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─ 第5兵団 事務所 ─
ヒロ「………(ソファーに一人座り込んでいる) 」
鬼塚冬毬「…すみません(事務所の広間に姿を現す)買い出しに行くのですが、とても物がメニーで………(辺りを見渡し) 」
ヒロ「(これ誰か絶対一緒に行く流れだな…誰が行くんだろ…) 」
鬼塚冬毬「……んっ、兄者。よろしくお願いします 」
ヒロ「(あ、俺じゃなかった………) 」
ヒロ「‥(ん、待てよ?あの二人兄貴なんていたっけ?いてもおかしくないけど…)(おや?)(あれ、でも兄貴らしき人どころか今ここに男の人って……)……っ! 」
─ ラステルム王国 市街地 ─
鬼塚冬毬「………(コートを羽織り、手に息を吹きかけながら歩いている) 」
ヒロ「………(冬毬の後ろを歩いている)………(兄者って俺かい)(うそだろぉ〜?) 」
ヒロ「…………なんで、兄者なんだ……? 」
鬼塚冬毬「………あぁ、特に他意はありません。そう言って頼んだ方がヒロさんは喜んで快諾していただけると姉者に聞いたもので………効率的なネゴシエーションのためにはどんなことも惜しみません。 」
ヒロ「(あいつめー!)…‥そんな事しなくても普通にそれくらいなら引き受けるって………(糸目で) 」
鬼塚冬毬「ふむ、そうですか………次回は効率的なネゴシエイトが期待できそうですね。(そのまま前を向く) 」
ヒロ「そ、それは何よりだ………(しばらく無言で歩き続ける) 」
ヒロ「………そういえば、第4のマルガレーテちゃん…最近知ったんだが関わりが深かったそうだな。……赴任前にあんなことになってしまって残念だったな(神妙な表情で) 」
鬼塚冬毬「………姉者から聞いたのですね(足を止める)軍人となれば殉職はつきものです。かのん先輩もそうだったんじゃないですか?(ヒロの方を向いてからすぐに前を向き直す)…ただ… 」
鬼塚冬毬「マルガレーテ…彼女と共に戦うイフを未だに思い浮かべるんです。…もし彼女が失踪していなければ、第4兵団に加入していた可能性もありますね(おや?) 」
ヒロ「………(割り切っているのは表面だけ、本当は………)第4のオペレーターとしてマルガレーテちゃんをサポートしていた可能性もあったわけか……見てみたかったな、それ(もはや遥か遠い記憶…彼女のガジェットを思い返しつつ) 」
鬼塚冬毬「マルガレーテに姉者達も加えて、先輩方に結束しているところを見せれればもしかしたら………やめましょう。今やファンタジーです。…お店が見えてきました。行きましょう。(店に向けて走っていく) 」
ヒロ「………(夏美ちゃん達の頃でも無理だったんだがな………それは…)…………ん、あぁ。行くか(冬毬に続いてかけていく) 」
ウェスター王国襲撃事件が起こる数日前―――
― ロクスベルク ―
嵐千砂都「………―――――― 」
少女が訪れたのは、彼女にとって忌まわしき場所。半年前、ここで大切なもののすべてを失った。
目に映る霧景色は、今も昔も変わらない。目印になるものもないこの真っ白な渓谷に、少女がただ一人。
あの時は「仲間」たちがいた。だが今は、誰もいない。踏み込めば、もう二度と「帰られなくなる」だろう――――
嵐千砂都「―――――…… ザ リ … (それでも、少女は霧の中へと進んでいく。覚束ない足取りで。まんまる"だった"目の下にできた隈。丸まった背中。もう、三日三晩も睡眠も食事もとっていないのだろう。まるで何かにとり憑かれたかのように。あるいは衝動的に何かに突き動かされているかのように。体は本能に引きずられて当てもなく彷徨うことを選ぶ) 」
……かのんちゃん。かのんちゃんがいなくなってから、いろいろ変わっちゃったよ。
Liella!のみんなは、もうあの頃のように戻れない。
みんな散り散りになっちゃって、一番星は星屑のように砕けちゃった。
後輩の子たちにもたくさん迷惑を掛けちゃった。
もう私ひとりじゃ面倒も見切れなくなってしまって。きっと、失望されちゃったと思う。
つい先日、マルガレーテちゃんも逝ってしまった。
あの娘だって、元はと言えば私たちと"同じ"だったというのに…――――
~ 回想 ~
――――― ダ ァ ン ッ ! ! ! (叩き付けるような喧騒が、室内に響き渡る)
嵐千砂都「 っ゛―――――! (何者かにロッカーへと叩き付けられてしまい苦悶の表情を浮かべる。だが、一切抵抗の意を示そうとしなかった。) 」
マルガレーテ「……ハァ……ハァ……!(眼前の千砂都の首元を右腕で押さえつけるように叩き付けた態勢で強く、鋭くに、至近距離から睨みつけていた)……どうして…ッ……?「アンタたち」がいながら、どうして『かのん』が……ッ…!!ねえ…ッ…!?(腹の底から溢れ出る、憤怒とも悲壮とも取れる喚きを浴びせる) 」
嵐千砂都「……………………(悲痛に叫ぶ歌姫の眼光に、ただ目を逸らす。言い返す言葉なんか見つからないし、そもそもそんなものはないのだから―――) 」
マルガレーテ「かのんは…かのんはッ…!!この私が認めた女よ!?世界でただ一人…世界でたった一つの、あの歌声……彼女しか、いなかった……他にいないの…ッ……! かのんは、「渋谷かのん」は決して失ってはならない存在だったのッ!!それを……アンタたちみたいな凡人のせいで…ッ……!!(歯が軋む程に悔しさに強く噛み締めながら、尚も千砂都への圧力をかけていく) 」
葉月恋「や、やめてください!マルガレーテさん…!このままじゃ千砂都さんが……!(マルガレーテを宥めようとするが、逆鱗する彼女の圧力を前に無理矢理止めに入ることはできず尻込みしてしまう) 」
嵐千砂都「…っ……ぁ………!(ギリギリと首を絞めつけられるような感覚。だが、それでも抵抗はしない。寧ろその罰を受け入れるように、表情とは裏腹に、罪に染まった身体は罰せられることを望んでいる――) 」
平安名すみれ「やめなさいったらやめなさいよ!(誰も止めに入らない光景に流石に居たたまれなくなり、マルガレーテを無理矢理引き剥がす)…千砂都も千砂都よ…!なんで振り払おうとしないの…!?(振り返りざまに怒鳴る) 」
嵐千砂都「かはっ―――――!(解放されたことでようやく息を吹き返す)ハァ…ハァ……ッ…(そのままロッカーに背を付けたまま力なく座り込んでしまう) 」
マルガレーテ「……フン。(距離をつくられてそっぽを向く)…………いいわ。そういうことなら。だけど、私はアンタたちのことは一切認めない。「かのん」以外は決して。かのんを死に追いやったアンタたちのことなんか――――― バ タ ァ ン ッ (カツカツと靴音を強く踏み鳴らしながら一室を――ドアを叩き付けるように閉めて――後にした) 」
唐可可「……千砂都……(弱弱しく座り込む彼女に、賭ける言葉も見つからないのだろう。ただ唇を震わせることしかできなかった) 」
嵐千砂都「………… 」
平安名すみれ「………… 」
唐可可「………… 」
葉月恋「………… 」
重苦しい沈黙が絶え間なく続く。
まるで水中に投げ出されたかのような息苦しさが、少女たちに広がっている―――
唐可可「…………すみれが…… 」
嵐千砂都「…………?(静かに顔を上げる) 」
唐可可「―――――すみれが、悪いんデスよ!!(最初に口火を切ったその発言が、更に空気を凍てつかせる) あの時…かのんをしっかりサポートしていれば、あんなことには……! 」
平安名すみれ「――――!?(その発言に瞳孔が開く。そして…)――――ハァ…!?なによそれ…ッ…!それなら可可、アンタにこそ非があるわよ!かのんのガジェットが機能しなかったのは、アンタがメンテナンスを怠ってたせいでしょうがッ!それなのに、人のせいにする権利があるっていうわけ…ッ…? 」
葉月恋「や、やめてください…ッ…!違うんです…違うんです…っ……!ぜんぶ、私が、私が悪いんです……!かのんさんの容態が万全じゃないと知りながら、それでもドクターストップをかけなかったのは…メディックである私の失態なんです…だから……っ……(すすり泣くような声音と共に二人へ迫る) 」
嵐千砂都「………ぁ……っ……――――― 」
――――― やめて……そんなこと、言わないで……っ……
ほんとはぜんぶ、私が悪いんだ。
幼い頃からずっとかのんちゃんに守られてきて、そしていつか守ってあげようと決意したはずの私が……
嵐千砂都「 (声が出ない。言いたいことも喉から吐き出せない。口論する三人の少女に置いていかれていく感覚に、自然と焦燥感が募りに募っていく。なんとかしなきゃ。自分が、かのん亡き今だからこそ、自分が……そう思っているにもかかわらず――――) 」
平安名すみれ「――――千砂都!あんたはどう思っているの?なんでさっきから黙っているの!? 」
唐可可「そうデス!マルガレーテに言い寄られた時も言い返さないで…いったいどうしちゃったんデスか!? 」
葉月恋「……千砂都さん……… 」
嵐千砂都「 ぁ ぁ っ ぁ (言葉を紡げないその姿は壊れたブリキ人形のように。吐き出せない言葉や感情に押し潰されて、目の前が真っ暗になっていく―――) 」
平安名すみれ「………(結局何も答えない千砂都に嫌気がさしたのか、落胆したように目を伏せると――――)――――― もう"終わり"ね、私たち (その横顔は、「赤の他人の少女」に切り替わっていた) 」
唐可可「 ……そうデスね (抑揚のない無機質な返答を吐き捨てて、何もない天井を仰ぎ見る) 」
葉月恋「 ………仕方、ないですよね…っ…… (現実を渋々受け入れる、自身の弱さをさらけ出してしまう) 」
ひとり、またひとりと立ち去っていく。向かう先はそれぞれ違う。
別れの言葉も残さずに、彼女たちは「思い出」を切り捨てようとその蔭りに落ちていく――――
嵐千砂都「―――――――――― ! ! ! (「待って!」――――その一言がようやく口から出た時には、既に彼女たちの姿は消えていた) 」
嵐千砂都「…………(取り残された一室で、失意に項垂れる。大切な人に先立たれた挙句、共に生き残ったはずの仲間たちに見放され、孤独へと転落する。こんなことがあっていいのだろうか。悪夢(ゆめ)ならはやく覚めてほしい) 」
嵐千砂都「 ぁ゛ っ゛ ! ( ガ ン゛ ッ゛ ) 」
嵐千砂都「 あ゛ ぁ゛ … っ゛ … ! ! ( ガ ン゛ ッ゛ ガ ン゛ ッ゛ ) 」
嵐千砂都「 あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ 」
………あれから、もう半年以上の月日が流れてしまった
どうして、こんなことになっちゃったんだろう?
結局、すべて私が悪かったんだろうか?
その答えは、今でもわからない
……だから、また、「ここ」に戻ってきたのかもしれない。
何かが分かると信じて。それしか、できないことだって…
二度と戻りたくなかった、かのんちゃんと最期を交わした、この場所へ――――
嵐千砂都「……ザリ……ザ…リ………ザ…リ……ザリ……(濃霧の中を当てもなく彷徨う。それはこの地において自雑行為に等しいもの。それを理解しながらも、遠のいた意識はただ何かを探し求めるままに流離うことを選ぶ。何も見えない景色の中で、ただ一つの答えを――――) 」
嵐千砂都「―――――――― ぁ (そして彼女は何かを見つける。その瞳はかつてのような丸みを帯びて――まるで息を吹き返したかのように――いた) 」
渋谷かのん「――――――――(少女の視線の遥か向こう。霧の中を泳ぐように、朱色の髪を揺らした「憧憬」が彼女を手招いているように歩いていた。千砂都の存在に気づいたかのように突然振り返ると、懐かしさのある素朴な笑顔を一つ零して、霧の向こうへと歩んでいく) 」
嵐千砂都「………「待って」……!(あの時言えなかった言葉が真っ白な世界で反響する。見間違えることのない「憧憬」の笑顔に意識を取り戻した少女は駆け出した。無我夢中に。五里霧中な路頭を―――) 」
霧に紛れたあの少女の姿は何処にもない。
あれは夢幻だったのか。あるいは亡霊だったのか。それとも―――
嵐千砂都「―――――!(見失ったことで周囲を見渡している最中、またあるものを発見したことで息を呑む) 」
少女の目に留まったのは、ただの瓦礫。何の変哲もない、ただの大きな瓦礫だった。
だが、彼女はその記憶の中で鮮明に覚えている。大切な人が下敷きになっていた、あの瓦礫だったのだ。
それを証拠づけるように、瓦礫の下の地面は微かに黒ずんでいるのだ―――
嵐千砂都「……………(その瓦礫の前に跪いて、黒ずんだ地面にそっと手を触れる。「渋谷かのんの血痕」が滲み染まる地面を優しく撫で回し、生前の彼女を想う。彼女は情熱的で、正義感が強くて、優しくて…誰もにとって憧れだった。他ならぬ、自分にとっても。そんな彼女と出会えたことを、心の底から嬉しく思う。同時に、その喪失による痛みは今も治らない。喜びと悲しみの葛藤に、今も心が押し潰されている) 」
嵐千砂都「………かのんちゃん、私は…―――――― 」
―――――「今でも悔いている」、そう言うのかナ?
嵐千砂都「 ッ――――――?! (郷愁に浸っていたところに放たれた異質な声に瞳孔が開き、思わず反射的に振り返った。そこには――――) 」
少女しかいないはずの霧がかった迷宮に、靴音が心地よく反響する。
また一人迷い込んできたのか。それにしては、この迷宮において人と人が鉢合わせになることなどほぼ不可能。
そんな常識など知らないと言わんばかりに、その軽い足取りは少女に歩み迫っていた――――
~回想~
ヒロ「……(第2兵団事務所前に一人立っている)(あれから数日……彼女たちの様子はどうなってるんだ…?) 」
第2調査兵団団員「(彼が扉を開けようとした瞬間、扉が開いて出てくる)……むっ、そこにいるのは第1兵団のヒロ団員。もしやチームリエラに用が…? 」
ヒロ「ん、君は第2兵団の…(団員を見て)あぁ、あの事件から数日…どうしても心配でね… 」
第2調査兵団団員「そう…ですか。実は大変申し上げにくいのですが…彼女たちは………… 」
ヒロ「……………(団員から事の顛末を聞き、愕然とした表情で立ち尽くしている) 」
第2調査兵団団員「……ということで、今は千砂都さんには会われない方がよろしいかと………では、私は失礼します(ヒロを心配そうに見つつ彼を残して出ていく) 」
ヒロ「…(チーム・Liella!が解散……?ちぃちゃん以外はみんな他の団に……!)(グッと拳を握りしめ) 」
桜小路きな子「(ヒロの後方から他の2期生達と共に現れる)…?ヒロ先輩も先輩たちの訪問っすか、奇遇っすね~。…ん、どうしたっすか?なんか、表情がやけに強張ってるような… 」
若菜四季「何か、先輩達に進展があった。(ヒロの表情を見て)……よくない意味で。 」
米女メイ「!どういうことだ!先輩達が…どうなったというんだ! 」
鬼塚夏美「……(ヒロの様子を見て、何も言えずに彼を見つめる) 」
ヒロ「………実は… 」
桜小路きな子「…えっ…、先輩たちが… 」
若菜四季「…かのん先輩の事で、散り散りに… 」
鬼塚夏美「第2兵団に残ったのは千砂都先輩ただ一人…… 」
米女メイ「訪問どころじゃねぇな、これは……(入口の扉を見ながら) 」
ヒロ「………(同じく扉を見つめ)‥俺があの時………指示を無視してでも駆けつけていれば………こんな事には……(握りしめた拳を震わせながら) 」
鬼塚夏美「…何を変なことを言ってるんですの。(ヒロの様子を察するかのようにその言葉を遮る)あなた1人で戦局が変えられるほどの簡単なものだったらかのん先輩は殉職してませんの(ヒロの背中をバシンと強く叩く) 」
若菜四季「…力になれなかったと言う面では私たちも同罪。任務経験がなかったから…力にもなれなかったと思う。 」
米女メイ「……団が出動命令を出してなかったんならそれに従うしかなかっただろ。お前も、私たちも……… 」
桜小路きな子「そうして後悔していても仕方ないっす。きな子たちは…これ以上先輩を失わないように、力になれるように…頑張るしかないっす。 」
ヒロ「……!(夏美に背中を叩かれ)…‥力不足を憂うより、これからの事か…(周りを見て)……いつまでも入り口辺りで固まってちゃまずいな、場所を変えよう… 」
桜小路きな子「あっ、そっすね………第1の事務所だと、
マコトちゃんが怖いっすからね…いいとこ探すっす(4人で先に歩き出す) 」
ヒロ「………確かにいきなり君たちを連れてきちゃあな…(遠い目で)任せるよ………(扉を見据えて)(ちぃちゃん、君が立ち直るまで………彼女たちは任せてくれ。きっと、元通りにしてみせるから。)(足を翻して4人についていく) 」
― ロクスベルク ―
ルクエス「―――――御機嫌よう、お嬢さン(霧の中で、中性的な顔立ちをした青年とも少女とも取れる人物が、揺蕩うようにその表情を歪ませている) 」
嵐千砂都「―――――!(その顔には何度も見覚えがあった。団長会議に出席する度に、何度か顔を合わせたことがある、あの…――――)――――あなたは……第9調査委兵団の……なんで、あなたが……ッ……?(心底信じられないように驚嘆に退いてしまう) 」
ルクエス「それはこちらの台詞…かナ。女の子が一人、こんなところで徘徊しているなんて…自殺願望じゃあるまいシ。それにしても、行方を眩ませていたキミがねぇ……なるほどなるほド。(うんうん、と頷きながら歩み寄る)数日間迷子になっていた…という風には見えないしネェ。今しがた踏み込んだばかりという感じだろウ。まさかまさか鉢合わせになるなんて思ってもみなかったけド。 」
ルクエス「………(歩み寄る最中、千砂都の傍に沈んだ大きな瓦礫に一瞥を与える。そこで何かを察したように目を細めると―――)―――― 郷愁、カ。こんなところまできて…余程悔恨が深いと見タ。ねェ…嵐副団長?(身長差のある少女を覗き込むように視線を向ける。それは彼女の心底を見透かしているかのような眼光であった) 」
嵐千砂都「 ッ……! (図星を突かれたこと、そしてその得体の知れない眼光の鋭さにある種の戦慄が過り、思わず一歩退いてしまう)……なにが、わかるの……っ…?(声を震わせる) 」
ルクエス「分かるとモ。キミもボクも、半年前にここで共同任務に当たっていた仲じゃあないカ。ここで起きたことの「悲劇」は、当事者なら誰もが痛感するほど知っていル。チーム・Liella!。キミたちのことは時々耳にしていタ。そして「あの日」を境に解散したことモ。部外者のボクからすれば関係のない話ダ。……でも、そうとは言い切れないこともあル。ボクがここに来たのも、そういうことなんダ。(千砂都から瓦礫に視線を移す) 」
嵐千砂都「……え、と………話が、よく分からないのだけど……? 」
ルクエス「ねえ、嵐副団長。キミは、「あの一件」をただの事故だと思っているかイ?「渋谷かのん」が殉職しちゃったのは、キミたち当事者だけの問題だと思うかイ?(依然瓦礫から視線を話さず淡々と言の葉を紡ぎ出す) 」
嵐千砂都「…どういう、ことですか……?いったい、なんの話をして……? 」
ルクエス「 「知る」ということは罪ダ。知ることで絶望したり、知らなかったことで後悔したりすル。何も知らない方が幸せだということもあル。だけど「真実」とは、近づこうが離れようがいつかは向こうから迫るものなんだヨ。その現実は、逃れようがなイ。…………ここで、この瞬間に、ボクがキミと出会ったしまったということは、「その時」が来てしまったということダ。 」
嵐千砂都「
ルクエス団長……さっきから、なにを……?(怪訝そうに首を傾げる) 」
ルクエス「……渋谷かのんが死んだのはただの事故なんかじゃなイ。事故に見せかけた「 他殺 」なんだヨ。 」
嵐千砂都「 ッ゛ ! ! ? (衝撃の真実に瞳孔が大きく開き、言葉を失った) 」
ルクエス「……信じられない、っていう顔をしているネ。そりゃあ信じたくもないだろウ。まさか大切なオトモダチが"殺された"なんてネェ。(だがその小丹波とは裏腹に、不謹慎にもせせら笑っている) 」
ルクエス「彼女の死を直接その目で見ているキミなら理解できるんじゃないかナ。何故こんな、五体国から離れた辺境の地に機械生命体が出現したと思ウ?その目的ハ?未だ解明されていなイ。だけど事件を解決した直後に、まるで狙ったかのように特定の人物が悲運の事故に巻き込まれてしまったんだヨ。これを偶然と捉えていいものカ。……そう、彼女は死んだんじゃなイ。"殺された"んダ。 」
嵐千砂都「…そん、な……ッ……(淡々と突き出される推理に、まるで銃弾を次々と撃ちこまれたかのように数歩ずつ後ずさりしていく)……なんで、なん、で……っ…?じゃあ…なんで……なんで、かのんちゃんが…!かのんちゃん"だけ"があんな目に遭わなくちゃいけなかったのッ…!?」
ルクエス「至極単純な理由だヨ。それは、"彼女の存在が邪魔だった"んだろウ。だからこんな視界の悪い場所へおびき寄せて始末しタ。だけど彼女一人だけを誘うには不都合なこともあったんだろウ。アリバイ工作として、ボクたちレギュレイターの一部隊も巻き込んでの大掛かりな計画に移したんダ。本人にとっては、渋谷かのんだけじゃなくボクたち他部隊も始末できれば万々歳だったんだろうけド…だが機械生命体はとある「英雄」の活躍で退けられちゃったからネ。せめてと思い、彼女だけを徹底的に葬ろうとした……んじゃないかナァ?(と、最後の最後でまるで人ごとのようにわざとらしく首を傾げる) 」
ルクエス「んん~…?
