バッテリー~スターター間の配線を交換しよう

最終更新:

500mex

- view
だれでも歓迎! 編集

バッテリー~スターター間の配線を交換しよう



趣旨


500の各タイプに合わせたワイヤーハーネスのセットがWEBショップで販売されていますが、実はそのセットに入っていないのが、バッテリー~スターター間の太いプラス線。(以下、バッテリーコードと称します。)
500Rの配線図だとこちら。
濃いピンクでなぞった4から29に繋がる線です。
配線図を眺めてみると、これはバッテリーから大電流が必要なスターターモーターに直結されている上に、どうやら発電機で発電した電気をバッテリーへ送る役割も担っているように見える。
しかしバッテリーとスターターの間にはヒューズも無いため、もしも被覆の損傷によるショートなどを起こしたらとんでもないことに。

そう思うと、2013年末にワイヤーハーネスを新品に交換したものの、充電に関わる線が劣化しているのでは片手落ちではないか?という気がしてなりません。
実際、当時の自分の500はバッテリーコードの被服が完全に劣化してカチコチだった上、内部の銅線もだいぶ黒くなっていたのです。
そのような訳で、2016年に交換した次第です。
以下、その際の作業記録です。

用意するもの


  • リプロダクション品のバッテリーコード、もしくは代用品。
  • 私は現物を調査して『自動車用低電圧線・バッテリー用(AVコード)20sq』で代用・自作しました。
  • 代用品で自作する場合は20sq対応の8mm穴丸端子

以下、必要に応じて
  • 新品のバッテリーターミナル端子
  • 交換用のグロメット
  • コルゲートチューブ
  • タイラップ等

必要な工具

  • ジャッキ(車体の下に潜るので、4輪浮かせるようにジャッキアップします。)
  • ジャッキスタンドx4
  • バッテリーターミナル端子を緩めるためのスパナ(端子の製造元によってサイズがまちまちです。)
  • プラスドライバー(2番)
  • 必要に応じて内装クリップ外しやカーボングリース、接点復活剤等

以下、代用品で自作する場合は
  • 配線の太さ確認用にノギス
  • 太線用の圧着ツール
  • 太線用のワイヤーカッターもしくは大きめのニッパー
  • 配線の被覆を剥くためのカッターナイフ
  • コンベックス(既存の配線長さ確認のため)


作業手順

01

先ずは配線の太さの調査から。
(リプロ品を使う人はこの作業はスキップ。)

マニュアルには配線の太さの記載が見当たらず、仕方なく現物で測定することに。
バッテリーターミナル端子から外してみると、導体部分が平たく潰れている…。
本当は潰れていないところで一度切ってから測るべきなのでしょうが、元々の配線の長さが本当にギリギリだったため、そうするとバッテリーに届かなくなってしまう…。

そこで苦肉の策で、潰れて広がった方向も測ってみると7.48mm。
単純計算ではあるけれど、
(5.55+7.48)÷2=6.51
ということで、導体部分の外径はおおよそ6.5mmであると判断。

一応被覆の外径も測っておきました。
少し潰れている場所で8.68mm。
数カ所測って平均を出すと8.8mm程度。
これを元に使える線を探しました。

そしてWEBで見付けたのがこちら。
清和工業株式会社の『自動車用低電圧線・バッテリー用(AVコード)』です。
 
調べてみると、低電圧とはどうやら300V以下のようで、AVという記号は”自動車用ビニル絶縁低圧電線”のことらしい。
このAVコードの中の『AV20』(20sq(スケア))というのが、
導体外径:6.6mm
絶縁体(被覆)外径:8.8mm
許容電流:132A
とのこと。
太さが計測値とほぼ同じなので、これで間違い無かろうと判断した次第です。


02

既存の配線ルートの確認。

バッテリー、フロントシート、キャビンのフロアマット類、センタートンネルのカバーも外したら、配線のルートをよく観察しておきます。

下に潜ってスターター部の絶縁ブーツを外すと出て来る端子台。
(126ナンバーのエンジンの場合です。それ以外はスターターの位置はミッションの直上となります。)
端子を留めていた13mmのナットを外した状態の写真。
茶色いのが発電機からの線で、黒く太いのがバッテリーコード。
端子台のボルトとバッテリーコードの端子は銅製でした。
そして端子に少し角度が付けられているのは、スターターやダクトとの干渉を避けるためのようです。


バッテリーコードを辿ると、被覆がリアサスペンションアームと擦れていたのか、少し削れていました。
危険なのでこれを回避するように配線し直すか、上手く固定して擦れないようにする必要がありますね。


