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絶対強者

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「ぐぐぐ……あの乃亜とかいう餓鬼、このおれに気付かせもせず、首輪を嵌めるとはな」

鬼が人語を発していた。
二階建ての家屋を優に超える巨体、人の肌ではない紫色の異形の皮膚、真紅の双眸、頭部のより盛り上がる背中の突起から生える白の毛髪、鋭利に生えた三本の爪。
そして、頬まで裂けた口を歪ませながら幾本もの牙を光らせ、その鬼は器用にも人の言葉を巧みに操っている。
その巨体の背に蜘蛛の痣を持つ鬼、悟心鬼は愉快気に呟いていた。

「餓鬼ばかり集めた殺し合いにおれを放り込むとは、このおれが奈落から生まれて間もないからか?」

実年齢0歳である悟心鬼は、当て嵌めてさえしまえば、確かに子供とも言えなくはない。
もっとも、それなら同じく奈落から生まれた妖怪である神無の方が、年齢容姿共に子供同士の殺し合いには適しているとも悟心鬼は思う。
だが所詮、神無もそして次女であり悟心鬼の姉上でもある神楽も、この悟心鬼が生まれるまでの前座でしかないと、自負していた。
ならば、乃亜は特別期待を掛けて、自らを選定したのだろうと納得した。

「いいだろう。餓鬼ども、全員喰い尽くしてやる。おれは、大食いだからな」

既に、悟心鬼が転送された地点の周辺一帯は悟心鬼によって破壊され尽くされており、悟心鬼は何の躊躇いも持たず殺し合いを楽しむことを優先した。
妖怪として産まれたのならば、自らの爪で、牙で、人間を引き裂き喰う楽しみを味わう事に迷う理屈などない。
乃亜という子供に強制されたことと、相手が子供だけというのに不服はあるが、殺し合いを果たして皆殺しにしたあと願いとして、もっとこの悟心鬼が楽しめる狩場を作らせるのも一興だろう。







――――超々超音波振動子(パラダイス=ソング)!!




「無駄なんだよ。ぐぐっ……貴様の攻撃なんぞお見通しさ」

「こ、の……アンタなんかと遊んでる暇なんてないのに!!」

電子戦用エンジェロイドタイプβ ニンフ。
感情制御及び電算能力に特化したが故に低い戦闘力を持つニンフであるが、あくまでそれは対エンジェロイドを想定しての場合。
ただの人間や動物程度ならば、容易く徒手空拳で屠れるほどの膂力を誇り、先ほど口から放った超音波攻撃も同様に通常に生き物に直撃すれば命の保証はない。

「ぐぐぐ……なまじ電算能力とやらが高いのが災いしたな。アストレア(デルタ)とかいう馬鹿なら、おれも少し危なかったかもしれんが……お前の心は非常に読みやすいな」
「舐めるんじゃないわよっ!!!」

もう何度目かも分からない超々超音波振動子を悟心鬼は涼しい顔で避ける。対してニンフの顔には焦りが見られ、その全身にも浅いとはいえいくつもの擦り傷が作られていた。
ニンフの視界から悟心鬼が消える。その僅か一秒にも満たぬ間に突風のようにニンフの死角へ回り込み、その巨体が誇る剛腕を容赦なく振るう。投擲物のように、呆気なくニンフは吹き飛ばされ地面に叩き付けられた。

「ニンフさん!?」

二人の戦闘を見ていたこの場に居るもう一人の少女、ベッキー・ブラックベルが悲痛な声で叫んだ。

彼女は殺し合いが始まってからすぐ、ニンフと遭遇した。
ニンフはやけに焦った様子ではあったものの、殺し合いに乗った訳ではなく、そのままベッキーに対しいくつか意味の分からない質問、ここに連れ去られる前に周りの人間や建物が消えていないかだとか、
挙句の果てに何年の何月か覚えているか等、妙なことを聞かれた程度で、それでも比較的有効な関係を築き上げていたところで悟心鬼の襲撃に合う。
そのままニンフと悟心鬼の戦闘へと突入し、ベッキーは巻き込まれないよう彼女の奮闘を見守るしか出来なかった。

「来ないで!」

「で、でも……」

「私なら、大丈夫よ」

「ぐぐぐ……強がっているな? 分かるぞ。勝ち目が全くない、せめて仲間のエンジェロイドが居れば……だがお前の仲間がこの殺し合いに居ることはない。
 容姿も年齢も子供ではないから、そうだろう?」

