コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

忍者と極道

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
ぶぅん、と
また一発拳が空を切る。
力任せに振るった反動と、狙った相手の足を引っかけられて、無様に転倒する。


「キャハッ☆キャハッ☆脆弱(ザッコ)いなァ~。お前それでも忍者ァ?」


少年は、宿敵とも呼べる存在のみっともない姿を眺めて、嘲る様に笑った。
…その少年の容姿は正しく、怪人と呼べる物だった。
無造作に伸ばされた金の髪に、薄汚れた衣服、プリーツスカート。
よくよく見れば顔立ちは整っていたが、顔中に巻きつけられたガムテープが見る者に言いようのない恐怖を抱かせる。
少年の名は、輝村照。またの名を───


「この破壊の八極道、ガムテ様をさァ~もちっと愉悦(アゲ)させてみろよ、忍者君?」


──殺しの王子様(プリンス・オブ・マーダー)・ガムテ。


「うるっせえ!調子乗んな!このガムテープ野郎!!」


そう言って、先ほどまで地べたを舐めていた少年が立ち上がり、ガムテに襲い掛かる。
その少年は、忍者と形容された割には、目を引く格好をしていた。
派手なオレンジを基調とした服。ガムテと同じく金の髪に、それを纏める額当て。
狐の面の如き三本のラインが刻まれた頬に、意志の強さを秘めた瞳。


「このうずまきナルトを!舐めんじゃねー!!」


咆哮と共に、木の葉隠れの里の下忍、うずまきナルトはガムテ目掛けて正拳を叩きこもうとする。
それはガムテの目から言っても、それなりの経験値と鍛練が伺える拳だった。
しかし。


「ン~~未熟(トッロ)ォ。欠伸が出るくらい遅いよォ~」


彼がこれまで戦ってきた忍者の突き──音の速度すら超える暗刃に比べれば余りにも遅い。
ふわりと揺れるカーテンの様に上体を逸らし、空を切った拳に添えるように──拳を叩き込んだ。


「うわぁぁぁぁあっ!!」


顔を子供どころか人間離れした力で殴られて、ナルトの体は宙を舞った。
その様を見てぐっしっしとガムテは笑みを漏らす。
何しろ極道にとって忍者は江戸時代より続く因縁の相手だ。
犬猿の相手を好きに甚振れるとあっては上機嫌になるのも無理は無いだろう。


「ん~、ケッコー楽ちかったけどォ、そろそろ終わりにするかな~」


お道化た様子でそう宣うガムテの瞼には、亀裂の様なラインが走っている。
ナルトの不運は、偏にガムテに悪魔の薬物(ヘルズ・クーポン)が支給された事だろう。
技の技量で劣っている上、ガムテは薬の力で文字通り超人と化しているのだから。
その代わりとでも言うように、ガムテに刀剣の類が支給されず、
また彼の懐刀である関の短刀も没収されていたのは幸運と言えるのかもしれない。
もし、ガムテが刃物の類を持っていたら、もうとっくにナルトはこの世から去っている。
だが…それは彼がナルトを殺せないという事を意味しない。
彼は一流(プロ)の殺し屋なのだから。
徒手空拳でも人を殺す手段など幾らでもある。超人と化している今なら猶更だ。


「はぁ…はぁ…やれるもんなら、やってみやがれガムテ野郎……」


ゆらりと、ガムテの眼前で哀れな獲物が立ち上がる。
レベルの差を完全に分からされても立ち上がるタフネスと、闘志だけは大したものだと、ガムテは思った。
同時に…その青い眼を見ていると、嫌に心がざわつくのを感じた。
そんな心中のざわめきに突き動かされるように問いを投げる。


「…ハァ、木偶(タフ)さと瞳の色だけはご立派だなァ~
何をそんな頑張っちゃってるのか、ガムテ分かんないッ☆」
「へ、テメーなんかに、分かられて、たまるかよ…あんな子供(ガキ)に殺しあえって言われて、素直に殺しあうお前と…俺ってば志が全然違うんだよ……!
俺は……火影になる男なんだからな……!」
「なぁ~ンだソレ?トカゲになりたいとか心底(マジ)笑止(ウケ)るゥ~」


絶体絶命の窮地において。
その忍者の瞳の炎は消えてはいなかった。
ギラギラと、鈍く輝く意志の焔をその双眸が湛えていた。


「へっ…言ってろ…火影ってのはな…お前みたいな奴から仲間を…里の民を守る…
偉大な忍の事だ……」
「…………」



眼光鋭く。
八重歯をむき出しにして、忍者は極道を睨みつける。
諦観など、一欠けらも宿っていないと言わんばかりのその両眼を見ていると。
また、静かに心が泡立つのを、ガムテは感じた。
どうしてなのかは、彼の卓抜した第六感を以てしても分からなかった。
だが──もういいだろう。
ざわめく心に蓋をして、道端に生えていた木の枝をぽきんと折る。
その先端は、鋭くとがっていた。
一流(プロ)の殺し屋であるガムテにとって、目の前の雑魚一匹殺すならこれで十分だ。


「……お前、名前は?」
「…え?」
「だから名前だよなーまーえ!お前はこれからこのガムテ様にブッ殺されるんだからァ~
名前ぐらいは聞いといてやるって言ってんだよこの単細胞(ブァ~カ)」
「……うずまき、ナルトだ」
「あっそ!ほんじゃあノリマキアナゴ、これで最後だ。
テメ~はこの殺しの王子様(プリンス・オブ・マーダー)・ガムテがブッ殺す」


名前を聞いたことにも、名乗った事にも、他意はない。
ただ──ブッ殺した後に、ブッ殺したという静かな勝鬨を上げるためだ。
そう、他意はない。決して。
その証拠に、これで終わらせる。
上体を沈みこませ、獲物に襲い掛かる直前の豹の様なポーズをとる。
後は手の中の枝を奴の肝臓目掛けてブッ刺す。それで終わり。
右に避けようが左に避けようが、体に染みついた殺しの腕が逃がす筈もない。


「……へっ」


死が目前に迫っても。
対する忍者は怯えてなどいなかった。
不遜に、不敵に笑って。


「さっさと来いよ…そのキツいの喰らわせてやるってばよ」


有ろうことか、最後に彼が行ったのは挑発だった。
特段心を揺らしはしない。そんな安い挑発には破壊の八極道は乗りはしない。
ただ、「そうかよ」と一言返して───瞬間、彼は砲弾となった。


──轟!

十メートルあった距離が一秒も立たずに2メートルを切る。
かの忍者がその間出来た事は、手の中にあった物を地面に叩き付けるだけだった。


「……フンッ!」


鼻を鳴らす。
瞬間、ガムテの視界は煙で満たされた。
手に持っていたのは、どうやら煙玉の類だったらしい。
だが、その程度でガムテの魔手から逃れるのは不可能だ。
幼少期の虐待によって手に入れた、三十分呼吸せずに行動可能な呼吸器官と、
例え視界を全てガムテープで覆っても標的を決して逃がさない第六感。
それはこのバトル・ロワイアルでも変わることなくガムテに力を与える。


「おッ死(ち)ね、忍者ァッッ!!」


これまで忍者に殺された恨みつらみを籠めた咆哮を上げて。
ぞぶり、と。
ガムテの刃は、確かにナルトの肝臓を貫いた。
本来強度で劣るはずの木の枝で腹部を刺し貫くという神業。
それを苦も無く、ガムテは達成してのけた。
それは、これ以上ない決まり手であった。
間違いなく、彼の知る忍者ならこれで勝負が決まっていただろう。


「……へっ」


だがしかし。
うずまきナルトは、“ガムテの知る忍者ではない”。


「!?」


ぼふん、と。
刺した筈のナルトの姿が掻き消えたのだ。
まるで、煙の様に。
初めて、ガムテの刃が虚しく空を掻いた。


「「オラァーッッ!!」」


直後、耳朶を打つ聞き覚えのある声。
間違える筈もない、今しがた刺殺した筈の、うずまきナルトの姿がそこにあった。
それも、一体ではない!



(何だッ!?残像!?いや違う、これは実体が───!)


不味い、と。
ガムテの第六感がけたたましく警鐘を鳴らす。
一瞬の隙を縫うように、二体のナルトがガムテに組み付いてくる。
取り付かれながら、0.1秒で思考を巡らせる。
今、この二体のナルトが何なのかはどうでもいい。
きっと、忍者らしく分身の術でも使ったのだろう。
落ちこぼれだと思っていた忍者は、とんでもない牙を隠していた。
だが奴に暗刃は使えない。使えるのならこれまでの戦いでとっくに使っている。
敢えて温存していたかもしれないが、そんな服芸ができる男とは思えなかった。
となれば、一発殴られた程度では地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)で強化された肉体はびくともしない。
短刀(ドス)でも拳銃(チャカ)でもだ。ならば問題は──


(いや違うッ!それは違うぞッ!!奴は──!!)


そう。
奴がその程度の相手ならば。
自分の第六感はこんなに警鐘をならず筈がないのだ!
強化された筋力で強引に左右のうずまきナルトを振り払いながら、煙の外へと逃げようとするガムテ。
しかし、ほんの一瞬遅かった。


「喰らえ……!!」


振り払う事に消費した時間で、煙の奥から三人目のうずまきナルトが現れる。
その掌にはガムテをして瞠目するほど濃密な死の予感が渦巻いていた。
そう、ガムテは知らなかった。
うずまきナルト達忍者が使う、チャクラを用いた忍術を。
彼の掌で高速回転するエネルギー。
四代目火影が考案し、伝説の三忍が彼に伝授した、取得難易度Aクラスの忍術──



───螺旋丸!!!!






「……や~んぴ」


怒涛の回転エネルギーを受け、吹き飛ばされた先で。
ガムテは生きていた。
螺旋丸が外れたわけではない、だが、完全な着弾には至らなかったのだ。
一瞬のうちにガムテは取り付いていたナルトの分身を蹴散らし、体を半身に逸らした。
それにより、胸の辺りに着弾する筈だった螺旋丸は、左肩の辺りに命中したのだ。
その事実を示すように、左肩は酷い有様だ。
ぐちゃぐちゃに折れ曲がり、ヤクの回復力を以てしても回復に一体いつまでかかる事やら。
嘆息しながら、ガムテは戦闘の終結を宣言した。


「へっ…逃がすと思ってんのか?」
「勿論(モチ)。ってかお前も足痛いだろォ~?」


薄く笑いながら威嚇するナルトに対して、ガムテの表情は冷ややかだった。
彼もただ螺旋丸を受けたわけではない。
交錯の瞬間、その手の枝でナルトの太ももを突き刺していたのだ。
勢いづいた彼が、追ってこれない様に。


「枝で闘(ヤ)るのも飽きたしィ。今はテメー、見逃しちゃる。
でもテメーの名前覚えたから。この左腕の借りはちゃ~んと返してもらう。
短刀(ドス)手に入れたら、テメ~は必ず絶望のどん底で殺す!!殺す!!ぶっ殺す!!」


そう言いがながら。
実に楽しそうに、新しい玩具を与えられた幼児の様に。
キャハッ☆キャハッ☆と快哉を上げて、ガムテープの怪人は夜空に跳ぶ。
そして、その背に満月を背負いながら、高らかに宣戦布告の声を上げた。



「──決めようか。忍者と極道!どちらが生存(いき)るか死滅(くたば)るか!!」



その言葉だけを残して。
ガムテは夜の闇の中へと消えていった。


「………」


一人取り残されたナルトは、ふと己の手を見る。
……震えていた。
さっきまで意識していなかった首輪が否に冷たく感じる。
その冷たさが、いやでも自分は殺し合いの渦中にいるのだと自覚させて来る。
周囲の景色が、ここは木の葉の里どころか火の国でさえないのだと伝えてくる。
自分に全く気取られないうちに、こんなところに連れてきた乃亜は一体何者なのか。
恐怖が、水の様にせりあがってくる。
だが、それでも。脳裏に浮かぶ言葉があった。
その言葉を、恐怖を打ち払う剣として。
握りこぶしを作り、月夜に掲げて己を鼓舞する。



──アイツは、この俺が認めた、優秀な生徒だ。
──今はもう、バケ狐じゃない。
──アイツは、木ノ葉隠れの里の………



「火影になる男が…こんな所で死ぬわけにも、子供を殺すわけにもいかねーよな…!」



────うずまきナルトだ。



【輝村照(ガムテ)@忍者と極道】
[状態]:全身にダメージ(中)、左腕粉砕骨折、治癒中
[装備]:地獄の回数券×5
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:皆殺し
1:先ずは短刀(ドス)が欲しい。
2:ノリマキアナゴ(うずまきナルト)は最悪の病気にして殺す。
[備考]
原作十二話以前より参戦です。
地獄の回数券は一回の服薬で三時間ほど効果があります。


【うずまきナルト@NARUTO-少年編-】
[状態]:全身にダメージ(中)、右足に刺し傷(中)、治癒中。
[装備]:
[道具]:基本支給品、煙玉×4@NARUTO、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:乃亜の言う事には従わない。
1:殺し合いを止める方法を探す。
2:ガムテの奴は次あったらボコボコにしてやるってばよ
[備考]
螺旋丸習得後、サスケ奪還編直前より参戦です。



022:勇者の挑戦 投下順に読む 035:悪夢の世界(ナイトメアワールド)
時系列順に読む
START 輝村照(ガムテ) 021:追い付けない キミはいつでも
START うずまきナルト 011:心の刃

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー