『次の放送までに、君達の誇る強さは驕りではないと、この僕に認めさせてみたまえ。フフ…では、今回の放送はここまでとしよう。殺し合いをより促進させてくれることを期待している』
六時間前の放送と同じく流れる乃亜の声にディオの眉根が寄り、口元が不快気に歪む。
(チッ、乃亜のやつめ、ふざけやがって...!)
つい先ほど、乃亜の言う失望したマーダーに実質的な敗走を喫したのだ。
乃亜の言いぐさでは自分までもけなされたようで不愉快だった。
乃亜の言いぐさでは自分までもけなされたようで不愉快だった。
それに、自分と同い年くらいのジョナサン・ジョースターが呼ばれていなかったことにも怒りを抱いていた。
なぜあの甘ちゃんが呼ばれず僕だけがこんな催しに呼ばれなければならないのか。
もしもあいつも呼ばれていたら、ここで殺してジョースター家の財産を引き継ぐ後継者となれたというのに。
理不尽だ。不公平だ。僕が苦しんでいるいま、あいつはのうのうと紳士ごっこをしていると思うと腸が煮えくり返りそうになる。
せめてもの置き土産とでもいうべきか、ここに連れてこられる前にあのダニーとかいうアホ犬を殺しておけてよかった。
なぜあの甘ちゃんが呼ばれず僕だけがこんな催しに呼ばれなければならないのか。
もしもあいつも呼ばれていたら、ここで殺してジョースター家の財産を引き継ぐ後継者となれたというのに。
理不尽だ。不公平だ。僕が苦しんでいるいま、あいつはのうのうと紳士ごっこをしていると思うと腸が煮えくり返りそうになる。
せめてもの置き土産とでもいうべきか、ここに連れてこられる前にあのダニーとかいうアホ犬を殺しておけてよかった。
だが憎悪するほどに気に入らない相手からのものとはいえ情報は情報。
無下にし無策で臨むのは命取りの環境であることは身をもって理解させられている。
無下にし無策で臨むのは命取りの環境であることは身をもって理解させられている。
(よかった...ネコネさんたちは巻き込まれていなかったみたいだ)
憎悪を滾らせるディオの一方で、キウルはホッと胸を撫で下ろす。
自分と同い年くらいのネコネやアンジュ、シノノンは選考対象に選ばれている可能性があった。
そのため、この放送が始まる前は嫌でも緊張せざるをえなかった。
その不安は杞憂で終わった。
喜ばしい、と言えば周囲に失礼ではあるが、しかし、これから先のヤマトの未来に必要な彼女たちがこんな地獄に巻き込まれなかったのは不幸中の幸いとしか言えない。
メリュジーヌとの圧倒的な戦力差を思い知らされた今となっては、己の未来すら不安視する他ないのだから。
自分と同い年くらいのネコネやアンジュ、シノノンは選考対象に選ばれている可能性があった。
そのため、この放送が始まる前は嫌でも緊張せざるをえなかった。
その不安は杞憂で終わった。
喜ばしい、と言えば周囲に失礼ではあるが、しかし、これから先のヤマトの未来に必要な彼女たちがこんな地獄に巻き込まれなかったのは不幸中の幸いとしか言えない。
メリュジーヌとの圧倒的な戦力差を思い知らされた今となっては、己の未来すら不安視する他ないのだから。
「キウル。乃亜から齎された情報だが、少し整理させてほしい」
「はい」
「はい」
ディオは端末の参加者名簿のページをキウルに見せながら話を続ける。
「乃亜が言っていた死亡者を信じるならば、モクバ達とルサルカは無事だ。向こうも向こうでどうなっているかはわからないがな...」
モクバ達が襲撃者を引き受けてからもう数時間、ルサルカと別れてからは10分程度といったところか。
後者はともかく、前者は形はどうあれ決着がついているだろう。
本来ならば、ルサルカのところに戻り、戦闘が続いていれば援護するべきなのだろうが、ディオにしてもキウルにしても、どう足掻いても足手まといにしかならない。
ならば、ルサルカが勝つ、或いはどうにか逃げおおせることを祈り、ほぼ無事が確定しているモクバ達のもとへ向かい戦力を整えるべきだ。
増援に送ったエリスと俊國がちゃんと合流できていれば、予定通りホテルで僕らも合流できるだろう。
故に、これから目指すのはホテル。
予定していた時間よりはだいぶはやくなりそうだが、先に行って待つ分には問題はないはずだ。
後者はともかく、前者は形はどうあれ決着がついているだろう。
本来ならば、ルサルカのところに戻り、戦闘が続いていれば援護するべきなのだろうが、ディオにしてもキウルにしても、どう足掻いても足手まといにしかならない。
ならば、ルサルカが勝つ、或いはどうにか逃げおおせることを祈り、ほぼ無事が確定しているモクバ達のもとへ向かい戦力を整えるべきだ。
増援に送ったエリスと俊國がちゃんと合流できていれば、予定通りホテルで僕らも合流できるだろう。
故に、これから目指すのはホテル。
予定していた時間よりはだいぶはやくなりそうだが、先に行って待つ分には問題はないはずだ。
そのディオの考えに、キウルは歯がゆい想いを抱きながらも同意する。
(...情けない)
キウルは己の無力さを嫌でも思い知らされる。
オシュトルとハク。二人の義兄に後を託され、自分のような義弟を持てて誇らしいとまで言われたのに。
この数時間、なにもできなかった。
本来ならば役に立たなければならない場面は何度もあった。
自分は戦闘員だ。
荒事が起きたならば率先して引き受けなければならない。
オシュトルとハク。二人の義兄に後を託され、自分のような義弟を持てて誇らしいとまで言われたのに。
この数時間、なにもできなかった。
本来ならば役に立たなければならない場面は何度もあった。
自分は戦闘員だ。
荒事が起きたならば率先して引き受けなければならない。
なのに、最初の少女には犯されかけたのを助けられ。
次の相手には毒矢で不覚を取り。
そして三度目は仲間に押し付ける形で逃亡を余儀なくされ。
次の相手には毒矢で不覚を取り。
そして三度目は仲間に押し付ける形で逃亡を余儀なくされ。
現状、自分は何の役にも立っていない。
このままでは駄目だ。
このままでは駄目だ。
キウルの思考に焦燥が募っていく。
