白と黒の黙示録(夜明けの鐘) ◆7pf62HiyTE
無名 Does not give his name.
森の中を2人の男が進む――
片方は刀を、もう片方はパンティストッキング、通称パンストを持った――
名簿上の名は、刀を持った方は志葉丈瑠、パンストを持った方はパンスト太郎――
だが彼等はその名を名乗るつもりは無い――
パンスト太郎にとってその名はあまりにも巫山戯たとしか言い様の無い名でしかないが掟故に変える事が叶わない――
それ故に、それを変える事こそが彼の行動指針となっている――(それならばパンストを持ち歩くなと言いたい方も多いだろうが、そこは敢えて触れないで欲しい)
読者諸兄にしてみれば他の人の行動指針と比べあまりにも巫山戯ている、馬鹿げている、下らない、冗談は所持しているパンストだけにしろ、真面目な行動方針を持った者に失礼とお思いの方も多いだろう。
だが、果たして本当にそうだろうか?
もし、貴方が清く正しきうら若き女性だったとしよう。仮に貴方が危機に瀕した時、運良く通りかかった良い人に助けられたとしよう。だがその者の名前がパンスト太郎と名乗ったら――
あまりにも破廉恥きわまりない名前、それ故に幻滅する可能性が大いにあると言えよう。そんな事は無い? 果たして絶対にそれが言い切れるのであろうか? 余程の聖人でない限り、大なり小なり衝撃を受けると考えて良い。
同時に名乗る側としても、そういう名前を自分から口に出す事など容易ではない。
パンスト太郎はその経験を幾度となくしてきたのだ、周囲から見れば下らぬ理由かも知れない。だが彼にとっては死活問題なのだ。故に、名を変える事こそが彼にとっての最優先事項なのだ――
この殺し合いを制し、主催側の技術を使い唯一名前を変える事を許された奴、無差別格闘流創始者八宝斎に――
「(――必ずじじぃに名前を変えさせてやる――今度こそかっこいい太郎にな――)」
念の為に言っておこう、本人にとってはそれが望みなのだ。その結果がどうなるかともかく、本人の望みである以上現状これ以上とやかく言う必要は無い。
一方の丈瑠――彼にとって志葉は自身の本当の名(この場では姓とでも言う方が正確だろうが)ではない。
丈瑠は志葉家の本当の殿あるいは姫が表舞台に現れるまでの影武者でしかなく、姫が現れた時点でその役目は終わり残ったのは只の抜け殻でしかない。
名簿上では『志葉』とはなっているが最早その名を名乗る事など本来であれば許されない事であろう。
丈瑠は幼少の頃より志葉家の殿の役割を演じ続けてきた、真実を知る僅かな者を除き誰にも――同じシンケンジャーの家臣達にもそれを悟られる事は無かった。
その時が来るまで丈瑠は紛う事無き『殿』以外の何者でもなかった――影であろうとも気付かれなければ本物と何も遜色の無い――
故に――それが無くなるという事は全てを失うという事と同義なのだ。
丈瑠の中に唯一残っているのは影を演じる中で鍛え続けられた剣の腕だけ――それだけこそが丈瑠の存在意義なのだ。
それを証明すべく丈瑠は殺し合いに乗った。一人の剣士として戦い続ける、それすら失えば本当に何も無くなってしまうのだ――
「(そう、俺にはもう剣しかない――)」
それが愚かしい選択なのは丈瑠自身が理解しており、決して平坦な道では無い。だが、このままそこにいるだけの抜け殻になるぐらいならば剣士として散りたいと思う――それが外道であってもだ。
奇しくも両名は手を組む事となり森を進んでいる。
だが明確な目的地があるわけではない、それ故にいつの間にか進行方向が変わっているかも知れないし、あるいは変わっていないかも知れないだろう。
その最中、同盟を結んでから殆ど会話の無かった両名だがついにパンスト太郎の方が口を開く。
「おい、侍野郎」
「……何だ?」
丈瑠自身、最早侍とすら言えないと思っている為そう呼ばれる事にすら抵抗はある。だが事情を知らない者に一々説明する気も無かった故特別言及する事は無い。
「確かオカマ野郎に会ったらしいな。俺の事について何か言っていなかったか?」
今更ながらにパンスト太郎は丈瑠が早乙女乱馬と遭遇した事を思い出し、あのオカマ野郎が自分の事――というより本名について話していたのでは無いかと考え問いかけたのだ。
もし奴が自身の本名を話していたら――最早同盟を続けるわけにはいかないだろう。だが、
「一方的に俺の方が頼み事をしただけで何も聞いていない……だが、オカマ野郎とはどういう事だ? そんな風には……」
パンスト太郎は何時もの調子で乱馬の事をオカマ野郎と呼んだが、その事を知らない丈瑠にとっては疑問符が浮かぶ事項だ。故に逆に問いかける事となったのだ。
そう返され内心でパンスト太郎は迂闊な事を言ったと一瞬考えた。それを説明するには自身や乱馬の特異体質を説明する必要が出てくるからだ。
とはいえ、それを話す事については別段困る事でも無く、手を組んでいる以上、最低限の説明はした方が良いだろうと思い直した。上手く名前の話題にさえ誘導しなければ何の問題も無い――
「ふっ……」
おもむろにデイパックからポットを取り出しそこから一杯の水を――
