BB物語倉庫 その2

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BB物語倉庫 その2 - (2014/11/02 (日) 22:30:14) の最新版との変更点

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*&bold(){&size(28)ボーダーブレイクSS置き場 その2} ここはボーダーブレイクのSSや妄想を垂れ流す場所です 自分の妄想や設定、己の武器とのキャッキャウフフ等を垂れ流すところです %%(でも本当に作れるとは思わなんだ・・・)%% *本ページの使い方 基本的に物語として成り立つのならなんでもOKですが守っていたただきたいのです。 &bold(){&size(16)①ジャンルは自由ですができるだけBB要素を絡ませてください。『一応』BBwikiだしね?} &bold(){&size(16)②エロ・グロは、ダメ、ゼッタイ。書くともれなく病人リストへ!!} &bold(){&size(16)③書くときにはできるだけ著者名を。書けない人は別にPNやコテハンじゃなくてもイインダヨー} &bold(){&size(16)④ある一定個人に過度な批判・中傷は禁止します。( ネ タ に す る な と は い っ て な い )} &bold(){&size(16)⑤(すまない、こんぐらいしか思いつかなかった。なにか気づいたら追加おねげぇします。)} &bold(){&size(16)⑥人が書いた物を勝手に消すのはng。ただし管理人は除く} [[BB物語倉庫]] *著者:ローディ #region(朧月兄妹のある長い一日) #region(Port Fuzhou's Trouble part6) #asciiart(){ AM00:36 福州港 高速ジャンクション ツモイ部隊も朧月兄妹もトラックも去り、戦闘から港の機能も一時停止。文字通り人一人いない港に項を乗せた車がやってくる。 ニュード汚染警戒レベルが低めなエリアを回り、そして牧野が居座って指揮していた灯台に足を運ぶ。展望台まで登り海を眺める。沖に は小さく光も見えるがそれ以外は真っ暗、部下も下で待たせているため項は独り海を眺めながら安物の葉巻に火を付けた。 「ふぅー、まさかツモイの手駒があんな隠し玉だったとは…四条も情報を手に入れてなかったから正真正銘の機密だったと言う事か。こ れはいい見世物だった。少々値の張る茶番だったが必要経費と言えばいくらでも落ちるし元は取れているじゃろうし。」 項は今回何も仕入れてはいない。兄妹に本命と言ったトラックも中身は空、全て何も積んではいなかった。つまり今回の戦闘は全て項が 計画した茶番劇だったのである。適当な役者をキャスティングしギャラを払う、項が関わったのはこれだけ。後は演出家や脚本家が舞台 を整え役者が演じる。そこに監督が勝手に事務所の秘蔵っ子を入れてくれたおかげで項は予想外の収入と情報を得る事ができたのであっ た。項は海を眺め葉巻を吹かす。この海の向こうに甲龍の名を知らしめる。その野望を胸に秘め、項は次のアクションについて思案して いた。 ---------------- 翌日 朧月兄妹は予定通り報酬を受け取り、その足で半日福州市内を観光し有名どころの料理を食べ歩いていた。 「…兄ぃ、次の店行こ…」 「後二軒ぐらい回ったら港行くぞ、明日の朝に日本着けないからな。」 この後二軒、計八軒はしごした二人は満足顔で福州港に向かい、ブラストを積み込んだのを確認して日本行きの船に乗った。 小雨は船内めぐりに行き、虚雨は行きと同じように最上甲板へ出てエドガーに報告を入れようとしたが、そこには先客がいた。普段から 人はいるし、夕暮れ時だったので写真を撮っている客も多かった。しかしその男は違った。観光客などとは違う雰囲気を放っている。 「はは、今回は慢心してしまった。役員会でも何を言われたものか、たまったものじゃない。我々は甲龍を格下と捉えすぎていた。 それに四条の大叔父には少々娘の躾について相談せねばならんだろう。中国は蘇ったフロンティアなどではなく人外魔境と化しつつあ る。おっと続きはそっちに戻ってからだ、迷惑をかけるな、紫賀。野口にもよろしく頼む。」 それは虚雨が福州港で先日戦ったツモイ部隊の指揮官牧野 遼次郎その人であった。牧野は虚雨に気付き通信を止め場所を譲ろうとする。 「長話失礼、私はこれで。」 虚雨は甲板から去る牧野を気にしながらエドガーに通信を入れる。 「三日ぶりか、ちょっと調べて欲しい事がある。」 《何だいきなり、ACEランカーにでも会ったのか?》 「違う、ツモイの新型についてだ。ひどい目に遭ったからな。」 《ふーん、最近セイバーの新型出したばっかなのにもう新型か。ありえない話じゃないがツモイらしくはないな。》 「多分そいつに搭載されているシステムだ、EXAMとか言うヤツだったかな。」 《EXAM…明らかに試作品だな。多分実験目的だよ。お前モルモットにされたんだ。》 虚雨は引っ掛かりを感じながら考え込む。 《そのうち市場に出るか歴史の闇に消えるかどっちかだ。気にする事ねぇよ。そんなに気になるなら調べてやろうか?別料金で》 「いや構わん。じゃあな。」 虚雨は通信を切り、人ごみの中に紛れたさっきのスーツの男を捜す。しかし見つからない。無駄と感じ船室まで引き返そうと考えるのは それから半時間後のことだった。 -------------- 船室に戻った牧野は一旦食堂で食事をし、それからまた甲板へ上がっていた。同僚の影響からか海を眺めるのが好きだった。そこで再び 今度は人前で喋られないようなことを通信で話し出す。 「さっきは悪かったな紫賀、続きを話す前に二つ聞きたいことがある。」 《何だ?大叔父の事か、それとも娘の事か、お前の事だから商品のことではないだろうが。》 「本社が寄越した機体だ。アレは何だ?仕掛けがあるなら一言ぐらい寄越せ。万が一でもあれば計算が狂い得るぞ。」 《?本社が送ったのはマグメルからの引き抜きだったはずだ。技術屋どももまさか勝手に改造したりはせんだろうしそんな奴送ろうとは せんだろう。》 「ではあれは一体なんだったんだ?」 夜空の下で牧野は頭を抱える。最近はつくづく時代に取り残されているという感覚に晒されている。本社と友人たちにも一抹の不安を 覚える牧野であった。 } #endregion #endregion #region(Silent Alert) #region(No.1 出向辞令) #asciiart(){ 福州港での一件直後に本社に呼び出された牧野は査問会に出頭するようにと呼び出しを受けた。本来なら査問会は午前九時からであった が染み付いた生活リズムは抜けず結局午前七時には本社の休憩スペースに居座っていた。既に事務や営業は動き出しているので通路から 覗き込んでくる社員もちらほら見かけられた。