概要
マリアナの海底に造られた海底基地にしてマリアナ信仰者達の修行の場
そして現在では他の海を侵略するための本部拠点となっている
アルプスとは異なり自然の物というより最新式の人工物で構成された海底基地であり、マリアナ諸島にある『マリアナグランドホテル』のエレベーターから入る事が出来る
特別なキーをパネルに打ち込む事で、特殊なキーボードが展開されてB1000に降りる事が可能になる
マリアナ海底基地は全体的に白い建築材で構成されており、光も届かぬ海底なので常に人工灯で照らされている
窓からはマリアナの海底を存分に見て楽しむ事が出来る
時々深海魚とかエネミーが泳いでいるのでなかなか飽きない
そして現在では他の海を侵略するための本部拠点となっている
アルプスとは異なり自然の物というより最新式の人工物で構成された海底基地であり、マリアナ諸島にある『マリアナグランドホテル』のエレベーターから入る事が出来る
特別なキーをパネルに打ち込む事で、特殊なキーボードが展開されてB1000に降りる事が可能になる
マリアナ海底基地は全体的に白い建築材で構成されており、光も届かぬ海底なので常に人工灯で照らされている
窓からはマリアナの海底を存分に見て楽しむ事が出来る
時々深海魚とかエネミーが泳いでいるのでなかなか飽きない
中心部にはさらに下へと続く穴が開けられていて、大穴を中心として円状に広がったフロアで構成されている
エレベーターでさらに下へ降りる事が可能
その最深部にはマリアナ・ティターンエネミーが四肢を捥がれ磔にされて心臓を抜き取られた状態で封印されている
そしてその10階上でなければ危険域であり、それより下に行くとティターンエネミーの影響で重力により押し潰されてしまう
アルプスとは逆に下へ下へと進めば進むほどマリアナパワーの濃度が高くなっている
エレベーターでさらに下へ降りる事が可能
その最深部にはマリアナ・ティターンエネミーが四肢を捥がれ磔にされて心臓を抜き取られた状態で封印されている
そしてその10階上でなければ危険域であり、それより下に行くとティターンエネミーの影響で重力により押し潰されてしまう
アルプスとは逆に下へ下へと進めば進むほどマリアナパワーの濃度が高くなっている
マリアナ・イルカソルジャーエネミーという銃火器で武装した二足歩行のイルカが基地内部を見回りしている
関係者

- カーネル・サイレンス
黒いシャツに白いスーツとサングラスを身に付けた20代後半のように見える男
現在のマリアナの総師範であり、つい数ヶ月前に引退したマリンの師匠である先代お爺ちゃんの後を継いで師範となった
世界の海をマリアナで征服する事が目的であり、現在アトランティスと遣り合っている最中
アトランティス、バミューダトライアングルといった有力な他海勢力を支配した後地上進出を目論んでいる
一人称は俺様で、かなり我欲の強い人物となっている
異能力は『圧縮』
手で触れたありとあらゆる物を一辺3センチのキューブに圧縮封印する事が出来る
それが生物であろうが物体であろうが現象であろうがなんでも封じ込めてしまう
キューブに封印されるとその間の内部の時間経過は停止する
また、開放は本人の任意のタイミングで行える
例えば出来立てのラーメンを封印して、3日後に解放しても出来立てのラーメンを食べる事が可能
現在のマリアナの総師範であり、つい数ヶ月前に引退したマリンの師匠である先代お爺ちゃんの後を継いで師範となった
世界の海をマリアナで征服する事が目的であり、現在アトランティスと遣り合っている最中
アトランティス、バミューダトライアングルといった有力な他海勢力を支配した後地上進出を目論んでいる
一人称は俺様で、かなり我欲の強い人物となっている
異能力は『圧縮』
手で触れたありとあらゆる物を一辺3センチのキューブに圧縮封印する事が出来る
それが生物であろうが物体であろうが現象であろうがなんでも封じ込めてしまう
キューブに封印されるとその間の内部の時間経過は停止する
また、開放は本人の任意のタイミングで行える
例えば出来立てのラーメンを封印して、3日後に解放しても出来立てのラーメンを食べる事が可能
リンク先参照
- マリアナ・巨大人魚エネミー
アルプス雅楽寮のページを参照
- 先代師範
マリンの師匠であるお爺ちゃん
御年78歳になりつい数ヶ月前に総師範を引退した
メインウェポンはチャクラムを使う
御年78歳になりつい数ヶ月前に総師範を引退した
メインウェポンはチャクラムを使う
リンク先参照
- マリアナ教官メイル

「異教徒共、マリアナを信仰しやがれです」「この私がお前を鍛えてやろうと言っているです。咽び泣いて喜びやがれです」
名前 メイル・ストロウム
年齢 25
性別 女
異能力 メイルシュトローム
年齢 25
性別 女
異能力 メイルシュトローム
概要
灰色の瞳に灰混じりの緑髪が特徴の女性。ぱっと見は深窓の令嬢のような姿をしているがバリバリの武闘派にしてマリアナ海底基地の若手教官。荒っぽい口調にですますを付ければ敬語になると思っている節がある。
メインウェポンは大鎌 時々鉄球を投げる
日本にはマリアナ・自分のことをリヴァイアサンだと思い込んだ一般通過巨大ウツボエネミーの蒲焼をイルカたちと共に売りに来た
灰色の瞳に灰混じりの緑髪が特徴の女性。ぱっと見は深窓の令嬢のような姿をしているがバリバリの武闘派にしてマリアナ海底基地の若手教官。荒っぽい口調にですますを付ければ敬語になると思っている節がある。
メインウェポンは大鎌 時々鉄球を投げる
日本にはマリアナ・自分のことをリヴァイアサンだと思い込んだ一般通過巨大ウツボエネミーの蒲焼をイルカたちと共に売りに来た
異能力 メイルシュトローム
様々な物を回転させる異能。風を回転させて竜巻を作ったり、水を回転させて渦潮にしたり、人を回転させて投げ飛ばしたりと様々な応用技が可能。
本気出して鉄球を投げても黄金◯方形の軌跡で回転とかはしない
様々な物を回転させる異能。風を回転させて竜巻を作ったり、水を回転させて渦潮にしたり、人を回転させて投げ飛ばしたりと様々な応用技が可能。
本気出して鉄球を投げても黄金◯方形の軌跡で回転とかはしない
+ | ... |
派生組織
過激派団体マリアナ・アビス
20代目総帥である無明のエネミーが離反した際に作り上げた過激派マリアナ団体。
その目的は『世界中をマリアナ海溝に沈めあらゆる国とパワースポットをマリアナ傘下に納めてて、この星の名前をマリアナ星にすること』。なお、その過程で死者が出ようがマリアナ以外の自然が破壊されようがお構いなしである。
神触のエネミーの残した、黒泥のエネミーや汚泥触腕のエネミーなどの量産に成功して手駒として各パワースポットへのテロ活動を始めた。テロ行為の他にも『地球温暖化の促進』『南極でのキャンプファイヤー』などを行い、世界の自然破壊のため活動を続けている。
その目的は『世界中をマリアナ海溝に沈めあらゆる国とパワースポットをマリアナ傘下に納めてて、この星の名前をマリアナ星にすること』。なお、その過程で死者が出ようがマリアナ以外の自然が破壊されようがお構いなしである。
神触のエネミーの残した、黒泥のエネミーや汚泥触腕のエネミーなどの量産に成功して手駒として各パワースポットへのテロ活動を始めた。テロ行為の他にも『地球温暖化の促進』『南極でのキャンプファイヤー』などを行い、世界の自然破壊のため活動を続けている。
歴代マリアナ総帥
初代総帥 アリエル

マリアナの初代総帥にしてこの世で初めてマリアナ海溝を人の身で制覇した女。バミューダ・トライアングル、サルガッソー、アトランティスと共に協力して海底戦争を引き起こしていた黒幕である『神触のエネミー』を討ち倒した。
異能力は『OVER TECHNOLOGY』
2代目総帥 アスカ大佐

アリエルの死後、マリアナをまとめ上げた後継者。
アリエルの死によって海底連合軍は分裂したが、しばらくの間はアスカ大佐や他のパワースポットの後継者たちが後を継ぎ平和を維持した。こう見えて穏健派である。
何があっても3分間だけは待ってくれる。後に目を光で潰されて死亡した。
異能力は『浮遊』
3代目総帥 メカアリエル

