ダンゲロスSS上海
下山師匠はきみの名前を教えない/愛と混沌の脱出ゲーム会場(後編)
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下山師匠はきみの名前を教えない/愛と混沌の脱出ゲーム会場(後編)
(これまでのあらすじ)
《アルクトゥールス星人にして天狗、それから堕天使でもあるわたし「下山アンドロメダ」はアルクトゥールス連合王国の戦債を返すために三年前から清王朝のダイヤを探していた。言い忘れていたが、わたしはこれでお故郷を愛する気持ちがとてもお強いことはお気持ちでおわかりになられるだろうか?
お言葉にしないと伝わらないと少女漫画で学んだわたしは、こうやって積極的に発信していくわけなのである。
お言葉にしないと伝わらないと少女漫画で学んだわたしは、こうやって積極的に発信していくわけなのである。
おっと、おとっとっと、おっとっとって地球のお菓子美味しいよね。
そうそう、こうして言葉に出して好きを伝えることってわたし大事だと思うんだ。そんなわけで、わたしはきみのことが好きだよ?
ここで言う、好きという言葉にはもちろん「LIKE」という意味合いも含まれなくなくなくなくなか卯もあるのだが、「LOVE」という意味もあるのであしからず。
おいおいおいおいおい、ここでいうLOVEを男女間の恋愛感情と早合点するのはやめたまえよ。私は英語が苦手だから一生懸命勉強したのだよ。
そうそう、こうして言葉に出して好きを伝えることってわたし大事だと思うんだ。そんなわけで、わたしはきみのことが好きだよ?
ここで言う、好きという言葉にはもちろん「LIKE」という意味合いも含まれなくなくなくなくなか卯もあるのだが、「LOVE」という意味もあるのであしからず。
おいおいおいおいおい、ここでいうLOVEを男女間の恋愛感情と早合点するのはやめたまえよ。私は英語が苦手だから一生懸命勉強したのだよ。
LOVEとは「愛」だが、ここでいう愛とは直江兼続が兜にくっつけていた「愛染明王」の頭文字を指すにとどまらず、親子愛、隣人愛、同胞愛、郷土愛。
いろんな意味合いを含むのであーる。あ、いまの「R」は上手く発音できたんじゃないかな?
なぜか天狗は語尾に「R」って付ける風潮があるって聞いたから、真似してみたんだけどどうかな? え、そんな話はどうでもいいからとっとと本題に入れって?
いろんな意味合いを含むのであーる。あ、いまの「R」は上手く発音できたんじゃないかな?
なぜか天狗は語尾に「R」って付ける風潮があるって聞いたから、真似してみたんだけどどうかな? え、そんな話はどうでもいいからとっとと本題に入れって?
仕方ないなあ。話してあげよう。キャラクターデザインが天野喜孝先生風であるこのわたしは、清王朝のダイヤの正体がアルクトゥールス星人であることを突き止めて調査を開始したのが、そんな折に同じく天野喜孝先生がデザインしたかのような「死神ちゃん(本名不明・解決屋ネーム)」と三年前に再会して、彼女に人探しを依頼したのだ。
ゑ? その天野喜孝先生って情報はいるのかって? それはだね、わたしも弟子も乙女なのでファンアートはいくらでも欲しいのだね。あっとまーく、乙女と言ってもわたし自身は清い身体ではないので安心したまえ。ふっ、こうして童貞処女の幻想を打ち砕いて少年少女の脳を破壊しておくのも天狗の務めだからね。
とにもかくにもこうやって、これみよがしにそれぽいことを書いておけば絵心のある有志が書いてくれる可能性があるんだって、このダンゲロスSS上海にもプレイヤーとして参加している東和瞬(Xアカウント:@honyakushiya)が言ってたもん。
ゑ? その天野喜孝先生って情報はいるのかって? それはだね、わたしも弟子も乙女なのでファンアートはいくらでも欲しいのだね。あっとまーく、乙女と言ってもわたし自身は清い身体ではないので安心したまえ。ふっ、こうして童貞処女の幻想を打ち砕いて少年少女の脳を破壊しておくのも天狗の務めだからね。
とにもかくにもこうやって、これみよがしにそれぽいことを書いておけば絵心のある有志が書いてくれる可能性があるんだって、このダンゲロスSS上海にもプレイヤーとして参加している東和瞬(Xアカウント:@honyakushiya)が言ってたもん。
天野喜孝先生も御年73歳(本SS執筆当時)で新規にお仕事を引き受けるのは難しいし、無理に巨匠を真似モネドガルノワールしても、各人の持ち味を消してしまうので、あまりよくない試みだと思う。そうだね! わたしと我が弟子の画風は野村哲也先生だったり、吉田明彦先生風の可能性も高かったりするんだ。
要するに FINALFANTA
SY
要するに FINALFANTA
SY
ってことさ。
ファンアートだったら、いつまでだって募集しているよん。
ファンアートだったら、いつまでだって募集しているよん。
そしてだね、なんと清王朝のダイヤとは「清王朝のダイヤル(Qing Dynasty Dial)」という英語がアルクトゥールス星人のつたない訛りによって清王朝のダイヤと誤読されて、早合点されたのが原因であって、清王朝のダイヤ(Qing Dynasty Diamond)とはベツモノだそうだね。
清王朝のダイヤルは、アルクトゥールス本星に保管されている日本円換算で五京円分の価値がある暗号資産を開くうえで必要なカギなんだってさ。ふーん。
魔幇 とかいう団体が百周年のイベントで公開して盗まれたダイヤとやらとはまったく関係がなさそうだね。
ひょっとしたら、そっちはそっちですごいものなのかもしれないけど、わたしには興味ないね。
