通り雨
ネア
「…ふぇぐ」
「ネア?どうしたんだ?!」
「
ウィリアムさん!魔術で雨を弾けない人間は、通り雨に遭うとこうなるのですよ…」
「この布で体を拭こうとしたのか、こちらもずぶ濡れだな」
「これは、ちびふわです」
「…まさか、
アルテアなのか?」
「水溜りに落ちたのですよ…」
「フキュフ…」
ディノ
「ネアが、減ってる…」
「ずぶ濡れでほっそり見えますが、ご主人様は減っていないので安心して下さいね」
「魔術で乾かそう。毛布と、紅茶もいるかい?」
「まぁ、乾きました!毛布をタオルにしてくれますか?」
「毛布では、…ないのかい…?」
「どうして、驚愕の目でこちらを見るのだ…」
ノア
「という訳で、二回も通り雨にやられたので、通り雨の魔物さんの眼鏡は叩き割りますね」
「わーお。僕の妹が残虐な事を企んでいるぞ。…でも、今回のって精霊じゃないかなぁ」
「まぁ。どうやれば、滅ぼせますか?」
「ありゃ。滅ぼす事は決まっているんだね?」
「結論は、変えない主義です!」
エーダリア
「酷い雨だな。系譜の者達が争っているようだが、何か事件があったのだろうか…」
「どうやら、…土産物の取り合いのようですね」
「土産物の…取り合いなのだな…」
「先程、森の雨降らし経由で、共有がありました」
「なぜというよりも、どのような品物を取り合っているか気になるな…」
ヒルド
「…やれやれ」
「まぁ、
ヒルドさんも通り雨に…?」
「いえ、森の方にいた通り雨の精霊に、ザハの焼き菓子を渡してきたところです。これで雨も落ち着くでしょう」
「…お菓子をくれた
ヒルドさんをずぶ濡れにしたのです?」
「喧嘩の輪に入ったからですよ。失礼、背中を拭いていただいても?」
グレアム?
「禁足地の森の方向で、通り雨の精霊達の沈静化を確認した。くれぐれも、会員の誰かが、滅ぼしに行かないよう徹底してくれ」
「ええ。多少欠けても良いとは思いますが、我々の美学に反しますしね」
「ほぇ、イーザがおかしいよ…」
「
ヨシュア、早く来るように言ったでしょう」
「ふぇ…」
アレクシス
「…通り雨の精霊か。少し素材を収穫しておいてもいいな」
「兄さん、通り雨の精霊は、じめじめするからやめてって言ったでしょう?!」
「外での調理の際に、火を消すのに魔術資質が使えるんだ」
「…それ、普通の大きさの鍋を使った時?」
「いや、必要になるのは竜などを煮込む時だな」
ウィリアム
「おい…」
「いや、今回ばかりは自己責任ですよ。そもそも、あなたが水溜りに落ちなければ…落ちなければ…?」
「おい、混乱するのはやめろ。擬態符を使ったあいつに言え」
「多少、髪が乱れてもそのくらいは自分でどうにかして下さい」
「なんだこの雑な乾かし方は」
「我が儘だな…」
ヨシュア
「ほぇ。
アルテアが、変な髪型になっているよ。
ウィリアムにやられてしまったのかい?」
「…くそ、お前は何でここで出てくるんだ」
「それと、ネアを知らないかい?新しいアヒルが出来たから、見せるんだよ」
「…追い返しますか」
「放っておけ」
「ふぇ…」
「まぁ、
ヨシュアさんです?」
ギード
「ギード…話があって会いに来たんだが、…その、泥遊びの途中だったんだな。…い、いや、すまない」
「……擬態を解いたから、もう大丈夫だ。…
グレアム?ああ、体を綺麗にしないとだな。狼の時は、時々、こんな風に遊んでしまうんだ」
「…ギード、今夜は飲みにこう」
「
グレアム?」
アルテア
「あら、入浴されたのですね」
「誰かのせいで、水溜りに落とされたからな」
「あれは、ちびふわが肩の上で足を滑らせたのでは…」
「いいか、今日のタルトはなしだ。…おい、きりんはやめろ。ったく。…っ?!」
「…なぜ、また通り雨なのだ…」
「…こっちに来い、乾かすぞ」
「ぐるる…」
以上となります!
お付き合いいただき、有難うございました。
最終更新:2022年05月07日 15:57