ダンゲロスSS上海
Donuts Hole
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dangerousss_shanghai
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能力名:穴は穴だけ切り取れない
能力内容:
この能力の持ち主に密着している者は、この能力の持ち主を認識することが出来なくなる。
例え、誰か他の人物から存在を指摘されても、それを否定する。
副作用として認識できないものを認識させようとすればするほど攻撃的になる。
能力内容:
この能力の持ち主に密着している者は、この能力の持ち主を認識することが出来なくなる。
例え、誰か他の人物から存在を指摘されても、それを否定する。
副作用として認識できないものを認識させようとすればするほど攻撃的になる。
私の名前は雷雅忠。蘇絲織お嬢様に仕えるメイドです。
今朝、襲撃を受けたものの、なんとか退けました。
やたらと引き際が良かったのが気にかかりますが。
あとは追手が来ないことを確認して――
やたらと引き際が良かったのが気にかかりますが。
あとは追手が来ないことを確認して――
カツン、カツン。
鳴り響く足音。響き方からして大人三人に子供一人といったところか。
水路のメンテでもあるまい。何者であれ、お嬢様に近づく者は排除するのみ。
柱の陰に隠れ、様子を見る。
水路のメンテでもあるまい。何者であれ、お嬢様に近づく者は排除するのみ。
柱の陰に隠れ、様子を見る。
「さて、カムパネルラの話によると、なんか動いてることをほのめかされたが……」
「■■■■があることがわかってるなら自分で解体すればいいだろうに、他の用事があるとか言ってどっかいっちまったからな……」
「■■■■があることがわかってるなら自分で解体すればいいだろうに、他の用事があるとか言ってどっかいっちまったからな……」
解体とか不穏な単語が聞こえる。お嬢様の内臓をバラして売り飛ばすつもりだろうか。
だが、そんな不埒な輩を討つために私がいる。無礼 た真似をする輩には罰を与えねばなるまい。
それに、ダイヤを狙っていたとしたらライバルも潰せて一石二鳥。
だが、そんな不埒な輩を討つために私がいる。
それに、ダイヤを狙っていたとしたらライバルも潰せて一石二鳥。
「先手必勝、問答無用ッ!」
我が必殺の魔人能力、殺死神雷鞭を振るう。当たれば魔人といえどタダでは済まない。
「させるかよっ!」
私の不意打ちを予期したかのように男のうちの一人が飛び出し、手刀で私の鞭を引き裂いた。
「何ッ!?」
一旦距離を取り、非常灯に照らされた相手の姿形を確認する。
……マズい。槌歌コーポレーションの所長槌唄塔矢に、清海でも指折りの実力者の海圻。
他の二人は見たこと無いが……新人だろうか。
ともあれ、一対一でもマズい相手が二人いることに変わりはない。
この二人に本気で襲いかかられたらお嬢様を守りきれるかどうか。
一旦距離を取り、非常灯に照らされた相手の姿形を確認する。
……マズい。槌歌コーポレーションの所長槌唄塔矢に、清海でも指折りの実力者の海圻。
他の二人は見たこと無いが……新人だろうか。
ともあれ、一対一でもマズい相手が二人いることに変わりはない。
この二人に本気で襲いかかられたらお嬢様を守りきれるかどうか。
「こんなところに魔人能力持ちのメイド? 妙だな……」
「そんなことより、あのメイドのお腹見てくださいよ、あれ!」
「なっ、■■■■!?」
「そんなことより、あのメイドのお腹見てくださいよ、あれ!」
「なっ、■■■■!?」
私のお腹を見てなにか驚いている。何を見たのか知らないが、私の腹部には何も無い。