ルクエス団長、ずいぶんお詳しそうに推理するんだねぇって顔をしているネ。フフフ…まあこれでもボクは諜報組織から派遣された人間だからネェ。他らぬ当事者としても、「あの一件」については誰よりも精通しているつもりだヨ。 」
ルクエス「……それとも違ウ?それは建前であって、本当のことはどうなんだっテ?察しのいいキミなら既に感づいているんじゃないかナァ。彼女を始末したのは一体誰なのカ?あの日、あそこにいた人間は誰だったカ?……そうさ…渋谷かのんを葬ったのは―――――― 」
嵐千砂都「―――――― ブ ォ オ ン ッ ! ! ! (ルクエスが顔を上げたその瞬間、その目と鼻の先に脚部を既に振りかぶった態勢で詰め寄り、断頭台の如き勢いで踵を振り下ろしていた) 」
ルクエス「 シ ュ ン ッ ―――― ズ ガ ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ン ッ ! ! ! (軍帽の唾に眼光を顰めた状態でその身を瞬間的に翻し、ノールックで彼女の踵落としを回避する)―――― ッ ハ ハ ハ ♪ いいねぇ!話が解る娘でサァ!(バサバサとコートがはためく中で、不敵に口の端を吊り上げる)
嵐千砂都「アンタが……ッ!!アンタがかのんちゃんを…ッ!!(ギリギリと食いしばる歯間から白い吐息を零す様は逆鱗する獣の如き形相。瞬く間に血走った赤い瞳を鋭く滲ませて、
ルクエスへと間髪入れず蹴りを叩き込んでいく) 」
ルクエス「渋谷かのんは優秀な人材だったヨ!体細胞な野獣部隊に置いておくには惜しいくらいにサァ!(風に揺れる野草のように、彼女の蹴りによる突風を逆手に利用した類まれな回避術"紙絵"(カミエ)を発動。その連続蹴りを、悉く退けていく。) 」
嵐千砂都「うるさい……黙れ…ッ…!!かのんちゃんは…かのんちゃんは、私たちの仲間なんだ…!それを……よくも…ォッ……!!(ギリ、ギリ、ギリ…――――― ズ ダ ァ ン ッ ! ! )(回避され続けては埒が明かないと踏んだのか、もう片方の脚に力を込めて勢い良く跳躍する) こ の ォ ァ ! ! ! ( ズ ガ ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ン ッ ! ! ! )(一撃で亀裂が入り込むほどの凄まじい回転蹴りを上空から見舞う) 」
ルクエス「("鉄塊"(テッカイ)――――)――― ズ ガ ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ン ッ ! ! ! (千砂都の渾身の蹴りを何の構えもなく右頬に受ける。常人なら骨は優に砕けてそのまま岩壁へ蹴り飛ばされていることだろう。だが、全身の表面を硬質化した自身には痒みすら感じない。一切の衝撃を無力化したことで清ました表情をひとつ浮かべて、呑気に瞼を閉ざしていた) 」
嵐千砂都「…う゛ぅ゛……ぁ゛……ッ……―――――― ド サ ァ … ! (余にも頑丈な
ルクエスを蹴りつけた反動が自身にリターンし、その激痛に自慢の脚部が痙攣し、ついにそのまま墜落してしまう羽目になる。落下した地面の上で、芋虫のように身を縮めながら痛みに悶え苦しむ) 」
ルクエス「………ああ、そうサ。渋谷かのんは本当に優秀な団員だっタ。彼女のお陰で、長い間追い続けていた真相の尻尾を掴むことができたのだかラ。(眼下で蹲る千砂都に視線を落とし、その場で身を屈める)……嵐副団長、キミの察しの通りだヨ。渋谷かのんを葬ったのはゼレオロス帝国……それに精通している「内通者」…即ち、『 レギュレイター 』の人間ダ。 」
嵐千砂都「………!!(「やはり、こいつが…!」と頭上の
ルクエスを睨み返す)」
ルクエス「しかしだからと言って、ボクに狙いを定めたのは早とちりというものだヨ。言っただろウ?ボクは「あの事件」の真相を誰よりも知っているッテ。それで主犯と結び付けられちゃあ…あの世へ逝っちゃった渋谷かのんも呆れているだろウ。まあ…誤解させるように弄んだのはボクの悪い癖なんだけどネェ?クククッ…♪(千砂都の頭を「悪かったよ」とぽんぽんと叩いて立ち上がる)」
ルクエス「当事者同士、"ここ"で出会ったしまったのも何かの縁。ならば全部を語らないといけなイ。それが、渋谷かのんに最も近しいキミならば尚更のこト。嵐千砂都。「真実」を知る覚悟が、キミにはあるカ?渋谷かのんが背負いきれなかった宿業を、キミが引き継ぐ覚悟はあるかイ? 」
嵐千砂都「ハァ……はぁ……っ……(蹲る態勢から地面を這いつくばるように両肘を視点に起き上がろうとする)……わた、しは……まだ、何も知らない……!かんのんちゃんが、何と戦っていたのか……どんな思いで、戦っていたのか……!本当は、私たちのことをどう思っていたのか……!(
ルクエスの足を力強く掴む。藁にも縋るように…)……ハァ…は……!あなたと、かのんちゃんに、どういう関係があるのかも……どうしてかのんちゃんが死ななければならなかったのかも……! 」
嵐千砂都「知らなくちゃ……っ…… 知りたいんだ……ッ!その為なら、私は……たとえ、悪だろうが―――(ゼレオロス帝国が過る―――)善だろうが―――(レギュレイターが過る―――) ……世界のすべてを敵に回してもいいッ!!かのんちゃんの為に…かのんちゃんが報われるためなら、どんなことだって…ッ!!(ついに、ルクエスの腰にしがみ付く程に這い上がる) 」
ルクエス「……ッ…ッ…ッ……♪(腹の底から、愉悦に哂う)………いいだろウ。キミのその覚悟に応えてやるサ。今のキミは…レギュレイターではなイ。ただの「嵐千砂都」として、これから知りうる「真相」を受け止めて、自由に選択するといイ。さあ、ついてきナ。「深淵」を、見せてあげル―――― 」
―――― けたたましく鳴り響くサイレン。
ゼレオロスからの襲撃を告げるアナウンス、各兵団への指示が交錯し……
その中に"ノイズ"は存在する筈だと、男はスポーツ新聞を顔に被り"補聴器"から音を拾っていた。
― レギュレイター共通病棟 5階 ―
庚「(あえて勢いよく戸を開け半ば殴り込むようにして病室へ入る)………(腰に手を当て肩を落としつつ、踵で戸を閉め、ベッドへ向け憐憫とも諦観とも取れる眼差しを向けた)ーーーーーいつまで狸寝入りを決め込むんです 」
片桐「………。(しばらく死人のように顔に雑誌を被せ沈黙を守っていたが)……バサッ(雑誌を落とし上体を上げ、顔を手で覆う。足を床につけ、咄嗟に隠そうとした痕跡のある盗聴用の機材をベッド下の暗がりへ足で追いやり、けだるげな風穴眼を庚へ向けた)……スゥゥゥゥゥ…………。いいだろォォオ……俺もあっち側行っても、マルガレーテだって待ってるはずだからよォォォ……自分だけあの世の仕事怠けるのかってなァァァ 」
庚「"人並みに悲しむ演技"はその辺でいいでしょう。私も役者にならざるを得ない立場の社畜ですから。(備え付けの簡易椅子に腰を下ろし、盗聴機材を引っ張り出して抱える。弄びつつ配線を確認し…)……。対象は……第2、第5、第……10……?(……。 "9" は……?)」
片桐「表情筋が衰えちゃってなぁァァァ……フレッシュな若手と比べて、そう思い通りに動かねえんだよォォォ……どの辺からバレたかなぁァァァ……。ちぃちゃんあたりにバレてたら刺されそうだなぁ……目の隈のメイクなァァァ……(手鏡を見るような動作をしつつ、難なくベッドから立ち上がり身だしなみを整え始める) 」
庚「やめてくださいよおっさんの嘘泣きとか(盗聴機材をベッド下へ戻しつつ立ち上がり)……で、"第4の切り札"についてとのことでしたが 」
片桐「………。(窓へ背を預けしだらなくもたれ掛かり、"小刻みに震えた"手でバーボンをおもむろにコートのポケットから取り出す) アレと俺の間には"縛り"がある。細かいのは多々あるが……(いつもの調子でそう切り出すと、腕を庚へ向け指を三本立て)一つ、アレから"命を借りた"者は戦士として己の命題を果たすまで最善を尽くさねばならない。二つ、これを果たせず、これを放棄し死した者は"やり直し"となる。三つ ーーーーーー命題を終えた者は、自らの心臓を差し出すことで"力を借りる"権利を得る。 」
庚「………(理解が追いつかない。庚と眼を合わせたまま、脈略もなく切り出された真意の見えない言葉に呆気にとられつつも、それがハッタリや虚仮威しでない事を確信する。それ故に、尚更理解が追いつかずにいた)…………。少なくともレギュレイター由来の切り札ではない、と 」
片桐「三つ目の縛り。それが俺の、第4の切り札だ。幾ら傍若無人なアレといえど、縛りには従順だし、戦士の心臓を受け取ったからにはそれを無下にしない。問題は……ーーーーー "戦士以外はどうでもいい"といいうことだ。(言葉が途切れ沈黙が訪れると同時に、彼の背で揺らめいていた暁が地平にて事切れる。"深淵の片鱗"に染まった瞳は、真っ直ぐ庚を捉え) 俺は第三の縛りの先に起こることは、死が誰に齎されるかってことだけだ。その先の"生命"は……お前に預ける 」
― ウェスター王国・都市部 ―
ザ、ザ、ザ、ザ、ザ―――――ッ ! (荒廃した砂漠の王国に轟くは、大地を震わす軍靴の行進――――)
帝国軍隊『 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ―――――!! (既に人が住んでいるかも怪しい荒廃した王国に、かつてない大規模軍隊が都市部中央まで既に迫っていた。軍隊に紛れて人型の機械生命体や自走砲など、確実に王国を支配せんとする万全の態勢で侵攻していた)』 」
メトロ「――――各団に通達!現在、ウェスター王国の東西南北各地よりゼレオロス帝国軍が今も止めどなく侵攻中!小型~中型の機械生命体も多数確認!彼らの進行ルートは都市中央部にある王宮神殿と思われます!現在、民間人を神殿地下へ避難誘導中!王族の衛兵方も守りを固めておりますが…兵力差がありすぎている状況です…!避難誘導部隊は完了次第、至急殲滅舞台への合流を!(装甲車内で慌ただしくコンソールを操作しながら伝達に徹している) 」
レヴィ「――――っしぇあぁ!!!( ガ オ ゥ ン ッ ! ! )(大型メイスの粉砕《 シュナイデン 》を豪快に振り回すことで帝国兵の侵攻を阻害するが…)……チィッ…!!なんて数…!ラステルムの時の比じゃないよこれ! 」
コンラード「 ドル ン ド ル ン ギャギャギャアアア…(大太鼓の音を彷彿とさせるエンジン音をかき鳴らし、新たに導入した戦車輸送を可能とする大型装甲車を疾走らせる。豪快にドリフトを切り、既に現地兵士が先導する避難誘導の列に沿うようにして停車させた。) ーーーーーーこちら第10!現着!! これより市民の人命保護・王族護衛の任務に当たる!! 各員、救助プロセス8項に従い他兵団と連携を取りつつ市民の避難誘導に努めよ!!(装甲車から拡声器で呼びかけつつ、現場の指揮へ以降)腕に自身がないものは他兵団のタンクの後ろへ!!メディックは市民のメンタルケア・治療に努め混乱を未然に防げ!! 」
ケイティー「いっけぇー!!(バズーカを構え、雑兵に向けてみかん型のグレネードランチャーを発射する) 」
アルタール「OH!Yeah!!!熱烈な観客が多いことだねぇ!!!BUT(だけど)……この熱量、逆にこちらがダウンしちゃいそうだねぇ!!Ah!!(ギター型のガジェット・奏星《 アステロイ》から爆音波を奏でながら帝国兵を吹き飛ばしていく。だが、何度吹き飛ばそうが懲りずに迫る敵群に内心焦燥が募っているのか、小刻みに後ずさりしていた) 」
アレックス・ディノ「……!!(正義《ジャスティス》を全身に展開した状態で飛び上がり、高台へ着地)……既にここまで…… 」
ネオン「負傷者は地下へ!重傷者はこちらで応急処置を行います!(とはいえ、各部隊のメディックを集めて即時結成した医療チームでも手が回らない逼迫したこの状況…負傷者は増える一方……どう捌けばいいものか……)(無表情の中で冷や汗が滲んでいる) 」
加賀「(パワードスーツ・ZERO-Fighter-21)我々はただの足止め扱いとなります。これを留意してください。 」
9S「ハアァッ!!(黄金の槍を十文字に振り抜いて機械生命体を蹂躙していく)―――アレックス団長!こちらB7ブロック、敵部隊と交戦中!ですが、想定以上の敵数に圧倒されてしまい、突破口が開けない状況です…!(耳元の無線機に手を当て、高台のアレックスへ報告) 」
絢瀬絵里「(ヘリから各員のパワードスーツが切り離され作戦領域へ到着)了解です。 」
劉狼「
ライオット、
アサギよ!民間の避難誘導は拙僧が受け持つ!貴殿等はすぐに他部隊へ合流し、敵を迎撃せよ! 」
ライオット「…っ…わかった……!行くぞ
アサギ!(コクリと頷くと閃光《グリント》を二刀流に変形させながら、踵を返すように都市部へと駆け出していく) 」
アサギ「うっす!( ガ チ ャ コ ン ッ ! )(爆破《 スターマイン 》を浮遊ボード形態に変形させるとそれに飛び乗って
ライオットに続くように発進する) 」
オーランド「 キンッ ヒュ オッ(倒壊した建造物の柱に身を潜め、降り注ぐ弾丸の雨の合間を縫い手榴弾を投擲。 爆音と同時に同部隊の兵士へハンドサインを送り逃げ遅れた市民の避難誘導を預ける)後手に回れば防衛ラインまで物量でゴリ押しされますね……。 三等兵、
ヘザー団長へ連絡を。私から仕掛け敵を牽制します。敵部隊の最前列と一般市民に距離が空いたのを確認したら即"主砲"をお願いします。(手近な兵士へ端的に告げると、大剣型ガジェットを背負い遮蔽物から駆け出す。 最前列のゼレオロス兵士へ蹴りを入れ後方の兵士諸共仰向けに倒し) キンッ ボグォンッッ (手榴弾を置き残し、単身前へと進む) 」
ガトウ「気張れ野郎どもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!根性を見せろォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!(フル装備を整えた態勢から敵部隊へ真っ向からタックルをけしかけるように突撃していく)うおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああ!俺に続けェェェェェェェェエエエエエエエエエエエエ!(兵隊共を軽々と突き飛ばしながら突破口を開いていく) 」
腹筋崩壊太郎「腹筋☆パワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!(他の筋肉質な団員たちと共に団長・ガトウに続くように突撃戦に出る) 」
首領パッチ「‥高台でフカしてんじゃねーぞハゲ!(無線機でアレックスに向けて叫ぶ) 」
オレンジ侍「セイッ、ハーーーーーーーーッ!!!(二刀を振り回す剣戟で帝国兵を蹴散らしていく、しかし…)……くそッ!!数が…数が多すぎる…!これじゃあキリがねえッ!!ぐああぁッ! 」
ペニーワイズ「ここまで手が回ってるとわかってちゃやることはひとつしかねーだろ!(無線越しにアレックスに)行くぞパチ野郎!(コーラ缶のガジェットを展開した
首領パッチをピンボールのように兵隊に飛ばす) 」
第1調査兵団・メディック ―――――「[[ペニーワイズ]]」
ハンドラー・ウォルター「ファミリアの皆、生きて戻って来てくれ。(指示を送る)作戦領域内の非武装者の避難を優先しつつ、レギュレイターのサポートが優先任務だ。前に出過ぎるな。できれば、死なせたくはない。 」
エドガー「――――― こちらC8ブロック。敵影補足、対処する。各員、他ブロックの応援要請に迅速に対応し援護へ回ってくれ(無線機をおもむろに投げ捨て、砂埃で霞みかかって見える隊列を視認。 迎え撃つ当の本人は、"孤軍") ト ッ ガッッ(一歩の踏み込みで最前列の兵士へ肉薄、一人の頭を掴んでから腕を振り抜いて倒し) シュ ボ ァッッッ (最前列から4列目まで時間差で燃え盛る蒼炎によって焼き払う。間髪入れず拳、蹴、投、身一つの体術でロードローラーがガラクタを潰すように叩き潰していく) 」
ヘザー「(軍用の兵員輸送車で前線へと駆け付け、隊員達と共に戦場に降り立ち)第6兵団を二つに分けるわよ!!