万が一の時に備えてアリエルが自身の異能で作り上げていたアンドロイド。アリエルと同じ人格と同じ実力を持ったコピーロボットだが、耐性まで完全コピー出来ておらず☠️マークのキノコを食べて死亡した。
異能力は『サイボーグ』
4代目総帥 マリアナ・ひよこ鑑定士のエネミー

ひよこ鑑定士のエネミーを名乗っているが、顔面がひよこになっている謎の男。マリアナに親子丼というサイコパス料理を広めたが、後からやって来た牛丼に破れ去りマリアナを去った。
昔は強い仲間と共にパーティーを組み、なんか強い敵と戦った事があるらしい。
異能力は『超高速ひよこ鑑定』
5代目総帥 娘々

中国からやって来た尸解仙。異能により一度死んで仙人として復活した後にマリアナで修行を積んで総帥となった。
仙術という異能にマリアナパワーを混ぜて使うマリアナ仙人である。総帥を辞した後もマリアナに住み続けている。
異能力は『仙術』
6代目総帥 ハルリザーク

この時期になるとマリアナとアトランティスとの対立が激しくなり、小競り合いが多くなった。そのためストレスで胃に穴が開くという可哀想な目に遭ってしまった。
蛮族の血を引いているので、攻めて来たアトランティスを千切っては投げ、千切っては投げてで蹂躙した。その実績を認められて総帥となった。こう見えて男。
異能力は『蛮族の宴』
7代目総帥 ゲオルギウス

極度のヘヴィースモーカーであり、「俺にはマリアナパワーによる回復力があるから」と言って1日に5箱吸っていたら案の定肺を悪くしてそのまま任期を満了せずに死亡した。
異能力は『ブラックスモッグ』
8代目総帥 ネームレス

マリアナの中で最も優れた暗殺者。その性質上、総帥の座に着いておきながらも名前も顔も一度も明かさなかった。
当時のアトランティス大王を暗殺して強引に問題解決を図った結果、後々に禍根を残す事となった。
異能力は『幽玄ノ舞』
9代目総帥 マリアナ・サラマンダーエネミー

『神触のエネミー』が残した『黒泥のエネミー』と『汚泥触腕のエネミー』が海底での社会問題になった際に、積極的にそれらのエネミー問題に対処した功績から言葉を話すことが出来ないながらも総帥になった。これにより海底は『神触のエネミー』が残したエネミーと共生する道を選ぶ事が出来た。
………しかし、このサラマンダーエネミーはこれから先マリアナに始まったアニマル政権の始まりに過ぎないことを知る者はこの時点では誰も居なかった。アニマル政権の布石はひっそりと仕込まれていたのだった。
異能力は『テールライト』
10代目総帥 マリアナ・ネコチャンエネミー

海底戦争。海底国家間の小競り合い。野生化したエネミーの社会問題など。マリアナの人々の心は荒んでいた。人々は癒しを求めていたのだ。そんな中颯爽と現れたのがこの猫ちゃん。猫は人々に癒しを振り撒き100年くらい猫セラピーで海底に平和を齎した。
しかしその裏でマリアナ・鹿神のエネミーが総帥へと就任するサポートを行い、アニマル政権への移行を盤石なものとしていた。
異能力は『猫又三郎』
11代目総帥 マリアナ・鹿神のエネミー

サラマンダー、ネコチャンから続くアニマル政権を受け継いだエネミー。ここに来てアニマル政権がその本性を明らかにする。
鹿神のエネミーは、マリアナに住むすべての生物の四足歩行を義務化し、鹿の角を着用せずに出歩くことを厳罰化した。これらの掟を破った者は例外なく腹を角で突き刺して処刑した。
違反者の死体はマリアナ海溝の階層に並べて魚の餌にしたのだ。
当然反発も起こったが、それらを全て己の力で捩じ伏せてマリアナを支配した。この支配はかなりの年月続く事となった。
彼が望んでいたのは『全マリアナ生物鹿エネミー化計画』。これは後一歩のところまで達成されることになる。
異能力は『生命の樹』
12代目総帥 聖(セイント)くん

マリアナ・鹿神のエネミーの『全マリアナ生物鹿エネミー化計画』によって生み出された鹿人間。
鹿神のエネミーの所業に怒り、鹿神のエネミーが油断して眠ったところを襲撃して殺害。総帥の座を強引に奪い取った。
鹿神派閥に対して苛烈な圧政を敷き、徹底的に迫害した。
しかしそのあまりにも苛烈な行いにより鹿神派閥の生き残りによって暗殺されてしまう。
ここから先、マリアナは血で血を洗う戦国時代へと移ることになる。
異能力は『神聖鹿』
13代目総帥 ゴルゴンゾーラ

たぶんエネミーだと思うのだが、ゴルゴンゾーラが大好物で生涯名前をゴルゴンゾーラで通した男。アニマル政権やそれに対抗する者を皆殺しにして、先代総帥の死亡後総帥不在で荒れていたマリアナを強引にまとめ上げた。
マリアナを強者のみが生き残るデスゲーム方式にして流血が絶えない時代を築き上げた。
異能力は『魔人化』
14代目総帥 カマンベール

ゴルゴンゾーラの息子であり、マリアナを『血海のマリアナ』と呼ばれるほど残虐な蛮族集団として改造した男。好きな食べ物は『チェーダチーズ』。後ろのハゲは誰もその正体を知らない謎の人。皆からは『なんかいつも総帥の後ろにいる謎のハゲ』と呼ばれていた。
マリアナパワー習得課程で必ず仲間を1人以上殺す事と、相手を出来る限り苦しめるような残忍な戦い方をマリアナの戦士たちに強要した。その陰湿な性格と父から受け継いだ傲慢な性格により嫌われて最終的には付き人のハゲに暗殺された。
異能力は『深淵魔海』
15代目総帥 本気を出したハゲ

先代総帥の後ろに従っていた付き人である『いつも総帥の後ろにいる謎のハゲ』が、先代であるカマンベールを暗殺して総帥の座を奪い取ったのだ。暗殺した理由は『タケノコの里が至高とか抜かしたから』
異能力は『デッドリーチェイサー』
16代目総帥 ベラニカ・マーチャン

先代総帥たちが作り上げた『血海のマリアナ』に適合した見た目は可愛いロリの蛮族少女。鍛えられた残忍さを遺憾無く発揮してアトランティスから領土を一部奪い取った。その功績によって総帥の座を手に入れた。
しかしクーデターを起こされマギアに一騎討ちで敗北して死亡した。
異能力は『イッツ✴︎ショータイム』
17代目総帥 マギア・マーメイドレッド

マリアナ戦国時代の終止符を打ち、『血海のマリアナ』を終わらせた総帥。今の残忍な蛮族集団と化したマリアナを嫌い、元の真っ当な蛮族集団に戻ろうという主張に賛同した仲間たちと共にクーデターを起こして総帥の座をもぎ取った。以降、先代が築いた『血海のマリアナ』方式は全て破棄して真っ当な蛮族教育を行うようになる。
異能力は『超電磁圧(プラズマ・ブラスター)』
18代目総帥 ギョロ

見た目の怖さによってかなり怖がられたが穏やかな人柄の穏健派だった。先代総帥であるマギアの思想を受け継ぎ、真っ当な蛮族になれるようにマリアナ修行者たちの教育に力を入れた。座右の銘は『給食は残さず食べる』
ケットシーエネミーに総帥の座を譲り現役を退いたものの、『無明のエネミー』の離反の際に復帰してマリアナ・ティターンエネミーと戦い戦死した。
異能力は『ハロウィン・ホロウナイト』
19代目総帥 マリアナ・ケットシーエネミー

アニマル政権とは無関係な動物系エネミーの総帥。
その可愛らしい見た目とは裏腹になかなかの武闘派。クーデターの隙をついて襲ってきたバミューダトライアングルを返り討ちにする際の行動隊長だった。
後に、20代目総帥の『無明のエネミー』の離反の際に勇敢に戦い、マリアナ・ティターンエネミーを異能で再度封印するも戦死した。
異能力『猫様のご機嫌取り』
20代目総帥 マリアナ・無明のエネミー