「……ペラペラと、人の心を読み上げるなっ!!」

再度、超々超音波振動子を放つ。地面を抉り音速で悟心鬼の顔面へと吸い寄せられていく。
戦闘向きではないにしても、異常気象で引き起こされた竜巻を一撃で消し飛ばすほどの高振動波、その速度は優に音速に匹敵する。
しかし、弱点としては攻撃としては直線的すぎる。何処に撃つか分かってさえしまえば、ある程度の素早い相手ならば避ける事はそう難しくはない。
もう一つ、使い手あるニンフが電算能力特化であるために、どうしても攻撃の前に思考してしまう。何処を狙い、どう当てるか、”考えて”計算してしまう。
これは心を読む悟心鬼にとって、これ以上ないほどの好相性の獲物といっても過言ではない。


「百年やっても、おれにはそんなもん当たらないんだよ!!」

心を読み、攻撃を先読みする能力。
それに加えて、本来の正しい歴史においては本調子ではないとはいえ、大妖怪の血を引く犬夜叉の動きを完全に見切り、一度放てばあらゆる敵をもほぼ完封する風穴を持つ弥勒すらも、それを使わせる前に殺せると断言するほどの速さ。

(はや――――)

その速さはエンジェロイドのニンフですらも瞬発的な地上戦では出遅れるほど。
一瞬で肉薄し、その眼前に悟心鬼が迫ってきていた。

「終わりだ! 安心しろ、ベッキーもあとで会わせてやるよ! おれの腹の中でな! ぐぐぐ……!!」

そして何より、最強の妖であったといっても過言ではない、犬の大妖怪の牙から鍛えられた妖刀鉄砕牙を噛み砕く強靭な顎と、それを可能にする鬼の牙。
エンジェロイドの装甲であろうと、鬼の牙はまるで紙屑のように容易くそれを食いちぎるだろう。

(い、いや……私はまだ――――)

大きく開かれた鬼の顎を見ながら、ニンフは数秒先の自分の無惨な姿を想像し、絶望の淵へと沈んだ。




「けんかは、だめ~~~~~~~~~!!!!」




凄まじい爆裂音が発生し、次の瞬間、悟心鬼はその巨体を宙に浮かせていた。

(な、なんだ……何をされた……?)

顔に走った衝撃波殴られたものと推定出来た。だが、そうすると誰に殴られたのか分からない。
ニンフではないし、ベッキーもありえない。
ぞっとする悪寒を悟心鬼は感じた。それは普段、相手の心を読んだ時とはまるで違う。完全な第六感、予感といったものに分類されるもの。

「けんかはだめって、マザーがいってたのよ?」

(なんだ、この肥えて膨れ上がった餓鬼は……?)

人の形をした膨れ上がった肉団子のような奇抜な生き物だと思った。

悟心鬼の腰以上の体躯を持ち、人間用に作られた民家ではこの生き物が住み着くのは不可能だろう。
そんな成りをしておいて、種族は人間、5歳の幼女だと心を読んで知った時は、生まれて初めて悟心鬼は己の能力を疑った。

「……なんだか知らんが、所詮は人間か。ぐぐぐ……これは食い応えが――――」

人間としては明らかな奇形だが、所詮は人間だ。むしろ食い応えのある、丁度いい大きさの餌を寄こしてくれたようなものだ。
悟心鬼は腕を大きく振り上げ、その爪を幼女の頭から振り下ろそうとして、腕の肘から先の感覚を失くした。
後れてやってきたのは、焼けるような痛みと、凍るような恐怖心だった。

「あれー? つかもうと思ったら、とれちゃった……」

消失した腕の行方はすぐに分かった。あの幼女が握っていた。

「馬鹿な、おれが……人間に……」

こいつはただの人間ではない早急に即座に最優先で、確実に殺さねばならない。まだこの幼い内に、未熟である内に、子供の内に。

「この、人間が!!」

「ねえねえ、ちゃんと仲直りしないとだめよ?」

口を大きく開き、その牙で少女を噛み砕こうとして―――先に幼女の手が悟心鬼に触れた。
ただの人間の手が悟心鬼に触れ、その馬鹿げた握力で鬼の強靭な皮膚が破れ、血肉が溢れ出す。
その一撃だけで、全身が引き裂かれ肉片がバラバラと散らばっていく。

「――――――ッ!!!!??」

悟心鬼の悲鳴など露知らず、幼女は突き進み、その肉の壁を突破した。




【悟心鬼@犬夜叉】死亡



「あれ、おかしいなーおかしいなー。クマさん、バラバラになっちゃった……手品かなー?」

(んな訳、ないでしょ……アンタがやったのよ……)