バンレッジ!貴方は後方で分隊を指揮して、民間人の避難エリアの防衛と逃げ遅れの救出に回って!!残りは私と前衛に立って、敵脅威の排除に専念して!! ————行動開始!!(号令と共に、ガジェットを展開して敵の群れへと突撃。アームを振り回し、散弾銃を撃ち、暴れ回る) 」
ミア・テイラー「………無線機越しに罵倒するなよ……(バカ2人の無線を呆れた顔で聴きつつ)こちらC3ブロック………まだ突破口は開けそうにない(ケイティーとともに交戦中。バットを構え、ボール型爆弾を敵兵に向けて飛ばす) 」
アレックス・ディノ「……了解(各戦線からの無線を受け取り、取り出したハロをAEGIS《神楯》へと変形させ、五機を五方向へ向かわせながら)……言われずとも、オレも行く(ゆっくりと浮き上がり、そのまま空を駆ける蒼い光と化す)……あれは……(その双眸は既に、「本隊」の様子を捉えていた) 」
ヴァランドロア刹那「ハイ!!私もそう思います、流石団長判断がはやあああーーーー>>ズダンッッ<<(ここで諸ヘッドショットを食らう)ーーーーーーーーぁぁぁあい!!!!(側頭部を抉るように食らったため致命傷回避。流血を舐めながら斧型ガジェットを手に駆け出していく) 」
マコト「………(お兄、こんな時にどこに行ったんだ…!?)(バットを構え、敵兵に向けてチェーンを繰り出し、捕縛しようとする) 」
応戦に徹するレギュレイター全部隊。
だが、そんな彼らに追い打ちをかけるかの如く、「本隊」がついに三方向より出でる――――
06《 ゾルガー 》「 コ ツ ン … ッ … ―――― (西の方角より、黒いストライプスーツを着込み、高価な時計や指輪を着用した黒髪の男性が本隊の要としてついにその姿を現す) こちら『 06《 ゾルガー 》 』。作戦は滞りなく進行中。(ベルギー製の軍用軽量小銃を片手に、無線機で応答している) 」
バンレッジ「了解!!お前達、俺に続いて散会を!仲間が常に視界に入る位置取りを乱すなよ……!!(大口径のライフルを構え、
ヘザーとは別方向へ飛び出し)………ん、何だって……?隊長、副隊長。緊急事態だ。平安名すみれ隊員と連絡が取れん。恐らく単独でどこかに消えたようだが……(隊員からの報告を聞き、即座に無線で二人に伝え) 」
レギュレイター兵士『き、貴様ァ!!(スチャ――――)(06に向けて一斉に機関銃を構えるが――――)』 」
06《 ゾルガー 》「 ヒ ュ オ ン ッ ――――――― ス タ ン … ッ … (レギュレイターの一般兵が重火器を構えた次の瞬間には彼らの背後に佇んでいた) "分解"(テイクダウン) (静かに、両腕を開く) 」
バ ラ バ ラ バ ラ バ ラ … ッ … ――――― ! (06が両腕を開くと同時に、彼らが構えていた重火器が一斉に分解され、細かいパーツとなって地面に散乱してしまった)
東條希「(パワードスーツ・Vic-Viper)敵さんの本隊をキャッチしたとなれば、危険やね…?(敵兵をレーザーで払う) 」
ヨールダン「……了解した。だが、それ以上の情報が無いんだな?……であれば、非情だが優先順位は下げる。全隊員、今は民間人の保護と驚異の殲滅を優先してくれ。そして……敵が偽装している可能性がある。平安名すみれ隊員を見付けても決して近付かず、我々に報告の後……必要であれば攻撃を許可する。以上だ(言い終えて通信を切り、右手に手斧型のガジェット、左手に大型拳銃を構え、雑兵たちを撃破していく) 」
レギュレイター兵士『……!? ば、馬鹿な…ッ!?いったい、何が起こって…!? ぐあああぁぁああッ!!(自分たちの身に起きた奇妙な出来事に翻弄される最中、無慈悲にもその体に幾つもの風穴が開いては散っていく―――)』
06《 ゾルガー 》「 ……貴方がたは我々『ゼレオロス』を本気にさせてしまった。その恐ろしさを、身をもって体感するといいでしょう (血飛沫とパーツの残骸を散らしながら倒れていく兵士共を背に、本隊は侵攻を再開する) 」
[[ゼレオロス帝国]]・遊撃隊《 アサルト 》 ―――― 06《 ゾルガー 》 / 六(リク)
エドガー「――――!(気配、直感、それを裏付ける無線越の断末魔。片腕で敵兵を処理しつつ各団長へ向け無線を送る) アサルトを確認した。当該エリア近辺から兵士を下げてくれ。対抗できないなら避難誘導に回した方がいい……! 」
レギュレイター兵士『―――― ぐぁ…ぁ……ッ……?!(その頃、東の区画で迎撃に当っていた兵士たちの脳天に突如として小さな風穴が開き、鮮やかな鮮血を飛び散らせて次々と倒れ伏してしまう―――)』 」
フロール「第7部隊、我々は非戦闘員の保護と誘導を優先します!!特にアサルト、ゼレオロイドが確認できた場合は無理に戦闘を行わない事……!私が殿を務めます、急いで!!(弓型のガジェットを乱射し、機械兵達を次々に射貫く) 」
ツクモ「こちらツクモ班!!対処は順調でス、多分!!(忍者刀型に変形したガジェットで相手の首に的確に一撃、そのまま頭部をバラすように振り上げ、その勢いを殺さずもう一人の頭部をカチ割り、それで手がふさがりながらも蹴りで周りを蹴散らす)でも流石に敵が多……あ、なんか目立つ人が来ましタ!!ヤバいかもしれまセ…… 」
矢澤にこ「あ、アサルトですって…本隊は何してるのよ?!(サポートに回りつつ、主砲である直進型ハンドグレネードを発射) 」
07《 セダム 》「―――――― ユ ラ リ … (音沙汰もなく倒れ伏した死骸の中心、その空間が歪み、何もない空間に人が現れる。迷彩制服を着た青年らしき人物の手には、既に火を付加したばかりで銃口から煙を上げている89式小銃―――)―――ッハ!ヌルゲーヌルゲー!"同化"(ギリーニング)の前じゃ前座にもならねえんだわ!(アヒャヒャと甲高い哂い声を上げながら死骸を踏み鳴らしていく) 」
[[ゼレオロス帝国]]・遊撃隊《 アサルト 》 ―――― 07《 セダム 》 / 七(サトル)
ヘザー「はぁ!?平安名と連絡が取れない!?………仕方ない、無事なのを祈って、今は脅威への対応!……はい、こちら第6兵団(
エドガーからの無線が入り、その音声に耳を傾け)………アサルトの姿が見えた!!前線を下げるわよ、聞こえている隊員は後退!特に該当エリア近辺の隊員は直ぐにそこから離れて、避難誘導へ当たりなさい!!(無線を切った直後、隊員達に再び檄を飛ばす) 」
レギュレイター兵士『 ピ チ ャ (続けて南の区画―――交戦中に被弾を受けてしまう。だが、受けたのは銃弾ではなく、青いカラーボール。当然、痛みなど微塵も感じず、誰もがその違和感に首を傾げていたが―――)―――― ド ロ ォ … ! ! (次の瞬間、彼らの身体は液状化して瞬く間に水たまりとなってしまったのだった…)』 」
08《 エヴァル 》「―――美しい死に様だろう?みんな、誰もが「青」に染まり、美しく散っていく。青い薔薇のように。 これが僕の開発した“塗装”(ペイント)…!さあ、みんな「青」に染まれ!空のように、海のように!大自然を描く「青」に還る喜びを味わえ!ハハハハハ!!(銀髪ボブに青い迷彩服を着た青年は、銃口から青い液体を垂れ流している小口径反動利用方式アサルトライフルを掲げて歓喜に身を震わしていた) 」
[[ゼレオロス帝国]]・遊撃隊《 アサルト 》 ―――― 08《 エヴァル 》 / 八(ワカツ)
メトロ「……!西、東、南区画に「アサルト」と思われる本隊の出現を確認!各部隊、作戦通り後方へ退避しt……(ここで画面に映る何かを見て良い淀む)―――――!!緊急事態発生!北区格より、「超大型機械生命体」の反応を感知!!上空から接近中です!! 」
ヨハネ「…すみれが連絡取れず?何やってるのよ一体…!この前第4のマルガレーテが戦死したばかりなのに…!(一枚の黒い羽根のようなガジェットを取り出し、ショットガンに変形させつつ
ヘザーの無線に従い後退) 」
ナガタ「―――― ……!! …………ッ!!(同じく南の区画。"見捨てた/助けられなかった"民間人の亡骸を自らに被せ、大穴の空いた建築物の影で息をひそめる。 エヴァルの餌食になった"液体"が広がり、自らの隊服を濡らしても、 両手の指を口に突っ込み、涙さえも飲み込んでただただ息を潜め続ける) 」
第6調査兵団・戦闘員 ―――――「ヨハネ」
ツクモ「ひ……ひィいいいいイ!!!水化の術!?何!?何こレ!?(08《エヴァル》の放ったペイント弾らしき攻撃を見て狼狽、半狂乱で無線を入れ)こ、こちらツクモ班!!噂のアサルトらしき敵影を確認!!相手は、あの、着弾したものを液状化させるペイント弾のようなものを使用!!どうしま……どうしましょウ!!え、えっと、班員の皆さン、とりあえず散……ッ!! 」
ゼレオロイド【ニーズヘッグ】「 ザ ギ ャ ギ ャ ギ ャ ギ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ イ イ イ イ イ ッ ! ! ! ! (北の彼方の向こうから、空翔る巨大な機竜が紫電の光を放ちながら天空に顕現する。魔界の蛇の名を冠した最強の機械生命体が、地上の人間を睥睨するように首をしならせていた) 」
赤城「(パワードスーツ・ZERO-Fighter-21R)巨大兵器・ぜレオロイドを確認、警戒を願います。(高機動で銃撃) 」
バンレッジ「………アサルトにやられたと思しき隊員を視認。既に隊員に相当数の死傷者が出ている!!包囲される前に撤退の判断……を……畜生、ゼレオロイドまで来たか……!!(珍しく悪態を吐き、上空のゼレオロイドを見上げ)…民間人と負傷者はとにかく建物に入れろ、可能であれば地下へ!! 」
コンラード「 ダ ン ッッッ (コンソールを両拳で殴り絶望的状況、雲に顔を突っ込むほど高くそびえるそれを前に打ちひしがれる…)……!!(が、脳裏には戦友と同志の面影。自らを奮い立たせ……) ――――戦闘・非戦闘用問わず装甲車全てに民間人を乗せろ!!我々はあくまで殿!!あくまで民間人の避難誘導に徹するんだ!!この世界ではいつ死ぬかは選べない!!!!どう死ぬかしか!!!!選べんのだ……ッッッ!!!!!!!!(通信機を叩きつけ、代わりにライフルを手に装甲車の外へ飛び出す) 」
レヴィ「アサルトが三人…それに加えて、ゼレオロイドまで…ッ!!これは…帝国が徹底的にこの王国を落とそうとしているということか…!不味い…ッ!! 」
西木野真姫「避難民の護衛が最優先でも、これは…(撤退をしつつ迎撃) 」
万事休すか、誰もが絶望に暮れかけたその時だった―――――――
――――――「Mr.」、『ゲート』を開け(精悍な女性の声が、乾いた大地に静かながらも厳かに響く―――――)
アレックス・ディノ「ここは俺が……!!(前線を蒼い光と化して駆け抜けていたアレックスが、それを確認して上空へ飛び上がり、その巨体に対処しようとした瞬間)……この声、まさか!? 」
ギ ュ オ ォ ン ッ (ウェスター王国の各所。それはまるで六芒星を描く六つの点となる場所に、空間を裂くように歪み現れた扉《ゲート》が地響きの音と共に出現する。扉は静かに左右に開かれ、後光に照らされた人影が各所にてその
ベールを脱いだ―――――)
サナトリー「 カ ツ ン ッ (王宮神殿付近―――段差のあるゲートから乾いた地面に降り立ったのは、漆黒色のラバースーツで全身を覆い、同色のロングコートとシルクハットを身に纏う謎の人物。特徴づけるのは、その素顔のすべてを完全に覆うペストマスクであった―――) フ シ ュ ー … … ――――― 現場着任 (マスクの通気口より微かに白い吐息を噴き出した) 」
世界政府医学会総会『医学会』・医師会長 兼 第0調査兵団・メディック ――― 『 サナトリー・ブラックウェル 』
ネオン「あれは―――――!(
サナトリーの後姿に、驚愕を覚えるように目を丸くした)……『医学会』会長……
サナトリー氏……?!(感情を表に出すことなどめったにない自身ですら、彼女の存在の前では平常心を保つことなど不可能。何故なら、今の自分を形作った張本人こそ、目の前にいる
サナトリー本人だからだ) 」
Mr.ワンナップリン「 レギュレイターの若者諸君、大変待たせたね。あとは…―――――「我々」に任せていただこうか。(何処かの真っ暗な一室。恐らく遠方の本部であろう。その一室からウェスター王国全土を俯瞰し、すべてのデータが網羅されたモニターを前に不敵に笑む男がいた。プリンの着ぐるみを纏う、奇抜な格好の男が――――) 」
世界政府科学班所長 兼 第0調査兵団・オペレーター ――― 『 [[Mr.ワンナップリン]] 』
マンハッタンカフェ「(同じくゲートより現れる漆黒の少女。伸びた前髪から除く金色の瞳が敵を射抜く)……機械の臭いは好きではありません。油臭くて無機質で。ですが、仕事とあらばやりましょう。(黒手袋をギュッとしめなおす) 」
第四調査兵団 兼 第0調査兵団・戦闘員 ――― マンハッタンカフェ
アルベルト「 カ ツ ン (東区画、兵士の残骸のみが転がり敵影の視認ができない環境下に、白衣をはためかせた『少年』が降り立つ。 蒼のメッシュが掛かった銀の短髪、左頬に刻まれた四次元コード、球体関節の手。人と定義するには異質なソレが、顎に手を添え、タブレット端末の一点のみを見やる)―――――使い古された手法だ。"ソレ"の本質は人間が石の槍を手に狩りを行ってた頃から使用されていたものと相違ない。君は祖国を侮蔑する趣味があるのかね 」
世界政府直属・術智保全協会所属 兼 第0超最兵団・メカニック ―――アルベルト・エッシャ
ゼフィリーヌ「―――――やあ、レギュレイター諸君!!後は私達に任せてくれたまえ!!君たちが先行してくれたおかげで、大勢の人を救ったのだから……!!(ヘルムが無いが、華美でありながらシンプルな、洗練されたフォルムの全身鎧を着こんだ、美しい金髪にすらりと伸びた身長の高い女性が……挨拶もそこそこに、高らかに、歌い上げるかのように口上を並べ立て、王宮のゲートからさも自らが凱旋するかの様に歩いてくる)敵は全て私へと誘導してくれたまえ!ああ、いや………つい、惹かれてしまうかもしれないね(キラーン)」
世界政府協力員・『[[新世界]]』未踏地域・危険地帯調査隊"最先鋒" 兼 第0超最兵団・タンク ―――ゼフィリーヌ・泉・リメーシャ
『狭間の者』「……さてと(他のゲートとはまた違った“廻廊”から這い出てくる、黒いコート状の衣を纏った男が静かに靴音を立てる)にしても仕掛けが遅いものだな。お互い様だが(低く特徴的な声がフードの下の闇から漏れる。小さな深淵にすら見えるその闇に覆い隠され、文字通り素顔が顔を出さない)……全員、展開後は各自手筈通りのつもりで(闇の中から溢れ出す声は、ゲートから現れた彼らの音頭を取っているようにも聞こえた) 」
世界政府『役人』 兼 第0調査兵団 副団長 ―――『狭間の者』/██████
ティネル「 フ ワ サ ァ ――――― ッ ! (アレックスが"いた"高台へ華麗に馳せ参じるのは、白銀の長髪を妖艶に揺らす麗蘭の女性。厳格な鋭い眼差しで眼下に広がる敵軍を、それから上空の機竜へとその眼光に捉える) アレックス、よく本懐を果たし、耐え忍んだな。後は『 我等 』に託せ。( ス ラ リ ―――― ジ ャ キ ィ イ ン ッ ! )(腰に携えた二対のブレードに手をかけ、交差するように静かに引き抜いた) 」
ティネル「 こ れ よ り " 反 撃 " に 出 る 」
レギュレイター総司令官 兼 第0調査兵団・団長 ――― 『 ティネル・カルロウ 』
ガトウ「……!!あれが……世界政府本部が選定した究極の団員たち…ッ…!!(帝国兵の一人を卍固めにしながら、彼らの登場に呆然としてしまう) 」
劉狼「……あの者たちこそ、我等レギュレイターが誇る史上最強の欠番部隊…!その総力は、"第1~第10を束ねた全軍以上"であると言われている…!それが…――――― 」
アレックス・ディノ「総団長……!?その装備は……(空中でとんぼ返り、急激に方向転換してその姿を目に入れ)……やるんですね……アレを……(サングラスに目を落とし、息を呑む) 」
『狭間の者』「ま、そういうことになる。君たちの総団長の晴れ舞台だ(指先に息を噴き掛けながら、仰々しく手振りをしながら戦場を俯瞰)……よしなに頼むよ(小さく笑ったような素振りで、アレックスを見ると、自らの”やるべきこと”を再確認する) 」
06《 ゾルガー 》「……そうか、あなた方が……レギュレイターの最強部隊。やはり、来ましたか…(マンハッタンカフェと相対する、この凍てつくような空気の中で互いに睨み合う) 」
07《 セダム 》「……アァン?んだァ、クソガキ。脳みそぶち抜かれたくなきゃあママんとこへ帰りな。つっても、そのママもあとで仲良くぶち殺してやるけどなァ!ヒャアハハハハ!!(対峙するアルベルトを前に声高らかに嘲笑する) 」
08《 エヴァル 》「……その姿…美しくないね、君。(一目で感じた嫌悪を剥きだして、『狭間の者』と対立する) 」
06《 ゾルガー 》「…… 07《 セダム 》、08《 エヴァル 》、聞こえますか。(耳元に備えたインカムを起動する)恐らくそちらにも現れたことでしょう。「第0調査兵団」は「ヘッド」から要警戒対象として命じられている。よって、作戦をプランGへと変更…―――――― 全力で叩き潰しに行きますよ。(その合図と共に、懐に忍ばせた手を突き出した) 」
アレックス・ディノ「……邪魔をするべきではなさそうですね(そのまま地上へ急降下、全体へ通信を入れる)見ての通りだ。『第0』が動き出した。……俺から言えることはただ一つ……足を引っ張るな。そして、巻き込まれるな…… 」
―――― ジ ャ ラ ァ … ! (ガスマスクの三人組が一斉に取り出したのは、あの――――『ユナイタルウォッチ』であった)
06《 ゾルガー 》 / 07《 セダム 》 / 08《 エヴァル 》『――――― 変 身 ―――――』
