(ここまでくりゃあ大丈夫か)
どれほど走ったかはわからないが、修平たちが追ってくる気配はない。
矢を受けた肩を休める為、政は辿り着いた民家の壁に背を預けた。
矢を受けた肩を休める為、政は辿り着いた民家の壁に背を預けた。
政は時にはプロレス野球部として喧嘩に明け暮れ、時にはデビルマン軍団としてデーモンと戦ってきた歴戦の戦士。
この程度の怪我は日常茶飯事だ。
しかし、それでも彼は所詮はニンゲン。
肩に傷を負えば動きは鈍るし非戦闘時にまで痛みを無視しきれるものではない。
この程度の怪我は日常茶飯事だ。
しかし、それでも彼は所詮はニンゲン。
肩に傷を負えば動きは鈍るし非戦闘時にまで痛みを無視しきれるものではない。
(チィッ、いいところで邪魔しやがる)
あの場面、横やりが入らなければ政は間違いなく修平に勝利を収めていた。
喧騒を聞きつけて戦いを止めに来たにしては威嚇もなく、的確に修平を助けた違和感がある。
しかし修平が予め仲間を潜ませておいたのならば、自分はもっと追い込まれているはずだ。
喧騒を聞きつけて戦いを止めに来たにしては威嚇もなく、的確に修平を助けた違和感がある。
しかし修平が予め仲間を潜ませておいたのならば、自分はもっと追い込まれているはずだ。
つまりあの横やりは第三者。それもゲームに乗った側の人間だ。
おそらく、戦いの一部始終を見た上で修平を残しておきたいと判断したのだろう。
だからゲームに乗った修平を助け恩を売ることで効率的に参加者を減らそうとしている...そんなところだろうと予想はつく。
おそらく、戦いの一部始終を見た上で修平を残しておきたいと判断したのだろう。
だからゲームに乗った修平を助け恩を売ることで効率的に参加者を減らそうとしている...そんなところだろうと予想はつく。
「修平の野郎が探してた藤堂悠奈って女も怪しいな...クソッ、俺は一刻も早く不動を探さなきゃならねえってのによ」
政にとってほかの参加者やこの殺し合いの行く末などは二の次だ。
不動明を正気に戻し彼という存在を取り戻す。
その為ならば命も惜しくないとも覚悟している。
不動明を正気に戻し彼という存在を取り戻す。
その為ならば命も惜しくないとも覚悟している。
その為には修平のような殺し合いに乗った連中は邪魔なのだ。
そういう危険な輩は排除する。
そう、心に決めた時だった。
そういう危険な輩は排除する。
そう、心に決めた時だった。
タンッ、タタタ、と奇妙な足音が傍から聞こえた。
まるで急に遅くなった速さに戸惑っているかのような歩調だった。
まるで急に遅くなった速さに戸惑っているかのような歩調だった。
(だれかきやがったか)
先ほどの修平との邂逅に似たシチュエーションに、自然と木刀を握る力が籠められる。
先ほどのように尋問するか―――いや、ここは捕らえて先に支給品を奪ってしまう方がいいだろう。
そうすれば、相手が一般人であれば修平との戦いのようなことは起きない筈だ。
来訪者が近づいてきたのを見計らい、政は徐に飛び出し木刀を振り上げる。
先ほどのように尋問するか―――いや、ここは捕らえて先に支給品を奪ってしまう方がいいだろう。
そうすれば、相手が一般人であれば修平との戦いのようなことは起きない筈だ。
来訪者が近づいてきたのを見計らい、政は徐に飛び出し木刀を振り上げる。
向かい合った青年は一瞬だけギョッと驚いた表情を浮かべるも、政の木刀に対しては難なくデイバックを挟むことで対処した。
「チィッ」
舌打ちをし、防がれた木刀の代わりに蹴りを入れようとするも、青年は一歩退いて回避。
青年のデイバックの中身がゴロゴロと零れ落ちるが、構わず政は追撃しようとする。