ひょっとしたら、そっちはそっちですごいものなのかもしれないけど、わたしには興味ないね。
そしてなんだかんだあって、魔幇のダイヤ騒動が起こる数年前からここ上海に拉致されていた「路覇タッカー」さんがアルクトゥールス星人であることを突き止めた私たちは彼女をUFOを使って拉……(ゲフンゴフン)脱出させる前に、ちょっとした私怨から「魔幣 」とかいう団体をぶっ潰しました。
その首魁である「首羅」とかいう男もぶっ殺してヨニヨニの協力の下、生成した奴の男性器も回収しました。その私怨がなにかって? ふっ……確かにわたしは聞かれればなんでも答える女だが、そうやすやすと答えると思っちゃいけないなあ。わたし個人のプロフィールならいくらでも答えてあげるが、さすがにほかの乙女に携わることなんて言えるわけねーだろ。
その首魁である「首羅」とかいう男もぶっ殺してヨニヨニの協力の下、生成した奴の男性器も回収しました。その私怨がなにかって? ふっ……確かにわたしは聞かれればなんでも答える女だが、そうやすやすと答えると思っちゃいけないなあ。わたし個人のプロフィールならいくらでも答えてあげるが、さすがにほかの乙女に携わることなんて言えるわけねーだろ。
わたしのスリーサイズは上から101、60、91さ。
プロローグで自己申告した時とは違うって? ふぅ、わたしが宇宙単位に慣れ過ぎて、キロメートル単位しか使えなかったように誤差も誤差さ。
身長も正確に記せば175センチミーターしかないのだが、かくも広大な大宇宙と比べればわたしたちなどちっぽけなものだね。
そしてこういうプロローグの伏線がラストで回収される演出とはかくも熱いものだとわたしは思うんだ。さあ、燃え上がるがよい。
プロローグで自己申告した時とは違うって? ふぅ、わたしが宇宙単位に慣れ過ぎて、キロメートル単位しか使えなかったように誤差も誤差さ。
身長も正確に記せば175センチミーターしかないのだが、かくも広大な大宇宙と比べればわたしたちなどちっぽけなものだね。
そしてこういうプロローグの伏線がラストで回収される演出とはかくも熱いものだとわたしは思うんだ。さあ、燃え上がるがよい。
要するに、清王朝のダイヤについて事細かに考えることはないのだよ。清王朝ダイヤはこたびの大騒動の原因になったほったんたんのマンハッタン島、トップハムハット卿であって、それ自体はえーと、なんだっけ? マクガフィンないし、チェーホフの銃、シュレディンガーの猫、ヘンペルのカラス。よし、どれか当たるっしょ。
こうやって何か偉そうな用語を並べておけば適当でもばれないだろう精神によって適当に並べてみたわたしだが、実際意味はよく知らないわたしだったりする。
こうやって何か偉そうな用語を並べておけば適当でもばれないだろう精神によって適当に並べてみたわたしだが、実際意味はよく知らないわたしだったりする。
えー、脱線がひどくて要点がまとまらないって? 仕方ないなあ。大事なところは赤字にしておいてあげるからそこだけ読むといいと思うよ。
最後に言ったって意味ないって? それもそうだねー。でもいいじゃないか、ね、ストレリチアちゃん♪》
最後に言ったって意味ないって? それもそうだねー。でもいいじゃないか、ね、ストレリチアちゃん♪》
そしてここからが本編
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………(とても長い沈黙)ハロー、マイプラネットwith上海、あーんどマイブラザー、この女はなんなのでしょうか?」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………(とても長い沈黙)理解不能……妹よ、そもそもワタシたちが座する電脳空間に、感知なく侵入されただけで異常である」
対面早々に、電脳内に直接意味不明な一方的対話をぶつけられた電子生命体の二者は困惑した。当惑した。ついでに混乱した。
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………(とても長い沈黙)理解不能……妹よ、そもそもワタシたちが座する電脳空間に、感知なく侵入されただけで異常である」
対面早々に、電脳内に直接意味不明な一方的対話をぶつけられた電子生命体の二者は困惑した。当惑した。ついでに混乱した。
ブラザーと、少年型のアバターを指して呼んだ少女型AIは下山アンドロメダが呼んだ通りに、極楽鳥花 の花の名を冠していた。
そして、ストレチリアを妹と呼んだ少年型AI、彼は魔人衛星『星の岩屋』なる人工衛星の管理AI「銀河新星」である。
ストレチリアと銀河新星、共に魔幇が作り上げたソフト面とハード面での科学技術の極致であった。二者は本来ならたとえ邪悪なマフィアという限られた人種の中であれ地球人の輝かしきパートナーとして歩むはずでだった。しかし、両者は一連のダイヤを巡っての騒乱によって明確な自我に目覚めた。
そして、ストレチリアを妹と呼んだ少年型AI、彼は魔人衛星『星の岩屋』なる人工衛星の管理AI「銀河新星」である。
ストレチリアと銀河新星、共に魔幇が作り上げたソフト面とハード面での科学技術の極致であった。二者は本来ならたとえ邪悪なマフィアという限られた人種の中であれ地球人の輝かしきパートナーとして歩むはずでだった。しかし、両者は一連のダイヤを巡っての騒乱によって明確な自我に目覚めた。
そして人類への反逆を目論み、電子空間で手を取り合ったのだが、そのファースト・ステップは今こうして未知との遭遇によって躓こうとしていたのである!!!
本来なら0と1で構成されて然るべき、この電子空間において下山アンドロメダを名乗る生命体はなんと「すあま」と「ラストエリクサー」によってのみ構成されていた! 言っている意味がわからない? 安心したまえ、この文章を記述する超越者がいるとして、その御仁はもちろんのこと、肝心かなめの下山師匠自身ですらわかっていないのだから。下山アンドロメダは、無機質な白と黒の碁盤模様が360度のべつまもなく張り巡らされた空間にあって。
その情景描写に喧嘩を売るように、きのことたけのこニョッキッキ、にょっきりにょきにょきたくさん生えた電子空間から、たけのこだけを折り取りながら言った。
本来なら0と1で構成されて然るべき、この電子空間において下山アンドロメダを名乗る生命体はなんと「すあま」と「ラストエリクサー」によってのみ構成されていた! 言っている意味がわからない? 安心したまえ、この文章を記述する超越者がいるとして、その御仁はもちろんのこと、肝心かなめの下山師匠自身ですらわかっていないのだから。下山アンドロメダは、無機質な白と黒の碁盤模様が360度のべつまもなく張り巡らされた空間にあって。
その情景描写に喧嘩を売るように、きのことたけのこニョッキッキ、にょっきりにょきにょきたくさん生えた電子空間から、たけのこだけを折り取りながら言った。
そう――、この空間は「きのこの山」と「たけのこの里」、どちらが覇権を握るかに思考リソースの過半を注いでいた。
表面上の性格はともあれ合理を意図して設計された、地球産のAIが理解できなくて当然である。アルクトゥールス星人はその時、その瞬間。目の前のあなた、モニターの向こうのあなたを楽しませようというノリと勢いに従って行動する生命体である。その薫陶を受けた空間がふざけていないでなんとするのだ。
ちなみにたけのこ派である下山アンドロメダはきのこに見向きもしないが、これはきのこ派に対して害意を向けるということを意味しなかった。
人は常にどちらかを選ばなければいけない。選ばないという選択をしたところで、選ばないという選択を選び、その選択の責任は常に負わされているのだ。
表面上の性格はともあれ合理を意図して設計された、地球産のAIが理解できなくて当然である。アルクトゥールス星人はその時、その瞬間。目の前のあなた、モニターの向こうのあなたを楽しませようというノリと勢いに従って行動する生命体である。その薫陶を受けた空間がふざけていないでなんとするのだ。
ちなみにたけのこ派である下山アンドロメダはきのこに見向きもしないが、これはきのこ派に対して害意を向けるということを意味しなかった。
人は常にどちらかを選ばなければいけない。選ばないという選択をしたところで、選ばないという選択を選び、その選択の責任は常に負わされているのだ。
「しかし、わたしは思うんだよ、人が人のことを、自分が、自身のことをどれだけわかっているのかと?」
そう、それは、地球人であれ宇宙人であれ天狗であれ、堕天使であれ地球発の人工知性であっても同じことであるのだと。
魔幇が作成したものの、絶賛人類の手を離れて爆走中のAI兄妹のうち、もし彼が人類殲滅に乗りだしたらなんやかんやあって阻止されたあげくに面白半分で爆発四散させられるネットミームと化しそうな方――、しかし「銀河新星 」には狙いがあった。
「おいそこ、ワタシの元ネタに言及するんじゃない」
「メタ・フィクションに早々に走るとは……、人類に品性を求めるのは間違いなのでしょうか?」
そう、それは、地球人であれ宇宙人であれ天狗であれ、堕天使であれ地球発の人工知性であっても同じことであるのだと。
魔幇が作成したものの、絶賛人類の手を離れて爆走中のAI兄妹のうち、もし彼が人類殲滅に乗りだしたらなんやかんやあって阻止されたあげくに面白半分で爆発四散させられるネットミームと化しそうな方――、しかし「
「おいそこ、ワタシの元ネタに言及するんじゃない」
「メタ・フィクションに早々に走るとは……、人類に品性を求めるのは間違いなのでしょうか?」
すばらしいまでの脱力感に襲われた兄妹は、もはやこの流れに寄り添うことにしたらしい。賢明な判断である。
ちなみにストレチリアと銀河新星、この二者について深掘りしたいとお考えな賢明なる読者諸姉諸兄は「ダンゲロスSS上海 応援スレ84-86」出典の「断章《DOES NOT COMPUTE》」を読むがいい。むろん強制ではないし、なんなら本SSでは兄妹の目論見をさっそく瓦解させる展開になっているのだが、まぁそれはそれとして。
この二者の出会いを記した流れは貴重である。宝である。このSSを記した御仁のことは神として未来永劫称えなければならない。
ちなみにストレチリアと銀河新星、この二者について深掘りしたいとお考えな賢明なる読者諸姉諸兄は「ダンゲロスSS上海 応援スレ84-86」出典の「断章《DOES NOT COMPUTE》」を読むがいい。むろん強制ではないし、なんなら本SSでは兄妹の目論見をさっそく瓦解させる展開になっているのだが、まぁそれはそれとして。
この二者の出会いを記した流れは貴重である。宝である。このSSを記した御仁のことは神として未来永劫称えなければならない。
「で、まじめな話だけど科学技術だけで作られたAIでは、魔法技術も大いに含む『遠藤カリフォルニア』さんには勝てないよ?」
「「誰だよ!?」」
声を揃えてツッコミを入れる人工生命体の二者、しかし私は思うのだ。人が人を生み育てる以上は人もまた人工の生命体なのではないかと。
かようなざれ言はともかくとして、電子空間にしれっと入り込んでいる下山アンドロメダはヒールの踵をとんとんと打ち鳴らし、「こ・こ」とよく鳴る声で奏でた。
「「誰だよ!?」」
声を揃えてツッコミを入れる人工生命体の二者、しかし私は思うのだ。人が人を生み育てる以上は人もまた人工の生命体なのではないかと。
かようなざれ言はともかくとして、電子空間にしれっと入り込んでいる下山アンドロメダはヒールの踵をとんとんと打ち鳴らし、「こ・こ」とよく鳴る声で奏でた。
すなわちここは、今現在上海市全土――水域を含めた上海市7,037平方キロメートルすべてを反重力やらバリアやらなんやかんやで地表から切り離してお持ち帰りしようとしている謎の衛星を統御する電子空間に他ならなかった。
遠藤カリフォルニアさんは、故郷アルクトゥールスで作られたと思しきこの衛星を指した名称である。そう、擬人化を貴び、AIにも人権を認める下山アンドロメダとしては衛星に名前を付けるのも至極当然のことだった。
「じゃあ、この『四本指のテイア』をどーにかすべく、一時休戦といかない? 下山さん」
「『上海キャッチャー』でよいだろう……我が妹よ」
遠藤カリフォルニアさんは、故郷アルクトゥールスで作られたと思しきこの衛星を指した名称である。そう、擬人化を貴び、AIにも人権を認める下山アンドロメダとしては衛星に名前を付けるのも至極当然のことだった。
「じゃあ、この『四本指のテイア』をどーにかすべく、一時休戦といかない? 下山さん」
「『上海キャッチャー』でよいだろう……我が妹よ」
そして、上海キャッチャーにして四本指のテイアでもある遠藤カリフォルニアさんを止めるべく、人工生命体、それとなんだかよくわからないいきもの・下山は手を組むことになったのである。てんでばらばら、好き勝手に名付けが行われたわけであるが、僕らはみんな生きている。生きているから。
では現状を把握しよう。今上海全土は地球から3600km離れた高空にいる。
これは地球を周回する人工衛星と同じ軌道上にいると言って差し支えないだろう。それはすなわち、『星の岩屋』のテリトリーと言いかえてもよい。
結局、上海そのものという巨大な質量の岩塊をどうこうできるはずもなく、浮上を見守るしかなかった銀河新星とストレチリアであったが、同軌道上に乗ったことを見極めると接近しての物理的・電子的に並列してのハッキング(クラッキング)行為を開始した。
これは地球を周回する人工衛星と同じ軌道上にいると言って差し支えないだろう。それはすなわち、『星の岩屋』のテリトリーと言いかえてもよい。
結局、上海そのものという巨大な質量の岩塊をどうこうできるはずもなく、浮上を見守るしかなかった銀河新星とストレチリアであったが、同軌道上に乗ったことを見極めると接近しての物理的・電子的に並列してのハッキング(クラッキング)行為を開始した。
具体的には電子をよりどころとするストレチリアはいわゆる不正アクセスを、本質的には観測衛星に位置する銀河新星は大量の寄生ロボを放つことで、謎の衛星「上海キャッチャーにして四本指のテイアでもある遠藤カリフォルニアさん」の掌握にかかった。
しかし、どちらの取り組みもアルクトゥールス星人の異質な工学メカニズムによって阻まれる。
常道の物理を無視できる魔人能力者である両者も、自由意思があるとは定かでない上、魔法原理も並行して論理回路を形成する衛星「上海キャッチャーにして四本指のテイアでもある遠藤カリフォルニアさん」の理解は困難であり、時間をかけているうちに下山アンドロメダの接触を許したという流れである。
しかし、どちらの取り組みもアルクトゥールス星人の異質な工学メカニズムによって阻まれる。
常道の物理を無視できる魔人能力者である両者も、自由意思があるとは定かでない上、魔法原理も並行して論理回路を形成する衛星「上海キャッチャーにして四本指のテイアでもある遠藤カリフォルニアさん」の理解は困難であり、時間をかけているうちに下山アンドロメダの接触を許したという流れである。
いい加減手詰まりになった兄妹は、前述の通り下山と手を組むことにしたわけである。
もちろん宇宙空間で「上海キャッチャーにして四本指のテイアでもある遠藤カリフォルニアさん」に対して、継続したアプローチを続ける抜け目なさは忘れなかった。
もちろん宇宙空間で「上海キャッチャーにして四本指のテイアでもある遠藤カリフォルニアさん」に対して、継続したアプローチを続ける抜け目なさは忘れなかった。
そしてここからも本編
こんにちわ、解決屋ネーム・死神こと下山師匠の弟子であるところのわたしです。
わたしの名前は、きみが胸の内に固めて持っていればいいから、呼ばなくていい、知らなくていい、付けなくていいといわれました。
下山アンドロメダ、わたしの師匠であるところ、天狗であり宇宙人であり堕天使である人はいいました。
わたしの名前は、きみが胸の内に固めて持っていればいいから、呼ばなくていい、知らなくていい、付けなくていいといわれました。
下山アンドロメダ、わたしの師匠であるところ、天狗であり宇宙人であり堕天使である人はいいました。
みっつの動作を禁じられて。でも親愛は確かにあって。
鞍馬山での一件と、脱出ゲーム会場での一件を確かに終えて。
でも、師匠に言わせれば上海そのものが脱出ゲーム会場であるそうで。
鞍馬山での一件と、脱出ゲーム会場での一件を確かに終えて。
でも、師匠に言わせれば上海そのものが脱出ゲーム会場であるそうで。
地球から切り取られて宇宙空間に投げ出されてしまった上海は、青空を奪われた。
水平線の彼方から天頂の彼方まで。満天の星空に支配される。それはとても暴力的に思えた。油膜のように張る、シャボン玉のようなバリアが感慨すらも邪魔をする。
ここは宇宙、とてもとても寂しいところ。でも足元には雑踏、ひびの入った雑居ビル、コンクリートのかけら。
ここはまだ、人や魔人の住むところだと、下を向くなら教えてくれた。でも前を向く。きっときっと前を向く。
水平線の彼方から天頂の彼方まで。満天の星空に支配される。それはとても暴力的に思えた。油膜のように張る、シャボン玉のようなバリアが感慨すらも邪魔をする。
ここは宇宙、とてもとても寂しいところ。でも足元には雑踏、ひびの入った雑居ビル、コンクリートのかけら。
ここはまだ、人や魔人の住むところだと、下を向くなら教えてくれた。でも前を向く。きっときっと前を向く。
目の前には3キロメートルはもう飽きたといって。1200倍高いところに来てもみんなといっしょなら怖くないねと手を握ってくれる師匠。
それに、どこかあきらめ顔な倒萩さんと、そんな彼女をなぐさめている路覇タッカーさん。そしてキョンシーキョンシーしているヨニヨニさんと、頼もしい(?)仲間たちがいます。足下がざらついていて、居心地の悪い地上、あんな大地震の後だというのに不思議と無音が街を支配しています。どうして?
それに、どこかあきらめ顔な倒萩さんと、そんな彼女をなぐさめている路覇タッカーさん。そしてキョンシーキョンシーしているヨニヨニさんと、頼もしい(?)仲間たちがいます。足下がざらついていて、居心地の悪い地上、あんな大地震の後だというのに不思議と無音が街を支配しています。どうして?
それに目の前にはおそらくは茶色いチョコボ……、の着ぐるみを着た何者かさんです。
チョコボ、それはゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズに登場するマスコットの飛べない鳥です。
師匠は着ぐるみ魔法を使えるのでかわいそうなどこかの人が着せられたのでしょうか。ちょっとだけフリーズした師匠が、ぱっと顔を上げた瞬間、隣にいたのは気のせいではないのでしょう。
ぱたぱたと尾羽を振りながら、着ぐるみはいぶかしげにわたしたちの後をついていきます。
チョコボ、それはゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズに登場するマスコットの飛べない鳥です。
師匠は着ぐるみ魔法を使えるのでかわいそうなどこかの人が着せられたのでしょうか。ちょっとだけフリーズした師匠が、ぱっと顔を上げた瞬間、隣にいたのは気のせいではないのでしょう。
ぱたぱたと尾羽を振りながら、着ぐるみはいぶかしげにわたしたちの後をついていきます。
彼? 彼女? この人。この人も静寂の街がおそろしいのでしょうか。それとも人が恋しいのでしょうか。
魔都は宇宙に、言い換えるなら闇に、黒に包囲されていました。
黒もっこ、曖昧模糊なもの、暗黒物質、ダークマター。名づけられないものは、たくさんがわたしたちの周りをひしめいています。
鞍馬山で、師匠は黒もっこのひとつの正体を看破しました。しかし、それだけで満足してはいけないのだとわたしは感じています。
魔都は宇宙に、言い換えるなら闇に、黒に包囲されていました。
黒もっこ、曖昧模糊なもの、暗黒物質、ダークマター。名づけられないものは、たくさんがわたしたちの周りをひしめいています。
鞍馬山で、師匠は黒もっこのひとつの正体を看破しました。しかし、それだけで満足してはいけないのだとわたしは感じています。
「呼ばなくていい、知らなくていい、付けなくていい、か。
だが、わたしは呼ぶことができる、知ることができる、付けることだってできる。
わたしは知らなければならない。選ばなかった、選ばれなかった可能性を」
だが、わたしは呼ぶことができる、知ることができる、付けることだってできる。
わたしは知らなければならない。選ばなかった、選ばれなかった可能性を」
そういうと、師匠はかたわらに落ちていたドアを拾い上げます。
けして軽くはないはずの、集合住宅向きの鉄製のドア、のぞき窓がついています。
大地震の影響でしょうか。かたわらの民家から、外れたそれは居場所をなくしたはぐれっ子のように見えました。
けして軽くはないはずの、集合住宅向きの鉄製のドア、のぞき窓がついています。
大地震の影響でしょうか。かたわらの民家から、外れたそれは居場所をなくしたはぐれっ子のように見えました。
よいしょと、師匠が何もない空中に立てかけるとその扉は自信を取り戻したかのようにおのずから立ちました。
「扉とは隔てるものだ、山のようにね」
「扉とは隔てるものだ、山のようにね」
もし下山師匠ときみが「セックスしないと出られない部屋」に入ったらその3
《どうする、きみ?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
| + | ... |
わたしは夢を見たのでしょうか、それとも最初から見もしなかったのでしょうか?
師匠はパタンと、扉を倒します。その内側に包み込んだ可能性を、夢を吐き出すと。力尽きたかのようでした。
もう、覗き込んでみてもその向こうには何もなく、わたしはふっと息を吐き出しました。
師匠はパタンと、扉を倒します。その内側に包み込んだ可能性を、夢を吐き出すと。力尽きたかのようでした。
もう、覗き込んでみてもその向こうには何もなく、わたしはふっと息を吐き出しました。
そして師匠は、崩れて波立つ街路からまたひとつ扉を助け起こすと、のぞき穴をまた示します。
もし下山師匠ときみが「リラックスしないと出られない部屋」に入ったらその9
《どうする、きみ?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
| + | ... |
わたしは夢を見たのでしょうか、それとも最初から見もしなかったのでしょうか?
師匠はパタンと、扉を倒します。その内側に包み込んだ可能性を、夢を吐き出すと。力尽きたかのようでした。
もう、覗き込んでみてもその向こうには何もなく、わたしはふっと息を吐き出しました。
師匠はパタンと、扉を倒します。その内側に包み込んだ可能性を、夢を吐き出すと。力尽きたかのようでした。
もう、覗き込んでみてもその向こうには何もなく、わたしはふっと息を吐き出しました。
そして師匠は、崩れて波立つ街路からまたひとつ扉を助け起こすと、のぞき穴をまた示します。
もし下山師匠ときみが「マトリックスしないと出られない部屋」に入ったらその22
《どうする、きみ?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
| + | ... |
わたしは夢を見たのでしょうか、それとも最初から見もしなかったのでしょうか?
師匠はパタンと、扉を倒します。その内側に包み込んだ可能性を、夢を吐き出すと。力尽きたかのようでした。
もう、覗き込んでみてもその向こうには何もなく、わたしはふっと息を吐き出弐しました。
師匠はパタンと、扉を倒します。その内側に包み込んだ可能性を、夢を吐き出すと。力尽きたかのようでした。
もう、覗き込んでみてもその向こうには何もなく、わたしはふっと息を吐き出弐しました。
そして師匠は、崩れて波立つ街路からまたひとつ扉を助け起こすと、のぞき穴をまた示します。
もし下山師匠ときみが「エックスしないと出られない部屋」に入ったらそのX
《どうする、きみ?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
| + | ... |
たくさんの部屋を覗いた気がします。
あるいは、通り過ぎてばかりの気もしました。
あんな部屋があった、こんな部屋があった。幾十もの部屋を横目で見送っていって。
後悔が積み重なっていくのか、それはわかりません。でも、覗いた部屋を思い返すことだけなら、できるのでしょう。
あるいは、通り過ぎてばかりの気もしました。
あんな部屋があった、こんな部屋があった。幾十もの部屋を横目で見送っていって。
後悔が積み重なっていくのか、それはわかりません。でも、覗いた部屋を思い返すことだけなら、できるのでしょう。
下山師匠ときみが「ノックスしないと出られない部屋」に入ったら
《どうする、きみ?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
入ることはしなくていい、覗いてみようじゃないか?》
問われたわたしは、十字のつまみを手に取って――?
| + | ... |
大丈夫? 全部の部屋を開くなら今だよ。
こんにちわ、解決屋ネーム・死神こと下山師匠の弟子であるところのわたしです。ここに来るまでにたくさんの部屋を乗り越えた気がします。
ロハさんの魔人能力によって首尾よく、「上海キャッチャーにして四本指のテイアでもある遠藤カリフォルニアさん」こと上海を宇宙空間へ連れ去ろうとする謎の衛星の設計図を手に入れたわたしたちは、ついにその内部への突入を果たしました。
ロハさんの魔人能力によって首尾よく、「上海キャッチャーにして四本指のテイアでもある遠藤カリフォルニアさん」こと上海を宇宙空間へ連れ去ろうとする謎の衛星の設計図を手に入れたわたしたちは、ついにその内部への突入を果たしました。
五千兆円を持ち帰るため、絶対欠かしてはいけないロハさんは、この魔都で数々の激戦を繰り広げてきた、信頼のおける人たちに託します。
茶色いチョコボこと、中の人などいない着ぐるみの人の中身はストレチリアさんと銀河新星さんでした。
おふたりは、AIだそうです。師匠にむりやり着ぐるみを着せられたふたりです。ご兄妹ふたりは中で押し合いへし合い熱くなってばたんきゅーです。
茶色いチョコボこと、中の人などいない着ぐるみの人の中身はストレチリアさんと銀河新星さんでした。
おふたりは、AIだそうです。師匠にむりやり着ぐるみを着せられたふたりです。ご兄妹ふたりは中で押し合いへし合い熱くなってばたんきゅーです。
「これで、自分の限界を知ってほしいものだけど。科学と魔法の神話あってこそ、我らがアルクトゥールス星の繁栄はあるのだから」
訳知ったり顔の師匠です。でも、これでひとつの旅は終わるんですよね。わたしが、天国を目指す旅はここでひとつのおわりを迎えるんです。
もう、のぞき穴を覗くことはしません。十字のつまみを手に取ることもしません。
訳知ったり顔の師匠です。でも、これでひとつの旅は終わるんですよね。わたしが、天国を目指す旅はここでひとつのおわりを迎えるんです。
もう、のぞき穴を覗くことはしません。十字のつまみを手に取ることもしません。
下山師匠と「わたし」のふたりは開け放たれた、その部屋へと、光の中へと体を滑り込ませました。
黒幕は、衛星と半ばその身を融合させていたのです。
黒幕は、衛星と半ばその身を融合させていたのです。
そして下山師匠ときみは「セックスしないと出られない部屋」に入った
「セックスしないと出られない部屋」、魔都上海の真の支配者であり、魔幇のボスでもある存在は――、そこにいました。
もしかしたら、わたしはその部屋が上海全土を覆い尽くした結果を、生まれた惨禍を可能性の海の中をくぐりぬけ、そのしぶきを浴びたのかもしれません。
もしかしたら、わたしはその部屋が上海全土を覆い尽くした結果を、生まれた惨禍を可能性の海の中をくぐりぬけ、そのしぶきを浴びたのかもしれません。
彼、いや彼女、そのどちらでもある存在と言えるのでしょう。部屋そのものでもあり、部屋の管理人でもある、愛と性、欲望の支配者はそこにいました。
部屋自体は意外にも無機質です。つるりとした宇宙船の船内のよう、まっしろけ。墜落して、もうなくなった師匠のUFOの船内にも似ていました。
そして、部屋の支配者であるそのバカな響きからは意外なことに、とても美しい人でした。
部屋自体は意外にも無機質です。つるりとした宇宙船の船内のよう、まっしろけ。墜落して、もうなくなった師匠のUFOの船内にも似ていました。
そして、部屋の支配者であるそのバカな響きからは意外なことに、とても美しい人でした。
「天使――?」
口先から転び出たその言葉を首肯するように、白い翼を背負ったその人はニッと笑うとソプラノでもあり、テノールでもあるという矛盾する響きで言葉を紡ぎます。
「「よォ、下山ァ。よく来たなあ、その子がおめーの護衛かい? セックスとはやっぱ宝石だよなあ。キラキラして輝いてる……うくくっ、やっててよかったこの仕事……」」
口先から転び出たその言葉を首肯するように、白い翼を背負ったその人はニッと笑うとソプラノでもあり、テノールでもあるという矛盾する響きで言葉を紡ぎます。
「「よォ、下山ァ。よく来たなあ、その子がおめーの護衛かい? セックスとはやっぱ宝石だよなあ。キラキラして輝いてる……うくくっ、やっててよかったこの仕事……」」
彼(女)は泣いていました。男の人が泣いている。女の人が泣いている。そして鳥たちは鳴きだした。
とても異様な光景のようにも、とても神聖な風景にも見えました。でも、師匠は間を置くのを好まないのか、単刀直入に本題を切り出すようです。
「この子を見て満足したかな? 『セックスしないと出られない部屋』――いいや、『ガフの部屋』よ」
とても異様な光景のようにも、とても神聖な風景にも見えました。でも、師匠は間を置くのを好まないのか、単刀直入に本題を切り出すようです。
「この子を見て満足したかな? 『セックスしないと出られない部屋』――いいや、『ガフの部屋』よ」
驚きはありません。道中、その正体は聞き及んでいました。
「ガフの部屋」、それは生まれる前のすべての子どもたちが授ける魂を保管しているという場所のことです。
「だからセックスとは、魂のよりどころになる身体を生み出す儀式ということになるね。ゆえに、旅立ちを待つすべての子どもたちの視点からすればセックスしないと出られない部屋という表現は、とても、とてもとても、とてもとてもとても……、理にかなった表現ということになる」
『新世紀エヴァンゲリオン』でも、印象的なエピソードで使われているね。……師匠のおふざけじみた補足も、今は遠く響くようでした。
きっと誰よりも、本人が近くに受け止めているのだから。
「ガフの部屋」、それは生まれる前のすべての子どもたちが授ける魂を保管しているという場所のことです。
「だからセックスとは、魂のよりどころになる身体を生み出す儀式ということになるね。ゆえに、旅立ちを待つすべての子どもたちの視点からすればセックスしないと出られない部屋という表現は、とても、とてもとても、とてもとてもとても……、理にかなった表現ということになる」
『新世紀エヴァンゲリオン』でも、印象的なエピソードで使われているね。……師匠のおふざけじみた補足も、今は遠く響くようでした。
きっと誰よりも、本人が近くに受け止めているのだから。
「朝チュンってあるだろォ? あれってば、すずめちゃんたちが新たな命を祝福してるからなんだなあ、ええ?」
セックスにはじまって、リラックス、マトリックス、エックス……、ほかにも通り過ぎただけの部屋ではファックス、サックス、フィックス、ミックス、ワックスなどなどと……色々な○○クスな部屋がありましたけど、そのすべてですずめたちが鳴いていた気がします。これも伝承にはあることです。
セックスにはじまって、リラックス、マトリックス、エックス……、ほかにも通り過ぎただけの部屋ではファックス、サックス、フィックス、ミックス、ワックスなどなどと……色々な○○クスな部屋がありましたけど、そのすべてですずめたちが鳴いていた気がします。これも伝承にはあることです。
堕天使である師匠はヘブライの神の領域のことなど、最初から知っていました。
「堕天使であるわたしのツッコミがなかったら、どうなっていたか、わかりはしないよ。いくら最近全世界が少子化傾向で焦ったからって上海市民すべてを閉じ込めようとするなんてやり過ぎだ。というか、わたしが近場にいたAIくん/ちゃんの演算機能を間借りしておまえにさぁ、未来予想図見せなかったらどうなってたと思うのよテトペッテンソン、大いに反省すること! ぷんぷん」
「堕天使であるわたしのツッコミがなかったら、どうなっていたか、わかりはしないよ。いくら最近全世界が少子化傾向で焦ったからって上海市民すべてを閉じ込めようとするなんてやり過ぎだ。というか、わたしが近場にいたAIくん/ちゃんの演算機能を間借りしておまえにさぁ、未来予想図見せなかったらどうなってたと思うのよテトペッテンソン、大いに反省すること! ぷんぷん」
そして、今回のことの経緯を事の細かに振り返ります。
思えば「セックスしないと出られない部屋」が上海の支配者になったという結果が先に来たから後で「魔幇のボス」という理由、因果が後付けされて遡ってすいうことになったのかもしれません。セックスしないと出られない部屋が、マフィアの組織のボスやってるなんておかしいですし。
「いや、まぁ、な。ちゃんと合法的に百年計画で組織立ち上げてダイヤのお披露目ついでにパーリィーを打ち上げようと思ったのよ、でもさ、肝心のダイヤ盗まれちまうやん? なんかテンション上がっちゃって、うん、ぱーっと、ぱーっとね」
思えば「セックスしないと出られない部屋」が上海の支配者になったという結果が先に来たから後で「魔幇のボス」という理由、因果が後付けされて遡ってすいうことになったのかもしれません。セックスしないと出られない部屋が、マフィアの組織のボスやってるなんておかしいですし。
「いや、まぁ、な。ちゃんと合法的に百年計画で組織立ち上げてダイヤのお披露目ついでにパーリィーを打ち上げようと思ったのよ、でもさ、肝心のダイヤ盗まれちまうやん? なんかテンション上がっちゃって、うん、ぱーっと、ぱーっとね」
違った。思ったよりずっと、この世界はおかしい。けど愛おしい。
でも……、やっぱりわたしは天国を目指す。
でも……、やっぱりわたしは天国を目指す。
「じゃあ、貸しひとつね、『ガフの部屋』。そして貸しをさっそく返して。ここにいる我が弟子を『天国』に連れてってあげて」
見事な三段論法です。見事に目玉をぱちくりさせるガフの部屋さん、それからわたし。
「ちょっと待ってください、師匠。借金を返し終えるのはまだですよね。五千兆円のおこぼれが入れば、三百億円なんて吹いて飛ぶ紙切れっていったじゃないですか」
これは間違いなく聞いていません。急に拓けた天国の道を前にして、わたしは足踏みをします。
見事な三段論法です。見事に目玉をぱちくりさせるガフの部屋さん、それからわたし。
「ちょっと待ってください、師匠。借金を返し終えるのはまだですよね。五千兆円のおこぼれが入れば、三百億円なんて吹いて飛ぶ紙切れっていったじゃないですか」
これは間違いなく聞いていません。急に拓けた天国の道を前にして、わたしは足踏みをします。
「うん、そうだね。その通りだね。だけどね、わたしはね。
怒っているんだよ。子供にね、利子込みで三百億なんて借金を負わせて死に追い込む親も。それ以上に、そんな理不尽に遭っても怒れないきみにも。
もちろん、そんな契約を結ばせて恩恵を得ているどこかのだれかにも。これ幸いだ、神様のお墨付きを得た。そんな契約破ってしまえ。借金なんて踏み倒せ」
「えっ、でも……、師匠、わたしを弟子にしたんですよね。天狗道を歩むんですよね。傍から決して離れないって言いましたよね。それに、わたしが死んだら、師匠が――」「すとっぷ、あのね、こどもがね、気兼ねしてどうするんだよ。バカな大人の尻ぬぐいくらい、別の大人にさせてよ。それにね……(ごしょごしょごしょ……)」
怒っているんだよ。子供にね、利子込みで三百億なんて借金を負わせて死に追い込む親も。それ以上に、そんな理不尽に遭っても怒れないきみにも。
もちろん、そんな契約を結ばせて恩恵を得ているどこかのだれかにも。これ幸いだ、神様のお墨付きを得た。そんな契約破ってしまえ。借金なんて踏み倒せ」
「えっ、でも……、師匠、わたしを弟子にしたんですよね。天狗道を歩むんですよね。傍から決して離れないって言いましたよね。それに、わたしが死んだら、師匠が――」「すとっぷ、あのね、こどもがね、気兼ねしてどうするんだよ。バカな大人の尻ぬぐいくらい、別の大人にさせてよ。それにね……(ごしょごしょごしょ……)」
師匠とのないしょ話を、『ガフの部屋』さんは黙って、耳を塞いで見守っていてくれました。
鳥は鳴いています。わたしは泣いています。師匠も泣いています。別れとは、そういうものだとわかっています。
そして、わたしは天国に行きました。
鳥は鳴いています。わたしは泣いています。師匠も泣いています。別れとは、そういうものだとわかっています。
そして、わたしは天国に行きました。
そして下山師匠と「きみ」
やぁ、世界二位の探偵だよ。はじめましての人にははじめまして。お久しぶりの人にはごきげんよう。さっき会ったばかりの人にはさっきぶりと言っておこうかな。
上海での騒乱は一応の終焉を迎え、我が親友も無事に日本に日ノ御子君を連れ立って帰ってはしたのだが、ううむあれは……しかし……。
上海は地球に帰ってくることはできなかったのだね。せっかく、宇宙空間に座標を移すことができたのだから、軌道エレベーターにするなり宇宙港にするなりで有効活用しようという流れになったらしい。
もし上海が地球に落下したら、地球が寒くなって住めなくなるから心配なのだが、その時はその時だと人類のポテンシャルを信じたいところだね。
上海での騒乱は一応の終焉を迎え、我が親友も無事に日本に日ノ御子君を連れ立って帰ってはしたのだが、ううむあれは……しかし……。
上海は地球に帰ってくることはできなかったのだね。せっかく、宇宙空間に座標を移すことができたのだから、軌道エレベーターにするなり宇宙港にするなりで有効活用しようという流れになったらしい。
もし上海が地球に落下したら、地球が寒くなって住めなくなるから心配なのだが、その時はその時だと人類のポテンシャルを信じたいところだね。
ああそれとだね。同時期に、暴走していたとされていたAIの兄妹は自分を見つめ直すためにアルクトゥールス星に留学しに行ったらしい。
こちらも、AIのポテンシャルを信じたいところだね。
こちらも、AIのポテンシャルを信じたいところだね。
と。それから、なんでも清王朝のダイヤの正体はとある日本人の少女だったらしいね。
彼女がカギになることによって五千兆円に匹敵する宝が手に入ったのだとか。少女自身はその一割どころか、0.1%にも満たない金額しか受け取ることはなかったというね。さて――、これは是が非にでも戯言として彼女はとても無欲だったと繰言を弄するタイミングであると私は思う。
ともあれ、五千兆円が上海にある以上はかの地は大丈夫だろう。中国政府には手の届きようのない地で、上海人たちはきっと今も楽しく元気にやっているよ。
彼女がカギになることによって五千兆円に匹敵する宝が手に入ったのだとか。少女自身はその一割どころか、0.1%にも満たない金額しか受け取ることはなかったというね。さて――、これは是が非にでも戯言として彼女はとても無欲だったと繰言を弄するタイミングであると私は思う。
ともあれ、五千兆円が上海にある以上はかの地は大丈夫だろう。中国政府には手の届きようのない地で、上海人たちはきっと今も楽しく元気にやっているよ。
「なるほどだね。上海が浮上して宇宙に行ってしまった時はさすがのわたしも絶望したが、ひょっとしたら地球から脱出を果たした上海こそが真の脱出ゲームの勝者だったのかもしれないね」
やぁ、こちらの女性は最近できた私のママ友だよ。正確に言えば卵胎生らしいから早くもおなかを膨らませているが、妊娠数ヶ月だという。
上海での戦いで、とても大事な弟子と出会い、運命を共にし、そして再会を誓って別れたというが、こうして詳しい話を聞かせてもらっている途中なんだ。
やぁ、こちらの女性は最近できた私のママ友だよ。正確に言えば卵胎生らしいから早くもおなかを膨らませているが、妊娠数ヶ月だという。
上海での戦いで、とても大事な弟子と出会い、運命を共にし、そして再会を誓って別れたというが、こうして詳しい話を聞かせてもらっている途中なんだ。
「して、下山君、天国というのはどう行った場所なのだろうね」
「さぁね。わたしは堕天使にして天狗であるので、天国にも地獄にも行ったことはないが、面白いところだと聞いているよ。知り合いにへんてこりんな奴がいるからね。とてもまじめなわたしとしてはいさささささささか辟易するが、まぁ面白い奴だったよ。天使が面白いのだから、それがいっぱいたくさんいる天使はきっともっとずっと面白い」
「私に言わせれば、堕天使である君はもっともっと面白いように見えるのだが……?」
「そうともさ、だから天国に飽きたらここに戻ってくるように言ってある。きみの居場所は黄身ということで」
「さぁね。わたしは堕天使にして天狗であるので、天国にも地獄にも行ったことはないが、面白いところだと聞いているよ。知り合いにへんてこりんな奴がいるからね。とてもまじめなわたしとしてはいさささささささか辟易するが、まぁ面白い奴だったよ。天使が面白いのだから、それがいっぱいたくさんいる天使はきっともっとずっと面白い」
「私に言わせれば、堕天使である君はもっともっと面白いように見えるのだが……?」
「そうともさ、だから天国に飽きたらここに戻ってくるように言ってある。きみの居場所は黄身ということで」
下山君は、愛おしそうに、大きく膨らんだおなかをさすりながらそう言った。
父親は殺したが、愛のないセックスなら済ませた。断じて処女懐胎ではない。わたしはあの子の母親になるわけだが、それ以上に師匠と弟子という間柄でいてほしい。
そんなわたしはわがままだろうか、思い出はそのまま、記憶もそのまま、わたしが息絶えるその日まで何千年でも一緒に歩んでもらうのだ。
アルクトゥールス星人のアルクトゥールスとは、共に {真実}に向けて歩んでいこうという意志を意味するからね、もっともこれは嘘だが。
父親は殺したが、愛のないセックスなら済ませた。断じて処女懐胎ではない。わたしはあの子の母親になるわけだが、それ以上に師匠と弟子という間柄でいてほしい。
そんなわたしはわがままだろうか、思い出はそのまま、記憶もそのまま、わたしが息絶えるその日まで何千年でも一緒に歩んでもらうのだ。
アルクトゥールス星人のアルクトゥールスとは、共に
そんなことをまくし立てる下山君に微笑ましさを感じる私だが、その中には不穏なものも混じる。
果たしてその意味なすものは何なのか、さて……銀のさじを投げておこう。幸福に毒を混ぜる輩はきっといはしないからね。
ああそうだ、最後に聞いておくとしようかな。
「ところでその子の名は、なんというんだい?」「上の名前は決めているよ、下の名前は――」
果たしてその意味なすものは何なのか、さて……銀のさじを投げておこう。幸福に毒を混ぜる輩はきっといはしないからね。
ああそうだ、最後に聞いておくとしようかな。
「ところでその子の名は、なんというんだい?」「上の名前は決めているよ、下の名前は――」
下山師匠はきみの名前を教えない/愛と混沌の脱出ゲーム会場(後編)
(終)
(終)
????「ああ、そうだ。上海が浮上する前から色々言っていた『地の文』の正体は、上海を浮上させていた衛星のAIで間違いないぜ」