「なっ……これは……アヤカシ……」
変貌するパンスト太郎の姿を見て丈瑠は驚愕する。そのままパンスト太郎は上空へと舞い上がりしばし周囲を見回す。
「お前もはぐれ外道だとでもいうのか……?」
そう言う丈瑠を余所にパンスト太郎は地上に戻り別のポットから一杯のお湯を被り元の姿に戻る。
「そのアヤカシやはぐれ外道が何かは知らんがこういう身体なんでな」
そう言いながらも自分達が呪泉郷の水を浴びた事で水を被ればその呪泉郷に応じた動物に、お湯を被れば元の姿に戻る特異体質となった事を説明した。
「水を被る事でアヤカシにか……はぐれアヤカシ……いや、半妖とでも言うべきか……」
「半妖……ぐふっ……悪くはないな」
丈瑠は水を被った時だけアヤカシの姿になる事から半分アヤカシ、つまりは半妖と何気なく呼称したがパンスト太郎はどことなくそれを気に入っていた。
「どうせならかっこいいを付けて欲しかったが……(←小声で)」
「? 何か言ったか? だが……」
しかし丈瑠としては異形へと変貌してしまう体質を憐れに思っていた。もしかすると目の前の男が殺し合いに乗ったのはそれが目的なのではと――そんな心中を察したか、
「……誤解するなよ、オカマ野郎達はどうかは知らんが俺は変身後の強い体は気に入っているんだ」
パンスト太郎は丈瑠にそう応えた。
パンスト太郎が呪泉郷を浴びたのは生後間もなく、産湯という形である。つまり物心つく段階からその巫山戯た体質と付き合わされている事になる。
とはいえ、それ自体は全く気にしてはいない。彼自身が語る通り変身後の身体そのものは非常に強く気に入っているからだ。
むしろ重要なのはじじぃ――八宝斎が産湯を浴びせた事で生じた事が問題なのだ。とはいえ、それについてまで話すつもりはない。
「ならば俺がとやかく言うつもりはないが――」
殺し合いに乗っているのは全く別の理由なのか? 丈瑠は気にはなったものの――
「いや、これ以上は聞くまい……お前にとっては何よりも大事な事なんだろう」
これ以上の追求は止めた。パンスト太郎にとって重要な事項なのは確かである事に違いは無いだろうし、現状は組んでいるものの何れは敵味方に分かれて死合う以上そこまで互いの事情に踏み入る必要は無い。
だが、一方的にパンスト太郎の事情だけを聞いた事について思う所はある。共闘している事を踏まえても最低限の説明はしておくべきだろう。
「礼というつもりはないが俺からも少し話しておく」
「何をだ?」
「優勝を目指しているんだろう。なら知っておいた方が良い……」
それは優勝するにしろ脱出するにしろ障害となるであろう強敵――丈瑠がシンケンジャーとして戦っていた連中である外道衆、血祭ドウコク、筋殻アクマロ、そして腑破十臓の存在についてだ。
「何故倒した筈のアクマロがいるのかが気になるがこの際どうでも良いだろう。だが奴等は強敵だ、特にドウコクは俺達が束になってかかっても勝てるかどうかわからない相手だ」
「ぐふっ……そいつは良い事を聞いた」
もっとも、丈瑠にとってはアクマロとドウコクの情報は単純に強敵だから気をつけろ以上の情報はない。むしろ重要なのは――
「それから……十臓には手を出すな。奴とは俺が決着をつける……」
十臓との決着だけは自身の手で着けねばならない。例え他者と組んでこの戦いに望むとはいえどその一点だけは譲るつもりはない。
「そうか……なら、奴がテメェを倒してボロボロになった所に仕掛けるというのは?」
パンスト太郎としては自身が手を出す事無く強敵が倒されるならばそれでも構わない。もし丈瑠が倒されたとしても疲弊した所で仕掛ければ消耗は抑えられる。
「奴との決着が着いた後ならば構わん。奴も外道だからな、卑怯である事を責める事は無い……だが、それでもそう簡単に十臓は倒せるとは思うな……」
「ぐふっ」
そう呟きパンスト太郎は静かに頷いた。それを余所に丈瑠は
「(まだまだ甘いか……)」
丈瑠はかつての家臣である池波流之介、そして幼馴染みであった梅盛源太の事については一切話していなかった。
若干踏み込んだ事情ではあったがシンケンジャーの能力を含めた上で説明すれば有利に進められるのは理解している。
それを語らなかったのは――
『もしかしてあんた、生身の人間に攻撃すんのに抵抗あるんじゃない?』
先の戦いで暁に指摘された通りの自身の甘さだろう。
頭では幾ら理解し割り切っていても心の何処かでは迷い割り切れていないのだろう。
今両名の事について話さなかったのもきっとそれが理由だろう。
こんな事ではこの殺し合いを戦い抜くことは無論の事、十臓からも死合う価値無しと断じられる可能性だってある。
「(わかっている……だからこそ俺は……その迷いを断ち切る為にも……)」
手元には裏正が握られている、その刃先がほんの一瞬煌めいた気がした。
惨劇が続くのを哀しむかの様に――
その最中、
「そういや、さっきあの姿になったついでに周囲の様子も見ておいた」
「誰かいたのか?」
「ああ、侍野郎……さっきお前が戦ったあの2人だ――」
理由 His reason and her wish.