「解決屋が雁首揃えてぞろぞろと、お嬢様の命を狙いに来たのでしょう? その企み、圧し折って差し上げます!」
「違ぇーよ! ただ■■■■の解体をだな……」
「なんだか知りませんが、そんなものここにはありません。わけのわからないことを言ってないでかかってらっしゃいな」
「違ぇーよ! ただ■■■■の解体をだな……」
「なんだか知りませんが、そんなものここにはありません。わけのわからないことを言ってないでかかってらっしゃいな」
雷光の鞭を再び生成する。何度引き裂かれようとこの鞭は再生するし、私の身もお嬢様の能力により同様である。
身につけてるものも一緒に再生するので一糸纏わぬ姿で現れるという恥じらいは心配しなくて良い。
身につけてるものも一緒に再生するので一糸纏わぬ姿で現れるという恥じらいは心配しなくて良い。
「かかってこいって言われてもな……」
歯切れの悪い言葉とともに槌唄がハンマーで殴りかかってくる。
覇気のない攻撃など軽く躱し……おかしい。相手が遠ざかっている。
覇気のない攻撃など軽く躱し……おかしい。相手が遠ざかっている。
「■■腹に巻き付けてるやつに接近戦なんかできるか! 離れてろってんだ!」
足元を見れば彼のブロック。躱した先に配置してそれを殴って滑らせたのか。
「距離を離したからと言って有利になるとは思わないことですわ!」
すぐ打てる範囲では鞭の射程は普通のものとそう変わらないが、力を溜めればより遠くまで飛ばせる。
これで不意を突いて襲撃者を蹴散らしたことは一度や二度ではない。
あとは油断した隙に差し込んで行k
これで不意を突いて襲撃者を蹴散らしたことは一度や二度ではない。
あとは油断した隙に差し込んで行k
「ぐっ!?」
私の腹になにか着弾、大爆発。背後の壁ごと吹き飛ばされる。
お嬢様の魔人能力、『生命線』が無ければ志半ばに倒れるところでした。
しかし、痛みの塔 も四霊随身もこの距離から届く能力ではないはず。
まさか同伴者のどっちか?
お嬢様の魔人能力、『生命線』が無ければ志半ばに倒れるところでした。
しかし、
まさか同伴者のどっちか?
「やったか!?」
「いや、やはり生きてる! 七歌の調査通りだ。雷の鞭と不死能力、蘇一家のとこのメイドか!」
「いや、やはり生きてる! 七歌の調査通りだ。雷の鞭と不死能力、蘇一家のとこのメイドか!」
七歌。たしか槌唄の相棒にしてナビ係。前線に出ることもあるが今日は来ていないらしい。
……ということは私達のことを知らずに来ている?
……ということは私達のことを知らずに来ている?
「何だ何だ。同業者が近道でも掘ったか」
「いや、こっちは放水路のほうだったはず」
「いや、こっちは放水路のほうだったはず」
穴から二人。モノクロツートンカラーのスーツを来た女性に、なんか真に迫るキョンシーコスの女性。
流石にこの大人数では分が悪い。これ以上は構っていられない。お嬢様と合流して次の隠遁場所に移動するしか。
流石にこの大人数では分が悪い。これ以上は構っていられない。お嬢様と合流して次の隠遁場所に移動するしか。
「あっ、逃げた!」
「【お前らも蘇一家の隠し遺産を探しに来たんだな?】」
「いいや。そもそも滅ぼされた時、資産は魔幇に大体回収されたって話だろ。あったとして……」
「【お前らも蘇一家の隠し遺産を探しに来たんだな?】」
「いいや。そもそも滅ぼされた時、資産は魔幇に大体回収されたって話だろ。あったとして……」
なんやかやで闖入者ともめているらしい。協調するにしてもしばらく時間はかかるはず。
なるべくなら同士討ちして欲しいが、いつだって最悪の事態は考慮しなければならない。
待っていてください、お嬢様。今行きます!
なるべくなら同士討ちして欲しいが、いつだって最悪の事態は考慮しなければならない。
待っていてください、お嬢様。今行きます!