そんなキウルに構うことなく、ディオはいま定めた方針に則り、ホテルへと歩みを進め始める。
それからほどなくして。
それからほどなくして。
「き、きみたち。ちょっといいかな」
二人に、緊張で上ずった声がかけられた。
☆
幸か不幸か。
藤木と別れた後の永沢は、誰とも遭遇することなく放送を迎えた。
藤木と別れた後の永沢は、誰とも遭遇することなく放送を迎えた。
城ケ崎姫子。
死者として告げられたその名前にぐっ、と下唇を噛み涙を堪える。
死者として告げられたその名前にぐっ、と下唇を噛み涙を堪える。
泣いちゃダメだ。
泣けばそれだけ隙が生まれる。
孫悟空や中島の皮を被った怪物のような絶対強者がいる以上、ほんの数秒だって無駄にしている暇はないのだから。
滲みかける涙を袖で拭い、改めて名簿と向き合う。
泣けばそれだけ隙が生まれる。
孫悟空や中島の皮を被った怪物のような絶対強者がいる以上、ほんの数秒だって無駄にしている暇はないのだから。
滲みかける涙を袖で拭い、改めて名簿と向き合う。
クラスメイトで参加者として呼ばれているのは自分と城ケ崎、藤木の三人だけ。
知り合いがこれ以上死ぬのを見なくて済むという点を考えれば幸運と捉えるべきか。
知り合いがこれ以上死ぬのを見なくて済むという点を考えれば幸運と捉えるべきか。
そして、先ほど孫悟空の襲撃により別れさせられた面々も無事。
どうやらお互いに犠牲なしで事なきを得たようだ。
改めて連中のもとへ向かって保護してもらうかと考えるも、しかし、中島殺害の件が露呈した以上、それは諦めざるをえない。
なにより中島の友達のカツオが怖い。友達の仇を討つためならなにをしでかすかわかったものじゃない。
...城ケ崎さえ生きていれば、それを加味し犠牲になるのを承知の上で迎えたのだが、いま、自分の命は自分だけのものじゃない。
藤木のアホはどうせ自分が生き残ること以外は考えていないだろうし、優勝したら城ケ崎を蘇らせることなく、自分が利を独占するようなくだらない願いを叶えるだろう。
そして、この会場で知り合った面々は恐らく願いを叶える権利を手に入れても城ケ崎姫子を蘇らせるために使うはずがない。
どうやらお互いに犠牲なしで事なきを得たようだ。
改めて連中のもとへ向かって保護してもらうかと考えるも、しかし、中島殺害の件が露呈した以上、それは諦めざるをえない。
なにより中島の友達のカツオが怖い。友達の仇を討つためならなにをしでかすかわかったものじゃない。
...城ケ崎さえ生きていれば、それを加味し犠牲になるのを承知の上で迎えたのだが、いま、自分の命は自分だけのものじゃない。
藤木のアホはどうせ自分が生き残ること以外は考えていないだろうし、優勝したら城ケ崎を蘇らせることなく、自分が利を独占するようなくだらない願いを叶えるだろう。
そして、この会場で知り合った面々は恐らく願いを叶える権利を手に入れても城ケ崎姫子を蘇らせるために使うはずがない。
つまり、彼女の命は自分が担っていることになる。
だから死ぬわけにはいかない。どんなにみっともなくても生き続けなければならない。
だから死ぬわけにはいかない。どんなにみっともなくても生き続けなければならない。
そのためには自分の身の安全を第一に考えなければならない。
となれば、やはりひと悶着生まれそうなサトシたちのもとへ戻るのではなく、他の対主催側の人間に取り入るべきだ。
となれば、やはりひと悶着生まれそうなサトシたちのもとへ戻るのではなく、他の対主催側の人間に取り入るべきだ。
そうして永沢は藤木やカツオたちのような厄介ごとを招かないような参加者に会えることを祈りつつその歩を進める。
やがて見つけたのが、金髪のお高くとまった少年と、くりくりとした目と獣の耳が特徴的な少女。
やがて見つけたのが、金髪のお高くとまった少年と、くりくりとした目と獣の耳が特徴的な少女。
時折止まりながら周囲を警戒し、衣服もところどころ擦れている様に、先に遭遇した面々と比べれば見るからに頼りなさげだ。
そんな彼らが一緒に行動しているからこそ、永沢は、きっと彼らは対主催側だと判断し、二人の前に姿を現した。
そんな彼らが一緒に行動しているからこそ、永沢は、きっと彼らは対主催側だと判断し、二人の前に姿を現した。
「あ、あのさ」
「動かないでください」
「動かないでください」
近づくために一歩踏み出そうとした永沢に向けて、キウルは弓矢を構えて警告する。
「え...ひ、ひいっ」
可愛い顔には似つかわしくない凶器を前に、永沢は思わず小さな悲鳴と共に尻餅を着いてしまう。
そんな姿に、なんて情けないんだと自嘲する。先ほどまではこんな醜態を晒さずにいられたのは、隣に城ケ崎がいたからだろうか。
そんな姿に、なんて情けないんだと自嘲する。先ほどまではこんな醜態を晒さずにいられたのは、隣に城ケ崎がいたからだろうか。
(お、落ち着け...こんなのがなんだっていうんだ。ぼ、僕はもう人を殺してる...城ケ崎だって目の前で死んでしまったんだ。こんなくらい...!)
確かに弓矢を向けられるとは思ってもいなかった。
しかし、これから先は凶器が飛び交うのは当たり前だ
こんな程度でイチイチ腰を抜かしていては城ケ崎蘇生などまた夢の夢。
なけなしの勇気を振り絞り、永沢は震える声を喉から絞り出す。
しかし、これから先は凶器が飛び交うのは当たり前だ
こんな程度でイチイチ腰を抜かしていては城ケ崎蘇生などまた夢の夢。
なけなしの勇気を振り絞り、永沢は震える声を喉から絞り出す。
「ま、待ってくれ。僕は殺し合いには乗ってない!ただ少し話合いをしたかったんだ!」
「......」
「......」
永沢の叫びが終わり、沈黙が訪れる。
(この怯えようは偽物じゃない)
キウルは幾度も戦を経験した身であり、曲がりなりにも一つの村を統治する立場にあったからわかる。
目の前の彼からは恐怖と動揺しか感じない。
正真正銘の一般人だ。
目の前の彼からは恐怖と動揺しか感じない。
正真正銘の一般人だ。
「...すみません」
キウルが弓を下ろしぺこりと頭を下げると、ようやく永沢の心に平穏が訪れる。
