ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

記憶の水底

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記憶の水底 ◆UcWYhusQhw



「……面白い……実に面白い」
「……何が面白いんだい?……それにまだそれを食べていたいのかい……」

何処かわからずしかし確かに異様の雰囲気と異臭が溢れる一室。
そこに居座る主2人。言峰綺札。神崎黎人
神崎は若干引き気味に言峰を見る。
言峰は相変わらず麻婆豆腐を食らっており楽しく目の前のモニターを見る。
そのモニターうつしだされるある参加者の情報。

「ファルシータ=フォーセット? 彼女がどうかしたのかい? 確か何の力も持たない一般人の筈……考える事は言峰と同じような人間だけと」
「ああ……記憶を失った……頭を打ってな」
「何!?」

神崎が驚愕の表情を上げる。
彼にしては考えてなかったケース。
示される情報によるとバトルロワイヤルの情報を一切失っているらしい。
どうすべきかと思案している所。

「楽しみだ……実に楽しみだ」
「何がだい?」
「彼女の本質が見れるのだよ。あそこまで自分の生に拘り幸せしか望んでなかった彼女の
 彼女の情報によると過去は孤児院暮らしから這い上がってきた人生らしい。
 そんな過去、今までの価値観を失って彼女に残るものは何だ? 今までどおりか? それとも奥底に潜む本質がでるのか? 
 どうなるのかが実に楽しみだ……ああ楽しみだ」
「つまり……しばらく介入しないと?」
「ああ……どうなるか観察を続けようではないか」






そう会話を終えると2人はモニターを見始めた。
顔に邪悪な笑みを浮かべて……






―――彼女の奥にある記憶の水底は?――――忘れ物はありませんか?―――――――






「さて、と」

私はある一つの民家に入っていた。
今私がどんな状況におかれてるか全く理解できないけどただこの姿でいちゃいけないと思う。

……だって恥ずかしいじゃない。

こんなの人に見られたら困るわ。
それにまだ頭がぐらぐらして少し休みたい。

火事の現場も気になるけど今は自分を大事にしなきゃ。

それにここならもう少しまともな武器があるかも。
私はそう思って台所を物色するとやはりあった包丁。

やっぱり頼りないけどデッキブラシよりは便利ね。

あれ?

ごくごく最近包丁で何かした気が?

……気のせいね。

さて武器も入ったし何か着る物着る物。
私はクローゼットを開けて見た。

そこには一着の服とコート。
紫の服と白いスカート。
コートも紫。白いマフラーもある。

……綺麗。

いいわね、これにしましょう。

私は着ていた服を脱ぎ直ぐに服を着替えた。
コートは暑いかも知れないけど何故か気に入ったのでついでに。

着替えも終わって一息つく為に椅子に座った。

さて。

休むついでにすべき事がある。

追憶。

私はだれ? 

何故こんなところに?

何を求めているの?

思案の海に沈む。

私は……。

私は……。

わからない!

「わからないよぉ……怖い……怖い」

誰なの?

私は?

分からないことが怖い。

本来判ってる事なのに。

私は……何?

「何がしたいのよぉ……私は……怖いよ……助けて」

助けて。

救って。


……誰に救って欲しいの?



知らない。

でも。

知りたい。

知らないと怖くて。

ふと。
見上げた先に見えるもの。

チェストに置かれた小さな写真。

そこには一目で判る位の仲の良さそうな親子。

私はそれに吸い付かれる様に寄っていく。

ああ。

ああ。

あああああああああ。


「パパ……ママ!」



大好きなパパ。

大好きなママ。


きっといつでも見守ってくれているパパとママ。

ああ。

ああ。


「うわああああああああああああああああああ!!!……パパァァァァァァァ……ママァァァァァァァ……うわああああああああああああああああん」


すべてが壊れた。

張り詰めていた糸が。
自分を抑えてた心が。

すべて。

すべて。

ただ涙が溢れて止まらない。

ただ涙だけが。


なんでこんな所にいるの?

私は誰なの?


お願い!

助けて!

私を助けに来て!


「パパ……ママ……何処……怖い」

きっと直ぐ近くにいるよね?

パパ。

ママ。

私の愛しい人。

会いたい。

会いたい。

……ん?

もう一人愛しい人がいる?

優しげな笑み。

そんな少年。

恋人かな。

そんな大事な事もわかんないなんて。

私……本当に忘れているのね。

怖いよぉ。

「助けて……パパ……ママ……ヒック」

その言葉に答えること者はいなく。

ただすすり泣く私の泣き声しかいなかった。




――――いくら水底を照らしても喪失の手に囚われるだけ―――――





「くっくっ……くっくっ」
「そんなに面白いかい? 言峰?」

ファルのその様子をみて言峰は嗤う。
実に楽しそうに。

「ああ……面白い。彼女の底にあった物はとっくに捨てた、しかも存在しない親への愛。しかし当然かもしれない……孤児であるが故最も望むものでもあるかも知れないだから
 ……しかしそれでも楽しいじゃないか。彼女がずっといらないと思ってたのが実は彼女の根源だったとは……それが暴走してあんな弱い彼女を作るとは……くっくっ……人を信じない彼女が……」

そして言峰は嗤い続ける。優越をうかべて。
神崎は溜め息をつき……しかし

「それだけじゃないみたいだよ?」
「何……?」

かすかに聞こえる声が。




――――流れていきなさい、忘れ続けながらも―――――






涙が止まらない。

思うのはたった一つ。

パパ。

ママ。

顔も思い出せないけどきっといる存在。


でもきっときっと。

助けに来てくれる。


でもまだ不安なのだ。


そんな時。


「……そして抱えてるカナシミこそが奏でるメロディー♪」


歌い始めてた。


何故この歌が?


わからない?


でも。

浮かぶのだ、歌詞が。

その歌の全てが。

溢れて。

溢れて止まらない。

その歌は何故か私を落ち着かせて。

繋ぎとめてくれるようで。


やすらぐのだ。


「奏でましょう、君のその背中に 祈りをこめて~♪」


だから私は歌い続ける。

その歌を。
その歌という幻想を。


私が私でいられるように。





――――流れていきなさい、幻想に騙されながらも――――――





「ほう……歌か。成程……まだ彼女は失っていないようだな」
「何がだい?」
「彼女の生き方だよ……彼女が得ようとした幸せの手段。それを忘れてない」

ふむ、と言峰がうなずく。
そして満足そうに

「さあ……どうなるファルシータ。水底にある『親への愛』『歌』で取り戻すか? 記憶を。それともそのまま生きるか?……楽しみだ」

そういいまた笑いだした。
本当に楽しそうに。



――――流れていきなさい ここに留まってはいけない――――





「ふう……行きましょうか」


私は歌い続けて。
泣き続けもした。

そしてどれくらいたったかわからない。
でもやっと落ち着くことが出来た。


歌ときっとパパとママが助けに来てくれるって思いで。

だから歩もう。

留まってはいけないんだ私は。

きっと流れ続けた先に私がなくしたもの全てがあると思って。

パパもママも。

全て。

全てがあると思うから。

――――流れていきなさい 忘れ物を捜しに――――


「ずっとずっと思ってた そして見つけた気がしたの~♪」


その歌とともに私は流れていく。


自分が何であるかを思い出すために。


――――忘れないで 貴方の歌にも意味がある事を―――――




【B-1 スラム街 午前】
ファルシータ・フォーセット@シンフォニック=レイン】
【装備:包丁デッキブラシ イリヤの服とコートFate/stay night[Realta Nua] 】
【所持品:リュックサック、救急箱、その他色々な日用品、ピオーヴァ音楽学院の制服(スカートがさけている)@シンフォニック=レイン 】
【状態:重度の記憶喪失、頭に包帯、体力疲労中、精神的疲労中、後頭部出血(処置済み)、頭痛あり】
【思考・行動】
 基本:自分の記憶を取り戻したい パパとママを探したい
 0:パパ……ママ……
 1:自分のことを知っている人間から自分についての情報を得たい。
 2:とりあえず、途中休憩を取りながらスラム街から他の場所へ移動する。
 3:男性には極力近づかないようにする。
 4:火事?のある方向に行くかどうか考える。

【備考】
※ファルの登場時期は、ファルエンド後からです。
※頭を強く打った衝撃で目が覚める前の記憶を失ってます。
※断片的に気絶前のことを断片的に覚えている可能性もあります(例として“他者を利用する”など)
※当然バトルロワイアルに参加していること自体忘れてます。
※教会に倒れていたこととスカートが裂けてたことから、記憶を失う前は男性に乱暴されてたと思ってます。
※激しい運動をすると立ちくらみがする状態です。
※火事のあった方向に行くかどうかは次の人次第。
※恋人がいるのと歌を思い出しました。


095:アリス・イン・ナイトメア 投下順 096:集え、そして結束しろ
093:doll(後編) 時系列順 098:Steelis my body, and fireis my blood/絡み合うイト(前編)
091:風の名はアムネジア ファルシータ・フォーセット 108:記憶無き少女、彷徨う
074:第一回放送 食らわれるは人の心、そして 言峰綺礼 133:巡る季節にひとりきり(前編)
074:第一回放送 食らわれるは人の心、そして 神崎黎人 143:第二回放送 神は慈悲深く、されど人の子は

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