「――ってことは、そもそも、お宝はない?」
「どうだろうな。家の関係者本人ならなんか知ってるかもしれんが、俺達は完全に別件だ」
「どうだろうな。家の関係者本人ならなんか知ってるかもしれんが、俺達は完全に別件だ」
先程の爆発で、下水道から飛び出してきた女性二人に事情を説明する。
一人はツートンカラーの同業者、白髪黒羽。
もう一人はキョンシーの格好をした胡乱な女性、女陰黄泉
どうも蘇一家の隠し遺産を探して争っていたらしいが、爆発音を聞いてすわ乱入者かとこっちに来たらしい。
一人はツートンカラーの同業者、白髪黒羽。
もう一人はキョンシーの格好をした胡乱な女性、
どうも蘇一家の隠し遺産を探して争っていたらしいが、爆発音を聞いてすわ乱入者かとこっちに来たらしい。
「でもラッキーかもしれないな。どうも生き残りがいるらしい」
かくかくしかじかまるまるうまうま。先程交戦したメイドは蘇一家の関係者。
こちらの状況は俺のインカムと七歌の魔人能力によって随時七歌のいる本部に伝わっている。
こちらの状況は俺のインカムと七歌の魔人能力によって随時七歌のいる本部に伝わっている。
とうやのこえは われにきこえて
わたしのこえは とうやにとどく
わたしのこえは とうやにとどく
今、彼女の周りには俺に声が届いて俺の声が聞こえる空間が出来ている。これで電波などが通らなくとも交信し合えるのだ。
七歌によると、彼女は蘇絲織――蘇一家の生き残りだ――の能力でいくらでも蘇生できるという。
海圻が連れてきていた金剛シグリ、彼が遠距離攻撃のできる魔人能力を持っているということで爆弾を攻撃してもらったが、平然と動いていた。確たる証拠だろう。
……問題は爆弾も復活していたことだ。服が再生するなら身につけてる爆弾も再生するという理屈はわかるが、それは困る。
あれを解体するのは骨が折れそうだ。
七歌によると、彼女は蘇絲織――蘇一家の生き残りだ――の能力でいくらでも蘇生できるという。
海圻が連れてきていた金剛シグリ、彼が遠距離攻撃のできる魔人能力を持っているということで爆弾を攻撃してもらったが、平然と動いていた。確たる証拠だろう。
……問題は爆弾も復活していたことだ。服が再生するなら身につけてる爆弾も再生するという理屈はわかるが、それは困る。
あれを解体するのは骨が折れそうだ。
「蘇一家の生き残りがいるはずだから詳しくは彼女に聞けってことね」
「【ところで、メイドが腹に爆弾をくくりつけてるなら、お嬢様とやらのところで爆発するんじゃないか】」
「あ。」
「【ところで、メイドが腹に爆弾をくくりつけてるなら、お嬢様とやらのところで爆発するんじゃないか】」
「あ。」
キョンシー、ヨニヨニの一言。それは天啓だった。
訳のわからない設置場所――不死身の者を爆殺してもしょうがない
訳のわからない言動――明らかに見えているのに気づいていない様子
訳のわからない言動――明らかに見えているのに気づいていない様子
二つの謎が一つにつながった。
あれは蘇一家の生き残りを仕留めるためのもの。
メイドが認知できない爆弾をメイドに持たせて、お嬢様のところまで運ばせれば、どこに隠れていようと死をデリバリー出来る。
不死身のメイドと真っ当に戦い続けるよりよほど楽である。
あれは蘇一家の生き残りを仕留めるためのもの。
メイドが認知できない爆弾をメイドに持たせて、お嬢様のところまで運ばせれば、どこに隠れていようと死をデリバリー出来る。
不死身のメイドと真っ当に戦い続けるよりよほど楽である。
爆音。
「しまった、ヨニヨニの言った通りになっちまったか!?」
「急ぐぞ!」
「急ぐぞ!」