「い、いやいいんだ。こんな状況なんだ。警戒するのは当り前さ」
多少どもりながらも努めて冷静さを取り戻し、キウルと情報交換を始める永沢。
そんな彼をディオは訝し気に見る。
永沢を警戒して———というよりは、果たして彼が役に立つか値踏みしているだけだが。
ディオはここまで闇やルサルカ、メリュジーヌといった人外の力を有する者たちを見てきている。
そんな彼らに対して、今の自分たちははっきりいって無力同然。
自分よりも強いキウルですら、精々自分より少しは抵抗できるくらいなものであり、いまは支給品でもなんでも、とにかく新たな力が欲しかった。
この玉ねぎ頭がなにか力を持っているか期待したのだが———
そんな彼をディオは訝し気に見る。
永沢を警戒して———というよりは、果たして彼が役に立つか値踏みしているだけだが。
ディオはここまで闇やルサルカ、メリュジーヌといった人外の力を有する者たちを見てきている。
そんな彼らに対して、今の自分たちははっきりいって無力同然。
自分よりも強いキウルですら、精々自分より少しは抵抗できるくらいなものであり、いまは支給品でもなんでも、とにかく新たな力が欲しかった。
この玉ねぎ頭がなにか力を持っているか期待したのだが———
(ダメだな。あのビビリようは嘘じゃないし、矢で脅されてもなおなにも出そうともしない。ハズレだな)
よしんぼ、戦闘は無理でもモクバのように特別な知識があればとも思ったが、キウルに話す内容を聞く限りではそんな気配は微塵もない。
得られる情報も、城ケ崎というクラスメイトが孫悟空という襲撃者に襲われ殺されたというディオからしたらさして興味のないことだけ。
得られる情報も、城ケ崎というクラスメイトが孫悟空という襲撃者に襲われ殺されたというディオからしたらさして興味のないことだけ。
(本当にただの一般人のようだな。こんなのが何の役に立つものか)
ハッキリ言って、ディオからして永沢に価値はない。
せいぜい、有事の際の肉壁か首輪を解析するためのストック要因といったところだろう。
しかし、キウルやモクバがこういうのも見捨てられないのも容易に想像できる。
となれば、彼らの信頼を得る為の引換券とでも思えばいいだろうか。
そんな風に己の中で結論付け、ディオは永沢に語り掛ける。
せいぜい、有事の際の肉壁か首輪を解析するためのストック要因といったところだろう。
しかし、キウルやモクバがこういうのも見捨てられないのも容易に想像できる。
となれば、彼らの信頼を得る為の引換券とでも思えばいいだろうか。
そんな風に己の中で結論付け、ディオは永沢に語り掛ける。
「事情はわかったが...永沢、きみさえよければ僕らと同行しないかい?僕らもこんな殺し合いなんてうんざりしているからね」
「いっ、いいのかい?」
「もちろん!困ったときはお互い様さ!」
「いっ、いいのかい?」
「もちろん!困ったときはお互い様さ!」
自分から言い出す前に同行を申し出てくれたディオの微笑みに、永沢は目を潤ませて感謝する。
僥倖だ。
まさか一番厄介だと思っていた工程を省けるとは。
自分はツイている。藤木を見限ってきただけのことはあると思わずにはいられなかった。
僥倖だ。
まさか一番厄介だと思っていた工程を省けるとは。
自分はツイている。藤木を見限ってきただけのことはあると思わずにはいられなかった。
「永沢さん。安心して...とは言い切れませんが、私は貴方方を護れるよう尽力します」
「ありがとう、ディオくんにキウルさん...友達も殺されてしまって本当に怖かったんだ...ぐすっ」
「ありがとう、ディオくんにキウルさん...友達も殺されてしまって本当に怖かったんだ...ぐすっ」
鼻をすすりながら感謝の言葉を漏らす永沢の悲痛な姿にキウルは一層守らねばと決意を固め、ディオはキウルに見られないよう、心底くだらないと溜息を吐き、さっさと出立の準備を始める。
「さて。僕らも相当疲れている。さっさとホテルに向かってみんなを待とうじゃないか」
「誰かと待ち合わせているのかい?それは心強いなあ」
「ええ。モクバさんやドロテアさん、それに順調に進んでいれば俊國さんやエリスさん...上手くいけばルサルカさんも合流できるはずです」
「えっ」
「誰かと待ち合わせているのかい?それは心強いなあ」
「ええ。モクバさんやドロテアさん、それに順調に進んでいれば俊國さんやエリスさん...上手くいけばルサルカさんも合流できるはずです」
「えっ」
滲んでいた涙が急速に引っ込むのを自覚する。
「どうされましたか?」
「い、いや、なんでもないよ」
「い、いや、なんでもないよ」
永沢の反応を不思議に思ったキウルは思わず疑問符を浮かべるが、永沢は慌てて取り繕う。
モクバ。ドロテア。俊國。エリス。
キウルの挙げた名前は、そのどれもが永沢の知っている名前だ。
より深く言うならば、永沢と城ケ崎が中島を殺したことを知っている連中だ。
モクバ。ドロテア。俊國。エリス。
キウルの挙げた名前は、そのどれもが永沢の知っている名前だ。
より深く言うならば、永沢と城ケ崎が中島を殺したことを知っている連中だ。
(エリスっていうのは化けた磯野カツオのことだろうが...マズイ。このままだとすごくマズイぞ!)
よりにもよってキウルとディオが彼らと合流しようとしているとは思わなかった。
再びカツオに遭遇すれば、今度こそ殺されるかもしれない。
城ケ崎が生きてきた時はそれでもよかったが今は駄目だ。絶対に死ぬわけにはいかない。
ここから離れようとも思ったが、しかし、同行したいといった手前、即座に離れるのは違和感がすぎる。
うまい言い訳も思いつかない。
再びカツオに遭遇すれば、今度こそ殺されるかもしれない。
城ケ崎が生きてきた時はそれでもよかったが今は駄目だ。絶対に死ぬわけにはいかない。
ここから離れようとも思ったが、しかし、同行したいといった手前、即座に離れるのは違和感がすぎる。
うまい言い訳も思いつかない。
(こ、こうなったらまた誰かに来てもらうのを祈るしかない。対主催でなくとも、また乱戦になれば僕が逃げる隙も生まれるはずだ!)
永沢が願うのは、第三者による介入。
新しい対主催の人間が来て二手に別れるのもよし、サトシが語っていたインセクター羽賀や藤木のような手に負える範囲の危険人物が来て状況をかき乱してくれるのもよし。
なんでもいいからキッカケをくれと願い続ける。
新しい対主催の人間が来て二手に別れるのもよし、サトシが語っていたインセクター羽賀や藤木のような手に負える範囲の危険人物が来て状況をかき乱してくれるのもよし。
なんでもいいからキッカケをくれと願い続ける。
しかし、奇跡は起こらず。
道中は誰とも遭遇せず、至って平和であり。
「おお、キウルとディオではないか」
むしろ、ホテルに着くまでのタイムリミットが短くなっただけだった。
☆
「うへえ」
カツオやクロ達のことは切り替え、海馬コーポレーションへ向かおうとしていた矢先、東の方角から聞こえてきた轟音と迸る閃光にドロテアは思わずそんな言葉を漏らした。
この会場には自分では到底及ばない強者共がいるのは理解していた。
そのつもりだった。
しかし、あの規模の戦闘までもが行われているとは予想だにしていなかった。
あれは先ほどの中島の皮を被った怪物やそれとやり合う俊國、そのさらに上の領域だ。
大雑把にみても自分も調整を手伝った至高の帝具・シコウテイザーの攻撃力と遜色ないように思える。
この会場には自分では到底及ばない強者共がいるのは理解していた。
そのつもりだった。
しかし、あの規模の戦闘までもが行われているとは予想だにしていなかった。
あれは先ほどの中島の皮を被った怪物やそれとやり合う俊國、そのさらに上の領域だ。
大雑把にみても自分も調整を手伝った至高の帝具・シコウテイザーの攻撃力と遜色ないように思える。
あんな異次元バトルに巻き込まれるのはごめんじゃ、と海馬コーポレーションへと向かっていた進路を切り替え、近くの施設である聖ルチーア学園の方へと向かう。
ドロテアの知る由もないが、ここは勉強第一の進学校。
その名に恥じぬ簡易的な医療道具や薬品、双眼鏡や独房などそこそこ役立ちそうなものも多くあり、彼女の萎えかけた気持ちを少しだけ癒してくれた。
ドロテアの知る由もないが、ここは勉強第一の進学校。
その名に恥じぬ簡易的な医療道具や薬品、双眼鏡や独房などそこそこ役立ちそうなものも多くあり、彼女の萎えかけた気持ちを少しだけ癒してくれた。
「さーて。周りはどうなっておるかの」
ドロテアは屋上から双眼鏡を覗きながら周囲を見渡す。
「むむっ」
学院から南の方角において、ドロテアは東に進むディオ・キウル・永沢の三人を発見する。
永沢はどうでもいいが、どうやらディオとキウルは無事に海の調査も終えたようだと判断し、彼らのもとへ向かうためにモクバを起こそうとする。
が、しかし、思いとどまる。
いまモクバを起こすのはウマくないと。
永沢はどうでもいいが、どうやらディオとキウルは無事に海の調査も終えたようだと判断し、彼らのもとへ向かうためにモクバを起こそうとする。
が、しかし、思いとどまる。
いまモクバを起こすのはウマくないと。
(こいつがいるとできることの幅が狭まるからの)
先のグレーテル達との戦いでもそうだったが、モクバは誰でも受け入れようとする度量がある代わりに誰の犠牲も許そうとしない。
ある程度までは現実主義者でいられるのだが、一つの線を越えると一気にロマンチストと化してしまう。
ドロテアとしても、ずっとそれに縛られるのは窮屈でしかない。
ある程度までは現実主義者でいられるのだが、一つの線を越えると一気にロマンチストと化してしまう。
ドロテアとしても、ずっとそれに縛られるのは窮屈でしかない。
「ま、未だに目を覚まさないお主が悪いということで」
ドロテアはカツオのデイバックに眠る最後の支給品、『チョッパーの医療セット』の中から麻酔を取り出し、首筋に打ち込む。
すると、モクバはそのまますーすーと穏やかな寝息を立て始めた。
すると、モクバはそのまますーすーと穏やかな寝息を立て始めた。
「これでよし。あとは適当に、もう少し苦戦した様相を醸し出して...」
ドロテアは教室にあった黒板消しでポンポンと服を叩き、埃っぽく彩ると、モクバを抱えたままディオたちの先回りをするのだった。
「電脳世界を実体化させた...それがルサルカとやらの考えか」
ディオとキウルから聞かされた海の調査報告に、ドロテアはそう言葉を漏らした。
「信じ難いかもしれないが、一応根拠も提示されている。彼女の考えでは、ただ電脳世界で支配しているだけではこれだけの参加者の肉体を管理するのは難しいとのことだ」
「まあ概ね同意じゃの。その場限りで厄災から守るだけならいざ知らず、意識のない数十人を生理的欲求からなにまで面倒を見るのは骨が折れる」
「じゃあやっぱりルサルカさんの予想は正しいのでしょうか」
「そうとも限らん。ルサルカの考えはあくまでも乃亜が1人だった場合じゃ。1人で数十人を管理するのが無理なら同じ人数を揃えれば問題なくなる。部下か、或いは事情をよく知らんその場限りの日雇いなんかをな」
「となると、現状ではまだ断定できないか...」
「まあ概ね同意じゃの。その場限りで厄災から守るだけならいざ知らず、意識のない数十人を生理的欲求からなにまで面倒を見るのは骨が折れる」
「じゃあやっぱりルサルカさんの予想は正しいのでしょうか」
「そうとも限らん。ルサルカの考えはあくまでも乃亜が1人だった場合じゃ。1人で数十人を管理するのが無理なら同じ人数を揃えれば問題なくなる。部下か、或いは事情をよく知らんその場限りの日雇いなんかをな」
「となると、現状ではまだ断定できないか...」
ドロテアにしてもディオにしてもキウルにしても、電脳世界の知識に通じていないためできることは殆ど無いが、しかし浮かびかけた答えを断定できず放置するのは些か気持ちが悪い。
「まあこの件は置いておこう。電脳世界や乃亜に関してはモクバが目を覚ましてから聞くとしよう」
ディオのこの言葉で一旦打ち切られ、次の話題に移ることになる。
「それで、そっちはなにがあったんだい?その怪我からして僕を小さくした奴以外にもなにかしらがあったと窺えるが」
「察しの通りじゃ。お主を小さくしたのは藤木という名でな。俊國達が到着する前にカタがついたんじゃが...というか永沢、お主、こやつらに伝えとらんかったんか」
「察しの通りじゃ。お主を小さくしたのは藤木という名でな。俊國達が到着する前にカタがついたんじゃが...というか永沢、お主、こやつらに伝えとらんかったんか」
急な振り方にここまでずっと黙って存在感を殺していた永沢がビクリと体を震わせる。
「い、いや、その...」
「ドロテアさん、永沢さんと会っていたんですか?」
「うむ。藤木を取り押さえた後にこやつらもやってきてな。その後、なんやかんやで新しい襲撃者に襲われてそやつは先に藤木と共に逃げ出したんじゃ。同郷の士だったらしい」
「ドロテアさん、永沢さんと会っていたんですか?」