ド オ ゥ ッ ! ! (懐中時計を起動した三名のガスマスク。時計より迸る神々しくも歪な閃光が、彼らの身を包み込む。周囲に散りばめられた星座の空間。各々に異なる点と点の位置が光の一線によって結ばれて、描かれた星座から装甲が現出し、彼らの全身に装着されていく。その光は柱のように、ウェスター王国の各所に現れて曇天を貫いた―――)
06《 ゾルガー 》【スコーピオン】「 キ ュ ィ ン ッ (蠍座の星座が重なると共に顕現されたのは、黒いボディを持つ人型。その手には、煌々たる閃光の槍が握りしめられていた) これこそが―――― 」
07《 セダム 》【カプリコーン】「 キ ュ ィ ン ッ (山羊座の星座が重なると共に顕現されたのは、黒いボディを持つ人型。背面に二対からなる朱色の光剣・ユナイタルソードを差し、その右手にも三本目が握られていた) 俺たちの――― 」
08《 エヴァル 》【ジェミニ】「 キ ュ ィ ン ッ (双子座の星座が重なると共に顕現されたのは、黒いボディを持つ人型。六本以上に別れた帯状のマントをはためかせ、その手に携えた一本の光剣・ユナイタルソードを握りしめていた) ――――― "美しき姿"だ!! 」
Mr.ワンナップリン「プロトユナイタルウォッチの起動を確認。解析を始めようか……いや、すまなかった。 "既に解析は終わっていた" んだったね。(お茶目に舌を出しながら、しれっと衝撃発言を零してしまう) 諸君ならば「ブースト」を使うまでもないだろう。さぁ、行きたまえ。敵軍の兵装はすべて私が無力化してあげよう。(そう言うとコンソールの捜査を開始し始める。異常な、速さで――――) 」
ティネル「 『 第0調査兵団 』 ―――― 作 戦 を 開 始 せ よ ! ! 」
ライオット「うおッ…あれは……総司令官…!?(ティネルの張りのある声に振り返り絶句する)……マジかよ…あの総司令官が…前線に立つなんて…ッ……! 」
ゼフィリーヌ「どうやら、"大将首"達の相手は私達では無いらしい……まあ、構わないさ。総司令官殿の指示は同じ……(これ見よがしに前髪を掻き上げつつ、前方の敵たちを見据え……全身鎧に付属したハルバードを横薙ぎに、ただ"振る"……それだけで巨大な魔力の刃が超高速で放たれ、機械兵達の群れを紙の様に切り裂き)……どうだい、この"ガジェット"は………素晴らしいだろう?この私が魔力を込めて振り回しても傷一つ付かない、そしてこの造形美!!……これこそまさに、戦場に現れた一人の天使の姿と言えるかもしれない……ああ、強く美しいというのは、罪深いね…… 」
『狭間の者』「それが噂の。思ったよりもしっかりしてるじゃないか。性能も見せてもらおう(黒いボディに変化した08《エヴァル》を見ながら、軽やかに赤い花弁を舞わせながら襲われている隊員たちの元に割り込み)……黒の方が割合多くなってしまってるが大丈夫か? 」
サナトリー「コツン、コツン…―――――(一歩、また一歩としなやかな客を前へと突き出す度に、漆黒のコートにぶら下がった撹拌棒、その中の奇妙な液体が揺れ動く) さァ ―――― 手術《オペ》を始めよう。( ジ ャ ラ ァ ア ッ ! )(何もなかった両の掌、その指間に瞬く間に幾つものメスが顔を出す) 」
アルベルト「残念だ。
ラタリア博士の発明は素晴らしい、その最大火力をこの手で試したかったのだが……(チュッパチャップスを口に放り、それを咀嚼しながら何処を見るでもなく、白衣のポケットに両手を突っ込み) 聞いての通りだ、君を処理して問題ないとのお達しが下った(タブレット端末を操作しつつ、何処を見るでもなく07へそう告げる) かかってくるといい 」
08《 エヴァル 》【ジェミニ】「――――っ!(何処からともなく舞い散る赤い花弁に過剰反応する)……気に入らない…君のような存在こそ、このボクが直接「青」に染めてくれる!!(ズオン!と大砲の如き勢いで狭間の者へと迫る。光剣を振り抜き、それが回避されようとも再び斬りかかる。だが、刃は花弁を切り裂いても、狭間の者へは届かない) 」
マンハッタンカフェ「(右半身のまますり足で06にほんの少し近づく。そして懐中時計を手に取り時間を確認)いいでしょう。ひとり5分でかたをつけましょう。その後コーヒーをご馳走します。いい豆を仕入れましたので。(パチンと閉じてふところにいれる) 」
07《 セダム 》【カプリコーン】「舐めてかかんじゃねえぞクソ ガキがァァァアアアアッ!!!(獰猛な獣の牙で食らいつく勢いで、逆手に構えた光剣の切っ先でアルベルトを脳天から突き刺しにかかる) 」
06《 ゾルガー 》【スコーピオン】「……いくら貴方がたが最強の布陣だとしても、ユナイタルを装着した我々には及ばないはず。今それを―――証明してみせましょう!!( ズ オ ォ ン ッ ! )(先端に光刃を持つ長柄の槍。それをマンハッタンカフェ一点のみに狙いを定めて勢い良く突き出す!) 」
帝国兵『 シ ュ バ バ バ バ バ ッ ! ! ! (悠然と歩み出した
サナトリーを迎え撃つように、ダガーナイフや銃剣を構えた兵隊が白兵戦を仕掛けに参る)』 」
機人《ヒトガタ》『 ガ チ ャ ガ チ ャ ガ チ ャ ァ ン ッ ! ! (ゼフィリーヌに対して光剣を各々に構えた機械生命体が次々と肉薄。彼/彼女を囲うように翻弄し、死角から襲撃する…しかし――――)―――― ズ シ ャ ア ア ァ ァ ア ア ア ッ ! (一振り。そのたった一振りでで機人は瞬く間に残骸一つ残さず滅せられる)』
機蛇《ヘビガタ》「 シ ャ ア ア ァ ァ ァ ア ア ッ ! (かつて、マリマリンにてレギュレイター大多数でも苦戦した中型の機械生命体が、ゼフィリーヌへと忍び寄りて、その牙をもって食らいつくように襲い掛かる) 」
アルベルト「――――― 執行四脚《フォーレグ・イグゼクター》(端末をタップ、すると彼の靴が展開し、一本一本が別個に稼働する四本の2mのアームが複数伸び……) 鋼城《 ルーク 》 モード・ゲート(アームの先端に大盾が展開。それらがオリジナルを上回る面積の"壁"を生成し07の攻撃を受け止め) キメラフォートレス・奏星《 アステロイ》・サテライト (壁に細かな穴が空き、網目状へ表面が変化。"スピーカー"へ変形……) キュ オ ッ (大音量による聴覚への力押し、不快音波による平衡感覚の喪失、これらが合わさり脳のブラックボックスを刺激することで想起される"トラウマ"による攻撃を行う) 」
『狭間の者』「ほう、赤色は嫌なのかね?(襲い掛かってくる08《 エヴァル 》の至近距離、囁くような姿勢で寄りかかり)青い薔薇というのも乙だが……『不自然』の象徴になってしまうな(静かに青い薔薇を取り出すと、手放した瞬間に吹き散るように消える)……さーて(その姿勢から一瞬で離れると、いつの間にか右手に鎌を持った状態でゆったりとした姿勢)簡単な数字のゲームをしよう。ルールは単純だ。数字がゼロになったら……君の負け 」
ティネル「 ト ン ッ ―――― (高台より側転跳躍で飛び降りる。その落下地点には、彼女を待ち構えていたと思われる機械生命体の大群。このまま真っ逆さまに落下すれば、着地狩りをされてお陀仏だろう。だが、しかし―――)――――― フ ォ ン ッ (斬撃音が鳴らない剣裁き。風を撫でる刃の音だけが静かに反響する) 」
機人《ヒトガタ》『 ザ ン ッ (ティネルが着地したと同時に、優に30体を越える機械生命体の上半身が一瞬で、一斉に上空へと跳び上がる。あの刹那の最中で、胴体を断裂されたのだ。音もなく――――)』
マンハッタンカフェ「 ------ ダッ(光刃の槍が迫る。だが戦闘に慣れた人間を越えた反射神経。戦闘に慣れたウマ娘の能力を十全に活かし瞬間加速の猛ダッシュ。レーザー砲の威力に見まごうほどの威力に顔をしかめながら自身も術式を展開する)パンッ!(手を合わせ右手を下へ少しずらして柏手)ジジ、ジジジジジジ……!(練られた呪力から赤黒い光の刃を作り出し)まいります(一気に斬りかかる) 」
07《 セダム 》【カプリコーン】「 ガ ッ ギ ィ ィ ィ ィ イ イ イ イ イ ン ッ ! ! !(――――!?) (受け止められた衝撃が強く反響し、自身に返ってくる) ッ゛ ガ ? ? ! (そこからゼロ距離で解き放たれた大音波が直撃し、頑丈な装甲を貫通。装甲内部の本人の感覚の一切が、激しく変動を遂げていく)…な、……なに、ヲ……ッ……??? 」
08《 エヴァル 》【ジェミニ】「当然だッ!赤は……赤は、「青」と正反対に位置する邪なカラーだ!!そんなもの、僕は美しいとは認めない!断じてだッ!!(ブォンッ、ブォンッ…!)(何度も斬りかかるが、やはり狭間の者には掠りもしない。その焦燥も相まって、徐々に感情が昂っていく)……ゲーム…?そんなものに興味はない。僕が追及しているのは青き芸術…それだけだッ!!(ブワァ!と帯状のマントを広げて大跳躍。そこから、狭間の者へギロチンの如き気迫で刃を振り下ろした) 」
06《 ゾルガー 》「【カプリコーン】「 な――――― ザ ン ――――に (驚いている最中に、既に槍は真っ二つに断裂されてしまう。獲物を失ったことで震える両手から「槍だったもの」が抜け落ちていく) いや、これしきのことでッ!! (すぐに反撃の一手に出る。マンハッタンカフェを掴みかかろうと、その手を伸ばすが―――) 」
ゼフィリーヌ「……やあ、来てくれたんだね!待ちくたびれたじゃあないか!! ………上手く彼らを誘ってしまったかな…?しかし、重要なのは彼らにとっての、私の『脅威度』を引き上げる事……(機人達が吹き飛んだことを意にも介さず、ただ悠々と歩き続け…)おっと!困るなあ後ろから抱き着くなんて……( 機蛇《ヘビガタ》)に噛み付かれ、牙の幾つかが食い込み、或いは鎧の隙間へと突き立つ…が)本当に困るんだ、このガジェットは優れた防御性能と軽さ、そしてデザイン性を持つ素晴らしい装備だが…… 私 の 生 身 よ り 防 御 力 が 低 い んだ。これが本当に惜しくてね 」
アルベルト「君の脳処理を活発にさせた。例えば、今までの人生で経験した記憶の一切が同時に、倍速でループ再生されたり、五感の覚醒によって感じ取れる情報が膨大になったりとまあ…… いろいろだ。(悠然と07へ歩み寄り、体格差にも関わらず"見下す") 人間は脳の20%を使用上限としている、それを超越しないのは絶え間なく流れる情報を処理できずフリーズするからだ。アナグラム体はここまでは弄らなかったようだな(自らの頭をトントンと軽く指で突きながら) 」
サナトリー「 君死ニタモウコトナカレ (ペストマスクの内側で、掠れるような女性の声が零れた時には瞬間的に帝国兵の軍隊の背後に両手を広げた態勢で佇んでいた) 」
『狭間の者』「口では何と言っても構わないが……(大鎌を回転させながら構え、片手で刃の部分を添えて相手の斬撃を受け止め)もう『宣告』はした(再び鎌が回転。敵の頬を、回転した鎌の柄が打ち抜き、続いてその回転に乗せた斬撃が、腹部へと叩き込まれる。同時に、08《 エヴァル 》の頭上に表示されたカウントが、『8』から『7』へと変わる。攻撃が叩き込まれたことがトリガーに) 」
ゼフィリーヌ「(血の一滴も流さず、痛みも感じていない様で……その牙が彼女の肌に傷をつける事は無かった。噛み付かれたまま、機蛇《ヘビガタ》の口内へと右手を押し込み)次は女性に対するマナーをプログラムして貰うといい。それでは……さようなら(口内に突っ込んだ腕から魔力波を炸裂させ、その身体を内部から砕きに掛かる) 」
帝国兵『―――――― ズ パ ァ ァ (いつの間にか背後に回った
サナトリーへと振り返ると、帝国兵士たちの挙動が硬直する。そして、彼らの胴体から首と肢体が綺麗に"解体"され、その上血液一つ残さず一斉に崩れ落ちていくのだった) 』
07《 セダム 》【カプリコーン】「さっき、から、なに、を、いって、や、が、る……??(ついには言語能力にも支障をきたし始めているのか、呂律が回らなくなってきている) 」
08《 エヴァル 》「僕は君の存在を拒絶するッ!!(斬撃を受けようとすぐに反撃に回る。剣を振り下ろし、だが弾かれ、反撃に斬られる。そんな応酬を繰り返す毎に、自身のカウントが刻々と進んでいることに、皮肉にも気づいていない―――) 」
マンハッタンカフェ「(掴みかかろうとした腕をかわすように錐もみジャンプでやり過ごし一気に肉薄、右手の刃で切り裂き、左手を振りかぶりーーーーーーーー)黒 閃 っ (呪力と物理によるクリティカルダメージを狙うパンチを切り裂いた部位にブチ当てる) 」
機蛇《ヘビガタ》「 ド パ ァ ン ッ ! ! ! (ゼフィリーヌに注がれた魔力波。それが蓄えられたことで風船のように限界点まで膨らみ、そして――――跡形もなく"破裂"したのだった) 」
帝国兵 / 自走砲『 ズダダダダダッ!!/ ズドォンッ!!!(帝国兵の大群が一斉に
サナトリーただ一人に押し寄せる。その最中、ゼフィリーヌに向けて自走砲による砲撃が行われる)』
『狭間の者』「周りの状況に気付かないのは……(『6』。『5』。のらりくらりと、花弁を散らしながら華麗にその攻撃をいなしながら放たれる攻撃は、着実にそのカウントを減らしていく)美しいとは言えんと思うがね(『4』。強烈な蹴撃が、そこに入れ込まれる) 」
アルベルト「"優しさ"だよ。既に痛覚も麻痺し始めた頃だろう。後は過去の思い出に浸るといい、未来はないのだから 雪崩《アバランチ》・Type-Ⅱ 』・侵攻《 ハーメルン 》 (形状を有さないガジェットがファンへ変形し07を取り囲む。 そして冷却機構を抽出し、一瞬で足場が凍りつく冷風で取り囲もうとする) 」
06《 ゾルガー 》「 ぐ ぶ ゥ゛ ッ … … ! ! ? (バカ、な――――ッ!?)(ブーストを発動していない、素手による一撃。だがその破壊力はブーストによる攻撃力を遥かに凌ぐほどであった。それを証拠づけるのは、大きく凹んだ自身の装甲。否、もはや凹んだというよりも―――破裂して内部がさらけ出てしまっているのだ)…ごれ、は……計算外……なんて、桁違い…ッ……?!(反撃に出なければ。しかし、オーバーフローした衝撃は全身を凍てつかせるように。彼女の一撃で、機能の一切が粉砕されてしまった) 」
08《 エヴァル 》【ジェミニ】「 チ ィ ィ イ ッ ! ! ! (強烈な蹴りに吹き飛ばされて岩壁に激突する。しかし―――)――― ボ フ ン ッ ! ! (砂塵を裂いて、目と鼻の先まで肉薄した時には刺突の態勢であった) 華々しく散れェ!!! (そのまま切っ先を力強く突き出す) 」
バ ダ バ ダ バ ダ バ ダ バ ダ バ ダ バ ダ バ ダ (混戦している中、上空に一機のヘリが出現)
ティネル「―――――(ひとつ、またひとつと静かに刃を振り抜く。斬撃は建物を貫通してその奥に広がる軍勢を一瞬で消し飛ばす。されど、建物は崩れ落ちず。その繊細な斬撃は、悪しき者だけを斬り捨てていく。並大抵の剣豪には真似できない、神業へと至る手腕――――)――― Mr.、『レギュレロイド』の転送を。(頭上を仰ぎ、すぐそこまで迫っていたゼレオロイドの姿を確認して無線に訴える) 」
ゼフィリーヌ「(自走砲の砲撃音から、即座に方角と場所を特定。ハルバードを正面に向けて構え……"照準"を定め)兵士達人力リソースを彼女に向け、私は火力で圧し潰す……理には適っているけれど、それくらいじゃあ私を越える火力にはならない……悲しいね(自走砲による砲撃。その爆炎も、直撃すらも意に介さず……ハルバードから巨大な魔力弾を連射し、自走砲を周囲の兵士ごと薙ぎ払う) 」
07《 セダム 》【カプリコーン】「ま、て……キ、サマ…ァ゛…ッ……!!!(凍てつく最中に腕をアルベルトへと伸ばす。その清ました顔を引っぺがしてやらんと、指の先端をコキコキと動かしながら。だが――――) 」
『狭間の者』「フッ……(視認するより早くモーションに入る。一回転した状態で鎌を振るい、その刺突の先端を弾くように逸らし)お別れの時間が来たようだ(『3』。『2』。『1』。回転しての三連撃が、花弁と共に吹き荒ぶように入る)……何か言いたいことは?(そして。鎌が、処刑台の如く08《 エヴァル 》の首に添えられる) 」
サナトリー「 ド、ドドド、ド、ド、ドド (容赦ない銃撃によって全身に次々と風穴が開かれる。死は決定された――――はずだった) ヒ ュ ポ ン ッ (だが、空いた穴が瞬く間にスライムのように完全に塞がる。全身からは流血もなく、五体満足の身体を披露せんとその場で軽やかに一回転する) ピ ン ッ ―――――(そして、コートから抜き取った撹拌棒の蓋を指で弾く様に取り外し、その液体を、地面へ浸す様に注がせた) 」
アルベルト「 終わった。 (耳たぶへ指を添え、体内のナノマシンでティネルへ"事後報告"を終え……) 閃光《グリント》 (07の手をすり抜けるように前へ出、掌を彼の額に当て) ビス ッ (頭の内部に直接"光剣"を出現させた。 ソレを引き抜ことなく、肩透かしに歩を進め)……ふむ、執行四脚が好みだな。(飴を加え直し、再びタブレット端末に目を通す) 」
錦木千束「―――――――――お、やってるやってる~♪ ……ってなんかめっちゃいるし!ねえあれってどっち敵?わかんないし~!(ヘリの搭乗者) 」
マンハッタンカフェ「ではこれにて終焉です(バク転しつつ距離を離して宙に飛び上がると奇妙な印を結ぶ。右手は爪を立てるように、左手は吉祥天女の指の形をかたどるように。呪力が周囲に満ち満ちて)ーーーーーーーー領域展開・我罵羅双身天(がばらそうしんてん)(06のみを異様な空間に閉じ込める。一見仏像、しかして異形。それが幾千幾万並べられた廃寺院。日食による真っ黒な太陽をバックにマンハッタンカフェの肉体が変態していく。肩からもうひとつ彼女そっくりの頭が生えて両腕も肉体を突き破ってくる)ギギギギギギ(互いを抱きしめるように、互いの指を絡めるように、それは印の結びであり闇に潜む愛にもにた情動の現れでもある)『おわりです/オワリダ』(ふたりぶんの声が響くや、太陽の漆黒から呪力の奔流が地上に向かって撃ち放たれる。狙いはもちろん、06だ) 」
ド プ ド プ ド プ ド プ … ッ … … ――――― ! (
サナトリーの手から零れ落ちた奇妙な液体が地面を這うように拡散する。少量だったはずの液体の拡散力は流れ落ちるダム流水の如き勢いで大勢の帝国兵の足元を覆い尽くしていく)
Mr.ワンナップリン「 了解――――『 レギュレロイド 』、座標ポイントへ転送 」
ギ ュ オ オ ォ ゥ ン ッ ! ! (ティネルの眼前に突如として出現したのは、ゼレオロイドの巨体にも迫る黒鉄の鉄巨神。女性を模したかのような華奢な体躯でありながら、その腰にはティネルのものと酷似した二対の巨大なブレードが装備されていた)
井ノ上たきな「さあ…今のところ、よくわかりませんが。(ヘリの搭乗者) 」
08《 エヴァル 》【ジェミニ】「 ザ キ ィ ィ ィ イ イ ―――――― ン … ッ … ! (狭間の者が下す三連撃。その衝撃に耐え切れなくなった胴体が真っ二つに斬り裂かれ、上半身が頭上を舞い上がる。しかし…)――――ハァハハハハ!残念だったなァ!僕のユナイタルはこの程度ではやられはしない!分離できるんだよォ!!(機能を失った下半身を捨て、帯状のマントが新たな手となり足となり、まるでUFOのように浮遊しながら再び光剣を握りしめる)油断したがもう遅いさ!今度こそ、盛大に散れ――――(トドメの一振りを下さんとするが―――) 」
07《 セダム 》【カプリコーン】「―――― ブ シ ャ ア ア ア ァ ァ ッ ! ! ! (後頭部から突き出た光の刃。それがトリガーとなり、凍結したユナイタルはその後微動だもなく完全停止したのだった――――) 」
錦木千束「……ええいもう知ったことかぁ~!(ヘリ内でなんかいろいろいじくる) 」
井ノ上たきな「ちょ、ちょっと千束、また勝手な…! 」
06《 ゾルガー 》【スコーピオン】「(何故だ……今回の作戦ならば、いよいよ王国を陥落できるはずだった……それなのに、何故だ……どこで、間違えた……??間違って、いたのか……?教えてくれ、「十(ツナシ)」……私は、わたし、は……――――)――――― グ シ ャ ア ァ ッ (呪力の奔流によって紙屑のようにしわくちゃに圧縮され、やがて……この世から完全抹消されてしまったのだった―――) 」
『狭間の者』「ほう、分離できるのか。面白いが……(切り裂かれて飛び上がる上半身を見上げ、再び鎌を構えて)……悪足掻きだな。もう既に宣告したはずだ。お前の死ぬ時は(華麗に、薔薇を散らせながら跳び上がり、回転斬りの如く、鎌の一撃が交差する) 」
『0』(斬撃と共に、カウントが、終わる)
『狭間の者』「ジャストで『8回』だ。頑張った方じゃないか(彼の刻んだ切り傷からは、蒼い花弁が、血のように噴き出す。勢いよく。それは噴き出すうちにいずれ、紅く変色し、吹かれて消えゆく) 」
帝国兵 / 自走砲『 デ ロ ォ ォ オ … ッ … … / ボ ッ グ ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ン ン ッ ! ! ! (拡散する得体の知れない液体に触れた衛兵たちが、足元から瞬く間に溶け落ちていく。その一方で、ゼフィリーヌにより解き放たれた魔力弾――核爆発の如き火力を誇る――に機械生命体も自走砲もすべてが焼き払われ、灰燼に帰す―――)』
マンハッタンカフェ「(領域は解除され現場に舞い降りる。肉体も元に戻っており本人も特に異常はみられない)……4分36秒。実にいいタイムです。仕事あとのコーヒーを作る時間が余分に取れました。 Powered by せっかく掲示板 」
キュイーーーーーン……… バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ ッ (ヘリにガトリンクガンが現れ、遥か下の混戦する者達に敵味方問わぬ乱射が開始されてしまう)
ティネル「 フ ォ ン ッ (身を投げ出すように大跳躍。その着地地点は、鉄巨神のコア内部) グ ゥ オ ォ ン ッ (コアに内蔵された自分自身の動きと連動して、鉄巨神は起動する。その同期による挙動に、一寸の狂いもない) 一撃で、仕留めてみせよう (一度納刀したブレードを振り抜く態勢を維持――鉄巨神もまた同じ動きを模倣――し、そして――――)―――― ズ ダ ァ ン ッ ! ! ! ! (大地を震わせる盛大な跳躍で、一気に天空へと迫る) 」
ゼレオロイド【ニーズヘッグ】「 ! ! ! (地上から接近する何かの存在を感知した巨大兵器の翼竜。だがそれが、まさか自身にも匹敵する巨神であるとはいざ知らず、システム処理反応に遅れたかのように慌ただしく翼をはためかせる) 」
08《 エヴァル 》【ジェミニ】「―――― ブ シ ャ ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ッ ! ! ! ! (自身の刃が狭間の者に届くよりも前に、その全身から溢れんばかりの「青」が溢れ出す。それは、自身が望んだ理想。死を悟りながらも、その刹那の内に愛する「青」を享受できた喜びに恍惚とした感情に死という概念が中和されていく。しかし、所詮結果は変わらない。理想は「現実」へ。青は「赤」へ。最後に崩れ落ちる時、その絶望を知ったかどうかは…誰も知る由はない―――――) 」
ティネル「 斬り捨て御免 (コアの中でブレードを交差するように振り抜く。それは、連動する鉄巨神の刃が翼竜へと届くことを意味する―――――) 」
ゼレオロイド【ニーズヘッグ】「 ザ キ ィ゛ ――――――――――― ン゛ ッ゛ ! ! ! ! (空を埋め尽くさんばかりの巨体を誇る機竜の身体が真っ二つに裂かれ、天より堕ちる――――――――) 」
僅か「5分」。それは、たった5分の出来事だった――――
アレックス・ディノ「……話には聞いていたが……凄まじいな……(眼の下、その光景を見据えて)……あれがレギュレロイド…… 」
メトロ「 っ―――――― ! (装甲車内にて、モニターに映るマップを確認してわなわなと口元を震わせる)……て、敵機体反応……完全消失……っ…!
ゼレオロス帝国兵も、殲滅を確認……っ……(信じられない、そんな驚愕な表情で全部隊に通達を行った) 」
アサギ「………………えっ……???ちょちょちょっ、なんかの間違いじゃないすか…ッ…?!あああああ、ありえないっすよ!こんな……こんな短時間で、あの大軍を退けたって……!(ねえねえと
ライオットや劉狼を交互に見やる) 」
ロジェスティラ「 >> ᓀ‸ᓂ << (フリーズ) 」
ライオット「そ、そうだ…ッ……!あり得ねえよ…ッ!しれっと流してしまったが、相手は全員ユナイタルを発動していたんだぞ…!?それに……俺達全部隊が総力を挙げて、やっとの思いで倒したあのデカブツ(ゼレオロイド)だって……!それを……こんな僅かな数分間で…ッ………? 」
ヘザー「呆けてないで、負傷者を搬送しなさい!!敵の反応が焼失した以上、次の仕事はそっちよ!! ……あの軍勢を、ほんの数分で……これが"規格外"って奴なんでしょうね 」
井ノ上たきな「んなっ、何やってるんですかやめてください!!(ヘリを制御)何かあったらどうするんですか……ちょっと千束! ……!?(いつの間にかいなくなっていり、ヘリのドアは開いていた) 」
劉狼「………しかし、これこそが紛れもない事実。そして、彼・彼女たちの確かな実力なのだ。拙僧には感じる。この王国各所から漂う、"圧倒的強者の覇気"を…!それらは人間の極致に至るもの。天上天下唯我独尊を体現せし存在なのだ…! 」
アレックス・ディノ「……そうだな……(全域に通信を入れ)協力、感謝する。これから戦闘後の事後処理を順序を追って行う。いいか…… 」
9S「………確かに、敵残存反応は感知されません…っ…。たった数分の合間に、僕たちが何時間もかけて苦戦を強いられたゼレオロスの大軍隊を一掃してしまうなんて…っ……!(高台より俯瞰できる位置に佇み、バイザーを通じて王国一帯を眺めるが、無反応なインターフェイスに思わず息を呑んだ) 」
ティネル「 ス タ ン ッ … ――――(鉄巨神のコアから抜け落ちてアレックスのもとへと華麗に着地する)……王宮神殿隣に我らの臨時対策本部を設立している。そこへ各団長、副団長を招集しろ。(アレックスに伝達しながら彼を横切っていく) 」
ティネル「 第0調査兵団各自へ通達。至急臨時対策本部へ結集せよ。これより、各団団長、副団長と今後の方針を固める。(耳元のインカムに手を当てる) 」
アレックス・ディノ「了解(装甲の装着を解きながら、ティネルに頷きと敬礼と共にそう返す)……アイツ……いや、気のせいか(第0の内の一人を横目で見て、少しだけ考え事をすると、すぐに行動に戻った) 」
サナトリー「…シュー……シュー……(ペストマスクの内側で浅い呼吸音が静かに繰り返されていたが、ティネルからの伝令を受けたその直後―――)――― プ シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ … !(マスク着脱ハッチが展開されたことでその間隙から白い蒸気が勢い良く噴き出す。そして、その素顔を晒し出す…)……分かった。すぐに向かうわ。(扇状に広がる銀の長い髪を揺らす童顔の女性が呟くように応答する) 」
加賀「(パワードスーツ・ZERO-FighterBより)あれが噂の…(ポーカーフェイスを崩さずに) 」
アルベルト「(本部へ向かう道中、幾人かの団員とすれ違う。その最中、眼球だけが背を追い)………。(過大評価・過小評価……といったところか。ポテンシャルだけでいえば本隊に匹敵する個体は存在する。寄せ集め故の人選ミス、組織構成としての欠陥とも取れる)些末なこと、か… 」
コンラード「(目を覚ますと自分はタンカで運ばれていた。絶対説明、覆すことのできない劣勢。そういった豊胸の渦中にあった気がしたが……)(何が置きたのか)さーーーーーっぱりわからん…… 」
ポルナレフ「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ。戦いが始まったと思ったら、終わっていた……な、何を(中略) 頭がどうにかなりそうだった… 」
『狭間の者』「……あれ、何だ。終わってしまったな……やあ、よろしく(紅い花弁と共に集まりゆく団員達の前に現れ、速度に緩急をつけながら手を振る)第0の副団長だ。少しの間になると思うがよろしく頼むよ 」
10《 ディエス 》「……06《 ゾルガー 》、07《 セダム 》、08《 エヴァル 》。三人が一斉にやられてしまった。(腕を組んだまま僅かに俯く) 」
01《 アオン 》「………淋しいもんやなぁ。(気が付けば10ある内の7席が空席になっている光景にため息交じりの小言を漏らす) 」
02《 シュナイム 》「大丈夫よ、十(ツナシ)ちゃん!寂しかったら、アテクシがいつまでも傍にいてあげるからねぇん♪ん~~~まっ❤(10へ投げキッスを送る) 」
10《 ディエス 》「……そうだな。レギュレイターの総本山となり得る第0調査兵団もようやく動き出した。ここからは…02《 シュナイム 》、お前の"権能"が頼りだ。…できるな? 」
02《 シュナイム 》「うふっ❤いよいよアテクシの出番のようね。いいわ!アテクシ、いつでも覚悟はできてよぉ~ん! 」
01《 アオン 》「……相手さんは強豪や。レギュレイターのバックに世界政府がいたことを失念しとったのがあかんかったなぁ…。それに比べてウチらはもう三人だけになってもうた。このままやと勝ち目はあらへん。せやからこそ、相手が多いほど真価を発揮する…二(シタナガ)姉はんの腕の見せ所っちゅーわけやな。 」
10《 ディエス 》「組織とは、たとえそれが強大なものになろうとも、"要"を落としてしまえば脆く崩れるものだ。この作戦で、"レギュレイターは間違いなく崩壊する"だろう。これを機に、『協力者』たちにも全面的に動いていただく。これ以上の失態を、『 巨門 』様に見せるわけにはいかない。 」
02《 シュナイム 》「任せて、十(ツナシ)ちゃん。み~~~~~んな、アテクシの虜にして…あ・げ・る❤ 」
10《 ディエス 》「待て、
01《 アオン 》。お前はまず、その「左腕」の埋め合わせをする必要がある。作戦に加わるのは、手術を終えてからだ。 」
01《 アオン 》「………あー……(「そういえば…」と視線を自身の左腕に向ける。マリマロン・アトラスでの
エドガーとの戦闘で喪失したことで片腕のみとなっている。不死身であるが故に痛覚がないため、そのことすら忘れかけていた)……それもそうやな。うっかりしとったわ。ほんならお言葉に甘えてそうさせてもらうわ。 」
10《 ディエス 》「……お前たちを"二度も"失うわけにはいかない。不死身とは言えど、不利な状況になれば直ちに撤退しろ。いいな? 」
01《 アオン 》「………それも――――――(脳裏に過る、生前の記憶)――――― そうやなぁ……肝に銘じとくわ。(ひらひらと片腕を振りながら暗がりの奥へと歩き去った) 」
― レギュレイター本部・開発ラボ ―
ラタリア「 タ タ タ タ タ タ (第3調査兵団事務所に備えた自身のラボよりも広く、施設が整った大きなラボにて、巨大モニターを前にコンソールを異常な速度で操作しながら開発作業に傾注していた―――)――― アーマーマテリアル構築20%経過。接続コアの製造を同時進行で開始。フェーズ1へシフト。耐久・耐熱チェックの確認も抜かりなく行うら。兵装発動時における余情熱の反動で装着者への負荷がかかりすぎると大問題ら。 」
研究員『 了解です。 博士、たった今プラリーニ王国より膨大なエーテル源が提供されました。至急、コアボックスへの装填を開始します。 各団長の戦闘データ抽出完了です。フェーズ3時の同期に間に合います。 製造工程異常なし。およそ28分後に50%到達見込み。(ラボ内ではその他にも多くの研究員が慌ただしく各々の作業に当たっている)』
ラタリア「うむっ。そのまま作業を続けて。はk…私は「ウォッチ」の最終調整に入るら。(そう言うと白衣を靡かせながら踵を返し、自動ドアを介してラボに隣接している狭い開発室へと歩を進める) ピ、ピ、ピ、ピ…(開発室への入室認証キーを押して部屋へと入っていく) 」
ラタリア「(今頃はウェスター王国でみんな任務に当たっている…「第0」が動き出したとはいえ、何が起こるかわかったもんじゃない。今の私にできること、目前の開発に最善を尽くすことら…――――)――――?(悶々と思考しながらデスクへと歩み寄ったその時、ふと何かの違和感を過った) 」
ラタリア「―――――!?(『ウォッチ』が…ない……っ!?)(デスクの上に整頓した状態で設置していたはずの、幾つかの『プロトユナイタルウォッチ』。それが完全に行方をくらましている事実に目を見張り、慌てて乱雑にデスクの上を漁る――書類や作業道具をデスクから振り落としながら――も見つからない)……なんで…っ……??博士以外入室不可のはず…誰かが持ち出すなんてことは………!(それ以降もバタバタと音を立てながら捜索する) 」
ノイン「――――――――(薄暗い開発室の天井裏――予めくり貫かれたであろう天井の隙間の向こうから、慌ただしくモノを探すラタリアを俯瞰している。その手には…―――― 一本の鎖で繋がれた『5つのウォッチ』が握られていた) 」
―― 第■兵団設立日 事務所 ――
――――名前・年齢・身長/体重・士官学校時の成績・所属、
それらが詳細に記載されたプレートを両手に持ち、
パイプ椅子に腰掛けた青年はカメラをじっと、真っ直ぐに見つめる。
その目に映るのは無機質なレンズではなく、そして平和でもなく、
"輝かしい未来/勲章"だった。青年は饒舌に語る
■■■「■■■・■■■、
ケイオス東部生活企画7在住。
政府軍直轄士官学校司令兵科首席。本プロジェクトへの参加動機は、予てより存在が忌避される■■■■に隣接する五大国にて発生した不明災害の解決へ貢献し、国際秩序維持へ貢献する為であります。 」
(…………。■■■■■が団長……?クソ、ハズレを引いたか。あの人は世界政府加盟国共通軍事防衛規定の改定に反対の意を…… こんな及び腰な人が団長? 大丈夫なのか? レギュレイター……) 」
■■■「第10への正式な入団受理に感謝致します。何者をも恐れず、何者にも屈しず、心血を捧げる所存です。 ……。…………。
―― ラステルム襲撃より2日経過・第■兵団 食堂 ――
身体測定によると体重が3kg減少、血圧の上昇や左聴覚への異常。
新兵で頻繁に確認される心因性の症状と診断された、……らしい。
何かが自分の中でズレている違和感こそあるが、パーツの一つや二つが欠損しても歯車は回っている。
スープに写る自分の顔は痩せこけて、シワが増えたような気がするが、泣き言は言っていられない。
『
セイン団長が殉職したって……』
『あの人の試合見たことあるよ!何かの間違いなんじゃないの?』
『俺スポッターなんだけど、何回撃たれても死なない兵士とかいたよ。どうなっちまうんだ……』
『正式発表あったってば!セイン・マーカスは殉職!もう終わりだレギュレイター!!』
『だいたいガジェットを支給されたからって……装備は充実してても団長に大尉が着くようじゃさ……』
『二等兵止まりが偉そうにこいてるんじゃねぇよッ!!』
―――――揺れるな、揺れるな、揺れるな。
何のために10の団が結成されたと思ってるんだ。
自分達を何だと思ってるんだ。たかが組織を構成する一要素が、要素ですらないのに、どうして一個軍隊の将来を語れる。
うんざりだ、あの日の自分の嗚咽が言葉を得て木霊している
『うわアライグマだ!アライグマが来たぞ高級食材は隠せ!!』
『うわー!ラスカルだ!最終回に近い方のッ!!』
『おーっすロナ。お前そんな大飯喰らいだったっけ……?』
『あーだめですだめですつまみ食いしないでください!
