仮面劇のヒーローを告訴しろ ◆gry038wOvE




 涼邑零、結城丈二の二名は志葉屋敷の前まで来ていた。
 周囲には焼け跡と思しき真っ黒な痕跡が残り、ここで何らかの戦いが起きた事を示している。果たして、ここで何者が生き、何者が戦い、何者が死んだのか……それは二人が知る由もない。
 二人は、その周囲の焼け跡のある場所だけをばらばらに探索した。ここで何があったかの手がかりを見つけ出そうとしていたのである。
 多くは戦いの痕跡のみが残り、実際に手がかりが見つかる事などないだろうが、推理可能な状況も存在するだろうし、何か道具が見つかるかもしれない。

「結城さん!」

 そんな途上、零が呼びかける。
 結城が立ち止まって零の方を見ると、零は何も言わずに地面を見下ろした。そこには、偏に死体というにはあまりにもグロテスクな物体が横たわっていた。
 首から下のみが存在する、骨格の良い成人男性である。当然、そこの命の灯はない。
 頭部のみが存在せず、首元は皮膚も衣服も黒焦げである。しかし、触ってみれば熱はない。熱がないどころか、生命活動を完全に停止している証明のように冷たくなっていた。

「……なんと惨い事を」

 結城は、零の方へと歩みながら言った。その死体の猟奇性は、少し離れた場所からでもよくわかったが、やはり調査は欠かしてはならないだろう。
 結城と零はしゃがみこみ、その死体を少し調べて見る事にした。熱がないものの、やはりまだ少し焦げ臭さは残る。
 どうすればこんな姿になるのだろうか。仮にどれだけ残虐な性向の持ち主であれ、首と胴体を分かつような真似はしまい。
 ……この死体の場合は、頭部を焼いたのだろうか? しかし、妙なのは頭部の焼け跡と思しきものが無い事だ。頭を燃やされたならば、その骨や髪が少しは残っていてもおかしくはない。だが、それはまったく残ってはいなかった。
 それに、この死体の体形も非常におかしい。彼の身体は、その時もっとも熱を感じていた頭部を抱えるようにではなく、身体の前に手を翳している。まるで、そこにある何かを掴もうとするようにだ。──結城と零には、何者かによって首を掴まれた人間が、その腕を放そうとした形にも見えた。それが一番しっくりくる。
 普通の人間なら反射的に頭部の火を消そうとして頭に手をかけるだろう。しかし、それはできなかった。
 彼はおそらく誰かに首のあたりを押さえつけられていたのだ。そんな状況下で、敵の腕を掴もうとしたが、その手が敵の腕へ届く前に、彼の頭部は消し飛ばされた。そう考えるのが適当だろうか。
 敵が放ったのも、火というほどチャチなものではないだろう。炎などというものを超越した莫大なエネルギーだったかもしれない。熱を感じるほどの時間さえ与えられず、彼の頭部のみがこの世との縁を絶ったのだ。
 やはり、変身者が起こした殺人と思われる。
 この男も、何かに変身する事ができたのだろうか──? だとすれば、変身する余地すらなく殺されたという事になる。

「……うん? 首輪が、残っている?」

 調査中にあらゆる角度から死体を見ようとして、その死体をどけると、その下には鉄の輪が転がっていた。
 それもまた、少し黒い焦げ跡が残っていたが、手で擦るとそれはただの煤であるとわかった。煤を落とすと、その首輪は沈みゆく太陽の光を反射させ、綺麗な銀色を見せた。どうやら、ここでこの男を殺した人間は、この首輪の存在を見落としていたらしい。
 首輪にはある程度の耐熱・耐衝撃仕様があるようで、傷のようなものはほとんど無かった。爆弾という性質上、爆発を起こした場合は誘爆を起こす可能性もあるが、少なくともこの人物の頭部を襲った一撃は、爆弾を誘爆させるほどではなかったに違いない。爆発ではなく、炎上という形だったのだろうか。それでも充分に危険ではあるが、膨大な刺激や負担が首輪にかかったわけではないようだ。
 とにかく、この首輪がここに落ちているという事は、殺人者の目的はこの首輪ではなかったという事である。
 この首輪を手に入れ、解析する目的すら無い──おそらく、脱出を目的としない者による殺人。首輪を手に入れるのが目的であるにしても恐ろしい行動には違いないが、脱出のカギとなっている首輪を放置してこの場から去ったというのなら、殺人者には一切の人間味を感じられなくなるのだ。
 あるいは、殺人者は首輪についている爆弾を恐れたのかもしれないが、これだけの殺し方をする人間がそんな繊細な神経を持ち合わせているとも思えなかった。
 おそらくだが、この殺人者は人間らしい意思を持っていなかったか、このゲームを純粋に楽しみ、自分が首輪をかけている事さえも愉しんだのだろう。……どちらにせよ、恐ろしい人物には違いないが。
 そして、その人物が首輪をここに置き去りにした事がまた結城と零に脱出の手がかりを与える事になった。

「まさか、首輪がこんなに手に入るなんて……」

 いま彼らの手には二つの首輪がある。
 パンスト太郎の首輪、そして、この男──彼らは知る由もないが、男の名は速水克彦といった──の首輪であった。
 一度の解析に失敗しても、もう一回分のチャンスが残っているという状況になる。これは早々に首輪の解体を行うべきかもしれない。
 結城は今拾った速水の首輪の方を、零の手の上に乗せた。

「……涼邑。これはとりあえず君に預けておこう。今後、何らかの事情で分かれた時に、お前も持っていた方が役に立つだろう」

 零は、何も言わずにそれを受け取る。
 一人で二人分の首輪を持つよりは、その方が効率が良いだろうと彼も考えていたのだ。

「この死体も、埋葬した方がいいな……」

 少し前にパンスト太郎の死体を埋葬したように、結城はその死体を埋葬する事にした。
 やはり手で掘るのは効率が悪そうだ。道具もなしに人一人分の穴を作り出すといえば、どれだけかかる作業かわからない。
 結城はライダーマンのヘルメットを取り出し、「ヤァッ」と声をあげてそれを装着する。
 そして、彼の姿は、仮面ライダー4号ことライダーマンの姿へと変身した。

「……ドリルアーム!!」

 アタッチメントをドリルアームに付け替える。ドリルアームは、轟音を挙げながら回転し、柔らかい地面をすぐに掘り出していった。
 零の顔や身体に土が飛んだが彼は顔色をあまり変えないまま速水克彦の死体を抱えて立っている。
 そして、一分とかからずに地面になかなか大きな穴が開いた。

「……」

 零が、そこに速水の死体を埋めた。
 土をかける作業はすぐに終わる。元の世界だったら、彼は火葬されたのだろうか。……しかし、火で死んだ人間の死体に対して、それはあんまりだろう。ここで土葬してやる事ができたのは、彼に対して唯一できる事なのかもしれない。
 二人は手を合わせ、その場を去っていく。
 志葉屋敷周辺の調査を行ったものの、特にそれ以上は何も発見する事がなかった。そして、調査に見切りをつけた二人は、すぐに門をくぐり、和の風格に満ちた閑静な庭を通り抜け、玄関へと向かった。




 そこは、本来志葉丈瑠が座り、家臣たちを見下ろすべき場所だった。
 常に外道衆に対抗する策が講じられる場所であり、時には伝えたくない事実が伝えられる場所であった。
 しかし、その場所はこの時、場違いな物体によって和の雰囲気を完全に損なっていた。

「どうやら、これがニードルの言ったボーナスらしい」

 志葉丈瑠が座するべき席に、機械の鎧、いや、巨大ロボットとでもいうべき代物が堂々と置いてあったのである。
 結城が少し叩いてみるが動く気配はなかった。

「ああ、ロボットか、あるいはパワードスーツというやつだな」
「結城さんでも判断できないのか?」
「……いくら何でも、外見だけではわからない。これだけ色んな装備や機械で覆われてしまってはどちらだかサッパリだ」

 ソルテッカマン1号機改。彼らは知る由もないが、それはそういう名前の機体であった。
 相羽タカヤや相羽シンヤのいた世界の機械だが、この機体の情報は彼らにはなかった。
 色は緑。やはり、ニードルが放送で言っていた「緑と青の強力な武器」だろう。まさか、こうまで高い技術による代物とは思わなかったが。

(これは、自立移動ができるロボットか? それとも、人が乗るパワードスーツか?)

 やはり、結城は自分が判別できないその物体に少しの疑問を抱いていた。
 以前、タカヤと話した際に、彼の世界には既にオービタルリングなるものが存在する事も語られた。高い技術を持つ世界には、こうしたものが作られていてもおかしくはないだろう。
 実際、仮面ライダーの世界も、だんだんと技術は向上し、悪の組織もとうに自立型ロボットを実装しているくらいだ。
 しかし、流石に外観だけでは区別ができないのである。

「どんな機能がついてるか……とかは?」
「……どうやら、身体の各部に銃火器のようなものがあるらしいな。レーダーのようなものもついているみたいだ。見たところ、可動域も相当に広そうだな……」

 身体中には銃口が除いているし、砲撃用のバズーカのようなものまで装備されている。
 その銃器の定義をひとつひとつ語っていけば、やはり相当に時間をかけるものだろう。
 アンテナがあるところを見るとやはり電波の送受信が可能であるように見えるし、腕には照準器のようなものもある。
 本当に戦うための兵器という感じだ。

「で、この機械の名前は?」
「それもわからない。ニードルも何も言っていなかったからな。機体にも何も書いてなさそうだ」
「……じゃあ、結城さん。これに名前でもつけてみたら?」

 結城は零に問う。
 言われると、結城は少し考えた。

「名前、……名前か」
「そんな深く考えずに、適当に。何て呼べばいいのかわからないし」

 勝手に名づけるのもどうかと思うが、緑の機械というのは呼びにくかった。
 だいたい、ロボットだかパワードスーツだかも曖昧なので、「ロボット」と呼ぶことも「パワードスーツ」と呼ぶこともできないのは辛い。
 結城も、何と呼べばいいのかわからず、とりあえず直感的に出てきた名前を呟いた。何故そんな言葉が出てきたのかはわからないが──

「そうだな……私なら……ザボーガー、とでも名付けようか」

 結城は、その機体にザボーガーと名付ける事にした。
 意味のある言葉でも何でもない。ふと、ロボットと聞いて頭に浮かんだ単語が、その意味のない単音の組み合わせだった。

「ザボーガーか……わかった」

 特に零にも不服はなかった。その名称で大いに構わない。説明書が転送されるまでは、とりあえずこれはザボーガー(仮)だ。
 濁音が付く名前というのは、不思議と心地いい響きを感じる。

「で、ザボーガー(仮)の制限解放は17時かららしい。どうする……?」
「悪い奴らに利用される前に……今のうちにザボーガー(仮)をブッ壊しておこうか?」

 零はザボーガー(仮)に向けて剣を構えた。
 だが、結城はごく冷静にそれを見つめながら言う。

「……いや、俺達もしばらくここで制限が解除されるのを待とう。あと少し待っていればすぐに制限の解禁と説明書が来る。我々が使用する事もできるはずだ」
「でも、必要ないだろ?」
「これの構造にも少し興味があるからな……それに、実際これが心強い存在となるかもしれない」

 もし、これがロボットだったならば、その時は心強い仲間となるかもしれない。
 パワードスーツだったとしても、右腕以外は強化服でしかない結城や、99.9秒しか鎧を装着できない零にとっては使いようのある道具となる。
 それに結城には、この機体に対して科学者としての興味もあった。

「……よし、じゃあ俺もそれに従うよ」
「すまない。……だが、それなら、ただ待つのも退屈だろう」
「ああ、そうだな……」

 零は、その言葉に込められた結城の真意を汲み取ってか、笑顔を見せた。

『首輪をひとつ解体してみるんだろ?』

 それが、結城の振りの真意であった。
 そろそろ、思いきって首輪の解体も実践せねばなるまい。
 首輪をここで一つ失っても、まだもう一つの首輪があるという状況になったのだ。上手くいけば、首輪のシステムについて、ある程度近づけるかもしれない

『……その通りだ。とりあえず、私の持つアタッチメントで解析をする』
『俺は何をすればいい?』
『もしかすれば、オペレーションアームだけでは解体は不可能かもしれない。とりあえず、何か使えそうな道具を捜してくれ』
『わかった』

 そんなに難しい会話ではなく、すぐに会話は終わった。
 周囲には人はいないようだし、しばらくは簡単に話が進みそうなものだ。
 結城は、解体に必要なものがこんなところには無いだろうとは思いつつも、零には何か役目を与えておくことにした。仮にも首輪は爆弾である。どれだけの爆発を起こすかはわからない。
 とにかく、筆談と同時に、表向きの会話みたいなものをしておく。

「……少し、ここでザボーガー(仮)を調べてみよう。アタッチメントを使えば調べられるからな」
「わかった。じゃあ、俺はこの家の中に、他に使えないものがないか探ってくるよ」

 二人は、アイコンタクトを取って、その場でばらばらに行動する。
 同じ志葉屋敷にいるとはいえ、室内には結城だけが残る。

「ヤァッ!」

 再び、結城丈二はライダーマンへとその姿を変じる。

「オペレーションアーム!!」

 すぐに右手のアタッチメントをオペレーションアイテムへと変えると、ライダーマンはその指先を触手のように伸ばしてパンスト太郎の首輪に触れる。
 ゲームが開始した時とほとんど同じだ。
 ドーナツ状の首輪には、一周するように繋ぎ目がある。そこがおそらく、解体の鍵となるだろう。オペレーションアームの先端のメスが、それをなぞるように円を描く。
 その後、本来首に面していたはずの内側の部分の繋ぎ目を一部の狂いもなく綺麗になぞった。
 すると、首輪はおそろしいほど簡単にパカッと半分に分かれた。

(……これはあくまでケースか)

 しかし、半分になっても、その中から首輪の本体となるべき爆弾部分が出てくる。結局、これのケースが半分に分かれただけだ。首についているケースを外したとしても、これが首の回りに残ってしまう。
 本体は、無数のコードやネジが剥き出しになった白い輪だった。コードの中には絶え間なく液体が流れていくものもある。小さな赤い光が点滅を繰り返している。とにかく、あらゆるものがせわしなく働いていて、一見すると非常に複雑な構造だ。
 中身を見るのは初めてだったが、思った以上に機械らしい機械であった。
 ソウルメタルを操れるようになったり、人の能力を制限できたり……という技術がこの中に詰まっているとは到底思えない。あまりにも人工的な物体である。
 ライダーマンの複眼はそれを多角的に見始めた。
 真上から、横から、一周するように眺め、内側も見る。

(どこから解体すべきか……この複雑な形状ではわからないな)

 おそらく、この導線の中には幾つものダミーがある。
 決まった順序で解体を行う必要がありそうだ。しかし、それを見分けるのは解体の手がかりがない現状では難しい。
 間違えれば爆破か。もしくは、本当にただの線か。
 この螺旋のどこに刃を入れればいいのか。

 迷っているうちに、時間は刻一刻と過ぎる。
 時計の針に少し目を移しつつ、結城はその回路のどこかに手を付けようとした。
 そして────

「なっ────!?」

 ────首輪の素体は、結城の目の前で光とともに爆発する。
 オペレーションアームが弾かれ、ライダーマンの身体も後方に吹き飛ぶ。結構な爆発であった。
 畳の上で、先ほどまでドーナツ状だったはずの物体が、粉々に砕け散り、周囲のものに小さな火を齎していた。その小火をライダーマンはすぐに消し、大火事となるのを未然に防ぐ。
 ……首輪の解体は、失敗だ。
 主催者側に勘付かれて爆発させられたのかと考えたが、それはないだろうと彼は結論づけた。
 時計を見る。
 人為的に爆発させたにしては、時間がカバーを開けてから五分きっかりと非常に正確だったのだ。おそらく、五分経過と同時に爆発するというシステムだったのろう。
 しかし、それだと疑問が出てくる。
 何故カバーを外した時点で爆発をしないのか……その方が効率的なはずではないか? 少なくとも、解除する意思がなければ、カバーは外されない。
 カバーを外すような人間は、主催者にとって不利益なはずだから、早い段階で首輪という証拠を破壊すべきだ。

「おい、どうしたんだ!?」

 爆発の音を聞いて、零が慌てたように駆けつけた。その部屋のありさまを見た零は、険しい表情だった。
 見れば、その手には、ドライバーやニッパーがしっかり握られている。それもやはり大型のもので、繊細な解体には難しいかもしれない。オペレーションアームがあれば充分だろう。

「……涼邑。残念だが、今の首輪は爆発してしまった。だが、首輪の構造について先ほどより少し進んだ手がかりを得られたようだ」

 失敗ではあったものの、結城は淡々と事態を受け止めていた。
 この状況下で、どこまで情報を引き出せるか。それが重要となる。首輪がもうひとつあるぶん、まだ何とかなる余地も残っていた。
 それに、結城は先ほどの時点で、既に首輪内部の外観をほとんど記憶していたのである。

「……すまないが、何枚かA4くらいの用紙を探してきてくれるか? 少し書き留めたい事がある」

 零に雑用のような事ばかりやらせるのは気が引けたが、首輪の解体という面において、彼ができるのはそれくらいだ。
 そして、彼自身も当然それを自覚していたので、どんな雑用でもやってのける気でいた。
 筆談にも何枚か使っていたが、それとは別にまた何枚も必要となったのだろう。

「わかった」

 零は戦闘においては高い能力を誇るが、知能では流石に結城には劣る。すぐに頷き、他の部屋に向かった。もしかしたら、先ほどの時点で紙自体は発見していたのかもしれない。
 すぐに零は帰ってきた。
 その間、ライダーマンの変身を解除した結城は爆発した首輪の破片を一つ一つ拾い上げていた。やはり、コードなどが少し残骸として残っていたのである。それから、カバーも事前に取り外していたので、綺麗な状態で残っている。
 こうした失敗の痕もまた、後につなげるために重要だ。
 そんな結城の熱心な様子を見て、声をかけるのをためらったが、やはり零はすぐに声をかける事にした。

「持ってきたよ」
「……ありがとう。じゃあ、今からこの首輪の構造について、今わかった事を書きとめる事にしよう」
「ちょっ、それ言っていいのかよ!」

 先ほどまで、首輪の解除に関しては筆談をしていたはずだ。
 しかし、結城は一切気に留める様子がなかった。

「大丈夫だ。既に主催側は我々が首輪を解体しようなどという事はお見通しさ。そのうえで、遊ばせているのさ。……そうだろう? 加頭、サラマンダー、……それともニードルか? 聞いているなら、放送で返事を聞かせてもらいたいところだな」

 首輪の向こうにいる主催者に、結城は語りかける。
 それは、姿の見えない主催者側への立派な宣戦布告であった。
 しかし、零に対してはあまりにも説明不足なので、彼に対する説明を始める。

「涼邑。この首輪は、外付のカバーの部分と内部の機械の部分の二つに分かれている。これ自体は簡単に切り離すことができるが、切り離してから丁度五分で先ほどのように爆発するシステムになっていた……おそらく、主催者側の首輪解除の対策方法だ」
「なら、バレたらマズいんじゃないか?」
「本当に首輪を解除されるのを止めたいならば、五分後などでなく、カバーを外した直後に爆発するはずなんだ」

 カバーを外す方法自体はそんなに難しいものではない。
 いや、むしろ、簡単すぎるという次元だろう。首輪の外のつなぎ目を刃物でなぞるだけで、カバーは外れるのだ。ただ、それは外側だけでは外れず、内側もなぞらなければ外れないが、それでもやはりカバーを外すのが簡単であるという事実は変わらない。首と首輪との僅かな隙間を利用する事が出来れば、すぐに首輪は外れる。
 問題となるのはソウルジェムの持ち主だが、これもまた何らかの方法でカバーを外す事が出来るだろう。

「なぜ主催者側は五分という余裕を与えているのか。それを考えれば、おのずと答えは見えてくる」
「あいつらは、俺達がこの首輪を解除できるかを試してるってわけか」
「そうだ。だから、我々のように首輪を解除しようとしている人間に対しても、危ない芽を摘むような真似はしないだろう。これは、加頭たちもプレイヤーとなっているゲームなんだ」

 この殺し合いは最初からゲームのようなルールが下敷きにされていた。
 首輪、禁止エリア、ランダム支給品、時空や時間の食い違い。
 そんなものを使わなくても充分に殺し合いをしてくれる者はいくらでもいたはずだ。たとえば、暗黒騎士キバも、タイガーロイドも、仮面ライダーエターナルもそうかもしれない。
 しかし、そこに主催者たちはわざわざゲーム性の高いルールを仕込んだ。殺し合いに乗る戦士たちの能力を最大限解放し、無制限での戦いをすればもっと早く終わるはずなのだ。こんなルールは一切必要ない。これは、殺し合い自体に大層な目的などなく、ゲームという形でこの殺し合いを行っている証ではないだろうか。
 そこまではごく簡単な話だ。おそらく、誰もが薄々勘付いている事だろう。
 しかし、このゲームは、当初は参加者対参加者という構造だと思われていた。主催側もオープニングの時点でそれを推進しているし、主催者には反逆すべきではないと普通は考えるだろう。だが、おそらく────実際は、彼らは参加者対主催者というシステムを容認しているのだ。これまでの流れを考えれば、第二のシステムは当然、主催者に疎まれ、殺されてもおかしくはないはずなのに、主催側は何のアクションも起こさない。
 それを容認している理由として考えられるのは、「それを含めたゲームだから」という可能性が高いだろう。そもそも、仮面ライダーや魔戒騎士は殺し合いに相反する態度を取るのが当然だ。
 明らかに主催者にとって不利益な存在でありながら、ただ殺すのではなく、こうして自由な行動を容認し、殺し合いに乗る者に対する牙だって立派に与えられているのだ。

 当初、結城はオペレーションアームが何故支給されているのかを疑問に思っていた。
 その他、左翔太郎という男はフィリップとの意思疎通が可能な事を疑問に思っていたし、何故敵対している相手にそんな事をしているのか……という疑念が当初、このバトル・ロワイアルの各所で起こっていただろう。
 全てはごく簡単な事だ。
 これがゲームであるから──そして、ただ参加者と参加者が行うゲームではなく、参加者と主催者が行うゲームでもあったから……それだけである。

「……ふざけやがって!」

 零も怒りを抑えられなかった。
 そのためにシルヴァは破壊され、零は悲しんだ。鋼牙やバラゴを前に怒り狂った。
 その全ての姿を誰かが監視し、「ゲーム」として楽しんでいたのである。
 気分の良いものではない。ましてや、人がこれだけ死んでいるというのだ。
 確かにずっと、この殺し合いのゲーム性は見てきた。だから、今更な怒りでもある。
 だが、改めてその現実について改めて考えてみると、何の目的もなく、人の命や感情さえも弄んでいる悪趣味なゲームである事がよくわかり、零は底知れぬ怒りを感じたのだった。

「……奴らに対して怒るのは後にしよう。それに、奴らがプレイヤーだとするなら──」

 結城は、自分の考えに対して、少し違和感も感じていた。
 ニードルはともかく、加頭は果たしてそんなにバトル・ロワイアルに対して遊戯性を持っていただろうか?
 何故、彼は協力していたのか。自分が楽しいからか? ──それを考えると、単純に彼らが遊んでいるだけとは思えなかったのだ。

「加頭順や、サラマンダー男爵、そしてニードル。奴らは、本当にこの殺し合いの主催者なのか?」
「何……?」
「もしかすると、奴らは、俺達と同じく、何者かに集められた、このゲームの参加者なんじゃないか?」

 ──加頭順、サラマンダー男爵、ニードル。
 彼らにはこの殺し合いの主催をする目的などなく、もっと上に、自分たちを監視する何者かの存在があるのではないだろうか。
 このゲームは、参加者同士の殺し合いである以上に、そこから抜け出した参加者たちが加頭たちと殺し合い──それを眺める“誰か”がいるゲームなのではないか。
 彼らも真の主催者によって集められたこの殺し合いの参加者で、いずれ殺し合う側の参加者との戦闘も踏まえたうえで、ゲームの進行を任されている存在なのではないか?

「奴らを倒しても何にもならないかもしれない……って事か」
「ああ、あくまで推測だがな」

 放送とやらで、答えは聞かせてもらえるかもしれない。

「とにかく、首輪の話だ。首輪の構造とデータを今からここに描くから、しばらく待ってくれ。怒るのは、奴らと対面してからでいい……」

 結城は、先ほどの紙に首輪の構造を描いていた。しかし、話に集中してしまうせいで、その図は未完成だ。
 それでも、先ほど、首輪の構造を記憶していた彼は、その内容を書き表す事が出来る。途中で話題を変えたとしても、彼は記憶をぼかすことなく、はっきりと覚えていた。
 また、しばらく零が待っていると、結城は首輪の構造を描いた設計図のようなものをスケッチし終えている。

「できたぞ。……これを見てくれ」

 それはおおよそ正確な外観だった。あらゆるコードの絵が描いてあるように見えるが、それは実は一本の線であったり、ダミーと注意書きが書いてあったりする。
 コードだけではなく、首輪の中にある様々な装置や、一見すると必要なさそうなカバー部のスケッチまである。

「……一見複雑だが、ダミーの線もいくつかあった。爆発後の残骸を見たところ、中身が何もない完全なダミーも多い。色から察すると、この線はこの部分だろう。爆弾へと繋がっているのはこの線とこの線だ」

 自分の記憶と照らし合わせ、ダミー部分や一本の線となっている部分を的確に示している。おそらく、そこにはミスはない。
 IQ201の天才であり、デストロンで科学者をやってきた彼には、こうした分野は得意であった。

「爆弾も特殊な仕様らしいが、先ほどの爆発を見た限りでは、非人間に対する殺傷能力が充分ではない。周囲への被害もカバーなどのお蔭で最低限に済むようになっているのだろう。第一、至近距離で爆発を体験した俺も五体満足なくらいだからな」
「でも、それじゃあ、本当に強い奴は死なないんじゃないか?」
「……その問題点を無くすのがこの部分についている特殊な器具だ」
「……何だ?」
「この『盗聴器』と書かれている部分を見てくれ。おそらくこの器具全体が盗聴器というわけではない。盗聴器にこれほどの体積を食うはずはないし、放送情報を伝達するパーツは別の部分にある。それに、この部分にはコードも何も繋がっていないんだ。それも先ほど見つかった……これだ」

 結城の手には、点滅する器具の隣に描いてあるものとほぼ同じ、小さな長方形の器具があった。

「これは一見するとただの機械だが、中身には回路のようなものが一切なかった。つまり、機械でも何でもない。おそらく、これが制限などの特殊な能力を司る特殊な器具だ」
「……わかりやすく言ってくれよ。何でそれを使って人を弱体化させるなんて事ができるんだ?」

 その疑問に答えるのは、涼村暁、黒岩省吾の二名がいた世界の言葉であった。

「人間の生体エネルギー・ラームを吸うダークザイドの存在を覚えているな?」
「ああ」
「おそらくこれは、そういった生体エネルギーを一定値まで吸引する装置だ。強い者の首輪を爆発させる際にも、ラームを極限まで吸ってから爆破させれば、いかに剛健であろうとも爆弾の熱量や衝撃に耐えきれずに死亡する……おそらく、改造人間も、修理できないほどに……」

 魔法少女の首輪はソウルジェムなるものに備えられているらしいが、その理由もそこにあるのだろう。ラーム自体がソウルジェムにあるのかもしれない。
 死人であるNEVERに対しても、代替となる措置があると思われる。彼らの場合は、特殊な酵素を打って細胞を維持する必要があるので、細胞の制御をおこなう装置のものがかけられているのではないだろうか。
 そして、そういう形で死亡を測定するならば、本郷や三影のような改造人間の死亡者も、おそらく確実な死を迎えているだろうと──結城は認めるしかなかった。
 この殺し合いに参戦する者たちの知る話ではないが、かつてシンケンジャーや仮面ライダーダブルが遭遇した仮面ライダーディケイドは、パーフェクターという生命エネルギー吸引装置のようなものを持つ戦士・アポロガイストと戦っていた。
 アポロガイストは本来、ライダーマンもよく知る仮面ライダーXの敵であったが、結城の知る神敬介がいる世界とは一切関係のない話だ。
 そのパーフェクターと同じ要領で生命エネルギーの吸収を行う装置が首輪にも存在しており、それがラーム──あるいは、命の炎、ライフエナジー、尻子玉でもいい──を吸引する役割を持っていたのである。

「なるほど……でも、それなら俺たち魔戒騎士の剣が使えるのは説明がつかないんじゃないか?」
「……確かに、そうなるな……」

 二人の話は行き詰る。
 首輪による制限が、このラームを吸う装置によるものだというのなら、魔戒剣を使えるようになるなどのプラス要素の存在が不明だ。
 首輪が全ての制限を強いているという前提が間違っていて、魔戒剣自体に制限が敷かれているのか? それとも、空間が制限を作っているのか?
 確かに、そのどちらかの可能性も高いだろう。

「となると、やはりソウルメタル自体に何らかの制限を施したのかもしれないな」
「……ソウルメタルに?」
「ああ。最初から首輪を解除した際にそんなデメリットが生じる事はないのかもしれない。実際は武器や支給品の方に制限がかけられていて、首輪を外してもソウルメタルは操れるのかも……」

 最初から、ソウルメタルが首輪の力で操れるというのは仮説にすぎない。前提そのものが間違っている可能性だって否めないはずだ。

「……でも、そんな事は出来ないはずだ!」

 零は反論する。
 ソウルメタルは太古の昔から存在する道具だが、一般人に操れるようになった試しなどない。そう簡単に操る技術が発達するわけがないのだ。
 特に、零のように長らくソウルメタルを操りながら戦ってきた人間にはわかる。
 簡単に操れるようになるという事実があるとしても認めたくはないが、それ以上に、やはりそれは無理だろうという諦観した考えがあった。
 機械や魔術……どんな手を駆使しても、おそらくソウルメタルは簡単に人の手に握られる事はなさそうだ。

「さあ……。その点では、俺の知識の方が不足しているかもしれない……どれも仮説に過ぎないからな。結論を出す事は難しい」

 結局、完全には答えが出せそうにない。

「もしかすれば、魔戒騎士の力を付与する役割があったのかもしれないし、空間そのものがソウルメタルの性質を無効化しているのかもしれない。とにかく、それに関しては首輪と絶対的に関係するものではない……かもしれないな」

 あらゆる説があるので、結論を出すことができないのである。

「……何にせよ、首輪解除の際のデメリットとしては微々たるものだ。ソウルメタルは君が扱う事ができるからな」
「まあ、そうなんだけどさ」

 結局のところ、結城にとってソウルメタルが操れなくなる事自体は大きなデメリットではないだろう。
 問題となるのは、手元にある首輪を解体してしまうと、放送が聞けない事などだろうか。
 上空で放送担当者が口パクをしている状態で読唇術でもできればいいが、真下からでは口の動きをはっきりと見る事が出来ないだろう。
 それだけが唯一の問題点だが、他の参加者は首輪をしているはずだから、他の参加者を見つけて聞けばいい。禁止エリアの存在も無意味になるのだから、探すのは簡単だろう。

「……おいおい、いろいろ考えてるうちに17時だぜ」
「ん……?」

 そうこうしているうちに、時刻は17時になった。これを呟いたのは零だった。
 考え込んだ結城は気づかなかったのだが、慌ててザボーガー(仮)の方に目をやる。
 すると、そこにかつて見た時空魔法陣が出現した。

 巨大な幾何学模様が光っている姿は非常に不気味で、同時に神秘的でもあった。しかし、ここにいる二人は同じものを既に見ていたし、元の世界でも同じようなものを見慣れていたので、格別驚きもしなかった。出現の仕方はそれはそれで神秘的とも言えたが、やはり元の世界での記憶は二人に冷静さを齎していた。
 先ほどまで壁だったはずの場所から現れた魔法陣により、ゆっくりと説明書が吐き出され、ぽとっと音を立てて地面に落ちる。家電製品の説明書でも見ているのではないかと思うほど、薄っぺらい説明書であった。
 おそらく、最低限の説明を省き、使用方法や武器の使い方などを紹介しているに違いない。使用上の注意などは書かれていても、対応する法律なども書かれていないだろう。
 時空魔法陣は、そのままザボーガー(仮)を包み込むと、そのまま消え去っていき、この空間は元と同じ空間へと戻った。

 光のない空間が、かえって不気味に感じるほど濃い一瞬であるように感じた。
 とにかく、この時を待っていたので、結城は説明書を手に取った。

「……やってくれたな」

 結城は、苦笑いしながらため息を吐き出す。
 説明書の表紙には、「ソルテッカマン1号機改」と書かれていたが、それを黒い二重線で消し、「ザボーガー」と書いてあった。こうしてみると恥ずかしい名称だ。
 まあ、わかってはいたが、これもあ結城たちの会話を聞いていたという証明だろう。
 こうまでからかわれると、主催者に対して怒りも沸かない。

「なるほど……どうやら、我々も奴らに認められたらしい」

 そして、結城は最初の一ページ目をめくる。

「……これもあのニードルってやつの仕業かな?」
「いや、これが奴の一存だとしたら、奴は組織の一員としてのタブーを侵しているのと同じだ……おそらく処罰されるだろう。主催側全員の総意である可能性が高い」

 説明書の一ページ目は、目次が書いてあるが、そんなものには目もくれない。そこには書置きが挟まっていたのである。
 主催者側が即興で用意したものに違いない。
 この書置きを挟んだのはニードルに違いないが、それだけの行動が主催人物の目につかないとも思えないので、おそらく彼の独断行動ではないだろう。






【特別ボーナスの譲渡について】

下記の二名を、首輪解析功労者として認め、特別ボーナスを贈呈します。
対象者:結城丈二
準対象者:涼邑零(結城丈二が死亡した場合のみ)
※該当者がどちらも死亡した場合、ボーナスが適応される相手は死亡者(後に殺害された方)の殺害者に適応されます。

ボーナス概要:
時空魔法陣の管理権限
(適応時刻より、時空魔法陣設置場所において、管理中枢に繋がるコンピュータが設置され、一部設定の変更が行えるようになります。尚、設定の反映には数分~十分程度の時間がかかります)

ボーナス適応時刻:
バトル・ロワイアル 1日目 21:00より

 また、同時刻より『地球の本棚』の容量拡大を行う事を宣言します(地球の本棚における異世界の知識を追加します。ただし、一部の情報には検索ブロックがかけられています。詳しくは、『ダブルドライバー』の持ち主まで)。
 『地球の本棚』は不足している情報を補うのに適切なシステムです。今後の考察に役立つものとなるでしょう。






「なるほど……管理権限か」

 時空魔法陣を設定し直す事が出来るらしい。ニードルが宣言した使用条件は、少しばかり厄介であった。殺人者に対するボーナスであるという設定がまず、多くの参加者に利益を持たない理由となっている。
 どの程度の自由度が保障される管理権限かは不明だが、ともかくそれを譲渡されたのは不利益な事ではないだろう。

「……翠屋~警察署間の移動というと、やはりある程度負担は解消されそうかな」

 流石に、マップの端から端まで歩くのは困難な作業である。
 特に、若い女性などは大変ではないだろうか。結城としては、両エリアを誰でも移動できるように設定できれば、多くの負担が解消されると思えた。

「でも、『地球の本棚』って、なんだ……?」

 地球、という部分には「ほし」というルビが振ってある。
 結城もそれは知らなかったが、ダブルドライバーというものが少し引っかかった。
 先ほどまで工具をいじっていたがゆえに、ドライバーと聞くと工具の方が浮かんだが、それの持ち主が何か知っているのか?
 第一、 それが道具ならば、それの持ち主は変動する可能性だってありえる。

(ダブルドライバーというモノの方に、地球の本棚とやらの情報があるのか……?)

 とにかく、それに関してはそれ以上深追いをする事ができなさそうだと感じた。

「全てはダブルドライバーの持ち主に訊けばわかる。とにかく、これをダブルドライバーの持ち主に伝えるまで、今は持っている限りの情報でできる事をしよう」

 結城は、ザボーガーの方を見た。






『……よいしょっ!』

 ザボーガーと改名されたソルテッカマン1号機改が、声を発する。
 その声は外部にいるはずの結城丈二にもはっきりと聞こえた。
 ……つまり、この中に入っているのは涼邑零なのである。
 結城が説明書を見ながら装着を手伝い、零の身体はソルテッカマンの中に入っていた。説明書をすらすらと読みながら、適切なやり方で装着を手伝えるのは結城のみだ。
 本来、結城が装着した方がよさそうなものだったが、零は孤独に生きてきたゆえ、どうもこういう補助は苦手だった。

「……ソルテッカマンというからには、テッカマンブレードと同様の世界の物だろう。どうだ、使い心地は?」

 タカヤからは、ソルテッカマンの話は受けていなかった。ソルテッカマンの話以外にも、すべき話が多かったので割愛したのだろう。彼が語った話は、実際かなり壮絶なものだったので、そんな余裕はなさそうだ。
 説明書によれば、宇宙空間でも使用できるらしいという事で、また沖が喜びそうなモノが増えた気がした。

『パワードスーツっていうのも、案外悪くないかもしれないな』
「そうか……」

 二、三歩歩いた後、零は立ち止まる。
 その二、三歩でも、床は軋み、畳が大きくめり込むほどに重量を感じさせていた。
 部屋から出るにも、結構低く屈む必要がありそうだ。

『ただ、少し狭いかな。この中も、この部屋も』

 少し屈んで、なんとか壁を破壊せずに部屋から出る事に成功する。
 アンテナが不安だったが、アンテナも上手く通った。
 そのまま、ゆっくりと歩いて、室内を出る。全高2.3メートルの巨体は、身長170後半~180前半程度の人間が出入りするように作られている民家には辛いものがある。
 が、辛うじて大きな問題は起こらずに済んだ。

「とにかく、また翠屋に戻ろう。第三回放送も近いな……」

 気づけば、既に第二回放送から結構な時間が経っていた。
 次の放送が始まってもおかしくない時刻だ。18時までに市街地……というのは流石にもう完全に無理となったが、21時以降も一文字たちが市街地にいてくれるなら、時空魔法陣を使って向かう事も可能である。

(……次は一体、誰が放送を行うんだ……?)

 加頭、サラマンダー、ニードル。
 これまであらゆる人物が出てきたが、次の放送の人物も変わるのだろうか。
 少し気にかけながら、結城とソルテッカマン1号機改“ザボーガー”は歩いていた。

『……結構動かせるもんだな。魔戒騎士やめて、これ動かそうか』
「冗談はそれくらいにしておけ」
『はは……』

 銀牙騎士の鎧を操る零としては、やはり絶狼の鎧の方が操りやすいだろう。
 しかし、ソルテッカマンの上から魔戒剣だけはしっかり装備しているため、いざというときはソルテッカマンの装備を外して鎧を召喚する事も出来る。
 その他の荷物は、結城が持っていた。

「……とにかく、戦いにくいと感じたら、すぐに装備を脱いで戦え」
『わかってる』

 二人はそのまま歩き出した。



【一日目/夕方】
【B-2/志葉屋敷付近】

【結城丈二@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康
[装備]:ライダーマンヘルメット、カセットアーム
[道具]:支給品一式、カセットアーム用アタッチメント六本(パワーアーム、マシンガンアーム、ロープアーム、オペレーションアーム、ドリルアーム、ネットアーム) 、パンスト太郎の首輪のパーツ(カバーや制限装置、各コードなど)、首輪の構造を描いたA4用紙数枚(一部の結城の考察が書いてあるかもしれません)
[零の道具](ソルテッカマン装着中の零が持てないために持ってあげてます):支給品一式、スーパーヒーローセット(ヒーローマニュアル、30話での暁の服装セット)@超光戦士シャンゼリオン、薄皮太夫の三味線@侍戦隊シンケンジャー、速水の首輪、調達した工具(解除には使えそうもありません)
[思考]
基本:この殺し合いを止め、加頭を倒す。
0:再び翠屋に向かう。
1:殺し合いに乗っていない者を保護する
2:一文字、沖、村雨と合流する。ただし18時までに市街地へ戻るのは厳しいと考えている。
3:加頭についての情報を集める
4:首輪を解除する手掛かりを探す。
  その為に、異世界の技術を持つ技術者と時間操作の術を持つ人物に接触したい。
5:タカヤや石堀たちとはまた合流したい。
6:また、特殊能力を持たない民間人がソウルメタルを持てるか確認したい。
7:時間操作の術を持つ参加者からタイムパラドックスについて話を聞きたい
8:ダブルドライバーの持ち主と接触し、地球の本棚について伝える。
[備考]
※参戦時期は12巻~13巻の間、風見の救援に高地へ向かっている最中になります。
※この殺し合いには、バダンが絡んでいる可能性もあると見ています。
※加頭の発言から、この会場には「時間を止める能力者」をはじめとする、人知を超えた能力の持ち主が複数人いると考えています。
※NEVER、砂漠の使徒、テッカマン、外道衆は、何らかの称号・部隊名だと推測しています。
※ソウルジェムは、ライダーでいうベルトの様なものではないかと推測しています。
※首輪を解除するには、オペレーションアームだけでは不十分と判断しています。
 何か他の道具か、または条件かを揃える事で、解体が可能になると考えています。
※NEVERやテッカマンの情報を得ました。また、それによって時間軸、世界観の違いに気づいています。
※首輪には確実に良世界の技術が使われている・首輪からは盗聴が行われていると判断しています。
※零から魔戒騎士についての説明を詳しく受けました。
※首輪を解除した場合、ソウルメタルが操れないなどのデメリットが生じると思っています。 →だんだん真偽が曖昧に。
※彼にとっての現在のソウルメタルの重さは、「普通の剣よりやや重い」です。感情の一時的な高ぶりなどでは、もっと軽く扱えるかもしれません。
※村雨良の参戦時期を知りました。ただし、現在彼を仮面ライダーにすることに対して強い執着はありません(仮面ライダー以外の戦士の存在を知ったため)。
※時空魔法陣の管理権限の対象者となりました。


【涼邑零@牙狼─GARO─】
[状態]:健康、ソルテッカマン1号機改を装着中
[装備]:魔戒剣、魔導火のライター、ソルテッカマン1号機改(+ニードルガン)@宇宙の騎士テッカマンブレード(ザボーガーと名付けています)
[道具]:シルヴァの残骸
[思考]
基本:加頭を倒して殺し合いを止め、元の世界に戻りシルヴァを復元する。
0:再び翠屋に向かう。
1:魔戒騎士としてバラゴを倒す。
2:結城と共にバラゴを倒す仲間を探す。
3:殺し合いに乗っている者は倒し、そうじゃない者は保護する。
4:会場内にあるだろう、ホラーに関係する何かを見つけ出す。
5:結城に対する更なる信頼感。
6:また、特殊能力を持たない民間人がソウルメタルを持てるか確認したい。
7:涼村暁とはまた会ってみたい。
[備考]
※参戦時期は一期十八話、三神官より鋼牙が仇であると教えられた直後になります。
※シルヴァが没収されたことから、ホラーに関係する何かが会場内にはあり、加頭はそれを隠したいのではないかと推察しています。
 実際にそうなのかどうかは、現時点では不明です。
※NEVER、仮面ライダーの情報を得ました。また、それによって時間軸、世界観の違いに気づいています。
 仮面ライダーに関しては、結城からさらに詳しく説明を受けました。
※首輪には確実に異世界の技術が使われている・首輪からは盗聴が行われていると判断しています。
※首輪を解除した場合、(常人が)ソウルメタルが操れないなどのデメリットが生じると思っています。→だんだん真偽が曖昧に。
 また、結城がソウルメタルを操れた理由はもしかすれば彼自身の精神力が強いからとも考えています。
※実際は、ソウルメタルは誰でも持つことができるように制限されています。
 ただし、重量自体は通常の剣より重く、魔戒騎士や強靭な精神の持主でなければ、扱い辛いものになります。
※時空魔法陣の管理権限の準対象者となりました。



【結城丈二によって判明している首輪のデータ】
  • 首輪のカバーは背面の繋目を刃物等でなぞるだけで開きます。
  • カバーを外してから五分以内に解除しなければ、首輪は爆発します。
  • 内部にもダミーとなるコードが幾つも張り巡らされています。
  • 盗聴器・放送を発信する機械の他、用途不明な器具が取り付けられています。結城たちはその用途について考察しましたが、真偽は不明です。
  • 内部構造は結城が記憶しており、それを基にしたメモが書かれています。

【結城丈二によって考察された首輪のデータ】
  • 首輪内の用途不明の器具によって、参加者のラームが吸引されており、それが制限や首輪の強化を行っていると考えています。
  • NEVERにラームがないとするなら、代替として細胞の維持を狂わせるもの等が取り付けられていると考えています。
  • ソウルメタルを操る事ができる理由についてはまだ結論が出ていません。

【結城丈二によって考察された主催者の正体】
  • 主催者は、仮にこちらが反抗し、主催者の真実に辿り着きかけたとしても、実際には攻撃を仕掛けてこないと考えています。
  • また、自分たちは「参加者対参加者」のプレイヤーであり、主催者は「主催者対参加者」のプレイヤーの一人であると考えています。彼ら自身が自分たちと同じく、何者かにゲームを強制された存在である可能性も考慮しています。

【時空魔法陣の管理権限】
下記の二名を、首輪解析功労者として認め、特別ボーナスを贈呈します。
対象者:結城丈二
準対象者:涼邑零(結城丈二が死亡した場合のみ)
※該当者がどちらも死亡した場合、ボーナスが適応される相手は死亡者(後に殺害された方)の殺害者に適応されます。

ボーナス概要:時空魔法陣の管理権限
(適応時刻より、時空魔法陣設置場所において、管理中枢に繋がるコンピュータが設置され、一部設定の変更が行えるようになります。尚、設定の反映には数分~十分程度の時間がかかります)

ボーナス適応時刻:バトル・ロワイアル 1日目 21:00より

【地球の本棚の容量拡大】
1日目 21:00より『地球の本棚』の容量が拡張され、異世界に関する資料がエクストリームメモリの内部にいるフィリップの情報が拡大されます。
この事実は、左翔太郎(またはダブルドライバーの持ち主)やフィリップに主催を通して伝えられるかは不明。少なくとも、結城丈二と涼邑零は知っています。
また、すくなくともどこかの異世界に関する資料の閲覧は可能となりますが、参加者たち全員分の世界の地球の本棚が解放されるかは不明です。解放された情報の中にも、ブロックされる記録はあるかもしれません。



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最終更新:2015年12月27日 23:02