海圻の一声に皆頷いて駆け出す。
「育美、俺の背中に乗れ。しっかり掴まってろよ」
「うんっ」
「うんっ」
育美を背負った分遅れたが、問題無い。
足元にブロックを出し、ハンマーをゴルフクラブのように握る。
足元にブロックを出し、ハンマーをゴルフクラブのように握る。
ゴッ
衝撃一閃、ブロックの背面をハンマーで打ち据える。
俺達を載せた箱が高速で滑っていく。だだっ広い平地ではこれが一番早い。
物理的におかしい? 魔人能力は思い込みの力だ。そうあれかしと思う力が大事なのだ。
俺達を載せた箱が高速で滑っていく。だだっ広い平地ではこれが一番早い。
物理的におかしい? 魔人能力は思い込みの力だ。そうあれかしと思う力が大事なのだ。
「先に行ってるぞ!」
箱に振り落とされないように伏せてしっかり掴み、奥へ奥へと進んでいく。
「育美、大丈夫か?」
「こ、こわいよぅ」
「少しの辛抱だ。耐えてくれよ……!」
「こ、こわいよぅ」
「少しの辛抱だ。耐えてくれよ……!」
最奥には先程とよく似た爆破跡。果たしてそこには、爆風をもろに食らって息も絶え絶えの蘇絲織と、それを見て慟哭する雷雅忠。
「何があった……かは大体想像つくけど何があった!?」
「お嬢様が、突然爆発して……!」
「爆発したのはお前だよ!! いやそれはどうでもいい。育美!」
「う、うん。わかった」
「お嬢様が、突然爆発して……!」
「爆発したのはお前だよ!! いやそれはどうでもいい。育美!」
「う、うん。わかった」
俺の呼びかけに応え、育美が倒れてる蘇のお嬢様に抱きつく。
「な、何をなさいますの!?」
「まぁ待て。お前の大切なお嬢様を助けようってんだ」
「それとこれに何の関係があるんですか!?」
「まぁ待て。お前の大切なお嬢様を助けようってんだ」
「それとこれに何の関係があるんですか!?」
まぁ説明無しならそう言われても仕方がない。
口に手を当て考えるふりをする。
(育美の能力についてだがどうする、七歌?)
(んー、非常事態だし、話してもいいんじゃない? それに……)
(それに?)
(こういうの見捨てられないタチでしょ、あなた)
口に手を当て考えるふりをする。
(育美の能力についてだがどうする、七歌?)
(んー、非常事態だし、話してもいいんじゃない? それに……)
(それに?)
(こういうの見捨てられないタチでしょ、あなた)
ちょっと拗ねたような七歌の返事。
(大丈夫大丈夫、浮気するつもりはないって)
(それならいいけど)
(それならいいけど)
そもそも魔人能力で俺の一言一句を聞かれてる状態で下手なことは出来ない。するつもりもないが。
「彼女が抱きつくことで怪我とかを治せるんだよ」
「それじゃお嬢様は……」
「しばらくしたら治るはずだ」
「じゃあ、私たちの命を狙いに来たわけでは……」
「ない。爆弾の解体に来ただけだ」
「それじゃお嬢様は……」
「しばらくしたら治るはずだ」
「じゃあ、私たちの命を狙いに来たわけでは……」
「ない。爆弾の解体に来ただけだ」
俺の言葉に雅忠は訝しむ。
「お嬢様を助けてくれるのは感謝いたしますが……さっきから何をおっしゃってますの?」
何かがおかしい。言い方を変えてみる。
「危険物の除去に来たんだ」
「それならわかりますが……さっきは何と?」
「爆弾の解体」
「???」
「それならわかりますが……さっきは何と?」
「爆弾の解体」
「???」
明らかに爆弾について認識できていない。
(どういうことだと思う?)
(認識阻害の一種かしら。そういう能力を掛けられた、あるいはその爆弾が……?)
(認識阻害の一種かしら。そういう能力を掛けられた、あるいはその爆弾が……?)
