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プラトン思想
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概要
プラトン思想 | |
英名 | Plato's Thought |
別名 |
プラトン思想とは、古代ギリシアの哲学者プラトンの思想である。後世の人々による解釈であるプラトン主義とは異なる。
プラトンの五大政体
プラトンは『国家』第8巻~第9巻の中で、政体を五つに分類した。対等な分類というよりは、国家の劣化のプロセスを段階ごとに描写するためのものだと考えた方がいい。
優秀者支配制(Aristocracy、アリストクラティア)
知恵を愛する哲人王によって、統治される最善者による統治であり、プラトンが理想視した。支配原理は「知」。
徳よりも富の生産を好む世代が台頭し、体制が堕落すると、次の名誉支配制になる。
ちなみに、Aristocracyは貴族制とも訳せるが、その後の時代の貴族とは別物である。そもそもの語源は「アリストイ」であり、「最も優れた者」という意味であった。
名誉支配制(Timocracy、ティモクラティア)
優秀者支配制が堕落し、統治階級が知ではなく勝利と名誉を重んじるようになった体制である。支配原理は「勇気」。
分かりやすく言えば、支配者が知識人から軍人に変わったようなものである。
統治者は、体操や戦争技術を重視するようになり、勇敢さを称揚する。
富の蓄積によって、名誉への重視が損なわれると、体制が堕落し、次の寡頭制に移行する。
寡頭制(Oligarchy、オリガルキア)
名誉支配制が堕落し、富裕層が支配階級となり欲望的な要素が強くなった体制。
現代的に言えば、軍人からブルジョワ(企業家)に支配権が移った感じか。
支配原理は「金欲」だが、富裕層は、富の蓄積のために無駄な浪費を避けてきた実績がある。そのため、「節制」という徳はある程度は重視される。
富の蓄積による、貧富の格差の拡大が、次の民主制への移行(堕落)を促すことになる。
民主制(Democracy、デモクラティア)
寡頭制の堕落した体制であり、多数派である貧困層が富裕層を打倒することで成立する。
下層階級が元気になり、自由が至上の価値とされるようになる。つまり、支配原理は「自由」。
ただ、プラトンは民主制をあまり評価していない。人々が自由を過度に追求するあまり規律が失われ、衆愚政治に陥ると考えたためである。
自由という名の混沌を利用し、扇動家であるデマゴーグがポピュリズムにより権力を握るようになり、さらなる堕落を引き起こすことになる。それが次の僭主制である。
僭主制(Tyranny、テュランニス)
プラトンにとって、最悪の体制であり、民主制が衆愚政治に陥り、デマゴーグが権力を握ることによって成立する。
僭主は権力を維持するために、自分の権力にとって脅威と成り得る優秀な人々を排除するようになる。また、都市を支配し、民衆を奴隷化する。
最終的には支配者としての地位を固めるために、戦争すら引き起こすことになる。