青年のデイバックの中身がゴロゴロと零れ落ちるが、構わず政は追撃しようとする。
「待った。君の足元に転がってるのは爆弾だよ」
青年の言葉に政は足を止める。
周りに転がる球状の物体は、政を取り囲むように地面に転がされていた。
周りに転がる球状の物体は、政を取り囲むように地面に転がされていた。
「スイッチはもう作動している。あとは俺の合図一つでいつでも起爆できるんだ」
「ヘッ、やってみな。オメェと俺とどっちが早いか勝負といこうじゃねえか」
「いいや、そんなことはしないね。俺がこうしたのは君と話がしたいからさ」
「ヘッ、やってみな。オメェと俺とどっちが早いか勝負といこうじゃねえか」
「いいや、そんなことはしないね。俺がこうしたのは君と話がしたいからさ」
青年は両手を挙げ、なにも持っていないことを示す。
「予め言っておくけど、俺は殺し合いには乗ってない。このままあんたが武器を収めてくれれば俺は爆弾のスイッチを切るけど、あんたがそれでもやろうっていうならお望み通り早打ち勝負に挑んでやるさ」
「......」
「......」
政は考える。青年の言葉は果たして本当なのだろうか。
この爆弾のスイッチがハッタリの可能性はあるが、問題はそれではなく彼が殺し合いに乗っているかどうか。
もしも乗っているなら爆弾の警告などせずすぐに爆破させてしまえばいい。
この爆弾のスイッチがハッタリの可能性はあるが、問題はそれではなく彼が殺し合いに乗っているかどうか。
もしも乗っているなら爆弾の警告などせずすぐに爆破させてしまえばいい。
「...いいぜ。まずは話を聞かせてもらおうじゃねえか」
なんにせよ、青年が話し合いをしたいというのは本当のようだ。
政はそう判断し、警戒心は保ちつつも、ひとまずは青年の提案に乗ることにした。
政はそう判断し、警戒心は保ちつつも、ひとまずは青年の提案に乗ることにした。
「話がわかるやつでよかったよ。ああ、ちなみに爆弾のスイッチは嘘だから。こういうあんたを落ち着かせる駆け引きに持ち込むのに必要だったんだよ。許してくれ」
「くえねえ野郎だぜ」
「くえねえ野郎だぜ」
☆
散らばった道具を纏め、青年・崎村貴真と政は互いに名乗った後、情報交換に取り掛かっていた。
「藤田修平と何者か、か...あんたもゲームに乗った奴に襲われたんだ」
「あんた『も』ってことはオメーも襲われたんだな」
「ああ。俺はせつ菜ちゃんって子と同行してたんだけどね、突然現れたライムって女の子に襲われたんだ。俺たちがいくら声をかけても、ライムはずっと噛み合わない言葉ばかり叫んでいた。その様子を見て俺たちは思ったのさ。ひょっとして彼女は何者かに洗脳でもされてるんじゃないかって」
「俺は彼女を殺そうと思った。本当に嫌だけど、あのまま放置してるとこっちが危ないからって。けどせつ菜ちゃんは違った。洗脳されてるならどうにか助けてあげたい、声を届けてあげたいって、アイドルらしく意気込んだ」
「俺にはとてもそんな彼女を蔑ろにはできなかった。だから俺が注意を引き付け、せつ菜ちゃんに説得させようとした...今思えば、それこそが俺の最大の失敗だった。本当に後悔してるよ」
「俺は彼女を殺そうと思った。本当に嫌だけど、あのまま放置してるとこっちが危ないからって。けどせつ菜ちゃんは違った。洗脳されてるならどうにか助けてあげたい、声を届けてあげたいって、アイドルらしく意気込んだ」
「俺にはとてもそんな彼女を蔑ろにはできなかった。だから俺が注意を引き付け、せつ菜ちゃんに説得させようとした...今思えば、それこそが俺の最大の失敗だった。本当に後悔してるよ」