バッテリーコードは床下のここから室内のセンタートンネルへ。
ここのグロメットは劣化が酷く、隙間だらけでカチコチ。
これでは役目を果たさないため交換します。


室内の後部座席側センタートンネル内。
シフトリンケージの右横から出て前方(矢印の方)へ向かっています。


前席側足元。
ん?バッテリーコードが前席側では左側を通っているだと?
どうやらセンタートンネル内の見えない所で配置を変えているようです。


そこで、シフトレバー側から写真を撮るとこうなっていました。
 ↓
なるほど…
考えてみればセンタートンネル内は意外と可動箇所が多い。
サイドブレーキのラッチに挟まったり、シフトレバーの変な所に挟まってショートでもしたら大変。
しかもガソリンラインが同じ場所を通っているから最悪は炎上の恐れも。
そこでサイドブレーキやシフトレバーの干渉を避けるために、このような配線ルートになっているんですね。
なるほど納得。

で、丸で囲った部分のように、このバンドで配線位置をキープしていたのです。
このバンドは、
1)サイドブレーキの後に一カ所
2)チョークレバーの根元付近に一カ所
3)シフトレバーのすぐ後ろに一カ所
4)アクセルペダルの根元付近に一カ所
計4カ所にありました。
このうちの3カ所は見えない場所で手探り作業になるためでちょっと面倒。


そしてバッテリーコードはアクセルペダルの可動部も避けるようにしてフロントの外部床下へ。

で、最後にトランクルームのバッテリー裏へ出るというルートでした。
 

被覆がカチコチになってたいせいで苦労しつつもバッテリーコードを摘出。
配線の長さがどれくらいが必要かという見当を付けるために測っておきました。
 ↓

ぐにゃぐにゃの配線に沿ってコンベックスを当てつつ測ってみると、全長は2.5m。
しかし同じ長さにしてしまうと、今までのと同じくバッテリーの所でギリギリになってしまう。
その辺りのゆとりも考えるとおおよそ3mあれば足りそうです。

注)126エンジンの場合です。
その他の110エンジンではスターター位置が異なるため、若干長く必要かもしれません。


03

配線作業。

新しいバッテリーコードを通していきます。
私はフロントのバッテリー裏から攻めてみました。
ここのグロメットも腐っていたので交換済みです。
 
大電流が流れるプラス電源であるため、走行中の振動などで万が一にも被覆が裂けたりすることのないように、注意を払いましょう。


トランクルームのバッテリー裏で一旦外に出てからフロント足元へと、少しずつバッテリーコードを送って行きます。


そして元の配線ルート同様にセンタートンネルへ。
サイドブレーキやチョークレバー、シフトレバーやアクセルペダルの可動部を避けつつ、例のバンドに通していきます。
通し終えたところで、万が一の擦れに備えてコルゲートチューブで被覆しておきました。


センタートンネル後部でアンダーフロアーを抜けて床下へ。

リアサスペンションアームに干渉しないルートを選びつつ、念のため、ここにも保護としてコルゲートチューブを。
これでスターターまで無事に配線することができました。

後は20sqという太いバッテリーコードに見合う丸端子を付けるだけ。
(リプロ品には端子が付いています。)
選んだのはこちら。
日立オートパーツ&サービスの『DR22-8』という8mmボルト用のサイズ。
 

これに圧着ツールを使ってトルクを掛けたものの、トルク掛けすぎな上に圧着のセンターが少しずれただけでこのようにイビツに…。
これは悪い圧着例。
うむ、慣れが必要ですな。
そして既存の端子に倣い、端子には少し角度を付けておきました。


因みに今回使った圧着ツールは、日立オートパーツ&サービスの『簡易圧着工具 D-19N 8.00~38.00mm2(最大トルク29.4N・m)』というもの。
購入しておくと太い線でアーシングする時などにも使えますが、結構いい値段なので持っている人に借りる手も。


発電機から来ているワイヤーハーネスと、新たなバッテリーコードをスターターに繋ぎ、絶縁ブーツを被せます。
注)端子台のボルトナットが銅なので、トルクが過大にならないようにします。
WEBで検索すると、銅のM8は普通ボルトの半分=6.2N・mです。
 ↓


最後にバッテリーターミナル端子も新しいものに替えて完了です。
 ↓
良い機会だから電気の流れを良くするために、バッテリーのターミナルもコンパウンドで磨き、更に電導性グリス(キタコ カーボングリス)を、極薄く塗っておきました。

 
この後エンジンを始動してみたら、スターターの勢いが今までより若干強くなったかな?という感じ。
それ以外は特に変わった感じもありませんが、これで不安要素はひとつ減りました。

(written by MEX)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー