは当たらずとも遠からず。(相馬とヘザーの発言に応えるように頷く) 時は、50年も前に遡ります。帝国が築かれたばかりの当時のゼレオロスは現在(いま)以上に貧困で、それ故に他国への侵略に余念がありませんでした。ですが、その貧しさから戦力は乏しく、五体国に戦争を仕掛けても返り討ちにされるような弱小国とされていました。衰退していく帝国はそのまま滅びの運命を辿るものだと思われていました…ですが、そんな時にゼレオロスにある革命が起こったのです。 」

ヴィエル「 ある時、何者かの手によってゼレオロスは『 古代ルディン文明 』という超技術を獲得したのです  」

ライオット「……!(…『ルディン』…?なんだ、それは……?)(眉をひそめながら) 」




ヴィエル「…『 ルディン 』…それは、数百年前に実在していたと思われる伝説の地底国。古代の遺物でありながら、現在の科学技術では決して生み出すことのできない…それはまるで遥か未来を見据えたような超高度な文明が築かれていたと言われています。その大いなる文明を持ちながらも拡大化する力を制御しきれなくなったルディンは、自壊するように滅んでしまったと…伝承ではそう言い伝えられております。 」

ハロ「……『ンン、分かっている部分のデータはオレが解説しよう』(ハロが突然人の声色で喋り出し、再び資料を投影し始める) 」

コンラードウィルバー君が時折発掘しに行くらしいな。えっ、ルディンってオカルトじゃなかったのかね?(三白眼で困惑し) 」

メトロ「私もちょこっとだけ聞いたことがあります!でも、アガルタのような架空の地底国と思ってましたが…その最深部には金銀財宝、この世のすべてが眠っているとかいないとか… まさか、本当に実在していたんですね…! 」

セイン「古代ルディン文明…?そのようなものは世界政府のアーカイブにも記録されていないはず… このアルガンドーラに根付く伝説なのでしょうか…? 」

ヴァニタス「話の流れからして……ゼレオロス帝国がその『ルディン』の遺物を発見したとかそういったことですかね(挙手をし、笑みの失せた真顔で) 」

ヘザー「……秘匿された、古代文明……財宝までセットですか、話が拗れて来た…… 」

ヴィエル「やがて、ルディンが存在していた地の上に、現在のゼレオロス帝国が築かれました。その為、ゼレオロスの各地には、『古代ルディン』の遺構が今も点在しています。 」

リオン「そうだ。ゼレオロスは、この古代ルディン文明の力を得たことで、昔から現代にかけて徐々に復興。国力を拡大させ、各国の一部地域を攻め落とし、植民地化を進めてきた。(ヴァニタスに応える)「科学」の力を持つ帝国に対し、それを取り囲むように点在する五大国は純粋な「魔法」の力に根付いていた。ゼレオロス、そして五大国との因果関係は、掘り起こせば『古代ルディン文明』が誕生した数百万年前から続いている、ということになる。 」

平安名すみれ「………その技術を得て力を拡大した……と言うわけね。 」

相馬和樹「パチンコでドデカい当たり台ひいちまった気分だろうな連中。 」

リオン「古代ルディン文明が遺した超技術により国内の技術レベルは飛躍的に向上したゼレオロス。中でも脅威であるのが、外付けの魔力機関の発明だ。これを介して擬似的に魔法を操る術を獲得し、我々が持つ純粋な魔法に対抗してきたのだ。 」

ライオット「……!それって、この間の…!(先日のリベル戦にて、彼女が使っていたガンブレードがフラッシュバックする)…ただの銃剣(ガンブレード)と思ってたが、何かを装填した途端にとてつもない力を発揮しやがった…たった一振りで鉄塔を真っ二つにしたあの破壊力は…マジもんだった。それが、まさかルディンって奴の文明から作られた物だというのか…っ…? 」

リオン「ガンブレード…?……青年、君は、ひょっとすると『奴』に会ったのか…?(ライオットが零した一言一句を聞き逃さなかったのか、ここで初めて団長以外の人物として彼に視線を向けた) 」

ヴィエル「……!貴方は… そう…… "仮面の麗人"――――『 リベル 』に、会ったのですね (リオンの反応から、ライオットに語り掛ける) 」

ライオット「―――― ッ (『リベル』―――その名を耳にした途端、あの日公園で出会った無垢な少女――後に殺し合う運命となる――を思い出し、沈痛な表情で伏し目がちになる)……あぁ…いや、はい…!機械生命体なんかとは比べ物にならねえくらいの強さ…でした…。でも、どうして奴の名前を…? 」

ハロ「『……少し前に主に俺とライオットで交戦した……』パカ(記録した戦闘映像を映し出す) 」

平安名すみれ「………擬似的な魔法?………(聞いた話だと戦った敵はバケモノを操ったと言っていた………もしかして、魔法の力で…?) 」

リオン「周知の通り、ゼレオロス帝国は一国だけで五体国に匹敵あるいは凌駕する軍事力を有している。先程話した発達した科学文明然り…五体国が持つ魔力さえも取り込み、科学と魔法の両方の力を混合させ、より大きな力として進化を遂げた。無論、人の身でそのような強大な力を扱うことなど不可能だ。だが、それを可能とする純粋なゼレオロス族が、ルディンの大いなる科学文明により更なる力を得たのだ。 」

リオン「見た目こそは人の形をしているが、その実態はゼレオロスが誇る"最高戦力"にして、"最強最悪の殺戮兵器"。7人のゼレオロス族からなる帝国屈指の最強軍団…その名前こそ―――― 」



 ――――― 『 七帝軍 』 ―――――


ライオット「…『七帝軍』……!? 」

リオン「『七帝軍』は、その存在だけで兵士のみならず、ゼレオロスの民衆からも絶対の支持を受けている。帝国が誇る科学力と、五大国が持つ魔力…双方の力を兼ね備える奴等の実力はあまりにも脅威的だ。7人の軍団長は畏敬の念を込めて、それぞれこう呼ばれている…―――― 」



――― 「貧狼」 「巨門」 「禄存」 「文曲」 「廉貞」 「武曲」 「破軍」 ―――


リオン「……七帝軍が率いる各軍団には、百人隊や独自の精鋭部隊などを従えているという。軍団長だけでも恐るべき実力を持っているが、奴らが率いている軍もまた、相応の脅威を秘めている。 」

リオン「だが、それ以上のことは我々も多くを知らない。度々目撃されている"仮面の麗人"…『リベル』という女もまた、七帝軍の一角。奴が率いる百人隊とは、私も実際に交戦した経験がある。兵士はみな軍団長の命令に絶対忠実。帝国の為に戦い、その為に死ぬことも躊躇わない。また、兵士一人一人の身体能力も高く、死を悟った時も無駄に倒れるようなことはせず、意地でも相手を道連れにしようとその最期まで足掻き続ける。非常に厄介な相手だ。奴等はもはや人間ではない。人の心を捨てた殺戮兵器そのものだ。 」

ヘザー「……成程、外付けの魔力機関…連中の技術の根幹はそれ、か……  『七帝軍』、って……まさか情報が掴めてなかっただけで、此処までのレベルの軍を持ってたなんて… 」

津上翔一「…………(これまでの話を聞きながら重い面持ちで浮かべる自分が経験したかつての戦い。『闇の力・テオス』率いるマラーク・エルロードたちアンノウンとの戦い。それらもまた古代からの因縁から生まれたものだった)――――グッ(密かに拳を握りしめる) 」

平安名すみれ「この前戦った奴等もかなりの執念だったわね…ただの兵士とは思えなかったわ。 」

ハロ「……『奴らの戦力については俺も少しは知っている。黙っていたのは……申し訳ない』(データをいくつか表示した後、口を閉じて)『……正直レギュレイターの現戦力では……七帝軍の全戦力を相手にするのは限りなく厳しい……』 」

ロナ「そんな……  そんなことダメです!(人の意思を捨てた者、その言に黙して縮こまっていた少女は思わず立ち上がり、声をひりだしていた)だ、だめ……だと、思います……(自身の声に驚き、おずおずと縮こまる) 」

ヘザー「……一国の軍をまともに相手取る為の部隊じゃあないですからね、当然と言えば当然か……(頭を抱え)……根幹となる戦力だけを叩くか、或いは軍から増援を頼んで本格的に戦争を起こすか……… はあ、駄目?(大声を上げたロナに向かって振り返り) 」

ヴァニタス「……(ロナへ横目をやり何かを察したのかスッと横に出)あー……彼女なりに鼓舞してるんですよ。現時点での戦力を把握できたのは行幸ですが机上の空論に過ぎません。要警戒対象ですが悪戯に空想上の怪物を増やすべきではありません。(ハハハ) 」

ヴィエル「(ロナの様子から、彼女が心優しい一面を持っていることを知り優しく微笑みかける) ゼレオロスは、その圧倒的な軍事力をもって他国を蹂躙し、戦果を広げてきました。野望はおそらく「世界征服」でしょう。そんな危険な思想を持つ彼らを、我々五大国は当然野放しにするわけにはいきません。そこで抑止力として考案されたのが「エーテルベール」なのです。五大国が持つ純粋な魔力で構築されたこの魔力壁ならば、幾らゼレオロスの科学力をもってしても突破することは不可能。事実、ここ近年ではエーテルベールが破られたという報告は受けていません……ですが…… 」

リオン「……ええ。エーテルベールは確かに破られていない。だが、ゼレオロスは再びこの地に姿を現した。その原因は未だ謎で、我々も詮索しているところだ。 」




セイン「…『七帝軍』…そして、彼らが率いる精鋭の部隊… 古代ルディン文明の件といい、我々が想定している以上に、帝国は大きな力を秘めている。ですが、敵の戦力を知れただけでも十分な収穫です。なにより、長年ゼレオロス帝国と対峙してきた五大国と連携すれば、対策を講じることができます。エーテルベールの調査も進めなければ。帝国は、おそらく抜け道を確保していると思われます。そこも調査し、帝国の動きを監視してみましょう。現実的ではありませんが…可能な限り、交戦は避けたいところです。(あくまで紳士的解決に臨もうとしているが、それが果たして上手くいくかどうかも分からないため、表情に陰りが見える) 」

コンラード「うむ。頂いた情報は有難く活用するとして……戦力比較は未確定情報だ。戦略、戦術、技術、対抗するのであれば全てを駆使し覆す気構えでなければならない。当てられた札で勝負するしかないのだよアレックスくん 」

ライオット「あ、あのっ…!(ここで一歩前に乗り出す)いろいろ気になることも多いが…俺からも一つ聞きたいことが…!『イーティス』って女を知っていますか…!?科学者だと言ってて…ゼレオロスの奴等と何か関係がある奴だと思うんだが… 」

リオン「…『イーティス』……?さあ…?(ヴィエルと顔を見合わせるが、お互い彼女については何も知らないようで、二人で首を傾げ合っている)…すまないが、知らない人物だ。 」

ヴィエル「申し訳ございません…ですが、科学者ということであれば、一人だけ、名前が知れている方がいます。ゼレオロス帝国へ偵察に行き、無事帰還した衛兵からの証言によれば…帝国は、古代ルディン文明を利用したある「大いなる計画」が立てられており、その立案者の名前が『 ノイマン 』という方であるのが判明しています。ですが、それ以上のことは何も知らなくて…これに関しては情報不足でごめんなさい。 」

ライオット「……そう、か……いえ、ありがとうございます…(結局、一番知りたかった情報は得られず脱力するように再び跪く) 」

ハロ「……………(先ほどまで流暢に話していた男の声が、何かが後ろめたいかのように黙り込む) 」

平安名すみれ「オーバーラップ現象…もしそいつらの仕業だとするならば私たちレギュレイターを誘き寄せるためにやっているとも考えられるわね。 」

津上翔一「世界征服、ですか…本当に、帝国のその人達はそれを考えてるんですかね?(面々の中でただひとり首を傾げながら)いや、俺も自信はないんですよ? でも、なんだろ、世界征服って片付けるのはちょっと腑に落ちないっていうか。ううん。……だったらオーバーラップ現象はなんで起こっているのか、とか。そこに帝国とか文明がどうかかわってるのかとか、ちょっとわかんないんです。

コンラードノイマン……だな。(几帳面にメモへ名を書き添え、顔を上げる)計画立案者……ある種首謀者のような存在の名だけでも把握できた。これもまた重要な情報、収穫だな……。 」

ヘザー「『イーティス』の所在は不明、そして今回の騒動の重要人物が……『ノイマン』。最悪そいつだけでも抑えられれば状況は変わると良いけど… 」

ハロ「…………『俺も少し引っかかる……単純な世界征服を目的とするなら、腑に落ちないことが多すぎる……この、オーバーラップ現象を何故起こしているのかという根本的な疑問に……エーテルベールを抜ける手段があるのに、本格的に武力行使に出ない理由も……あまりに、謎が多すぎる』 」

