エル・ファシル義勇旅団とは対帝国反攻作戦「
自由の夜明け」に義勇兵としての参加を希望したエル・ファシル避難民五〇〇〇人によって編成された部隊。
概略
1 結成
宇宙艦隊副司令長官
ラザール・ロボス大将の命令によってエル・ファシルの英雄
エリヤ・フィリップス少尉が義勇軍大佐として率いることになった。
避難民が自らの手で故郷惑星
エル・ファシルを取り戻したいという切実な願いを自由惑星同盟軍が手助けするのはまさに自由惑星同盟市民の琴線に触れそうな計らいである。そして、それを率いるのが避難民の惑星
エル・ファシルの脱出に大きな役割をはたしたエリヤ・フィリップスとなれば、同盟のマスコミの垂涎のニュースとなる。おそらくはそのような動機によってロボス大将や国防委委員長
ラウロ・オッタヴィアーニ はこの部隊の結成を支援したものであろう。(10話)
実際のところ、「
自由の夜明け」開始時点では遠征軍司令部惑星シャンプールから帝国軍拠点イゼルローン要塞に通じる二つの航路のうち、帝国
辺境鎮撫軍主力は交易路としての重要性が高い
ドラゴニア航路に配置されていると考えられており(11話)、惑星エル・ファシルの存在する
パランディア航路の攻略を担当するロボス大将率いるエル・ファシル方面軍には大きな戦いは想定されていなかったに違いない。それゆえに、同盟市民の耳目を集めるニュースをロボス大将らは欲したものと思われる。従って、
エル・ファシル義勇旅団も当初はさほど実戦参加は期待されていなかったようである。
2 陣容
3 経緯
宇宙歴791年12月9日から
惑星エル・ファシル攻防戦が始まった当初はエル・ファシル義勇旅団は大勢の陸戦隊員に守られながら戦場に顔を出して愛国心をアピールする存在であった。旅団長フィリップス義勇軍大佐や副旅団長
マリエット・ブーブリル義勇軍中佐の仕事はマスコミの前で演技をするだけだった。しかし、惑星エル・ファシル防衛司令官
ミヒャエル・ジギスムント・フォン・カイザーリング中将指揮下の帝国軍の奮戦により、同盟軍の死傷者が増大していくとその役割は一変する。義勇旅団は危険な場所に配属され、護衛の陸戦隊員は減らされ、フィリップス旅団長やブーブリル副旅団長は先頭に立たされた。義勇旅団は各地を転戦し、戦うたびに大きな損害を被った。最終的には、隊員五一四八人のうち八五五人が戦死、二〇七四人が重傷を負うという大損害を被った(12話)
この戦いぶりによりエル・ファシル義勇旅団は聖戦の殉教者とみなされるようになり、多くの同盟軍人の励みとなった。戦後、旅団の隊員たちは手厚い恩賞を受けた。義勇兵はみな義勇軍階級より二階級低い正規軍階級を授与され、正規軍から義勇軍に出向した軍人は全員一階級昇進した。功績の大きい者に勲章や一時金が与えられた。(12話)しかし、義勇兵として旅団に加わった避難民たちの心には暗い影が差していた。
のちに
エリヤ・フィリップス代将の暗殺を試みた
ルチエ・ハッセル軍曹の一件は義勇兵の身の上に起きた典型的な事例であろう。彼らは生業を失い、貧しさから逃れたい一心で義勇兵に志願した。惑星エル・ファシルでは宣伝目的のために危険な戦場に駆り出され、多くの同郷人・親族を失った。やっとの思いで帰還した故郷は同盟軍の猛攻撃により焦土と化していた。(45話)元旅団所属の義勇兵から何名か自由惑星同盟からの独立のために
エル・ファシル七月危機を起こした
エル・ファシル革命政府に参加したものが現れたことの原因の一つにはこのエル・ファシル義勇旅団があったものと思われる。
最終更新:2017年10月04日 23:15