「うむ。藤木を取り押さえた後にこやつらもやってきてな。その後、なんやかんやで新しい襲撃者に襲われてそやつは先に藤木と共に逃げ出したんじゃ。同郷の士だったらしい」
ドロテアのその告発にキウルとディオの懐疑の視線が永沢に集まる。
「ち、違うんだ!あれは藤木くんが勝手に僕を連れ出して!」
永沢は慌てて弁明を試みる。こうなるから嫌だったのだ。現状、自分は殺し合いに乗っていなくても、あの現場に居合わせた者ならマーダーの藤木と共謀して逃げたと思われても仕方ない。ーーー本当に余計なことをしてくれたな、あいつは。
内心で藤木に毒を吐きながら、永沢は必死になって弁解を続ける。
内心で藤木に毒を吐きながら、永沢は必死になって弁解を続ける。
「その証拠に僕はあいつと行動していないじゃないか!僕があいつと協力して殺し合いに乗ったなら丸腰同然でどう人を殺せと言うんだ!?」
「確かにそうですけど……」
「そんなもの、そこらの石でも拾えれば事足りるだろう。知ってるか?大昔の人間は石を使って戦争をしていたんだぜ」
「確かにそうですけど……」
「そんなもの、そこらの石でも拾えれば事足りるだろう。知ってるか?大昔の人間は石を使って戦争をしていたんだぜ」
永沢の弁明も虚しくキウルとディオの懐疑は消えない。
当然だ。永沢とて、立場が逆なら同じ反応をする。だが、今は対主催に協力しようとしているのは本当なのだ。
どう信じて貰えばいいか悩んでいた時だった。
当然だ。永沢とて、立場が逆なら同じ反応をする。だが、今は対主催に協力しようとしているのは本当なのだ。
どう信じて貰えばいいか悩んでいた時だった。
「あー、待て待て。妾の言い方が悪かった。確かにそやつは藤木と一緒に逃げたが、手を引いてたのは藤木じゃ。おそらく永沢を盾にしたつもりだったんじゃろう。で、難を逃れて用済みになった永沢をいざ殺そうとはしたが、なんらかのアクシデントでできなかった。その隙を突いて逃げ出した。言い出せなかったのは疑われるのが怖かった...といったところじゃろ?」
思わぬ助け舟に永沢はつむりかけた目を開ける。
「安心せい。妾はちゃんとわかっておるからの」
「そ、そうか。それならいいんだ……」
「そ、そうか。それならいいんだ……」
ドロテアのその言葉に永沢は心底ホッとした。何故かはわからないが、ドロテアは中島殺害の件とそれに伴うカツオとの問題を二人に知らせるつもりはないらしい。
「まあ、そういう事情なら僕からはこれ以上なにも言うことはないな」
「そうですね。すみません問い詰めるような真似をしてしまって」
「そうですね。すみません問い詰めるような真似をしてしまって」
ディオもキウルも一応の納得はしてくれたようだ。
「ああ、いや、いいさ。僕も隠していたから紛らわしいことになっただけだからね」
ひとまずの難を逃れたことから、永沢は安堵の息をつく。
それからドロテアからも、藤木からの一連の流れと、全身刃物女と色黒の少女から、モクバと二人でなんとか逃げ出したことを、大雑把にディオ達に話し、ひとまずの情報の共有も終わる。
それからドロテアからも、藤木からの一連の流れと、全身刃物女と色黒の少女から、モクバと二人でなんとか逃げ出したことを、大雑把にディオ達に話し、ひとまずの情報の共有も終わる。
「あらかた情報も交換し終えたことだし、モクバの奴も起こして方針を決めようと思うが...その前にやっておきたいことがある」
「やっておきたいことだと?」
「うむ。現状、妾たちは協力者を多く作れておる。この場の五人に、サトシ、古手梨花、磯野カツオ、俊國、ルサルカ、一姫、ガッシュの11人。半日も経たずに1割も手を組めたのは僥倖じゃ。しかし、俊國が相手をした奴や北条沙都子の率いていた奴、孫悟空といった強者側の連中が殺し合いに乗っておったことを考えると、ハッキリ言って心許ないのは否めん。もしも奴ら、或いはそれに匹敵する者に襲われて、大なり小なり抵抗できるのは妾達の中でも半分くらいじゃからな」
「やっておきたいことだと?」
「うむ。現状、妾たちは協力者を多く作れておる。この場の五人に、サトシ、古手梨花、磯野カツオ、俊國、ルサルカ、一姫、ガッシュの11人。半日も経たずに1割も手を組めたのは僥倖じゃ。しかし、俊國が相手をした奴や北条沙都子の率いていた奴、孫悟空といった強者側の連中が殺し合いに乗っておったことを考えると、ハッキリ言って心許ないのは否めん。もしも奴ら、或いはそれに匹敵する者に襲われて、大なり小なり抵抗できるのは妾達の中でも半分くらいじゃからな」
ドロテアの言う通り、11人も集まっている中で、戦闘ができる面子は俊國、サトシ、一姫、ドロテア、ルサルカ、ガッシュ、キウルの七人。
その中でもまともに通用すると言えるのは俊國・サトシ・ガッシュ・ルサルカくらいなものだ。
その中でもまともに通用すると言えるのは俊國・サトシ・ガッシュ・ルサルカくらいなものだ。
「ならもっと協力者を増やせばいいんじゃないかい?」
「それが理想じゃが、果たして人数が減っていく中でどれだけの人間と手を組めるかの」
「それが理想じゃが、果たして人数が減っていく中でどれだけの人間と手を組めるかの」
時間は絶えず動いている。こうして四人で話し合っている内にも知らぬ場で誰かが命を散らしているかもしれない。
「誰かに頼るばかりでなく、僕らの中でどうにかする手段を探るべきか」
「その通り。何よりもまずは地力を上げておくのが手っ取り早いわ。と言うわけで」
「その通り。何よりもまずは地力を上げておくのが手っ取り早いわ。と言うわけで」
ドロテアはそこで一旦言葉を切り、ディオ、キウル、永沢の順番に指を指す。
「主らの中から1人選んで妾に血を吸わせておくれ」
「なに?」
「なに?」
突然の申し出にディオが顔をしかめる。
「簡単に言うとじゃな。妾は他者の血を吸って力を増すことができる。さっきの戦闘で消耗したからの。今後のことを見据えて今のうちに摂取しておきたい」
「そういうことですか。なら私が」
「待て」
「そういうことですか。なら私が」
「待て」
ドロテアに血を差し出そうとするキウルをディオはすぐに制する。
「ドロテア。きみはいま、僕らに誰を吸わせるかを選べと言ったな。それはつまり、僕らが嫌がることだということ。きみを強化する代わりに僕らがなにかしらのリスクを負うことになるんじゃあないか?」
ディオの指摘に一瞬流れる沈黙の空気。程なくして、ドロテアはニィと口角を吊り上げた。
「察しがいいの、ディオよ。まあ端的に言えば、ちょっとの吸血ではすまんということじゃ。なに、殺しはせん。ただ少し貧血で動けなくなるかもしれんがの」
あっけらかんと言い放つドロテアに、三人の表情が強張る。今は殺し合いの場だ。こんな状況下で動けなくなることはそれだけ死に近づくことになる。
「さあどうする?誰も立候補せんのなら妾が適当に選ぶが?」
「...血を吸わないという選択肢はないのか?」
「無い。言ったじゃろ。妾も消耗しておるからここで摂取しておかんと生死に関わってくる。無理矢理襲ってもいいならそうするが」
「くっ...」
「...血を吸わないという選択肢はないのか?」
「無い。言ったじゃろ。妾も消耗しておるからここで摂取しておかんと生死に関わってくる。無理矢理襲ってもいいならそうするが」
「くっ...」
ディオは小さく歯噛みする。
ドロテアの言葉が真であれ嘘であれ、吸血されるのは避けられない運命にあるようだ。
この中で1番強いと思われるドロテアがこちらに選択肢を委ねているのは気まぐれかあるいは彼女なりの譲歩か。
なんにせよ、戦力になるとはいえ、モクバならいざ知らずこんな微塵も信用できない相手に血を与えるような真似はしたくない。
ドロテアの言葉が真であれ嘘であれ、吸血されるのは避けられない運命にあるようだ。
この中で1番強いと思われるドロテアがこちらに選択肢を委ねているのは気まぐれかあるいは彼女なりの譲歩か。
なんにせよ、戦力になるとはいえ、モクバならいざ知らずこんな微塵も信用できない相手に血を与えるような真似はしたくない。
どうにかして血を吸われない方法を思考模索しているディオの一方、永沢もまた己が狙われない方法を脳内で探す。
永沢はディオとは違い、ドロテアに対して反発心や警戒心を抱いていない。
しかしだからといって彼女のために動けなくなるかもしれないリスクなど負いたくない。
しかし、戦力的にも技術的にも彼女とモクバの協力無しに勝ち残るのは困難を極めるだろう。
永沢はディオとは違い、ドロテアに対して反発心や警戒心を抱いていない。
しかしだからといって彼女のために動けなくなるかもしれないリスクなど負いたくない。
しかし、戦力的にも技術的にも彼女とモクバの協力無しに勝ち残るのは困難を極めるだろう。
「...わかりました。私を吸ってください」
二人が悩んでいる間にそう進言したのは、キウルだった。
「待てキウル」
ディオはそんなキウルを咄嗟に止めようとする。
キウルを気遣っているわけではないが、どうせならロクに役に立たない永沢を吸わせておきたいという魂胆からだが。
キウルを気遣っているわけではないが、どうせならロクに役に立たない永沢を吸わせておきたいという魂胆からだが。
「大丈夫です、ディオさん」
そんなディオの目論見など知る由もなく、キウルはディオを安心させるかのように微笑みかける。
「殺すつもりならドロテアさんもこんな提案せずに力づくでくると思います。それに、万が一のことがあったら...お願いします」
『万が一』。意味深に添えられたその言葉の意図を察したディオは「わかった」と小さく肯首する。
キウルとてドロテアを信頼しきっている訳ではない。だからこそ、危険を買って出て、もしも彼女が裏切って殺しに来たら、ディオの持つバシルーラの杖で彼女を何処ぞにとばすなり永沢を連れて逃げるなりして欲しいと言外に頼んだのだ。
永沢はそんなキウルの意図など知らないが、立候補してくれるなら助かったと声をあげずに空気に徹した。
キウルとてドロテアを信頼しきっている訳ではない。だからこそ、危険を買って出て、もしも彼女が裏切って殺しに来たら、ディオの持つバシルーラの杖で彼女を何処ぞにとばすなり永沢を連れて逃げるなりして欲しいと言外に頼んだのだ。
永沢はそんなキウルの意図など知らないが、立候補してくれるなら助かったと声をあげずに空気に徹した。
「お主か。ものわかりが良い奴は好きじゃぞ。よく妾の手を煩わせなかった」
えらいえらい、とドロテアは子供を褒める教師のようにキウルの頭を撫でる。
どこか胡散臭いところはあってもドロテアは見た目美少女だ。
そんなドロテアに頭を撫でられてキウルは年相応の少年らしく頰を紅潮させて照れる。
どこか胡散臭いところはあってもドロテアは見た目美少女だ。
そんなドロテアに頭を撫でられてキウルは年相応の少年らしく頰を紅潮させて照れる。
「ご褒美じゃ。どこから血を吸われたい?30秒だけ考える時間をやろう」
「え?えと...」
「え?えと...」
突然の質問にキウルは戸惑い疑問符を浮かべる。
「質問の意図がわかっておらんのかの?なら実演を踏まえて教えてやる」
ドロテアは自前の怪力でキウルをくるりと反転させると、その背中にピタリとほんのり膨らんだ胸を押し付ける。
「ふえ!?」
思わぬ感触にキウルは頓狂な悲鳴をあげた。
「背中であれば妾のキュートなボディを直に感じられるし」
これまたすぐさまくるりとキウルを反転させると、今度は向かい合わせになり、密着してじっとその眼を見つめれば、ますますキウルの顔は赤く染まっていく。
「正面からの頸筋なら妾を抱きしめながら吸われることができる」
「あ、あわわわわわ」
「あ、あわわわわわ」
ますますぐるぐると眼を回していくキウルの頬にそっと掌を添え、己の唇を徐々に近づけていく。
「恋人のように熱い口付けを交わしながら舌から吸うのもオツかもしれんなあ」
甘い吐息が口内に侵入してくるのを必死に堪え、キウルは理性と本能の狭間で叫ぶ。
「せ、背中!背中でお願いしますぅ!」
「うむ。了解じゃ」
「うむ。了解じゃ」
キウルの要望に答え、ドロテアはキウルをくるりとまわし、背中側から抱きつく。
「では...あーん」
ドロテアの体温とほのかな柔らかさを感じどぎまぎしつつ、牙が迫ってくる気配に晒されながら、キウルはぎゅっと目を瞑った。
(あれ、どこでもいいなら腕とかで良かったんじゃ...)
キウルがそのことに気がついた時にはもう遅い。
かぷり。
ドロテアはキウルの背中に噛み付いた。
かぷり。
ドロテアはキウルの背中に噛み付いた。
「んっ...」
鋭い刺激にキウルは顔を歪める。
(...?思ったより痛くない?)
てっきりもっと痛いものだと思っていたが、意外にも痛みはそれほど強くない。
むしろ擽ったいような心地よい感覚がドロテアの牙から伝わってくる。
むしろ擽ったいような心地よい感覚がドロテアの牙から伝わってくる。
(あとなんだか...力が抜ける感じが気持ちいい...かも)
恍惚の表情でトロンとした目をするキウルに構わずドロテアは血を吸い上げていく。
(ん...うまっ。獣の野暮ったさと若人の血特有の精気の溢れ具合が程よく絡まり合って極上じゃ!)
彼女も彼女でキウルの血の美味さに爛々と目を輝かせていた。
危険種と混じったレオーネやタツミの血は濃厚で美味かったため、獣人らしいキウルには最初から目を付けていたがこれが大当たり。
つい夢中で吸い付いてしまうが、そこはなんとか理性を保ち加減する。
じゅるじゅるじゅる。
危険種と混じったレオーネやタツミの血は濃厚で美味かったため、獣人らしいキウルには最初から目を付けていたがこれが大当たり。
つい夢中で吸い付いてしまうが、そこはなんとか理性を保ち加減する。
じゅるじゅるじゅる。
「んんっ...はあっ、うっ...」
キウルは顔を真っ赤にしながら堪える。背中に張り付くドロテアの体温がまるで愛撫のように感じられて身体が疼いてしまう。
「ぷはっ」
ドロテアの牙が抜かれると同時、キウルは放尿にも似た脱力感と浮遊感に襲われる。
(お、終わった...?)
全身が疼き、弛緩したその隙を突くように。
トスリ、とキウルの首筋に小さな痛みが走る。
トスリ、とキウルの首筋に小さな痛みが走る。
「美味であったぞキウル。しばし休んでおけ」
ドロテアのその言葉を聞いた途端、キウルの瞼が重くなり意識も闇に堕ちていった。
☆
「ふっ。胸の一つでこうも初々しく慌てふためくとは。童貞はちょろくて助かるわ」
「...どういうつもりだ?」
「ふっ。胸の一つでこうも初々しく慌てふためくとは。童貞はちょろくて助かるわ」
「...どういうつもりだ?」
ディオも永沢も一連の出来事を見ていたが、いま、ドロテアは明らかにキウルの首筋に何かを打ち込み失神させた。
息はしているので殺してはいないようだが。
息はしているので殺してはいないようだが。
「簡単なことよ。もとから妾はキウルを吸うつもりだった。ああいう風に言えばキウルが立候補するのは目に見えていたからの。用があったのはお主らじゃ。こいつやモクバがいては出来ん話もあるからの」
「なんだいその話っていうのは」
「なんだいその話っていうのは」
ドロテアの言葉に永沢は眉を潜める。
「喜べ永沢。カツオの奴は恐らく死におったぞ。中島の件で憂いてた諍いもこれで消えたであろう」
カツオ。その名前が出た途端に永沢の鼓動がドキリと跳ねる。
それは、死んだことに対する悲哀ではなく。
カツオという最大の警戒対象の名前が出され、あまつさえそれを喜べと言われたからだ。
つまり、永沢のスタンスがただの一般人対主催ではないことは、とうにドロテアにはバレていたことになる。
だから敢えて先ほどまでカツオが同行していたことを明かさなかったのだ。
それは、死んだことに対する悲哀ではなく。
カツオという最大の警戒対象の名前が出され、あまつさえそれを喜べと言われたからだ。
つまり、永沢のスタンスがただの一般人対主催ではないことは、とうにドロテアにはバレていたことになる。
だから敢えて先ほどまでカツオが同行していたことを明かさなかったのだ。
「ドロテア。きみは永沢のことをよく知っているようだが、庇ったり所業を暴いたりどういうつもりだい?」
「もう猫は被らんでいいぞ。いまここにいるのは同じ穴の狢だけ。己の為なら他人などどーでもいい悪党だけじゃ」
「もう猫は被らんでいいぞ。いまここにいるのは同じ穴の狢だけ。己の為なら他人などどーでもいい悪党だけじゃ」
口角を釣り上げ邪悪な笑みを浮かべるドロテアに対し、ディオは紳士然とした微笑みを捨て真顔になる。
「...フン、女狐が。改めて問わせてもらうぞ。どういうつもりで僕らの前で本性を表した?」
ディオは、いつ襲い掛かられてもいいように、バシルーラの杖を懐に忍ばせながら問う。
「なに。理想を夢見る子守りに少々飽いただけのことよ。今は妾たち3人で悪党の話をしようではないか」
ドロテアの言葉にディオは少しだけ逡巡する。
確かにこのままモクバやキウルを宛てにして協力するだけでは、なるべく犠牲者を出さないようにと、とれる手段が限られていくのは目に見えている。
ならば、こうして彼らの目がかからないうちにダーティな手段を進めておくのも必要なことだ。
確かにこのままモクバやキウルを宛てにして協力するだけでは、なるべく犠牲者を出さないようにと、とれる手段が限られていくのは目に見えている。
ならば、こうして彼らの目がかからないうちにダーティな手段を進めておくのも必要なことだ。
「...いいだろう。いつまでも正攻法でいけると思うほど僕は能天気でも馬鹿でもないからな」
クツクツと邪悪に笑い合う二人に挟まれ、空気的に置いて行かれていると思った永沢は、とりあえずクラスメイトの野口笑子のように「くっくっくっ」と笑みを漏らして二人に合わせるのだった。
【G-6/一日目/朝】
【ドロテア@アカメが斬る!】
[状態]健康、高揚感、キウルからの吸血でお肌つやつや
[装備]血液徴収アブゾディック、魂砕き(ソウルクラッシュ)@ロードス島伝説
[道具]基本支給品 ランダム支給品0~1、セト神のスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険、城ヶ崎姫子の首輪
「水」@カードキャプターさくら(夕方まで使用不可)、変幻自在ガイアファンデーション@アカメが斬る!
グリフィンドールの剣@ハリーポッターシリ-ズ、チョッパーの医療セット@ONE PIECE
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:モクバとキウルが起きないうちに悪党同士の悪だくみを済ませておく。
1:とりあえず適当な人間を三人殺して首輪を得るが、モクバとの範疇を超えぬ程度にしておく。
2:写影と桃華は凄腕の魔法使いが着いておるのか……うーむ
3:海馬モクバと協力。意外と強かな奴よ。利用価値は十分あるじゃろう。
4:海馬コーポレーションへと向かう。
5:キウルの血ウマっ!
[備考]
※参戦時期は11巻。
※若返らせる能力(セト神)を、藤木茂の能力では無く、支給品によるものと推察しています。
※若返らせる能力(セト神)の大まかな性能を把握しました。
※カードデータからウィルスを送り込むプランをモクバと共有しています。
[状態]健康、高揚感、キウルからの吸血でお肌つやつや
[装備]血液徴収アブゾディック、魂砕き(ソウルクラッシュ)@ロードス島伝説
[道具]基本支給品 ランダム支給品0~1、セト神のスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険、城ヶ崎姫子の首輪
「水」@カードキャプターさくら(夕方まで使用不可)、変幻自在ガイアファンデーション@アカメが斬る!
グリフィンドールの剣@ハリーポッターシリ-ズ、チョッパーの医療セット@ONE PIECE
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:モクバとキウルが起きないうちに悪党同士の悪だくみを済ませておく。
1:とりあえず適当な人間を三人殺して首輪を得るが、モクバとの範疇を超えぬ程度にしておく。
2:写影と桃華は凄腕の魔法使いが着いておるのか……うーむ
3:海馬モクバと協力。意外と強かな奴よ。利用価値は十分あるじゃろう。
4:海馬コーポレーションへと向かう。
5:キウルの血ウマっ!
[備考]
※参戦時期は11巻。
※若返らせる能力(セト神)を、藤木茂の能力では無く、支給品によるものと推察しています。
※若返らせる能力(セト神)の大まかな性能を把握しました。
※カードデータからウィルスを送り込むプランをモクバと共有しています。
【チョッパーの医療セット@ONE PIECE】
カツオの最後の支給品。
包帯とか麻酔とか輸血用の血液パックとかメスとか、だいたい揃っている。
カツオの最後の支給品。
包帯とか麻酔とか輸血用の血液パックとかメスとか、だいたい揃っている。
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]精神的疲労(中)、疲労(中)、敏感状態、服は半乾き、怒り、メリュジーヌに恐怖、強い屈辱(極大)、ボロ泣き、乃亜やメリュジーヌに対する強い殺意
[装備]バシルーラの杖[残り回数4回]@トルネコの大冒険3(キウルの支給品)
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:モクバとキウルが起きないうちに悪党同士の悪だくみを済ませておく。
1:キウルを利用し上手く立ち回る。
2:先ほどの金髪の痴女やメリュジーヌに警戒。奴らは絶対に許さない。
3:キウルの不死の化け物の話に嫌悪感。
4:海が弱点の参加者でもいるのか?
[備考]
※参戦時期はダニーを殺した後
[状態]精神的疲労(中)、疲労(中)、敏感状態、服は半乾き、怒り、メリュジーヌに恐怖、強い屈辱(極大)、ボロ泣き、乃亜やメリュジーヌに対する強い殺意
[装備]バシルーラの杖[残り回数4回]@トルネコの大冒険3(キウルの支給品)
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:モクバとキウルが起きないうちに悪党同士の悪だくみを済ませておく。
1:キウルを利用し上手く立ち回る。
2:先ほどの金髪の痴女やメリュジーヌに警戒。奴らは絶対に許さない。
3:キウルの不死の化け物の話に嫌悪感。
4:海が弱点の参加者でもいるのか?
[備考]
※参戦時期はダニーを殺した後
【永沢君男@ちびまる子ちゃん】
[状態]健康、城ヶ崎に人を殺させた事への罪悪感と後悔(極大)、悟空(カオス)に対する怒り(絶大)
[装備]ジャイアンのバッド@ドラえもん
[道具]基本支給品、ランダム支給品2~0
[思考・状況]基本方針:優勝でも打倒乃亜でもどちらでも良いので、生き延びて願いを叶える。
0:とりあえずこのままドロテアたちと話をする。なにを話すつもりだ?
1:自分の安全を確保できる対主催で強い参加者を探す。
2:リーゼロッテを始めとする化け物みたいな参加者を警戒する。
3:フジキング? 藤木君、気でも触れたんじゃないのかい?
4:城ヶ崎……。
5:手段を択ばず、悟空(カオス)を追い詰める。
[備考]
※アニメ版二期以降の参戦です。
[状態]健康、城ヶ崎に人を殺させた事への罪悪感と後悔(極大)、悟空(カオス)に対する怒り(絶大)
[装備]ジャイアンのバッド@ドラえもん
[道具]基本支給品、ランダム支給品2~0
[思考・状況]基本方針:優勝でも打倒乃亜でもどちらでも良いので、生き延びて願いを叶える。
0:とりあえずこのままドロテアたちと話をする。なにを話すつもりだ?
1:自分の安全を確保できる対主催で強い参加者を探す。
2:リーゼロッテを始めとする化け物みたいな参加者を警戒する。
3:フジキング? 藤木君、気でも触れたんじゃないのかい?
4:城ヶ崎……。
5:手段を択ばず、悟空(カオス)を追い詰める。
[備考]
※アニメ版二期以降の参戦です。
【海馬モクバ@遊戯王デュエルモンスターズ】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、全身に掠り傷、俊國(無惨)に対する警戒、睡眠
[装備]:青眼の白龍&翻弄するエルフの剣士(昼まで使用不可)@遊戯王デュエルモンスターズ
雷神憤怒アドラメレク(片手のみ、もう片方はランドセルの中)@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、小型ボウガン(装填済み) ボウガンの矢(即効性の痺れ薬が塗布)×10
[思考・状況]基本方針:乃亜を止める。人の心を取り戻させる。
0:睡眠中
1:東側に向かい、孫悟飯という参加者と接触する。
2:殺し合いに乗ってない奴を探すはずが、ちょっと最初からやばいのを仲間にしちまった気がする
3:ドロテアと協力。俺一人でどれだけ抑えられるか分からないが。
4:海馬コーポレーションへ向かう。
5:俊國(無惨)とも協力体制を取る。可能な限り、立場も守るよう立ち回る。
6:ホテルで第二回放送時(12時)にディオ達と合流する。
7:カードのデータを利用しシステムにウィルスを仕掛ける。その為にカードも解析したい。
8:グレーテルを説得したいが……
[備考]
※参戦時期は少なくともバトルシティ編終了以降です。
※電脳空間を仮説としつつも、一姫との情報交換でここが電脳世界を再現した現実である可能性も考慮しています。
※殺し合いを管理するシステムはKCのシステムから流用されたものではと考えています。
※アドラメレクの籠手が重いのと攻撃の反動の重さから、モクバは両手で構えてようやく籠手を一つ使用できます。
その為、籠手一つ分しか雷を操れず、性能は半分以下程度しか発揮できません。
※ディオ達との再合流場所はホテルで第二回放送時(12時)に合流となります。
無惨もそれを知っています。
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、全身に掠り傷、俊國(無惨)に対する警戒、睡眠
[装備]:青眼の白龍&翻弄するエルフの剣士(昼まで使用不可)@遊戯王デュエルモンスターズ
雷神憤怒アドラメレク(片手のみ、もう片方はランドセルの中)@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、小型ボウガン(装填済み) ボウガンの矢(即効性の痺れ薬が塗布)×10
[思考・状況]基本方針:乃亜を止める。人の心を取り戻させる。
0:睡眠中
1:東側に向かい、孫悟飯という参加者と接触する。
2:殺し合いに乗ってない奴を探すはずが、ちょっと最初からやばいのを仲間にしちまった気がする
3:ドロテアと協力。俺一人でどれだけ抑えられるか分からないが。
4:海馬コーポレーションへ向かう。
5:俊國(無惨)とも協力体制を取る。可能な限り、立場も守るよう立ち回る。
6:ホテルで第二回放送時(12時)にディオ達と合流する。
7:カードのデータを利用しシステムにウィルスを仕掛ける。その為にカードも解析したい。
8:グレーテルを説得したいが……
[備考]
※参戦時期は少なくともバトルシティ編終了以降です。
※電脳空間を仮説としつつも、一姫との情報交換でここが電脳世界を再現した現実である可能性も考慮しています。
※殺し合いを管理するシステムはKCのシステムから流用されたものではと考えています。
※アドラメレクの籠手が重いのと攻撃の反動の重さから、モクバは両手で構えてようやく籠手を一つ使用できます。
その為、籠手一つ分しか雷を操れず、性能は半分以下程度しか発揮できません。
※ディオ達との再合流場所はホテルで第二回放送時(12時)に合流となります。
無惨もそれを知っています。
【キウル@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]精神的疲労(大)、疲労(大)、敏感状態、服は半乾き、軽い麻痺状態(治療済み)、ルサルカに対する心配(大)、睡眠、貧血気味(行動にはさほど支障のない範囲)
[装備]弓矢@現実(ディオの支給品)
[道具]基本支給品、闇の基本支給品、闇のランダム支給品0~2、モクバの考察が書かれたメモ
[思考・状況]
基本方針:殺し合いからの脱出
0:睡眠中
1:ディオや永沢を護る。
2:先ほどの金髪の少女に警戒
3:ネコネさんたち、巻き込まれてないといいけれど...
4:ルサルカさんが心配。
[備考]
※参戦時期は二人の白皇本編終了後
[状態]精神的疲労(大)、疲労(大)、敏感状態、服は半乾き、軽い麻痺状態(治療済み)、ルサルカに対する心配(大)、睡眠、貧血気味(行動にはさほど支障のない範囲)
[装備]弓矢@現実(ディオの支給品)
[道具]基本支給品、闇の基本支給品、闇のランダム支給品0~2、モクバの考察が書かれたメモ
[思考・状況]
基本方針:殺し合いからの脱出
0:睡眠中
1:ディオや永沢を護る。
2:先ほどの金髪の少女に警戒
3:ネコネさんたち、巻き込まれてないといいけれど...
4:ルサルカさんが心配。
[備考]
※参戦時期は二人の白皇本編終了後
082:スプーン一杯のグロテスク | 投下順に読む | 084:或る相棒の死 |
時系列順に読む | ||
073:ボーダーライン | ドロテア | 094:A ridiculous farce-お行儀の悪い面も見せてよ- |
海馬モクバ | ||
067:暗い水底の精霊達 | ディオ・ブランドー | |
キウル | ||
051:「藤木、友達を失くす」の巻 | 永沢君男 |