レイカさんの分です! 病棟まで急いでウーバーするんですーっ!』
ブチッ
■■■「 お"前"さ"ァ"!!状況わ"かッッってんンのかよッ!!? もう戦争なんだよ、ここで命貼らねえと大勢が迷惑すんだよッ!! 放っておけよッ!!んな……くっだらねェ事で、……社会じゃ当たり前なんだよそんなことは、普通にあるんだよッ!!んなことで病んでるクソ女にかまけてるんじゃねえよ!!お前みたいな実力ある奴がさァ!! 」
『……え? え?』
『なんだどうした、喧嘩かー?』『クック副団長呼んでこいって』『どうしたんだ■■■ー!お前ベソかいてた身の上でよーっ』『は?マジ?入団前あんなでかい面してて??は???』『はーっ、チキン野郎がよ……あいつと組むと弾除けにされるんじゃね?』』
―――――" うんざりだ/ ゆるしてくれ "、入団してからずっとそうだ。
ここには理想の自分の写し鏡と、今の自分の写し鏡が四方八方に張り巡らされている。
理想を捨てさせないくせして、お前はそれを持てないと突きつけてくる。
何より―――――
『よくきてくれた、訓練中すまないね。用は?何って……そう、定期カウンセリングだよ。ん?ああ、"全員"やっているとも。 あー……そういえば私はあまり君と対話した事がなかったかもしれんな。ということは私の自家製パンケーキをご存知ない? 』
『何か話題は…… うん?なんだって? "世界政府加盟国共通軍事防衛規定の改定に反対"した件について? うむ……こういう場に相応しい話題じゃぁ……ないんじゃぁー……ないかな?うむ……まあどうしてもと言うなら話すがそれなりに長いよ? 構わない、ああそう。スゥー…… こんな身分で言うのは矛盾しているかもしれんが、そんな考えだからこそ"レギュレイター"という特殊な現場に身を置いたとも言えるね。今となっては、せんなきことだが…… 』
『 戦争なんて 起こってっほしくなかったんだよ 』
―――――――――― 最低だ。 この人は、最低の国賊だ。
―――――
セイン団長に引き続き、第7の
エクレイル団長が殉職、名誉の死を遂げた。( よくやった / 犬死にだ )
第四ではマルガレーテ副団長が生物兵器へ改造された上、ラステルム王国や同兵団に壊滅的被害をもたらした。(無惨な最期だ / 死んでまで戦犯になるな)。
その際の心身の傷が癒えないのか、片桐団長は政府赤十字病院へ入院。戦線を離脱。(部下を失って悲しめる人なのだろう / 軍人にあるまじき怠慢だ)。
第2の副団長は疾走( 安否が気がかりだ / 逃げたんだろう )。
自分は(俺は)。何ができるだろう(よくやってる)。
『第4は事実上解体だそうだ』
『勝てるのか?我々は』
『勝つかどうかじゃないだろ元々、反復が解決すれば俺達は約除、解散だろ。それまでなんとか生き延びよう』『なんだよ、それ……』
『言い返せるか? じゃあ何ができるよ、第0に編入されるような一兵卒になるか』
『あー、それはないな。あそこは各ポストに一人だ』
『なんだよ……本当、俺達なんだったんだよ……』
―― ウェスター王国襲撃当日・アサルト、及びゼレオロイド迎撃了。 そして現在……
■■■「 お " ゴ ポ ェ" ェ"ェ"ェ" エ"ッッ 工" ゲ ェ" ェ" ェ" ッッ ッ !!!! ……はッ はッ ……!!!!! 」
――――走馬灯のように今までの言葉、声、資格情報が流れては吐瀉物と共に水洗トイレに投棄される。
流せども流せども尽きることはない。
それどころか、アサルトの一人に溶かされた残骸が重なって映り、
そして吐き散らかしては恐怖の嗚咽を飲み込み、その代謝として物理的に吐き散らかす。
その繰り返し もう何が本音なのかわからない わからない
誰が教えてくれても肯定と否定が交じる、そして吐いて等しく混ざって消える。繰り返し
"人間"として限界だった。
まだ機械兵や改造兵士を導入するゼレオロスの方が温情だ。
人間のままで来ていい場所じゃない。 / 諦めるな、ここでくじけている場合じゃない。
日課をこなせ、実践がないなら訓練をし、
いつ襲撃があっても備えられるよう務める。平和のため、秩序のため準じろ
『 君…… おーい…… ああそうだ、君だよ君…… 君、大丈夫かい。いや答なくても良い大丈夫じゃないな。』
『 ほら顔拭きなよ。 ああ、そう。まあそう言うなら構わないよ。 じゃあその言葉を信じよう、信じるついでに大丈夫と仮定して頼み事があってね。 ああそう、他ならぬ君にだよ、 ■■■二等兵。 』
『丁度いい、このトイレには今我々しかいない。 ほら端末、あとイヤホン。左耳の調子が悪い?ならこっちでいい どうか、声を出さずに』
―――――突然自分を訪ねてきたその人物はおもむろに"個人用"のスマートフォンを握らせた。
画面には動画ファイルの再生ボタンが。
抵抗や質問する間もなく、促されるまま指は真実の戸をノックした
コンラード『 私だ ブツッ ジジジジ ゼレオロス帝国から ブツッ ああ、この協定が通れば ブツッ そうだ、苦戦を強いられる。 ジジジジジ 既に大勢の犠牲が出ている……! ジッッ ああ、止める為ならなんでもする……!』
映像には彼が所有する第10の食料庫、その端で端末を耳に押し当て、
周囲を警戒しつつ息を潜め会話をする様子が映っていた。
ゼレオロス帝国問言葉以降、途切れ途切れではあったが……どこか……
彼等に対し友好であるように感ぜられた
コンラード『 ああ!全面的に協力する! だから ジッ 私は! ジジッッ 助けてくれ!! 』
■■■「 . 」
『時間がない、いいか、ここで君は一切、誰とも会話しなかった。レギュレイターを経由して五大国を、
ケイオス全土を進行の足がかりにしようとしている。コンラード・ボルトーレはレギュレイターへ所属する前からどこか、世界政府に対し猜疑的な思想が垣間見えていたと君なら感じていただろう。 それは間違いではない』
『世界政府本部から第0が派兵された理由は単なる戦力増強ではない。既にレギュレイターの中枢は
ゼレオロス帝国にとっての、五大国前線拠点と成り果てている。 しかし現場へ合流したばかりの第0のみでは、事の全貌を把握するのに時間がかかり過ぎる……ティネル総団長は極秘裏に、協力者として君を指名した。』
■■■「 私に 」
勇気を示せ . 勇気を示せ
ナガタ「 私に、何が求められているのですか……? 」
今こそ、何かを捨てなければ……この世界を守れない
― ロクスベルク・謎の研究施設 ―
そこは、既に電力が落とされた暗がりの研究施設。
並列されたデスクの上にはブラックアウトしたパソコンや得体の知れない装置が置かれ、
タイル床には筒状のイスや何らかの残骸が散乱している。
天井に設置された筒電球は罅割れ、そこに空いた穴からケーブルがむき出しになっている。
長く閉ざされていたのだろう。何処か埃臭い香りが漂っている。
嵐千砂都「………まさか、峡谷にこんな施設が隠されていたなんて…(
ルクエスの後に続いて踏み込んだ未知の空間。辺りを左右に見渡すが、ここが何のために存在している場所なのか、全く見当もつかないとただただ茫然としていた) 」
ルクエス「……ここは、ゼレオロスが地上の五体国を監視する名目で設けた極秘施設…言うなれば、奴らの隠れ蓑ダ。「ボクたち」は便宜上、『 Zラボ 』と呼んでいるけどネ。当然、ラボはここだけじゃなイ。五大国の各所…このアルガンドーラの至る箇所に点在していル。ここを含め、その幾つかは既に押さえてあル。(その辺に転倒している椅子を足のみで器用に立たせるとそこに座り込んだ) 」
嵐千砂都「…帝国の、秘密基地《 ラボ 》……そんなものがあるなんて、聞いたことない…!(今までの団長会議でそのような話題に上がった記憶は、自分の中にはない) 」
ルクエス「それも当然サ。何故なら「ラボ」の存在は、第9のごく一部の人間と、「渋谷かのん」の小数しか知らないからネ。だからこのことは、レギュレイターはおろか、世界政府も、五大国の王権者たちも把握していないんダ。 」
嵐千砂都「……!かのんちゃん"も"……?待って、どういうことなの…?そんな、誰も知らないようなことを、なんでかのんちゃんや貴方たちだけしか把握していないの…!?ここは一体何なの…!?(食い入るようにルクエスを睨む) 」
ルクエス「言ったじゃないカ。ここは帝国が五大国の情勢を至近距離で把握するために設けた、監視が名目の施設だっテ。キミたちもご存知の通り、ゼレオロスは数十年も昔から、五大国が生み出した「エーテル
ベール」によって完全包囲されていル。これにより、帝国は"地上から"他国へ干渉することは不可能となっタ。だけど近年、帝国はその包囲網を潜り他国への侵攻を再開しタ。 」
ルクエス「 この「Zラボ」は、そのエーテルベールが張り巡らされるよりも以前から各所に設けられていタ。やがて、帝国がその包囲網の「抜け口」を造り出して以来、五大国各地にもラボの数は急増していっタ。帝国はラボを介して情勢を把握し、虎視眈々と侵攻の機会を伺っていたんダ。 」
ルクエス「だがラボの役目は監視だけ時にはと留まらなイ。見ての通り、ここでは帝国本土でも行われている様々な兵器開発や研究が同時並行で行われていタ。五大国が持つ魔素を取り入れた実験モ。帝国はずっと、自分たちにはなくて、だけど五大国のみが持っている魔力を危惧していたからネ。そういった研究は、監視と並行することでより効率化するものダ。 」
ルクエス「当然、帝国もラボの存在が公になることがないよう、徹底的なカモフラージュを施していタ。その一つに挙げられるのが――― 「怪音波」による連絡手段だっタ。この音波は、アルガンドーラに漂う魔素を、そしてそれにより構築されたエーテルベールを貫通するだけじゃなく、従来の盗聴器さえもすり抜けル。ゼレオロスが独自に編み出した特殊電波ってとコ。帝国はこの怪音波を介してラボ間や本土と連絡を取り合い、各自で知り得た情報の交換を行っていタ。その記録がラボに残っていたことから判明した事実だヨ。」
ルクエス「だけど…この怪音波を特定すること、即ちラボの居場所を突き止めることは至難を極めるものだっタ。この音波を特定する手段は、残念ながら現在の世界政府の科学力でも解明には時間がかかるものとされているし、事実未だに解明されちゃいなイ。これもゼレオロスが誇るテクノロジーによって生み出されたものだとすれば納得がいくものだガ。」
ルクエス「最初にボクたち第9がラボを突き止めたのは、半年以上も前のことサ。当時は別の手法…それも随分気の遠くなるような回りくどい方法だったが、長い時間を経てようやく最初のラボを突き止めタ。他にラボの存在があることを察したが、奴らは、万が一ラボが特定された時の為に、データベースの発信源の位置情報をその都度完全消去していタ。これにより、ログは残っていても、その連絡が何処から飛んできたのかを把握することはできなかっタ。」
ルクエス「そんな時ダ。ウチの団員に耳が良すぎる娘がいてネ。何やら歪なノイズのような音がラボから発信されていると訴えタ。ここで気づいタ。その奇妙な「音波」を解明すれば、或いは、"同じ波長を放つ建物や場所"を把握すれば、そこが「Zラボ」である可能が大いにある、とネ。」
ルクエス「先ほども言った通り、前者の音波を解明することはかなりの時間を有することになル。だから、ウチの団員よりも更に鋭敏な聴力を持つ人間…つまり、「絶対音感を持つ天才」が必要だと判断しタ。 」
嵐千砂都「――――!それって、まさか……! 」
ルクエス「そうサ…その天賦の才を持つ人間こそが、『 渋谷かのん 』だったんダ―――――― 」
~回想~
渋谷かのん「――――……私が…第9調査兵団と…?(何処かの一室にて、驚いたように目を丸くしていた) 」
ルクエス「正確にはレギュレイターとしてじゃなく、「一個人」としてキミにお願いしたいんだヨ。このことは、他の団長はおろか本部にも話していない機密事項だからネ。(デスクに両肘を立てながら、その眼前に佇む彼女の表情を静かに覗き込んでいた) 」
渋谷かのん「あの、待ってください…っ。協力するのはいいんですが、そういうことはウチの団長の許可が下りないと…私だけで動くのは……(その提案に言い淀む) 」
ルクエス「あの筋肉達磨にはボクの方から適当に言っておくヨ。ああいう適当な人間には適当なことを言えば適当な解答が返ってくるのは明白だからネ。それに、キミが第2の副団長として団員たちからその団長以上の信頼を得ていることも把握しているが、別に構いやしないだろウ。幼馴染にお友達にでも頼んで代行してもらえばいイ。 」
渋谷かのん「……(ちぃちゃん……)(幼馴染の少女の顔が脳裏に過る)……でも……っ…… 」
ルクエス「 渋谷かのん――― これはキミにしかできないことダ。キミが協力してくれさえすれば、終着点の見えないこの事件の核心に触れることができるはずなんダ。生まれ持ったその才能を生かす時ダ。その力で、より多くの人間の未来を安息に導くことができるかもしれないんだヨ。薄々、その未来を憂いていたんだろウ?(人心を見透かすような悪戯な眼差しでかのんの瞳を覗き見る) 」
渋谷かのん「っ―――――(この得体の知れない青年/少女のいう通りだった。人々を、仲間を、家族を、大事な人たちを守るためにレギュレイターに所属し、その職務を今日まで全うしてきた。自分にできることは全力を尽くして当りたい。だが、もしも、自分に"しか"できないことがあるというのなら?それで望んだ未来が確約されるのなら?躊躇うことなんて、はじめからないはずだ―――――) 」
渋谷かのん「…………わかりました。私にしかできないことなら…それで、みんなを救えるというのなら…… 」
ルクエス「(その返答に、口角が高く吊り上がった)……契約成立だネ。よろしくネ、渋谷かのん。もう一度言っておくが、この件に関しては口外無用ダ。これからキミには組織から逸脱した極秘任務を強いることになル。だが安心してくれていイ。バックには諜報機関員のボクがついていル。万が一の事態になれば不都合が起きないよう取り持つことはできル。だから「オトモダチ」にこのことが知られることはなイ。キミも、悟られないよう精々頑張りたまえヨ。」
渋谷かのん「………了解、です…。 」
唐可可「フゥーーー♪本日の任務完了デ~~ス!さぁーって帰ってアイドルの生ライブ見るデース! 」
平安名すみれ「ちょっとー!その前に報告書が先でしょー!こら、可可!待ちなさいったら待ちなさいよー! 」
葉月恋「ふふ、そうですね。頑張って終わらせちゃいましょうか。(早く帰ってゲームしたいゲームしたいゲームしたい…)(両手の指をワキワキしながら帰宅後に何のゲームをしようか無意識に想像している) 」
嵐千砂都「オッケー!じゃあ事務所向かおっかー!かのんちゃんは確か「団長会議がある」んだったよね…?報告書は私たちに任せて、行っておいで! 」
渋谷かのん「う、うん…!助かるよ…!いつもありがとね、ちぃちゃん。(ぎこちない笑みを零す)そ、それじゃあみんな、またあとで…!(いそいそとその場を立ち去っていく) 」
マルガレーテ「 ♪~ (ちょうどかのんが立ち去った直後、彼女と入れ替わるようにその場に現れる。MP3で音楽を視聴しているのだろう。歩きながらその音色に酔いしれていた) 」
嵐千砂都「……?あれ…?マルガレーテちゃんだ!うぃっすー!(かのんを見送って振り返ると、そこにいたマルガレーテへ陽気に挨拶する)ずいぶんのんびりしているね!マルガレーテちゃんもこれから団長会議なんでしょ…? 」
マルガレーテ「……?(千砂都の挨拶に気づき、音楽鑑賞の邪魔をされたことで不服そうにイヤホンを外す)はぁ…?私今日非番なんだけど…?それに、"今日は会議の招集なんて受けてない"のだけど……??(怪訝そうに首を傾げる) 」
嵐千砂都「―――――???(マルガレーテからの意外な返答に目をぱちくりさせた。彼女に限ってスケジュールを漏らすことも、ましてや冗談を抜かすことなど絶対にありえない。そこから編み出されるのは……)……ぇ……?(もう一度、かのんが立ち去った方角へ振り返る。彼女はもういない) 」
嵐千砂都「――――……そういえばかのんちゃん、ある時を境に…任務が終わった後はいつも一人どこかへ出かけることが頻繁にあった……。あま理由を問い詰めるのもよくないなと思って、ずっと見放してたけど…。気になって後を付けたこともあったけど、その度に悉くいろんな人に呼び止められたり妨害されたりもして……今思い返せば、偶然にしては出来過ぎてた気がする……ま、まさか……っ…(
ルクエスの方へ振り返る)」
ルクエス「ボクが施した「妨害工作」にしてはよくできていただろウ?(悪戯な笑みをにんまりと浮かべる)……そう、渋谷かのんは時間を見つけてはラボの捜索任務に向かっていタ。時間外労働を強いらせたのは悪かったと思っているヨ。だけど読み通りだったタ。渋谷かのんはよくやってくれタ。彼女は怪音波を、その同じ波長を一瞬で聴き取り、次々とラボを特定しタ。そこにいた帝国の回し者たちも捕えてくれたが、結局全員自害してしまっタ。だからそうして虱潰しにラボの一つ一つを押さえ、施設内部に隠された資料やログデータを参照して、ゼレオロスの素性を搔い摘むことに成功したんダ。 」
ルクエス「―――― そして「ボクたち」は知っタ。帝国の壮大な計画を。その為の手段を。奴らを妨害するエーテルベールの抜け道を。機械生命体の製造ラインを。ユナイタルウォッチを使用した新時代の兵器開発を。その全貌のすべてヲ。 」
嵐千砂都「……待ってください…!そもそも、機械生命体を繰り出していた大元の正体がゼレオロス帝国だと判明したのは、最近の話じゃないんですか…!?この間のラステルムの発電所襲撃事件で発覚した、あの…!それなのに、ルクエス団長のその口ぶりだと……あの事件が起こる前から、既に―――― 」
ルクエス「―――― うん、知ってタ (けろりと、屈託のない笑顔で、応える) 悪いけどね、「ボクたち」は半年以上も前から帝国の同行は把握していたんダ。だからみんなの前では知らないふりをしていたヨ。団長会議でもみんなが五里霧中に討論しているのを傍目に、密かに面白おかしく見物を決め込んでたシ。「この人たちはどうやって真理に到達するのだろうカ?」…そんな風に思いながら、ネ。(帽子の内側でクククと嗤っている) 」
嵐千砂都「……なんで……なんで、そんなことを…っ…!!そんな大事な事実を知りながら、ずっと黙っていたんですか…っ!ゼレオロスのことも…かのんちゃんのことも…!なんで…ッ…!?(憤りの形相で詰め寄ろうとするが―――) 」
ルクエス「 ピ ッ ――――― (詰め寄ろうとする少女へシャフド角度で顎を突き出しながら、人差し指を突き付けて「静止」を促す) ……それが面白かったかラ。ていうのは冗談デ。実際のところは、公にできない理由があったからだヨ。キミたちはこれまでの戦いで不思議に思わなかったかイ?ゼレオロスの行動力ヲ。まるでボクらレギュレイターの行動を先読みしたかのような動きヲ。その優れた予測力ヲ。答えはいたってシンプルサ…――― 」
ルクエス「 "レギュレイター内部に、既にゼレオロス帝国の『内通者』が潜んでたからダ " 」
嵐千砂都「―――――――!(まさか、そんなバカな話が…と、信じられないように相貌を泳がせながら、詰め寄った分の歩幅を退いていく) 」
ルクエス「だから知り得た情報の一切を公開しなかっタ。もしもそんなことをすれば事態は更なる混乱を招くことになル。『内通者』も帝国も何をしでかすかわからなイ。これまで行ってきたこと以上の過激的な手段に乗り出すことだろウ。そうなれば…"渋谷かのんの功績を無駄にすることになル"。キミだって、それを望んじゃいないだろウ? 」
嵐千砂都「……っ……!(かのんちゃん……かのんちゃんは、私たちの知らないところで、たった一人で………)(彼女のことを想うと、爆発寸前の感情も抑制されてしまう) 」
ルクエス「深淵の底に隠された「真実」とはいつか照らされることになル。だが、それを知るにも時と場合というものがあるんだヨ。当時のレギュレイターが知るには、まだ早かっタ。 」
ルクエス「―――― 「渋谷かのん」は、"知りすぎた"んダ。 その結果…彼女は『内通者』を、裏切り者が誰なのか、ラボから収集した幾つかのデータを照合したことで大方気付いてしまったようダ。その『人物』にコンタクトを取った結果… 」
ルクエス「 翌日、彼女は"図られたように抹消されタ"。それが、『ロクスベルク事件』の発端なんダ。 」
嵐千砂都「―――――――― 」
―――― " ちぃちゃんは、私が守るから " ――――
かのんちゃん……どうして…っ……
私、そんなことをしてまで守ってほしくなかった……
だってかのんちゃんが、私の「すべて」だったから
かのんちゃんがいないと、私、何もできなくて……
いってほしくなかった 置いてけぼりにしてほしくなかった
嵐千砂都「―――――………
ルクエス団長。(項垂れたままの態勢で呟くように言の葉を零す) 」
嵐千砂都「……正直な気持ち、私は貴方を許しません。今すぐにでもその喉を搔っ切ってやりたいと思ってます。理由がどうであれ、本当のことを黙っていたことも…かのんちゃん一人に無理強いをさせたことも。でも、かのんちゃんはそんな貴方の言葉を信じて一人で戦い続けた。そのお陰で、私たちが生かされているのもまた事実だと知りました。だから私は、そんなかのんちゃんの気持ちを尊重したい。 」
嵐千砂都「……本当は、わからないことばかりだった…。かのんちゃんがいなくなって、仲間のみんなと散り散りになって、そしてマルガレーテちゃんも逝ってしまって… それが、ゼレオロスやレギュレイターの組織間のいざこざに巻き込まれてしまった末路なら……私は、誰を信じればいいのかわかんない。どの道私には帰る場所なんてもうどこにもない。私からすればみんながみんな「敵」に見えてしょうがないの。 」
嵐千砂都「そんな私にできることがあるとするなら…―――― かのんちゃんが成し遂げられなかったことを、その無念を晴らすこと。ようやく、その答えが見えてきた気がするんだ……!(その言葉とは裏腹に、眼差しの方向は定まっていない。それぞれの眼球が、相反するように上下左右に蠢いている) 」
嵐千砂都「……教えてよ、
ルクエス団長。かのんちゃんを殺ったのが誰なのか? 誰なの? 誰? だぁれ? (一歩、また一歩と詰め寄っていく) 」
ルクエス「(……いい目になってきたネェ…嵐千砂都。これも、報告に上がっていたウィーン・マルガレーテの「歌」の影響によるものなら……ククッ、キミもまた、渋谷かのんのように"使える"ナ――――)――― ウェスター王国。ゼレオロス帝国が次に攻め入る場所ダ。大規模な戦いになル。そこに『関係者』はみんな集結すル。望むなら、一人残らず切り捨ててしまえばいイ。(そう言うとピントが定まらない彼女の視線を、別の場所へと促すように顎を動かす) 」
ルクエスが促した先には、このラボで製造されていたものと思われる、
幾つものケーブルに接続された黒い「装着式ドライバー」と、
それに装填するものと思われる「刀を模したデザインのバックル」が設置された謎の装置だった――――
ルクエス「……「アレ」はゼレオロスが過去に製造していた新世代のライダーシステム…という奴みたいダ。兵士に装着させることで大きな潜在能力を引き出させようとしていたみたいだけど…プロジェクトは失敗。装着者は次々と自我が暴走し、息絶えてしまったとカ。そんな時、かの「イーティス・センシオン」が開発した『ユナイタルウォッチ』に路線をシフト。プロトタイプの「プロトユナイタルウォッチ」の開発計画に異動したらしイ。」
ルクエス「つまり「アレ」はゼレオロスが遺した旧型の戦闘機構。あのユナイタルにも対抗出来得る力が、それに眠っていると言えル。ただし、一度使えば自我が保てるかどうかは保証しないヨ。(そう言うと腰かけていた椅子から立ち上がり出入り口へと向かう) 」
ルクエス「渋谷かのんに纏わる真相はすべて話したつもりダ。彼女の無念を晴らすも、その後を追うのも好きにするといいサ。キミをここに手招いた理由はただ一つ… 全てを掻き乱してくれさえばいイ。混乱に混乱を招けば、必ず事態は加速していク。ようやく、レギュレイターもゼレオロスも、誰も彼もが"すべてを知る時"がすぐそこまで迫ってきているんダ…!(バッと両腕を広げながら愉快気に口角を上げる) 」
ルクエス「 嵐千砂都 キミはその力を、どう使ウ――――? (不敵な笑みを残して、その施設を後にした―――) 」
嵐千砂都「……決まっているよ。(一人取り残された空間で、少女はその装置へと歩み寄っていく) 」
嵐千砂都「 私が欲(のぞ)んでいるのは初めから…―――――― ブ チ ィ ッ (ケーブルに接続されたドライバーとバックルに手を伸ばし、引き千切るように手繰り寄せた) 」
―――― " ちぃちゃん…♪ " ――――
嵐千砂都「 " こ れ " し か な い ん だ 」
― ラステルム王国・平和記念公園・墓地 ―
幾つもの墓標が並べ立てられている中の一つ……
「Wien Margarete」と名が刻まれた墓標の前で合掌している
ヒロ「………何気に初だな、ここに来るのは…………"あの日"、果たして君に何があったのか…そして君をあんな風にしたゼレオロスの連中、その目的は……… 」
ヒロ「………あの時、俺には何ができただろうか(ふと呟く)すでに手遅れで………何もできなかったかもしれない。 」
鬼塚冬毬「…………!(墓標に訪れたところ、先客のヒロを見て足を止める)偶然、ですね。まさか…あなたもですか。 」
ヒロ「…つい最近のお供物があると思ったら………やはり君だったか(冬毬を見て) 」
鬼塚冬毬「はい。マルガレーテの様子は時折チェックしています。(墓前に花を供える)姉者達も時々来ているみたいです。 」
ヒロ「夏美ちゃんたちもか……そういえば彼女たち、何かと張り合ってたか………(立ち上がる) 」
鬼塚冬毬「主に姉者の動画活動よりも、マルガレーテの方が目立つと言う理由ですけれども。噂に聞いたところだと先日路地裏でストレンジな巨大ベイビーが居たとか… 」
ヒロ「……らしいな。詳しくは知らないが………なんだったんだろあれ。 」
ヒロ「…(メイちゃんもなんか言い淀んでたから…ろくなことではないのは確かだけど。) 」
鬼塚冬毬「……まぁ、それはどうでもいいことで。(なんやそれ) 」
ヒロ「(なんやそれ) 」
鬼塚冬毬「…そういえば、ヒロさん………聞いたところによればマルガレーテの最期の時に居合わせていたと言うことですが… 」
ヒロ「………っ(冬毬の言葉を聞き)……誰かから聞いたのか…その通りだ。だが既にあの時彼女は…… 」
ヒロ「……………(その先が出てこない。なぜならあの時見た彼女の姿は……)……既に、手の施しようがない状況だった………!(その中でも精一杯言葉を絞り出した) 」
鬼塚冬毬「…………(ヒロの様子を見て)彼女の状況については少しは聞いています。その中であなたが悔やんでいるのは……… 」
ヒロ「……あんなことになる前に、どうにかできなかったか……と言うことだ。彼女は死の間際も、かのんちゃんの名前を呼んでいた。生前もずっとかのんちゃんに対して尊敬に近いものを抱いていた彼女だったからこそ………おそらく、かのんちゃんの事で何かあったのかもしれない… 」
鬼塚冬毬「………かのん先輩………おそらくですが、かのん先輩の何らかの情報に釣られたのではないでしょうか。真偽は別として、かのん先輩に関する情報とあらばきっとマルガレーテは動くでしょう。 」
ヒロ「…いくら普段冷静なマルガレーテちゃんでも…その名前を出されては……ということだな。……何を言ってもダメだったかもしれないな… 」
鬼塚冬毬「それこそ…かのん先輩しか、彼女を止められるものはいなかった。……かのん先輩、マルガレーテ……私たちではどうにもできなかった。(墓前に向かって歩き出す)今、私たちにできることは…かのん先輩とマルガレーテの仇を取る。それだけです(言葉は淡々としているものの、合掌しているその手は若干震えているかのように見えた) 」
ヒロ「………(顔には出していないものの、悔しさはあるだろう。その怒り…良く伝わってくる…)………(冬毬の肩にそっと手を添える)その通り、だな…彼女たちが浮かばれるかは別として…な。 」
鬼塚冬毬「…………(合掌を終え、顔を上げる)……あまり軽々と触れないでいただきたいのですが(ヒロの手を掴み、肩から離す) 」
ヒロ「……っと、すまない。(冬毬に手を掴まれ)……さて、俺はそろそろ行くかな……(冬毬の肩から手を遠ざけ) 」
鬼塚冬毬「……千砂都先輩の捜索…ですか。 …無事を祈っています。あなたもいなくなれば姉者が……(ボソボソと 」
ヒロ「あぁ、まだ諦めてはいないから…な。………?なんか言ったか?(冬毬のボソボソと呟く声を聞いて) 」
鬼塚冬毬「……いえ、何も…忘れてください。(ふいっと目を逸らす)…日が暮れてしまいますよ。 」
ヒロ「…っと、そうだな。…君もあまり遅くならないようにな。(墓地を後にする) 」
― ウェスター王国・ゾーレ遺跡 ―
歴史を感じさせる幾つもの石柱が点在する遺構。
それらが広がる区域には人の気配など皆無であり、
ただ無機質な風が乾いた大地を撫でて砂塵を微かに巻き上げている。
そんな場所へ―――
ヒロ「はぁ、はぁ…!もう、戦いが始まっている…急がないと……!(息を切らして駆け抜けている) 」
今、都市部では
ゼレオロス帝国が繰り出した精鋭部隊の本陣が本格的な侵攻を開始している。
レギュレイターはこれを阻止するために、今まさに攻防戦を繰り広げている。
レギュレイターの一員である彼もまた、現場へ馳せ参じようとしていたのだ。
そんな青年が見据えた先に、一つの人影があった。
その歩む先の方角から、目的はヒロと同じ都市部だろう。
徐々に足を速めて追いかけると、やがてその背中に既視感を覚えるのだった―――
嵐千砂都「――――――(背後から聞こえてくる走行の足音に気づいているのか否か、少女はただ流離い人のように石柱の路を歩き続けていた) 」
ヒロ「……!(砂塵に塗れた乾いた大地を踏みこみながら急停止し、前方を歩くその人物の名前を呼び叫んだ)――――― 「 ちぃちゃん 」…っ……!? 」
嵐千砂都「――――(青年に呼び止められてようやく歩みを止める。振り返り、自らの名を呼ぶその者の姿をその赤い瞳に捉えた瞬間―――――) 」
嵐千砂都「―――――(目つきが、変わった。ハイライトを失った瞳は元の丸みなど欠けて、鋭く吊り上がっている。何より、瞳孔の奥に広がる深淵は地獄に囚われた亡者の如し。"陽"の輝きを持つヒロを視界に収めた時、少女は対となる"陰"な眼差しを浮かべて対立する) 」
ヒロ「はぁ……はぁ…!ちぃちゃん……!(よかった、と安堵したように胸を撫で下ろした)……心配してたんだ…君が、行方不明になったと聞いて… あの時…マルガレーテちゃんの事件が起きた翌日から……でも、よかった……無事で、本当に……!(千砂都の目つきの異変に気付くよりも、彼女の安否を知ったことで頭がいっぱいだった) 」
嵐千砂都「………………(肩で息をしながら語り出すヒロを前に、少女はただその場に佇んでいる。彼の言葉が耳に入っているのかどうかも怪しい、無反応な表情を保ったまま―――) 」
ヒロ「……今まで君がどこで何をしていたのか…気になるが、今は何も詮索するつもりはない。話したくないことだってあるだろう……でも、心配している後輩のあの娘たちが、今も君の帰りを待っている…!一緒に、帰ろう…!俺たちの元へ、さ……?(声を震わせながら、遠く離れた彼女へ優しく手を差し伸べる) 」
嵐千砂都「―――――― 「帰る」って、どこに? 」
ヒロ「…………………え……?(ようやく喋り出したかと思えば、予想だにしないその返答にきょとんとなる) 」
嵐千砂都「……知ってるでしょ。私にはもう、「帰る」場所なんてないってこと。もう…Liella!は"死んだ"んだ。みんな誰もあの頃へ戻ろうなんて気持ちは微塵もない。(抑揚のない無機質な声音を、冷徹に吐き捨てる) 」
ヒロ「……あ、あぁ……確かに…そうだった、な…(一度俯きかける、だがすぐに顔を上げる)…だから俺は、いや、あの娘たちも…そんな君を想って、君の帰る場所になれるようにいろいろ頑張ってきたんだ…!君の失った居場所の埋め合わせになれることなんて、そんな簡単なことじゃない。心苦しいことだから、言いづらいこともある。だけど…!君が「かのん」ちゃんを想っていたように、俺たちも君のことを慕っているんだ…!そんな君の、新しい居場所でありたいと―――― 」
嵐千砂都「……私の前で……――――― か の ん ち ゃ ん 《 そ の 名 》 を 気 や す く 呼 ぶ な ッ ! ! ! 」
少女の咆哮にも近い怒号の叫びが空間を振動させる。
空に浮かぶ雲は徐々にその面積を広げ、その青に陰りを与える―――
ヒロ「……!?…ちぃちゃん……っ……?(ようやく彼女の様子がただ事ではないと気づいたのか、その叫びに驚いて手足が微かに痺れるような感覚を覚える) 」
嵐千砂都「……君に何が解るの?事の真相なんて微塵も知らない部外者の君が…っ?そんな君に、私が…かのんちゃんが、救えるとでも…?本気で、そんな理想論が語れるの…?何様なわけ…ッ…?(徐々に唇を震わせていく) 」
嵐千砂都「…『あの一件』(ロクスベルク事件)から、全て狂ってしまった…そう思ってた… だけど違った。私たちが知るよりも以前から、事態は既に深刻化してたってこと。かのんちゃんの存在が、あまりにも大きすぎたってこと…ッ…! 」
嵐千砂都「幼馴染として、誰よりも知っているつもりだった。誰よりも近くにいるって、そう思っていた…!でも、私が思うより…かのんちゃんはずっと遠い遠い存在になっていった… あの子の知らない事実を知る度に、自分が抱えていた今迄の悩みや苦労なんて、霞むほどどうでも良かったことを思い知らされるんだ…ッ! 」
ヒロ「……「どうでもいい」…って……?(ぴくりと反応する)……それは、違う……!君は、解散したチームの為に誰よりも努力して、失った絆を取り戻そうと奔走していた…!そんな君の頑張りは、俺だってずっと見ていたんだ…!だからわかる…君がしてきたことが「どうでもよかった」なんてことはない…!(恋やすみれ、可可が、本当は心の何処かで今でも悔いているという事実を直接本人たちとの接触で知った自分だからこそ、強く言いだす) 」
嵐千砂都「 だから"どうでもいいんだよ"…そんなこと…ッ! 私も、チームのみんなも…かのんちゃんになにもかも頼り過ぎていた。それだけじゃない…レギュレイターがここまで存続できているのも、ぜんぶ!かのんちゃんのお陰なんだってことッ!!なのに…私も誰も、その事実を知る人はいない… 報われるべきだったあの子が、誰にも感謝されることなく消えて良いはずなんてなかった…ッ…! 」
嵐千砂都「だからマルガレーテちゃんも逝ってしまった。かのんちゃんの存在に生かされていた彼女も。そしてマルガレーテちゃんの死をきっかけに、徐々に綻びを見せてくる。やがてこの組織は滅ぶよ。かのんちゃんに守られてきたレギュレイターが……フ、フフ……でも滑稽、だよね…… あの子を殺したのは組織なのに、それがもうすぐ滅んじゃうと思うと……因果応報っていうの?ハハ、アハハハ……♪(腹を抱えて口の端が狂気的に吊り上がる) 」
ヒロ「……!?(もはや虚言にも近い支離滅裂な発言を理解できずただただ困惑する)…ま、待ってくれちぃちゃん…!君は……いったい、何を言っているんだ……?姿を消していた間に、何があったというんだ…!?かのんちゃんが…どうしたんだ…!俺たちレギュレイターと、何かあったっていうんだ…!? 」
嵐千砂都「……ねぇ、ヒロ君。「知る」ことは罪なんだよ。本当のことを知れば絶望して、でも知らなかったから後悔することもある。何も知らない、無知のままでいた方が幸せなことだってあるんだ。 」
―― " 「知る」ということは罪ダ。
知ることで絶望したり、知らなかったことで後悔したりすル。何も知らない方が幸せだということもあル " ――
嵐千砂都「だけどね…いつかはきっと「知る」ことになるんだ。目を閉じても、耳を塞いでも、この足で逃げようとしても…逃れようがない現実に、私たちは永遠に囚われて続けている。 」
―― " だけど「真実」とは、近づこうが離れようがいつかは向こうから迫るものなんだヨ。その現実は、逃れようがなイ " ――
嵐千砂都「この世界に"救い"なんてものはない。私にとってはかのんちゃんの存在だけが"救い"だったから。 でも、もうあの子はいない。いないんだ。だったら、もう終わらせるしかないよね…こんな世界。 カ シ ャ ――― \ DESIRE DRIVER /――― ン … ッ ! (懐より取り出した「デザイアドライバー」を腰へと装着) シ ャ キ ィ ン (続けざまに取り出した「ブジンソードレイズバックル」を、あたかも見せつけるように自らの横顔まで突きあげた) 」
ヒロ「(ちぃちゃん……何かが、おかしい…こんなのは、いつものあの子じゃない…!?)……!なんだ…それは…!?(千砂都が装着し、そして取り出した得体の知れない装置に目を見張る) 」
嵐千砂都「手に入れたんだよ、悪魔に魂を売ってね。これで何もかもを斬り捨ててる。かのんちゃんを死に追いやったこの世界のすべてを。そして、創りかえる。レギュレイターもゼレオロスも五大国もいない、すべてが「まあるく収まった世界」へ―――― シ ャ キ ィ ン (レイズバックルを二つに分断するように引っ張ると――――) 」
嵐千砂都「 カ シ ャ ――――― \ SET AVENGE / ――――― ン (分断したバックルをドライバーへと同時装填) 」
嵐千砂都「 ねぇ、ヒロ君。私の為にさ ―――― 」
嵐千砂都「――――――― " 死んでよ " ( ポ キ ッ )(顔基まで近づけた右手…その人差し指を"折る"。その意は、これまで関わった来た者たちとの関係を"折る"ということだ―――) 」
嵐千砂都 → 武人刃《 ブジンソード 》「 \ BLACK GENERAL / \ B U J I N S W O R D / \ READY… FIGHT…! / (黒鉄の鎧、その装甲を身に纏いて顕現するは、「漆黒の将軍」。羽搏く黒いマントがゆっくりと垂れ落ちる中、左手に納刀された妖刀が握られる。全身から禍々しいオーラが漂い、周囲の空間が黒く歪み出している―――) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 この力で叶えるんだ―――― シ ャ キ ン (握られた刀を僅かに抜刀。洗練された刀身に鏡のように映し出された自分自身の新たな姿を視界に捉える) かのんちゃんの理想の世界を――― ス チ ャ ン ッ (――納刀。腰を落とし、居合貫の態勢を維持し、ついにヒロと相対する) 」
――― Vs. 武人刃《 ブジンソード 》 ―――
武人刃《 ブジンソード 》「 シ ュ ダ ァ ン ッ ―――― (曇天が齎す陰に溶け込むように消えたと思えば―――)―――― シ ャ キ ィ イ ン ッ ! (ヒロの懐へ瞬間的に出現。その時には既に直刀の切っ先は彼の喉元に狙いを定め、一切の躊躇など感じさせない鋭い刺突が繰り出された) 」
ヒロ「……!(刺突を飛び退いて避ける)……(なんだ、あの力…油断していたら躊躇なくその刀は…俺を刺す!) 」
武人刃《 ブジンソード 》「逃げてもいいよ。だけど背中を向けたら突き刺しに行くから。 ダ ァ ン ッ ! (爆発的な衝撃音を踏み鳴らして黒き将軍は残像すら見せぬ速度でヒロへと肉薄する) シ ャ キ ィ ン ッ ―― ザ キ ィ ン ッ ―――― ズ ブ ァ ン ッ ! ! ! (至近距離にて居合貫の態勢で出現。一度の抜刀から、眼にも留まらぬ速度で三閃が迸る。生前の嵐千砂都にはなかったその戦術、剣技は、波の剣士はおろか名のある剣豪も目を見張るほどの洗練された殺人剣だった) 」
ヒロ「くっ………!(ガジェットのバットで攻撃を弾く。あまりの彼女の力に防戦一方………というより、"彼女"に手をかけることを躊躇している故の防戦一方となっている) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 ガキィンッ、ガァンッ、ザギギギィンッ!!ギャギィンッ、ガギャンッ!!(鋼鉄のバットを振るうヒロと真っ向から衝突し火花を散らす。だが、この穿ち合いには自分だけが圧倒し続け、退きながら武器を振るう彼を徹底機に追い込んでいく)――― ゲ シ ィ ッ ! ! (そこですかさずヒロの腹部へ水平蹴りを見舞蹴り飛ばし、距離を保つ) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 ススス…スチャン…―――――(直刀をゆっくりと鞘へ納刀する。そして――――)――――― シ ャ キ ィ イ ン ッ ! ! ! (―――解き放つように、抜刀する) 」
ザ キ ィ ――――――――――――― ン … ッ … ! ! ! (次の瞬間、並び立つ石柱に鋭い一閃が迸る。断裂された柱は音を立てて傾倒し、その一部がヒロに向けて落下する)
ヒロ「…!(バットからボール型爆弾を発射し、柱の一部を壊そうと試みる) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 タ タ タ タ ッ ―――― ダ ァ ン ッ ! ! (ヒロが柱に気を取られている最中、傾倒する石柱の上へ飛び移って走り抜け、その先端部で居合態勢を維持したまま跳躍する) グ ル ン グ ル ン グ ル ン ッ ―――― ズ ッ バ ア ア ァ ン ッ ! ! ! ( ド ッ ゴ オ オ オ ォ ォ オ オ オ ン ッ ! ! ! )(全身を捻りながら宙で横軸回転しつつ、重力を乗せた回転斬りをヒロへと振り下ろす。たとえ斬撃が避けられようと、その一撃は地盤を叩き割り、その強い衝撃が彼を吹き飛ばすこととなる) 」
ヒロ「………!(咄嗟に反応し、斬撃を回避。しかし………)くっ!!(衝撃に吹き飛ばされる) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 パ ラ パ ラ … ッ … (打ち上げられた砂塵や石ころが転がる最中、土煙の中で殺意を孕んだ赤い眼光が揺れ動いている)……かのんちゃんはレギュレイターに殺された。だから全員斬り捨てる。どうせ私の周りは敵しかいないのだから。君も例外じゃないんだよ。(コツ、コツ…と足音を鳴らしながら歩み寄り、納刀したままの妖刀を水平に構えだす) 」
ヒロ「………!("彼女"から突きつけられた現実に一瞬動揺を見せる)………君に"敵"と認定されるとはな………(バットを構え)…俺を信じてくれ。そう言ってももはや………! 」
武人刃《 ブジンソード 》「かのんちゃんを死の淵に追いやったもののすべてを、私が断罪する―――!( ギ ュ オ ン … ッ … ―――― ダ ッ ! )(全身が陽炎のように揺らめいて、姿が三つに別れていく。分身体を含めた三人が一斉疾走し、ヒロを翻弄するかの如く互いの身体を入れ替えながら接近を仕掛けていく) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 ザ キ ィ ン ッ ――― ザ キ ィ ン ッ ――― ザ キ ィ イ ン ッ ! ! (右、左、そして中央より、三つの剣閃がヒロの一点のみに斬りかかる。三位一体合わさって「*」(アスタリスク)状の斬撃が完成し、彼を斬り飛ばした) 」
ヒロ「これは……!(弾ききれない、この攻撃は…!)ぐっ!!!(斬撃が直撃してよろめく) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 ギ ュ ル ン … (分身体が本体へ溶け込むように戻っていく)……効くでしょ?ゼレオロスが遺したテクノロジーのひとつ…なんだってさ。言ったでしょ、「悪魔に魂を売った」って。叶えたい理想の世界の為なら、ゼレオロスだろうとその力を取り込んで自分のものにする。「あの時」…かのんちゃんを救えなかった無力な自分はもういない。この力で、かのんちゃんの敵を討つ…ッ…!(尻込みするヒロへ容赦なく切っ先を突きつける) 」
ヒロ「…………かのんちゃんはゼレオロスとの戦闘の上に殉職した。本当に………その真実はそのゼレオロスに魂を売るほどのものだと言うのか!(切っ先を突きつけられても微動だにせず) 」
武人刃《 ブジンソード 》「……やっぱりだ…所詮君は何も分かっちゃいない…!かのんちゃんはずっと、レギュレイターが掴めてこれなかったゼレオロスの真相に誰よりも辿り着いた!辿り着いた…でも、"知りすぎた"…だから殺されたッ!!それを良しとしないレギュレイターの誰かによってッ!!(直刀を引き抜くように構えると―――) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 ブ ワ ァ … ! (突如、何もない左手で自身のマントを手繰り寄せて右手に握られた刀を覆う。これにより――)―――― シ ャ キ ィ ィ イ ン ッ ! ! (刀の切っ先を隠す行為となり、相手にとってはいつ、どのタイミングから刺突が繰り出されるのか判断が難しくなる。そんな高度な心理テクニックを加えた刺突を何度も繰り返してヒロを翻弄していく) 」
ヒロ「…!それで、ゼレオロスに魂を売ってまでレギュレイターを全滅させようとしているのか…!(バットで刺突を振り払いつつ)(……そう言うことか…!自分が守ろうとしたレギュレイターに殺される…なんで、救いのない運命なんだ!だが………)君が悪魔に魂を売ってまで作った世界を………かのんちゃんは本当に望んでいるのか…! 」
武人刃《 ブジンソード 》「 ピ ク ッ ――――(ヒロの発言に一瞬だけ、刺突の動きに切れ味が欠ける。ヒロを確実に突き刺すはずだった切っ先は外れて彼の脇を掠める結果となる)―――― う る さ い ッ ! ! ( ド ゴ ォ ッ ! )(そんなヒロの顎へ肘打ちを叩き込み、その距離を引き剥がす) ハ ァ ァ ァ ァ … … ッ … ! (ゾンビのような唸り声にも近い重い呼吸を吐き捨てて、一気に距離を詰めだす) ズ シ ャ ァ ン ッ 、 ザ ギ ャ ア ァ ン ッ ! ! ! (袈裟斬り、からの逆袈裟斬り。その隙のない連撃でヒロを蹂躙する) 」
ヒロ「………(外れた…!もしや、彼女にも一瞬迷いが…) …ぐっ!(顎に肘打ちを喰らい、吹き飛ばれされる)ちぃっ!(一撃目を喰らうが、その間にバットを構えニ撃目を弾く) 」
武人刃《 ブジンソード 》「 ガ ギ ィ イ ン ッ ―――― ズ ッ バ ア ァ ン ッ ! ! (繰り出した二手目が弾かれる…と思われた次の瞬間、生み出してしまった隙を解消するかのように手首を捻ることで直刀は半月状にその軌道を変えて瞬く間にヒロを斬り飛ばした)………ようやくこの力にも慣れてきた。そろそろ、仕留めてあげる。(腰を低く落としながら刀を右肩に乗せる殺陣の構え。全身から迸る歪んだオーラが、更なる漆黒を帯びていく) 」
ヒロ「がっ……!!(斬り飛ばされ、倒れ込む)…(何があろうとも…彼女はきっと救ってみせる…!)(フラフラと立ち上がり、バットを構える) 」
―――――【 世界政府加盟国 国防条約 第8条改定案 】
改定案一:非常時の際、
世界政府加盟国に所属する国民に対し技術・財産・労働力の提供を要請する事を可能とする。
二:各国の方がだめる成人年齢から2歳前の兵役を義務付ける。
不明災害・異能災害・非加盟国勢力による強襲に備える為である。
三: ………。
ナガタ「 ―――――パタン (新国防備心書 と記載された広辞苑並に分厚い書物を閉じ、腰掛けていた寝台に横たわる。 サイドテーブルに置いたそれは既に紙が黄ばみ、分厚く膨れていた。中学生からの愛読書だ、両親はこれを見つけ即座に捨てようとしたため、それっきり相互理解を拒んだ記憶がある。最も、それでも親であり、家族であるため暫定提供位から守るために士官学校を選んだ。 ) 」
ナガタ「(勲章を与えられれば見直してくれるだろう、そういった期待がなかったと言えば嘘になる。大いにそれを望んだ、家として誇れる何かがあるのは社会的地位を押し上げることになる。それはきっと…… 誇らs 周囲を、勇気づける事に繋がるはずだ。 その心根をティネル総団長は認めてくれていた、こんな末席の新兵でも、やはり同じ志を持つ誰かが認めてくれるのだという確かな自信にも繋がった。初心に戻り、レギュレイター就任以降は開いていなかった愛読書に目を通した。内容は暗記しているが、やはり視覚認識から得る安らぎには代えがたい)……… 」
ナガタ「(それでも瞼は重力に抗えるほど軽く、見慣れないウェスター王国の駐屯地の天井が視界を覆っている。 ) 俺…… 士官学校じゃトップだったのにな……(伸ばした掌を握っては解きを繰り返す。 自信がない、その一言に尽きる。 討伐したのは機械生命体、それも虫型が精々だ。 できるだろうか? 勇気を振り絞ったところで、人を撃った経験すらないお前に? 何度もそう問い返しては両親の幻影が己を叱咤する。軍属にあることではなく、不甲斐ないことを。そして次に思い浮かぶのは)……(ユナイタルの姿だ。ガジェットでは足りない、あんな"力"があれば……――)―――――――― 」
―――――z____ブチッ______
ナガタ「―――――――――― へっ (凍える。外気ではなく、内側から、骨の髄から、体温を失い鉛の塊になったかのような感覚だ。堪らず膝を付き身動きが取れなくなった。 そもそも仰向けになっていた筈の自分が、崩れるという脈略をすっ飛ばした現象に理解が追いつかない。)……ハッ ハァ……ッ な、なんで…… ッッ 何、なにが……!?(辺りを見渡す、錆びついたブリキ人形のようにがくがく首を震わせながら) 」
ウェスター王国駐屯地は愚か、ウェスター王国のどの場所でもない。 壁や天井はなく陽光、月光……光源となるものがない。しかし視界は広く、同時に鉛のように濃い霧が指先が見えなくなるまで立ち込めている。だがその隙間から辛うじて見える足場は……無数の"骨"、人を含むあらゆる生物の頭部の骨が積み上がっている事に気付いた。
ナガタ「ヒィッ ヒィッッッ ヒッ ヒィッッ……(夢――――!? いや寒い、冷たい、痛い……!!死んじまう……ッッ 夢じゃない、なんだよこれ……ゼレオロスの新兵器か!?助けを )だ…… カ……(声が……呼吸が………ッ!!) 」
腕を伸ばす、霧というより極寒の地の海の底で水かきをするかのようだ。それでもすがりつく何かが欲しくて…… そんな、瀬戸際の切望が届いたのか、霧の奥から光源がナガタを迎えに来た。最も、それは彼が望む姿のどれとも異なっていたのだが――――――
■■■■「 …… (足音は愚か、確かな実体が見えながらもそこにいる事さえ疑わしいほどに"気配"を感じさせない存在がナガタに歩み寄る。 黒のジーパンと無地の白Tシャツ、半ば引きずるかのように丈が長く、海賊旗のように千切れた黒のコート。そして…… フードと犬の骨を被った頭部。隙間から白の長髪か或いは装飾が見え隠れしており、人形ではるが、異形であることを疑わせる存在が、松明を手にナガタを見下ろしていた) 」
■■■■「 "与死《わたし》"を喚んだのは……お前か? (既に体が凍結しそうなほどに温度が低い空間にも関わらず、より冷たいが故に煙る吐息を吐き出し、自身の在り処を疑うかのような困惑の混じった語調でその存在は訪ねた) スッ (肘を膝に載せ、中腰に鳴りナガタの顔を覗き込む。髑髏の穴から、素顔を見ることは叶わない。仮面の奥には虚しかないからだ) ―――――戦士の"色"ではないな、何故 "与死《わたし》を呼ぶ。本来、その資格はない魂だ 」
ナガタ「 与死……?( 死 ……?な、なんなんだこいつ…… ゼレオロスの人間、じゃない……いや人間じゃない……!!) に たくない…… ま ゃだ……! 」
■■■■「"与死《わたし》"は他者に死を与え、そして自らの命を賭ける。力<動物由来>・叡智<人間由来>・運命<世界由来>・時間<魂由来>の要素によってどちらが捧げられるかを委ねる。古来より戦いとは、そういう"契約"だ。 "死にたくない"と言ったか。 軽々に"与死《わたし》"を望み、他者の死を望むべきではない。……本来はな(心底うんざいりしたように首に手を添え、重い溜息<吹雪>を吐き散らしながら立ち上がる。) "ここに至るものは戦士であり、運命を定め旅立たせる"。 お前は戦士ではないが…… なるほどな、そういった凡夫が思い上がり戦場を望むのが『現代』か。学びになった、対価は支払おう 」
■■■■「 銃の撃ち方がわからない、それがお前の憂いだな? いいだろう、引き金を引くところまでは支払ってやる(そう言い、ナガタの意などそもそも留意していないのか指を鳴らした。そして……) フッ (その存在は霧に包まれ、晴れた頃にはナガタの"実父"へ姿を変えていた。 表情は士官学校へ出向く前、最後まで反対した厳格な父の表情のままだった) 」
■■■■「――――ナガタ・イトー。繰り返すがお前は戦士ではない、しかし戦場を呼び込んだ。戦士であれば楽園ではあるが、およそ人にとって地獄でしかない、お前はそれを望んだ(手にしたのは入学時に渡された制式銃。グリップには学籍番号が彫り込まれており、よく見慣れた数字だった。 父の面影を取ったその存在は、おもうろにナガタを立たせ) よく狙え、この距離でも外すことはままある(凍える彼の手にそれを握らせ、自らの胸に銃口を押し当てた) 」
ナガタ「(何故?何故??? 何故実の父に銃を向けている。何故???それが自分の望んだ道か? 断じて否である。 呼吸は乱れ、脈は無軌道に暴れ、懇願し首を横に振る) い 、ィィ い"や"ァ"…… いや、だ 嫌だァ"ァ"ァ"!!いあ、ィィイアァ……!!!!(だが不思議と、いつかはそうなるという直感めいたものが警鐘を鳴らしていたのも、また事実だった) 」
■■■■「もう会うことはないだろう。だが約束しよう、ここを出る頃に君は……"兵士"になっている―――――(父の似姿で言葉を紡ぐその存在は、ナガタの意識が途絶えるまで"無関心"そのものだった。ただ淡々と、己の"責務"を全うする、それだけ。ものぐさに、機械的にナガタ・イトーが辿るべき儀礼を授けているに過ぎなかった――――――) 」
―――――z____ブチッ______
―― 第10調査兵団 宿舎 ――
ロナ「 パチ (ふと、瞼が開いた。 時計は4時を指している。今から自主的にトレーニングをすることも選択肢に入る時間だが、原則単独行動が許されない現体制下で無理矢理誰かを起こし、それに勤しむ気にはなれない。 布団を顎まで被り、瞼を閉じる) 」
ロナ「(微睡む中で、少女は目が覚める寸前に見た夢を思い返し、その続きに浸ろうとした。刹那的にそれを見た認識しかなく、いくら望んでもそれは得られなかったので、仕方なく僅かな記憶を頼りに幸福な気分に浸る) にへへぇ…… おかー さん …… 」
最終更新:2024年02月22日 18:25