川の音だけが止む事無く耳を突く――そのすぐ側に立つ木を背にし、暁美ほむらは腰を落としていた。
「はぁ……はぁ……」
身体が言うことを利かない――誰にも見られない様に自身の中枢とも言うべきソウルジェムを確認する。
「もうこんなに……」
本来ならば透明であるそれは最早そんな面影など全くないぐらい濁っていた。
ソウルジェム――魂の宝石とも呼べるそれはほむら達魔法少女にとって生命線そのものであり本体でもある。
魔法少女となった時点で本体はソウルジェムとなり、その特性故に肉体が潰されても決して死ぬ事は無いが、逆を言えばソウルジェムを潰されれば終わりという事になる。
同時にソウルジェムは魔法少女にとって力の源、その力を使い切って限界を超えても同じ事である。ソウルジェムの濁り――あるいは穢れはそれを示すバロメーターと言えよう。
それを解消するには魔女を倒す事で確保できるグリーフシードに穢れを移す事、つまりグリーフシードを確保しなければどうにもならないという事だ。
ほむらの身体は度重なる激闘――森で遭遇したン・ダグバ・ゼバに一瞬で身体の表面を焼かれ、応戦する際に燃え盛る森の炎に炙られ、しまいにはダグバの一撃で全身の筋肉と骨はズタズタに砕かれている。
痛覚そのものをカットしている故に激痛で動けないという事は無い。だが傷を負った状態には違いなくその状態で無理矢理身体を動かせばそれだけで傷が広がるのは当然の帰結だ。
無論、魔法少女の力で傷の回復自体は可能だがダグバへの逃走やその直後に交戦した丈瑠への対処に負われ殆ど回復できていない状態である。
それに加え自身の能力とも言うべき時間停止を連続して使用した事もあり加速度的にソウルジェムの穢れは進行していた。
なんとか丈瑠から逃げる事は出来たとはいえ、最早ほむらの身体はまともに動く事が出来ないぐらい消耗しきっていた。
ソウルジェムを限界まで使ってもギリギリ届くかどうか、仮に届いたとしてもその後は殆ど何も出来ないといっても良い。
つまり、一言で言うなれば追い詰められていたという事だ。大至急グリーフシードを確保しなければ本当にどうにもできなくなると言って良いだろう。
「ほむら、本当に大丈夫か? 病院行った方がいいんじゃないか?」
と、涼村暁が何時もの様に軽い調子で話しかける。
「大丈夫よ……少し休めば動ける様になるわ……」
嘘だ――もう少し休めば済むというレベルでは無い。それでも必要以上に暁をアテにするつもりは無かった故にほむらはそう応えた。
「あのな、最初会った時から思ってたけど、どっか無理しすぎなんだよ。もっと気楽ふんわかいこうぜ、ふんわかとさ、ね♪」
「ふんわかと……ってそんな余裕なんてどこにも無いわ」
そんな真意などお構いなしに暁は軽口を叩く。
「そういえば……貴方の力……アレは一体なんなの?」
今更ながらにシャンゼリオンの力が気に掛かり問いかけた。自分達の様にキュウべぇつまりはインキュベーターと契約して力を得たのだろうか?
だが、先の戦いの時、
『俺だって別に好きでやってんじゃないの!』
その言葉から察するにその力は暁自身にとって望まぬ力ではなかったのだろうか?
