珠玉の吐息とは

#リプで貰ったキーワードやモチーフを使って世界観や世界を作るよ
⇒二枚貝、マニキュア、百合、海、宝石、泡 いただきました!



  【珠玉の吐息】


真っ白な百合の花が萌えるそこは海底。群青が透き通る水底には海上からの光が差して雲間から漏れる陽光のようである。
海底にまばらにあるのは大きな二枚貝。その中から生まれる少女に地上の人々は「珠玉」と名前を付けて呼んだ。

珠玉は海水の中に含まれる酸素を取り入れて呼吸をするが、珠玉が吐き出した空気が泡となったものは、海底に差し込む陽光に触れると色とりどりの結晶に変化する。
珠玉の吐息が変化してできた結晶は重さによって海底に沈むので、海底には宝石箱をひっくり返したように結晶が散らばり、また海面からはちらちらと降り注いでいる。

珠玉の吐息からできた結晶は砕いて粉末にして、神の涙と呼ばれる水と混ぜることでマニキュアにすることができる。
そのマニキュアを塗った指からは魔法が生まれ、使われた結晶によって魔法の種類は様々。
マニキュアを作る専門の職人がおり、マニキュアは高価な値で取引されている。


          • 珠玉
二枚貝から生まれる少女。人間の少女のような形をしているが鱗やヒレがついていたりなどした見た目である。水中ではマニキュアを塗れないので魔法は使えない。
酸素で呼吸しているが濃すぎる酸素は毒であり、地上に上がると大量の結晶を吐き出して死んでしまう。
人間と関わる中で同じ言葉を持つようになり、意思疎通が可能になったが、それでも不思議な雰囲気を持つ者が多い。
海底で暮らしている者と愛玩用に水槽で飼われている者とがいる。花の蜜が主な栄養源。綺麗な水にしか住めない。
<海底の珠玉>
海底の二枚貝から生まれてそのまま海底で暮らす珠玉。全体の8割は海底で暮らしていると言われている。
海底に咲く身の丈ほどの百合「海百合」の蜜を摂って生きている。水に浮かない体なので海底を歩いて移動する。
吐息が海面へ上っていき結晶となって降ってくるのを本人たちは楽しんで見ている様子である。
沈んだ結晶を取りに来る人間のことは興味深げに見守る者がほとんどだが、人間を怖がったり、逆にちょっかいを出しに行く者もいる。
<水槽の珠玉>
地上で巨大な水槽の中で愛玩用に人間に世話されている珠玉。珠玉全体の2割ほど。
海百合の蜜は地上に出すと一瞬で干上がってしまうので地上の小さな花々から蜜を集めそれを与えられて生きている。
深い水の恩恵が受けられず死にやすいので基本室内で飼われるが太陽光がないので結晶を生み出すことはできない。
窓際に水槽を置くなどすれば差し込む陽光で吐息を結晶にすることができるがごく小さな微量なもの。
手をかけて飼われるとその分深く懐き、人の感情に機微に近くなる。


          • 人間
そのままでは特に特殊な力を持たない人間。珠玉の吐息からできたマニキュアを塗ることで指先から魔法を使えるようになる。
マニキュアの色により使える魔法が違う。高価なものなのでマニキュアを手に入れられる人間は少ないが、富裕層向けにマニキュア専門店もある。
中世ヨーロッパ風の街並みに服装。珠玉のことは特に秘密にされているわけではなく学校では習わないが一般常識レベルの知識。
<結晶集め>
海に潜って結晶を集める海女のような職業の人間。雇い主から水の中で長く息を止めていられる魔法の使えるマニキュアを支給される。
息を止めていなければならないので仕事中珠玉と会話するようなことはできないが、珠玉と馴れたりちょっかいを出されたりということはある。
まれに珠玉と恋に落ちる人間もいるそうだが、生きる場所が違うため、結ばれて幸せになることはないといわれる。
<マニキュア職人>
結晶集めたちが集めてきた結晶を砕いて粉にして、神の涙と混ぜる加工をすることで魔法のマニキュアを作る人間。
実は神の涙とは珠玉の流した血液のことであり、職人が飼っている珠玉から採っている。
珠玉と職人との関係性によるが、珠玉から提供される場合もあれば無理に珠玉から血液を取り出すこともある。
神の涙が珠玉の血液であるということは世間には伏せられており、また職人になる人間もその道に入ってからその事実を知ることになる。
珠玉を愛する者が多いが、マニキュア産業は今や重要な産業であるので、自責の念との板挟みにあい、秘めやかな歪みとして存在している。
最終更新:2013年11月02日 19:35