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etorarowa @ ウィキ

逆光 -Cursed Enjoyment-

最終更新:2021年10月30日 09:26

etorarowa

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だれでも歓迎! 編集
 目を閉じる。シャットアウトされた景色に伴い、高まる集中力。風の音が、動物の声が、相対的に大きく主張を強めていく。そして――失くした景色を補うように、瞼の裏側にハッキリと想起された光景が、彼女――芹沢あさひの視る世界を支配する。外界から隔離されたその光景の中で、あさひは追憶の中に存在していた。変化する彼女の常識、もとい興味の対象は、今やたったひとつ、先ほど見たものばかりが占めていた。

(人があんな風になってるの、初めて見たっす。)

 殺し合いが開始して時間も浅く、まだまだ鮮明に思い出せる。自分よりもひと回り幼い少女が、命を奪われる瞬間。少女への追悼か、はたまた未知への探究心か、その瞬間の記憶を脳裏に呼び覚ます。人の死の瞬間は、14歳の少女が――否、一般的な人間が経験するそれと、大きく乖離したものだった。

 それはまるで、蜘蛛の巣に捕らわれた蝶の羽根をむしり取るような光景だった。身体中から体液を撒き散らしながらも、それでも生に縋りつこうと足掻いて、もがいて――そんな少女の本能すらも、手折るように塗り潰して。命の綺麗な一面と、汚い一面を同時に見せつけるが如きコントラスト。とりわけ性と無縁に過ごしてきたあさひであっても、それを感じ取るのは難しくなかった。それほどまでに、命の散る瞬間はあさひの感性を大きく刺激した。

(でも……)

――その上で。

「……わかんないっす。あの人は、あれが楽しいんすかね?」

 仏頂面になりながら、あさひは再び目を開いた。外界から閉ざされた追憶の世界は文字通り瞬く間に立ち消えて、現実の風景があさひの視界に戻ってくる。

 命を『遊び』の対象とすることに、一切の理解や共感ができないわけではない。だけど、蟻を踏み散らして道楽とするプロセスは、とうに卒業している。年齢とともに命というものについて段々と分かっていくその過程で自然と、壊すことよりも慈しみ、観察する方に興味は向いていった。それに、何となく――あの男の行いは、楽しさとか興味とか、そういうものを目当てとした『遊び』とはどこか違う気がした。もっと、目を覆いたくなるほどの醜悪な悪意――少なくとも、あさひのこれまでの生において無縁であったものが、主催者の男の言動の裏からはひしひしと感じ取れた。

「確かに、わたしはあの人じゃないっすけど……」

 だが結局は、他人の心の中なんて分からないものだ。主催者の男がそれを楽しいと思うのなら、そういうものなのだろう。それを否定する言葉など、あさひは持たない。『そんなものの何が楽しいのだ』と無理解のままに放つ言葉が、いかに心に刺さるものであるかは、分かっているつもりだ。それに、自分の感覚の方が一般離れしている自覚も少なからず持っている。

「……でもこれは、違うっすよ。」

 それでも、あさひは断言する。あさひ自身が己に向けられることを忌避する、相手の『楽しい』を真っ向から否定する言葉。それを、虚空の先の主催者に向けて投げかける。それは、あさひにとって宣戦布告に等しいものだ。

「だって……わたしひとりじゃ、あの景色は見えなかったっすから。」

 アイドルという道を提示し、わたしの見えていなかった『わたし』を見出してくれたプロデューサーさん。

 アイドルはただすごいパフォーマンスをすればいいのだと思い込んでいたわたしに、それ以外の強さを示してくれたストレイライト。

 わたしは、決してわたし一人じゃ完成し得ない。

「わたしに見えないものが見えてる人がいて、それをわたしに見せてくれようとしてくれる人もいる。
 わたしの知らないワクワクを、わたしじゃない誰かが持ってるんすよ。」