ちなみに言えば本来ならば暁の事情に踏み込むつもりなど全く無かったが、黙っているだけで辛い状態で今後に不安を感じてしまうのだ。それ故に気を多少でも紛らわせる為に敢えてほむら側から話題を振ったのだ。
「あーシャンゼリオンね。いや、俺もあんまり詳しくは知らないんだけどね」
「知っている所だけで良いわ、キュウべぇかその類と無理矢理契約させられたというわけじゃないの?」
そう問いかけるほむらに対し暁は自分達の世界に存在するダークザイドと呼ばれる人類の天敵の怪物について説明し、
それに対抗する為にS.A.I.D.O.Cが開発した新種のエネルギー、クリスタルパワーを偶然浴びた事でシャンゼリオンに変身する力を得てしまった事を説明した。
「そういえばさっき私の事をダークザイドかどうか聞いていたけどそういう事……魔女みたいなものね……で、そのダークザイドと戦ってと言われたわけね」
「運命に選ばれたとか、地球を救う為とか言われてね」
「何処も似た様なものね……」
「ま、俺はそんなことどうだって良いんだけどね。そういうの勝手にやってちょうだいって、俺としてはさ人生を楽しみたいんだよね。速水の奴には俺の身体は俺のものだけじゃないんだぞって熱い事言われたんだけどね」
「一方的に人の人生を奪っておいて随分と勝手な話ね」
暁の人格については今更語るまでも無いぐらいイライラを感じているが境遇そのものについては同情の余地が多少はあると感じている。
自ら望んで契約したわけでもないのに、一方的に戦えと強要するのはある意味インキュベーター並に質が悪い。その一点だけでいうならば暁と同意である。
「まー本当だったらアイツがシャンゼリオンになるはずだったらしいけどね」
「つまり本当ならその速水がシャンゼリオンとなる契約をする筈だったと?」
「平和を守る戦士になる為に血の滲む様な訓練がどうとか言ってその気持ち継いでくれって頼まれたけど、そういう暑苦しいの嫌いなんだよね」
「まったくもってその通りね……」
その速水という奴がどんな奴かなんて別に興味は無い。だが暁の話を聞く限り美樹さやかと似た様なタイプの人物だと感じた。
何も知らずに生半可な覚悟で契約して力を得て、そして救いが無いという真実を知り勝手に絶望し朽ち果てる――そういうのが透けて見えた気がした。
恐らく、速水がシャンゼリオンになっても何も救われる事はないだろう。もしかしたら暁がシャンゼリオンになった方がマシといえるぐらいに――
「あ、ほむらもそう思う? 俺達ってどっか気が合うと思わない」
「それだけは絶対にないわ」
この男と気が合うなんて事は絶対に思わないし認めたくは無い。
こんな何も考え無しに自分の享楽と欲望のままに生きる奴と気が合うなんて身の毛がよだつ想いだ。
自分の為に――という意味では佐倉杏子を連想するが彼女だってそこまで酷くはない。
というより彼女にしても様々な経験があってそういう考えに至ったであろう(むしろ本心はそうではないだろう)、それ故彼女と一緒にするのは彼女に対する侮辱以外の何者でもない。
「待てよ……もしかしてほむらのその力ってそのキュウべぇって奴と契約したからなのか?」
「……!」
と、暁が話題を切り返しほむら自身について問い始める。
「全く何処にでも勝手な事言う奴はいるんだなー。でもその力があれば好き勝手出来るから超ラッキー♪ って思わない?」
「そんな事思った事なんて一度も無いわ……こんな呪われた魔法少女の力……」
魔法少女の力があるからこそ『彼女』が苦しむ事となり、それを救う為にずっと苦労してきたというのに――理解を求めるつもりはないが苛立ちは募る――
「おいおい、ちょっと待てって。呪われた力って望んで契約したんじゃないのかよ?」
「騙されたのよ……人間の価値観が通用しないあの悪魔……キュウべぇ……インキュベーターに……」
「つまりこういう事か、そのキュウべぇだかインキュベーターだが知らないがほむら達を騙して一方的に魔法少女の力を与えて何かをやろうって事か」
「ええ、信じられないっていうならそれでも構わないわ」
「別に信じないってわけじゃないって。まぁ銀行から返せない程の金を借りたと思って踏み倒してしまえばいいじゃないの」
暁にしてみれば、返せない程の借金の契約をして苦しんでいる程度のレベルしか感じなかった。
だがそれがほむらの逆鱗に触れていた。
「そんなどうでも良い借金なんかと一緒にしないで! 何も知らないあの子が騙されて苦しんでいるのを救う為にどれだけ……それを踏み倒せば良い借金と一緒にしないで!!」
勿論、自身が馬鹿を見ただけならば暁の言い分もわからないわけではない。だが、ほむらがここまで戦ってきたのは自分の為では無く『彼女』の為なのだ。
何もしなければ『彼女』が苦しむ事となり、救おうとしても未だに救えずにいる。そして今もなお苦しんでいると言うのに――
「貴方は人の痛みなんてわかりはしない……自分の事しか考えてない脳天気な馬鹿……」
「なっ……」
激昂したほむらのその言葉は――
「貴方は誰も愛せないし誰からも愛されない……そういう愚かな半端者でしかないわ……そんな貴方が偉そうに私達の事に口を出さないでくれる……」
少し前に暁が速水克彦に言われた言葉に似ていた。それに多少なり思う所はあったのだろうか――
「……ほむらが魔法少女になったのってその子の為なのか? もしかして捜しているのは……」
「……!」
「あのさ、あの時も言ったけど人捜しだったら俺が協力するって」
「必要ないわ……」
「さっきはともかくそんなまともに動けない状態で捜せるわけないだろ。遠慮しないでさ、ね」
無遠慮にほむらの心に踏み込もうとする暁に対しほむらにも限界が来た。
「それ以上口を開いたら撃つわ」
そう言ってディバイドランチャーを向ける。
「ちょ! 俺を今殺したらそれこそまずいだろ!」
「愚か者が相手なら私は手段を選ばない……警告はしたわ……静かにしてくれる……傷に響くわ……」
「わかったわかった……ていうか最初に話題ふったのほむらじゃないか……まったく……」
そう言いながら暁はほむらに視線を向けたまま距離を取る。
「ふぅ……」
暁に会ってからというもの完全にペースが乱されっぱなしだ。暁にはああ応えたがここで暁と事を構える事が愚行以外の何者でもない事はほむら自身が理解している。
それでもこれ以上、自分と『彼女』の事に首を突っ込んで欲しくは無かった――その最中、
『ほむらが魔法少女になったのってその子の為なのか?』
その暁の問いが強く心に響いた――
「そんな遠い昔の事なんてもう――」
襲来 The metal raid returns.
そんな時だった――あの時と同じ様に刀を持った丈瑠が現れたのは――
「あんたは……なんだっけ?」
「し……丈瑠だ……」
丈瑠の様子を見てまた自分達を襲うのかと考えほむらはゆっくりと立ち上がり警戒を強める。
「涼村暁だったな……お前の言うとおりだ。俺は心の何処かで未だに迷っていた……だが……」
そう言いながらガイアメモリを作動させ、
――Metal――
「その迷いを断ち切る為にもお前達を……斬る!!」
放り投げたメモリは丈瑠の体内へと入りその身体を銀色の怪人メタル・ドーパントへと変貌させる。
「ドーパントメタル、参る!!」
時刻的に既に夜明けというタイミングに――戦いの鐘の音が鳴り響く。
「ちょ、ちょっと待てって……燦然!」
暁の方もその言葉と共にシャンバイザーを装着しシャンゼリオンへと燦然する。
「はぁっ!」
「ぐっ!」
裏正による一撃を腕で弾き間合いを取る。
「シャイニングクロー」
そう言いながら胸部の円盤へとその手をかざし右腕に爪を装着する。
「はぁっ!」
シャンゼリオンがその爪をメタル・ドーパントへと振り下ろす。
しかしメタル・ドーパントは左手に握られたかぎ爪でそれを難なく受け止める。
「なっ……刀以外にも武器があったの?」
そう言いながらシャンゼリオンが動揺する。
そう思うのも無理は無い。先の戦いの時、丈瑠はメタル・ドーパントの元々の武器であるかぎ爪を一切使っていなかった。
先の戦いで裏正だけを使っていたのは侍としての拘りがあったのだろう。
だが――
「言った筈だ、迷いを断ち切ると――その為ならば――」
手段を選ぶつもりは無かった――それにこれにはもう1つ狙いがある。
「はぁっ!」
自由になっている右手だけで裏正を振るう、その方向にシャンゼリオンがいるというわけではない――が、
「な……」
ディバイドランチャーを向けたまま驚愕しているほむらの姿があった。
僅かに出来た隙を狙いディバイドランチャーを発射したが先の戦いと同様に光線が弾かれたのだ。
やはりこの男相手に生半可な攻撃は通用しない。出し惜しみして勝てる相手ではない。
「おい、俺の事を忘れるなっつーの」
そう言いながら胸部からディスクを出現させ
「ディスク装填」
とシャイニングクローへと装填する。その様子から恐らくは威力を強化するものだと判断し身構えるが。
「はっ!」
メタル・ドーパントの推測に反しクローから出てきたのは光線だった。完全な不意打ち故に直撃を受けてしまいその衝撃で後ろへと後ずさる。
それでもメタル・ドーパントの強靱な肉体故にダメージは殆ど通っていない。
「くっ……」
自身の油断を呪った。それでも幸運にもダメージを殆ど受けなかった。最早油断などない、メタル・ドーパントはそう考えつつ間合いを取る。
「よし、距離さえ取れれば刀は……」
そう言いながら再び胸部に手をかざし
「ガンレーザー」
そう言って光線銃ガンレーザーを出現させ、更に先程同様ディスクを出現させて、
「ディスク装填」
そう言って光線銃を発射する。しかしメタル・ドーパントはかぎ爪を盾代わりにしてそれを弾く。そして再びシャンゼリオンへと向かっていく。
「くっ、このぉっ!」
シャンゼリオンはガンレーザー、そしてシャイニングクローから次々に光線を発射していく。しかしメタル・ドーパントはそれらを全て防いでいく。
時にはかぎ爪を盾にして防ぎ、時には裏正で切り返し、運良く通った光線すらメタル・ドーパントの防御を破る事は出来ず――
「おい、来るなって!」
そうシャンゼリオンが口走るもののメタル・ドーパントは止まらない。そして遂に裏正の射程内に入りその刃がシャンゼリオンへと――
だがシャンゼリオンも只やられるつもりはない。シャイニングクローを構えその一撃を防ぐ――
しかし次の瞬間、かぎ爪による突きがシャンゼリオンに命中した。裏正に遠く及ばないがその力は強くシャンゼリオンは後方へと飛ばされ木へと叩き付けられる。
「がはっ……」
その衝撃からシャンゼリオンは動けない――その隙を見逃す事無くメタル・ドーパントが迫る。
だが、この場にはもう1人ほむらがいる。ほむらはシャンゼリオンにトドメを刺そうとするメタル・ドーパントに狙いを定めディバイドランチャーを――
しかし、メタル・ドーパントがそれを読んでいないわけがない。すぐさま向き直り放たれた光線を弾き飛ばす。
そしてそのままシャンゼリオンへと裏正を――
「うわー!」
シャンゼリオンが気の抜けた叫び声を上げる。
その直後衝撃音が走る――
悪魔 Devil of pantyhose.
だが、シャンゼリオンには何の変化も見られない。
「なんだ……」
メタル・ドーパントが仕掛けようとするその直前、何者かがメタル・ドーパントを横から殴り飛ばしたのだ。
「なっ……あれは……」
ほむらが驚きからその声を上げる――
「おい……なんだコイツは……」
体勢を整えようとするシャンゼリオンの方も現れた『それ』をみて驚愕する――
『それ』は紛う事なき異形と言えよう――
「魔女……」
「新手のダークザイド……」
双方が知りうる異形の類いとしか思えない。そう――
牛の頭部に鶴の羽根、鰻の尻尾を持った雪男など異形の怪物としか言い様が無い――
「ぐふぅ」
そう声を上げる怪物に対し警戒を一切解こうとしないほむらに対し、
「誰だか知らないが助かったぜ♪ パンスト男」
シャンゼリオンは脳天気にその怪物が何故か所持しているパンストを見てそう口走ったが、
次の瞬間、怪物の一撃がシャンゼリオンに直撃しシャンゼリオンの身体が宙を舞った
「ちょなんで!? 味方じゃないのかよ!?」
「こんな状況で味方だと考えられる方があり得ないわよ! 大体、そうでなくてもいきなりパンスト男だなんて呼んで逆上しない方がどうかしているわ! 貴方だってパンティ男とかブラジャー男なんて言われて良い気はしないでしょ!?」
「ほむら、俺の事そう見ていたのかよ!?」
馬鹿な発言をするシャンゼリオンに思わずほむらもそう返してしまった。
それを余所にパンストの怪物、パンスト怪物の背後にメタル・ドーパントが迫る。
メタル・ドーパントは全力でかぎ爪による突きを繰り出す――
だが、パンスト怪物はその突きを弾き防ぎ空中へと舞い上がる。
「おい、空が飛べるなんて卑怯だぞ!」
パンスト怪物は三者へと狙いを定めたまま空中を舞い続ける。
「どうやら隙を見せた所を仕掛けるみたいね……」
それを余所にメタル・ドーパントが再びシャンゼリオンへと向かっていく。裏正の斬撃をシャイニングクローで何とか防ぐが、
「なぁあんた、ここは一時休戦して3人であのパンストの怪物を倒さないか?」
そう共闘を持ちかけるが。
「そのつもりはない。奴が向かってきたならば返り討ちにするだけだ」
「さっきやられたのは誰だっつーの」
「二度も遅れを取るつもりは無い……それに、そんな余裕などお前にあるのか?」
メタル・ドーパントの猛攻に対し防ぐ事しか出来ないシャンゼリオン。
一方、ディバイドランチャーを構えたままほむらはどうするかを思案する。
「(状況から考えてあの怪物は隙を見せれば容赦なく仕掛けてくる……だったら)」
ほむらが自らの能力を発動し自分だけの時間へと突入する。
パンスト怪物は自身のディバイドランチャーを警戒している。当然至近距離から直撃を受ければ大きなダメージを受けるのは言うまでも無い。
それ故にリスクの大きいほむら自身に仕掛ける可能性は高いとは言えないだろう。
状況から考えて互いの相手への対処に集中しているシャンゼリオンかメタル・ドーパントに仕掛ける可能性が高いだろう。
故に、この状況では自身は完全にフリー。ならば仕掛けるべき好機は今と言えよう。
もし、シャンゼリオンかメタル・ドーパントのどちらかが倒されたならば一転して自身が狙われる可能性が高まる。
シャンゼリオンが倒された場合は強敵2人を単身で相手にせねばならなくなる。だがこれまでのダメージや消耗を踏まえ切り抜ける事は不可能といえる。
一方、メタル・ドーパントが倒された場合は2人でパンスト怪物に応戦できる。しかしメタル・ドーパント戦で疲弊したシャンゼリオン、そして度重なる激闘で消耗しきっている自身で殆ど万全なパンスト怪物に対応出来るだろうか?
何より、メタル・ドーパントが倒されるというのは状況が自分にとって都合良く動いたという前提の上に成り立ったものでしかない。そんな都合の良い話が起こりうるとは思えない。
そして何より――他の誰かに頼り切る事をほむら自身良しとしてはいない――
だからこそ今というタイミングでパンスト怪物を自身の手で仕留める。それがほむらの選択である。
上空目がけてディバイドランチャーを発射する――確実に仕留める為に狙いを定め、一発、また一発――
何故、奴を仕留めるのか。それは言うまでも無く危険人物を排除し『彼女』の安全を確保する為――
それだけではなく、この殺し合いを脱し元の世界へと戻り『彼女』守る為――
そしてワルプルギスの夜から『彼女』に魔法少女としての契約をさせることなく守り抜く――
もう何度となくそれだけを目的に繰り返し続けてきたのだ、何としてでも――
だが、パンスト怪物は墜ちる事無く時間停止の限界時間を迎えた。
「くっ……」
仕留められなかった原因は3つ、
ディバイドランチャーの威力が抑えられていた事、
パンスト怪物との距離が離れすぎていたが故に思う様に威力が出せなかった事、
そして、パンスト怪物がほむらの想像以上に打たれ強かった事。
とはいえ、これ自体は全く予想していなかったわけではない。パンスト怪物がある程度距離を取っていた事から容易に推測できた事だ。
しかし、次の瞬間にはほむらの眼前にメタル・ドーパントが迫っているのが見えた。
「あ、まさか……」
迂闊だった。先の戦いから何度時間を止めてメタル・ドーパントに仕掛けている? こちらの力がある程度推測される可能性はおおいにあり得る。
それでなくてもパンスト怪物の襲撃を考えるならば周囲への警戒を続けていてもおかしい事は全く無い。
僅かな異変を察知し狙いをこちらに切り替える事など造作も無い事だろう。
「くっ……」
何とか後方へと動きメタル・ドーパントへと距離を取ろうとする。時さえ止める事さえ出来れば至近距離からのディバイドランチャーで仕留めるとまではいかなくてもダメージを与える事は出来る。
だが、メタル・ドーパントもそれを警戒してか身構えながら接近している。防御姿勢さえ取れればある程度はダメージを軽減できるだろう。
「あと少し……」
そう言いながらディバイドランチャーを僅かに動かそうとした。だが、その時、
「ぐっ……」
手に鈍い衝撃が奔った――同時に空中を舞うディバイドランチャー。
メタル・ドーパントはディバイドランチャーによる砲撃を読み、仕掛けられる前に急速に踏み込み限界まで腕を伸ばし裏正の峰でディバイドランチャーをはじき飛ばしたのだ。
そして更に猛攻を――
「まずい……」
焦るほむらは一瞬だけ時間を止めてその攻撃をかわし更に距離を取る。だが、それでもメタル・ドーパントの猛攻は止まらない。
骸骨 Skeleton soldier.