そこへ老け込みはしているがしゃんとした男が入ってくる。 「久しぶりだな。時差ボケは大丈夫か?」 「おかげさまでな、北迫。本社もずいぶん様変わりしたな。」 北迫 真司 今年還暦、ツモイ実働部隊司令官の一人である。彼が指揮する北迫一海総はあまり戦場には出ず専ら船団護衛や海外でのイン フラ整備協力など戦闘を主としてはいない。北迫自身も「内地上がり」と自嘲するが、その運営管理能力は本社のエリートすら凌ぐほど である。武闘派三人は本社にはあまりいないため、この男が本社防衛の要である。 二人は再会を喜びつつも雑談を切り上げ北迫は自分の仕事に戻る。時計は九時十五分前を指し、牧野は査問会がある会議室へと向かっ た。外も中も騒がしくなる。今日もまたビジネスが動き出した。 粛々と査問会は進んで行き問題無く終了した。役員や重役は去っていく中、社長夫人の遥香が残り牧野を引き止める。 「今回呼び戻したのは先日の件ではありません。折り入ってお願いがあるのです。」 命令ではなく頼みごととあって牧野は戸惑う。牧野の顔色を気にせず遥香が続ける。 「近々マグメルを使いAEが対エイジェン企業連合部隊の設立を宣言しました。この部隊にあなたを派遣したいのです。これにはスペク ター三機にクーガーとエンフォーサーの計五機を派遣します。」 切り替えた牧野は部隊の形を脳裏で組み立てていく。見知った顔触れがいないのは厳しいがそれでもなんとかなるだろうと考える。 「出向先での権限は全てあなたに委譲します。夫の努力の結晶の為に、この社の社員の為にお願いします。」 差し出された辞令を受け取った牧野は口を開く。 「もし問題があるならば私をお切りください。ただし私の部下に責任は取らせないように。その場合はあなたとあの連中共々道連れとす るつもりですので。」 それだけ言い残し牧野は会議室を去る。残された遥香は何も言えず残される。 一方で牧野は同じく本社に戻されていた紫賀 直春と会っていた。紫賀は広島支社に勤務しており冬も近づくこの時期に呼び戻されてい た。牧野はAEの呼び掛けに応じるということだけを紫賀に伝えた。 「そうか。大晦日と正月は寂しくなりそうだな… そうだ、発つ前に俺の家に来い。手土産をくれてやる。」 それだけ言った紫賀もまたデスクワークに戻っていった。 ------------ 牧野のアメリカ行きが決まった頃、遠く離れたシンガポールでは哨戒部隊からの入電を受けた大野口が艦隊の出撃を決定した。 報告の内容は「不審船が多数規定航路を外れて進行している。停船勧告に応じず。VLSセル、速射砲を確認。足止めするので増援送ら れたし。」規模は大きいが足自体は遅いようなので旗艦である強襲揚陸艦「ながと」も出撃。勘から逃がすと危険と判断した大野口自身 が旗艦に座り追撃を開始した。 } #endregion #region(No.2 鉄底海峡の悪夢) #asciiart(){ 東南アジアの海は外洋である太平洋とは違い大きな海流の流れが無い、そのため船を効率よく進める事ができる。大量の燃料、資源を買 い付けたゼラは万事がうまくいったと喜んでいた。輸送船も心地よい速度であり、船に洒落っ気が無いだけのクルージング気分であっ た。夕日を眺めながら久しぶりのワインを手に取る。少々高い買い物ではあったが味と気分の為に金を惜しむゼラでは無い。 「こんな清清しい気分でワインを飲んだのはいつ振りか…早くジーナにも呑めるようになってもらわなければな。」 過ぎ行く島々を眺めながらゼラは久しぶりの美酒の杯を何度も何度も呷った。 そこへ小うるさい通信が彼の耳をつつく。 《…貴船団はどこの所属か?停船されたし。繰り返す…》 どうせどこかの巡視艇だろう。正規航路では無いから止められても当然だったが、つい至福の一時を邪魔されたゼラは通信を用意してい たダミーデータに任せ、船室に戻って不貞寝してしまった。 --------- すっかり陽も暮れて真っ暗になった海を物々しい艦隊が恐ろしい速度で疾風って行く。付近の島には目もくれず野口二海強旗艦「なが と」は探照灯を海に投げ掛け、小型ヘリコプターを飛ばしては収容しまた飛び立たせる。 「先行する「あさやけ」から連絡。不明船団は答えたデータは全て偽造であり、間違いなく黒 とのことです。」 報告を聞いた大野口は不敵に笑いさらに指示を出す。 「よし、黒ならそのままだ。付かず離れず距離を保て、進路に注意、本隊到着後にカタを付ける と言っておけ。」 大野口はそのままCICを出て甲板に向かう。彼の生国の名を冠する艦を眺め見回し、さらにその向こうの海を見据える。この先の海は どこを通っても日本の艦にとって縁起のいい場所ではない。最悪彼らもまたこの海の底に沈む事にもなり得る。 「はっ…30年前に教授の本読み齧っといて良かったぜ… 汝が慢心は汝を殺す…か…」 彼は懐から懐中時計を取り出す。それは針が歪み、文字盤には血の痕が残っており、フタはぼこぼこに凹んだ年季物であった。 彼のヘッドセットから通信が流れる。 《司令、予測が立ちました。CICにお戻りください。》 大野口は艦内に戻る。追跡開始から八時間が経とうとしていた。 ---------- 追跡開始から二日目の夜、遂に野口艦隊がエイジェンの船団を捉えた。ソロモン諸島の入り口チョイスル島ぎりぎりでゼラは追跡してく るどこかの艦隊を捉え策を考えようとする。逃げ切れないと踏んだゼラは撤退戦を開始、二隻の改造型輸送船のトマホーク四発を先制 で発射。同時に強化機兵の展開を開始する。 「貴様らはこのまま船を進めろ。予定通りの航路をな、船長。」 船員はエイジェンでは無い雇われたただの人間だが仕事は手堅い。船長に釘を刺し、ゼラも格納ハンガーに向かう。  雇われとはいえ船団は慌てずにソロモン海を進む。ヤクシャを起動させ、外に出たゼラはその先に広がる海が深夜なのに鈍く仄暗い赤色 に染まっているように見えた。 } #endregion #endregion *著者:ああんソコはらめええ! #region(無題) #region(鉄の檻) 無機質な印象を与える通路に男と女が歩いている。 男は眼鏡を掛けた黒いビジネススーツの男、齢30辺り。 女はこれでもかと言うほど胸元を開けた女、齢(検閲削除) 男は女の出した資料を眺めて、一呼吸置いて驚きを隠せない様子で言った。 「これが新しく入ったブラストランナーですか?」 女が答える。 「ええ、そうですよ。」 「まだ9歳じゃないですか。」 男は驚きと非難の入り混じった表情をしている。 「身体機能に問題はありません。テストでも合格点ギリギリとはいえ、きちんとそれなりの結果を出しています。問題は無いでしょう?」 「これは会議でも決まった事です。一悶着ありましたがね。」 女は言外に男を牽制しながらそう言った。 男は口調に非難の色を滲ませながら言った。 「それでも、年端もいかぬ子供が戦場に立つとは………。」 女は答える 「これは本人の意思です。」 女は諦観の口調で続ける。 「ニュード耐性者の働ける所など、ここにしかありませんから。」 ---- 僕はパイロットスーツに身を包み、職員さんに聞いた。 「ここが僕の部屋ですか?」 職員さんは答えてくれた。彼女は僕を担当する教官らしい。白髪混じりの金の髪、黒のスーツに身を包んでいる。たぶん美人だ。 「ええ、そうです。何か気になる所はありませんか?」(キャワイイいいいいい!) 僕は躊躇いつつも答えた。 「えと、トイレの場所とかは…。」 彼女は快く答えてくれた。 「トイレは共用のが各階に、バスルームも兼用です。後で地図を渡しておきますので入念にご確認ください。」(カニバリズムに溺れる野郎共の気持ちが良く分かるわあ………一口で平らげてしまいそう………。) 僕は安心した。彼女に感謝をした。 「ありがとうございます。もう大丈夫です。ご迷惑をお掛けしました。」 彼女は何故か狼狽した様子で確認してきた。 「あ、明日の予定とか今後の予定について質問はありませんか?」(しまったああああキャッキャウフフする時間がああああ地図なんて渡さなければよかったあああああああ!) 心配されているのだろうか。僕は彼女を心配させない為にも最良の答えを選んだ。 「大丈夫です、それについては上の人との面談中に確認済みです。」 彼女は言った。 「そうですか………、では私はこれで。」(あんのBBAあああああああああああああああああ) 彼女はうなだれながらも帰って行った。望んだ結果は得られなかったようだ。 ---- #endregion #endregion
*&bold(){&size(28)ボーダーブレイクSS置き場 その2} ここはボーダーブレイクのSSや妄想を垂れ流す場所です 自分の妄想や設定、己の武器とのキャッキャウフフ等を垂れ流すところです %%(でも本当に作れるとは思わなんだ・・・)%% *本ページの使い方 基本的に物語として成り立つのならなんでもOKですが守っていたただきたいのです。 &bold(){&size(16)①ジャンルは自由ですができるだけBB要素を絡ませてください。『一応』BBwikiだしね?} &bold(){&size(16)②エロ・グロは、ダメ、ゼッタイ。書くともれなく病人リストへ!!} &bold(){&size(16)③書くときにはできるだけ著者名を。書けない人は別にPNやコテハンじゃなくてもイインダヨー} &bold(){&size(16)④ある一定個人に過度な批判・中傷は禁止します。( ネ タ に す る な と は い っ て な い )} &bold(){&size(16)⑤(すまない、こんぐらいしか思いつかなかった。なにか気づいたら追加おねげぇします。)} &bold(){&size(16)⑥人が書いた物を勝手に消すのはng。ただし管理人は除く} [[BB物語倉庫]] *著者:ローディ #region(朧月兄妹のある長い一日) #region(Port Fuzhou's Trouble part6) #asciiart(){ AM00:36 福州港 高速ジャンクション ツモイ部隊も朧月兄妹もトラックも去り、戦闘から港の機能も一時停止。文字通り人一人いない港に項を乗せた車がやってくる。 ニュード汚染警戒レベルが低めなエリアを回り、そして牧野が居座って指揮していた灯台に足を運ぶ。展望台まで登り海を眺める。沖に は小さく光も見えるがそれ以外は真っ暗、部下も下で待たせているため項は独り海を眺めながら安物の葉巻に火を付けた。 「ふぅー、まさかツモイの手駒があんな隠し玉だったとは…四条も情報を手に入れてなかったから正真正銘の機密だったと言う事か。こ れはいい見世物だった。少々値の張る茶番だったが必要経費と言えばいくらでも落ちるし元は取れているじゃろうし。」 項は今回何も仕入れてはいない。兄妹に本命と言ったトラックも中身は空、全て何も積んではいなかった。つまり今回の戦闘は全て項が 計画した茶番劇だったのである。適当な役者をキャスティングしギャラを払う、項が関わったのはこれだけ。後は演出家や脚本家が舞台 を整え役者が演じる。そこに監督が勝手に事務所の秘蔵っ子を入れてくれたおかげで項は予想外の収入と情報を得る事ができたのであっ た。項は海を眺め葉巻を吹かす。この海の向こうに甲龍の名を知らしめる。その野望を胸に秘め、項は次のアクションについて思案して いた。 ---------------- 翌日 朧月兄妹は予定通り報酬を受け取り、その足で半日福州市内を観光し有名どころの料理を食べ歩いていた。 「…兄ぃ、次の店行こ…」 「後二軒ぐらい回ったら港行くぞ、明日の朝に日本着けないからな。」 この後二軒、計八軒はしごした二人は満足顔で福州港に向かい、ブラストを積み込んだのを確認して日本行きの船に乗った。 小雨は船内めぐりに行き、虚雨は行きと同じように最上甲板へ出てエドガーに報告を入れようとしたが、そこには先客がいた。普段から 人はいるし、夕暮れ時だったので写真を撮っている客も多かった。しかしその男は違った。観光客などとは違う雰囲気を放っている。 「はは、今回は慢心してしまった。役員会でも何を言われたものか、たまったものじゃない。我々は甲龍を格下と捉えすぎていた。 それに四条の大叔父には少々娘の躾について相談せねばならんだろう。中国は蘇ったフロンティアなどではなく人外魔境と化しつつあ る。おっと続きはそっちに戻ってからだ、迷惑をかけるな、紫賀。野口にもよろしく頼む。」 それは虚雨が福州港で先日戦ったツモイ部隊の指揮官牧野 遼次郎その人であった。牧野は虚雨に気付き通信を止め場所を譲ろうとする。 「長話失礼、私はこれで。」 虚雨は甲板から去る牧野を気にしながらエドガーに通信を入れる。 「三日ぶりか、ちょっと調べて欲しい事がある。」 《何だいきなり、ACEランカーにでも会ったのか?》 「違う、ツモイの新型についてだ。ひどい目に遭ったからな。」 《ふーん、最近セイバーの新型出したばっかなのにもう新型か。ありえない話じゃないがツモイらしくはないな。》 「多分そいつに搭載されているシステムだ、EXAMとか言うヤツだったかな。」 《EXAM…明らかに試作品だな。多分実験目的だよ。お前モルモットにされたんだ。》 虚雨は引っ掛かりを感じながら考え込む。 《そのうち市場に出るか歴史の闇に消えるかどっちかだ。気にする事ねぇよ。そんなに気になるなら調べてやろうか?別料金で》 「いや構わん。じゃあな。」 虚雨は通信を切り、人ごみの中に紛れたさっきのスーツの男を捜す。しかし見つからない。無駄と感じ船室まで引き返そうと考えるのは それから半時間後のことだった。 -------------- 船室に戻った牧野は一旦食堂で食事をし、それからまた甲板へ上がっていた。同僚の影響からか海を眺めるのが好きだった。そこで再び 今度は人前で喋られないようなことを通信で話し出す。 「さっきは悪かったな紫賀、続きを話す前に二つ聞きたいことがある。」 《何だ?大叔父の事か、それとも娘の事か、お前の事だから商品のことではないだろうが。》 「本社が寄越した機体だ。アレは何だ?仕掛けがあるなら一言ぐらい寄越せ。万が一でもあれば計算が狂い得るぞ。」 《?本社が送ったのはマグメルからの引き抜きだったはずだ。技術屋どももまさか勝手に改造したりはせんだろうしそんな奴送ろうとは せんだろう。》 「ではあれは一体なんだったんだ?」 夜空の下で牧野は頭を抱える。最近はつくづく時代に取り残されているという感覚に晒されている。本社と友人たちにも一抹の不安を 覚える牧野であった。 } #endregion #endregion #region(Silent Alert) #region(No.1 出向辞令) #asciiart(){ 福州港での一件直後に本社に呼び出された牧野は査問会に出頭するようにと呼び出しを受けた。本来なら査問会は午前九時からであった が染み付いた生活リズムは抜けず結局午前七時には本社の休憩スペースに居座っていた。既に事務や営業は動き出しているので通路から 覗き込んでくる社員もちらほら見かけられた。そこへ老け込みはしているがしゃんとした男が入ってくる。 「久しぶりだな。時差ボケは大丈夫か?」 「おかげさまでな、北迫。本社もずいぶん様変わりしたな。」 北迫 真司 今年還暦、ツモイ実働部隊司令官の一人である。彼が指揮する北迫一海総はあまり戦場には出ず専ら船団護衛や海外でのイン フラ整備協力など戦闘を主としてはいない。北迫自身も「内地上がり」と自嘲するが、その運営管理能力は本社のエリートすら凌ぐほど である。武闘派三人は本社にはあまりいないため、この男が本社防衛の要である。 二人は再会を喜びつつも雑談を切り上げ北迫は自分の仕事に戻る。時計は九時十五分前を指し、牧野は査問会がある会議室へと向かっ た。外も中も騒がしくなる。今日もまたビジネスが動き出した。 粛々と査問会は進んで行き問題無く終了した。役員や重役は去っていく中、社長夫人の遥香が残り牧野を引き止める。 「今回呼び戻したのは先日の件ではありません。折り入ってお願いがあるのです。」 命令ではなく頼みごととあって牧野は戸惑う。牧野の顔色を気にせず遥香が続ける。 「近々マグメルを使いAEが対エイジェン企業連合部隊の設立を宣言しました。この部隊にあなたを派遣したいのです。これにはスペク ター三機にクーガーとエンフォーサーの計五機を派遣します。」 切り替えた牧野は部隊の形を脳裏で組み立てていく。見知った顔触れがいないのは厳しいがそれでもなんとかなるだろうと考える。 「出向先での権限は全てあなたに委譲します。夫の努力の結晶の為に、この社の社員の為にお願いします。」 差し出された辞令を受け取った牧野は口を開く。 「もし問題があるならば私をお切りください。ただし私の部下に責任は取らせないように。その場合はあなたとあの連中共々道連れとす るつもりですので。」 それだけ言い残し牧野は会議室を去る。残された遥香は何も言えず残される。 一方で牧野は同じく本社に戻されていた紫賀 直春と会っていた。紫賀は広島支社に勤務しており冬も近づくこの時期に呼び戻されてい た。牧野はAEの呼び掛けに応じるということだけを紫賀に伝えた。 「そうか。大晦日と正月は寂しくなりそうだな… そうだ、発つ前に俺の家に来い。手土産をくれてやる。」 それだけ言った紫賀もまたデスクワークに戻っていった。 ------------ 牧野のアメリカ行きが決まった頃、遠く離れたシンガポールでは哨戒部隊からの入電を受けた大野口が艦隊の出撃を決定した。 報告の内容は「不審船が多数規定航路を外れて進行している。停船勧告に応じず。VLSセル、速射砲を確認。足止めするので増援送ら れたし。」規模は大きいが足自体は遅いようなので旗艦である強襲揚陸艦「ながと」も出撃。勘から逃がすと危険と判断した大野口自身 が旗艦に座り追撃を開始した。 } #endregion #region(No.2 鉄底海峡の悪夢) #asciiart(){ 東南アジアの海は外洋である太平洋とは違い大きな海流の流れが無い、そのため船を効率よく進める事ができる。大量の燃料、資源を買 い付けたゼラは万事がうまくいったと喜んでいた。輸送船も心地よい速度であり、船に洒落っ気が無いだけのクルージング気分であっ た。夕日を眺めながら久しぶりのワインを手に取る。少々高い買い物ではあったが味と気分の為に金を惜しむゼラでは無い。 「こんな清清しい気分でワインを飲んだのはいつ振りか…早くジーナにも呑めるようになってもらわなければな。」 過ぎ行く島々を眺めながらゼラは久しぶりの美酒の杯を何度も何度も呷った。 そこへ小うるさい通信が彼の耳をつつく。 《…貴船団はどこの所属か?停船されたし。繰り返す…》 どうせどこかの巡視艇だろう。正規航路では無いから止められても当然だったが、つい至福の一時を邪魔されたゼラは通信を用意してい たダミーデータに任せ、船室に戻って不貞寝してしまった。 --------- すっかり陽も暮れて真っ暗になった海を物々しい艦隊が恐ろしい速度で疾風って行く。付近の島には目もくれず野口二海強旗艦「なが と」は探照灯を海に投げ掛け、小型ヘリコプターを飛ばしては収容しまた飛び立たせる。 「先行する「あさやけ」から連絡。不明船団は答えたデータは全て偽造であり、間違いなく黒 とのことです。」 報告を聞いた大野口は不敵に笑いさらに指示を出す。 「よし、黒ならそのままだ。付かず離れず距離を保て、進路に注意、本隊到着後にカタを付ける と言っておけ。」 大野口はそのままCICを出て甲板に向かう。彼の生国の名を冠する艦を眺め見回し、さらにその向こうの海を見据える。この先の海は どこを通っても日本の艦にとって縁起のいい場所ではない。最悪彼らもまたこの海の底に沈む事にもなり得る。 「はっ…30年前に教授の本読み齧っといて良かったぜ… 汝が慢心は汝を殺す…か…」 彼は懐から懐中時計を取り出す。それは針が歪み、文字盤には血の痕が残っており、フタはぼこぼこに凹んだ年季物であった。 彼のヘッドセットから通信が流れる。 《司令、予測が立ちました。CICにお戻りください。》 大野口は艦内に戻る。追跡開始から八時間が経とうとしていた。 ---------- 追跡開始から二日目の夜、遂に野口艦隊がエイジェンの船団を捉えた。ソロモン諸島の入り口チョイスル島ぎりぎりでゼラは追跡してく るどこかの艦隊を捉え策を考えようとする。逃げ切れないと踏んだゼラは撤退戦を開始、二隻の改造型輸送船のトマホーク四発を先制 で発射。同時に強化機兵の展開を開始する。 「貴様らはこのまま船を進めろ。予定通りの航路をな、船長。」 船員はエイジェンでは無い雇われたただの人間だが仕事は手堅い。船長に釘を刺し、ゼラも格納ハンガーに向かう。  雇われとはいえ船団は慌てずにソロモン海を進む。ヤクシャを起動させ、外に出たゼラはその先に広がる海が深夜なのに鈍く仄暗い赤色 に染まっているように見えた。 } #endregion #region(No.3 闇夜航路) #asciiart(){ 逃げる輸送船団はわき目もふらず南太平洋に出ようとする。しかし既に二隻の中型艦が島の東側にいるのが確認できる。いくら武装して いたとはいえ所詮は改造商船、戦闘艦に勝てる道理は無い。輸送船から発射されたトマホークも海上で爆発、恐らく確実に迎撃されてい る。古来より撤退戦は追撃される方が不利、自軍の資源を守るためゼラはツモイ艦隊を目指し強化機兵を引き連れ飛んだ。 《アンノウン、急速接近。数は8、うち一機はエース機です。》 「ながと」の飛行甲板では二機の輸送機と五機のブラストが戦闘態勢に入っている。CIWSやRAMもその首を持ち上げ視界に敵を 捉えようとし始めていた。 レーダー上で一つ反応が離れ二つの味方反応に突っ込んでいく。 サボ島に近づきつつあったツモイの「あさやけ」「ゆうやけ」の二隻は近づいてくる一つの反応を警戒し防空態勢で向かえ撃とうとし た。「あさやけ」は先制にVLSから対空弾頭で二発、100mmAGSでも対空砲撃を始める。「ゆうやけ」もVLSとAGSで ゼラを迎え撃つ。しかし相手が悪すぎた。 「その程度の弾数でこの俺に当てられるか!」 対空ミサイルを撃ち落し、砲撃を避けながら「あさやけ」に突っ込む。「ゆうやけ」は誤射を懸念し途中で砲撃を止めてしまったため、 ゆうゆうとゼラは「あさやけ」の甲板に降り立つ。艦の兵装を一巡りで破壊してしまい、ついでの様に艦橋を撃ち抜く。 ゼラは次に「ゆうやけ」の方に向き直り、迎撃態勢を整える前にまず艦橋を撃ちぬき、次に艦の周りを飛び回りながらグレネードとUA Dでことごとく武装を破壊してしまうとゼラは一息ついて呟く。 「ふん…この程度では満足できん…」 --------- 《「あさやけ」「ゆうやけ」共に艦橋をやられ海峡を封鎖できません、いかがしましょう》 「後ろの「くらま」を海峡に、「かたの」を「くらま」の後ろに回せ。エースには構わんでいい、船のほうだけだ。最悪沈めろ、責任は 俺が持つ。」 大野口がそう返した時、沖からアルタードニュード特有の黄色い光がこちらに向かって来るのが見えた。甲板でブラスト部隊の様子を見 ていた大野口はすぐに艦内に駆け込み、CICではなくブリッジに向かった。 そこで大野口はとんでもない命令を下した。 「総員離艦だ、急いで艦を離れろ。これは命令だ。上司は部下を連れて降りろ、部下は上司を引きずって逃げろ。説明する時間は無い。 …繰り返す・・・」 既に飛び立っている輸送機は一機が船団を、もう一機はゼラを捉えようとしていた。ゼラは二機を気にも留めず「ながと」に向かって 飛んでいく。 「ながと」艦長 山本は大野口の意図を察しCICから艦橋に走って戻る。 「艦長!?さっきの放送は?退艦って何なんですか!」 ついて来る若い下士官に話しかけられながらも山本は足を止めない。こういう時のいやな予感とは当たるものだ。 「あのあほ親父は自分とこの艦をダシにしてエース様と足止めしつつ輸送船団を沈め、なおかつこっちの被害を最小限にしようとしてん だよ!」 山本の予感は大当たり。ボコボコにされた艦橋のメンバーが通路からこちらに向かってくる。どうやら脱出を強要されたらしい。 「じじい!てめぇは一体何様のつもりだ!俺の艦で勝手な命令を…あまつさえ部下に暴行ときたもんだ、何考えてやがる!」 ゆっくりと大野口が振りかえる。その双眸には明らかな怒気が含まれていたし、肩から湯気が出そうな雰囲気であった。 精々乗艦一年のエリートぺーぺーが口出しできるような状況でないことを山本は本能で察した。 「なぁに、ちょっとこいつと一緒に釣りをしようってだけだよ。他は邪魔だから降りろっつっただけだ。」 大野口は発狂しているわけではなく、至極当然のように喋る。海に向き直り黄色い閃光を見据える。 「お前らもとっとと降りろ。時間が無いぞ。」 山本はそれ以上反論できずに黙る。集まってきた部下をまとめ退艦の指示をテキパキとしていく。 内容は知らされずとも悟った乗組員は続々と艦からボートで離れていく。それを見たゼラは何かの意図があると警戒する。しかしそれで は状況は好転しない。ならば選択肢は一つ、旗艦を潰し船団を逃がす。 対空砲火も無く悠々と「ながと」に近づくゼラ。ブリッジにはたった一人の男がこちらを睨んでいるのが見えた。 「自信過剰なじじいだな。」 「血の気盛んな若造が。」 二人の視線が交錯し、圧縮ニュードと9mm弾がその筋を辿る。 ------- 一昼夜過ぎツモイ艦隊はフィリピン経由で横須賀に向かっていた。中破2、小破1だったが肝心の海域封鎖には失敗し中型船二隻以外は 逃がしてしまった。なによりも指揮官大野口が左腕を消されるという大怪我だったため日本への帰投を命じられたのであった。 この事件は「初めてエイジェンと企業の部隊が衝突した事件」として大々的に報じられた。しかも現用の艦ではエース機には歯が立たな いばかりか効果的な攻撃もできなかったとして大野口と艦隊に批判が集まった。 成田空港 朝一の搭乗ロビーでこのニュースを知った牧野は騒がないまでも内心はやや動揺していた。 「あいつがしくじるとはな…噂のエース殿はかなり戦上手のようだな…」 牧野は朝刊を片付け、自分の鞄を持って飛行機の搭乗口へと向かった。 } #endregion #region(Ex.1 誰が為に鐘は鳴る) #asciiart(){ アメリカ デトロイト中心部 スラム街 「やめろ!渡した情報は正しかったじゃないか!なんで俺がこんな…」 降りしきる雨の中痛みと混乱でのた打ち回っている男とまだ煙の消えない銃を持った男がスラム街にいた。 撃たれた男の傍にはAE社の社章が転がっていた。この男はビジネスとして犯罪組織に企業の情報を売り渡していたのである。 もはやアメリカは企業とギャングなど犯罪組織が支配する国であった。特に北アメリカは工業施設は残っているが過疎化したエリアとし て犯罪組織の拠点となっている都市も多かった。 「頼む!ボストンの軍港に色んな企業の奴らが来るんだって信じてくれよ…」 乾いた音が二回響く。もはや雪にもなろうかという冷ややかな雨の中撃った男は携帯を取り出し連絡を取る。 「…はい、はい。了解、ではこれからボストンへ…そちらの件はボスにお任せします。」 黒のコートを翻し男はスラム街を去っていく。 --------- 旧オランダ ユーロポート エームハーフェン ベンノ社の社章がペイントされた一隻の貨物船が荷物の積み込みを終わらせ出港の時刻を待っていた。乗り込みタラップの傍で二人の 男女が話していた。二人とも若いながらそこそこの役職に就いているようであった。 「ボストンはもう雪らしい…身体には気をつけてくれよ。」 「あなたこそ、式の前に風邪なんかひいてナーシャ泣かせたらボコボコにしたげるからね。」 プラチナシルバーの髪を風に揺らし女が船に乗り込む。 「君こそな!頑張ってくれよ!」 タラップが引き上げられ船が出港する。 様々な思惑と野望がボストンに集結しようとしている。 } #endregion #region(No.4 12月の雨) #asciiart(){ 牧野はアメリカ東海岸でも五指に入る巨大都市ボストン郊外の空港に降り立った。ボストンはAE社のお膝元の一つであり、電子工学分 野で名を馳せた都市であった。 到着ロビーでバスの時間を待っていた牧野は隣に座り込んだ男を横目で見た。AE社の社章をつけていてスーツだから営業の部類であろ うか、しかし顔には掠り傷や生傷の痕がうっすら見え、なにより目つきが一般人のそれではなかった。隣同士の二人は言葉こそ交わさな かったものの辺りに漂う雰囲気は恐ろしいものであった。 12月であるのに雨が降り出した。空港発港行きバスが到着し牧野はそれに乗り込む。先程の男も一緒にバスに乗り込んだ。勿論一般人 も多数乗り込んだ。バスは空港から住宅地を過ぎ、繁華街の過ぎ、工場が並び立つエリアに入ったときには牧野と男、そして十五歳ほど の少女が一人。終点であるボストン港に辿り着き三人が降りる。バスの運転手は何も言わなかったが周りから見れば可笑しい光景であ る。沈黙を破って少女が口を開いた。 「あんた達企業の人間でしょ、あたし家出したからおっさん達と一緒にいさせてね。」 二人が目指すのはAE社が新しく建設したボストン基地。そこに少女がちょろちょろとついて行く。 程なく基地に入ると途端に失笑や侮蔑の目を向けられた。 「子連れか」「誘拐犯が来る場所じゃねーよ」「先に保育園じゃないのか」などなど挙げればきりが無い。 そんな声をものともせず二人はとりあえずここの責任者に挨拶に向かう。 「ああ、ツモイの方と本社からか。とりあえず部屋は用意してますのでご自由に、必要な物がありましたら主計に申し立てを。私に言わ れても困ります。では後はマグメルの方にお願いしていますのでそれでは。」 新興の基地の司令官は思ったよりも凡人、恐らくはマグメルの人選だから仕方が無いだろうと二人は納得した。 そして二人は遅いながら自己紹介をし、そして口論となった。 「私は牧野 遼次郎。ちなみに言っておくが独身だ。子育ての経験は無い。」 「俺はジョン・ハルゼー。悪いが独身だ。こっちもそんな経験無いね。」 二人は睨み合い、少女と互いの顔を見比べながらため息をつく。察しがいい二人は結局この小娘を自分たちで匿うしかないと気が付いて しまった。 --------------- 降りしきる雨は日没後も変わらず、街中は傘だらけであった。ボストン基地にはさらに多くの物資も集まってきているがまだのろのろと している。つい先程ベンノの貨物船が到着し、ブラストなどの荷降ろしを行っていた。 そんな基地を遠めに眺める住宅地から少し離れたハイウェイを黒塗りの高級車が走る。 この車に乗る男はハッシュ・トルクマン、通称ドン・トルクマン。 北アメリカ大陸でも随一の規模と戦力と経済力を持つ犯罪組織トルクマン・ファミリーのボスにしてジョンの雇い主である。 } #endregion #region(No.5 荒城廃塞の月) #asciiart(){ 南大西洋 エイジェン海上要塞 何度目か数える事すら煩わしくなった敗北の味を噛み締めゼラは洋上プラントへと帰還した。最近攻撃が激しい…ただの勘違いであろう か、またアルド・シャウラやツィタデルから響く謎の声のような音は何なのか、ゼラは運命の歯車が錆び付いてきたような感覚に苛まれ る。妹分であるジーナの出迎えにも笑顔で返せなくなってきている辺りかなり追い詰められているようである。 「あの男達と会ったからか…あいつらは一体何者なんだ…」 その質問に答えられる人間はこの世にはいないだろう。何よりパンドラの箱を開けてよい事など無い ゼラにもそれぐらいは分かってい た。 「お兄様ー、お食事が出来ましたよー、早く来てくださいねー」 心に黒いものを抱えてゼラは食堂に向かった。 ---- アメリカ東海岸 ボストンAE社基地 『子持ちの馬鹿がいる』『ロリコンは豚箱にぶち込むべき』『老害と青二才は追い出して小娘だけ…』 話題にならないわけがなかった。牧野もハルゼーも気にせず表向きの仕事を進めていくが、うるさい奴はどこにでも湧く。少女…マーガ レット・サントヤードは聞分けがよく、二人の言う事をよく聞いた。質問にも答えはするが自分の事を話したがらない。察した牧野は追 求せずハルゼーは納得しないながらもこの少女に親近感は抱いていた。 ここでは様々な企業の機体が見られる、が やはりナクシャトラの姿は見えない。この事が『エイジェン≒ナクシャトラ』世論を加速させ る事となる。ツモイの部隊もその性能を遺憾なく発揮し、牧野 遼次郎の名は改めて脅威として認識された。実際にこの基地の部隊でマグ メルの傭兵なしでエイジェンの撃退も成功している。近い内に対エイジェンのノウハウ確立も出来るだろう。 陽も傾き始めた時間、ハルゼーは組織のボスから電話に出ていた。それによればこの基地に組織にとっての重要人物、パッケージI がいる、捕まえて郊外の公園まで連れて来い、とのこと。ハルゼーにはそれが誰であるか心当たりがあったが、一応外見的特徴を聞く。 15歳ほどの女、髪は銀、耐性者にしては精神が安定している など等頭の中に写真が浮かび上がる。 ハルゼーはそんな事を億尾にも出さずYesの一言で電話を終わらせた。彼女自身は17歳と名乗っていたし、髪もシルバー、耐性者かどう かは確実ではないがまあそうだろう。では何故組織がそんな少女を欲しがる?Aはそれがボスの利益となるからだ。ではどのような?思 考を切り上げ、切り替える。いい加減あのボスの不可解さには嫌気が差した、こちらにはボスの欲しがるカードとボスの知らない最高の ジョーカーがいる。組織を抜けるには頃合ではないか、そう決意したハルゼーはまず牧野に話を持ちかける事にした。 すっかり陽は没し、白い月が東の空から浮かび上がってきていた。 } #endregion #endregion #region(不思議の国のフィオナ) #region(その1 事の発端) みなさーん、どうもこんにちは。マグメルシステムオペレーターのフィオナです。今回は本来のボーダーブレイクで語られる世界とは少 し違った世界のお話です。具体的に違うのは所謂「魔法」というものが歴然と確立されている点です。ブラストはニュードによって動 き、ニュードが人の害となる点は変わってはいませんし、そもそも「科学」と「魔法」は相反するものではなく、「魔法」は「科学」に よって確立された現象を個人の「魔力」的なナニカで直接発生されられる程度のもの。決して「超能力」的なものではありません。 前置きはここまで。皆さん、どうぞお楽しみください! ----------- この世界では多くの悪意で満ちている。空は緑と黒で濁って人々に不安の影を落とすには十分すぎるほど重かった。 いわゆる「ボーダー」はどんな形であれ耐性者の一種の成功例だろう、多少の教育も受けるため基本教養レベルの魔法も使える人間が 多い(一部「THE☆変態」のような魔法や教養が無くても圧倒的戦果を叩き出すボーダーもいる) 最近頻発する武装組織エイジェンによる攻撃が各採掘地や拠点に仕掛けられている。このことの調査(独断)のために動き出したフィオ ナは様々な都市や拠点に訪れていた。狙われたのは何故か?一般市民への被害は?など連日ニュースで取り沙汰されているエイジェンだ が誰にも触れられぬ核心的問題が存在する。「どうして現場に突然大質量兵器が現れるのか」魔法にも出来る事と出来ない事はある。魔 法は「物理魔法」と「化学<ばけがく>魔法」という二つと「その他黒魔術」に分類される。「物理」や「化学」は現実でも理解可能な 事象を「過程を飛ばして再現」するものと説明できる。「黒魔術」は「上記二つに該当しない魔法全て」という雑なものである。基本的 な人間(耐性者含む)は魔力を持ち、教育を受けた者なら大抵のことは魔法で解決できる能力を身に着けることもできる。訓練を積み 才能を開花させた者ならそれこそ肉体強化や家一軒丸焼け、自然治癒を通り越した回復魔法も使用することが出来るだろう。 しかし今回は違う。今回は「召喚魔法」が使用されたとされている。召喚魔法は質量保存の法則や召喚した物体が正常な状態で保たれな いなど問題が多く、何より術者は世界にあまりにも少なく文献も疑わしいものしか残っていない。 フィオナはこのテの魔法を齧っては失敗し、ボーダーとしても腕は上位に食い込むのに変な事しかしない集団を知っていた。 そのクランの名は「ネタ@うぃき」 #endregion #region(その2 変人達の巣窟) 「ネタ@うぃき」それは唯一神「電光」を崇拝し、必要とあらばどんな卑劣・卑怯な手でも使い目的を達成する新興宗教団体…などと ボーダーの間で噂にはなっているが(一部を除き)そのようなことは無い。ただマグメル内でも異色の奇人変人粒揃いなのである。 チェーンソーや電磁加速砲に偏愛を注ぐ者、自らの妄想をだだ漏れにする者、それを具現化してしまう者等々数え上げればきりがない。 フィオナはある筋から「ネタうぃきの連中がまた変な黒魔術使うヤツを引き入れたらしい」という情報を手に入れ、望駄阿神社に来てい た。ここへは何度かマグメルの仕事で来たことはあるが、やはり変人集団という色眼鏡は拭えない。 「ほんっとここのヤツらってどういう魔法使ってるかわからないわね…物理法則もなにもあったもんじゃないわ。」 演習場や社務所と称した施設など1クランとしては異色の施設数を誇る。恐らくマグメルの管理下でない組織としては最大ではないかと言 われている。演習場では妙な軌道の弾丸や青や赤に光るニュード弾など出自不明な魔法…いやもはや能力かという滅茶苦茶さだった。 ---------- 「さて…ここでも召喚呪文は分からずか…厳しいわね…」 結局変人奇人に絡まれただけのフィオナはどっと疲れ、ホテルに帰る前に街のカフェテラスでコーヒーを飲んでいた。 そこへ美男美女の二人…兄妹であろうか…が目の前に席に座る。 「失礼、お時間頂けないでしょうか」 そう身長の高い男が聞いてくる。フィオナは無言で頷き返す。兄妹二人は似た銀髪を翻し、紅茶とコーヒーを頼む。その仕草にウェイト レスだけでなく周りの客も少しざわつく。夕暮れのオープンテラスにほのかな緊張感のようなモノが感じられるようになってきた。 「ミスター、お名前をお伺いしても?」フィオナは当然のように聞く。はにかんだ兄の方は 「ミノル・ホワイトストンです、こちらはサト・ブライトウェイです。」 フィオナは少し怪訝な顔をする。確かそのような名前を最近聞いたような覚えがあった気がするが…と無言だったがとりあえず会話を続 ける。そもそも恋人と言うより兄妹のような雰囲気に疑問も覚えた。 「そうね…フライング・ダッチマンとでも名乗っておきましょうか。」 そう言い放った時、兄は吹き出したが妹のほうは理解できていなかったようだ。スベったかな…と思いつつ質問を続ける。 「貴方達恋人には見えないけどファミリーネームも違うわよね?もしかして…」 「お察しの通りですよ、ミス・ゴースト。それにしてもいい国ですね、ここは」 話題の切り替えが上手い男…と聞き流しつつ会話を続ける。どうやら観光目的で日本に来たようだ、二人で楽しくやっているらしい。 二人の名前と大体の話をメモし、フィオナは席を立つ。 「ではお二人さん良い旅を。」 背中に刺さる視線は明らかに好意のそれでは無かった。フィオナはそれにある種の恐怖感すら覚え、背中の毛が逆立つ感覚に襲われた。 フィオナが去った後、移動を始めた兄妹はフィオナとは別のホテルにいた。 「あてつけか…あの女…俺たちのことを知ってて…」 そんなことを思いつつ、妹がシャワーから上がるのを待っていた。 #endregion #endregion *著者:ああんソコはらめええ! #region(無題)  #region(鉄の檻) 無機質な印象を与える通路に男と女が歩いている。 男は眼鏡を掛けた黒いビジネススーツの男、齢30辺り。 女はこれでもかと言うほど胸元を開けた女、齢(検閲削除) 男は女の出した資料を眺めて、一呼吸置いて驚きを隠せない様子で言った。 「これが新しく入ったブラストランナーですか?」 女が答える。 「ええ、そうですよ。」 「まだ9歳じゃないですか。」 男は驚きと非難の入り混じった表情をしている。 「身体機能に問題はありません。テストでも合格点ギリギリとはいえ、きちんとそれなりの結果を出しています。問題は無いでしょう?」 「これは会議でも決まった事です。一悶着ありましたがね。」 女は言外に男を牽制しながらそう言った。 男は口調に非難の色を滲ませながら言った。 「それでも、年端もいかぬ子供が戦場に立つとは………。」 女は答える 「これは本人の意思です。」 女は諦観の口調で続ける。 「ニュード耐性者の働ける所など、ここにしかありませんから。」 ---- 僕はパイロットスーツに身を包み、職員さんに聞いた。 「ここが僕の部屋ですか?」 職員さんは答えてくれた。彼女は僕を担当する教官らしい。白髪混じりの金の髪、黒のスーツに身を包んでいる。たぶん美人だ。 「ええ、そうです。何か気になる所はありませんか?」(キャワイイいいいいい!) 僕は躊躇いつつも答えた。 「えと、トイレの場所とかは…。」 彼女は快く答えてくれた。 「トイレは共用のが各階に、バスルームも兼用です。後で地図を渡しておきますので入念にご確認ください。」(カニバリズムに溺れる野郎共の気持ちが良く分かるわあ………一口で平らげてしまいそう………。) 僕は安心した。彼女に感謝をした。 「ありがとうございます。もう大丈夫です。ご迷惑をお掛けしました。」 彼女は何故か狼狽した様子で確認してきた。 「あ、明日の予定とか今後の予定について質問はありませんか?」(しまったああああキャッキャウフフする時間がああああ地図なんて渡さなければよかったあああああああ!) 心配されているのだろうか。僕は彼女を心配させない為にも最良の答えを選んだ。 「大丈夫です、それについては上の人との面談中に確認済みです。」 彼女は言った。 「そうですか………、では私はこれで。」(あんのBBAあああああああああああああああああ) 彼女はうなだれながらも帰って行った。望んだ結果は得られなかったようだ。 ---- 僕は簡素なベッドに横になって、灰色の天井を見つめていた。 話相手になってくれる人が居ないので、自分について考える事にした。 僕の名前はソプラノ。故郷は昔二ホンと呼ばれていた所だったが、産んだのはイタリア人らしい。 歳は何歳だっただろうか。趣味は特にない。 僕は未来への不安を自覚しながらも、逃げるように睡魔に抱かれていった。 ---- 僕はお腹の中に1kgの重みを感じながら、教官の教えを聞いていた。教官といっても武道の伝授とかする人では無く、ブラストランナーの基本的な生活の仕方を教えるひとらしい。 「ここは………で……昔……今は……です。他には…」 彼女があまり頭の良くない僕にも分かり易く、そして何だか違和感を覚える位親切に説明してくれている事は分かっているのだが、どうも朝食を食べさせられ過ぎたせいか、頭に入ってくる情報が少ない。 不意に教官の声が止まった。彼女はこちらを見つめている。 「体の調子が悪かったりしませんか?」 どうやら見破られていたらしい。嘘も言い訳も思いつかなかったので本当の理由を話した。 彼女は後ろを向いて首筋から耳まで真っ赤にして黙り込んでいる。何を賭けてもいい、絶対笑われている…。 彼女はひとしきり(何かを)楽しんだ後、こちらに向き直って言った。 「仕方が無いですね、では男の子が喜びそうな場所から紹介していく事にしましょうか。」 彼女はそう言って僕の腋の下に手を入れてそこから僕を抱き上げた。 「な…何を………。」 僕は戸惑いながらも降りようとするのだが、何分話をまともに聞いていなかった負い目も有って、必死になれなかった。 「今から行く所は、ここからじゃちょっと遠くて歩きだと時間が掛かるんですよね、今日やる事は今日中に終わらせたいのでこのような方法を取らせていただきます!!」 有無を言わせぬ声音では無かったが、彼女の話は不思議と筋が通っていて反論のしようが無かった。何より、彼女の腕の中はとても暖かかったのだ。 #endregion #endregion *著者:( 浮) #region(無題) #region(武器たちの座談会) ここは、ボーダー達の武器倉庫。 とっかえひっかえ武器を変えて、様々の場所に駆り出される武装たち 埃かぶるものあれば磨かれる者有り。 でも、知っていますか? 彼らにも、『意思』があることを… ---- ガララッ・・・ M99「うぃーす。まだやってる?」 FAM「・・・・・・珍しい。」 M99「なんだよ、きちゃいけないのかよ?」 FAM「そんなこと、ない。歓迎する」 M99「よかった、最近出撃多くてな。なんか適当に頼むわ。」 FAM「・・・・・・待て。すぐ作る」 M99「あいよー。・・・ここに来るのも久々だな。」 蠍「こんばんわー、FAM~。飯食いに・・・ってサペ!?死んだはずじゃ・・・」 M99「残念だな、トリッ・・・ってまだ現役じゃ!!勝手に殺すんじゃない!!まだ現役だよ!!」 蠍「すまんすまん。FAMは今調理中か?」 M99「あぁ。しかし、創世記組が二人共集まるとは奇遇だな?最近どうよそっちは?」 蠍「どうもこうも。最近はきっつい。まぁ、昔は高火力でも今はバランス武器だしな、俺もお前も」 M99「それな。昔は俺と象がタメ貼ってたりしてたしな。時代の流れにはかなわん。」 蠍「お前は買いやすさがあるだろうに。がんばればD1でも買える奴が何を言う」 M99「フルオートだと俺が今入門みたいなもんだからなぁ・・・。昔はひどかったしな俺ら。」 蠍「目に入った瞬間、マルチでコマみたいに回りながら殴り合いとかやってたしな。」 M99「あの時は俺もお前もバカみたいに警戒し合ってたからな、・・・今じゃ二人で飲む中だが?」 FAM「・・・やっぱりスコピーきてた。『薬莢のニュード油揚げ包み』と『鉄高野豆腐』。あと、『緑光酒・久我』あけるね?」 蠍「おう、ありがとう・・・ってどうしたFAM?グラスは2つでいいんだぞ?」 FAM「・・・私も飲む。今日は、久しぶり、二人来て・・・嬉しい」 M99蠍「「(やっぱりFAMは癒されるなぁ・・・)」」 ここは、飲み屋[グリーンバレット]。武器たちが集う場所 #endregion #endregion * 著者:( 浮) #region(ネメ寿司) #region(民明書房『ニュードと寿司の意外な関係』 ) 「まともな」人類に安息の場所が無い事を知らしめた『ニュード・ブロウアウト現象』。 その始まりの地であるホープサイドに俺は居た。 「アイムシンカートゥートゥートゥーアイムシンカートゥートゥートゥー…。」 鼻歌を口の端から漏らしながら巡航を続けていた時,ふと,1軒の店が目に留まった。 今時珍しい木造で、扉は曇り硝子を木枠に嵌め込んだ引き戸で、看板には真っ黒な文字で 「  ネ メ 寿 司  」 と書かれていた。 普段なら何も見なかった振りをして通り過ぎる所だが、なんだか引き寄せられる様な心地がして、思わず戸を開けてしまった。 「ラッシャー――――イイ!!」 随分と迫力のある声だ、内心驚いてしまったではないか。 客席にはまだ誰も座って居なかった。 「お客さん、1番乗りだねえ!」 カウンターの前に、ネメシスβが銃口をこちらに向けている。彼が板前の様だ。 「お客さん、ここに来るのは初めてかい!,何だか縁起が良いねえ!何でも1つ、好きなのを握ってやろうか?」 「じゃあ何でも良いから1つ握ってくれ。」 「応!」と威勢よく応えて,彼は作業に取り掛かった。 ニュードが練り上げられる音を聞きながら、店の内装を眺めていた。 見れば見る程不思議な店だ。店の外装は木造なのに対し,内装は石造りなのだ。どうやって建てたのだろうか…。 不意に、自分の前に置かれたどんぶりに気が付いた。 「板長,アンタは俺に寿司を握ってくれるんじゃ無かったのか?」 「寿司っていうのは俺たちのソウルフードだ。」 「ああ,そうだな。」 「ソウルフードってのは詰まる所『魂の在り処』,魂の籠った食べ物だ。」 「そうだな。」 「この『ブロア丼』には俺の魂が籠っているんだ。よってこれはソウルフードであり,1つの『寿司』だ。」 「なるほど。」 目の前のブロア丼は、焦げ目の付いた芋と砂を塗した芋が川に沿って盛り付けられていて、丼の上から箸が掛けられていた。 俺は,感謝の言葉も程々に、ブロア丼を食べていった。 敵のみならず,味方をも憎まずにいられない1人の傭兵の悲しみが、そこには在った。 #endregion #endregion

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