 他人の心の中なんて、見えない。だけど、『伝える』ことはできる。とっても難しいけれど、だけど分かろうとすれば、向こうも手を差し伸べてくれることだってあるだろう。しかしそれは、お互いにお互いを突き放して自分から遠ざけてしまう殺し合いと、全く逆の方向にある。

「だからわたし、殺し合いやらないっす。色んな人に色んなワクワクを、教えてほしいっすから。」

 宣言の先に見据えるは、一人の少女の姿。夜の闇に紛れてその顔は見えない。だが、大まかな身長と、クリーム色の髪。愛依ちゃんを思い出させるような、褐色の肌に大胆なへそ出しルック。しかも、死を連想させるようなどす黒い輪っかが、まるで天使のリングのように頭の上に浮かんでいる。その少女の容貌の何もかもが亡霊のように、未だ網膜の裏側に鮮明に焼き付く、見せしめに殺された少女を想起させる。

「……!ㅤじゃあ……」

 あさひの言葉を受けて、少女はおそるおそる口を開く。

「殺し合えって言われてるケド……仲良くしてもいいノ?」
「別に、殺し合いたくないならしなかったらいいんじゃないっすか?」

 はっとしたように、少女は顔をぱあと輝かせた。とてとてとあさひに駆け寄って、ずいと顔を覗き込む。

「……それ、とってもえんじょいで、えきさいてぃんぐだネ!」
「よかったっす。じゃあまずはわたしと仲良くなるっす!」
「うんっ! 777のコトは777(ななな)って呼んでネ! 7がみっつ、ラッキーセブンだヨ!」

――零の妹をヨミガエリさせるための辺獄の旅は、良好に進んでいるはずだった。

 愚問愚塔の足止めを突破できずにイライラしていた零と他のみんなが、険悪な雰囲気になったこともあったけれど。それでも、仲直りした後の零は、幽鬼の777を友達だと言ってくれて、仲間として迎えてくれた。

 零の妹をヨミガエリさせられるだけの理念(イデア)を集め、この旅の終点、再生ノ歯車に乗り込もうと準備を終えた、その時に招かれたのがこの殺し合いだった。

(どうして、こんなトキなノ? 零のいちばん大事な時に、777はチカラになれないノ?)

 焦燥があった。この世界を生きて出る方法が、殺し合うことしか残されていないのなら、それを実行するしかないのか、と。

 同時に、殺し合いたくないという気持ちもあった。殺し合いが開始して最初に出会った少女は、幽者でも幽鬼でもなく、生きている実在の少女だったから。

 もしも彼女が殺し合いに乗って襲ってきていたならば、選択を迷うこともなかっただろう。だが、彼女は殺し合いに乗らないことを宣言した。その上で、やりたくないならやらなくていいと言ってくれた。えんじょいでえきさいてぃんぐなことを求める。777が零に着いていく理由であり、777が777である原点。それをあさひは思い出させてくれた。

「どういうことっすか……? 777プロってとこにでも所属してるんすか?」
「ぷろ……? よくわかんないケド、777は777だヨ。」
「あっ、もしかして名前っすか! あははっ、変わった名前っすね! わたし、芹沢あさひっす。」
「分かった。あさひ、よろしくネ!」
「よろしくっす、777ちゃん!」

 元より『楽しい』を追究することに関しては人一倍敏感なふたりである。殺し合いを命じられた世界という先入観さえ捨て去れば、打ち解けるにも時間は要さない。殺し合いに乗った者やエロトラップ・NPCといったものに対する安全確保という理由関係なしに、自然と同行する運びとなっていた。

「へぇ、あさひはあいどるなんだネ。」
「そっす。みんなをワクワクさせることができて、すっごく楽しいんすよ!」
「じゃあ、777のあいどるは零だネ。一緒にいるとすっごくえきさいてぃんぐな気持ちになれるんだヨ。」

 零について語る777は、他の話をしている時よりもずっと楽しそうに見える。777の楽しいの片鱗が垣間見えたような気がして、興味が沸いた。

「レイ……777ちゃんの友達っすか?」
「うんっ!ㅤ零といると、すっごくすっごく楽しいんだヨ!」
「じゃあ、わたしも会ってみたいっす!」
「うんうんうんっ!ㅤあさひは小衣や千みたいにおっかなくないし、きっと零も喜ぶヨ!」
「あははっ、おっかない友達もいるんすね。」

 おっかないという言葉を、文面通りにマイナスの意味に感じ取ることはなかった。これも、あさひがアイドルになったが故の変化だろうか。あさひの脳裏には、おっかないながらも思いやりのある友人の姿が浮かんでいた。本性を自分たちやプロデューサーさん以外には隠している彼女のことをあえて777に語ることこそしなかったが、それでも合流できたら心強いことこの上ないのは間違いない。

「あ、でも……零はこれに巻き込まれていてほしくはないかな……。」
「……?ㅤ会いたくないんすか?」

ㅤ777の表情が一転して曇ったのを感じ取ったあさひ。しかしその理由が読めず、きょとんとしたまま尋ねる。

「ううん、とっても会いたいヨ!ㅤでも……殺し合いなんて零にはやってほしくないシ……」
「それは分からなくもないっすけど……でも、もし巻き込まれてても一緒に脱出すればいいっす!」
「まあ、そうなんだけどネ……」

 あさひとしても当然、冬優子ちゃんや愛依ちゃんやプロデューサーさんが嫌なことに巻き込まれていてほしくないという気持ちはある。だが、そもそも殺し合いという非日常に対し、生命の危機の実感など湧かないのだ。目の前の777が辺獄を闊歩する幽鬼であることも知らなければ、ファンタジーの実在すらも認識していない。極論、どこかからカメラマンが出てきて『ドッキリ』とでも明かされる方が彼女の日常とは結び付いている。

 しかし777は違う。零の妹のため、辺獄で幽者や幽鬼と日々命のやり取りをしている身だ。そういう意味での殺し合いは日常とする身であるし、この殺し合いについても脱出の可否についてはあさひより悲観的に捉えざるを得ない。更には、零がこのゲームに招かれていたとしたら――おそらく零は、殺し合いに乗る選択を取るし、取れる人間だ。譲れない願いのために、自分の気持ちを押し殺して他の命を奪う。それもまた、彼女の日常だから。

 零が招かれていることはすなわち、零と殺し合わなくてはいけないことを意味する。もしもそうなったら零の願いのために自分の命くらい差し出せると、胸を張って言えるけれど。零の優勝のためとはいえ、あさひや他の生きた人たちを殺さないといけないのは、やっぱりイヤだ。零のために頑張ることそれ自体は本懐であろうとも、決してそれが『えんじょい』だとは思えない。

「っていうカ……」

 ひとまず暗い気持ちを振り払って再び、顔を上げてみると。

「わーっ!ㅤいつの間にか囲まれてるヨ!?」
「わっ、なんすかこれ!?」

 考え事をしている間に数匹の魔物が宙を漂っていたことに気付く。人間の手の形をした思念体、フユウデ。他者に生命的な危害を直接加える魔物ではなく危険度は低いが、しかし捕まってしまったが最後、マナ、もとい魔力を吸い尽くされるまで身体の至る部分を揉みしだかれることは避けられない。

「すっごく不思議っす!ㅤオバケってほんとにいたんすね!」
「いやいやあさひ、逃げるヨ!!」

 嬉々として敵に向かっていこうとするあさひをふんづかまえて、敵と敵の間をすり抜けていく777。フユウデの群れはそんな二人を追いかける。

「わっ……」

 しかし、あさひと777も身軽であるが、手のひらだけしかないフユウデはそれ以上に、文字通り『身軽』であった。フユウデに与えられたNPCとしての使命――ではなく元々有する習性に基づいて二人に近付く。敵の接近を気配で感じ、振り返る777。二人が捕まるまで、距離はそう離れていない。そしてフユウデの中の一体の手のひらが、777より少し遅れて走るあさひへと伸びる。

 敵の様子を見るために振り返った777が、あさひが捕まりそうになっているのを認識するのと、ほぼ同時。

「こらー!ㅤあいどるはお触りゲンキン、だヨ!」

――Spell.777Doodle

 777の手から、虹色の光線が発射された。あさひを狙っていたフユウデを貫き、さらに後続のフユウデまでもを貫いた。動物の残留思念やマナの思念体でしかないフユウデに、さらに加えられた魔力の塊。フユウデの残留思念は魔力の中で瞬時に薄まり、消えていった。

「まったく、カゲキなファンは困っちゃうネ。あさひ、ダイジョーブ?」

 一直線上に並んだフユウデを一網打尽に撃ち抜いたその手に、まるで銃口から出る硝煙を吹き消すかのごとくフッと息を吹きかけて、ドヤ顔のまま777は語る。それを見るあさひの目は、これまでになくキラキラと輝いていた。

「すっごいっす!!ㅤ今の!!ㅤいったいどうやったんすか!?」
「わわっ……あさひ近いヨー」

ㅤずいっと顔を寄せてきたあさひに、どこか照れ臭さを覚える777。或いは、零とも小衣とも千とも違う距離の詰め方に対する戸惑いだろうか。

 777がモジモジしている間にいつの間にか777から離れていたあさひは、777のポーズの真似を始めていた。

「とぉーう!ㅤこんな感じっすか?」
「んー、幽鬼じゃないあさひにはできないかもネ。」
「えー……つまんないっすー……わたしもユウキってのになれないんすか?」
「それはダメだヨー!ㅤいーい?ㅤ幽鬼ってはネ……」

 幽鬼になるというのはすなわち、死ぬということ。それを知って言ったではないのだろうが、殺し合いを命じられている今は縁起でもない。説教がてら、幽鬼とは何であるのか、あさひに説明する777。

「ああ!ㅤ777ちゃんの頭のぴかぴか、そういうことだったんすね。」
「もう……ホントに分かってるノ?」
「これ取れないんすか? そしたらわたしも、ビーム出せるかも!」
「やっぱり分かってなかったヨ!」

 頭の幽冠をぐいぐい引っ張り始めたあさひに、膨れ顔で抗議する777。

「取れないっすー……。」
「トーゼンだヨ!」
「んー、このザックにはその不思議なチカラがあるわっか、入ってないんすかね?」
「ないと思うケド……見ておくのはイイと思うヨ……」

 殺し合いの世界で持ち物を把握しておくのは有益だ、との意味を込めてそう言った。あさひはそれを聞いてサッとザックに手を突っ込む。そして間もなく、その中身を掴んで取り出した。

「これはっ……!」

 そして、ラベルに書かれた文字を堂々と読み上げる。

「媚薬っす!」
「ビヤク……!?ㅤそれは……そこはかとなくヤバいヨ!」

 しばし、沈黙が流れる。その後に、あさひは率直な疑問を述べた。

「……媚薬って何なんすか?」
「ノリでそれっぽいリアクションしてみたケド、777も知らないヨ。」
「うーん、何なんすかねー……?」

 純真無垢な二人は薬瓶をまじまじと見つめるも、その答えは出てこない。得体の知れない薬を試しにと服用するような無謀さはさすがの二人も持ち合わせていないため、観察以上のこともできそうにない。次第にあさひの興味は媚薬から離れていく。

「それより、ほら!」

ㅤ次にあさひが取り出したのは、赤い宝石が装飾された一本の杖だった。杖と言っても、歩行補助に用いられるような松葉杖とは全く異なる、いわゆるワンドと呼ばれる形状をしたスタイリッシュな道具である。

「これ、魔法とか使えそうっすよ!」
「おおっ!ㅤあさひ、魔法少女ってヤツだネ!」

 現代日本において日常的に見るものではなく、とりわけファンタジー世界への憧憬を抱くあさひにとっては好みに刺さったようだ。あさひは手にした杖をくるくると振り回して遊び始める。

ㅤそして、その時――



『――悲しみを捧げよ。』



「……あれ。」
「……?ㅤあさひ……どしたノ?」

 声が、聞こえたような気がした。その正体を模索するよりも早く、あさひは脳で感じ取った違和感に気付く。

――白いキャンバスに塗りたくられた黒の絵の具が、じわり、じわりと染み込んでいくように。

「……ああ。777ちゃん。」

 突然落ちた声のトーン。遊ぶことを中断したあさひを不思議そうに覗き込む777。

「――離れるっす。」

 次の瞬間、あさひはまるで薙刀のように、手にした杖を777へ振るっていた。

「痛っ……!!」

 杖の先に装飾された宝石が777の顔に吸い込まれたように命中し、同時に777の表情が驚愕に染まった。

「あさひ、何デ……!?」

 唐突に顔面に走った打撃の痛みに悶えながらも、777はバックステップで距離を取る。

 そして改めて向き直ったあさひの白い肌は、いつの間にか青白く染まっていた。アイドルとして日頃の手入れが感じられた綺麗な肌に、亀裂が入ったかのように血管が膨大し、浮き出ている。有り余る好奇心に反してどこか無気力そうだった垂れ目は、今やぎらりと血走っていた。仇敵を睨むが如く777を凝視し、殺意を滾らせて。

「――悲しい……。」

 何よりも続くあさひの声からは、持ち前の明るさというものが消えていた。ひしひしと伝わってくる感情は、楽しいとか嬉しいとかそんな感情ではなく、まるで絶望の中死んでいった幽鬼の死念のような、どす黒い負の感情。

「すっごく、悲しいんすよ。」
「いったい、何がそんなに悲しいノ、あさひ?」

 瞬間、空気が硬直する。ただ事でない何かがあさひに起こっていると全身の感覚が理解する。果たして、あさひを攻撃していいものか777には分からない。だが、黙って攻撃を受けるわけにもいかないのも確かだ。その手には、文房具を操る777のspellにより生成された原寸大を優に超えたサイズの定規。剣代わりに、というよりはむしろ防具代わりに、振るわれた杖と弾き合う。

「――ぐウッ……!」
「悲しいに決まってるじゃないっすか。だって、せっかく、777ちゃんと仲良くなったのに――」

 鍔競りあった間隔から、その杖は少なくとも仕込み刀というわけではないようだ。しかし、定規越しに感じるずっしりと確かな重量。あさひの力は、一般的な女子中学生に出せるそれでないことは明らかだった。

「ここでもう、お別れだなんて――!」
「待っ……!」

 力押しでは勝てないと察し、spellにより卵型爆弾を生成する777。前方に投げる素振りを見せるが、あくまでブラフ。迎撃のために一歩下がったあさひを無視して爆弾を消滅させ、引き下がって距離を置く。

 あさひの言動の何もかもが、先ほどのあさひと異なっていた。まるで何かが乗り移ったかのように。或いはさながら、力の制御を失い暴走した己が幽鬼の真名、エピクロスのように。

「……もしあさひの意思じゃないのなら、このままほっとけないヨ……。」

 大好きなはずの零を攻撃しながら。止めたいって思っても、湧き上がる激情が、抑えられなくて――どうにか溢れ出る涙ごと、息の根まで止めてほしくって。自身とあさひの現状を重ね合わせてしまったからこそ、見捨てることはできない。

 確かに、あさひは少なくとも幽鬼ではない。ましてや、状況を見るに幽鬼の暴走の原因となる感情の昂りも無かった。それならば――

「さては、ハンニンが見えたヨ!ㅤ777、ビームっ!」

 あさひの突然の乱心の原因を、手にした杖に見出した777。狙いはあさひではなく、自身へと向かってくるあさひが上方に掲げている杖。虹色の閃光が一直線に伸び、夜空を染め上げる。

――あさひの手にした杖は、名を『神鳥の杖』といった。

 魔法の才の有無に依らず、手にしたものに絶大な魔力を与えると伝えられているこの杖の伝承は、文面こそ事実に即しているが、しかし重大な点が抜け落ちている。その杖には、かつて二つの世界を手中に収め、統制しようと企んだ暗黒神『ラプソーン』の魂が封印されている。肉体を分離した封印下であれどその多大なる魔力は健在。手にしたものの負の感情を増幅し、意のままに操る"呪い"が込められている。

 それが、芹沢あさひの現状。杖を媒体としラプソーンの魔力の一部を行使することができる代わりに、その肉体の支配権をラプソーンに奪われている。

 だが、ラプソーンが支配し、魔力を供給しているとはいえ、それは元よりあさひの肉体である。それならば、その身体に備わる『才能』は――たとえ暗黒神の支配下にあろうとも、失われることはない。

「なるほど、こうやるのか。」
「えっ……!?」

 先ほどあさひの好奇心を刺激した虹色の光線を前に、再び紡がれた言葉は、先のそれよりも、簡潔で――天高く掲げられたあさひの杖から、虹色に煌めく魔力の奔流が撃ち出され、777のスキルと真っ向から衝突し合う。777の放った閃光と限りなく酷似した魔力の渦。

 芹沢あさひの才能。ひと目見ただけで対象の細かい挙動すら記憶できるだけの観察眼。そして、それを正確無比に再現できる出力の才。だが、彼女の真骨頂はそればかりに留まらない。

――あさひの操る光線の本数は、777のそれの優に三倍もあった。

 辺獄の管理者より改造を受け、さらに魂の変質まで見せた777が、相応の修練の果てに得たspellの到達点、777Doodle。それをまるでさざ波をかき消すかのごとく凌駕し、消滅させた。

 あさひの演じる模倣は、時に本物すらも超越する。平凡なアイドルが長きに渡る努力を重ね、その上でようやく身に付けたステップを、彼女はひと目で記憶し、そして己の色に染め上げてしまう。

ㅤ打ち寄せる魔力の余波を正面から受け、弾き飛ばされる777。大地を滑り、全身に擦り傷を作りながら、痛みに悶えつつも何とか姿勢を立て直そうとする彼女の眼前に映るは、大きく視界の揺れた端をあさひが疾走し、己へと向かってくる光景。咄嗟に生成した三角定規による防御もいなすように杖で打ち払われ、777の身体は無防備にあさひの前に放り出された。

 倒れた777の前に立ち塞がったあさひ。無慈悲に、その手の杖の末端を、衣装からはみ出た777の臍に突き立てる。

「あガっ……!!」

 腹部を伝わる激痛に、捻り出すばかりの悲鳴が辺りに響き渡る。刃物と呼べる代物では到底無いが、少なからず尖った杖の末端を相応の力を込めて突き刺せば、肉を抉ることとて不可能ではない――かつて、この杖を用いた刺殺が為されたように。しかし、当時ラプソーンが操っていたドルマゲスは、成人男性としての腕力を有していた。だが、それに比べてあさひは、日々のトレーニングでも暴力行使における腕力として出力するための鍛え方はしていない。さらには、777が人間よりは丈夫な身体を持つ幽鬼であること。それが777の命を繋いでいる要因だった。

「……しぶといっすね。」

 それでも、最初の777Doodleの迎撃に加え、腹に加えられた刺突のダメージは決して小さくない。すでに目の前の景色はぼんやりと霞んでおり、重い足取りでは立ち上がっているのがやっとだ。

「……でも、まだ……負けない、ヨ。」

 もしも、エピクロスのチカラが暴走したあの時に、勢い余って小衣や千、或いは零を殺してしまっていたとしたら。きっと777は後悔していた。涙に流すだけでは足りない罪を背負ったまま、また"独りぼっち"に戻っていた。

 今、777がここに立っているのは、あの時に止めてくれた零たちのおかげに他ならない。だから、777は誰かにとっての、零になりたい。あさひを殺すのではなく止めることを目指せる人がいるとしたら、それはきっと、えんじょいだったあさひを知る、自分だけしかいないから。

「……いい加減、飽きたっすよ。」

 そんな777の覚悟を、あさひは興味なさげに吐き捨てる。彼女自身を構成する何かを塗り替えられてしまったあさひ。

 彼女の精神は、何色にも染まり得る白のように、見えるものをそのまま受け取っていた。しかしそんな彼女の白は、プロデューサーさんやストレイライトの二人との、プリズムよりも多彩な日々の中で、磐石なる白として塗り固められてきたはずだった。受容した物事を、自分の色に咀嚼できる力を、次第に身につけてきたはずだった。

 それでもなお、暗黒神ラプソーンという絶対なる『黒』はあさひの白を侵食した。まるで白色が塗り固められたキャンバスに、黒い筆を――キャンバスごと割るほどに強く、そして激しく。まるで、輝きを纏った光を、混沌よりも深い闇が呑み込んでいくように。

【芹沢あさひ@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康 暗黒神ラプソーンの洗脳下
[装備]:神鳥の杖@ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2
[思考]
基本:あさひや他の参加者を操り、殺し合いを進行させる。
1:「……。」
[備考]
※参戦時期は少なくとも『Straylight.run()』終了後。
※777Doodle*3を習得しました。他の呪文やスキルの類も、見れば習得する可能性があります。

【777@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:ダメージ(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~3
[思考]
基本:殺し合わず生還する。
1:呪われしあさひを止める。
2:零が呼ばれてるなら、零の望みを叶えたい、ケド……。
[備考]
※第8章「失われた未来を手に」開始時からの参戦です。(777の生前の記憶は戻っておらず、仲間との関係は比較的良好。)

【支給品紹介】
【神鳥の杖@ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君】
芹沢あさひに支給された意思持ちの支給品。暗黒神ラプソーンの魂が封印されており、手にしたものをラプソーンの洗脳下に落とす。この殺し合いにおけるラプソーンのスタンスは、殺し合いなど早々に終えて元の世界に戻り、再び肉体復活のために活動を再開すること。そのため、宿主を操って参加者殺害を主目的に動く。自律行動ができないため支給品の形を取っているが、扱いとしては他者に寄生するタイプの参加者に近い。

本作では神鳥の杖を手にしたあさひ(呪われしあさひ)が777Doodleを777Doodle*3に進化させた上でラーニングしているが、これは以下の原作設定に根拠を置いている。
①ラプソーンの洗脳下では、ドルマゲスのような魔法の才能が無い者も魔法を扱えるようになる。
②魔犬レオパルドが鼻を用いて獲物を探していたことから、宿主となる身体の特質は洗脳下でも発揮される。
③ただの犬でしかないレオパルドも、ラプソーンの洗脳下ではドラクエの中ボス級のステータスを得られる。

【NPC紹介】
【フユウデ@不徳のギルド】
28話に登場する、手の形をした霊魂系の魔物。死んだ人間や動物達のマナと残留思念から成る。手の平から体力と魔力を奪うスキル『気奪(げだつ)』を使うが、一定量マナを取り込むと自身の情報や思念が相対的に薄まっていき、消滅してしまう。その過程で相手の身体をとにかく揉みしだく。
メイデナ曰く、「傍から見たら女の子にイタズラして成仏していくヘンタイにしか見えない」とのこと。
ちなみに本作でマナの無いあさひを狙っているのは、ザックの中の神鳥の杖を狙っての行動。

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