「ボ~」
電灯に照らされる夜の公園の中で、ふたば幼稚園に通う五歳児──ボーちゃんは、まずしんのすけたちを探そう、と決意した。
ボーちゃんは知っていたからだ。
毎回こういった非日常にはしんのすけが関わっている、という事を。
残虐に、二人の兄弟と思わしき子供を殺した乃亜の事は恐ろしかった。
だが、しんのすけ率いるかすかべ防衛隊はこれまで多くの危機を乗り越えてきた。
どんな強敵も、困難も、しんちゃんと一緒に、五人で潜り抜けてきた。
だから、今回もきっとそうなるはず。
楽観ではなく確かな信頼として、ボーちゃんはそう信じていた。
ボーちゃんは知っていたからだ。
毎回こういった非日常にはしんのすけが関わっている、という事を。
残虐に、二人の兄弟と思わしき子供を殺した乃亜の事は恐ろしかった。
だが、しんのすけ率いるかすかべ防衛隊はこれまで多くの危機を乗り越えてきた。
どんな強敵も、困難も、しんちゃんと一緒に、五人で潜り抜けてきた。
だから、今回もきっとそうなるはず。
楽観ではなく確かな信頼として、ボーちゃんはそう信じていた。
「ボ!」
そうと決まれば、さっそく行動開始だ。
取り合えず、地図を検めて、しんちゃん達が向かいそうな場所をチェックすることにする。
勿論、その前に周囲に誰か忍び寄っていないか確認するのも忘れない。
鼻水を垂らし、とても聡明そうには見えない見た目の少年だったが、ボーちゃんは五歳児とは思えない程の冷静さを兼ね備えていた。
取り合えず、地図を検めて、しんちゃん達が向かいそうな場所をチェックすることにする。
勿論、その前に周囲に誰か忍び寄っていないか確認するのも忘れない。
鼻水を垂らし、とても聡明そうには見えない見た目の少年だったが、ボーちゃんは五歳児とは思えない程の冷静さを兼ね備えていた。
「ボ…?」
だが、そんな時の事だった。
夜目が効かない子供の為に設置されたであろう電灯に照らされて。
そこは心なしかきらきらと光沢を放っている様だった。
事実、そこは電灯の光を反射して光っていた。
目を凝らして見てみると、その場所は年幼いボーちゃんでも馴み深い砂場だった。
その砂場でボーちゃんはある物を見つけた。
夜目が効かない子供の為に設置されたであろう電灯に照らされて。
そこは心なしかきらきらと光沢を放っている様だった。
事実、そこは電灯の光を反射して光っていた。
目を凝らして見てみると、その場所は年幼いボーちゃんでも馴み深い砂場だった。
その砂場でボーちゃんはある物を見つけた。
「ボ~!」
見つけたのは、彼がコレクションして集めている味わい深い石だった。
光に照らされて存在感を放つその石は、他のものが見れば何の変哲もない石だったが。
ボーちゃんにとっては、得も言われぬ惹かれる物を感じた。
きょろきょろと辺りを見回して、周囲に影がないことを確認する。
そしてそそくさと、その石に近づき、拾い上げた。
光に照らされて存在感を放つその石は、他のものが見れば何の変哲もない石だったが。
ボーちゃんにとっては、得も言われぬ惹かれる物を感じた。
きょろきょろと辺りを見回して、周囲に影がないことを確認する。
そしてそそくさと、その石に近づき、拾い上げた。
「ボォ…!これは、いい石!」
拾い上げた石は本当に何の変哲もない石だったが、ボーちゃんにとってはがっちり心を掴まれる一品だった。
この程度なら荷物にもならないし持っていこう、手に取った瞬間からそう決めた程だ。
大事にポケットに仕舞い、満足げに垂れている鼻水が揺れる。
さぁ、幸先のいいスタートを切ったところで今度こそしんちゃんを探しに行こう。
そう思い、砂場から離れようとした所で──異変が起こった。
この程度なら荷物にもならないし持っていこう、手に取った瞬間からそう決めた程だ。
大事にポケットに仕舞い、満足げに垂れている鼻水が揺れる。
さぁ、幸先のいいスタートを切ったところで今度こそしんちゃんを探しに行こう。
そう思い、砂場から離れようとした所で──異変が起こった。
「ボ……!?」
足が、砂場の砂に沈み込んでいる。
まるで、深い沼に嵌まった様だ。
直ぐに抜け出そうと足に力を籠め、直後、彼の両足を激痛が襲った。
まるで、深い沼に嵌まった様だ。
直ぐに抜け出そうと足に力を籠め、直後、彼の両足を激痛が襲った。
「ボ!?ボォオオオオッ!!!」
血しぶきが舞い、ボーちゃんの手と足元の砂を濡らした。
最初は何が起こったのか分からなかった。
焼けた鉄の棒を足に急に押し付けられた様な鋭い痛みが両足を襲い、その痛みに導かれるように視線を下げる。
そして、それを見た瞬間、背筋が凍った。
足元の砂がボーちゃんの足にまとわりつき、押しつぶしていたのだ。
しかも、起きる異変はそれだけに留まらない。
最初は何が起こったのか分からなかった。
焼けた鉄の棒を足に急に押し付けられた様な鋭い痛みが両足を襲い、その痛みに導かれるように視線を下げる。
そして、それを見た瞬間、背筋が凍った。
足元の砂がボーちゃんの足にまとわりつき、押しつぶしていたのだ。
しかも、起きる異変はそれだけに留まらない。
「こ…!この砂場、深いッッ!?」
ボーちゃんの体全体が、砂場に埋まり始めていた。
まるで、底なし沼か、砂漠で起きるという流砂の様に。
普通の砂場ではまずありえない現象がそこでは起きていた。
まるで、底なし沼か、砂漠で起きるという流砂の様に。
普通の砂場ではまずありえない現象がそこでは起きていた。
「た…助けて、しんちゃん!風間君!ネネちゃん!マサオくん!」
沈み込んでいく身体は、痛みさえも一瞬意識の外へ行ってしまうほどの恐怖だった。
何とか抜け出そうと藻掻くものの、壊れた足ではどうにもならない。
むしろ藻掻けば藻掻くほど体は沈み込んでいくのだ。
何とか抜け出そうと藻掻くものの、壊れた足ではどうにもならない。
むしろ藻掻けば藻掻くほど体は沈み込んでいくのだ。
「ボォ…たす、助けて!ボク、まだ死にたく……!!」
助けを求める声が、虚しく公園の中に木霊する。
何時もならこういう時絶対に来てくれる筈のしんのすけ達や、お助けの大人は、今回は現れない。
そうしている間にも、どんどん体は沈み込んでいく。
何時もならこういう時絶対に来てくれる筈のしんのすけ達や、お助けの大人は、今回は現れない。
そうしている間にも、どんどん体は沈み込んでいく。
「ボォ~!!」
恐怖に耐えきれず、叫び声をあげる。
それと、殆ど同時だった。
公園の入り口の辺りに、人影を見たのは。
一瞬、ボーちゃんの心の中で希望が湧いた。
やった、これで助かる、と。
だが、入り口から歩いてくるその人影が電灯に照らされた瞬間、希望は絶望へと反転する。
それと、殆ど同時だった。
公園の入り口の辺りに、人影を見たのは。
一瞬、ボーちゃんの心の中で希望が湧いた。
やった、これで助かる、と。
だが、入り口から歩いてくるその人影が電灯に照らされた瞬間、希望は絶望へと反転する。
「ぼ、ぉ……!」
電灯に照らされて佇むその少年は、まだ年齢は少年という外見だったが、ボーちゃんより一回りは上である様だった。
紅い髪に、隈取の様な深い隈、額に刻まれた文字、少年の背丈ほどもある大きな瓢箪。
それだけなら変わったいで立ちという話で済んだ。
ボーちゃんの心胆を何より凍らせたのは、少年のその瞳だ。
深い深い…暗闇の様な目だった。
その目を見た瞬間、語らずとも目の前の少年がこの事態を起こしたのだと直感する。
だが、その時にはもうすべてが遅かった。
紅い髪に、隈取の様な深い隈、額に刻まれた文字、少年の背丈ほどもある大きな瓢箪。
それだけなら変わったいで立ちという話で済んだ。
ボーちゃんの心胆を何より凍らせたのは、少年のその瞳だ。
深い深い…暗闇の様な目だった。
その目を見た瞬間、語らずとも目の前の少年がこの事態を起こしたのだと直感する。
だが、その時にはもうすべてが遅かった。
「ぼ、ぼぉ……しん、ちゃん……!」
もう体は、胴を通り過ぎて胸まで砂に埋まっている。
抜け出すどころか、藻掻く事さえ今となっては困難を極めた。
ボーちゃんはこの時自分の運命を悟った。
そして、ただ絶望するだけでは彼は終わらない。
片手をわざと砂の中に突っ込み、ポケットの中から先ほど拾った石を取り出す。
そして、砂に埋まりながらも自身の血で染まった指を走らせた。
抜け出すどころか、藻掻く事さえ今となっては困難を極めた。
ボーちゃんはこの時自分の運命を悟った。
そして、ただ絶望するだけでは彼は終わらない。
片手をわざと砂の中に突っ込み、ポケットの中から先ほど拾った石を取り出す。
そして、砂に埋まりながらも自身の血で染まった指を走らせた。
「後は……頼んだよ……!」
綴る文字はこの凶行に及んだ下手人である少年の額に刻まれた文字。
ボーちゃんはその文字がなんて書いてあるのか読めなかったが、真似して石に書くことはできた。
真っ赤な地文字で書かれた「愛」の一文字が、石に記される。
そうして書いた石を、砂場の外に放り投げた。
それは、ボーちゃんも家族と一緒に見る推理ドラマで行われていた行為だった。
ダイイングメッセージという名の、死者から生者へ遺すメッセージだ。
それを終えると、ボーちゃんができる事は完全に終わった。
ボーちゃんはその文字がなんて書いてあるのか読めなかったが、真似して石に書くことはできた。
真っ赤な地文字で書かれた「愛」の一文字が、石に記される。
そうして書いた石を、砂場の外に放り投げた。
それは、ボーちゃんも家族と一緒に見る推理ドラマで行われていた行為だった。
ダイイングメッセージという名の、死者から生者へ遺すメッセージだ。
それを終えると、ボーちゃんができる事は完全に終わった。
(……しんちゃん達が……ここに……来て、ませんように……)
最後に思い浮かぶのは両親と、今迄多くの冒険を繰り広げてきた友達の顔だった。
もししんちゃん達がいたら、自分を殺した少年には気を付けて欲しいけれど。
それでもやっぱり、こんな殺し合いにいないのならそれが一番だと、そう思った。
それが、ボーちゃんの意識が闇に閉ざされる前の、最後に考えた事だった。
もししんちゃん達がいたら、自分を殺した少年には気を付けて欲しいけれど。
それでもやっぱり、こんな殺し合いにいないのならそれが一番だと、そう思った。
それが、ボーちゃんの意識が闇に閉ざされる前の、最後に考えた事だった。
【ボーちゃん@クレヨンしんちゃん 死亡】
──貴女の名は我愛羅
──我を愛する修羅……
──自分だけを愛しなさい、そして自分のためだけに戦いなさい。
────そうすれば、アナタは存在し続ける。
──我を愛する修羅……
──自分だけを愛しなさい、そして自分のためだけに戦いなさい。
────そうすれば、アナタは存在し続ける。
「あぁ……分かってる、分かってるよ、母さん……」
先ず一人目だ、砂隠れの里の忍、砂漠の我愛羅は今しがた殺した子供の荷物を奪いながらそう思った。
最初に自分の犠牲になったのは忍者ですらない、ただの子供だったらしい。
全くと言っていいほど、歯ごたえのない相手だった。
一応唯一抵抗らしい抵抗であった、最後に放り投げた石は少し見てから放り捨てた。
自分が下手人である事を隠すつもりなど毛頭なかったから。
これでは足りない。まだまだ母さんと夜叉丸に捧げる血が足りない。
只の子供を何百人と喰らった所で、食前酒にもなりはしない。
より強い力の相手を、より強い憎しみを下した時にのみ、自分は己の生を実感できるのだから。
石を見て更なる敵が来てくれるのなら、それは願ったりだ。
最初に自分の犠牲になったのは忍者ですらない、ただの子供だったらしい。
全くと言っていいほど、歯ごたえのない相手だった。
一応唯一抵抗らしい抵抗であった、最後に放り投げた石は少し見てから放り捨てた。
自分が下手人である事を隠すつもりなど毛頭なかったから。
これでは足りない。まだまだ母さんと夜叉丸に捧げる血が足りない。
只の子供を何百人と喰らった所で、食前酒にもなりはしない。
より強い力の相手を、より強い憎しみを下した時にのみ、自分は己の生を実感できるのだから。
石を見て更なる敵が来てくれるのなら、それは願ったりだ。
「………次だ」
奪ったデイパックの中身を検分しながら、砂の化身を宿した少年は次の獲物を、次の血を求めて歩みだす。
乃亜の存在自体は至極どうでも良かったが、彼の殺しあえという命令は今の我愛羅にとってとてもよく馴染む物だった。
一条の光も刺さない孤独こそ、我の強さ。
汲んでも汲みつくせぬ憎しみこそ、我の存在理由。
故に振るう凶行に、全てを殺すという殺戮に、意味はいらず。
ただ、自分以外の全てを自らの砂の下へ沈めるために、彼はこの殺し合いに参加する。
乃亜の存在自体は至極どうでも良かったが、彼の殺しあえという命令は今の我愛羅にとってとてもよく馴染む物だった。
一条の光も刺さない孤独こそ、我の強さ。
汲んでも汲みつくせぬ憎しみこそ、我の存在理由。
故に振るう凶行に、全てを殺すという殺戮に、意味はいらず。
ただ、自分以外の全てを自らの砂の下へ沈めるために、彼はこの殺し合いに参加する。
───貴女は、愛されてなどいなかった……!
……本来であれば。
彼にはもっと違う未来が待っているはずだった。
過去の呪いを、己の出自を乗り越えて。
誰もが認める長に成長する筈だった。
彼にはもっと違う未来が待っているはずだった。
過去の呪いを、己の出自を乗り越えて。
誰もが認める長に成長する筈だった。
──いつも痛いんだ…血は出ないけど、胸の…ここんところが凄く痛いんだ。
──今、ここに敵はいない!
──何故なら皆、暁に傷つけられた痛みを持っている!
──砂も岩も木ノ葉も霧も雲も無い!
────あるのはただ、“忍”だ!!
──何故なら皆、暁に傷つけられた痛みを持っている!
──砂も岩も木ノ葉も霧も雲も無い!
────あるのはただ、“忍”だ!!
過去と未来。
人の心の痛みを知っていた少年の面影を、今は憎しみと言う闇が閉ざす。
人の心の痛みを知っていた少年の面影を、今は憎しみと言う闇が閉ざす。
【我愛羅@NARUTO-少年編-】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品×2、ランダム支給品2~6
[思考・状況]基本方針:皆殺し
1.出会った敵と闘い、殺す
[備考]
原作13巻、中忍試験のサスケ戦直前での参戦です
守鶴の完全顕現は制限されています。
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品×2、ランダム支給品2~6
[思考・状況]基本方針:皆殺し
1.出会った敵と闘い、殺す
[備考]
原作13巻、中忍試験のサスケ戦直前での参戦です
守鶴の完全顕現は制限されています。
046:イッツァ ショータ~~イム! | 投下順に読む | 056:play with blood |
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