中央関東鉄道500系
1955年より製造された中央関東鉄道最後の新造釣掛駆動車であり、一部は初のカルダン駆動車である。
開発の経緯
500系の開発が計画された1950年代前半、電化区間の普通列車には木造電車や旧型客車が使用されていた。両者とも一部は戦前製の車両もあり老朽化が目立っており早急に置き換えの必要があった。また、他社で新方式の駆動方法が開発され始めていて近々開発予定の準急用電車(現600系)にこれを採用するためその試験も行う必要があった。このような経緯の中で誕生したのが500系である。
概要
500系は搭載する機器や性能の違いにより4つのタイプに分かれる。
- A型
この系列の主力でクモハ501~510が該当する。
駆動方式に当時一般的であった釣り掛け方式を採用し主電動機は東武7800系に採用されたものと同型の日立製HS269型、もしくは東洋製TDK544型を搭載する。両者とも142kWである。歯車比は1:4.13。主制御機は電空単位スイッチ式で直列8段、並列8段、弱め界磁3段の当時一般的だったものを採用した。ブレーキ方式は自動ブレーキだが電磁給排弁付きで応答性を改善している。
- B型
試験的に発電制動を取り付けたタイプでクモハ531~533の3両が該当する。
主電動機はA型と同一だが発電制動を行うため主制御器は異なる。主制御器はカム軸接触器式となり、制御段数は混結を考慮してA型に合わせた直列8段、並列8段、弱め界磁3段である。ブレーキ方式は電磁給排弁付き電空併用自動ブレーキである。発電制動の制御段数は15段。ブレーキ時は発電ブレーキを常用し、ブレーキ力が不足した際には空気制動で補う現在でいう「遅れ込め制御」機能を搭載している。発電制動が失効すると自動で空気制動が作動する。
- C型
中央関東鉄道初のカルダン駆動車。直角カルダン駆動方式を採用し、主電動機は75kW。主制御器はカム軸接触器式で混結を考慮して直列8段、並列8段、弱め界磁3段である。ブレーキ方式もB型と同じで電磁給排弁付き電空併用自動ブレーキであり、発電制動の制御段数も15段である。
- D型
1957年より製造された中空軸並行カルダン駆動方式を採用したグループである。駆動方式以外はC型と共通である。