貴真は悲し気に目を伏せながら言葉を紡ぐ。
「作戦は上手くいったさ。せつ菜ちゃんはライムに向き合うことができた。けど、それこそがライムの狙いだったんだ。
彼女は正気を失ったフリをして付け入る隙を見せて、せつ菜ちゃんを殺したのさ。ずっと正気に戻るよう呼び掛けていた彼女を嗤うように腹を割いて、首を落としたんだ」
「俺は自分の過ちを思い知らされたよ。心を鬼にしてライムを殺しておくべきだったって。同時に、この脅威をほかの参加者に教えてやらないとって」
彼女は正気を失ったフリをして付け入る隙を見せて、せつ菜ちゃんを殺したのさ。ずっと正気に戻るよう呼び掛けていた彼女を嗤うように腹を割いて、首を落としたんだ」
「俺は自分の過ちを思い知らされたよ。心を鬼にしてライムを殺しておくべきだったって。同時に、この脅威をほかの参加者に教えてやらないとって」
気落ちし、涙ぐむ貴真に政は言葉を詰まらせる。
政も似たようなものだった。
仲間たちに蹂躙される怪物には手も足も出せず、その怪物を斃した友に仲間たちを皆殺しにされ。
そんな政が、己の無力さを嘆く貴真に投げかけられる言葉などあろうはずもない。
政も似たようなものだった。
仲間たちに蹂躙される怪物には手も足も出せず、その怪物を斃した友に仲間たちを皆殺しにされ。
そんな政が、己の無力さを嘆く貴真に投げかけられる言葉などあろうはずもない。
「っと...悪いね。俺の身の上話はこんなところさ。あんたはどうなんだい?」
「...ああ」
「...ああ」
政は語る。殺し合いが始まって間もなく知己たちと合流したこと。その直後に超ド級の不細工な怪物が現れ苦戦を強いられたこと。
その怪物を斃した友、不動明が仲間を皆殺しにしたこと。放送の後に修平ともう一人謎の襲撃者に襲われたことを。
その怪物を斃した友、不動明が仲間を皆殺しにしたこと。放送の後に修平ともう一人謎の襲撃者に襲われたことを。
「デビルマン、か。悪いけど俺は知らないね」
「おめェもか。まあ、こいつは平行世界だかなんだかで、悪魔を知らないやつらがいてもおかしくねえって話だ」
「なんだかSFチックな話だね。...ま、こんな場所に連れてこられてる時点で大概だけどさ」
「それはおいておいて、だ。俺を襲った修平は『藤堂悠奈』って女を探してると聞いた。ソイツも警戒しておいた方がいいかもしれねぇ」
「藤堂悠奈...!」
「おめェもか。まあ、こいつは平行世界だかなんだかで、悪魔を知らないやつらがいてもおかしくねえって話だ」
「なんだかSFチックな話だね。...ま、こんな場所に連れてこられてる時点で大概だけどさ」
「それはおいておいて、だ。俺を襲った修平は『藤堂悠奈』って女を探してると聞いた。ソイツも警戒しておいた方がいいかもしれねぇ」
「藤堂悠奈...!」
悠奈の名前を聞いた貴真の目が見開かれ、政は疑問符を浮かべる。
「政くん。藤堂悠奈というのが俺の知る彼女であればやはり警戒した方がいい。彼女は甘言を用いてどんな手段を使っても優勝を狙うだろうからね」
「知り合いなのか?」
「...あまり言いたくないけど、俺はここに来る以前も殺し合いに巻き込まれていたんだ」
「知り合いなのか?」
「...あまり言いたくないけど、俺はここに来る以前も殺し合いに巻き込まれていたんだ」
貴真は語る。ここに連れてこられる前の殺し合い『シークレットゲーム』について。
「俺の巻き込まれた殺し合いはここほど無法じゃなくて、参加者に支給されたPDAのお題を完遂することで生還できるってゲームだったんだ。
つまり、無理に殺し合わなくてもお題さえ達成すればそれでいいってこと。だから俺は説明会に集まった五人で組んでお題の完遂を狙った。
だが、どこかで誰かが死んでお題はセカンドステージ、つまりより困難なものに変わってしまった。
そこからはもうぐちゃぐちゃさ。英吾のおっさんが引き金を引いて、みんな散り散りになって、おっさんもソフィアちゃんもいつの間にか死んでしまった。
他の参加者もいなくなって、気が付けば残されたのは俺と悠奈ちゃんと彰くんだけ。で、組んでた二人にあっけなくやられて俺も脱落さ」
「...なるほどな」
つまり、無理に殺し合わなくてもお題さえ達成すればそれでいいってこと。だから俺は説明会に集まった五人で組んでお題の完遂を狙った。
だが、どこかで誰かが死んでお題はセカンドステージ、つまりより困難なものに変わってしまった。
そこからはもうぐちゃぐちゃさ。英吾のおっさんが引き金を引いて、みんな散り散りになって、おっさんもソフィアちゃんもいつの間にか死んでしまった。
他の参加者もいなくなって、気が付けば残されたのは俺と悠奈ちゃんと彰くんだけ。で、組んでた二人にあっけなくやられて俺も脱落さ」
「...なるほどな」
チームを組ませることをさりげなく推奨しておき、後で仲間割れが起きやすいお題に変更する。
そんな人間の悪意の醜悪さを感じさせるゲームに、政は唾を吐きかけたくなる衝動に駆られた。
そんな人間の悪意の醜悪さを感じさせるゲームに、政は唾を吐きかけたくなる衝動に駆られた。
「警戒すべきはライムに悠奈と彰、か...ありがとよ。代わりと言っちゃなんだが、俺も忠告しておいてやる。デビルマンには手を出すな。オメェら人間じゃあ絶対に敵わねえ」
「見つけたら速効で逃げろってことかな」
「そういうこった。そう易々とデビルマンから逃げられるとも思えねえがな」
「見つけたら速効で逃げろってことかな」
「そういうこった。そう易々とデビルマンから逃げられるとも思えねえがな」
そう会話を切り上げ、政がこの場を発とうとしたその時だった。
「――――――!!」
なにかが叫び声と共にゴウッ、とすさまじい勢いで二人の頭上を通り過ぎて行った。
「なっ、なんだ!?」
政は余波で生じた風に飛ばされそうになった学帽を慌てて抑え、飛んで行ったモノへの方角へと目を向ける。
「オイ貴真、今の見えたか?」
「いや、一瞬すぎてわからなかった」
「いや、一瞬すぎてわからなかった」
あの速度で動ける存在を政はそうは知らない。
まさか明が―――!!
そう考えた政はすぐに走りだし、貴真もまた後に続いた。
まさか明が―――!!
そう考えた政はすぐに走りだし、貴真もまた後に続いた。
☆
「グ、うううう!」
巨大化したマサオに投げ飛ばされた日ノ元明はグルグルと回転しながら空を飛ぶ。
既に平衡感覚感覚は狂い、あまりの圧力に身体も自在には動かせずにいる。
これが飛行能力を使えるドミノや善であればやりようはあっただろう。
しかし、明にソレはない。
故に勢いが落ちるまではなにもできない。
既に平衡感覚感覚は狂い、あまりの圧力に身体も自在には動かせずにいる。
これが飛行能力を使えるドミノや善であればやりようはあっただろう。
しかし、明にソレはない。
故に勢いが落ちるまではなにもできない。
どれほど飛ばされただろうか。
速度も回転の勢いも弱まったところで、明はようやく身体に自由が利くようになる。
だがそれはすぐに地面へ落下してしまう証左でもある。
恐らく、このままなにもしなければ多大なダメージを負うことは間違いない。
だがそれはすぐに地面へ落下してしまう証左でもある。
恐らく、このままなにもしなければ多大なダメージを負うことは間違いない。
(この状態ではまともな受け身は取れん。然らば!)
明の能力である装甲の変形を利用し、長い棍棒を作り出し全力で振り下ろす。
強い衝撃の反動を与えることで速度と回転を強制的に緩めたのだ。
その代償として、明の身体は空に投げ出されてしまう。
明は瞬時に棒を戻し、背中から羽のように枝分かれさせる。
これで地面を叩くことで、ダメージは避けられないものの、まだ軽減は出来るのだ。
強い衝撃の反動を与えることで速度と回転を強制的に緩めたのだ。
その代償として、明の身体は空に投げ出されてしまう。
明は瞬時に棒を戻し、背中から羽のように枝分かれさせる。
これで地面を叩くことで、ダメージは避けられないものの、まだ軽減は出来るのだ。
ズン、と大きな音と共に明の身体がついに着地する。
(成功だが...クッ)
殺しきれなかった衝撃は明の内臓にまで響き、しばしの呼吸困難に陥らせる。
「げひゅっ、ケヒュッ...!」
胸を叩き、掠れる息をどうにかして整えた明は着地の際にできたクレーターに背を預け天を仰ぐ。
(...しんのすけ)
思考が落ち着くにつれ、真っ先に過ったのはあの少年、しんのすけのことだった。
『お姉さんは、納豆にネギ入れるタイプ〜?』
邂逅の初手からナンパしてくるという奇妙な遭遇ではあった。
しかし、この異常事態にも関わらず、己を見失わず持ち前の明るさで場を和ませてくれ、錯乱し殺し合いを肯定しかけた友達に対しても忌避感を抱かず接することのできる懐の深い少年だった。
しかし、この異常事態にも関わらず、己を見失わず持ち前の明るさで場を和ませてくれ、錯乱し殺し合いを肯定しかけた友達に対しても忌避感を抱かず接することのできる懐の深い少年だった。
けれど。
『何って……しんちゃんを斬ろうとしたのさ』
彼の友達は、佐藤マサオはしんのすけを裏切った。
事情はわからないが、マサオは溜め込んだ膿を吐き出すようにしんのすけへの毒を吐いていた。
積み重なった嫉妬や嫌悪のようにも聞こえた。
事情はわからないが、マサオは溜め込んだ膿を吐き出すようにしんのすけへの毒を吐いていた。
積み重なった嫉妬や嫌悪のようにも聞こえた。
それをぶつけられたしんのすけはいまどんな気持ちでいるのだろうか。
(そうだ...私はこんなところで休んでいる暇などない!)
あの巨大化したマサオはあのままではしんのすけはもちろん、アリサや芳桂も殺してしまうだろう。
そんなことがあってはならない。
己の不覚で狂気を発してしまったマサオはこの手で止めねばならない。
痛む身体に鞭を打ち、明は手を地面に着き立ち上がろうとする。
そんなことがあってはならない。
己の不覚で狂気を発してしまったマサオはこの手で止めねばならない。
痛む身体に鞭を打ち、明は手を地面に着き立ち上がろうとする。
「チッ、不動じゃねえか...おいオメェ!そこから動くな!」
突如投げかけられた声に明は目を向ける。
そこに立っていたのはボロボロの学帽を被った如何にもな不良と、軽薄そうな青年だった。
そこに立っていたのはボロボロの学帽を被った如何にもな不良と、軽薄そうな青年だった。
「...なんだ貴様らは」
「おっと。警戒しないでよ。俺たちは殺し合いに乗ってるわけじゃない。政くんも、そんなに食い気味だと勘違いされちゃうだろ?」
「...チッ」
「俺は崎村貴真。こっちは木刀政。きみになにが起きたかを聞かせてもらいたいんだけどいいかな」
「っ...すまないが先を急ぐ身だ。手短に済まさせてもらうぞ」
「おっと。警戒しないでよ。俺たちは殺し合いに乗ってるわけじゃない。政くんも、そんなに食い気味だと勘違いされちゃうだろ?」
「...チッ」
「俺は崎村貴真。こっちは木刀政。きみになにが起きたかを聞かせてもらいたいんだけどいいかな」
「っ...すまないが先を急ぐ身だ。手短に済まさせてもらうぞ」
本音を言えば二人を無視してマサオの元へ向かいたいところだが、しかし、殺し合いに反するというならばこの二人も守らねばならぬ民だ。
マサオや針目やアーナス、倒すべき父・士郎の危険度を伝えずして見捨てる訳にはいかない。
マサオや針目やアーナス、倒すべき父・士郎の危険度を伝えずして見捨てる訳にはいかない。
明は大雑把に語る。
ここに連れてこられてほどなくして針目とアーナスというゲーム肯定者と戦ったこと。
その後にマサオに襲撃され、逃走した彼を追った果てにしんのすけ達ゲーム否定者達と遭遇できたこと。
大人しくなったと思っていたマサオが巨大化し、しんのすけたちを裏切り、自分も投げ飛ばされたこと。
そして、この催しには危険にすぎる日ノ元士郎も連れてこられていること。
ここに連れてこられてほどなくして針目とアーナスというゲーム肯定者と戦ったこと。
その後にマサオに襲撃され、逃走した彼を追った果てにしんのすけ達ゲーム否定者達と遭遇できたこと。
大人しくなったと思っていたマサオが巨大化し、しんのすけたちを裏切り、自分も投げ飛ばされたこと。
そして、この催しには危険にすぎる日ノ元士郎も連れてこられていること。
「私が伝えるべきことは伝えた。もしも奴らと出会ったらすぐに逃げてくれ。私はしんのすけたちの元へと戻らせてもらう」
「その前に一つだけ聞かせてくれ」
「その前に一つだけ聞かせてくれ」
すぐにでも駆けだそうとした明の足を貴真が呼び止める。
「もしも俺がマサオくんを殺したらどうするんだい?」
「なに?」
「ハッキリ言わせてもらうけど、俺は自分にかかる火の粉は振り払うつもりでいる。殺されるくらいなら容赦はできない」
「しかし、彼はしんのすけの友達で...」
「俺だって彼を悪党だなんて呼ばないさ。悪いのは主催だからね。けど、彼は裏切って、結局は殺し合いに乗ったんだろう?そんな彼を殺す俺は悪党かい?」
「オイ、貴真」
「政くん。これは俺たちにとっても大事な話だ。君だってその子に不動くんとのことを邪魔されるのはご免だろう?」
「...まあ、な」
「だが彼は子供だぞ!まだ説得の余地はあるはずだ」
「じゃあまたマサオくんが殺しに来たらどうするんだい?」
「なに?」
「ハッキリ言わせてもらうけど、俺は自分にかかる火の粉は振り払うつもりでいる。殺されるくらいなら容赦はできない」
「しかし、彼はしんのすけの友達で...」
「俺だって彼を悪党だなんて呼ばないさ。悪いのは主催だからね。けど、彼は裏切って、結局は殺し合いに乗ったんだろう?そんな彼を殺す俺は悪党かい?」
「オイ、貴真」
「政くん。これは俺たちにとっても大事な話だ。君だってその子に不動くんとのことを邪魔されるのはご免だろう?」
「...まあ、な」
「だが彼は子供だぞ!まだ説得の余地はあるはずだ」
「じゃあまたマサオくんが殺しに来たらどうするんだい?」
怒りを出そうとする明に、貴真はズイ、と顔を寄せて語り掛ける。
「きみが出向いて再び彼を取り押さえたとしよう。だが、友達すら裏切った彼が大人しくよく知りもしない君の言うことを素直に受け入れると?
それに、子供だからという言い訳をほかの参加者にも強制させるかい?俺はごめんだね。情けをかけたせいで仲間を一人失ってしまったばかりだから猶更ね」
「ッ...!」
「なあ明ちゃん。きみが彼を殺すつもりがないというのは正しいことだと思う。けれど、それだけじゃ救えない人もいるんだよ。
それを知りながら目を背けるというなら、きみも間接的な殺人者になってしまうんじゃないかな?」
「ちっ、違う。私はそんなつもりじゃ...」
「...すまない。ちょっと言い過ぎた。けど忘れないでくれ。死にたくないと思っているのは誰だって同じだってことを...引き留めて悪かったね。健闘を祈るよ」
「......」
それに、子供だからという言い訳をほかの参加者にも強制させるかい?俺はごめんだね。情けをかけたせいで仲間を一人失ってしまったばかりだから猶更ね」
「ッ...!」
「なあ明ちゃん。きみが彼を殺すつもりがないというのは正しいことだと思う。けれど、それだけじゃ救えない人もいるんだよ。
それを知りながら目を背けるというなら、きみも間接的な殺人者になってしまうんじゃないかな?」
「ちっ、違う。私はそんなつもりじゃ...」
「...すまない。ちょっと言い過ぎた。けど忘れないでくれ。死にたくないと思っているのは誰だって同じだってことを...引き留めて悪かったね。健闘を祈るよ」
「......」
貴真の労いの言葉を背に、明は再び走りだす。
(本当にこれが正しき選択なのか?)
マサオとの戦いでは明は完全に優勢に立っていた。
殺すことを視野に入れていれば勝利は問題なく収められただろう。
けれど、明の躊躇いがその選択肢を無くし、こうして取り返しのつかないことに繋がってしまう。
殺すことを視野に入れていれば勝利は問題なく収められただろう。
けれど、明の躊躇いがその選択肢を無くし、こうして取り返しのつかないことに繋がってしまう。
(だが、それではしんのすけが...!)
例え殺し合いに乗った者だとしても、友人を殺されればしんのすけの精神に多大な傷跡を残してしまう。
マサオだけではない。この殺し合いにおいて彼のように正気を失いゲームを肯定してしまう者はいるだろう。
そういった者まで殺すのが公人としてあるべき姿か?
己に反する者を全て殺す―――それは、日ノ元士郎と同じ歪んだ道ではないのか?
マサオだけではない。この殺し合いにおいて彼のように正気を失いゲームを肯定してしまう者はいるだろう。
そういった者まで殺すのが公人としてあるべき姿か?
己に反する者を全て殺す―――それは、日ノ元士郎と同じ歪んだ道ではないのか?
だが、殺さなかったことで再びマサオが牙を剥いたらどうする。己の矜持の為に他者への被害をよしとするか?
自分がどうするべきか、未だ答えは出ていない。
再び戦場へと戻りながら明は苦悩する。
再び戦場へと戻りながら明は苦悩する。
【D-4/一日目/早朝】
【日ノ元明@血と灰の女王】
[状態]:吸血鬼状態、疲労(中)、全身にダメージ(中)、苦悩
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0〜3
[状態・思考]
基本方針:公人として殺し合いに乗るつもりはない。主催を打倒する。
0:マサオたちのもとに戻る。その後は...?
1:日ノ元士郎を斃す。
2:もしも貴真の言う通りに、命の選択をすべき時が来たら...?
3:針目縫とアーナスを警戒
4:善、ドミノとの合流。
※燦然党との決戦前からの参戦となります。
[状態]:吸血鬼状態、疲労(中)、全身にダメージ(中)、苦悩
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0〜3
[状態・思考]
基本方針:公人として殺し合いに乗るつもりはない。主催を打倒する。
0:マサオたちのもとに戻る。その後は...?
1:日ノ元士郎を斃す。
2:もしも貴真の言う通りに、命の選択をすべき時が来たら...?
3:針目縫とアーナスを警戒
4:善、ドミノとの合流。
※燦然党との決戦前からの参戦となります。
(あぁ...やはりイイ)
遠ざかっていく明の背中を見つめながら、貴真は己が昂っていくのを自覚する。
(明ちゃんのあの苦悩する表情。あれこそまさに『理不尽』だ)
此処は強制された殺し合いの場だ。誰しもに他者を殺害する権利がありそれを行使しない権利もある。
だが殺さないというのは殺すよりも難しい。
なぜなら相手の意思は自分の意思と同一ではなく、相手にもまた殺す権利がることには変わりないのだから。
だが殺さないというのは殺すよりも難しい。
なぜなら相手の意思は自分の意思と同一ではなく、相手にもまた殺す権利がることには変わりないのだから。
(俺の提示した選択肢は、彼女のマサオくん殺さないという意思をほかの参加者から見て『理不尽』なものに変貌させた。果たして彼女がこの先どう転ぶか見ものだね)
この舞台において明はマサオを殺しうる力を持っている。
彼女一人だけであればマサオを制圧するだけで終わる話だろう。
しかし、他者の目を意識させることで、明には苦悩が生じた。
マサオを殺さない明は己の矜持の為にほかの参加者を見捨てる悪党に見えるだろう。
マサオを知るしんのすけから見れば明は友達を殺した悪魔に見えるだろう。
そもそも、命を選別すること自体が公人として相応しくないと思うかもしれない。
実際に他の参加者がどう思うかはその事態が起きてみないことにはわからない。
それよりも大切なのは、明自身が命の選別に対してどう思うかなのだ。
彼女一人だけであればマサオを制圧するだけで終わる話だろう。
しかし、他者の目を意識させることで、明には苦悩が生じた。
マサオを殺さない明は己の矜持の為にほかの参加者を見捨てる悪党に見えるだろう。
マサオを知るしんのすけから見れば明は友達を殺した悪魔に見えるだろう。
そもそも、命を選別すること自体が公人として相応しくないと思うかもしれない。
実際に他の参加者がどう思うかはその事態が起きてみないことにはわからない。
それよりも大切なのは、明自身が命の選別に対してどう思うかなのだ。
「貴真、オメェさんはこれからどうするんだ?」
「そうだな...」
「そうだな...」
貴真は顎に手をやり考え込む。
このまま明を追って彼女を見届けるのもいいが、政に仕込んだ悠奈という疑心の種も気になる。
彼女は恐らく殺し合いに反する行動をしているだろう。
もしも政を一人で行動させて悠奈と遭遇した時に、果たして彼は悠奈への警戒心を維持できるだろうか。
もし絆されてしまうようでは困る。それでは殺し合いに乗らない者同士が殺し合わなければいけないという悠奈への『理不尽』が薄れてしまう。
だが貴真の身体は一つだけ。向かえるのはどちらか片方だけだ。
彼女は恐らく殺し合いに反する行動をしているだろう。
もしも政を一人で行動させて悠奈と遭遇した時に、果たして彼は悠奈への警戒心を維持できるだろうか。
もし絆されてしまうようでは困る。それでは殺し合いに乗らない者同士が殺し合わなければいけないという悠奈への『理不尽』が薄れてしまう。
だが貴真の身体は一つだけ。向かえるのはどちらか片方だけだ。
(さて。俺はどっちを選ぶべきかな)
【D-4/一日目/早朝】
【木刀政@デビルマン(漫画版)】
[状態]左腕に矢傷、疲労(小)
[装備]妖刀『星砕き』@銀魂
[道具]基本支給品、ドス六のドス@デビルマン(ドス六の支給品)、チェーン万次郎のチェーン@デビルマン(万次郎の支給品)、ランダム支給品0〜1
[行動方針]
基本方針:不動を止める。
0:不動に一発お見舞いして目を覚まさせる。
1:修平と見知らぬ襲撃者・藤堂悠奈・彰・来夢・佐藤マサオ・針目・アーナス・日ノ元士郎に警戒する。
2:とりあえず北に向かうか
[状態]左腕に矢傷、疲労(小)
[装備]妖刀『星砕き』@銀魂
[道具]基本支給品、ドス六のドス@デビルマン(ドス六の支給品)、チェーン万次郎のチェーン@デビルマン(万次郎の支給品)、ランダム支給品0〜1
[行動方針]
基本方針:不動を止める。
0:不動に一発お見舞いして目を覚まさせる。
1:修平と見知らぬ襲撃者・藤堂悠奈・彰・来夢・佐藤マサオ・針目・アーナス・日ノ元士郎に警戒する。
2:とりあえず北に向かうか
【崎村貴真@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康
[装備]: チーターローション残り9/10@ドラえもん コルトポケットもどき@クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝 まほうの玉×9@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島
[道具]:基本支給品一式、優木せつ菜のランダム支給品0〜2
[思考]
基本方針 : この殺し合いにおける『理不尽』を楽しむ
1:明と政、どちらについていくかを決める。
2:参加者に『理不尽』を振り撒く
3:来夢ちゃん・せつ菜ちゃんの関係者に出会ったら、この顛末を上手く利用して、『理不尽』を振りまく
※Zルート死亡後からの参戦となります
[状態]:健康
[装備]: チーターローション残り9/10@ドラえもん コルトポケットもどき@クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝 まほうの玉×9@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島
[道具]:基本支給品一式、優木せつ菜のランダム支給品0〜2
[思考]
基本方針 : この殺し合いにおける『理不尽』を楽しむ
1:明と政、どちらについていくかを決める。
2:参加者に『理不尽』を振り撒く
3:来夢ちゃん・せつ菜ちゃんの関係者に出会ったら、この顛末を上手く利用して、『理不尽』を振りまく
※Zルート死亡後からの参戦となります
| 043:LiarMask | 投下順 | 045:リビングデッドの呼び声 |
| 042:嵐を呼ぶ辺獄平安大合戦 序 | 日ノ元明 | |
| 012:白と黒、選ぶべきは黒 | 木刀政 | 060:運命のリベリオンズメモリ |
| 025:大好きを叫ぶ | 崎村貴真 |