コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

夜明け後

最終更新:

compels

- view
だれでも歓迎! 編集
『お前も物好きだなァ。別に知り合いでも何でもないんだろ?』

「放っておくわけにもいかないだろ」

近くの家から拝借してきたシャベルで、地面をパンパンと叩きニケは嘆息を吐いた。
穴を掘って埋める。これらの作業を、朝になるまで三回繰り返した。三回ともなれば手付きは慣れてくるが、それなりの重労働だ。
新鮮な空気と休息を求めて、ニケはシャベルを突き立てて柄の上に顎を軽く乗せた。

「ニケ…ニケぇ……!! もう終わったかの!」

「ああ、もう終わったよ。怖いのは居ないから安心しろって」

「……ほ、本当でおじゃるか?」

「なんで、俺がそんな嘘吐くんだよ」

物陰に隠れたおじゃる丸が、恐る恐る震えた声で話す。
ニケも普段のツッコミの要領で話すが、声色はむしろ大分温和でおじゃる丸に同情的ですらあった。

「もう朝じゃない」

呆れたように水銀燈が呟く。腕を組みながら苛立ちを視線に乗せて、ニケとおじゃる丸に向けていた。

まず最初に映画館に立ち寄ったのが事の始まりだった。
背負われてる癖に、おじゃる丸が疲れたとゴネ出し(おじゃる丸曰く、ニケの背負い方が雑過ぎるらしい)仕方なく、映画館で休憩を取る事にした。



『ギエピー! 太すぎるっピ!!』

『ピカ!』

『脱糞すなー!』

『マスターボールはいただいたカゲ!!』

『それは俺の金●だろ!』


公開していた映画はお下劣なアニメ映画だった。肥え太ったピンクデブが間抜けな言動とお下品な行動を繰り返し、周りのキャラも全員お下劣だ。
何故、誇り高き薔薇乙女の私がこんな映画を……? そんなことを考える水銀燈の横で、ニケとアヌビス神は大爆笑し、それをおじゃる丸と水銀燈が引き気味で見る羽目になったが、それだけならまだ良い。
さらに映画館内の探索をすると、戦闘痕と二人分の死体を発見したのだ。
それを埋葬しようというニケの提案を、流石のおじゃる丸も凄惨な死体を前に顔を青くして、意義を挟むことはなく、
更に水銀燈が首を落として首輪を回収するよう指示を出し、僅かにニケと揉めはしたが、首輪の解析のサンプルに必要であると最終的には合意して、野原しんのすけと右天の遺体を埋葬した。

その後、暗鬱な面持ちで映画館を出て、ニケがうんこをしたくなって急遽飛び込んだ家が、よりにもよって最悪を引き当ててしまった。
家の中から漂う生臭さ、家の中を調べてみれば二階には先ほどの、二人の死体がまだ奇麗だったと思える程の惨殺死体が放置されていた。
しんのすけは心臓を、右天は頭部と心臓を。それぞれ損傷こそ酷いが、あくまで下手人の必要とする最低限に留まっていた。
だが、これは違う。衣類がなく体つきや性器の有無から、女の子であるのは分かった。全裸だったから当然だ。
顔も美人の部類に入るというのに、一糸纏わぬその姿に全く劣情すら湧かないほど、死体の損壊ぶりは常軌を逸していた。

おじゃる丸は絶叫し、死者の尊厳を無視し少女の───糸見沙耶香の生首を指差し、物の怪呼ばわりしてしまう。

やんわりとニケは注意をしつつも、だが流石に幼少の子供には酷な光景だとおじゃる丸を宥める。
その後、血だらけの部屋で、腹から飛び出し錯乱した臓物を、家の中にあったゴム手袋をして出来る限り集めてやり、屋外で穴を掘り埋葬した。
ひんやりとした、それでいて肉感的な柔らかさの触感は未だ手に残っているほどだ。仕方なしに手伝った水銀燈も、不快そうに眉を歪ませていた。
不幸中の幸いは、首を落とす手間もなく臓物と一緒に首輪が転がっていた事か。


「のうニケ、マロはもう帰りたいでおじゃる。はよ、何とかしてくれぬか?」
「へーへー、もうしばらくお待ちください。おじゃる様」

聞き慣れた駄々を雑にあしらいながら、ニケは土中の下に眠る沙耶香を見つめる。
自分達が見ただけで三人の死体だ。多分、もっと大勢の子供達が死んでいるに違いない。
その殺戮者達の中には、あのクロエという少女も混じっているかもしれない。
あの時、もっと自分が気の利いた事を言えば……あの場で戦って、力づくで止める事さえできていれば、もしかしたら自分の埋めた死体の内、一つくらいは減っていたかもしれない。