七歌からの情報も要領を得ない。どうしたものか。話してるうちに海圻たちも追いついてくる。
宝探しに来ていた二人もなんだかんだで付いてきている。
宝探しに来ていた二人もなんだかんだで付いてきている。
「大丈夫か?」
あったことを手短に話す。
蘇のお嬢様が現在治療中であること、メイドの腹に認識阻害付き爆弾が仕掛けられていること。
爆弾や爆発といった言葉に直接触れなければ、雅忠にも理解できてきたらしい。
蘇のお嬢様が現在治療中であること、メイドの腹に認識阻害付き爆弾が仕掛けられていること。
爆弾や爆発といった言葉に直接触れなければ、雅忠にも理解できてきたらしい。
「私は、お嬢様になんてことを……!」
「まずはどうやって引っ付いてるか知らんがこれを取り除くか。触るぞ」
「まずはどうやって引っ付いてるか知らんがこれを取り除くか。触るぞ」
規定通りの爆発をした後に再生したせいか、タイマーは止まっている。外せば後はどうとでもなるはず。
触った途端、「何も無い」という感触だけが伝わってきた。
■■という確証がなくなる。いや、これが何であろうと取り除くのが仕事だったはず。
……取れない。なんだこれは。
触った途端、「何も無い」という感触だけが伝わってきた。
■■という確証がなくなる。いや、これが何であろうと取り除くのが仕事だったはず。
……取れない。なんだこれは。
「どうしたんだ?」
「なんか……取れない」
「なんか……取れない」
手を離すとそこには確かに時限爆弾がある。
それだけのはずなのだが雅忠の腹に密着したかのように取れない。
再生したからこうなったのか、こうだから爆弾ごと再生したのか、どちらかはわからないがどちらにしろ大問題である。
それだけのはずなのだが雅忠の腹に密着したかのように取れない。
再生したからこうなったのか、こうだから爆弾ごと再生したのか、どちらかはわからないがどちらにしろ大問題である。
「海圻ならどうだ?」
「全くお前らしくもないな。どれ、この程度……んん? なんだコレは」
「全くお前らしくもないな。どれ、この程度……んん? なんだコレは」
同じく全然取れない。無を引き抜こうとしているという感触も俺と同様。
四霊随身でも駄目だとか。雅忠の腹の周りだけぽっかりと穴が空いている様な感触だという。
四霊随身でも駄目だとか。雅忠の腹の周りだけぽっかりと穴が空いている様な感触だという。
「ちょっと、黒羽もヨニヨニも手伝ってくれ。雅忠のほうを固定して、俺と海圻とシグリで引っ張る」
まるで大きなカブの童話のようである。
「いだだだだ! 裂ける! 裂けちゃいます!!」
「裂かなきゃ駄目だろ。んぎぎぎぎ……」
「裂かなきゃ駄目だろ。んぎぎぎぎ……」
訂正、大岡裁きだったかもしれない。
結局いくら引っ張ろうが■■……いや、爆弾は抜けなかった。
結局いくら引っ張ろうが■■……いや、爆弾は抜けなかった。
「こんなにピッタリくっついてるとどうにもならんな……」
(そういえば似たようなこと一度なかった?)
(そういえば似たようなこと一度なかった?)
七歌の
「黒羽、確かイメージを付与する能力を持ってたよな」
「アタシの能力のこと、やはり知ってたか」
「まぁ同業ならな。話は簡単だ。これを【人である】と認識させてほしい」
「うん? 出来はするだろうけど……」
「アタシの能力のこと、やはり知ってたか」
「まぁ同業ならな。話は簡単だ。これを【人である】と認識させてほしい」
「うん? 出来はするだろうけど……」
そう言って彼女が爆弾に触れる。
「それで、雅忠はちょっと仰向けに寝っ転がってもらえるか?」
「こう、ですか?」
「そうそう」
「こう、ですか?」
「そうそう」
準備は整った。
「しかし、【人である】必要があるのか?」
黒羽の疑問はもっともである。
「俺の能力は基本的に『対象人物の足元』に発生させることが出来る。つまり物体の下には出せないんだ」
「だから、人と思い込む必要があった、と」
「そうそう。昔、地面をトリモチみたいにする魔人とやり合ったことがあってな。その時も同じ手で引き剥がしたんだ」
「だから、人と思い込む必要があった、と」
「そうそう。昔、地面をトリモチみたいにする魔人とやり合ったことがあってな。その時も同じ手で引き剥がしたんだ」
ヤツも並々ならぬ強敵だったが……その話はまぁいい。
爆弾を指し示し、能力を起動する。
爆弾を指し示し、能力を起動する。
「ぐえっ」
蛙が潰れたような声とともに、ブロックが出現する。あれ、そこそこ質量あるんだよな……。潰れた雷雅忠には後で詫びとこう。
箱の上にアイツが乗っている。生命線で繋がっている雷雅忠から剥がれた以上、後は爆破させるだけである。
箱に蹴りを入れて雅忠の上からどかす。
箱の上にアイツが乗っている。生命線で繋がっている雷雅忠から剥がれた以上、後は爆破させるだけである。
箱に蹴りを入れて雅忠の上からどかす。
「ブロックを増やして一つだけ穴のある空間を作り、海圻がそこに気弾をぶち込んで破壊する。それでいいな?」
「まぁ当初の予定通りだな。なんとかなるはずだ」
「まぁ当初の予定通りだな。なんとかなるはずだ」
特に何事もなく、箱に囲まれた空間で爆弾は破裂した。
箱を消せば爆弾の残骸のみが転がり落ちる。
先ほどと違い、嘘みたいにうまく行った。復活する様子もない。
箱を消せば爆弾の残骸のみが転がり落ちる。
先ほどと違い、嘘みたいにうまく行った。復活する様子もない。
「これで仕事は完了、死人も出なかったし大団円だ」
「主従ともども、世話になりましたわね」
「主従ともども、世話になりましたわね」
後ろからの声に振り向くと、先程までズタズタのボロボロだった蘇絲織が何事もなく立っていた。
育美の手を引いてるがまぁさっきまで抱きつかれてたし無意識だろう。
育美の手を引いてるがまぁさっきまで抱きつかれてたし無意識だろう。
「雷から一通り話は聞きました。何かお礼をしたいのですが……」
「と言ってもなぁ……そもそも魔幇に放逐されて命からがら身を隠す生活だろう。出せるものはほぼ無いのでは?」
「と言ってもなぁ……そもそも魔幇に放逐されて命からがら身を隠す生活だろう。出せるものはほぼ無いのでは?」
俺の疑問に、彼女は懐から巻いた羊皮紙を出す。
「実は、下水道に蘇一家が隠した財宝がありまして」
「マジであったのかよ」
「流石に透明ワニやらなにやらいる危険地帯ですからね。魔幇も我々も手を出せず、手つかずのまま残ってるはずです。そしてこれがその地図」
「マジであったのかよ」
「流石に透明ワニやらなにやらいる危険地帯ですからね。魔幇も我々も手を出せず、手つかずのまま残ってるはずです。そしてこれがその地図」
俺は必要というわけではないが、まぁ下水道で探してたという二人には興味深い情報だろう。
「ありがとうございます。それではぼくが貰っておきますね」
いつの間にかいた少年が、彼女から羊皮紙を受け取る。
……待った、お前は。
……待った、お前は。
「流れで渡しちゃいましたけど、良かったんでしょうか」
「ぼくが爆弾の解体を依頼して、彼らは見事果たした。つまりぼくのお陰だし、受け取る権利はあるってことです」
「ぼくが爆弾の解体を依頼して、彼らは見事果たした。つまりぼくのお陰だし、受け取る権利はあるってことです」
いやその理屈はおかしい。いや別に俺は地図など要らないが……黒羽とヨニヨニの目つきが変わった、気がする。