セイン「……!(腕時計に目を見やり、定刻が迫っていることに気づく)お時間を取らせてしまいましたね。今回はここまでにいたします。この度は、貴重なお話をしていただき、誠にありがとうございます。今回得た情報を基に、我々レギュレイターの方でも改めて今後の方針を固め直し、ゼレオロス帝国への対策を考えなおすこととします。では、我々はここで失礼いたします。みなさん、一度本部へ戻りましょう。(女王陛下へ深くお辞儀し、背後に立つ面々へ踵を返すように促す) 」

メトロ「ほわわぁ…なんだかとっても壮大な事態になってしまいましたね…反復現象の解決に臨んでいたはずが、いつの間にか戦争勃発寸前まで飛躍して…私たち、これからどうなっちゃうのでしょう…?(そんな独り言を呟きながら女王の間を出て行こうとする) 」

平安名すみれ「…この前の戦いの時点で戦争は避けられないわね。やるしかないったらやるしかないのよ…(そっとつぶやく) 」

コンラード「(メトロの言葉に忘れかけていた重要事項を思い出したようにハッとし)そうだった……そもそも我々はオーバーラップの検証、解決の為結成されている。0番調査兵団もそうだが、こういった事態に発展した以上、こういった事態に対応する部隊の援助も念頭に入れるべきじゃないかね 」

ヘザー「……確かに、行動に疑問点が多すぎる……やはり何か別の……参ったわ、連中が何を考えてるか、今は想像が付かない…… 貴重なお時間を頂き、有難うございました(セインと共に、車椅子ながら恭しく頭を下げ)……そうですね、一度戻って…増援の要請も考えて、一旦作戦を考え直しましょう 」

平安名すみれ「……レギュレイターの中で戦闘員のみを集めた部隊か…新たに戦闘専門の部隊を編成するかのどちらかね… 」

ハロ「……『悪い話ばかりじゃない。帰ったら聞くか?』…『失礼致しました。第一調査兵団長、アレックス・ディノでした』(そう言うとハロの目が緑から黒へと戻る) 」

ヴァニタス「レギュレイターの目的から外れてはしまいますが、武力行使による妨害が懸念されるなら戦闘特化部隊の新設は候補に入りますね(歓迎はしませんがとでも言いたげに、いつになく渋い顔で前方を見据え)…………。(一瞬、ヴィエルを一瞥し、すぐに一同と足並みを揃え歩き出す) 」

ヴィエル「……――――― あの (立ち去るレギュレイターたちを静かに見送ろうとしたが、そこに、誰かを呼び止める。その声は、ライオットに向けられた) 」

ライオット「……?(ヴィエルの声に振り返り、「俺ですか…?」と困惑しながら自分の顔を指す) 」

ヴィエル「………あなたから、何か運命的なものを感じました。お名前を、お伺いしてもよろしいですか? 」

ライオット「……―――― ライン・オーレット。「ライオット」って呼んでくれ、女王様。(にかっと明るい笑みと共にその名を送る) 」

ヴィエル「ライオットさん、ですね。あなたに一つだけ、お願いしたいことがあります。 」

ヴィエル「 もしも…もしも私の身に何かあったなら…こちらのリオンと共に、この国の人々のことを守ってあげてください  」

リオン「   !!?    」

ライオット「  !!  (女王のその発言の真意が読めなかった。まるで死期を悟ったかのような物言いに困惑こそするが…)………は、ははは…!やだなあ、女王様。俺、貴族の冗談とかよくわかんねえっすよ…!(わざとらしく苦笑してみる) 」

ライオット「……でも… 女王様、心配しないでくれ。俺が、俺たちが…きっとなんとかしてみせるから。(上手い返しはできないが、今の自分に言えることはこれくらいだ。それだけを言い残し、既に立ち去っていった団員たちを追いかけるように慌てて女王の間を後にした) 」

リオン「………「ヴィエル」、今のは、一体……っ… 冗談でも、あんな縁起でもないことを口にするなんて… 」

ヴィエル「……ごめんなさい、「姉さん」。でも、ゼレオロスは今まさに全盛期を迎えた。私たちも、五体国も、もしもの事態に陥る可能性も否めない。最悪な状況は、常に頭の片隅に置いておくもの… それが、無念の内に亡くなられた、お父様の言葉ですから。 」

リオン「…ヴィエル……お前は、この国の未来そのものだ。なにより、お前は…大事な「妹」だ。私が命に代えてでも守り抜いてみせる。だから、心配しないでくれ。 」

ヴィエル「……ありがとう、姉さん。 」


カ サ カ サ カ サ … ―――――  プ ツ ッ … (女王の白い肌を、肉眼では決して確認できない何かが這い上がる。「それ」は肌身に食い込み、静かに埋もれていくように体内へ入っていくのだった――――)



― ラステルム王国・城下街・焼肉店「大将NIKU-JYU」 ―


ガトウ「くゥーーーーッ!(生ビール大ジョッキを片手に豪快に喉へ流し込む)筋トレ後の焼肉は最高に効いてんなぁ~~~~~!おう、お前ら。遠慮なんかすんなじゃんじゃん食って飲め飲め! 」

アサギ「(その飲みっぷり…先輩にすっごい似てる…)(いつも何かしら飲みに行ってるためか、ガトウのそれにすごい親近感を覚える)一日の四分の三を筋トレに費やしてるって噂、あれマジだったんすね。(串に刺さったつくねを口にしながら) 」

嵐千砂都「あ、やば…コーラ一つ余分に頼んじゃったみたい……そだ、ヒロ君よかったら飲む?(コーラの入ったジョッキを差し出す) 」

ヒロ「開幕早々ジョッキ空にしやがった(驚いた顔で肉を口にする) 」

ヒロ「…えっ、いいのかい?それじゃ、いただこうかな(千砂都からジョッキを受け取り) 」

ガトウ「おう、そうだぞ。他の団員は半日くらいだが、俺はその1.5倍くらい延長してるな。やり過ぎはかえって体に悪影響だとはわかっているが、どうにもじっとしていられなくてな…気が付いたら筋トレしてる。団員曰く、寝てる間にも筋トレしてるみたいだぞ(うそだろぉ~?)(中落カルビにわさびをつけて食す)くぅぅぅぅ~~~~ッ、うんめぇぇ~~~~~! 」

嵐千砂都「イエーイ、カンパーイ☆(ジョッキを受け取ったヒロと改めてコーラ同士で乾杯)ングング……ぷはっ…!そういえば、ヒロ君ってミアちゃんと同じ第1なんでしょ?元スクールアイドルの好として、前々から気になっててね。ねねっ、どんな娘なの?仲良いの?(ニヤニヤ)(シーザーサラダを小皿によそいながら) 」

バンレッジ「良い飲みっぷりだなあ!流石はレギュレイター内屈指のフィジカル、食べて飲んでも一流といった所だな(澄ました顔で肉も野菜もガンガン食べて行き)ははは、コーラ……というか炭酸は腹に溜まるから気を付けて飲むと良い(自分はウーロン茶を飲みながら) 」

エドガー「勤勉なのはいいことだ。ガトウのトレーニングプランは一見物量勝負の脳筋スパルタに見られがちだが、ハードなスケジュールを無理なく効率的にこなせるように組まれている。研修員もその点は安心していい(などと部下を筋肉痛で半殺しにした副団長はスポドリを片手に供述しており) もう少しスパーリングの割合を増やしてくれると嬉しいんだけどな。ボディビルダーでないという点から指摘すると部位鍛錬(関節の耐久力補強)も取り入れた方がいい。戦いの基本は格闘だ、武器や装備に頼ってはいけない(戒め) 」

アサギ「寝ながら筋トレは草っす(うそだろぉ~?)マジっすか…!ただの脳筋じゃないんすね…(エドガーの話を聞きながらぼそっと呟く)バンレッジさん…は、この前のウチでの研修で一緒だったっすね。そっち(第6)の団長さんが、うちのとこの博士と仲がいいってよく聞きますよ。あんまり二人で行動しているところは見たことないんすけどね…まあ、それも仕方ないか…二人ともそれぞれ忙しそうだし…(バンレッジに) 」

メイヴィス「つまりそれってデキてるってことですよね!( カ プ 厨 は 拙 僧 な し )いいなぁ……私のところは誰と誰を同じコマに入れても筋肉×筋肉になるんですもの……そこに愛は……ええ、まあ愛はあるんですけどぉ……グスッ ゴクゴク 」

ハロ「ハーロハーロハロハロロロロ~(スッとバーベルをあの変な腕で持ち上げている) 」

バンレッジ「運動生理学的な部分を抜きにしても、個々人によって鍛えるべき部位は異なってくる。出来れば装備やポジションに応じたトレーニングをするべきだが……基礎的な体力強化の部分はガトウ隊長に従っても良いだろう。+αは要相談かもな……(ハラミを呑み込んだ後エドガーに) はは、この前はどうも世話になった……うちの隊長はまあ、あの身体だからか任務外で余り人前に出たがらなくてな……大抵リハビリだったり一人で音楽を聴いていたりだから心配はしていないが……仲が良いというのは俺も知っている。しかし実際に君の言う通り二人で会っている事は少ないかも知れんな……(アサギにそう返し) 」

アサギ「えっ…!!!それってさぁ…"百合"…ってコト!?(ジョボボボボボ)(手にしていたノンアルが震えで零れていく)最高じゃん!!!!!!!(ジョバーーーーーーーーーー)(気が付いたら滝のように盛大に零している) 」

ヒロ「んっ…(コーラをグイッと飲む)ミアちゃんか…そうだなー………音楽の天才って感じの子で‥あんまり群れるのは好きなタイプじゃない子…かな。‥仲は良い方かな。俺がそう思ってるだけかもしれんけど(フフッと笑う) 」

メイヴィス「キマナッツタワーってことだと思うんです!ですです!(めっちゃ食い気味) エッ!それってヒロさんとミアさんはデキてる……てことォ!?(カプ厨はry) いいなあ第1、団長さんと副団長さんも阿吽の呼吸出来てたしデキt…… 」

ガトウ「安心しろ。俺にかかれば基礎的な体力づくりからプロテインのつくり方まで教えてやるぞ。(ハロと並んでむんっ!と力こぶを見せつける)ヘザーラタリアのことか!俺はそういう団長同士の人間関係にはそこまで詳しくないが、仲が良いのはいいことじゃねえか。団長会議はなにかとギスギスするからなぁ…同じ団長でもみな考え方はバラバラなんだよ。難しいこと考える暇がありゃ身体動かした方がいい。今度ヘザーの奴とリハビリでもして…え、駄目か…??(きょとん) 」

バンレッジ「………成程、考えた事も無かったな…うちの隊長がそういう風には見えないが……(野菜で肉を巻き始め)……(これは……色恋の流れか……?全体的に……)(やや顔を顰め) 」

エドガー「違いない、でなきゃわざわざ第2に足繫く通ったりはしないよ。技も戦いも基礎身体能力の賜物だからな。そこは本当に信用して……     ドボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ(メイヴィスのグラスにこれでもかとプロテインを流し込む)飲め……   飲 め 。   」

メイヴィス「(この世の終わりのような顔) 」

バンレッジ「そう断言してくれるなら安心だな…!鍛えることに関しては貴方を頼ってやはり間違いは無さそうだ(ガトウの力こぶを軽く小突き)……そこだな…俺の口からは言えないが、"隊長同士"となると合わない部分があるだろう……俺から見える範囲でも、第3と第6では方針が違う様だし……色々ある様だしな(言葉を濁し) むう……彼女のリハビリに付き合ってくれるのは、メディックとしては有難いが……本人は嫌がる気がするな…… 」

アサギ「ほえ~…そうなんすね…!リハビリは大変そうっすね…(零した飲料を吹きながら)あの時は、バンレッジさんだけじゃなく、駆け付けてきてくれたヘザーさんにも助けられましたね。遅くなりましたけど、ありがとうございました…! えっ!?第1でもCPができて――――(エドガーとメイヴィスのやり取りから何かを察して口を噤んだ)ちゃー…そういえばここだけの話、団長会議の後って博士、だいたい泣いて帰ってくるんすよね…「みんなに子ども扱いされたのらー!><」って。たいていその後自棄酒入って暴走するんすけど…(生キャベツをぱりぽり食べる) 」

嵐千砂都「音楽の天才…!知ってるよ!音楽会でも有名なテイラー家の娘だもんね!あの娘の作る音楽で踊ってみたいなぁ…って、え??そうなの?もしかして、そういう関係…??(メイヴィスの発言からヒロに視線を向ける) 」

ハロ「ハロロ~ン 」

薬師寺九龍「グビ、グビグビ……プッハァァアアアアアアア!! あぁいいねぇ。副団長(うるせぇの)がいないお陰で肉もビールも上手い。 」

ヒロ「デキてない!デキてないから!(参ったと言わんばかりの顔で) 」

嵐千砂都「あ!薬師寺さんのところの副団長って、マルガレーテちゃんだよね!すごく厳しいって評判だけど、実際そうなの…? えー!デキてないの~…?(なんか残念そうにニヤニヤする)まあでも、ヒロ君には大事な「妹」さんがいるもんね!マコトちゃんだっけ?いつもすっごく仲良しだよね♪お兄さんに抱き着いちゃって、さ。(ヒロの脇腹を小突きながら) 」