事の一部始終を見ていたニンフは戦慄していた。いくら、自分が弱い方とはいえ仮にもエンジェロイドが苦戦する化け物を瞬殺する馬鹿でかい人間の子供。
乃亜の開いた殺し合いも異常だが、呼ばれた連中も異様過ぎる。

(……ベッキーを連れて逃げないと、あいつヤバいわ)

「あっ……はねが生えてる。きれいー」

「え?」

「まってて! おれが取ってあげるから!!」

幼女の宣言と共に爆風が炸裂する。それは単に思いっきり走ってきているだけの話なのだが、その規模が砲弾を越えまるでミサイルの如くの速さで行われているのだ。
呆気に取られたニンフは、そのまま幼女の巨大な掌に掴まれ拘束されてしまった。

「え、え……ちょっと、なに、やだ……」

羽を取る。それは文字通りの意味だ。
この幼女、後の大海賊ビッグマムとなる彼女の名前はシャーロット・リンリン。
リンリンの知る常識の中で、羽が生えた人間などいなかった。
マザーに人間とは違う特異な人種は多くいて、容姿が異なってもそれは何もおかしくないと何度も躾けられてはいたが、所詮5歳児の記憶力である。
不幸なことにリンリンの世界にはエンジェロイドは存在せず、彼女にとっては初見の本当の意味での未確認生命体であることも災いしてしまった。つまり、マザーの言っていた異なる人種の内には定義されなかったのだ。
手長族の一つ多い関節を親切で引き千切ろうとしたり、魚人族のひれもまた同じように親切心で引き千切ろうとする等、これは彼女が良かれと思ってやったことだ。

だから、ニンフの背中の羽は、これは悪い出来物みたいなもので取ってあげなくちゃと善意で考えて行動に移している。

「この、離しな……」
「あばれないで、すぐ終わるから」
「がっ……!?」

非戦闘用と言えどもエンジェロイドの膂力を以てしても、抜け出せない尋常ではない程の握力。
外見もさることながら、その身に秘めていた力は完全に人の域から逸脱していた。

「お、お願いだから……羽だけは」

奇麗だと言って貰えた羽だった。

「やめて、お願い……いやああああああああああああ!!」

ぶちぶちと、根元から痛みが走る。妖精のように薄く透けた美しい羽が鷲掴みにされ、みしみしと軋んでクシャクシャに歪ませられていく。
引き上げられていく羽に吊られ皮膚も盛り上がり、付け根の辺りに小さく皮膚の山が出来上がる。その麓から赤く血が滲みだす。

「痛い! 痛いいいいいいいい!!! この、ビチグソがぁっ!!! ぐちゃぐちゃに、ぎゃあああああああああああああ!!!」

遥か天空に存在するシナプス、そこに居る守形英四郎からの最期の電話、内容は聞き取れなかったがニンフのマスターである桜井智樹の反応からある程度の事は察せられた。
カオスに連れ去られ、強制的に石板(ルール)を起動させられ、シナプスの警備のエンジェロイドに殺害されたのだろう。
そればかりか、石板の今ある世界が消滅する。世界にただ一人残った智樹をシナプスまで届けなければならない。その為には、ニンフの力がどうしても必要になる。
空へと羽ばたくために羽がなければ、ニンフはシナプスへの道を開くことが出来ない。地上の智樹とイカロスを導く、最期の責務を全うすることができない。

「いや、いや……いやああああああああ!! やめてぇ、それだけは……羽がないと……みんな、みんな消えちゃう……! トモキがっ……!! 駄目ぇ!!」

――――嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
    今だけは絶対に駄目、この羽を無くすことだけは、それだけは絶対に駄目。



「二頭を持つキング・レックス、召喚!」


ベッキーの声と共に、その名の通り二頭を持った恐竜が姿を現した。

「恐竜!?」

先ほどまでのニンフへの関心など一瞬で廃れ、リンリンは彼女をゴミのように放り棄てるとキング・レックスへと駆け寄る。
キング・レックスは後ろにじわじわと下がりながら咆哮を上げて威嚇する。だが、リンリンにとってそれはむしろ親愛を鳴き声に表現しているように捉えられた。

