このページはSSシリーズ『Ark of Inner Age』に関する特設ページです。
パルエ暦759年。
セレネ、メオミーへの入植が始まり、パルエ人類は本格的な宇宙時代に突入した。
そしてソナ星系における特殊新資源、特殊生態系の連続発見。それらは寿命を迎えつつある惑星パルエを延命させるための新エネルギーの開発に繋がり、宇宙開発は破竹の勢いで進んでいく。各国は惑星パルエの寿命を悟り、その焦りから生存競争を繰り広げていた。その舞台はパルエ人類が活動可能ないわゆる「内環」、各国は新エネルギーを巡りそれを奪い合う熾烈な新冷戦時代へ突入していくことになる。
そんな内なる時代の中、惑星エリクセより外の軌道、パルエ人類が「外環」と呼ぶ領域への有人探査計画が始まる。
探査計画のの成功を求め、国際協調下で外洋宇宙戦艦の建造が始まる……そんな夢のような国際的探査計画を、各国の思惑や主義思想が揺さぶった。
果たして計画は無事軌道に乗り、パルエ人類は外環への道を開けるのだろうか。
第七話〜ヴァイネルガン〜
第八話〜交差する主役〜
第九話〜連合宇宙艦隊〜
第十話〜抜き取り〜
第十一話〜曇天の事実〜
第十二話〜晴天の宇宙〜
・ナズナ・ミシア航宙軍大佐
メルパゼル航宙軍の〈アマヅチ〉艦長であり、今作の主人公。
・アシェル・トゥラン大尉
パンノニア航宙軍航空隊の小隊長、今作の2人目の主人公。
・メロカ・ラトフ少尉
アシュルの部下の女性パイロット。
・ビーコン801号
ネタバレ防止のため後日公開。
旧時代の人々が開発していた宇宙航行用エンジン。FZドライブとも言う。
基礎原理は浮遊機関と共通しており、クリスタルに内包されたエネルギーを発振することにより推進力を得る。浮遊機関と同じく反作用ではなく機関自体が推進する方式。
制御には相応の電力を要し、一度起動すると簡単に反応を止めることができないため、係留中もアイドル状態を維持する必要がある。(AT車のクリープ現象のようなイメージ)
燃焼による反作用で進むエンジンよりは高度だが、目標の速度に到達すればエンジンを停止しても良い燃焼式と違い、
フェゾン・ドライブは慣性制御にいくらかの影響を与えているため、徐々に出力を弱めていかないと宇宙船が分解してしまうなど面倒くさい側面もある。
浮遊機関の生産はできずとも制御を可能にしたアーキルは第四紀にフェゾン・ドライブの研究に着手し、半世紀ほどの試行錯誤の末にようやく実用化に至った。
とはいうものの、700年代後半になってもパルエ人類はフェゾン・ドライブを生産することは未だかなわない。
762年にクランダルト帝国戦略宇宙軍が開発した外環航行のための生体器官。G4器官とも言う。
偶然捕獲された宇宙クジラをベースに開発されたシステムで、水素ガスと宇宙微生物由来の有機物質とG粒子と呼ばれる素粒子を吸収しそれを元にエネルギーを産み出すG代謝器官と、エネルギーと粒子などを用いてG4粒子と呼ばれる素粒子を作り出す"G4回路"を用い、翼や鰭などからそのG4粒子を爆発的に移動エネルギーに変換させる"キック"を行って、特定の方向に急激に加速するという方式。
基本的な制御方式が従来の生体器官と同様なため扱いやすいが、推進に必要なG4粒子の量は半端ではなく、元となった宇宙クジラはこれを行うのに数千年かけて必要な量を賄うため、このG4器官を効率的に運用するためには別でG4粒子生産プラントを整備しなくてはならない。
また、これ単独での姿勢制御もできないことはないが、やろうとすると数十年かかるのでG4器官を搭載した宇宙船は姿勢制御に普通の反作用式推進剤を使う必要がある。
停止する際にはどこかの重力圏に引っ掛かって時間をかけて停止するというのが宇宙クジラだが、G4器官搭載船では推進剤による逆噴射で止まる方式をとる必要がある。
特殊な物質を多く使うG4器官の製造には皇帝アイギス100人分の費用が必要であり、大変高価なのでほとんどが国家プロジェクトとして建造される。
現状唯一の自作可能な恒星間航行器官であるが、光速は全く超えられていないので実際に恒星間航行を行おうとすると数万年かかる。夢の恒星間航行は旧時代でも難しかった領域なので、まだまだ壁が多い。
メルパゼルやアーキルなどが宇宙艦の艦首長距離砲として用いる指向性光学兵器。
レーザー媒質(ある種のルビーの結晶体)とよばれる発光する媒体と、その媒体に光エネルギーを与える励起装置(たとえばカメラのフラッシュランプのようなもの)、そしてその光を閉じ込める共振器とよばれる装置の三つの構造から成り立ってる。
フラッシュランプから強い光をレーザー触媒に照射し、光は高エネルギーの状態となった光を共振器によってさらに増幅される。そしてこれがある一定の強さに達すると、直線的なレーザー光として放出され、目標を切り裂く兵器となる。
パルエ人類が扱える光学兵器はこれと後述のプラズマ砲のみであり、パルスレーザーやビームレーザー、または過電粒子砲などの光学兵器も研究されているが、未だ実用化に至っていない。ただし、その領域の光学兵器は旧兵器が搭載しているため、パルエ人類の宇宙開発の脅威となっている。
クランダルト、パンノニアが主に使用する艦首長距離武装。精密に言うとガスレーザーの一種であり、気体の二酸化炭素(炭酸ガス)を媒質に莫大な電力を加えてプラズマ化し、赤外線領域の連続波や高出力のパルス波プラズマを空間砲身の流れに沿って高速で撃ち出す。装置が艦首全体を覆ってしまうほど大型で嵩張ってしまうが、その威力は敵艦を一撃で溶解させ、宇宙ステーションや地表の目標などにも壊滅的な被害をもたらす必殺兵器である。
クランダルトの場合はガスの供給も電流の供給も全て生体装置が行うが、パンノニアは機械式の主機関から超高圧電流を送り込む方式。
いわゆるレールガン、艦首に搭載される中では唯一の実体弾兵器。
二本のレールに対して非常に強い電流を流し断続的に流し、磁束を発生させ、電流と磁束の関係から発生するローレンツ力と呼ばれる力を用いて弾体を超高速で撃ち出す兵器。実態弾のため、重力も抵抗もない宇宙空間ではほぼ無制限に飛翔していく。しかし、実際に弾体を命中させるには相当高性能なFCSが必要な上、物体に電気を流すとジュール熱とよばれる熱が発生し、弾体となる伝導体は非常に高熱となるため、威力を期待するだけの大電流を流すと伝導体がプラズマ化してしてしまう。電力の流しすぎには注意。
かなり難しい装置に思えるが、大口径の砲弾を高速で打ち出し、物理エネルギーで対象を破壊するという、南北戦争時代から続く非常に分かりやすい兵器である為、意外と多くの国の艦が搭載している。
メルパゼルやアーキルなどが砲艦の主砲として用いる他、ネネツ公国のみ288mmの大口径レールガンを保有しており、敵艦をアウトレンジで破壊する戦法を得意とする。
『深宇宙探査船ラナスカレヂア』
『ヴァイネルガン級巡航戦艦』
クランダルト帝国の最新鋭艦。長距離航行が可能な「G4型推進生体器官」を搭載しており、外環までの超長距離航行が可能。
武装も今までの生体艦より遥かに強力で、艦首に3600mmガス電圧式プラズマ砲を1門、280mm単装自動砲2門を主武装として搭載し、他に多数のCIWSとVLSを備える。
本作には就役したばかりの1番艦〈ヴァイネルガン〉が登場。
『アマヅチ級重巡宙艦』
原案:静秋
メルパゼルの大型巡宙艦であり、本作の主役。区画を明確に分ける事によってダメコン能力が高い。武装は155mm単装自動砲2基と100mm自動砲3基、VLSや近接ラケーテ、近接レーザー、そして22mm近接機関砲。
同型艦に〈イカヅチ〉〈フユヅチ〉〈ミカヅチ〉が存在する。
『ユイマ級電磁狙撃砲艦』
イラスト:静秋
180mm電磁狙撃砲を艦首に1門搭載した砲艦。
主砲は主船体に挟まれるように搭載されており艦橋構造物を除く全方向に旋回する。メルパゼルお得意の高い命中精度を持ち、射程は大気圏内でも数百キロ以上。副武装として誘導弾と近接火器を搭載する。
本作には1番艦〈ユイマ〉が登場する。
『シンセイ空間戦闘機』
原案:静秋
船外作業用ポッドを祖とする方向で進化してきた空間戦闘機。宇宙基地や巡宙艦等に防空目的で配備されている。
『リューレンニ級装甲巡宙艦』
イラスト:蒼衣わっふる
統一パンノニアが保有する最大クラスの装甲巡宙艦。この時代の宇宙艦としては破格の装甲を持ち、強力な攻撃にも耐え抜くタフネスさを持つ。艦影はヘッドオン戦法を主体としており、前方投影面積が少ない。
武装も強力で1200mm口径ガス電圧式プラズマ砲1門、182mm艦首実体弾砲4門を前方集中配置。さらに140mm単装砲も上下に4門搭載、近接機関砲も多数。誘導弾発射管は4基装備とかなり少なめ。
本作には一番艦の〈リューレン〉が登場。
『ヴァド級再突入艦』
統一パンノニアの強襲揚陸艦。宇宙から地表へ再突入し、空挺降下する目的で作られた。輸送能力が優れているため、輸送艦としても使われる。武装は外付け。
『ラスロー空中発射母機』
双胴型の宇宙船発射機。上空30000mまで上昇し、小機や宇宙船を切り離し打ち上げる。名前はかつてのラースローⅡと艦影が似ている為。
『ヴィシリマ複座空間偵察機』
複座型の最新鋭大気圏内外両用偵察機。半機生体式の偵察機で、大気圏外なら数百ゲイアスを見渡せる超高精度のカメラを搭載している。
『マエスチル空間戦闘機』
現在開発試験中の新型空間戦闘機。ステルス形状と豊富な武装を備える半機生体式戦闘機。しかも宇宙でも大気圏内でも運用可能。ただしブースター無しでは大気圏外へ行けない。
『Tz-60アルマ多脚戦車』