エドガー「(ここはフォローを入れないと死ぬな……俺が)ヒロはな……妹と生涯幸せに暮らすんだ……(真顔で千砂都に言い聞かせるように) すごいな第2のハロ。人工筋肉、メタルギア月光に搭載されてる奴かこれ。ウチにもこういうの居たら実用的………。………(ふと、筋肉搭載ハロが事務所を行き来している様子を創造する)嫌だな……(直球) そういえばライオットもアンタのとこの教え子みたいなものか。あのバイタリティも納得だな、普通の団員より若い頃からトレーニングに追いついているんだろ(ふと思い出したように) 」

嵐千砂都「そうなの!?!?!?!?!?末永くお幸せに!!!!!!!! 」

薬師寺九龍「ん~?おぉおぉ!厳しいもなにも、ありゃ『お堅い』ってやつだな。完璧主義のお嬢ちゃんだよ。音楽の力だかなんだか知らねぇけど、あれが上司だともう疲れるってのホント(愚痴) 」

バンレッジ「…見た目の割にマニピュレーターの強度は高いんだな…… 別に隊ごとで対立している訳じゃあない、協力するべきところでは手を組まないと…… ふむ、ラタリア隊長が泣いてか……まあ、会議という場では不利に働きそうな外見ではあるな……  」

ヒロ「‥流石に公衆の面前で抱きつくのは恥ずかしいと毎回言ってるんだがな…(脇腹を小突かれタジタジ)…‥その流れでそれはちょっと語弊があるよ!?(エドガーの言葉を聞き) 」

アサギ「(あ、そうだ…)……そういえばガトウ先輩って、先輩(ライオット)の先輩…大先輩っすよね。先輩って昔はどうだったんすか?ほら、わたしが士官学校に入学する前の先輩ってあんまり知らないから…(カシスオレンジの入ったグラスを握りしめながら) 」

ハロ「ハロ!ヒロトイモート!ナカヨシ!スゴクナカヨシ!イモート、ヒロノコトスキ!ヒロ、クソボケ!クソボケ!(ピョコピョコ 」

エドガー「そういうなよ。あの酔いどれ……片桐とは腐れ縁だから言わせてもらうが人の上は勿論、そもそも組織の人間としての適性が低過ぎる。実質第4はマルガレーテが馬車馬のように働いてるから成り立ってるんだ。何で知ってるかって?副団長繋がりで手伝う羽目になるからだよ(真顔)だから……まあ、できるだけ団員で支えられるところは支えてやってくれよ、頼むから(プロテインを酒のようにグビグビ飲みながら) ヒロ、挙式の時は別に呼ばなくていいが招待するのは男だけにした方がいいぞ。合コンには誘われても行くな、マコトを抱いて生きろ。団長もそう言ってた(言ってない) 」

ガトウ「……「ライオット」か…(ふと、懐かしむような横顔を一瞬見せる)……そうだな、確かにあいつは他の奴らとは"違う"。 良い機会だ。少し、話をしようか。(強火だったコンロを一度鎮火し、追加注文されてきた生ビールのジョッキに手を伸ばす) 」




嵐千砂都「あ、ははは…そ、そうなんだ…(マルガレーテちゃんも他の団員さんも苦労してるみたいだね…)(九龍の話に苦笑)ライオット…(そういえば、先日の団長会議で話題に上がってた… 団長の後輩だったんだよね…)(さりげなく耳を立てる) 」

薬師寺九龍「片桐さんは……もう諦めてるケドよぉ。まぁ、言いてぇことはわかる。でもなぁ、毎回毎回俺にだけ当たりが強いんだぜ?あ、俺の愚痴とか言ってたアイツ? 最近思うんだよねぇ。がーきーのーくーせーにーってよ。まぁ、確かに色々やってくれてはいるが、それでも限度ってもんがあるだろうしなぁ。…………ってか、肉食う場所でプロテインってどうなんだ?タンパク質なら鳥でとれないか?(ふとした疑問) 」

ヒロ「……………勝手に挙式の話が進んでる、解せぬ(グイッとコーラを飲み干す) 」

エドガー「いいだろ別に。雑談しながら食後のトレーニングを効率的に出来るんだ。鳥だとタンパク質は運動量に対して少なすぎる(第2に脳を破壊された男) ……。(団長会議の内容が脳裏を過る。重要人物としてしか見られていない団員、その人となりに耳を傾ける) 」

バンレッジ「……若い隊員が多い場所らしくはあるな……(ヒロ達を温かい目で見ながら)……そうか、上が諸々の雑務を遣らないのは問題だな……総隊長辺りに掛け合った方が良いかもしれん……あっ店員さん烏龍茶一杯(店員に声を掛けつつ、ガトウの声に耳を傾け)……ライオットくん、か… 」

ガトウ「あいつと初めて会ったのは、俺が卒業年度に差し掛かった頃だったな。最初は気さくで明るい、けども、なんか間抜けな一面もある、いたって普通な好青年って感じの奴だった。それは今でも変わらねえがな。ある時、士官学校へ不法侵入してきた侵入者が女子生徒を人質に爆破テロを起こすという物騒な事件があったんだ。誰もが尻込みしている中、とある一年坊主が果敢にも犯人の懐へ飛び込み、人質を救出。爆発物は嘘だったことも判明し事なきを得た。後になって知ったんだが、その一年がライオットだった。 」

ガトウ「あいつのやり方は正しいとも間違っているとも言えねえ。結果的に人質を救えたはいいが、万が一のことを考えて慎重になるべき時もあるし、フェイクだったとはいえ爆発物のことも懸念して行動すべきだった。だが、俺が評価したいのは奴のそんな英雄的行動というよりも、自分の信念を貫いて動いたこと、てとこだな。あいつは…誰よりも正義感がとてつもなく強い。そんな自分の気持ちを誤魔化して逃げることができなかったんだ。(生ビールをグイッと一杯口にする) 」

アサギ「あ、それ聞いたことあるっす!私が入学する前に起きた事件だって。でも、それを解決させたのが先輩だったのは、初耳っす…!いつも何かしら自慢するくせに、何でそういうことは自慢してこなかったんだろ…? 」

ヒロ「………(あー、ちぃちゃんの前なのに…誤解させちゃったかなぁ…)(千砂都の方を見ながら) 」

ガトウ「それがあいつなんだよ。自分の正義を振りかざすような小心者じゃねえんだ。俺も大概人のことを言えた義理じゃねえが、言葉でどうこうするより行動で示すタイプなんだろうな。理屈で考えるよりも、先に身体が動いてしまう。そのアクションによって成し得たことを、形のない言葉で遺すなんてのはナンセンスだ。だからそういうことに関しては何も言わねえだよ、あいつは。(ふっと鼻で笑いながらも、その横顔はなんだか嬉々たるものであった) 」

ガトウ「その事件以来、独り身でふらついていたあいつに声をかけたのが、この俺だったわけよ。今でも覚えてるぜ。その辺の不良よりも厳つい顔をした先輩に連行されたあいつの怯えた顔、傑作だったな…!まあそれが俺なんだけど(ドッと笑う) 」

ガトウ「それからは、さっき事務所で話した通りだ。共に汗水流して体を鍛え合い、青春♂を謳歌した。俺が卒業した後で筋トレをサボり始めたところを見れば、無理して俺の冗談に付き合っていたのがわかる。でも、それでもよかったよ。なんたって、俺のハードなトレーニングについてこられたのは、あいつだけだったんだからな。ただ体力に自信があるだけじゃあ俺にはついてこられねえ。高い志、粘り強くあろうとする決意…心身ともにできあがってないとな。 」

ガトウ「そこで気づいたよ。たとえ無理して付き合ってくれていたとしても、そこに妥協はなかった。馬鹿正直に、愚直に、俺についてきてくれた。それはあいつ自身に諦めがない何よりの証拠だ。どういう心境だったのかは知る由もないし今更聞こうとも思わないが、何かしらでも一度決めたことは決して曲げない。あんときの事件で見たライオットの信念は、俺が卒業するその瞬間も、その後も、変わらないということだ―――(豪快に残りのビールを流し込む) 」

ハロ「……………(眼がいつの間にか緑色に染まっており、先ほどまでうるさく鳴いていたハロが黙り込む) 」

バンレッジ「直情的だな……優れた行動力と精神力があるのは良いが、少し危険な思考だな………(米を口に運び)…だが、嫌いじゃない 」

アサギ「先輩と大先輩が青春♂を謳歌…アオハルっすね…ズビ…(真顔で涎を垂らす。それを光の速さで拭う)……そっすね…先輩はバカ丸出しっすよ。時々厨二病患ってめんどくさい空気作るときもあるし、無茶振りに振り回されることもあるし、後輩は大変なんす。……でも…バカ正直で、嘘が下手くそで、疑うってことができなくて。そんな先輩だから、私も信じられるというか…隠し事や嘘を言うような気には、なれないんすよね。(くすっとほくそ笑みながら) 」

エドガー「どこかでよく聞いたような馬鹿の話だ。 で、どこでも好かれる……信用のできる馬鹿の話だ(親友、ラングの姿と重ね、懐かしむように……) グイッ(当然のようにプロテインを追加する) (アサギの言葉を聞き、同意を示すように頷くとハロへ一瞥を送った)録音して持って行ってやりたいぐらいだな。 」

嵐千砂都「…なんてね♪妹に愛されるということは、それだけお兄さんが信頼できる良い人だってことじゃん。誇らしいよ、ほんと!……マコトちゃんのこと、大切にしてあげてね(ヒロに微笑む)………(真っすぐで、純粋で……まるで、「かのん」ちゃんみたいだ… )(ガトウの話に耳を傾けながら、今はそこにはいない誰かのことを思う) 」

メイヴィス「な"に"そ"れ"初"耳"な"ん"です"け"お"……ス"ーパー泣"け"る"……!!!!!(涙と鼻水と愛しさと切なさと心強さで顔がしわしわピカチュウになっている) 」

ヒロ「…あ、あぁ…もちろんだよ(千砂都の微笑みに心を奪われたかのようにたじろぐ)……(千砂都の様子を見て) 」

薬師寺九龍「…………(な ん で コ イ ツ ら ラ イ オ ッ ト の こ と し ん み り 話 し て ん の?)(事情をよく知らない為皆がライオットに真剣になる理由がわからない)…グビグビ(生ビール2杯目)へっ、さすがは頑張る青年は違うねぇ(ほぼ同い年)俺にゃそういう英雄譚ねぇからなぁんも思わねぇけどよ。真っ直ぐ過ぎなのも大概だと思うね。――――――壊れるぞ。こういう現場だからこそ、ああいう性格は危険なんだ。 」

ガトウ「よく、口癖のように言ってたな…「一度きりの人生を悔い残さず生きたいから」って。ああ、わかるさ。振り返れば俺もたくさん後悔してきた。人間誰だってそうだろう。ライオットの奴きっと、俺たちには知らねえいろんな後悔を背負ってきたんだと思うと、あいつが普段から真っすぐに進もうとするのも分からなくもないな。 」

ガトウ「とにかく、士官学校にいた時のあいつは、そんなところだ。あいつが何故レギュレイターになったのか、んで、どんな経路で入団したのか…それは劉狼のおやっさんのほうが詳しいだろう。今は第6管轄の赤十字病院に入院している。見舞いがてら聞きに行ってみるといい。(アサギにそういうと再びコンロを点火する)お前たちも、いろいろ苦労を背負って生きているだろうが、目の前のもんとちゃんと向き合って生きて行けよ。「後でどうにかなる」なんて思ってたら、きっとそいつは離れちまう。手を伸ばせる距離にあるもんは、しっかり掴んでおけ。あいつ(ライオット)がそうしているように、な―――(そう言いながら、残りの生肉を焼き始めていく) 」

ヒロ「……………大丈夫かい…?(千砂都の様子を察して声をかける) 」

バンレッジ「……(ある程度事情は知っているが故に聞き入っている)…そうだな、同感だ。個人的にはその愚直さは嫌いじゃないが、楽観視して良い物でも無いな……そう、後悔か。俺も数え切れない程ある、こういう仕事をしていると……だからこそやはり、心配だな……色々な意味で…… え?うちの管轄の病院に入院してたのか、参ったな……色々聴きそびれてしまっていた、また隊長に小言を言われるな……まあ、いずれ苦労との向き合い方も分かる様になる物さ、年長物としての意見になるが……まあ、慣れて良い物でも無いが。そうだな!さあ、肉を食べよう。折角の機会なんだ、食べるのも身体作りの一環だからな(野菜も肉もモリモリと再び食べ) 」

アサギ「…後悔かぁ…(思い当たる節はたくさんある。次々と脳裏に過る有象無象な青年たちの顔。どれもおぼろげだが、ライオットの顔だけはしっかりと鮮明に、今でもその脳裏に描かれていることを思い知ると、面白おかしそうにふっと笑みを零してしまう)……そっすね。明日、早速師匠に会ってくるっす。大先輩、面白い話をありがとうございました。先輩と大先輩の青春物語…薄い本にして出版しますね!(ぉ 」

嵐千砂都「……("後悔"……そう、私は…「私たち」は…―――)(瞼を閉じれば、そこに広がるはかつての光景。大切な誰かが"いた"。今はもう、その人は"いない"。フラッシュバックしてもすぐに記憶から遠ざかっていくその光景は、やがて現実へと引き戻されていく)……!……う、ううん…!大丈夫大丈夫!ちょっと、食べすぎちゃったかな…?あははっ。あ…!でも最後にデザートで〆ちゃおうっと!甘いものは別腹だからね♪(すぐになんてことのないいつもの明るい表情に戻りながらメニュー表に手を伸ばす) 」

ヒロ「………そうか(これ以上は追及せず)………(俺が彼女にできること…)……そうだな!デザート……ピーチアイスとか良いんじゃない?(メニュー表を覗き込み) 」

エドガー「壊れるほどに脆いか、壁をぶち破りながら傷つくか、言葉で測るのは難しい。ライオット、か……一度手合わせしてみるか。ルールは…………。ガトウ大先輩殿に番付を組んでもらうか(手合わせに関しては本気なのか薄く笑いながらサラダを山盛りにしていく) 」



― 赤十字病院・病室 ―


アサギ「ガララ…――― こんちゃーっす…(縮こまりながら病室へ入ってくる) 」

劉狼「……む (ベッドの上。上半身を起こしたまま新聞紙を広げていたところにアサギと目が合う) アサギか。 (普段の厳つい表情にはない柔和な眼差しを向けると新聞紙を畳んで「こっちへ来い」と視線を促す) 」

アサギ「ちゃっす、師匠。お見舞いに参りました~。(彼に促されるまま、スーパーの袋を両手にぶら下げてその辺の机にドカッと置く)……体調はお変わりなくー?(その辺のパイプ椅子に腰かける) 」

劉狼「うむ。頗る調子は良い。医師によれば、このまま安静にしていれば数日後には退院が叶うそうだ。それより、貴殿の方はどうだ。第2調査兵団…大門団長のもとで律儀に任務に励んでいるか。 」

アサギ「よかったすね♪ ……うっす。半場強制的にやらされる筋トレのせいで体バッキバキっすよ…(ひーひー言いながら掌をぷらぷらさせる)……その第2でいろいろ嗅ぎまわってみましたが、特に怪しい情報は出回ってなかったす。他の団とも良好な関係を結んでいるようですし、博士の研究所襲撃事件に関係するようなものは、特に見つからなかったっす… 」

劉狼「……そうか。報告、御苦労。確か派遣期間まであと数日だったな。第2調査兵団はひとまず対象から外し、また他の団に目星をつけてみることにしよう。ライオットも、上手く情報を入手しているといいが… 」

アサギ「……!(そのライオットの名にぴくりと反応する)……えと、その~…事件のこととは関係ないんすけど…ガトウ大先輩からいろいろ聞きました。「先輩」のことを… 」




劉狼「……?「ライオット」のことか…?何故(なにゆえ)、今更そんなことを。(アサギに疑問符を浮かべる) 」

アサギ「あいや…その…あたし、先輩の昔の話とか、聞いてるようで実はそんなに知らなくって… 先輩ってほら、アレじゃないすか。時々、自分のものじゃない「記憶」が襲ってくるって。でも、そんなことが果たして本当なのか、そんな事実もないし… 」

劉狼「……何が言いたいのだ? 」

アサギ「……その、もしかしたら、先輩の言う例の「記憶」って、実は「先輩のもの」なんじゃないかって。ほんとは忘れてるだけで、何かの拍子で今になって思い出そうとしているんじゃないかって…そう思ったんす。だって、過去に何かを経験したから、記憶が生みだされるものじゃないスか…?それなのに、赤の他人の記憶が自分の記憶として見えるなんて…よくよく考えたら、変っすよ。……だから―――― 」

劉狼「―――――フッ (ふと、不安げに語るアサギの様子を見かねて小さく噴き出した) 」

アサギ「……??ししょー…? 」

劉狼「……ああ、すまない。アサギよ、貴殿は…本当にライオットのことを慕っているのだなと、あらためて思い知らされただけだ。健気に先輩の身を案じる貴殿の気持ち、理解した。 」

アサギ「べべべべべつににににに!ああああああたしはせせせせせんぱいのことなんかこれっぽっちも心配なんかしてててなんんかかかかかかk💦(あわわっ(眼鏡が盛大にズレる) 」

劉狼「それでよい。よいのだ。(困惑するアサギにフッとほくそ笑む)……なるほど。ライオットの身に纏わる過去…それを知れば、奴の記憶障害が晴れる鍵になるやもしれん。そのために大門団長より聴きだしたわけか。 」

アサギ「……そのガトウ大先輩が言ってたんす。師匠に聞けば、先輩がレギュレイターに入団する頃の話をもっと詳しく聴けるからって… 」

劉狼「……なるほど。(ふむ、と腕を束て瞳を閉ざす)……ならば語ろう。ライオットとの出会いを。あれは…―――― 」




― 数年前・士官学校・訓練場 ―


「 これより、レギュレイター入団試験・戦闘員の二次試験を始める。一次は筆記試験であったが、この二次では実技試験を行うものとする。貴殿等の試験教官は、この「劉狼」が務める。以後、よろしく。 」

「 それでは早速であるが、二次試験を開始する。内容は…――――― 」




「 機械生命体のダミー討伐数35体。目標の25体を大きく上回ったのは、貴殿か。確か、名は…――― 」

「 はい!!「ライン・オーレット」といいます!!! 」

「 威勢の良い返事だ。あれだけの数を討伐しても尚疲労感を見せぬか。よかろう。ならば二次試験の最終課題として、試験教官であるこの拙僧と組み手を行う。制限時間内に見事一本を取ることができたなら、貴殿は張れて二次試験を合格。レギュレイターへの入団を許可しよう。 」

「 はいッ!!俺、頑張ります…!! 」

「 その意気や良し… さぁ、来い――――!! 」




「 ……ヌゥ……よもや、若手でありながら拙僧と互角に張り合うか。なかなか、侮れん実力を持っているようだ。 」

「 よりにもよって、制限時間の5秒前に一本を取るとは…狙っていたのか、はたまた偶然なのか…いずれにせよ、貴殿は拙僧に打ち勝ったのだ。これにより、ライン・オーレット。貴殿の二次試験合格、並びにレギュレイターへの入団を許可する。 」

「 ……!!教官、ありがとうございました…っ…!!! 」




「 ……ここが、俺が今日から配属される第3調査兵団の事務所か…―――失礼します! 」

「 ……!?あ、貴方は……!! 」

「 フッ…驚くのも無理はない。まさか、このような形で早い再開を迎えるとはな。改めて挨拶しよう。第3調査兵団・副団長を務めている「劉狼」だ。貴殿を歓迎する、ライン・オーレット。 」

「 教官が…俺の上司に……!!マジか……光栄です…!! 」

「 よせ。もはや拙僧は貴殿の教官ではない。これからは、共に任務にあたる仲間としてだな… 」

「 …なら……「師匠」と呼ばせてください!!初めて世話になった時から、俺…貴方の強さに憧れてたんだ…!! 」

「 し、師匠…?ふむ……まあ、好きなように呼ぶとよい。して、拙僧は貴殿のことをどう呼べばよい? 」

「 「ライオット」――――それが俺の、本当の名前です!! 」

「 ……フッ…よかろう。ならば、そう呼ばせていただく。これからよろしく頼むぞ、ライオット。 」

「 ……はいッ!! 」




「 "忍耐"―――それが貴殿に欠けているものだ。忍び耐えよ。さすれば、自ずと切り開くべ路(みち)を見出せる。 」

「 うぅ…ッ……じっとしてんのが苦手な俺にはキツいっすよ、師匠… 」

「 喝ッ゛!!!!!!! 」

「 いでぇーーーっ゛!!! 」





「 ……貴殿にはまだ問うていないことがある。何故(なにゆえ)に、義の路を往く?何故に、レギュレイターを志す? 」

「 …俺の親父、政府軍の将校だったんだ。俺が小せえ頃に殉職しちゃったけど。でも、そんな親父の背を見て育ってきたから、憧れてたんだ。親父は、たくさんの人たちを守り抜いてきた。俺たち家族のことも。…俺も、大事なもんを守れるような、そんな強え男になりてえんだ。 」

「 誰だってはみんな、いろんなもんを抱えて生きてんだ。平気そうな顔をして、本当は困ってるやつだってたくさんいる。たとえどんな奴であろうと、俺はそういうのを決して見捨てたりなんかしねえ。 」

「 広げた手よりも大きなもんを守る――― それが、俺の正義だ。 」

「 ………立派な志だな。 」




「 ぐッ…… はぁ…はぁ……! 」

「 気をしっかり持て、ライオット!近頃、頭痛が悪化しているのではないか…?一度、赤十字病院で診療を受けよ。 」

「 はぁ……はぁ……大丈夫…本当に、大丈夫だから… ちょっと寝たら、すぐに治るから、さ…… 」




「 ……記憶障害? 」

「 そうら。診断の結果、ライオットには「身に覚えのない記憶」が脳に強く影響を及ぼす、いわば一種の記憶障害を患っていることが判ったら。原因は不明らけろも…劉狼、なにか身に覚えはないら? 」

「 いえ…ライオットとの修行において、過度な負荷をかけるような過激な活動は行わないよう配慮して参ったつもりですが… 」

「 ふぅん…でも、なんらろね… 物事には必ず原因というものがあるら。ライオットの記憶障害も、反復現象が起こった時からだとすれば…やっぱり、今回の事件と何か関係があるのやも…? 」

「 …分かりました。ライオットは、拙僧が必ず面倒を見ます。万が一、最悪の事態になった際は… 」

「 頼むよ、劉狼。あの子は、私たちの大事な『家族』なんらからね。 」




「 ……「女性の声が聞こえる」…とな? 」

「 あ、ああ……朧気だけど、あれはたしかに、女の声だ。そいつが、ずっと…俺の名前を呼んでんだ… 」

「 そしたら急に、俺の知らない景色がブワッと広がって…あれは、俺がまったく知らない世界だ… そんな夢のような記憶が、最近ずっと続いてる… 」

「 まるで…自分が、自分でなくなっていくような感覚だ…っ…… 」

「 …ライオット…… 」

「 こんな曖昧な記憶を抱いたまま、俺は…何を信じればいいんだ…ッ…? 」

「 ……貴殿は、貴殿のままであればよい。 」

「 …師匠…っ…? 」

「 我を忘れてしまう感覚は、痛感できるものがある。獣の身としてこの生を受けた拙僧も、人と為る以前はただの獣。
本能のままに畜生を喰らい、貪り…その血腥さはまた本能を刺激し、我を忘れさせる。 」

「 ……多くの命を殺めてきたのだ。人はそれを、食物連鎖故の生存本能と謂う。しかし、拙僧はそれでも悔いていた。必死に、生きようとする懸念に駆られるが余に、自らの悪意を正当化しようとする… それこそ、己が黒く塗りつぶされていくような感覚であった。そんな悔恨を受け止めてくれたのが博士であり、今のレギュレイターなのだ。 」

「 そして人と為った今、ようやく理解した。不安や罪悪を感じた時、人は己を見失いかける。だからこそ、他でもない己自身を受け入れるべきなのだと。 」

「 …拙僧は路を踏み違えたやもしれん。それでも、己を信じて進んだ路に後悔など無いと胸を張って、進むのだ。

「 ………ありがとう、師匠。俺、こんな自分を、信じてみるよ。そうすれば、いつかきっと…その意味を見つけられるかもしれねえから。 」




劉狼「―――――………(ゆっくりと、静かに瞼を開ける) ……それ以来だ。ライオットが、あの記憶障害に屈することなく、今もなお立ち続けていられるのは。 」

劉狼「奴は、あの記憶を自分のものではないと口にしながらも…どこかで大事そうに、その謎を解き明かそうと奮闘している。 アサギよ。貴殿の言うことが真実ならば、それは…ライオット自身の"本能"だ。あの記憶が奴のものであろうとなかろうと、それを捨てることなく受け止め続けていることこそ、ライオットがずっと掲げていた義。 」

劉狼「……奴は、今も昔も、その志に揺るぎはない。真ながら、芯の強い男よ。(フッと鼻を鳴らす) 」

アサギ「……(劉狼が語る回想にずっと耳を傾けて唖然と口を開いていたが、その笑みに釣られるように)……そうかもしれないっすね…♪(つい、ほくそ笑んでしまった) 」

劉狼「アサギよ、拙僧は貴殿の考えに改めて賛同する。根底を見つめ直せば、解ることもある… ライオットの記憶障害が解明されるならば、拙僧は喜んで力を貸そう。……我々の、第3調査兵団復活のためにも、な。(不敵な笑みを浮かべる) 」

アサギ「師匠……! はいっす…! (ガッツポーズを取る) 」



── 第5兵団 事務所 ──


鬼塚夏美「…それで?結局何も進展はなかったと?(事務所のソファーで自作のスムージーをストローで飲んでいる) 」

ヒロ「………これ以上は何も言えなかった(夏美の向かい側のソファーで水を飲んでいる) 」

ヒロ「…あと進展言うな(小声) 」

鬼塚夏美「ヘ・タ・レ・で・す・の(ジト目)うだうだしてると私が先にあなたを落としますの(何 」

ヒロ「(えっ?)(えっ?) 」

鬼塚夏美「冗談ですの。本気にしないで欲しいですの。(スムージーのおかわりを用意する)と言うバカな話は置いといて(真剣な顔になる)千砂都先輩…私たちの事を気にかけてくださってるけど、やはり無理してる感じがしますの。 」

ヒロ「明るく振る舞っているようには見えるけど、何となくわかった…(か細い声で)…話に乗っかって元気づけるので精一杯だった。…それもできてたかわからないが(弱々しく) 」

鬼塚夏美「…あなたが力不足のように落ち込むことはないですの…(ヒロの肩をポンと叩き)あなたはあなたの出来ることで…千砂都先輩の力になってあげてほしいですの。 」

ヒロ「…!あぁ。(夏美の言葉を聞き、小さく応える) 」

鬼塚夏美「…でも、無理は禁物ですの!明るく振る舞っているように見えるのはあなたも一緒ですの(トンッとヒロの額をつつく) 」

ヒロ「…っ(額をつつかれ、まいったと言わんばかりの表情を見せる)わ、わかってるさ… 」

鬼塚夏美「私は戦闘能力がないから戦いでは頼りにならないかもしれないけど…話を聞くくらいならできますの。もしどうしても辛くなったら無理せずに頼って欲しいですの(つついた手を広げ、ヒロの額に掌を添える)………っと、お水がなくなりそうですの。新しいものを用意しますの(手を遠ざけてふいっとヒロから顔を逸らし、給湯室へと走っていく) 」

ヒロ「………ありがとう(走っていく夏美の後ろ姿にそっとつぶやく)……("かのんちゃん"………か)(天を見上げる) 」



翌日――――


― PM 13:00 ラステルム王国・スフィア城 ―




けたたましいサイレンが、王国全体に鳴り響いている。
だが、城内は不気味なまでに閑散としている。響き渡るのは、焦燥に駆られた一人の人物の駆け抜ける足音のみ―――


セイン「ハッ、ハッ、ハッ――――――(何故です…!?一体、何が起こっているというのですか……!)(普段は衛兵たちが隊列を成しているはずの荘厳な廊下――今は人影一つすらない――を駆け抜けている) 」

セイン「―――― 女 王 陛 下 ! ! (バァン!と女王の間の扉を盛大に開いて入室する) 」

ヴィエル「…………(女王の間の最奥、玉座に居座っている一人の女王。傍らには、護衛兵はいない。城の外でサイレンが鳴り渡る中で、不自然なほどに落ち着いて深く玉座に腰かけていた) 」

セイン「はぁ…はぁ……女王陛下…!(遠目ながらも、女王の身が無事であるのを確認しつつ彼女のもとへ駆け寄っていく) 緊急事態です…!再び、帝国軍がこのラステルム王国へ襲撃しに現れました!非常事態宣言の発令は行われているのでしょうか…!?民間人はみな、大混乱に陥ってしまっていて――――(いつものような紳士的な表情は焦燥感に侵食され、女王に言の葉を紡ぐ度に一歩ずつ詰めよっていくが、その時―――) 」


カ ――― PM:13:10 ――― チ


ヴィエル「 ス … (玉座から静かに立ち上がり、そっと片手を上げ、頭(こうべ)を上げてくださいと促す) 皆様、ようこそおいでくださいました。はじめまして、ラステルム王国・現女王の『 ヴィエル 』と申します。(聖母のような優しい微笑みを浮かべる女王。だが、それは―――――) 」

セイン「   ! ! ?   (突如立ち上がり、喋り出した女王の一連の行動に酷く絶句した。何故なら、彼女のその一連の流れに、えも言えぬ「既視感」が過ったからである)まさか……これは…――――ッ!!?(女王の姿に双眸を泳がせながら、詰め寄った分の足が退いていく) 」

セイン「―――――――!(その瞬間、女王の背後にいた「何か」を察知し、咄嗟に腰元の剣の柄に手を伸ばすが―――) 」


――――  ダ  ァ  ン  ッ  !  !  (凶弾の一声と共に、艶やかなステンドグラスが赤く染まった――――)




時は少々遡り―――


― PM 12:30 ラステルム王国・城下町 ―


ライオット「………そうか、師匠の容態はなんとかなりそうなんだな。(ベンチに腰かけてその辺の自販機で買ってきたであろうコーラを口に含んでいる) 」

アサギ「そうっすね… にしても、先輩もあたしも内通者に関する有益な情報は掴めず…でも、先輩の方はゼレオロスの更なる情報が掴めて大手柄って感じっすね…!さっき第2でもその情報が共有されててガトウ大先輩が本部へ確認に向かったとこっす。……良い方向に進むと、良いんすけどね…(一方で、ベンチと平行に壁に凭れながら空を仰いでいた) 」

ライオット「……ああ、そうだな…(はじめは、反復現象解明のために動いていた。それを引き起こす黒幕の正体も掴んだ。なのに、雲行きは非常に怪しい。ゼレオロス、五大国…反復現象を取り巻く国々の衝突、陰謀が、その道先を曇らせているんだろう。良い方向に転ぶことを切に願うが、そんな壁に阻まれた現状では、いつものように楽観的に振り切れるほどの余裕はない。そんな、蔭りを含んだ横顔を浮かべつつ、炭酸が抜けたコーラから口を離した) 」

アサギ「………(ちらっとライオットの横顔を一瞥)………もーらいっ ♪(浮かない顔をする先輩からコーラをさっと奪い取ってためらいもなく口にする)……んげっ…なにこれ、炭酸抜けてるじゃないっすか…!先輩、いつも炭酸抜ける前に絶対飲み干すはずなのに~。てか、今の先輩の顔も、炭酸が抜けたコーラみたいっすね。(ぷーくすくす) 」

ライオット「あ、ちょ…!(コーラを奪い取られた挙句飲み干される)…うるせえよ…なんか、今は喉が通らねえ気分なんだ。(いつもなら取り返そうと身を乗り出すはずだが、項垂れたように両手を組んで深く腰掛ける)……(それ以降、様々な事柄が錯綜する頭を抱えて無言するようになる) 」

アサギ「………(先輩……)(意気消沈している先輩に、何か言葉をかけようとするが思いつかない。ガトウや劉狼から聞いた、ライオットに関する過去。本人に内緒で聞いたことを引き合いに出すわけにもいかないため、本当にどうしようか考えあぐねていたところに―――) 」


――――   ゴ  ォ  ゥ  ン  ッ  !  !  !  (突然の地響き。一瞬のうちに起きたそれは地震によるものではない。戦闘経験のあるものなら誰もが察せる、爆発による震撼だった――――)




ライオット「  !!?  (咄嗟に起きた爆震にびくりと反応し、ベンチから立ち上がる)…なんだ…爆発か…?まさか……!! 」

アサギ「……!(急いでスマホを取り出し、本部からの緊急速報を確認しようとするが…)……ダメっス…いつもなら事件直後にすぐ本部から連絡が入るはずっすが…!……って、いうか……!(その時視界に入って驚いたのは、その辺を歩いている民間人たち。これまで起きた事件と比較し、ある違和感が過った) 」


ザワザワ……(爆発音に困惑する民間人たち。しかし、困惑こそすれど何故かすぐに逃げ出そうとしない)


ライオット「まさか…ゼレオロスの奴らが―――?どうした、アサギ……?(アサギの視線に釣られて困惑する民間人たちに気づく)…おい!!今の爆発は近い!みんなすぐに避難しろ!!急げ…!! 」


ザワザワ、ザワザワ……(ライオットの避難誘導の声に反応する人々。互いに困惑の眼差しで向かい合うが、それでも誰一人として動こうとはしなかった―――)


ライオット「おい…ッ!!聞こえてんのか!?聞いただろ今の爆発!!またゼレオロスの連中が襲撃しに来たかもしれねえんだぞ!!急いでここから離れろって…!! 」

アサギ「……!(民間人たちの様子を見てあることに気づく)ちょ、先輩待ってください!確か、この王国の民間人たちって、事件が発生したらいつも女王様の「声」に従って避難してるって言ってませんでしたっけ…?ほら、女王様って、なんかすごい不思議な声を持ってて、この王国全域にいる人間の脳に直接語り掛けるっていう…あ、思い出した…!「星の歌声」って奴っすよ! 」

ライオット「そういえば、セイン団長がそんなこと言ってたな…けど、それが何だったってんだよ…? 」

アサギ「考えてみてください…!今まで機械生命体や帝国の襲撃事件が発生した時も、発生直後には必ず女王様のその「声」があったから、あたしたちレギュレイターが避難誘導するまでもなく民間人たちは冷静かつ早急に事件現場から離れることができた… でも、今の様子…"あの人たちに女王様の「声」が届いていない"んじゃないっすか…!?ずっと女王様の「声」に従い続けてきたから、その「声」なしではきっと勝手に動くことができないんじゃないかって…!


―――― ズ ガ ア ア ァ ァ ァ ア ア ン ッ ! ! ! ド グ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! (ライオットたちが問答を繰り返している間にも、爆発は二度、三度と轟き始める。それでも、民間人は右往左往するばかりであった…)


ライオット「―――――ッ!?(アサギの推測に、嫌な予感が過った。それは、昨日の謁見の際に女王・ヴィエルと最後に交わした、あの言葉―――) 」


(回想)ヴィエル「 もしも…もしも私の身に何かあったなら…こちらのリオンと共に、この国の人々のことを守ってあげてください  」


ライオット「――――………冗談よしてくれよ、女王様…っ……!(何かに駆り出される衝動に踵を返し、爆発現場…とは反対にある城の方角へと駆け出そうとする) 」

アサギ「え、ちょ…っ!?先輩っ!!?どこいくんすか…!?(爆発によって巻き起こる黒煙と走っていくライオットを交互に見ながら狼狽する) 」

ライオットアサギ!現場は任せた!!そのうち他の部隊の奴らも駆けつけてくれるはずだ!俺は女王のとこへ行く!! 頼んだぞッ!! (一度立ち止まってアサギにそれだけ告げると一目散に城へと駆け抜けていった) 」

アサギ「ちょ、えっ…先輩…!!ううぅ…マジっすか……(「あーもー!」と駄々こねたい気持ちを堪えて、今はライオットの言う通りに従い爆発現場へと向かい始める) 」

嵐千砂都「………本部から要請は来ていないけど、行くしかないよね…!(偶然現場付近に居合わせていたところ、黒煙のある方を見据えて急行し始める) 」

リオン「 ザ ッ ――― (城へ急行するライオットに合流するように、彼の真横を並走しはじめる)……君は確か、レギュレイターの… 今の爆発は…?何が起こっている…!? 」

ライオット「……あんたは…!(同じくリオンと顔を見合わせながら並走する)……わからねえ…けど、俺の優秀な後輩が嫌な予感を推測してくれたんだ。住民たちが避難しようとしない。きっと、女王様の身に何かあったんだ! 」

リオン「……!!やはりか…(同じ考えに至り、ますます不安が募るように俯き始める)…隣国のプラリーニ王国で国王との会談のため、女王の傍を離れてしまった矢先に…私としたことが…!衛兵たちを民間人の避難誘導に当たらせている。だが、焼け石に水だ。女王無くして、この国の危機を救うことはできない!私と共に来てもらおう…! 」

ライオット「ああ…!それに、それが女王様から託された、俺の使命だからな…!(リオンに不敵な笑みを送りつつ、そのまま二人ともに城へと向かっていくのだった) 」

ヘザー「……聞こえる!?聞こえる!?第6隊員!私の声が聞こえてる連中は民間人の避難誘導!!一時的に他隊の指揮下に入っても構わない!私は女王陛下の安全を確保しに行く!!聞こえてる!?繰り返す……!!(片手に持った無線機に叫び続け、車椅子を自動操縦機能で城に向かって爆走させている)……!ライオット隊員、リオンさん…! 」


ザ ッ  ザ ッ  ザ ッ  ザ ッ  ―――――(進軍する軍靴の音。城下町のメインストリートを埋め尽くす、蟻の如き黒い群衆。はためく軍旗。物々しい風貌を醸すのは―――)


帝国軍隊『  ザ ッ  ザ ッ  ザ ッ  (「ゼレオロス帝国」―――その軍隊が、何処からともなく現れてはラステルム王国の中央部ともいえるこの城下町に忽然と姿を現したのだ。完全武装を施し、自走砲も以前と比べて数台構えられていることから、"本格的に攻め落としに来ている"ことが伺える)』

ヒロ「………まさか、またこの前の奴らが攻めてきたってのか!(現場付近で爆発の音を聞き、走り出す) 」

アサギ「よっ―――とっ――――!(軽い身のこなしで建物の屋上から屋上へと飛び移りながら索敵していたところに、帝国軍隊を発見する)……やっぱり、こういうことでしたか… こちら第3調査…ああ、間違えました!第2調査兵団・派遣団員のアサギ!ラステルム王国、城下町 E-3にてゼレオロス帝国の軍隊を発見したっす!至急現場への救援を要請するっす!(スマホを手に通達を行う) 」

メトロ「第2調査兵団より、ラステルム王国にてゼレオロス帝国軍の襲撃が目撃されました!至急、第10調査兵団も現場へ向かいます!(ノートパソコンを畳んで装甲車に乗り出す) 」

エクレイル「帝国が攻めてきただと…!?一体どこから…エーテルベールの包囲網はどうなっている!?とにかく、我々第7調査兵団もただちに現場へ急行する!総員、急げッ!! 」

ルクエス「こうも何度も不意を突いてくるなんてネ…帝国の情報網は想像以上に侮れないネェ… ウィルバーレヴィ、二人とも現場へ行って来テ。ボクは少し遅れるから、サ。 」

レヴィ「りょーかいっ!叩けばいいんでしょ、叩けば!(急いで身を乗り出すように事務所の窓から飛び降りていく) 」

フロール「(城下町の大通りから、素早い身のこなしで高所へと駆け上がり……見掛けたアサギに軽く会釈。そして帝国軍隊を見下ろし)……こちら第7調査兵団、フロール……敵多数、装甲目標も見える。出られる人は隊長の言う通り、全員出てください 」

ヴァランドロア刹那「しかし団長あの女王の能力下にあって避難誘導がままならないというのは異常です情報を集めてから向かった方がいいのではというか単身で活かせられるわけ無いでしょうこういった事態において国家首脳の付近というのは正しくレッドゾーンです危険です向かうべきではありませんところで私の百合は押し語ですが王すぐ放送なのですが録画するのはHDとSSDどちらにしましょうかねえちょっと何無線切ってるんですかおおおおおおおい!!!!!(めっちゃ早口でまくし立てながら箱買いしたシュークリームを抱え現場へ突っ走る) 」


第6調査兵団・戦闘員 ――― 『[[ヴァランドロア刹那]]』


ラタリア「(一方、その頃―――)……不味いことが起こったのら…でも、あともうちょっとなのら…!それまでみんな、なんとか持ちこたえてほしいのら……!(本部の実験室にて、カチャカチャと音を立てながら必死にある物を作成していた―――) 」

ネオン「第4調査兵団もただちに現場へ急行いたします。(装甲車の操縦席に乗り出す) 」

平安名すみれ「女王の身に何かあったったらあったのよ!!(刹那に続いて走り出す) 」

ルクエス「………(スマホを手に誰かに通話をかけているが、一向に繋がらない)……あれれ、おかしいネ… こういう時でもすぐに応答してくれるはずなんだけド… どうしたんだろう、「セイン」…―――― 」

薬師寺九龍「(無線を聞き)え、なんだって!?襲撃!? あ、あと5分、いや3分待ってくれ!今フィーバーしてんだよ!久々に当たり台に恵まれて―――――――わがっだよ行けばいいんだろうが!!(涙ながらに途中で切り上げ現場へ急行) 」

片桐「しょうがねェなァァァ~~~~……団員を守るのは俺の仕事だァァァ~~~~……ここは俺に、任せろおォォォ~~~~(九龍と変わるように台に陣取りパチカス続行) 」

ヨールダン「こちら第6調査兵団、ヨールダン……了解した、隊長。城下町の敵はなんとかこっちで対処してみよう……健闘を祈る(無線機の通信を切り、隊員を載せた装甲車で市街地へと突っ込む)……戻ってそうそう、忙しくなるな……やれやれ… 」

ネオン「  グワシャアァァァアアアンッ!!  (パンチコ店に装甲車でエクストリーム入店し、寸での所で片桐の真横に停車する) 団長、お迎えに参りました。早急に乗ってください。 」

片桐「はい。(嘘だろぉ~?) 」

ニーベルゲ「えぇのぉおおお~~~~(スゥゥゥゥゥゥ)戦争の臭いじゃああああ…………。おうお前ら!!派手にブチかましたんぞぉお!!(兵団を率いて帝国軍隊へ迎撃へ) 」

エドガー「(一方第1調査兵団事務所。反応がない通信端末を一瞥し、ガシェット入のアタッシュケースを手に) 団長……ハゲに伝言頼む。俺は城の方に行く、お前らは城下町を頼む(そう言うや窓を開け、窓枠を蹴りロケットのように飛ぶ) 」

パチンコ屋の客「キュインキュインキュイン♪今日のオフ最高だぜぇ~!!!!(装甲車の突入にも関わらず2人の仲間とパチンコを打ってる) 」

唐可可「今度こそ、奴らをギッタンギッタンのボッコボコにしてやるデス!くぅくぅの調整したガジェットがあれば、無問題ラ!デス! 」


第9調査兵団・メカニック ――― 『 唐可可 』


アギト「くそう、こんなときに来るだなんて…………氷川さんもっと飛ばしますよ!! これ以上被害は、出せないッ!!(別の任務で遠くへ行っていた為どの班、どのメンバーよりも遅れている模様) 」

オアシム「テコテコテコ……  (ニーベルゲの肩からマスコットが飛び降り、帝国軍兵士とかち合うように最前列へ移動) 断っておくが、私程度に殲滅される程度では虫以下ということだぞ。童共   ガコォンッッッ    (マスコットに亀裂が走り、記事を引き裂いてミサイルポットやら光線銃やらロケランやらの重火器が質量保存の法則を無視して展開。弾幕を撒き散らす) 」



― PM 13:20 ラステルム王国・スフィア城・女王の間 ―




―――― バ  ァ ン ! (女王の間への両開きの扉が勢いよく開かれる)


リオン「――― ヴィエルッ!!(我先に女王の間へと飛び込み、長いレッドカーペットを駆ける) 」

ヴィエル「――――――――(女王の間の奥にある玉座に、麗しの少女が静かに腰かけている。遠目から見ても、その外見に異変はない。表情も至って穏やかであり、なんてことのない「いつもの」調子で佇んでいた) 」

リオン「はぁ……はぁ……!よかった……ヴィエル……無事だったか…(女王にして、かけがえのない妹のヴィエルの傍に駆け寄り、その身の安否を確認して胸をなでおろす) 」

ライオット「……はっ…はぁ……!……よかった…とりあえず、女王様は無事だったみてえだ…(穏やかに佇むヴィエル、彼女に駆け寄るリオンの二人を見据えていたが…)………?(ふと、ヴィエルの表情にある違和感を覚え、眉を顰める) 」

ヴィエル「あはは…(苦笑する) 皆様、どうぞ気を楽にしてください。こちらこそ、世界政府・レギュレイターの皆様には、日頃より我が国をはじめ、五体国を守っていただき感謝しております。(にこりと母性的な微笑みを送る。)……お話は伺っております。なんでも…―――まさか、『ゼレオロス帝国』が再び動き出したとか…

リオン「…ええ、そうです…!ゼレオロスが、再びこの国に襲撃を… 女王よ、「星の歌声」を民人たちに届かせ、一刻も早く安全な地へと導いてください…(やや気が動転しているのか、ヴィエルの発言の僅かな違和感に気づけていない) 」

ヴィエル「…そうでしたか…(痛々しい表情をひとつ浮かべる)ゼレオロス帝国…彼らの国の在り方としては根っからの覇権主義であり、強大な軍事力を用いて周辺国を征服してきました。というのも、ゼレオロス帝国の主要民族である『 ゼレオロス族 』の人口が少ないからです。純粋なゼレオロス族は今現在でもその数は極めて少なく、それ故に、征服した周辺国を属州としながら被征服民を帝国人として採り込み、次々と国力を肥大化させていったのです。(リオンにとっては今更過ぎる情報を淡々を語り始める) 」

ライオット「……ん……ッ…???待て…その話、この前聞いたような…???(ヴィエルの発言に首を傾げる) 」

リオン「……??女王…いったい何を今頃そのようなことを…?それよりも、はやく、「星の歌声」を―――― 」

ヴィエル「……ええ、それは当たらずとも遠からず。(頷く) 時は、50年も前に遡ります。帝国が築かれたばかりの当時のゼレオロスは現在(いま)以上に貧困で、それ故に他国への侵略に余念がありませんでした。ですが、その貧しさから戦力は乏しく、五体国に戦争を仕掛けても返り討ちにされるような弱小国とされていました。衰退していく帝国はそのまま滅びの運命を辿るものだと思われていました…ですが、そんな時にゼレオロスにある革命が起こったのです。(困惑する二人のことなど歯牙にもかけず、ただ淡々と、淡々と、語り始める。先日語ったことと、同じことを――――) 」

ライオット「――――ッ゛!!?(その違和感に、絶句する)……まて、リオンさん…!まさかだと思うが…女王様…あんた…ッ…――――――

ヘザー「……二人共!!女王は<<反復>>している!!(二人の後から、慌てた様子で車椅子で飛び込み)……城下の様子を見て察しては居たけど、まさか本当に……!! 」


せい、かーい ――――――――  ゲ シ ィ ッ ! ! (その場にいないはずの第三者の声が、リオンの至近距離で聞こえる。だが、声が届いた頃には玉座の背後に潜んでいた「影」によってリオンが蹴り飛ばされてしまった)


リオン「なにッ―――― ぐぁ…ッ…!?(ライオットヘザーの発言に振り返った直後、玉座より聴こえた得体の知れない声に振り返ろうとした頃には強く蹴り飛ばされてしまった) 」

ライオット「ッ…!?あぶねえ!!(蹴り飛ばされたリオンを咄嗟に受け止める。高貴な執政官とは言えど、一人の女性として丁重に抱きしめ、そっと下ろした)――――!(そして、玉座の背後から現れたその「影」を睨みつける) 」

ヘザー「執行四脚《フォーレグ・イグゼクター》!!(玉座の背後から現れた「影」に即座に反応し、車椅子を巨大な四脚へと変形させ)……良く止めたわね、ライオット隊員。リオン執政官に怪我は? ……私達で障害を排除、二人を保護するわよ(嘲る様な声にもまるで耳を貸さず、ただ対敵を見据え) 」



赤髪のガスマスク「――――(玉座より現れてリオンを蹴り飛ばした張本人。その風貌は、フードにガスマスクで素顔を覆う赤髪の青年。アサルトライフル「ステアーAUG」を肩に担いで気だるそうに立ち尽くし、女王・ヴィエルが腰かける玉座の手すりにどかっと膝を突き始めた)―――― そっ、反復現象《オーバーラップ》。女王様にはおねんねしてもらったってわけ。……てかさぁ、マジで同じこと繰り返して喋ってんの???ウケるwwwwww(今もなお淡々と語っている女王の横顔を覗き込んではぶひゃひゃと下品に嗤い始める)」

リオン「ぅ…す、すまない……(ライオットに受け止められて立ち上がる)――――!貴様…ッ…!女王から離れろッ!!(腰に携えた聖剣を引き抜こうとするが―――) 」

白髪のガスマスク「――――あかん、あかん。そないな物騒なモン。引いてもらわにゃ。(何処からともなく沸き起こる硝煙の中より露わとなった白銀色の髪をしたガスマスクの青年。その人物は、相方と女王を挟み込むように現出し、リオンに抵抗するなと自動小銃「H&K G11」をヴィエルのこめかみに突き付ける)」

平安名すみれ「やっぱりこんなことになってたわね…(女王の間に入ってくる)援護するわよ、団長(グソクムシの着ぐるみのようなものが体を覆う) 」

ライオット「はい、大丈夫です!了解――――!?(ヘザーに応答する一方で現れたガスマスクの二人組に強い警戒心を剥きだす)……テメェら…よくも幼気な女王に手を出しやがったな。なにもんだッ!? 」

ヘザー「チッ……(小さく舌打ちをした後、ライオットと乱入してきたすみれへと目配せし)……二人共、リオン執政官をお願い  ……さて、お二人は脅迫のおつもりですか?我々に武装を解除しろと?(……狙いは何だ、私達に隙を作る事?それとも見た目通りの快楽目的…?)(その場から動かず、ガスマスクの二人を交互に見) 」

赤髪のガスマスク「なにもんかだァ?俺はなぁ―――――えっ、俺ってなにもんなんだ?(女王を挟んで素っ頓狂に白髪の相方に尋ねる) 」

白髪のガスマスク「阿呆。なんぼ馬鹿でも記憶が飛ぶ輩がおるかっちゅうねん。 」

赤髪のガスマスク「ハァ!!?馬鹿ってなんだよ駄馬って!!!馬鹿って言うほうがバカなんですぅー!バーカバーカ!キャッキャッwwwwwww(白髪と呑気に戯れていたところにヘザーの眼光に振り返る)……見てわかんね?女王は、俺たちの手に落ちてんだよ。余計なことすんとこの頭吹き飛ばすぞア゛ァ゛ン゛ッ!!?(団長相手であろうとガンを飛ばして威嚇) 」

リオン「くッ……!!!(人質に囚われた妹…女王の姿に数歩退いてしまい、引き抜かれかけた剣を鞘に静かに収めていく) 」

平安名すみれ「わかったわ。(ヘザーの言葉に答え、戦闘態勢のままリオンの傍に)ほら、あんたも!(ライオットに) 」

白髪のガスマスク「……あんたら、「レギュレイター」やろ。ちょうど数分前に、一人来おったで。ちょうどええわ、悪いねんけどさ…――――(玉座の方に手を伸ばし、何かを引きずり出す)―――― 邪魔やねん、返したるわ。(掴んだ大きな影をライオットたちの元へ投げ飛ばした) 」

ヘザー「(あっ……不味い、実力云々より非論理的な意味で何をしでかすか分からないタイプだこいつら……)……その通りの様ですね、では交渉ですか?要求は……(ガジェットを巨大な四脚から車椅子の形態へと戻し、堂々と座った体勢に)調査兵団、及び政府への要求なら、私が一隊の長として…上に話を通しましょう 」

セイン「――――――――  ド サ ァ … ッ … ! (白髪のガスマスクに投げ飛ばされた物の正体。それは、全身に無数の風穴が開かれ、血まみれとなった貴公子の団長…そのなれの果てであった)……ぅ……ァ……ッ……(まだ辛うじて息はしているようだが、既に虫の息。瀕死寸前までの超重傷を負っていた―――)」

ライオット「わかってる…けど…(すみれに言われるままにするが…)――――― ! ! ? (目の前に投げ飛ばされた遺体…それが、自分がよく知る人物だと気づくと目を大きく丸くし、言葉を失った)……な…ッ…あ………?!……セイン団長……嘘だろ…ッ……!?セイン団長ッ!!!!(レッドカーペットに横たわるセインを抱き起す)おい…ッ…セイン団長…!!しぁつかりしてくださいッ…!!!(蒼白した表情で何度も彼の身体を揺さぶりだす) 」

セイン「う゛ッ゛――― ゲホッ゛… がぁ……ッ……!!(ライオットに揺さぶられる中で激しく吐血するも、そのおかげで目が覚める)……っ゛……迂闊、でした……気をつけて、くだ、さい……『彼ら』は…ゼレ、オロスの……ゥゲホ…ァッ……!!ハ―――ァ……ハァ……ッ……!!(口の端より止めどなく溢れ出す赤い滝が、レッドカーペットを更に深紅に染め上げていく) 」

平安名すみれ「…!(セインを見て)あれは、第8の…!! 」

ヘザー「………セイン団長…?(余りにも予想外の事実が眼前へと転がり、その傷が明確に致命傷……現状では救命が不可能なことまで悟り)……ライオット、落ち着いて。セイン団長、続きをお願いします(優先順位はあくまで、執政官と王女……そう言外に告げるかのように、あえて冷徹な声でセインに次の句を要求) (…早めに連絡を取るべきだった、彼なら大丈夫だと高を括っていた…!) 」

赤髪のガスマスク「…テメェらのことは『リベル』軍団長から聞いてんだよ。レギュレイターなんて、俺らからすればくっっっそ邪魔なんだわ。そん中でも団長格ってのが厄介みたいだからよォ…特に、そいつ、なんか情報によれば世界最強クラスの剣士っぽいからさァ…女王を盾にしてやったわけよ。そしたらそいつよォwww「紳士」だの「姫」だの痛えことほざきながら俺たちに撃たれることを選んだだったわけwwwwww ケッッッッッッッサクwwwwwww せかいさいきょーだがなんだか知んねーけどよォ…じゃあそいつを撃ち殺した俺が今じゃ「世界最強」…ってコト!?アヒャヒャヒャヒャッwwwwwwww(腹を抱えながら盛大に嗤い出す) 」

セイン「はぁ…ハァ……『七帝軍』だけでは、ありませんでした……脅威は… ヘザーさん……ライオット…さん…… 私からの、最期のお願いを、聞いて…戴けますか……? 」




セイン「   女王様を…お救いください…  (それが、世界最強と名高かった誉ある貴族剣士の、最期の言葉であった。彼らに意思を託し、事切れた青年の首が項垂れ、帰らぬ人と為ったのだった…―――――)」



白髪のガスマスク「……あんさんも団長格なんやろ。リベル軍団長も言ってはられたやろ。「『ワイら』に楯突くなら相応の報いを受けてもらう」って。命が欲しかろうて。ほんなら要求はただ一つや―――――"去ねや"、この国から。 」


拮抗状態、というには生易しい。
女王がガスマスク二人組の傍らにある今、レギュレイターには手出しが困難。
そんなとき、どこからともなく『バイク音』が響き渡る。


赤髪のガスマスク&白髪のガスマスク『  !!  (突如轟くバイク音にはっと首を上げる)』

アギト「ハァァアアアアアアアアアア!!!!!!(バリィィイイイイイイイイイイン!!)(城の屋根をライディングしてきたのか、バイクでステンドグラスを突き破り、ガスマスク二人組の上から現れる) 」

ライオット「………―――――――(最期の言葉を自らに託し、息を引き取ったセイン。つい昨日まで、不安げな自分に優しい笑みを送ってくれた頼りある仲間であった彼の顔が、目の前の遺体に重なると、腹の底から轟轟と煮えたぎる熱い感情で、胸がいっぱいになった)―――――!!(睨みつけるように、咄嗟にリオンにアイコンタクトを送る) 」

リオン「―――――!!(ライオットの視線に一瞬驚愕するも、すぐにその意思を汲み取ると―――再び剣に手を伸ばす) 」

ライオット&リオン『―――― ぜ え あ゛ あ゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ッ゛ ! ! / は あ あ あ ぁ ぁ ぁ ! ! ――――(互いに咄嗟に手に取った武器を力強く握りしめ、それぞれがガスマスクの二人組の一瞬の「隙」――アギトが紡いでくれた――を突いてその切っ先を振り抜いた)』

ヘザー「ああ、成程………全く同じ手段を取った訳ですか。確かに、有効な手段です……実際、手が出せない訳ですからね(連中の目的はレギュレイター……それも団長格。私達の目的は姫の救助……シンプルで良かった) ありがとう、セイン団長。貴方の願いは私が聞き入れました ……良いでしょう、ではその辺りは上に伝えさせます。 ……で、どうします?私は女王を解放して頂けるなら、この身を差し出しても構わないんですが……(さあ私を撃て、とでも言わんばかりに手を広げた直後……響き渡るバイク音、そしてガスマスクの二人がその音に反応した隙を見逃さず)……!すみれ!ライオット!(顔は向けずにそう叫び、) 」

赤髪のガスマスク&白髪のガスマスク『     ザ グ ゥ゛ ッ゛ /  ザ ァ゛ ン゛ ッ゛     (ライオットの槍に白髪の腹が貫かれ、リオンの剣に赤髪の喉元が掻き切られる。驚く間も、断末魔を上げる間もなく二人の身体はぐらりと倒れた―――)』

ヘザー「執行四脚《フォーレグ・イグゼクター》ッ!!(再び車椅子を四脚に変型させると同時に、一瞬で懐から拳銃を抜き……ガスマスクの二人組へと即座に発砲)女王を確保しろ!! 」

リオン「 ダ ン ッ ―――― ヴィエルッ!!! (盛大に振り抜いた態勢から床へと着地し、急いで玉座のヴィエルを抱き寄せる) ……すまない……すまない…っ……!(愛おしくぎゅうと力強く抱きしめると、彼女をお姫様抱っこしその場から離れ出した) 」

平安名すみれ「わかったわ!!!(グソクムシの脚が触手のように伸び、ヴィエルの両腕を捕らえる) 」

平安名すみれ「………(その前にリオンが抱えて離れてしまったため外す)………こいつらを捕まえるったら捕まえるわ!!(半分八つ当たりでガスマスクを複数の触手で拘束) 」

アギト「ズギャギャギャギャギャ!!!(着地後車体を傾けるようなブレーキをして停止)――――大丈夫ですか!!?(内心女王陛下を轢いたんじゃないかと思ったが、リオンたちの様子を見てほっとする) 」

ライオット「ハーッ…ハァーッ゛……!!(親愛なるものを失った直後だというのに、落ち着いた態度で立ち尽くす。否、"落ち着かせようとしている"のだ。乱れに乱れそうな今の心を…―――) 」

白髪のガスマスク「……………(腹を貫かれ仰向けに倒れているところに、すみれが伸ばすグソクムシの触手に拘束されるが――――) 」

白髪のガスマスク「――――― あ か ん わ 。(その体が、霧散する。硝煙となって宙を舞い、再び床上に降り立ったころには人の姿が形成され、元の姿に整った状態で起き上がったのだった)……やられてもうた。よもやこんなんなると思うてなかったわ。……ほれ、起きぃ。(隣でくたばっている赤髪の「遺体」に視線を向けることなく声をかける) 」

ヘザー「(女王陛下と執政官はとりあえず無事、後は……!)すみれ、気を付けろ!そいつはまだ動ける!! ……ライオット、今は敵と自分だけ見ていろ!!(ライオットが平静を取り戻すには時間が掛かると判断し、ヴィエル達をカバーする為に四脚で彼女達の盾となる為にジャンプ) 」

赤髪のガスマスク「―――――……ぁ゛~~~~……(ゾンビのように項垂れた声を発しながら何食わぬ顔でその上半身を起こす。掻き切られたはずの首には、確かにずっぱりと深い切れ込みこそはあれど、流血はない) るせえ!テメェまでバイクの音にびびってどうすんだバッキャロウ!!(白髪にヤジを飛ばしながら平然と起き上がる) 」

リオン「――――!(確かに仕留めたと思い込んだはずのガスマスクたちが起き上がったを見て驚愕する)馬鹿な…確かに急所を狙ったはず…何故、平然と生きている…ッ…?!それに……貴様等のような存在は知らない…!『七帝軍』以外に、貴様等のような化け物がいるなど…!(ヴィエルを庇いながらなおも剣を構えている) 」

平安名すみれ「わかってるったらわかってるわよ!だから動きを…!?(拘束したガスマスクの体が霧となったのを見て) 」


ド   ギ ュ   オ  ッ    (女王の間の正面入口を貫通し直線状の"蒼炎"が飛来。 ガスマスク二人組へ接近すると分散し弾幕となって襲いかかる)


ライオット「ッ……!?(生きているのが信じられないと言いたげそうに絶句する)……テメェら……テメェら一体何者なんだッ!!?よくも…よくもセイン団長を…ッ…!!!(長槍に形成した閃光《グリント》を握りしめて構える) 」

ヘザー「……随分とまあ、上等な身体を持ってる事で……(白い方はああやって霧散する、そして…今セイン団長に"何か"した…赤い方は……そもそも血が流れてない、か…)……ミンチにしてやれば、とりあえず片方は沈黙させられる、か……っと(飛来する蒼炎に反応して振り返り)……来たのか… 」

赤髪のガスマスク「――――!?(すると今度は真正面から迫ってきた蒼炎に直撃し悶えるように暴れ出す)ぶわっちちちちちちちちちちッ!!!!!あづぇ゛ッ゛!!!あっづぇぇぇぇぇえええええええええええええ――――――― あ、熱くね。(蒼い残火を身に纏いながらも、ふと何かを思い出したようにけろりと佇む) 」

白髪のガスマスク「 フ シ ュ ァ ァ ァ ア ア … ッ … ! (迫る蒼炎を、周囲に拡散する白い硝煙で相殺した)……『 四(アズマ) 』。今ので二度逝ってもうたな。南無南無。(赤髪に両手を合わせる) 」

エドガー「――――― ガッッ ガッッ ガッッ(蒼炎の残る拳を携え崩れた正門の残骸を踏み砕き、セインの横で足を止める)………(一瞥だけやると、手を添え首を回して骨を鳴らした)致命打は効かないらしいな。丁度いい…… 殺して終いじゃ面白くねえと思っていたところだ (効いてない、いや痛覚がないのか……)世界最強になったのはいいが、"剣"は持ってねえのか 」

白髪のガスマスク → 01《 アオン 》「――――― 遊撃隊《 アサルト 》の『 01《 アオン 》 』や。よろしゅーな、レギュレイター。   」


ゼレオロス帝国・遊撃隊《 アサルト 》 ―――― [[01《 アオン 》]] / 一(ニノマエ)




赤髪のガスマスク → 04《 デルト 》「うるせえ、『 一(ニノマエ) 』!!テメーも一回死んだだろうが!!(プンスカ) ……同じく!遊撃隊《 アサルト 》の『 04《 デルト 》 』!ゼレオロスのバッドボーイとは俺様のことだ!ヨロシクゥーーーーー!!(アサルトライフルをクラッカー代わりに頭上へ威嚇発砲する) 」


ゼレオロス帝国・遊撃隊《 アサルト 》 ―――― 04《 デルト 》 / 四(アズマ)


ライオット「……遊撃隊《アサルト》……?そんな情報は何処にもなかったぞ…俺たちの知らない、ゼレオロスの新たな精鋭か……!?……!エドガー副団長!(現れた彼に意外そうに目を丸くする) 」

アギト「(再び立ち上がったガスマスク。怪人じみた肉体を目の当たりにし、バイクを降りる)―――――これ以上荒らさせない。皆の居場所は、俺達が守る!!(左足をうしろへやり、軽く腰を落とした右半身の構えで拳を握りしめる) 」

01《 アオン 》「…おーぅ、おうおう……なんやえろう強面なの来おったわ…堪忍してや。ほな、ワイは『 巨門 』様に一報入れてくるさかい、あとはよろしゅーな。(それだけ告げると体を霧散させ、跡形もなく姿を消した) 」

04《 デルト 》「ア゛ッ!!??オイッ!!!!逃げんのかよ、一(ニノマエ)ッ!!オイテメェーーーーーッ!!!この陰湿野郎!!大勢相手だといつも逃げやがる腰抜け!!コミュ障!!ぼっち!!童貞!!(霧散した相方に罵声を浴びせ続けていたが、やがて「はあ」と大きなため息をついて振り返る) 」

04《 デルト 》「 まーテメェら相手なんざ俺様一人でも十分なんだけど、な?だってオレ、「せかいさいきょー」だしぃ?ィャァーーーーヒャヒャヒャヒャッwwwwwww (大胆不敵にアサルトライフルを肩に担ぎ出す) 」

ヘザー「ああ、くそっ…!片方逃げられた……!(01が霧散して消えた事に思わず歯軋りするが、即座に04へと目を向け)……エドガー副隊長、丁度良いわ。一人逃がしたけど……残った方は磨り潰してやればいいわ(エドガーに振り返ってそう言った後……巨大な四脚で軽々と跳躍し、ライフル弾を四脚で弾きながら04の頭上から襲い掛かる!) 」

リオン「…すまない、レギュレイター諸君…ここは任せる……!(そのままヴィエルを連れて颯爽とその場より撤退した) 」

エドガー「丁度いい。誰がどう最強だのと騒ぐ団員にうんざりしていたところだ。  悪いな"セイン"、"剣"か"拳"か……こいつを黙らせればくだらねえ"世界最強"談義は終いだ 」

平安名すみれ「任せなさいったら任せなさい!(脚の触手を鞭のように複数伸ばして繰り出す) 」

ライオット「―――― っるせぇ (静かなる怒りを含みながら数歩詰め寄る) その耳障りな減らず口、今に黙らせてやる。こんなに怒りを覚えたのは久しぶりだ……(憤りにギラつく眼光を露わに04と対峙する) 」

04《 デルト 》「っとぉッ!?(踏みつぶそうと迫るヘザーに対し咄嗟に跳躍後退する) ッヒャァハハハハ!!!団長格っつっても障害者じゃねーかよwwwwこれなら人質とかなくても捻り潰せそうだわwww それに、他の連中も弱そうだしぃ?全員まとめてかかって来いよオラァ!!! 」



― 過去:某日某所 ―


渋谷かのん「え~っと、ピュア・オーディオってなに?(星々が見える下で風に揺られながら彼女とふたりで街の見える丘まで来ていた。そこで興味深い話を聞く) 」

マルガレーテ「そ。その名の通り『音質を良くしましょう』っていう考え方。でもそう簡単にはできない。この哲学の肝、それは『純粋でなければならない』ということ。その究極の目的は完全な……一切のノイズを除去することにある(いつもより近い距離で耳を傾けてくれているかのんにバレぬよう緊張を隠しながら努めて冷淡さを崩さずに説明する) 」

渋谷かのん「う~ん、わかるようなわからないような。でも、それってオーディオプレーヤーとかの音の反響がどうのこうのっていう話じゃあないの? あ、もしかして欲しいプレーヤーがあるとか? 」

マルガレーテ「違うわ。オーディオの話じゃない。これは音楽の話であり、歌の話なの。おわかり? --------いい、かのん。音の正体は『音波』。波とは根源のエネルギーなの。生命を生み出した海にも『波』があり、太陽から降り注ぐ光だって『電磁波』なの。人の心は『脳波』として出力される。そういう力が波紋のように広がってこの世界を回している。波を阻む障害はいらない。 」




渋谷かのん「―――――え゛?(マルガレーテの性格は知っているつもりだったが、ここまで壮大なスケールになるとは思わず顔をひきつらせた)いや、えぇ~。ちょっと、ごめん、私ど~も、そういう話はアハハハハ~。べ、別にマルガレーテちゃんが悪いんじゃないよ!? 私が理解できないだけでその、ね? えっと、アハハハハ! 」

マルガレーテ「(そんなかのんを横目でジットリと見ながらも話を続ける)別に難しく考える必要はないわかのん。っていうか、私達も同じような事してるもの。人を落ち着かせる脳波のα波だって『音』で再現できる。……そう、大勢の人を魅了して、希望や高揚感を与えることだって。聴いた人間から恐怖心を取り除くことだってできる。私達スクールアイドルだって同じじゃあないかしら? ……これは単純な話なの。究極を言ってしまえば、本当に良い音は、死の恐れさえも超越させる。そう、人間の魂に直接干渉できるほどの生命エネルギーを音楽は宿しているの。 」

渋谷かのん「ほ、ほへぇ~……(どうしよ。壮大過ぎて頭がパンクしそう……)で、でもマルガレーテちゃん。それが真実だとしてだよ?その、ピュア・オーディオっていうのをどうやって達成するの? 概要はなんとなぁくわかってけどサ。やり方ってあるのそういうのに。やっぱり地道にレッスンとかやる、とか? 」

マルガレーテ「(…………。)ないわけではない。ただ非常に条件が難しい。かのん、アナタ『黄金比』は知ってるわよねそれくらい。黄金長方形の話なんかは有名ね。何度繰り返しても揺らぐことのない『無限に続く力』。それを内包した比率…レオナルドダヴィンチの『モナ・リザ』やアントニ・ガウディのサクラダ・ファミリアにも使われている。人類が『美』と言う概念を追求し、見つけ出した完璧な比率。(これ以上ないほどの恍惚な表情を見せながら夜空を見上げる) 」

渋谷かのん「お、おぉ…………(話の内容に圧倒されながらも嬉しそうな彼女の顔に目を見張る)そ、それで……その黄金比っていうのがどうかかわってくるの? 」

マルガレーテ「音の黄金比……黄金比音律と言われるものよ。音程に当てはめると833セントスケール。その組み合わせで作る音による完璧な比率。その比率を完全に守って創り上げ歌う。これこそ私が求め続けた真の音楽の力ッ! 無限に続く黄金エネルギーを内包した宇宙最高の音楽よ!! 」

渋谷かのん「マ、マルガレーテ、ちゃん?(語るごとに魔女のようにテンションを上げる彼女に若干恐れつつも呼吸を整え)……すごいね、マルガレーテちゃん。なんだか、すっごく遠い存在になっちゃったみたい。私も歌とか頑張ってるつもりだけど、フフフ、マルガレーテちゃんの話聞いてると、自分なんてまだまだなんだなって。 」

マルガレーテ「----何を言っているのかしら渋谷かのん。アナタも黄金の音楽をマスターするのよ。この私と一緒にね。…………それで、その、いつか、私とアナタ……ふたりで、舞台の上、で…………その…………。 」

渋谷かのん「マルガレーテちゃん-----------。ふふ、うん、そうだね。その歌い方ができるかどうかはわからないけど、そういうチャレンジも悪くないかも! じゃあ、約束して。―――――――この戦い、必ず生きて帰ること(そう言って小指を差し出す) 」

マルガレーテ「ッ!! え、えぇ!!約束、約束だから!!だからアナタも、無理はしないでね?辛かったらいいなさい。絶対よ?夜更かし禁止。喉は大事にすること。あと、それから―――――― 」

渋谷かのん「ちょいちょいちょい。も~お母さんかって。大丈夫。心配しないで―――――」


星々の下、微笑みの中結ばれる小指。その温もりにふたりの少女はひと時の安堵とひとつまみの高揚を覚える。


―――な ぜ あ ん な こ と に な っ て し ま っ た の か。



事件より1時間前 第四調査兵団事務所


マルガレーテ「(彼女以外出はらっており実質お留守番。津上翔一が用意してくれたお菓子を摘まみながらパソコンに文字を入力していく)台所で氷川誠と揉めていたからどんなものに仕上がるかと思ったけれど、うん、おいしい。…………ところで、薬師寺九龍はまたパチスロかしら。そう言えば片桐も珍しく見回りに行くって張り切ってたけど……く、これだからオヤジは……。(もっと規律をよくしなければならないなと思った矢先、パソコンの画面にピコンと反応が見られた)なにかしら、メール? 」


団長・副団長クラスの持つパソコンに迷惑メールなどが届くはずはない。
徹底した管理がされている為ハッキングにより情報が漏れることもあり得ない。
――――だからこそ、そのメールには目を見張った。
ワナワナと震え持っていたお菓子を落としてしまい、震える手がつっかえてコーヒーを零してしまったりと。


マルガレーテ「(見間違えるはずがない。そのメールアドレスは死んだはずの『渋谷かのん』のものだったのだから)―――――。(時間が止まったように表情を固まらせながらマウスを動かしメールを開いた) 」

メール『机の下から2番目の引き出し』

マルガレーテ「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ(呼吸が乱れ汗が全身から噴き出る。ゆっくり指定の引き出しを開けると……)あ、ぁぁ……(かわいいレターセット。これも見覚えがあった。紙質、ほのかに匂う香水の匂い……甦る思い出が彼女の情緒を乱し、脳をぐちゃぐちゃにしていく)―――パラ。(丁寧な手つきで封筒から手紙を取り出す) 」


私に色々教えてくれた場所で待ってるよ 渋谷かのん


マルガレーテ「(筆跡まで彼女そのもの。ここでマルガレーテの限界が訪れた)…………あ、あ、……かの、ん(行かなきゃ。かのんが……かのんが、でも、かのんは死んで……でもやっぱり行かなきゃ!会いたい、会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい!)―――ガチャ!バタン!!(わき目もふらず事務所を飛び出した。人混みをかき分け何度も転びそうになりながらも必死に走る。かつて星の下で街を見下ろしたあの場所へ)はぁ、はぁ、はぁ……かのん、かのん!  かのぉおおおおおおん!!(そしてついに辿り着く) 」


街の賑わいから、木の葉の擦れと燦々たる陽光の場へと移る。
思いの人を懸命に探した。何度も何度も張り裂けそうなほどに叫んだ。
寂しさと期待で胸が張り裂けそうで涙を零しながら彼女は必死にかのんを探した。
――――そして、足音が近づいてくるのを感じ、バッと振り返る。


マルガレーテ「―――か、かの……!(不安に押しつぶされそうな顔が一気に晴れやかに。勢いよく振り返るも、そこにかのんは―――――)…………え? アナタ、なんでここに?(その人物に目を丸くした) 」

?「――――。(それはマルガレーテが良く知る人物。仕事上でもしっかりしているので信頼している。だが、この場所に来るのは実に不可解なことである) 」

マルガレーテ「…………かのん、かのんはどこ? 私、かのんから手紙を貰ったの! 知ってるでしょ?渋谷かのんよ! 生きてたの!あの子生きてたのよ!ねぇ、かのんを知らない?かのんがいるはずなの!ねぇ!! 」

?「(必死な顔を見せるマルガレーテをよそに、手で合図すると数人の部下らしき人間が出てくる) 」

マルガレーテ「――――ゾ ワ(不穏な空気を感じ身を固まらせる)な、なによ、アナタたち…………ちょっと、どういうことなの? なんのつもり!?(手紙を守るように身構える) 」


ガサガサガサ、ジャキジャキジャキジャキ…………(周囲から聞こえる物音、どこか機械の関節部のような音が細かく響いてくる。神経の奥底まで響く嫌な音だ)


マルガレーテ「な、なに!? この、アナタ一体なにを、し―――――――(右足に何かがへばりついたような感触と冷たさ。それはとても小さな機械生命体。蜘蛛とサソリを組み合わせたようなそれは1匹ではない。2匹目、3匹目と一瞬の内に周囲から無尽蔵に現れ彼女の身体を這い上がっていく) 」

マルガレーテ「ちょ、なによこれ!? いや、ああぁああああ!! やだ、やめ、イヤァアアアアアアアアア!!!(這い上ってくる無数の小型を振り払おうとするもどうにもできず、スカートの中から制服内部へと侵攻し、彼女の肉体に食らいついていく。その激痛に耐え切れず断末魔を上げた)ああああ! あああああああああああああああ!!(衣服など機械生命体には紙切れに等しく、布地を引き裂きながら100匹、200匹という単位で次々と彼女に潜り込み、体内へと入ろうとする。遠慮のないその侵攻は皮膚からだけではなく穴と言う穴から内部へと進んでいく) 」

マルガレーテ「いやぁ…………こんな、死に方、イヤ…………誰か、助け、て…………かの、……………ん(無数の小型に埋もれながら空に向かって血塗れの手を伸ばすも、カクンと一気に脱力しばすんと山の中へと埋もれていった) 」

?「…………行くぞ(部下を引き連れその場を去る。時間通りならもうすぐ帝国の侵攻が始まるはずだ。すべては手筈通りに動いていると口角を吊り上げた) 」


―――――♬ ―――――♪ (無数の小型がマルガレーテに群がってできた薄ら高い山、その中からなんとも美しい歌声が響いてきた。『孵化』するまでざっと40分ほど。そう、帝国と戦っている間に出来上がる。――――宇宙最高の歌の申し子は。)


















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最終更新:2024年10月20日 20:11