「おい、俺の事を忘れるなって……ってそれにしてもほむらの奴どうしてあの力使わないんだ?」
シャンゼリオンは自身を放置された事に若干憤りながら、ほむらが自身の力を使う事を渋っている事が妙に気に掛かった。
流石に何度となくその力を目の当たりにしている以上、ほむらの力が時間を止める事だという事はシャンゼリオンこと暁にだって概ね推測は着く。
同時にその力があれば好き放題出来る事だって考えつく。(ちなみに、その力を利用すれば暁も簡単に仕留められてしまうだろうが、暁がそんな事に気付く事は無い)
だが、今回の戦いは先の戦いを見てもその力を使う頻度が明らかに減っている様に感じる。いや、先の戦いにしても多用していたわけではなかった。
「まさか……使えないほどに消耗して……まずいんじゃないのこれ?」
もし、消耗しすぎで力が使えないのであれば、彼女は口が悪いだけの只の女の子だ。そんな彼女が無残に惨殺される姿を見る趣味など暁にはない。
「こうなったら……」
と、ガンレーザーを構える。
その時、背後に何者かが迫って来て、
「んー……がばっ!?」
次の瞬間、パンスト怪物の一撃で宙を舞うシャンゼリオンの姿があった。
「だからなんで俺を狙うんだ、あっちの銀ぴか狙えっつーの」
どう考えても隙を作ったシャンゼリオンの方が悪いのだろうが、シャンゼリオンはそんな事など全く考えていない。
一方のパンスト怪物はシャンゼリオンへと猛攻を仕掛ける。流石に猛攻を喰らうつもりは無い為、シャイニングクローを駆使し防いでいく。
「こりゃまずいっ!」
口調こそ軽いもののシャンゼリオンは内心で焦っていた。このままではほむらを助けに向かう事は出来ない。
「どうすりゃいいんだ……待てよ、確か……」
シャンゼリオンはある事を思い出しデイパックからあるものを取り出す。その間にもメタル・ドーパントのかぎ爪による突きがほむらへと迫る。
「ほむら!!」
そう言ってほむらへとあるものを投げつける。それはほむらの腹部へとまっすぐに飛んでいき、腹部に装着された瞬間、ベルトが伸びてほむらの腰へと巻かれ、
――Skull――
それはかぎ爪による突きとほぼ同時だった。
その音声と共に漆黒の粒子が纏わり付く様にほむらへと付着しその姿を変貌させる。
「今のは……」
「ぐふっ」
突然の出来事にメタル・ドーパントそしてパンスト怪物の動きが一瞬止まる。だが次の瞬間、
漆黒の拳がメタル・ドーパントへと直撃した。
「よっし!」
歓喜の声を挙げるシャンゼリオン、眼前に現れたのは漆黒の服に身を包んだ魔法少女――ではなく、
骸骨の顔を持つ黒と銀の戦士――
「ドーパント……いや……まさか……」
「これが私の身体……暁……これは何?」
「感謝しろよ、俺の支給品をほむらに貸してやるんだからな……確かなんとかダーって名前だったよな……あ、スカル、そいつはスカルっていうらしいぜ」
今ほむらが変身したのはスカルと呼ばれる戦士である。
「けど……なんだ……俺のシャンゼリオンに比べて随分と弱そうな……がばっ!」
スカルの姿に違和感を覚えている隙をつかれパンスト怪物の一撃を喰らい、またしてもシャンゼリオンの身体が宙を舞った。
「ぐふっ」
「だからなんで俺ばっかり狙うんだっつーの、少しはあっちの方をこのパンスト野郎」
シャンゼリオンは自ら地雷を踏み抜いている事に気付く事無く、パンスト怪物の猛攻に曝されていく。
一方のメタル・ドーパントはスカルを見て身構える。
「……いや、違うな」
「何の話?」
スカルはメタル・ドーパントの謎の反応が気になり問いかける。
「こっちの話だ、参る!」
意を決したメタル・ドーパントは再び右手に裏正、左手にかぎ爪を構えスカルへと向かっていく。
対するスカルは先程とは一転し上手くかぎ爪及び裏正の連続攻撃をいなしていく。
暁に支給されたスカルのガイアメモリに内包されている記憶はその名の通り『骸骨』の記憶、それが示す通り故に骨格を中心に肉体を強化する力を持つ。
そう、スカルに変身した事でほむらの身体能力は強化されメタル・ドーパントの動きに対応するだけの力を得たのである。
更にスカルは間合いを取りつつ携行武器であるスカルマグナムを連射する。格闘能力が強化されたとはいえ、やはりこちらの方が自身には合っている。そう思うスカルであるが、
だが、メタル・ドーパントは裏正振り回し、時にはかぎ爪を盾代わりにして銃弾の殆どを防ぎつつスカルへの間合いを詰めていく。
「思った通りか……」
何の話をしているのだろうか? 気にはなるものの考えている余裕は無い。スカルはメタル・ドーパントの両腕を掴み攻撃を封じようとする。
「ぐっ……」
その時、スカルの胸部の肋骨が開こうとし紫色の光のエネルギーが飛び出そうと――
「何……」
だが、程なく光は収まった。そして起こった出来事に一瞬躊躇した隙を突きメタル・ドーパントがその拘束を振り払いスカルを投げ飛ばした。
「今のは……」
あの光は何だったのだろうか? そう考えていたが、そんな余裕など与えてくれるわけもなくかぎ爪による突きが迫る。
「ぐっ!」
スカルはなんとかかぎ爪を掴んだ。だが――メタル・ドーパントはそのまま振り回し遠心力に任せてほむらを放り投げた。
そしてその方向にはシャンゼリオンとパンスト怪物がいる。
「わぁぁぁ、なにぃぃぃぃぃ!」
それに驚いたのはパンスト怪物の猛攻を防ぐ事しか出来ないでいるシャンゼリオンだ。だが驚く隙などパンスト怪物が与えるだろうか?
否、断じて否。パンスト怪物はその隙を突きシャンゼリオンを殴り飛ばした――丁度スカルが飛んできた方向に。
するとどうなるであろうか? 答えは簡単だ。
空中で両者は激突する、シンプルな回答だ。
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最終更新:2013年03月14日 23:04