「俺達への報酬はちゃんと振り込んだんだよな」
「えぇ、勿論」
(こっちも確認したわ。依頼は完了ね)
「えぇ、勿論」
(こっちも確認したわ。依頼は完了ね)
カムパネルラの首肯と七歌の返事が同時に俺の耳に届く。
「では皆さん、お疲れ様でした。蘇一家の財宝はこちらで回収しておきますので」
「そんなこと許すわけ無いだろ!」
「右に同じく」
「そんなこと許すわけ無いだろ!」
「右に同じく」
一足先に駆け出した少年を追い、ツートンカラーの女性とキョンシーがものすごい勢いで離脱する。
「……渡す相手、間違えましたかね」
「別にいいかな。回収できなければ一文にもならないし」
「別にいいかな。回収できなければ一文にもならないし」
それより、もっと重大な問題がある。
「そもそも、こんな爆弾つけられたってことはまだ命を狙われてるってことだろ」
「それは……そうですね。うちのメイドを利用してまで……」
「しばらく
「しばらく
(まーた悪い癖出してる~。そんな捨て猫を拾うみたいに連れ込もうとして~)
(ここで放ってサヨナラして数日後死体が川に浮かんでる方が気分が悪いし……)
(ここで放ってサヨナラして数日後死体が川に浮かんでる方が気分が悪いし……)
七歌に軽く咎められるがこういう人を見てるとどうにもこうにも放っておけない。
そもそも槌歌トラブルバスターズの設立目的が行き場のない魔人やみなしごに雇用先を用意するというところから始まってるので致し方なし。
……こころなしか女性が多い気がするが偶然だぞ? 男性もちゃんと雇用してるぞ?
そもそも槌歌トラブルバスターズの設立目的が行き場のない魔人やみなしごに雇用先を用意するというところから始まってるので致し方なし。
……こころなしか女性が多い気がするが偶然だぞ? 男性もちゃんと雇用してるぞ?
「まぁ、そうですね。手持ちも心もとなくなってきましたし……お世話になりますね。雷も、良いですね?」
「お嬢様の御心のままに」
「お嬢様の御心のままに」
割とあっさり承諾。断られたらそれはそれで仕方ないと割り切るつもりはあったが。
(本人の了承は得たぞ)
(それならまぁ……。こっちで受け入れ手続きは整えておくわね)
こうして、地下大放水路に隠れ潜んでいた主従を雇用することになったのであった。
(それならまぁ……。こっちで受け入れ手続きは整えておくわね)
こうして、地下大放水路に隠れ潜んでいた主従を雇用することになったのであった。
「お前んとこ、そうやって勢力拡大していってるんだな……」
「いや、偶然だぞ、偶然。俺が関わったうちの三割ぐらいしか無い」
「それはまだ多いだろ」
「いや、偶然だぞ、偶然。俺が関わったうちの三割ぐらいしか無い」
「それはまだ多いだろ」
そんなこんなで帰途につく。海圻と情報交換もしたが、ダイヤに関する情報はさして得られなかった。
ダイヤが失われていると何かがマズいことと、シグリが能力を得たこととダイヤが何かしら関係がありそうなことくらい。
シグリが押し付けられた破片がダイヤだとすれば欠けているのはまず間違いない。
もしや育美を使って無限に増やそうとしている……?
ダイヤが失われていると何かがマズいことと、シグリが能力を得たこととダイヤが何かしら関係がありそうなことくらい。
シグリが押し付けられた破片がダイヤだとすれば欠けているのはまず間違いない。
もしや育美を使って無限に増やそうとしている……?
(ちょっとちょっと、緊急ニュース!)
考え事をしてると七歌から連絡が届く。それにしても緊急ニュースとは……?
(どうした、俺達んちの真下にどっかの組織の財宝でもあったか?)
(違う違う。清王朝のダイヤがあるカジノにあるという確度の高い情報が入ったの)
(そんなもん誰も放っとかんだろ)
(勿論。あの劉炎嵐が持ってて、そこにただならぬ魔人が二人ほど飛び込んでいったらしいの)
(それで、どうなったんだ?)
(それは――)
(違う違う。清王朝のダイヤがあるカジノにあるという確度の高い情報が入ったの)
(そんなもん誰も放っとかんだろ)
(勿論。あの劉炎嵐が持ってて、そこにただならぬ魔人が二人ほど飛び込んでいったらしいの)
(それで、どうなったんだ?)
(それは――)
To be continued...