「恐竜さんだ!」

全く物怖じしないリンリンに恐怖を覚えたキング・レックスはその牙で彼女に喰らい付いた。だが、逆に噛みついたキング・レックスの牙が砕け散る。

「噛んじゃ駄目!」

躾けなきゃと、ぺちんと二つの頭を引っぱたく。ごりごりと鈍い音がしキング・レックスの首が360度回転した。

「き、消えちゃった……?」

キング・レックスはガラス細工のように弾け飛び、リンリンの前から姿を消してしまった。気付けば羽の生えた女の子もいない。
リンリンは寂しさで泣き出してしまった。

「恐竜さんどこー? マザーもどこなのぉ!!」

誕生日のあの日、みんなが用意してくれたセムラを美味しく食べていた筈なのに気付けばみんな誰も居なくなって途方に暮れてしまっていた。
だから、あの海馬乃亜という子供が友達を一杯連れてきてくれた事は素直に嬉しかったが、喧嘩をするのはよくないと思った。
だから喧嘩をしてる人を止めさせてあげたし、羽の生えた女の子とも友達になりたかったのに。気付けば、皆なぜか消えてしまった。

「おれね。ノアってやつにも、みんなにも、喧嘩はダメって教えたいのに。みんなで仲直りしようって……どうして、すぐいなくなっちゃうの?」

生まれながらの破壊者(ナチュラル・ボーン・デストロイヤー)。

リンリンには悪意がない。
ただそれだけだが、致命的な程の意識の差がそこにある。
善意で行ったこと、それに触れるもの全てが破壊されていくのだ。

こんな存在に関わりたい者など、邪な考えがない限りいる筈がない。

これほど卓越した個が、本当の意味で誰かと馴染める事などない。



【シャーロット・リンリン(幼少期)@ONE PIECE】
[状態]健康、腹八分目
[装備]なし、
[道具]基本支給品ランダム支給品1~3、ニンフの羽@そらのおとしもの(現地調達)
[思考・状況]基本方針:喧嘩(殺し合い)を止める。
1:喧嘩をしてる人を見付けたら仲良くさせる。
[備考]
原作86巻でマザー達が消えた直後からの参戦です。
ソルソルの能力は何故か使えます。







「羽……羽……ねえ、私の羽……どうなってるの……ベッキー!!」

「え、えーと……」

キングレックスに気を取られている間に、ニンフとベッキーはリンリンから可能な限り離れた場所へと逃げ延びる事が出来た。
ベッキーは安堵の溜息を吐いて、自分が生きている幸運に感謝する。

「羽……羽がないと……トモキが……アルファが……!!」

だがそれも束の間、まさしく世界の終りのような顔で背中に手を回し、絶望の更に底に突き落とされたような壮絶な表情を浮かべ、必死に羽に触れようとするニンフの姿を見てベッキーは息を飲んだ。
既に羽はなくなっていた。背中に赤い痛ましい傷があるだけで、妖精のような神秘的な羽は根元から引き抜かれていた。

「どうしよう……どうしよう……どうしよう……わたし、どうすれば……」

飛べない以上、シナプスに到達するのは無理だ。ならば、アストレアに連れて行って貰う? いや、仮にそれでシナプスに辿り着けたとして、シナプスを守護するZEUSを突破できるのだろうか。
あれを解除しなければ、どちらにしろ迎撃される。だが、羽がないニンフの能力は低下している筈、恐らくはZEUSを無力化することは出来ない。

(いえ……そもそも……間に合うの……?)

それ以前に、世界は滅びる寸前であった。一時間もしないうちに地上も完全に消滅し、いずれそこにいた智樹達も存在できなくなるはずだ。
地上がなければ、翼のない人間は生きられない。

今、こうしている間にもどんどん事態は深刻化している。もしかしたら、急にニンフが消えた事に痺れを切らしたアストレアとイカロスが、一か八か強行突破を狙う可能性だってある。
実際に時間はない。でも、そうなれば待ち受けるのはZEUSからの迎撃による全壊と、許可なくシナプスに近づいたことによるイカロスの自爆機能の作動。
結局、最後に残された智樹だけが、世界の破壊と創造に巻き込まれ死んでしまうかもしれない。

「あの……落ち着いて」

「うるさい! 落ち着けるわけないでしょ!!」

「ぁ……」

ニンフも悪気はなかった。だが、再び訪れた羽の消失に加え智樹の元へ帰らねばならない焦燥感や、仲間達に訪れる悲惨な未来を考えた時の恐怖や絶望。
既に感情が爆発寸前で、彼女の許容量を超えていた。
ベッキーもまた、自分がもっと早くにキング・レックスを召喚していればと、幼いながらに後悔していた。
殺し合いという異常下で、少なくとも今の時点では直接的な戦いとは無縁であったのにも関わらず、ニンフが襲われた時にとっさに支給品の確認を行い、効果を把握し未知のアイテムを使用してみせたのだ。
むしろ年齢を考えれば、これ以上ない上出来な立ち回りだったともいえる。

「ご……めん、な……さ、い……」

普段の勝ち気なベッキーであれば年上だろうと言い返すこともあったかもしれない。だが、ニンフにとって背中の羽が何よりも大事で必要であったことは、彼女にも何となく分かっていた。
なのに、自分の立ち回りが遅かったせいで、それを無くさせてしまった。ニンフは自分の事だけでなく、誰か友達や仲間の事を案じて限界まで追い込まれている。その最後の引き金を引いたのは自分のせいかもしれない。
またベッキーも精神的に限界を迎え、それが決壊したように瞳を潤わせ涙を流し、しゃくりを上げる。

「あ、あたし…っ…支給品、さいしょに……もっとはやく、かくにん……してれば……っ」

「……い、いえ……私が悪かったわ。ベッキーは何も、悪い事……してないじゃない……」

自分よりも何周りも年下の幼女の涙を見て、ニンフも我に返り落ち着きを取り戻していく。



(そうよ……ベッキーや乃亜が普通に生きているなら、もしかして石板は起動せずに途中で……いや、それは……)

ベッキーに謝ってから、希望的観測を展開するが、乃亜はまだしもベッキーは恐らくニンフ達とは別の世界での人間ではないかと推測していた。

(ベッキーが嘘を言ってなければ、いくらなんでも時代や世界の背景が違う気がする……もしかして別の世界、とか)

悟心鬼に襲われる前に、ベッキーから聞き出した彼女の背景は明らかに現代とは時代に差異があった。ニンフの地蟲(ダウナー)の歴史に詳しい訳ではないものの、それでも違和感がある程だ。
もし、別世界の人間であるなら、ニンフの世界にある石板の影響など受けないかもしれない。

(いっそ、殺し合いで優勝して……でも、そんなことトモキは……だけど……このままじゃ)

あんなにも幸せだったのに。智樹と出会ってから、イカロスも居て、アストレアもやってきて……地蟲と見下していた地上の人間とも仲良くなって、初めて友達も出来たのに。
一瞬で全てがぶち壊されて、それに抗う事すら許されずに、こんな意味の分からない殺し合いに巻き込まれてしまった。
なら、いっそ……世界を元に戻すの比べれば、ここにある数十人の命など、安いのではないか?


「……あー……にゃ、ちゃん……会いたいよぉ……」


元の世界であったのなら、ベッキーが絶対に吐かないであろう弱音だった。心身共に削られた彼女の中で、最も絆を育んだ友達の名前を泣きながら叫ぶなんてことは。

(……駄目だ。そんなことしたら、この娘の友達が……悲しむ……)

ここに呼ばれる前、ニンフにとって初めての友達を殺された時のように……あんな事をまた今度は自分が繰り返す訳にはいかない。けれども、このまま時間が経ってしまえば、ニンフのいる世界はもう跡形もなく消え去ってしまう。

「……どうしたら、いいの……ねぇトモキ……お願い、教えてよ……お願いだから、命令してよ……!」




【ニンフ@そらのおとしもの】
[状態]:全身にダメージ(中)、羽なし、羽がないことによる能力低下
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:どうしよう……。
1:リンリン(名前は知らない)はぐちゃぐちゃにしてやりたい
2:元の世界のトモキ達が心配、生きててほしいけど……。
[備考]
原作19巻「虚無!!」にて、守形が死亡した直後からの参戦です。
SPY×FAMILY世界を、ベッキー視点から聞き出しました。ベッキーを別世界の人間ではと推測しています。
制限とは別に、羽がなくなった事で能力が低下しています。



【ベッキー・ブラックベル@SPY×FAMILY】
[状態]:健康、ニンフの羽が毟られた事に対する罪悪感(大)
[装備]:二頭を持つキング・レックス(早朝まで使用不可)@遊戯王デュエルモンスターズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いなんて乗るわけないでしょ。
1:アーニャちゃんが居たら探して守ってあげないと。
2:ニンフさんの羽……。
[備考]
アニメ2クール目以降からの参戦です。



【二頭を持つキング・レックス@遊戯王デュエルモンスターズ】
ダイナソー竜崎が使用したカード。
あまり強くない上に効果も何も持たないので、一度の使用で6時間再使用不可と軽めの制限。



152:二分後に君が来なくとも 投下順に読む 176:灰色少年と明るい少女
時系列順に読む
START ニンフ 018:思い描くは、ひとつの未来
START ベッキー・ブラックベル
START シャーロット・リンリン 024:I wanna be the Friend
START 悟心鬼 GAME OVER

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