「のんびりしてる暇はないよな」

柄に乗せた顎を上げて、シャベルを握った手はより強く力を込める。

「ニケ、貴方の言っていたクロエとかいう娘、どんな病気なのぉ?」

「はえ?」

水銀燈の問いに、ニケは目を見開いて馬鹿のように口をポカンと開けていた。

「不治の病なんでしょぉ? なにかの病気だとかぁ、理由があるはずよぉ」
「いや、それは…その……」

聞いてないの、こいつ?

水銀燈は完全に呆れ果て、冷たい眼差しを送る。
少しだけ、境遇がめぐのようだと思い、気紛れに確認してみたがまさかそんなことすら知らないとは思いもよらなかった。

「まさかとは思うけどぉ。なんでも、病気が分かる都合の良い魔術があるとか考えて、ホグワーツに行くわけじゃないわよねぇ?」
「だぁぁー! もうしょうがないだろ! クロの奴、剣振り回して追っかけてくんだから!」
『お前、ヘタレだなぁ』
「黙ってろお前は!!」
「剣と喧嘩出来るなど、ソチは退屈せん男よの」

「お馬鹿さぁん、魔術はそこまで万能じゃないわぁ。本当にお馬鹿さぁん、症状に合わせた適切な魔術を選ばないといけないに決まってるでしょぉ?
 良い? ホグワーツは魔術の学校らしいけどぉ、間違いなく学問として、蓄積された資料は膨大よぉ。素人の私達が片っ端から、調べても日が暮れるわぁ。
 せめて、その子が死ぬ理由から逆算して調べないと、時間がいくらあってもたりないわぁ」

指摘された通り、見切り発車で事を進めようとしていたが、クロエの病状も何もかもをニケは知らない。
彼女の治療法を見付けるにしても、先ずはその原因を特定する必要がある。

「……だったら、雄二とマヤと別れる時に言ってくれても」
「うっさいわねぇ」
「お前も忘れてたのかよ!
……じゃあ、ホグワーツに行くのも無駄足ってことかよ」
「そこまでは言ってないでしょぉ。もう近くまで来たんだしぃ、寄るぐらいの価値はあるんじゃなぁい?」

雪華綺晶に攫われためぐを救出する為、巻かなかった世界への帰還を急ぐ水銀燈らしからぬ発言ではあった。
現代医学では治癒できないめぐの病も魔術ならば、そういった思惑もあってのことだろう。


「そうだな…先にホグワーツ行って、その後クロを探して、病気の話を聞くしかねえか。
 色々、急がないとな……
 待てよ……あいつと会ったら、今度はチャンバラしなきゃいけないのか?」

「良かったの。マロからアヌビス神を受け取っておいて」

「結果オーライなの、なんかムカつくな」

一応、ニケにも元々の戦闘手段はあるが、名刀の類であるアヌビス神を入手できたのは大きい収穫だ。
クロエと再会し交戦になっても、何とか凌ぐことくらいはできるだろう。

「ニケ、おぶってたもー」

「お前、話聞いてたか!? 俺、結構急いでるって話したろ!」

「おじゃ? マロの歩く遅さを知らぬは言うまい。
 やんごときなき、みやびなお子様のマロに、殺し合いなど向いておらぬでの」

『こいつ、置いて行っちまえばいいんじゃあねえか?』

「奇遇ね、ワンちゃん。同意見よぉ」

「に、ニケは……こんなかわゆくて…か弱いマロを……置いて行って、殺されてしまっても平気でおじゃるか? ニケ、ニケぇ……!!」

「……あーもう! 分かったよ!!」

狙ったかどうかは分からないが、先ほど埋葬した三人の遺体を見たばかりだ。
ニケもおじゃる丸を放置すれば、間違いなく死ぬ。ニケがマーダーなら真っ先に殺す。
それを分かっている為に、ニケはおじゃる丸を背におぶる。

「優しく運ぶでおじゃる。マロは繊細ゆえ、ちょっとの揺れも頭に響くでの」

「お前、ここから生きて帰れたら両親に金請求すっからな!!」



───やはり、こいつら俺の姿が見えてるのか。



おじゃる丸を背負い、ぜーぜーと息を荒げながら歩くニケの腰に差されたアヌビス神は首を傾げていた。
装備しているニケはともかくとして、水銀燈やおじゃる丸にも自分の姿は見えていた。
話を聞けば、奴等はスタンド使いでもないらしい。
恐らくは、スタンド使い以外にもスタンドが見えるようになっているのだ。

───まあ、何でも良いか。俺は最後に生き残った奴に便乗して、生き延びさせてもらうぜ!
   DIO様でも居ない限りなぁ!!

最初はニケを乗っ取り優勝を目指す腹積もりだったが、いずれにしろ生還できるのならどっちでもいい話だ。
制限は多々あれど、アヌビス神の強さは未だ健在。ニケやニケが死んでも別の参加者に取り入って、甘い蜜を吸わせてもらうだけだ。
むしろ、下手なマーダーに拾われ雑に扱われるよりは、おじゃる丸を見捨てられない甘ちゃんのニケに拾われたのは、ツイているかもしれない。
スタンド使い以外ともコミュニケーションを取れるのも、参加者から好感度と信頼を築くことで生き延びる確率を上げられる。

だが、アヌビス神は知らない。

───DIO様が居ないし、気楽にやらせてもらうぜ乃亜君よォ!!!

まだスタンドはおろか、石仮面すら被らず人の身である時間から呼ばれたものの、アヌビス神が懸念するDIOが一応は居る事に。


【C-3/1日目/早朝】

【勇者ニケ@魔法陣グルグル】
[状態]:健康、不安(小)
[装備]:アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険、シャベル@現地調達
[道具]:基本支給品、龍亞のD・ボード@遊戯王5D's、丸太@彼岸島 48日後…、沙耶香のランダム支給品0~2、沙耶香の首輪
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗っちゃダメだろ常識的に考えて…
0:クロがまだ人殺してなきゃ良いけど。
1:とりあえず仲間を集める。でもククリとかジュジュとか…いないといいけど。
2:一旦、ホグワーツに寄る。その後、クロエを探して病状を聞き出す。
3:あのマヤって女の子も大丈夫か?
4:取り合えずアヌビスの奴は大人しくさせられそうだな……
※四大精霊王と契約後より参戦です。
※アヌビス神と支給品の自己強制証明により契約を交わしました。条件は以上です。
ニケに協力する。
ニケが許可を出さない限り攻撃は峰打ちに留める。
契約有効期間はニケが生存している間。
※アヌビス神は能力が制限されており、原作のような肉体を支配する場合は使用者の同意が必要です。支配された場合も、その使用者の精神が拒否すれば解除されます。
『強さの学習』『斬るものの選別』は問題なく使用可能です。
※アヌビス神は所有者以外にも、スタンドとしてのヴィジョンが視認可能で、会話も可能です。

【水銀燈@ローゼンメイデン(原作)】
[状態]健康、めぐ救出への焦り
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~2、ヤクルト@現実(本人は未確認)、しんのすけと右天の首輪
[思考・状況]基本方針:一刻も早くここから抜け出す
0:一先ずニケと同行する。
1:首輪を外して脱出する方法を探す。どうしても無理そうなら、優勝狙いに切り替える。
2:ハンデを背負わされるほどの、強力な別参加者を警戒。
3:契約できる人間を探す。(おじゃる丸は論外)
4:真紅が居たら、おじゃる丸を押し付ける。
5:ホグワーツにめぐを治す方法があればいいけど。
[備考]
※めぐを攫われ、巻かなかった世界に行って以降からの参戦です。
※原作出展なのでロリです。
※Nのフィールドの出入り、契約なしで人間からの力を奪う能力は制限されています。


【坂ノ上おじゃる丸@おじゃる丸】
[状態]健康、ニケに背負われ中、惨殺死体を見たトラウマ(大)
[装備]こぶたのしない
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:カズマの家に帰りたい
1:カズマや田ボを探す。
2:シャクを誰か持ってないか探す。
3:誰でもいいから豚にしてみたいでおじゃる(子供故の好奇心)
4:銀ちゃんはかわゆいのう……絶対持ち帰るでおじゃる。真紅ちゃんも会ってみたいのう。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。

※三人とも、クロとしおを危険人物と認識し、参加者が平行世界から呼ばれていると結論付けました。(おじゃる丸は話半分で聞いてます)



060:Escape~楽園の扉~ 投下順に読む 062:MELTY BLOOD
時系列順に読む
014:この素晴らしき魔剣と契約を! 勇者ニケ 076:HAPPY END BRAVER?
水銀燈
坂ノ上おじゃる丸

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー