緊迫の晩餐
「…何だ?妙な顔をするな。…まさかとは思うが、そのローストビーフは何皿目だ?」
「ひ、ひとさらめですよ!」
「
アルテアが…」
「わーお。…え、今日来る予定だったっけ?」
「夏蝙蝠が渡りがあるそうで、急遽来て下さったそうですよ」
「先程の連絡は…」
「ええ。お出になられませんでしたが」
「そ、そうか。取り込んでいたのだ…」
「
エーダリア様?」
「…おい、何皿目だ?」
「むぐ?!なぜこちらを見るのだ!」
「
アルテアが…」
「えーと、
アルテアは食事もしていくんだよね?」
「何が問題があるのか?」
「あー、…ないよ!」
「
ノアベルトが…」
「…何か妙だな」
「きのせいです」
「やれやれ、あの蝙蝠はしつこかったな。…
アルテア?腕を組んでどうしたんです?」
「ありゃ、
ウィリアムも来たんだ…」
「むむ!
ウィリアムさんのお席はノアの隣です!」
「ん?…ああ…そうだな。そうするか」
「ふむ。これで私は安心してローストビーフのおかわりを…」
「何皿目だ。やめておけ」
「とばっちりなのだ…」
「ネア、こちらのものを一切れ食べるかい?」
「シルハーン、甘やかし過ぎだぞ」
「お母さんです…」
「やめろ」
「
アルテアは意地悪だな。俺のものも少し食べていいぞ。…それと、少し外すが気にしないでくれ」
「あ、それ大事だから…」
「
ノアベルト、膝の上をどうした?」
「
アルテア?!…え、えーと」
「
ウィリアムに渡して片付けさせようとしたみたいだが…なんだ、ボールかよ。あの狐のものか」
「…そ、そのだな、私が持っていたものを渡したところだったのだ」
「ったく。勘繰らせやがって。あの狐はどこだ?」
「…ありゃ。多分、どこかにいるんじゃないかな?」
「ったく。食事の席に連れ込んでも構わないが、呼び戻すなら大人しくさせておけよ」
「…
アルテアは、あの狐を結構気に入っているんですね」
「は?何でだよ」
「解決したので、私はローストビーフをいただきますね!」
「二切れまでだぞ」
「ぎゃ!」
「やれやれ、妙なところで気を揉みましたね…」
「で?あの狐はここにいたんじゃないのか?」
「きつねさんはどこかにあそびにいったのかもしれませんね!」
「ったく。食事中にボールとブラシを持ち込むとなると、どれだけ甘やかしているかわかるな」
「…
アルテア、ローストビーフを分けてあげようか?」
「…は?」
「僕、ちょっと泣きそう…」
以上となります!
最後までお付き合いいただき、有難うございました!
最終更新:2022年05月07日 16:05