ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

雨に煙る

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雨に煙る ◆lcMqFBPaWA



(何で……)

こんな事になってしまったのだろう……
既に鮮明さを失ってしまった頭は…更にその霧を深めていく…。
見る事は出来ないけど、多分ボクの肌は朱に染まっているのだろう…

僕に伸ばされた、赤く染まった手から…ポタポタと雫が落ちる。

先ほど少し小ぶりになった筈の雨は…またその雨足を強めつつある…

不思議だな…

何だか…意識が…薄れて…きたよ…




盛り上がった土の上に置かれた石の前に立って、そっと黙祷する。
僕達よりも少し前で、石の前に片膝を着いているミドリが、そっと告げる。

「…ゴメンね、こんなところでさ。
 でも、…多分…連れて帰っては、あげられないんだ…」
 だから、せめて、……安らかに…」

胸の前に手を組みながら、その中に眠る女の子の安息を祈る。
ふと…薄く目を開けて隣をみると、ミドリもユイコも伸ばした掌を合わせて瞑目していた。
ユイコ達の国の、作法なのだろう…
(……)
そっと、同じように手を組み替えようとして…止めた。
女の子はユイコ達と同じ国の子なのだから、本当ならその方が良いのかもしれないけど…
…再び目を瞑り、顔を落とす。
作法の判らない事をやるよりは…僕の知っているやり方の方が、良い気がしたから。

“サァァァァァァ”

……雨は、またその雨足を強めていく。
大きな木によって直接降られることはないけど、それでも僕達の全身を濡らほどの大雨が、降り注ぐ。
…まるで、ミドリの代わりに、空が涙を流しているかのように…




あの子は…
リセは…この子のように、誰かに葬られたのかな…?
つい…考え込んでしまう。

誰にも悼まれず…雨の中野ざらしにされる……リセルシア…
それは…とても、悲しい…よ…
もう、困ったような笑みも…控えめな歌声も…発せられる事は……無いんだ…

“サァァァァァァァァァ”

既に耳に馴染みきった雨音が…僅かに煩いと思った。
キョウの元気な笑みも…ウエストの愉快な声も…今は全て失われて、雨の中にその亡骸を濡らし続けている…
多分…いつか、僕も同じようになるのかな…
出来れば…トルタやファルさん…ユイコにはそのようにはなって欲しくないな…

“ザァァァァァァァァァァァァァァ”

止まない雨は、ますますその勢いを強めていく。
まるで、空が泣いているかのように…
いつまでも…
……いつまでも…

いつか、晴れる日は、来るのだろうか…?



いつまでも、目を伏せていたくなる。
別に知り合いだった訳じゃあないし、名前くらいしか知らない相手だけど…それでも、悲しい。
あんなに小さい子の命が失われてしまった事が、とても。

背後で、僅かな衣擦れの音がする。
まず、唯湖ちゃん、ついでクリス君が合わせていた手を下ろした音。
それを聞いて…あたしもようやく、胸の前に合わせていた手を下ろした。

「……ありがとね、手伝って貰っちゃって…」

振り向いて、礼を言う。
長い黒髪の来ヶ谷唯湖ちゃんと西洋人のクリス・ヴェルティン君。
葛ちゃんの埋葬を手伝ってくれて、そして、そのお墓に手を合わせてくれた良い子達。

「何、気にする事は無い、死者を悼むのは万国共通の想いなのだからね。
 …まあクリス君には多少重労働だったようだが…」
「…ユイコ…それは、言わないでよ……」

唯湖ちゃんのからかいに、クリス君が落ち込む。
まあ確かにちょっと貧弱すぎる気はしなくもないけどね…
男だからって譲らないから任せた、墓石代わりの石を持ってふら付いているのは中々面白かったけどね。

「ふむ、だがなクリス君、いくら運動とは無縁とはいえもう少し体力を付けたまえ。
 フラフラと揺れながら石を抱えている様は中々微笑ましいものではあるが、アレでは鈴君はおろかクドリャフカ君辺りにも負けかねないね。
 …ふむ、この場合私は勝って全身一杯で喜んでいるクドリャフカ君と、負けてどんよりと落ち込んでいるクリス君のどちらを愛でればよいのかな?」
「……どっちでもいいよ…。
 …それに僕だって毎日学園まで歩いていってるんだから…一応運動してないって訳じゃないよ」
「……それは本気で言っている訳ではないのだろう?」
「………うん、まあ、一応」

音学校の生徒だそうだけど、それにしたって貧弱すぎる気はするね…
まあ隣にいる唯湖ちゃんがやたら運動能力高い感じだから余計にそう感じるけど。
それにしたって、クリス君は何か小学生くらいの子にも体力負けしそうな雰囲気が漂ってるしねえ。

“ふう、やれやれですね、流石に小学生に体力で負けるのはどうかと思いますよ、おにーさん”

「……っ」
別にどんな子だったのか知らないけど、思わず鮮明に想像してしまう。
葛ちゃんがこの場に居たら、きっとこんな感じなのだろうと。

「……ああ、ところで碧君」
再び湧き上がった悔恨を、唯湖ちゃんの声が途絶えさせる。
「……え、あ、何? 唯湖ちゃん?」
気配を発しないように、慌てて声を上げる。
「……すまないのだが、出来れば苗字で呼んでもらえないだろうか?
 名前で呼ばれるのはあまり……」
「え? でもクリス君は名前で呼んでるじゃん?」
何やら多少眉をひそめた唯湖ちゃんがそう言ってくる。
警戒されてるのかな?
でも今更な気もするし、唯湖ちゃんはあたしの事名前で呼んでるし。
つーか、
「というか碧は良いとしても君付けはどうよ。
 あたしこれでも一応先生なんだけど」
流石に君付けで呼ばれるのはねえ…

「ふむ、碧君は先生だったのか?」
「そうよー、だから敬意をこめて碧ちゃんと呼びなさい」
「…それは敬意は篭っていないと思うがね、…しかし碧教諭は何歳なのかね?」
「んー? あたしは十七歳よ」
「…………」
「何か言った?」
「いや、何でもないよ」
うん、まあ鋭そうだから気付くだろうけどあえて秘密。
女にはいろいろと秘密があるのだ。

「…ふむ、では私は碧ちゃんと呼ぶから、碧ちゃんも私の事を苗字で呼んでくれないか?」
ふ、と一瞬だけ考えて、唯湖ちゃんがそう言ってきた。
「……うーん、そこまでイヤなら別に呼んでも良いんだけどね…」
でも、
「来ヶ谷ちゃんってあんまり語呂が良く無いんだよねえ…。
 来ヶちゃんもあんまりだし、クーちゃんだとクリス君と被るし…」
そこが問題なのよねえ…
「いや、無理にちゃんをつける必要は無いのではないか?」
「あ、駄目、何かコミュニケーション取れてる感じがするじゃん?
 つーかクリス君が呼んでるのに何で不味い訳?」

……ん?

「……ははぁ、もしかして、そういう事?」
何となく意地悪な笑みが浮かんでる気もするけど気にしない。
「……む?そういう事とは?」
「ん、だからさ…」
そう言って、そっと唯湖ちゃんの耳に口を寄せる。
多少の身構えはあるけども特に警戒している訳ではないみたいだね…
まあそれはさておき、耳の側で、
「クリス君以外には名前で呼んで欲しく無いとか?」
クリス君には聞こえないくらいの声で言ってみた。


「…………っな!?」
おー赤くなってる赤くなってる。
少し意外なような、そうで無い様な…
「い、いや、そうではなくてだ、…そもそもクリス君は外国人だし名前で呼ぶのは当然なのだ!」
「僕がどうしたの?」
ナイスタイミング、クリス君。 先生満点あげちゃう。
「い、いや、私の名前がだね…」
「? ユイコは綺麗な名前だと思うけど?」
「……ぅ…」
ふむ、けっこう脈ありか、良かったねクリス君。
しかし外人だからかサラリと破壊力のあること言うね。
「い、いやそうではなくてだね…」
「うん、じゃああたしは唯ちゃんて呼ぶことにするかな」
中々見ていて楽しいけど、取りあえず終わりにしとこう。
唯ちゃんは悪くないしね。

「……仕方が無い、それならまあ良しとするよ…。
 …それで碧君、とりあえず情報交換と今後の目的について話したいのだが…」
ん、やり返してきたか、…まあいいか。
「割と泥で汚れてしまった上に、我々は風呂上りで運動した為汗をかいてしまった。
 なのでとりあえず温泉にでもつからないか?」
温泉…か。
……そんな、暢気なことは…
「特に、『碧ちゃん』は浸かるべきだな。
 汗とともに『色々なもの』を洗い流してくれるのだから」
……
…唯ちゃん…

「……ふう、まあじゃあそうするかね」

…鋭い子だね…


「そう、じゃあ静留ちゃんと会ったんだ…」
「うむ、彼女はそのなつき君の為に戦うと言っていた」
「シズル…何処に行ったのかな…」

後ろを向いたまま、答える。
今一番気になっていた事が、解決の目処がたった。
ミドリは、元々のシズル達の知り合いなんだそうだ。
そして、ナツキは少し前までツヅラと一緒にいたらしい。
今は何処にいるか解らないけど、多少は前進したのかも。


「……その、美希という少女が襲われたかもしれないということか…」
「うん、ミキミキは早く見つけてあげたいんだけど…」

ミドリの顔に、悔恨が浮かぶ。
ミキ…どんな子か知らないけど、確かに心配だな…


……恵みの雨は渇きの大地に潤いを与える、あたかも疲れきったそれを癒すかのように。


白い湯気を発する湯船に、白い、だが湯気とは違う、確かな形をもつ物体が差し入れられる。
白い、そう、あたかも雪のように白いそれは、だが断じて雪ではあり得ない。
湯気に触れ儚く消え行くのでも無く、湯につかり元の姿に還るでもなく。
それは、その白さをほのかに朱へと染め、そこに確かな形を保ち続ける。

そう、それは、白い、人の肌。
細く、長く、美しい…時には白魚のように称えられる、五つに別れたそれは人の指。
そう、雪のようでいて、断じて雪ではありえない、ほのかに染まりしそれは、人の手。
そのほっそりとした五つの指が掴むのは、茶の色を持つ木の桶。
桶の内に、なみなみと留められた湯は、透明な湯気を上げ続ける。
そうして、それはその繊手の持ち主の頭上へと掲げられ、そうしてその上下を逆転させられる。
無論、その中に存在していた湯は、重力のくびきに従い落下する。
その下にある、その手の持ち主へと。

白く、傷の無いすべすべとした肌の上を、暖かな湯がすべり落ちる。
その湯の温かさは、その白い肌を朱く、ほのかに朱く、染め上げる。
『まるで雪のように』という表現は、その繊手だけに収まるものではない。
その体は、まるで石膏の像のように白く、それでいて、断じて石膏ではない、石膏では表現しえない人の温かみを宿している。
その、白い、純白の雪原を、透明な湯が滑り落ちる。


首の後方、うなじよりその体へと注いだそれは、幾筋もの奔流となりて、瞬く間に雪原を蹂躙していく。
そう、蹂躙。
その表現がなによりも相応しく、そうして、何よりも相応しく無い。
その奔流が通り過ぎた後に残るのは、先ほどまでとは明らかに異なるものであり、断じて同じものでは無い。
だが、その変化は極めて自然なもの。
その潤いは、暖かく、まるで母の温もりのように、優しく、肌を癒す。
まるで、雪の中から桜の花園が生まれたかのように、その雪原を薄く、美しい朱に染める。
幾筋も、まるで雪解けの水のように、純白の雪原を、朱の花が染めていく。
その様は、芳しき花の芳香が漂ってくるかのような錯覚すら感じさせる。
いや、事実、人の目を引き付けるそれは、ある種の花園と呼んでもよいのかも知れない。

その芳しき花園は、その裸身の全体に広がって行く。
そのうなじを、背を、首を、頤を、胸を、腹を、ふとももを、体の隅からすみまで余す事無く。
全身を僅かに朱にそめ、頬を上気させ、
「…ふぅ」
と快楽に染まった声を放ち、再びその手に収まった桶を、湯船へと向ける。


同じ行為を繰り返す事数度。
その度に、僅かずつ、だが確実に、朱の花園は開花していく。
花は咲き誇り、芳しき芳香は他者を迷わす惑いの芳香となる。
口から漏れる吐息は徐々に艶と熱を含んだものへと変化をとげる。

そうして、その開花した魅力を放つ肢体は、やがて動きを止める。
もう、充分に咲き誇ったと、コレより先の開花には、この場では不足であると、
そのような意思を込め、その裸体は動き出そうとする。

その震えにより、僅かに濡れた髪から零れた幾滴かの水滴が、猫背気味に丸まった背をすべり、そのままその下にある白桃のような部分へとつたわり、そのふくよかな曲線をすべり、地へと落ちる。
ポタポタ、ポタポタと、皮を剥いた豊かな果実から、溢れる果汁のように。
その、乾きを覚えた旅人であれば貪りつきそうな果汁の中に、僅かだか他とは異なる定めを辿るものが生じた。
その一滴が辿りしは、豊かな果実のふくらみではなく、二つの膨らみのその間。
狭く、秘められたその谷間を、その雫は滑り落ちてゆき、やがて、重力に負け、雫となって零れ落ちる。
……再び、同じようにその谷間へと流れついた雫は…やはり、同じように重力の頚木の前に、地へと落ちる定めを余儀なくされる。
………だが、三度目。
三度重力に逆らい挑みしものに、奇跡が生じた。

そう、それは、定めに敗れし同胞の残せし軌跡。
僅かに湿りを帯びさせたその道は、後に続くものの道しるべとなり……その先へと導く。
そう、その先……秘め置かれるべき場所へと、ついにはたどり着き…そうして、そこより、あたかも不浄の雫のように、だが明らかに異なるものとなりて、地に、落ちる。


そして、零れ落ちる雫は髪からのみでは無い。
首の横側に僅かに窪んだへこみ…鎖骨に溜まっていた湯が、やはり同様に滑り落ちる。
それは胸の側方を伝わり、その先に存在する鎖骨のくぼみを、一つ、一つ、余す事無く潤し、その先、一つの肉壁と二つの丘の織り成すデルタ地帯へと流れ行く。
そこの谷を滑りおち、その自然な流れに従い、その先、三角州の終焉、秘め置かれるべき場所へと流れ、そして、一滴の雫となって落ちる。
そう、あたかも、熟れた一房の葡萄から、零れ落ちた一滴の甘い果汁のように。

だが、やがてその部分に、肌よりも白い物体が覆いかぶさる。
そう、秘められるべきものは、秘められるべきなのだと言わんばかりのそれは、手ぬぐい。
湯殿においては裸身を守る唯一のモノである。

……だが、それは、同時に裸身を「彩る」という表現も、当てはまるのかもしれない。
そもそもだ、秘密というのは、秘密である故に人を惑わせる。
裸身を秘するという道具であるが故に、それは反って人を惑わすものと化すこともある。

だが、今はそれよりも生じた変化について克目するべきかもしれない。
確かに、その肢体は覆い隠されてしまった。
だが、その肢体はそもそも水分を含み、湿り気を帯びていたのだ。
そうして、そこにかぶさる薄布は、その肢体に張り付く。
秘すべきものを隠しながら、それでもなお、そこに僅かに透けて、その裸体を関しだす。
そうして、隠された事によって、その身体のラインはなおの事強調される。

その、一部が隠されたが故にアンバランスな魅力をかもし出す肢体は…そのまま湯船に向かう。
歩き、進む度にその実より零れ落ちる果汁が、地へと惜しみなく降り注ぎ、地にはにわかに雨のような状況となりゆく。
そうして、片方の足が湯船に入り込み、瞬間、僅かに引き上げられる。
その足は、先ほどよりも鮮やかに染まっていたが、やがて思い直し、そうして足の裏が湯船の底へとたどり着く。
そうして、もう片方も同様にし…そのまま身体ごと沈みゆくかと思いきや、ふと、その手が動く。
そう、片方のてにより裸身を覆っていた手ぬぐいが、その身から…離れた。


再び、白日の下に晒される裸身。
足より伝わる熱によって朱に染まった全身。
それが、徐々に湯の中に沈んで行き…
そうして数秒。

「…ふぅ…」

快楽に染まった声が発せられる。
湯の悦楽を存分に味わい、クリス・ヴェルティンは文字通り一息付いたのだった。




「ふう……」
ああ、暖かい。
泥を落とす…という名目で再び入る事になったけど…オンセンて結構気持ちがいいな…。
さっきはユイコにからかわれてゆっくり浸かる事が出来なかったけど…こうしてゆったりと足を伸ばせるのは気持ちがいいや…

「ん……っ、あふっ…」
両の指を組んで、掌をひっくり返して伸びをして…自然と声が漏れる…
普段はしない運動の疲れが、心地よく癒されるなぁ…
……というか、ユイコもミドリも酷いよ…
一応僕だって男なんだし…僕が力不足なんじゃないと思うんだけどなあ…

“サァァァァァァ”

「あ…」

小ぶりだった雨がまた強くなってきた。
頭に降る雨が冷たくて、肩まで浸かったその時、…声が聞こえた。


『ふふ、眼福、と言うべきなのかな』

『んー? 唯湖ちゃん…なんかセクハラっぽい言い方だねぇ…』

『はっはっはっ、褒めているのだよ、小ちゃくて可愛い子のは無論見たいが、たわわに実った豊かな果実も素晴らしいものだよ』

『んー確かにねえ…というかあたしよりも大きい子って久しぶりに見たけど…良いものだね』

『ふむ、解ってくれて嬉しいよ。 どうにも私の周りには同好の士が少なくてね』

『んー…アタシの周りだと一人そういうのに興味ある子がいるんだけど…他は皆真面目でねー。
 まあ命懸かってるんだからしょうがないんだけど…もう少し人生を楽しむって事を覚えたほうが良いと思うんだよねー。
 そういう意味じゃあ、唯湖ちゃんは人生楽しみまくっている感じだねえ』

『まあそれは楽しんでいるよ。
 何しろ先の無い…おっと何でも無いよ。
 とにかく私の所属は可愛い子の多い集まりだからね。 今度合宿と称して温泉旅行を提案してみようか』

『ふーん、まあ良い心がけねー。
 若いうちは一杯楽しんでおくものよね』


「……」
何か、少し雨が小降りになった所為か良く聞こえるなぁ…


『しっかし…立派な温泉だよねえ…神崎君も何でこんなの用意したんだか…?』

『む? 碧君はあの神崎という男を知っているのかい?』

『うん、ウチの学校の生徒なんだけどね…。
 なんでこんな事を始めたのか…』


……そういえば、ミドリは先生なんだっけ…
僕と変わらない年で先生だなんて凄いなあ…
……そういえば、ユイコは何歳なんだろ?


『……ふ』

『…ひゃう!?』

『ふむふむ、ムニュっと形を変えながらそれでいて弾力のあるこの心地。
 かなり鍛えているのかな碧ちゃんは?』

『なっ? ちょっ!?』



『ふむ、見た目に表れないものの筋肉もかなりのものだな…実に素晴らしい。
 加えてこの豊かさ…ふむ、そういえば顧問の席が空いていたな…』

『ちょっ、ちょっ? さ、触るなら自分のを触りなさい!?』

『何を言うのかね?
 自分の胸を触ってみたところで面白くも何ともないだろう?
 やはりこういうのは堪能しなければ』

『んっ…あんまり先生怒らせるとあたしも触っちゃうよ?』

『ふむ…それはそれで楽しそうではあるのだが…』

『んっ…くぅ…』

『やはり触られるよりは触るほうが好きだな私は…』


「…………」
小ぶりになった雨が、火照った体に心地良いな…
特にお湯の所為かやけに熱い頬にはとても気持ちがいいや…
……さっき、少しだけ、見てしまったユイコの…ミドリのも同じくらいだとすると…

“ブクブクブクブク”

思わず、顔を沈めた。
何か、お湯が、凄く熱いなあ……




『……あったまきた…! この!』

『…む! 早いな!』

『あんまり年上を舐めない方が良いよ…唯ちゃん…』

『ふむ、碧ちゃんは17歳なのだろう? なら私と同じ年だな』

『……ほほう、そう来るか』

『……ふむ、まあ落ち着いてくれないか?
 そもそもだ、私は碧ちゃんを励ます為にだね…』

『……うん、それは何となく解るよ……
 だから…元気が出たことをよおっく感じてもらおうかなーてね』

『……ふむ、いや碧ちゃん先生が生徒に本気を出すのはどうかと…』

『んーでも同じ年だし友達同士の喧嘩と思えば問題ないよね…』

『……む、いや、ちょっと待ちたまえ…!』


ユイコも同じ年なんだ…
というか…隣にいるんだからもう少し静かにしてくれると…

……別に、寂しくは……


『…!………!…』
『…………?…』
『………!!……』
『…!…………』
『…………!…』

……
………
…………

………そーーーっ

…別に上がる為に方向を変えるのであって…特に意味は無い…よ

そうして…
「え?」
振り向いたその先には、白い果実が四つ、あった。

「む?」
「ん?」

いや、うん果実って訳じゃない。
それは…その、白くて、柔らかそうで、お湯に濡れて綺麗で…
白くて…いや、白いんじゃなくてもっと柔らかな色でそれでいてそれで…
その果実にはそれぞれ手が伸ばされてとても柔らかそうに形を変えていて、しかもその手が少し赤くなっているから余計に色の対比がされて果実が白くなっていて、
そう…例えるなら…こねたパン生地みたいな…でもそれよりもとても美味しそうな色で弾力がありそうでしかもチェリーが………


「……!!」

振り向いた。
多分この島に来て最高の速度で首を回した。
顔がこれ以上無いくらい赤くなっている気がする。

「……なっ、なんでユイコとミドリがいるの!!」

確かにさっきオンセンに入る前に別れた筈なのに。

「ふむ…」
「んー…?」

バシャバシャと、お湯の中を進む音が聞こえる。
何か雨が凄く小ぶりなせいか頭が凄く熱い。

そうして、少しして、
「ふむ、喜べクリス君、先ほども少し疑問だったのだが、この温泉の仕切りは外されているようだ」
「うーん、神崎君がまさかこんな趣味だったとはねー。
 こりゃ内申は真っ赤っ赤だね…」

戻って来たユイコとミドリが、そう言った。
……喜べないよ………………一応…

「まあ、こうなった以上仕方が無い、共に入る事にしようか」
「んー…まあいっか…」
「…僕、先に上がるよ……」

……流石に、二回も一緒にお風呂に入るのは恥ずかしい。
しかも今度はミドリもいるし…それに顔が凄く真っ赤だし…
取りあえず手ぬぐいを腰にあてて立ち上がろうとして…

「いや、待ちたまえクリス君」

ユイコに止められた。

「手ぬぐいを湯に入れてはいけないな」

…どうでもいいよ……

「それにだ、今から作戦会議を行うのでここに居たまえ」
「え?」
「ん? そうなの?」
「折角三人居るのだし、時間は有効に使うべきだろう」
「……まあ、いいかな」
「…あんまり良くないと思うんだけど…」
「さて、では始めるかな、クリス君、話すときはちゃんと顔を向き合おう」

…………
ふう…
仕方が無いか……っ!

お湯の中に…ふわふわと雲が浮かんでいる。
見慣れた雨雲ではなくて…もう遥か昔に見た、お日様の中綺麗に映る雲が…
……ううん、雲じゃない、雲よりももっと綺麗で、ふわふわで、しっとりしていて…
兎に角、ふわふわ、ふわふわと、綺麗なものが浮かんでる。
……ううん、正確に言うと綺麗なのはそれだけじゃ無い。
その綺麗なものの奥に見える、同じ色したものも綺麗だ……

その、すらっとした首…そこにある首輪さえなければどんなに美しいのだろう…
濡れた髪が張り付いているその様は、何だか見てはいけないもののように思えてくる…
ほっそりとした肩…綺麗な曲線を描き、僅かに水が溜まった窪みは雨上がりの草原みたいだ…
水に濡れて、上気している表情は、ドキッとしてしまう…ユイコもミドリも美人だけど……いつもとは違う美しさに溢れている…
濡れた頬、僅かにもれる吐息…気持ちよさそうでいてどこか楽しげな表情……表情……?

「なっ!何で二人とも隠してないのさ!!」

再び、さっきよりも早く頭をそらす。
……
半分くらい湯に浸かっていたけででも何だか浮かんでいてってそうじゃなくて、濡れた髪が張り付いた首筋とか胸とかが凄く綺麗も違う
凄くきれいな果物みたいにじゃなくてそもそもその先端にでもなくて……

「さっきも隠していなかったのだから今更だと思うが」
「あたしあんまり手ぬぐいって好きじゃないのよね…」

……そういう問題じゃあないよぅ……

「……っていうか…ユイコは恥ずかしくないの…?」
「はっはっはっ!愚問だなクリス君!
 可愛い子には性別など大差無いのだよ!」

ユイコが…近寄って来るのが解る。
そうして、背中の近くにまで来てる。
…ユイコの柔らかな……の感触。

「それにだ、クリス君は弄っていると楽しいのだよ…愛おしいくらいにね…
 こういう反応を返してくれる子は結構貴重でもあるしね…」


少し湯船から身体を持ち上げて、ユイコが僕の顔に手を当てる。
ちょっユイコ…もう少し離れて!
それに背中に降る雨に混じって…何箇所か感じる暖かい雨は…やっぱり…

「んー…こらこら唯ちゃん、そんなにいじめるとクリス君泣いちゃうよ」
「なに、こう見えて割りと我慢強い子なのだよ」

そうでもないよう…

「あー、不順異性交友は校則違反だからやめとくよーに。
 一応先生だし見逃せないよ」
「ふむ、その点は問題無い。
 うちの学校にはそのような都合の悪い規則は無い事になっている」

「……んー、じゃあまあいいか」
(よくないよ…)
無い事にってことはあるってことじゃあないか…

“サァァァァァァァ”

雨はまた冷たい位に僕の頭に降って来る。
……というか
雨が強くなってきた所為で…所為で…
背中に、背中に……谷から流れる「川が」
多分、そう、ユイコの……から流れてきている……が……
冷たく冷え始めた皮膚に、お湯とは違う人の…肌の…熱さが…

「あークリス君?
 そういう場合って恥ずかしがる程に相手が喜ぶだけよー。
 まあ言ってもどうにもならない気もするけど一応助言ね」

ミドリが何か言っている。
うう、つまり…反撃……
…………無理…

(何で……)

こんな事になってしまったのだろう……
既に鮮明さを失ってしまった頭は…更にその霧を深めていく…。
見る事は出来ないけど、多分ボクの肌は朱に染まっているのだろう…

僕に伸ばされた、赤く染まった手から…ポタポタと雫が落ちる。

先ほど少し小ぶりになった筈の雨は…またその雨足を強めつつある…

不思議だな…

何だか…意識が…薄れて…きたよ…
そうして、その手が僕の…に

「やめてよ! ユイコ!!」


ムニュ

……え?

ユイコの顔が…赤くなってる。
さっきまでも赤かったけど、それでも何だか急にこうカァーっと。

手に伝わる…この柔らかな感触は…
雨と湯に濡れながらも吸い付くようなこの手触りは…

「……」

…視線を、落とす……
僕の手が、ユイコに触れている。
触れるだけなら…まだいいけど……
でも、
いま、コレは…
掌が触れているこの…膨らんだ柔らかくて暖かかくてムニムニしてて豊かで弾力があってしっとりと手に吸い付いて…
兎に角これは…ユイコ…の……

「あ……う……」

そして…この一部に感じるでっぱり……は……………

「……きゅう……」



バシャーン!と糸の切れた人形のように湯舟に倒れこむクリス。
そうして、起き上がる気配は無い。

「む、いかんな、のぼせてしまったようだ。
 やはり長く湯につかる習慣の無い国の人間には長すぎたか」
「思いっきり別な理由だと思うけどね…。
 ……というか武士の情けだし、隠してやりなよ」

そう、クリスが気を失った事によって、その身を隠していた手ぬぐいも力を失い湯に浮かび…結果として……そこが丸見えとなっていた…
なのだが、この場にその程度で大きな反応を返すような相手は居ない…不幸な事に。
ここまで想定して仕切りを外していたのだとしたら…主催者の神埼とはどれほど恐ろしい相手なのだろうか…

「ふむ、これはこれで目の保養なのかね?
 中々目にする機会のあるものでもないし」
「思いっきり間違っているような光景だねえ…とりあえずお嫁に行けなくなっちゃうからその位にしておいてあげなよ…」

表現が微妙に間違っているが、そんな事はやはりだれも気にしない。
というかむしろ誤用のほうがあっている気もする。 

「しかし、興奮しすぎて気絶とはベタだな。
 どうせならば鼻血も流していてくれれば完璧だったのだが…やはり漫画的表現という事だったのかな?」
「あー、そうみたいよ…まあ鼻の血管の薄い人が興奮しすぎると鼻血がでるらしいけどねー」
「ああ、残念だ……ふむ」

ムニュ

「……何してんの?」
「うむ、興奮して気絶した場合だと、気絶中でも更に興奮することがあれば症状が悪化するパターンが多いのだが…やはりこれもフィクションなのかな…?」

ムニムニと、クリスの頭を自身の胸に押し付ける唯湖。
気を失っているとはいえ、非常にアレな光景といえよう…


「……とりあえず悪化させるのはやめといてあげなさい…。
 つーか…それ恥ずかしくないの?」
「別に減るものでもないので…好奇心の方が優先順位は高い。
 個人的には何処か吹っ切れて逆に襲い掛かって来てくれたら面白かったのだが…その時は返り討ちにしてやったものを……」
「返り討ちにするのかい……クリス君も可哀想に…」

心底同情したようで、どこか面白さを秘めた碧の声。
だが、クリスの肩を担いで湯船から上げていた唯湖は反論を返す。

「いや、だがね碧君。
 正直なところクリス君はもう少し活動的になった方が良いと思うのだよ」
「…賛成だけど、それならもう少し手段を選んであげなよ…」
「何を言う。 この年頃の男子と言えば下半身が脳に直結しているのが普通……でもないか…」

持論を述べようとした唯湖であったが、自身の周囲の人間を思い浮かべて当てはまらない事に気が付いたようだ…
いまいち自身の無さそうにしながら、クリスの身体を洗い場に横たえる。
一応腰部に手ぬぐいをかけた辺り、最低限度の慈悲はあるように見せかけて、そのままだと風邪を引く。

「ふぅ…まあ充分暖まったし…そろそろ上がろうかね…。
 そのままじゃあクリス君風邪引いちゃうし…」

流石に同情したのか、碧がそう言って湯船から身体を引き上げる。


勢いよく立ち上がった事によって、それまで湯の中に揺らめいて見えていた裸身が白日の下に晒される事になった。
実年齢はさておき…なるほど、十七歳という自称は少なくとも肉体面においてはあながち間違いでもないのかもしれない。
勢いによって生じた運動エネルギーは、彼女の豊満な肉体の各所に分散し…そして目に見える変化を齎す。
張りのある肌は、水を弾き、飛び散らせ、湯船に汗交じりの湯の雨を降らせる。
湯に濡れて艶の生じた裸身、その全身に差した赤みなどと相まって、
その全身は美しく健康的な印象を周囲に見せ付ける。

だが、その中においても人目を引き付けて止まないのは、やはり俗に女性らしいといわれる部分であろう。
その豊かな胸は、確かな躍動感を感じさせながら跳ね、その豊穣具合を存分にアピールする。
その瑞々しい果実の先端からはまるで果汁のように湯が零れ落ち、
その二つの果実の谷間に生じた河川は、鍛えられながらも控えめさを忘れない腹筋を伝い…その下の窪みを通りこして、
そのほっそりとした腰のくびれのラインを正確に流れ行き…そうして、その終着点の…より湯船に落ちる。
その終着点より僅かに外れた流れは…その両横に確かな存在感をかもし出している太ももへと流れを返る。
普段より鍛え抜かれたその太ももは、鍛えた動物のような筋肉と、女性らしい弾力のある肌が、奇跡的な融合を果し、河の出所に勝るとも劣らない、豊かな丘陵となって流れを運ぶ。
そうして、丘陵を越えた河は、その先のやはり鍛え抜かれたふくらはぎへと達し、やがてその途中にて湯船へと還る。


……そして、忘れてはならないのは後背部であろう。
湯に浸かる前に纏めていた髪は、それでも湯の侵食を免れなかったのか、僅かに水気を吸い、その内の何束かがうなじから首筋、肩に掛けて張り付いている様は、ドキリとした感情を誘うものであろう。
健康的な肌に張り付く濡れた長い髪は意識せずとも蟲惑的な感情を呼び起こす。
その、蟲を誘う植物のような髪から、やはり河は生じ、重力のままに下り行く。
肩甲骨のふくらみ、背骨の窪み、背筋の盛り上がりといった地味ではあるがそれでも他では出しえぬ魅力さをかもし出す高原を越え…たどり着くのは、白き双丘。
胸の部分のそれと似通っておきながら、断じて異なる。
胸の双丘が柔らかさを表現したのであれば…腰のそれがあらわすのは弾力であろうか。
瑞々しさよりも弾力に溢れたそれは、ゆらゆらと揺れながらも、確実に河の流れを纏めて行く。
バラバラに背を伝いここまで辿った軌跡は、ここに来て一つに纏まろうとし、その双丘の谷間へと纏まっていく。
そうして、その流れは肢体の前面を伝ってきた流れを合流し、やがて湯船へと帰る。

「…ふむ……」
「ん?どったの?」
「いや、中々参考になったなと」
「?」

何やら得心いったかのように深々と頷く唯湖であったが…やがて、

「時に碧君、クリス君が眠っている間に言っておきたい事があるのだが…」
「ん?何?」

真剣な面持ちになり、言葉を紡ぐ。
ソレを受けて、碧もまたか表情を硬くする。

「クリス君の事だが……彼は恐らく精神的に何らかの疾患を抱えているのだと推測される」
「……それって、さっき言ってた『雨』っての?」


唯湖が確信を持っていた、持っていたが故にクリスには告げられない説を、碧に告げる。
本人の知らぬ所で話すのは良い事では無いが、これは仕方の無いことだ。
碧の方にも違和感があった為か、すんなりと受け入れる。

「ああ、どうやらクリス君の精神状態によって、多少雨量は変化するようなのだが…実際に目に見える訳ではないので詳しくは解らない。
 今の所危険は存在しないと思うのだが…」

と、そこで一度言葉を切り、

「だが、碧君が危険だと思うのならば、…残念だがここで別れる事になるな。
 その場合は何処か時間を決めて合流することを提案するが…」
「んー、まあいいんじゃない?」

続けた唯湖の言葉は、碧に遮られた。

「クリス君も良い子みたいだしね。
 先生が一度任せなさいって言っちゃった以上、責任持たないとね」
「……面倒見が良いのは良いのだが、それは何時か命取りになると思うよ?」
「んー…唯湖ちゃんに言われたくは無いかな…」
「む」

しばしの沈黙、そして。


「「あっはっはっはっはっ!!」」

さわやかな笑い声が、温泉に木霊した。


「う…ん…」
温泉旅館の一室(一泊二食付10,200円)にて、意識を取り戻すクリス。

「ふむ、お目覚めかねクリス君?」
「……ユイコ…?」
「君は温泉で気を失ってね…恐らくは湯当りだろうね」
「オンセンで……」

ボッと火でも付いたかのような急激な速度で、クリスの顔が赤くなる。
何を思い出したのかは彼のみぞ知ることだが…
そうして、ガバッと彼は起き上がり…

「あれ…ユカタ?」
「ああ、あのままでは湯冷めしてしまいそうだから着せておいた」
「え、あ、ありがとう」

自身の身を包む浴衣に、目を白黒させる。
それはもう彼が一人で着た粗雑な着付けではなく、きちんと整った綺麗なものであった。
だが、それはつまるところ…

「あれ…でも着てるって事は…」
「ああ、安心したまえ、着せている最中は目は瞑っていたような気がする」 
「気がするだけ!?」
「ふむ、お望みなら鮮明に思い出してみようか」
「……ううん、ゴメン……何でもないよ…」

敗北。
まあそもそも勝利する確立などなかった気もするが…
兎に角、クリスにはそれ以上何も言えなかった。
そうして、クリスが寝ている間に決まった出来事…とりあえず昼ごはんにして放送を聞く…が告げられ、


そして、

「ああ、それとだ」
と、真面目な顔になり、
「クリス君は意外と大胆なのだな」
と、告げた。

「……え?」
「まさか寝ている間にあんな事をするとは思わなかったよ。
 まあ健康的な男子としては当たり前なのかもしれないが」

言うまでも無く嘘である。

「え…え…!?」
「ふむ、まあ記憶が無いのは仕方が無いか…」
「寝ている…間…」

思いだす以前にそもそも何も無いのだが…それでも懸命に思い出そうとするクリス。
気絶する前に見た唯湖の裸体を微妙に思い出しそうになって首を振ったりしていたが…

“クリ…君の事だ………彼は……精神…に何……の疾患を抱えて…る………………”
(…え?)

やがて、ビクッと、僅かにクリスの身が跳ねた。

「む? どうしたのかねクリス君?」
「あ…ううん、何でもないよ……」

その気配を察して唯湖が顔を覗き込むが、クリスは何でも無いと返す。
そうか、と告げて、


「安心したまえ、クリス君は無意識でも紳士だったよ。」

といって腰を上げ、今度こそ唯湖は部屋から出て行った。
そうして、部屋にはクリスだけが残され…

「っ…くしゅん!」

とりあえず、暖かいものが欲しいと思うクリスであった。


【チーム:じゅうななさい】
【D-6 温泉宿/1日目 昼】
【思考・行動】
0:とりあえず放送を聞く
1:なつきを見つけ出し静留を説得する
2:乙女、美希も探す

【クリス・ヴェルティン@シンフォニック=レイン】
【装備】:浴衣@アカイイト
【所持品】:支給品一式、ピオーヴァ音楽学院の制服(ワイシャツ以外)@シンフォニック=レイン、 防弾チョッキ、フォルテール(リセ)
      ロイガー&ツァール@機神咆哮デモンベイン 刀子の巫女服@あやかしびと -幻妖異聞録-
【状態】:Piovaゲージ:70%、軽く湯冷め
【思考・行動】
 基本:無気力。能動的に行動しない。ちょっとだけ前向きに。
 0:…え?
 1:とりあえず暖かいものが欲しい
 2:ユイコは不思議な人だ
 3:あの部屋に帰れるのだろうか
 4:トルタ、ファルは無事なんだろうか
 5:あの少女(なごみ)が誰と会ったのか気になる
 6:それでも他人とはあまり関わらない方がいいのかもしれない

【備考】
 ※雨など降っていません
 ※Piovaゲージ=鬱ゲージと読み替えてください
 ※増えるとクリスの体感する雨がひどくなります
 ※西洋風の街をピオーヴァに酷似していると思ってます
 ※巫女服が女性用の服だと気付いていません
 ※巫女服の腹部分に穴が開いています
 ※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
 ※なごみがトルタ・ファル・リセのいずれかに何かしたのかもしれないと不安に思っています
 ※リセの死を乗り越えました。
 ※記憶半覚醒
 ※静留と情報交換済み


【来ヶ谷唯湖@リトルバスターズ!】
【装備】:浴衣@アカイイト、デザートイーグル50AE(6/7)@Phantom -PHANTOM OF INFERNO-
【所持品】:支給品一式、デザートイーグル50AEの予備マガジン×4
【状態】:脇腹に浅い傷(処置済み)
【思考・行動】
 基本:殺し合いに乗る気は皆無。面白いもの、興味惹かれるのを優先
 1:中々有意義な時間だった。
 2:クリスは面白い子だ、ついでに保護
 3:いつかパイプオルガンを完璧にひいてみたい
 4:リトルバスターズのメンバーも一応探す
【備考】
 ※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみてると判断。今の所危険性はないと見てます
 ※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています
 ※静留と情報交換済み
 ※来ヶ谷は精神世界からの参戦です
 ※美希に僅かに違和感(決定的な疑念はありません)

杉浦碧@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備】:不明、FNブローニングM1910(弾数7+1)
【所持品】:黒いレインコート(だぶだぶ) 支給品一式、FNブローニングM1910の予備マガジン×4、恭介の尺球(花火セット付き)@リトルバスターズ!
 ダーク@Fate/stay night[Realta Nua]、アルのページ断片(ニトクリスの鏡)@機神咆哮デモンベイン
【状態】:健康、十七歳
【思考・行動】
 1:クリスと唯湖を守る。
 2:乙女、美希のことが心配。合流したい
 3:反主催として最後まで戦う
 4:知り合いを探す
 5:羽藤桂伊達スバル玖我なつきを捜しだし、葛のことを伝える

【備考】
 ※葛の死体は温泉宿の付近に埋葬しました。


126:鬼哭街(後編) 投下順 128:日誌とクドリャフカと刑務所とドライ
126:鬼哭街(後編) 時系列順 132:蠢動の刻へ
097:コンプレックス・イマージュ 来々谷唯湖 148:sola (前編)
クリス・ヴェルティン 148:sola (前編)
杉浦碧 148:sola (前編)

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