無明のエネミーはマリアナ創設時代から生きるかなり長寿のエネミーである。気の抜けた『のじゃ』口調で話すがその性質と実力は危険そのもの。
マリアナに入信し、熱心にその教義を解釈して真剣に信仰の道に打ち込んでいたが、やがて『世界全ての自然を破壊しマリアナ海溝に沈めることで、全てをマリアナの元で統一する』という過激な思想に取り憑かれてしまう。
無明のエネミーを支持する派閥と、いくら蛮族であっても、他の自然を積極的に破壊するような行いはマリアナの望むところではないという派閥にマリアナは分裂。
無明のエネミーは、対抗勢力を一掃するべくして封じられた偽神のエネミー・重骸の封印を解いた。そして、マリアナパワーを吸収して強化進化を果たした偽神のエネミー改め、マリアナ・ティターンエネミーによる甚大な被害を叩き出した後に一部の仲間を連れて離反した。
その後、彼女は『マリアナ・アビス』という新組織を設立。
神触のエネミーの残した、黒泥のエネミーや汚泥触腕のエネミーなどの量産に成功して手駒として各パワースポットへのテロ活動を始めた。テロ行為の他にも『地球温暖化の促進』『南極でのキャンプファイヤー』などを行い、世界の自然破壊のため活動を続けている。
異能力は『明カリ無キ深海』
神触のエネミーの残した、黒泥のエネミーや汚泥触腕のエネミーなどの量産に成功して手駒として各パワースポットへのテロ活動を始めた。テロ行為の他にも『地球温暖化の促進』『南極でのキャンプファイヤー』などを行い、世界の自然破壊のため活動を続けている。
異能力は『明カリ無キ深海』
21代目総帥 バーナビー・ハイルマン

無明のエネミーによる離反によりゴタゴタになったところを漬け込まれ、アトランティスとバミューダトライアングルにマリアナの領土を奪われてしまった。奪われた領土を取り返すべく行動するも、悉く裏目に出てしまい『失地総帥』の名を付けられた。
異能力は『蒼天踊覇』
22代目総帥 JAM

結局のところマリアナを救うのに『愛』も『勇気』も必要ない。大切なのはこのマリアナパワーと上腕二頭筋だけなのだ。
マリアナでパン屋を営んでいた男は、今のバミューダとアトランティスに領地を奪われて攻め立てられるマリアナを見て戦うことを決意する。パンを兼ねていた手を握りしめて拳を作り、目の前に立ち塞がるもの悉くパンを叩くようにぶちのめして、最終的にはアトランティスとバミューダから奪われた領地を取り戻すことに成功した。
それもこれも全て鍛えた筋肉とマリアナパワーの賜物である。
異能力は『UN・PUNCH』
23代目総帥 アッティカ

マリアナにおける模範的な蛮族。とりあえず欲しいものがあったら『盗む』『奪う』『殺して奪う』の3つの中から選ぶタイプの女。その蛮族性により戦闘力は折紙付きである。基本的な装備は全て敵から奪ったもの。敵を殺す前、及び殺した後にマリアナに捧げる『アッティカダンス』という珍妙な踊りを踊る癖がある。
後にそのダンスを再現したイルカソルジャーが動画投稿サイトに挙げたらバズった。
異能力は『強奪』
24代目総帥 ペンギン

いつの間にかマリアナに紛れ込んでいたペンギン。『俺らはあらゆる物に対抗するで?拳で』とヒレをペチペチやっているのが特徴。
一体なぜこのペンギンが何の間違いで総帥になってしまったのか。それは誰も分からない。誰か知っている人がいれば教えてください。
異能力『ペンギン・リベリオン』
25代目総帥 ゴーダ・シッダールタ

ネパール人の本場インドマリアナカレー屋に対抗するべくマリアナにやって来たインド人。ライバル意識を燃やしてインド人の本格インドカレー屋を展開するも、歴史あるネパール人の本場インドカレー屋には敵わず敗北を喫してしまう。
だがここで発想の転換を行い、カレー屋ではなくカレーうどん屋になる事で競合せずに共存することに成功した。
インド人の本場インドマリアナカレーうどん屋は、今でもそれなりに繁盛してチェーン店も展開している。
異能力は『空間操作(カレー屋)』
26代目総帥 スノーホワイト

見た目通り蛮族マリアナにあるまじき病弱美少女。見た目通り穏やかな性格をしており、マリアナ海底基地の執務室に籠ってあまり外には出てこない。しかし強力な異能を持っており他からの侵略を防ぐだけの防御を持ち合わせていた。
しかし、残念ながら持病の悪化により若くしてこの世を去ってしまった。
異能力は『雪月花』
27代目総帥 マリアナ・アマゾンミシシッピミーズリーレッドロックナイルコハクヌシのエネミー

総帥就任前に、マリアナ海底基地の有名老舗旅館である『マリアナ湯屋』で、無銭飲食と乱痴気騒ぎを起こした結果、主人の名前奪い婆に名前を奪われて『ヌ』になったという逸話がある。
その後100年の無賃金労働を行い、反省して真面目に働き総帥の座に着いたものの、108歳歳下の女に手を出したとしてロリコンの名を頂戴した。
異能力は『水龍変化』
28代目総帥 案山子

明らかに人ではない案山子だが、その正体はエネミーではなく異能の力によって案山子に変えられてしまった人間。移動の際はピョコピョコ飛び跳ねながら動く。話せないが意思疎通は辛うじて出来たことで何とか総帥としてやって行けた。
その正体はとある国の王子であり、最終的に異能が解けて戻った後に国に帰り自分に異能の呪いを掛けた兄弟を始末して王座を手に入れるという復讐譚をやり遂げた。そして、その国はマリアナ支援国家となった。
異能力は『棒立』(案山子時代)→『摩擦操作』(解放後)
29代目総帥 ニャン銃

『に"ゃ"ん"し"ゅ"う"た"に"ゃ"あ"あ"あ"あ"ん"ん"!!!!』と常に濁点のついたダミ声で叫んでいる女総帥。ガトリングを愛し、ガトリングからはそんなに愛されてない女。初代総帥の残したガトリングを勝手に持ち出してメイン装備としたものの、数日も経たずに壊した挙句、まだ使えると騙して別の人に売り付けるというとんでもないことをやらかした。
異能力は『ダミ声女と機関銃』
30代目総帥 マルドゥク・オーネルソン

マリアナ海溝の少女に戦い方を教えた師匠。穏健派であり、過激派マリアナ集団や他のパワースポット信仰者とも和解しようと度々交渉を行なってきたハト派。しかし若い頃はバリバリの武闘派だった。強い。
異能力は『崩壊輪廻』
31代目総帥 カーネル・サイレンス

現在のマリアナ総帥。他のパワースポットへの侵略とマリアナ圏の拡大を狙っている。
詳しくは上述。
生息エネミー
1層
- アラクネエネミー
- 葛のエネミー
- ミントのエネミー
- 竹のエネミー
- イルカソルジャーエネミー
2層
- 茨のエネミー
- シーサーペントエネミー
- メガネウラエネミー
3層
- ガトリングエネミー
4層
- クラーケンエネミー
5層
- マッハエネミー
6層
- 姑獲鳥エネミー
7層
- シャコエネミー
8層
- 珊瑚エネミー
9層
- 振動エネミー
10層
- 火災のエネミー
11層
- バジリスクエネミー
12層
- オイルエネミー
13層
- 辻斬りエネミー
14層
- カメレオンエネミー
15層
- 未来のエネミー
16層
- 折紙のエネミー
17層
- 大蛤エネミー
18層
- バレットエネミー
19層
- ハリケーンエネミー
20層
- トリックエネミー
21層
- 煙々羅エネミー
22層
- 八つ裂きのエネミー
23層
- アルラウネエネミー
24層
- 塵外のエネミー
最下層
- マリアナ・ティターンエネミー
マリアナ神話
1章 マリアナの洗礼
マリアナの歴史はアルプスよりも浅い。マリアナ海溝は深いのに歴史は然程深くない。
始まりのアルプスよりもずっと先、比較的近代にて後にマリアナの初代総帥となるアリエルはマリアナ付近の工場で技術者として働いていた。当時ブラック企業などという概念はないがそこはブラック・オブ・ブラックな工場。
仕事が辛い→酒に逃げる→金が無くなる→賃金が安い→金を稼ごうと頑張るが上手くいかない→酒に逃げる→金が無くなるの無限ループに入ったアル中アリエル。酒も金もプライドも無くした彼女は遂に工場のメチルアルコールをくすねてがぶ飲みしようとしていた。
メチルアルコールに口を付けたその瞬間、アリエルの脳内に雄大なマリアナ海溝の幻影が流れ込む。アリエルは本能的に理解した。マリアナ海溝こそが至高であり、私はそれを信仰するべきなのだと。
口の端からメチルアルコールを垂らしながらアリエルはマリアナに目覚めたのだった。
2章 笹食ってる場合じゃねえ!
『マリアナってすごい』
そう思ってからは速かった。光の速度で飛び起きると、アリエルはメチルアルコールの瓶を片手に工場を爆走する。途中で怒鳴り散らしながら止めようとした工場長の後頭部に瓶の一撃を加え、中身のメチルアルコールを穴という穴に流し込むと窓ガラスを粉砕して海へと飛び出していった。
こうしてアリエルはマリアナ海溝への記念すべき第一歩を踏み出したのだった。
ちなみにこの件でアリエルは工場を粉砕して工場長殺害の指名手配犯となってしまったが、本人は冤罪でありこれはアルプスの陰謀だと訴えている。
3章 過酷なるマリアナへの道
勢いよく窓から飛び出したアリエルはそのままの勢いで海に飛び込む。そしてマリアナ海溝へ目指して海の中を爆進して行く。そう、気分はマリアナバクシンオー。しかしアリエルがマリアナ海溝に辿り着くことはなかった。
彼女はカナヅチだったのだ。
カナヅチがいくら頑張って泳いでも泳げる訳もない。なんならドンドン沈んでいく。気分だけバクシンオーでもどうしようもなかったのだ。バクシンバクシン〜(沈没)
道半ばにして初代マリアナ総帥は、マリアナ海溝に辿り着くことなく溺れてしまった。
マリアナは過酷。アリエルはそれを身を持って理解したのだった。
こうしてアリエルは溺れ死んだ。
悲しい最後だったね……。
マリアナ昔話 ——fin——
4章 ブラック企業社畜の嗜みですわ
溺れ死んだはずのアリエルは口から海水を吐きながら地上に戻って来た。彼女はギリギリのところでサンズリバーからの帰還に成功したのだ。だがこれは偶然ではない。彼女が生き返ったのには理由がある。
ご存知の通り、工事はブラック・オブ・ブラック企業だ。すなわち過労死である。アリエルは何度も仕事中に過労死しかけており、その度に労働力を減らしたくない工場長の手によって現世に無理矢理引き戻されていた。
つまりサンズリバーのババアとは顔馴染みなのだ。
『あ、また来たの?今日は日帰り?』
『うん、すぐ戻るんだ〜』
『そっかぁ。工場勤務頑張ってねー』
と和やかな会話をして返して貰えるくらいにはサンズリバーの常連さんになっていたのだ。辛い。そして今回もギリギリのところで助かった。
サンキュー工場長。フォーエバー工場長。空には既に亡くなった工場長がサムズアップしながら星になっている。彼は犠牲になったのだ……。初代マリアナ総帥の犠牲の犠牲、その犠牲にな。
5章 これが結束の力!!
だがサンズリバーから戻ってこれてもマリアナ海溝に行けなかったのは事実。
もうダメだ……生身でマリアナ海溝になんて行けるわけがない……。そんな至極真っ当なことを呟きながらアリエルは絶望に打ちひしがれて砂浜で膝を突く。
だがそんな彼女の肩をポンと叩く者がいた。
『おいおい水臭いじゃねえか!俺も連れてってくれよ』
『オーシャ……』
『絶望するなんてお前らしくもない。諦めが悪いのが唯一の取り柄じゃなかったのか?』
『ブルー……』
『君はこんな所で諦めるのかい?』
『アクアポリン吉岡……』
『あのすみません、ここはエジプトですか?』
『知らない人……』
4人の仲間が彼女と共に並び立つ。1人では無理な難題でも仲間と一緒なら乗り越えられる。努力友情勝利。これが王道ジャンプ展開だ。
『みんな!行くぞ!』
『『『『おう!』』』』
5人は1列に並んでポーズを取ると次々に海へと飛び込んでいく。結束の力、すなわち皆で力を合わせれば乗り越えられないことなどそんなにない。1本の矢よりも3本の矢の方が折れにくいのだと古事記もそう言っている。
そして意気揚々と飛び込んだはいいが、案の定全員溺れて海底へと沈んで行った。
カナヅチが5人に増えた所でどうにもならないのだ。現実は非情である。
6章 マリアナ「アリエルーー!!いい加減早く来てくれー!!!」
『ダメだ……勝てない……マリアナ海溝に辿り着く術は……ない』
仲間を失い、本日2度目のサンズリバーからの復活を遂げたアリエルは砂浜で涙を流す。
だが、アリエルの言っていることも一理ある。なぜならマリアナ海溝はパワースポット系の中でもその場に到達するのに最高難易度を誇っているからだ。
アルプスならば麓に立つだけでもアルプスパワーを受け取れるので、それを元手にじわじわ登っていくことができる。だが、マリアナ海溝は深すぎる。マリアナパワーを受け取るにはマリアナ海溝に近づく必要があり、その為には『水中に潜ること』『酸素の問題をどうにかすること』『水の冷たさによる体温問題』『水圧』などなど、マリアナパワーがなければ対応できない問題で山積みなのだ。故に海系のパワースポットは、一部の海面でも十分なパワーを取り込める場所を除いて人間ではなく海中でも問題なく生活できるタイプのエネミーの信仰を得て形を保っている。
マリアナパワーを手に入れる為にマリアナ海溝に潜るのに、そもそもマリアナパワーがなければマリアナ海溝に辿り着けないという矛盾。
これを解決できない限り、人はマリアナ海溝に辿り着けない。
『いや、よく考えたら普通に行けるわ』
突然アリエルは立ち直ると自分が元いた工場へと戻っていく。しばらくしてメチルアルコールとその他金属の廃材などのパーツを持って砂浜に戻ってきた。
アリエルの能力は『Over Technology』。あの『Over Power』と対を成す異能力……でもなんでもないが、その能力は強力無比。現代の技術力を大きく超えた技術を持ち主に与える異能だ。そこら辺のゴミ捨て場の鉄屑で近代兵器を組み上げられるとでも言えばその危険度が分かるだろうか。
アリエルは工場から奪った鉄屑を異能で加工し、自分自身にも『Over technology』を適用して生体改造を行う。人体改造に一切の躊躇いを持たないマッドサイエンティストの片鱗を見せつける。
そして暫くすると改造が完了してアリエルは歓喜の雄叫びを上げる。アリエルは工場の鉄屑を組み合わせて自身の足にスクリューを追加、そして肺に海中でも問題なく酸素を取り込み活動できるような改造を施した。さらに生体改造により低温問題を解決。これでマリアナ海溝の入口に辿り着ける準備は整った。
ここからアリエルの真のマリアナ攻略が始まるのだった。
7章 マリアナ攻略 入口到達編
カナヅチのアリエルでも自身の異能で改造すれば問題なし。足のスクリューを回転させながら猛スピードでマリアナ海溝の入り口へと直進していく。途中何度かエネミーに遭遇したが、スクリューによる加速とそのコントロールがあれば問題なく回避できた。
こうしてアッサリとマリアナ海溝入口へと辿り着くアリエル。先程までの苦戦はなんだったのか。果たして本当に4人の犠牲は必要だったのか。アリエルは細かいことは忘れるタイプだったので、そんなこと気にも留めずにようやく辿り着いた達成感に震えていた。
チラッと横を見ればそこにはマリアナ海溝にその巨体が詰まってしまい出られなくなった巨大なウツボ型エネミーの姿がある。悲しそうにこちらを見つめて来るが、助けに近づいたらなんか喰われそうな気がしたのでアリエルはそのままスルーしてマリアナ海溝の中へと潜って行った。
余談だがこの『マリアナ・自分のことをリヴァイアサンだと思い込んだ一般通過巨大ウツボのエネミー』、現代に至るまで救出されておらずその仲間が食用としてマリアナで養殖され始めた。
8章 マリアナ攻略 第一関門 マリアナ・アラクネエネミー編
マリアナ海溝の中に入るとアリエルにマリアナ海溝に満ちたマリアナパワーが取り込まれていく。まだ明確にマリアナパワーを扱う修行を行っていないので取り込めた量は微々たるものだが、このマリアナ海溝で活動する分には十分である。
念願のマリアナパワーを手に入れて感動するアリエル。そのまま勢いに乗ってどんどん潜っていく。やがて一定ラインを超えた辺りで異変が生じ始める。
マリアナ海溝に蜘蛛の巣が貼ってあるのだ。それも大量に。
新種の蜘蛛かなー?と呑気に考えながら降りていたアリエルは、背後から近づいて来る子蜘蛛エネミー達に気がつくことが出来なかった。咄嗟に初撃は回避したものの、大きく飛び退いたせいで張り巡らされた蜘蛛の巣に囚われてしまう。
必死に逃げ出そうと踠くもさらに絡みついて動けなくなる。足スクリュー系サイボーグ女の縛りプレイなど誰が見たいというのか。だがこの蜘蛛の巣の主であるマリアナ・アラクネエネミーは誰得光景を餌として認識して蜘蛛の巣を渡って近寄って来る。蜘蛛の下半身に女の上半身を付けた異形のエネミーにしてマリアナの第一関門。それが牙を剥き出しアリエルを捕食しようとする。
絶対絶命のピンチ。アリエルはヤケクソでスクリュー回転させた右足でアラクネエネミーに何度も蹴り付ける。上手い具合にダメージが入りアラクネエネミーは後退する。と、同時にスクリューに巻き込まれたことで拘束していた糸も引きちぎれていた。アリエルはこれ幸いとばかりにずっと飲む機会を失っていたメチルアルコールの瓶を投げつける。当然、アラクネエネミーは蜘蛛足で叩き割るが、中から溢れたメチルアルコールを吸ってしまい体調不良を起こしてしまう。すなわち攻撃のチャンスだ。
右足のスクリューは糸で絡まり使えない。アリエルは身につけたばかりのマリアナパワーを解放して左足のスクリューに流し込む。そして強化した左足でアラクネエネミーへと突っ込み、その喉元をスクリューの蹴りで掻き切りその命を断ち切った。
9章 マリアナ攻略 拠点作り編
無事に第一関門のマリアナ・アラクネエネミーを倒したアリエル。さらに深部へと進もうとしたが、今の身体ではこれ以上進むと耐えられないことに気がつく。身体をアップデートするか、マリアナパワーをより多く獲得してより上手く扱えるように修行するかしないと先に進めない。仕方がないのでここで修行も兼ねて一休みすることにした。
岩壁にマリアナパワーで強化した拳やスクリューを叩き込み、簡易拠点を作成する。足を付けることが出来る場所を作るとアリエルは一息吐いて戦闘で使ったスクリューを修理する。
身体メンテナンスを終えるとお腹が空いて来るのが人の常。しかし持ってきた食料はすでに尽きてしまっている。何か食べ物はないかと辺りを見渡すと、先程仕留めたアラクネエネミーの死骸と子蜘蛛エネミー達が目についた。
アリエルは腹が減っている。そして目の前には食料(死骸)がある。
迷いはなかった。
腹拵えも終えたのでアリエルはマリアナパワーをより体に馴染ませ、より取り込めるように体の改造と精神統一及び修行を行い次の階層に進むための準備を行う。ついでにアラクネエネミーの外殻を『Over technology』で改造して武器に作り変える。何度もスクリューを武器にしては身が持たないとの判断だ。
たとえ設備がなくても大丈夫。
そう、『Over technology』ならね。
改造されたアラクネエネミーの死骸は『アラクネ01』と名付けられ以降アリエルの装備品となる。蜘蛛糸を生み出して操るアラクネエネミーの能力を引き継いでいる優れ物だ。
10章 マリアナ攻略 ダイジェスト編
武器を手に入れ、マリアナパワーを馴染ませたアリエルは以降トントン拍子で階層を突破していく。長いのでダイジェストだ。
第二関門では、番人であったマリアナ・棘のエネミーとマリアナ・クラーケンエネミーの触手コンビを、マリアナパワーで強化された肉体で千切っては投げ、千切っては投げで処理することに成功する。
途中お腹が空いたので、近くに生えていた☠️マークのキノコを食べて死に掛けたがなんとかなった。
第三関門では、マリアナ・マッハエネミーの上に乗ったマリアナ・ガトリングエネミーに苦戦させられたが、『アラクネ01』の蜘蛛糸でスピードを封じてガトリングを奪い取ることで勝利出来た。
途中喉が渇いたが水を失ってしまったので、代わりに海水を飲んで死に掛けたがなんとかなった。
第四関門では、マリアナ・姑獲鳥エネミーとマリアナ・シャコエネミーの動物コンビであった。飛行能力を有するが海中なのでだから何?としかならない姑獲鳥を蜘蛛糸で縛り上げ、シャコパンチにぶつける事で仲間割れを誘発。シャコの甲殻の隙間に前関門でガトリングエネミーから奪ったガトリングを発射してまとめて粉砕した。
そして撃破後に、たまたま目の前にフグのエネミーが浮かんでいたので栄養補給として食べたら毒に当たってしまい苦しんだがなんとかなった。
第五関門はマリアナ・珊瑚エネミー、マリアナ・振動エネミー、マリアナ・火災のエネミーの豪華3本建て。
ここは水の中なのに消えない炎を放って来る火災のエネミーや、至る所から珊瑚を生やし珊瑚ミサイルを珊瑚エネミーに、振動エネミーが当たると内部粉砕を起こしてしまうショックウェーブを連射してくる振動エネミー。これらが3体がかりで襲って来る最難関エリアだった。
しかし、マッハエネミーの素材から作り上げた『マッハ05』のバイクを水中で乗り回して攻撃を避けながら先程同様に相手の攻撃を他者に当てるように誘導しながら1人ずつ対処していくことで対応する。まずは厄介な振動のエネミーを蜘蛛糸で縛り上げ、珊瑚ミサイルの盾にして始末する。次に珊瑚のエネミーを茨とクラーケンから作り上げた鞭で滅多打ちにしてダウンさせ、最後に残った火災のエネミーを珊瑚のエネミー共々バイクで轢き殺してフィニッシュに成功。
戦闘後、達成感から勝利の雄叫びを上げると酸欠になり死に掛けたがなんとかなった。
第六関門はマリアナ・辻斬りのエネミーとの一騎打ち。全身から刀を生やし飛ぶ斬撃を放つ辻斬りのエネミーに苦労するも、棘のエネミーとクラーケンエネミーから作った『スパイン02』と『クラーケン03』の鞭を断ち切られるがそれを囮に、マリアナパワーで強化した腕力で首を捩じ切って勝利した。
しかし本当の敵はここからだった。
油断したタイミングで透明になったマリアナ・カメレオンエネミーがマリアナ・バジリスクエネミーを透明化させて襲撃に来る。身体を麻痺させる猛毒を透明状態で狙うヒットアンドアウェイ戦法で襲いかかって来た。
なんとかカウンターで相手に手傷を負わせて撤退させるも、こちらも『アラクネ01』と『バイク05』が使用不可能になる損傷を負わされた。
建てた簡易拠点で休憩し、またしてもお腹が空いたので『今度は行けるかなー?』と思いながら💀マークのキノコを食べて案の定苦しみつつ、マリアナパワーの回復力で両方の毒をある程度解毒するとすぐに第七関門へとアリエルは向かう。
第11章 マリアナ攻略 ダイジェスト2編
第七関門で待ち受けていたのはマリアナ・石油のエネミーとマリアナ・折紙のエネミー。石油を産み出し操るという豪快な戦法と耐水性の紙を組み上げ式神を作るというせせこましい戦法に対して、こちらは火災のエネミーを素材に作り上げた新武器である火炎放射器『ファイア08』で対抗。相性の良さもあり非常にアッサリと勝利した。
しかし勝利したタイミングを見計らいマリアナ・未来のエネミーが襲来。未来のエネミーはアリエルに攻撃を仕掛ける事なく何故か占いを始めた。占いの結果、これより先に進むとアリエルは非常に辛い思いを体験することになるという。ここで引き返した方が幸せになれるが、それでも進むのかと問いかける未来のエネミー。
それに対して『ワイのお代はこれやー!』とシャコエネミーから作り上げた『シャコナックル07』で顔面を殴り飛ばしその口の中に毒キノコの食べ残しを突っ込んだ。アリエルは占いを全く信じないタチなのだ。未来のエネミー、お前はちょっと相手が悪すぎた。
第八関門ではマリアナ・ハリケーンエネミー、そしてマリアナ・トリックエネミーとの戦闘が待っていた。様々な武器や野生エネミーを体内から取り出してこちらにぶつけて来るトリックエネミーに、シンプルに風を操るハリケーンエネミー。
どちらも強敵であったが、ここまでの戦闘で戦闘経験値を貯めマリアナパワーの練度も上がっているアリエルの敵ではない。
まずは邪魔なトリックエネミーを『ガトリング04』で蜂の巣にし、ついで突撃して来たハリケーンエネミーを『サムライソード11』で三枚下ろしに切り裂いた。
無事に勝った……と一息吐いたタイミングでトリックエネミーの死骸の身体が割れて中からカメレオンエネミーとバジリスクエネミーが飛び出して来る。トリックエネミーの異能を使い、虎視眈々とこの時を待っていたのだ。
透明化に猛毒。暗殺に適した2つの能力を駆使して弱ったアリエルを攻め立てる2大エネミー。カメレオンの透明化を見切り刀を突き刺して撃破するも、バジリスクの毒を喰らってしまい絶体絶命のピンチに陥ってしまう。
だが毒が体に回るのもそんな素振りを見せずにバジリスクの頭に牙を突き立て頭蓋を噛み砕くアリエル。そう、アリエルに毒は通用しない。何故ならアリエルはここまでの道中沢山の毒を吸収して来たから毒に耐性があったのだ。
毒キノコ、フグ、バジリスクエネミーの麻痺毒、毒キノコ、毒キノコ……全てはこの時のための作戦だったのだ(違う)。
遂に因縁の敵のカメレオンエネミーとバジリスクエネミーの撃破に成功するも、多大な疲労を強いられてここで暫く休憩を余儀なくされた。体力回復の為に撃破したカメレオンエネミーとバジリスクエネミーの肉を食べたところ、毒と寄生虫に当たり苦しんだがマリアナパワーの応用でなんとかなった。
ちなみにここでトリックエネミーの死体を改造して手に入れた『トリックバッグ16』は様々な物を投入しても大丈夫な優れ物の為、武器格納に重宝されることになる。
続く第九関門……なのだが、一向に目指すべき階層に到達しない。それどころか延々と同じ場所を回っている。しかも降りている間度々曲がる銃弾の襲撃を受け続けていた。
流石にこれはおかしいと気が付くアリエル。おそらく何かしらの方法で空間を歪めているか、幻覚を見せられていると予想を付けた。振動エネミーから作り上げた『ショックウェーブ10』を取り出して適当に振動波をぶち撒ける。すると幻覚で隠れ潜んでいたマリアナ・バレットエネミーとマリアナ・蛤のエネミーを振動波で粉砕することに成功した。
戦闘後、小腹が減ったのでそこら辺にいた魚を掴んで食べたところ、アニキサスに寄生されてしまい苦しんだがマリアナパワーの応用でなんとか助かった。
大した消耗をしていなかったので休憩は程々に続く第十関門へと向かうアリエル。その道中で全身が鋭い刃のエネミーである、マリアナ・八裂きエネミーに襲撃される。鋭い爪や棘を生やして切り掛かって来る八裂きエネミーに対して『サムライソード11』で対抗するも、その凄まじいパワーで刀身からへし折られてしまう。そこでアリエルは、使い物にならなくなった刀を捨てて『ガトリング04』を取り出すと距離を取って銃弾を撃ち込み続ける。
無数の弾丸には対抗できずに血を噴き出しながら倒れる八裂きのエネミー。しかしその身体の中から這い出るように全身煙のマリアナ・煙々羅エネミーが出現して、アリエルの身体に入り込んでしまった。身体に入り込んだ煙々羅エネミーは内側から内臓を砕いてアリエルを始末しようとする。
しかし、彼女はここに来るまで大量の毒を取り込んでいる。彼女の身体はなんで生きてるのか分からないレベルで毒で満ち溢れているのだ。内側に入り込んだ煙々羅エネミーはその毒をモロに食らってしまい、何も成せずに消滅した。
第十一関門の番人はマリアナ・アルラウネエネミー。自然を愛する彼女は、自身の近くに植物を生やして森林状態にして自身の有利なフィールドで比較的穏やかに過ごしていた。
それを見たアリエル、最近サラダ食べてなかったな……と食欲が湧く。バジリスクエネミーから抽出した毒である『バジリスクポイズン18』をドレッシング代わりにアルラウネエネミーへと振りかけてムシャムシャ食べてしまった。ご馳走様でした。アルラウネの毒の影響で腹を壊したが美味しかったのでセーフ。
そしてマリアナ・アルラウネエネミーを突破した今、遂にマリアナ海溝の最深部へと辿り着いた。
長く、苦しい戦いだった。何度も何度も死にかけたが今となっては最後の戦いを残すだけである。
第12章 幕間 装備確認
『アラクネ01』 破損済み
『スパイン02』 破損済み
『クラーケン03』 破損済み
『ガトリング04』
『バイク05』 破損済み
『バードアロー06』
『シャコナックル07』
『ファイア08』
『コーラル09』
『ショックウェーブ10』
『サムライソード11』 破損済み
『オイル12』
『ペーパーカッター13』
『フューチャー14』
『ハリケーン15』
『トリックバッグ16』
『カメレオンフード17』
『バジリスクポイズン18』
『バレット19』
『ヴィジョン20』
『スラッシュクロー21』
『スモッグ22』
『アルラウネシード23』
これらは元となったエネミーの死骸を改造して『Over technology』で作った武器であり、元になったエネミーと同じ異能を宿している。
第13章 マリアナ攻略 最終戦編
マリアナ海溝最深部にて待ち受けていたのは、マリアナ・塵外のエネミーと呼ばれる人型のエネミー。最深部へと降りて来るアリエルを見ると両手にキューブ状の結界を展開して投げつけてくる。
アリエルはガトリングで応戦するも、キューブ結界がバリアの役割を果たしてそれらを弾き返す。ガトリングで防御を抜けないことを確認するとそれを投げ捨てて新しく作り上げた『スラッシュクロー21』を装備。そのまま鉤爪の連続攻撃を仕掛ける。が、塵外のエネミーはキューブ結界を散弾のように発射してアリエルを近づけさせず吹き飛ばしてしまう。
吹き飛ばされて顔を顰めるアリエル。牽制のために『アルラウネシード23』から取り出した種子爆弾を投げ付ける。しかしそれらは塵外のエネミーが展開した結界に閉じ込められてしまう。それどころか、結界から解放されるとこちら側に跳ね返って来たのだ。
予想外の攻撃に大ダメージを負ったが、まだ戦意が消えた訳ではない。遠距離攻撃は弾かれる。ならばやる事は近接攻撃だ。再び『スラッシュクロー21』を装備してマリアナパワーを解放。強化した脚力を使って距離を詰め首元に鉤爪を振るい切り裂こうとする。塵外のエネミーはキューブ結界を全身を覆うように貼り防御耐性を取る。
何度も何度も爪を振るい続けると結界にヒビが入り粉々に砕ける。『行ける』そう確信して両手の鉤爪を喉に突き立てて思いっきり振り抜いた。
血を噴き出して膝をつく塵外のエネミー。だが即座に巨大キューブ結界弾を無数に発射して反撃する。『コーラル09』の珊瑚をバリアのように展開して防御するも、突然真後ろからキューブの連続攻撃を受けてしまう。倒れながら振り向くとそこにはばら撒かれたキューブ結界の中に塵外のエネミーが入り込んでいた。
塵外のエネミーは自身の異能で生み出した結界の中なら自由に移動することができる。その性質を使ってテレポート紛いのことをやってのけたのだ。
塵外のエネミーは血を流し倒れたアリエルに近づきトドメを刺そうと腕を振り上げる。だが、その瞬間眩暈を感じ急にふらついてしまう。
何度でも言おう。
アリエルはこの道中さまざまな毒物を食べて来た。その身体には毒が蓄積されている。それは体外に出れば他者にとって有害になるほどに。
眩暈を感じて攻撃の手を辞めた一瞬の隙をついて、アリエルはマリアナパワーを集めた拳を振り抜き塵外のエネミーの心臓を抉り貫く。
勝敗は決した。
静かに倒れていく塵外のエネミーの隣で勝利を噛み締めるように血塗れの拳を突き上げるのだった。
こうしてマリアナ海溝は人の手により初めて攻略された。
初代マリアナ総帥誕生の瞬間である。
第14章 幕間 マリアナ開拓編
マリアナ海溝を制覇したアリエルがまず最初に取り掛かった事は最深部に自身の工房を築く事であった。『Over technology』はその技術力であらゆる事を可能にする凄まじい異能だ。しかし環境が整っていなければその真価を発揮する事が出来ない。
故にアリエルはまず環境整備から始めることにした。それから作り上げた工房を元に、当時の技術では難しいマリアナ海溝最深部と地上を結ぶエレベーターを作り出す。その過程で、各エリアに建設した修行のための簡易拠点を作り直して繋ぎ、複数階層構造に作り替えた。これをアリエル1人でやるのは人手が足りなかったので、そばに居たマリアナ・イルカのエネミーを『マリアナ・イルカソルジャーエネミー』へと改造して大量生産して助手として起用した。
これでかつてのアリエルの様に、わざわざ海に潜らずともマリアナ海溝を訪れる事を可能にし、マリアナを求める人がマリアナを訪れるハードルを大きく下げることに成功する。
これが現在のマリアナ海底基地の成り立ちである。
海底と地上の行き来がしやすくなったことで、さらに資材を搬入しやすくなり益々マリアナは開発されて行った。
その甲斐もあり、マリアナには1人、また1人とマリアナに導かれし人々が集まりその信仰を捧げ修行に身を窶すようになった。
強力なマリアナエネミー達がひしめき、人1人居なかった訪れる事すら許されない未開の地マリアナはもう存在しない。
アリエルの手で開拓されたそこは、マリアナを信仰する人やエネミー、イルカソルジャー達、土産物屋、ネパール人がやってる本場インドカレー屋などで満たされた活気のある場所へと変化していた。
アリエルは活気に満ちたマリアナを見て1人達成感を噛み締める。思い出すのは志半ばで散って行った仲間達。
『オーシャ、ブルー、アクアポリン吉岡、知らない人……終わったよ……』
しかしこの時のアリエルは知らなかった。
本当の困難はこれからだということに。
海底戦争の火種はひっそりと、だが着実に近づいて来ていることに。
第15章 新章開幕 海底戦争編
第15章 新章開幕 海底戦争編
アリエルのマリアナ制覇から3年後、海底は『海底繁栄王国アトランティス』
『海底宗教国家バミューダ・トライアングル』
『海底傭兵帝国サルガッソー』
の3つに分かれて混沌を極めていた。
3カ国はそれぞれ小競り合いを続けており海底はいつ大戦になってもおかしくない緊張状態が続いている。
ここで各国について軽く解説をしておく。
長いので気になる方以外は読み飛ばしていいよ。
まず『海底傭兵帝国サルガッソー』
彼らはサルガッソーから授かったサルガッソーパワーを扱う傭兵達の集団が集まって生まれた国だ。もっとも良い戦績を残した者がこの国の皇帝である『カイザー・サルガッソー』になることが出来る。報酬さえ払えばどんな仕事も熟すことが特徴であり、第一次、第二次の海底戦争では様々な相手と協力して戦争を引っ掻き回した武闘派集団だ。その性質上、強き者には一定の敬意を払う性質がある。
サルガッソーパワーを解放すると足元に渦巻くような海流型オーラが展開される。
次に『海底宗教国家バミューダ・トライアングル』
彼らはバミューダ諸島付近の海底に拠点を構えている集団だ。魔の三角海域と呼ばれるバミューダ・トライアングルから力を得たと言われるが他の二国と異なりあまり外交が少ない為、その正体の多くは謎に包まれている。そもそもバミューダ・トライアングル自体に謎が多く、一説によれば異世界に繋がっているとも言われているが定かではない。
彼らは代々バミューダ・トライアングルそのものに絶大な信仰を置いており、他の神や自然を信仰する者を異教徒と見做して嫌っている。彼らの集団のリーダーは『バミューダ教皇』と呼ばれ、民主主義的に投票で決定される。バミューダ・トライアングルパワーを解放すると、頭上に三角形のバミューダ・トライアングルを模した幻影が展開されることが特徴。
最後に『海底繁栄王国アトランティス』
彼らは大西洋の海底に築いた巨大都市で生活している集団である。元々は地上で繁栄していたらしいが、ある事件をきっかけに海底に潜ることになったという。大西洋から力を借りるアトランティス・パワーを扱い、他の二国と比べて軍事力に長けた集団である。彼らの王はアトランティスを建国したという男の血族である王族が『アトランティス大王』と名乗り勤めている。
アトランティスパワーを解放すると、背中に雄大な大西洋の幻影が発生する。
どれもこれも今より遥か昔に人が到達しており、マリアナとは比べものにならない程の歴史を誇っている。
ちなみにマリアナは『海底蛮族集団マリアナ』と呼ばれており、新興勢力であるが故に彼らに相手にされずに比較的平和を保っていた。アリエルは名前に大いに不満があるようだが……。
しかしそんなマリアナにある日突然事件が発生することになる。
第16章 親方!空から女の子が!
ある日、マリアナ最深部に建築した自身の工房でアリエルが自己改造を施しロケットパンチを腕に仕込んでいると、突然マリアナ・イルカソルジャーエネミーの1人が緊急連絡を繋げて来た。
『総帥!空から女の子がでイルカ!』
『何!?そいつは腐ってないか?食えそうか?』
『まだ生きてますでイルカ!』
『分かった。とりあえず確保しつつ救護しておいてくれ』
『了解でイルカ!』
イルカソルジャーに指示を飛ばしてアリエル自身もその噂の女の子の元へと急いで向かっていく。
このマリアナに五体満足無事に落ちてくるとなれば、何かしらの異能か自然エネルギーを持っていると考えられる。となると、入信希望者か、何処かの海底国家の使者の可能性なども考えられる。
海底基地の救護室にて治療を受けて目を覚ます少女。側にはマリアナでマリアナパワーを収めた人間であるアスカ大佐が見張りをしていた。
彼女はアリエルの姿を見るとすぐに口を開いて捲し立てた。
曰く、彼女の名前はサナ。彼女は現カイザー・サルガッソーの妹であり、偶然海底戦争を裏で糸引く黒幕を知ってしまい、それ故に命を狙われていてここまで逃げてきたのだという。
いや海底戦争に黒幕とか居らんやろ……と思いながらも胡散臭げに話を聞いていたが、『口を慎みたまえ。君は今マリアナ総帥の前にいるのだぞ』と少女にピストルを向けるアスカ大佐を急いで止めに入る。
確かに話は荒唐無稽だが、彼女は嘘をついている様には見えない。それならば信じてみるのも悪くないかもしれない。アリエルがそう思ったちょうどその時、マリアナ海底基地に警報が鳴り響く。どうやら何者かが侵入してきたらしい。
咄嗟に身構えるアリエルと大佐。先程の話からサナを守る様にポジションを取る。一方イルカソルジャーはお見舞い品のリンゴを齧っていた。
病室のドアがガタガタと揺れる。そしてドアと床の隙間から傾れ込む様に黒い粘液の様な流動体型の不気味なエネミーが入り込んできた。
第17章 神触・黒泥のエネミー
『ケテリリ』
黒い粘液のエネミーは身体に無数の牙が生えた口を生やすと奇怪な鳴き声で鳴く。するともう一体同じ姿をしたエネミーが隙間から入り込んできた。
サナは顔を青くしながら叫ぶ。あれこそが自身をここに追い詰めた追手だと。
先手必勝。アスカ大佐が懐から銃を抜きエネミーに撃ち込む。しかし、然程聞いた様子もなくエネミーは二手に別れてアリエルと大佐にそれぞれ襲い掛かってきた。
アリエルはアスカ大佐の方には目も向けずに、目の前の粘液型エネミーにマリアナパワーを乗せた拳を叩きつける。
アスカ大佐はマリアナパワー免許皆伝まで取得するほど収めた男だ。そう簡単に倒されはしないと確信しているのだ。
殴られたエネミーは体液を飛び散らせながらも、一塊に集まり何事もなかったかの様に動き出す。どうやらこの変幻自在の流体の身体がコイツの異能に当たるらしい。
打撃は効果が薄いと見ると、アリエルはバッグから『ファイア08改』を取り出して装備する。
そして牙を剥き出しにして飛びかかってきたエネミーの口に火炎放射器の銃口を突っ込むと、引き金を引きその体内に炎をぶち撒けた。
体内から高熱度の炎に焼かれたエネミーは断末魔を上げる事もなく黒い塵のようなものになり消滅していく。
『マリアナの雷を受けるが良い!』
アスカ大佐もまた、与えられた異産による雷撃でもう片方のエネミーを問題なく始末していた。
アリエルは先程まで半信半疑であったが完全に確信した。黒幕が本当に実在しサナを殺そうとしている事に。
マリアナの警護をアスカ大佐と側近のイルカソルジャーに任せると、アリエルは少数の護衛を連れてサナと共に『バイク05改』に乗り込みサルガッソーへと向かっていった。
目的はただ1つ。サルガッソーやバミューダ、アトランティスと同盟を結びこの海底戦争を仕掛けた黒幕を暴き出し海底に平和を取り戻す事だ。
第18章 海底傭兵帝国サルガッソー
サルガッソーに到着したアリエル。門番にはサナを見せる事でサルガッソー大結界を通してもらった。意外とアッサリ通して貰ったことに困惑しつつも、そのままサルガッソーのトップであるカイザー・サルガッソーの元へと連れて行かれる。
カイザーに歓迎されるアリエル達。
事情を説明すると、サナはこの海底戦争には裏で糸を引く黒幕が居ると伝える。そしてこのサルガッソーにもその黒幕と内通する者もいると。事実、カイザーの側近の内通に気がついたからサナは殺されかけたのだと。
しかし、カイザーはサナの言葉を聞き入れない。幾ら何でも荒唐無稽だと。ましてや信頼する側近が裏切っている筈がない。
話が膠着して進まない。業を煮やしたアリエルは前に進み出てカイザーに手袋を投げ付ける。
『決闘だ。このサルガッソーでは強いやつが尊ばれるんだろ?なら私が勝てばサナを信用して、対黒幕に対してマリアナと同盟を結べ』
『へえ、おもしれー女。気に入った。ぶちのめして這いつくばらせてやるぜ』
第19章 決闘!カイザー・サルガッソー
サルガッソーのコロシアムにてカイザーとアリエルは対峙する。このサルガッソーではコロシアムによる決闘は大衆娯楽と化している。何なら裁判も決闘で決まる。マリアナよりよっぽど蛮族世界である。
『サルガッソーの誇りに賭けて公正なる審判を行う事を誓います』
カイザーとアリエルの決闘の審判は、サルガッソーの剣術指南役であるダンディな紳士姿のアーロンという人物が行うようだ。
決闘開始のゴングと共にカイザーのロングソードがアリエルを袈裟斬りにしようと振り下ろされる。対するアリエルは『サムライソード11改』で攻撃を受け止め、反撃の蹴りを腹に叩き込む。カイザーは2、3歩後退すると、先程より速度も威力も乗った拳をアリエルの側頭部に叩き込んだ。
切っては切られ、殴っては殴られの一進一退の攻防が続く。だが、ダメージを受けるごとにアリエルの動きが悪くなっていくのに対してカイザーの動きはどんどん早く、どんどん強く、どんどん硬くなっていく。アリエルはロングソードをへし折るも動きが良くなり続けるカイザーに追い詰められて、コロシアムの端まで追い詰められてしまう。
カイザーの異能力は『傷だらけの英雄』
その能力はダメージを受ければ受けるほどありとあらゆる能力にバフが掛かるという能力。追い詰められれば追い詰められる程、その力は際限なく増していく。その性質上、ギリギリまで追い詰めれば追い詰めるほどステータスが向上するために相手が勝つことは困難になるのだ。
アリエルはサムライソードを投げ捨てて『シャコナックル07改』を装備し直す。そしてマリアナパワーを解放して背後にマリアナ海溝の幻影を展開する。相手の防御が硬いならそれ以上の火力で吹き飛ばすまでだ。
対するカイザーもまた、笑みを浮かべると拳を構えて足元に渦巻くサルガッソーの幻影を展開する。
お互いノーガードの壮絶な殴り合い。僅かな体力を火力で削り切ろうとするアリエルと、どんどんパワーアップしていくカイザー。壮絶な殴り合いの果てに、ついにカイザーのサルガッソーパワーの乗った一撃がアリエルの顎を打ち抜いた。
軍配はカイザーに上がった………かのように見えた。しかし崩れ落ちたアリエルの身体が透明になって消えていく。
そして次の瞬間、轟音を立てながら排気機能を使い破壊力を増したシャコナックルがカイザーの側頭部を殴り飛ばして観客席まで吹き飛ばした。
タネは簡単だ。カイザー勝ったと思った瞬間に『ヴィジョン20改』の幻影を発動して自身のデコイを作り出したのだ。
こうしてアリエルはカイザーとの決闘に勝利した。
頭を振りながらカイザーが観客席から決闘場に戻って来る。
『勝った以上、約束は守って貰うよ』と告げるアリエルの前に跪くとその手を取って、純粋で澄み切った瞳で彼女を見つめてこう言った。
『アリエル、俺と結婚してくれ』
第20章 マリアナ・サルガッソー同盟
『やべえ、全力で頭殴ったせいでカイザーがおかしくなった……』とパニックになり動きが止まったアリエルにカイザーは告げる。
曰く、昔から自分より強い女と結婚するのが望みだったという。自分を倒したアリエルこそが結婚相手に相応しいと。
カイザーのプロポーズに沸き立つ観客達。サナは『お義姉様…』とか言い始める始末。
ツッコミ不在の恐怖の中、混乱したアリエルは『ごめんなさい!』とカイザーの顔に1発叩き込んでその場から逃げてしまった。
後日、ちゃんと話し合いを行なった結果、マリアナ・サルガッソー同盟が正式に結ばれることとなった。サルガッソー内にいた内通者であるウラギールはあの決闘の後処刑したという。ただ、そいつは黒い粘液状のエネミーの擬態であった為、拷問しても黒幕の情報は奪えなかったらしい。
これ以来、カイザーはアリエルと顔を合わせる度にプロポーズして来ることになりアリエルは全て拒否したという。
しかしアリエルは混乱を引き摺らない女。次はバミューダに黒幕の話を持ち込み、同盟を結べるように交渉へと向かった。
第21章 海底宗教国家バミューダ・トライアングル
再び、留守をアスカ対策に任せつつ少数の護衛を連れて海底宗教国家バミューダ・トライアングルへと向かうアリエル。今回はちょっと遠いので、40秒で支度することに定評のあるマリアナ空賊のドーマ一行を護衛に付けて出発した。
バミューダは力を尊ぶサルガッソーとも、マリアナとも違う謎めいた場所である。そもそもバミューダ・トライアングル自体謎の多い場所である為、彼らは自身についてほぼ明かすことのない秘密主義になっている。さらにバミューダ所属のメンバーは皆バミューダに対する高い信仰心を有している為、他のパワースポット信仰者達を排斥する傾向にある。
サルガッソーのように決闘で認めさせるような一筋縄では行かないことを覚悟しなければならない。
そしてドーマの飛行船に乗りながら海中を進んでいくと、件のバミューダ・トライアングルの領土に到着する。
だが明らかに様子がおかしい。火の手が上がり、人々が逃げ惑い、悲鳴と怒号が轟いている。緊急事態と判断してアリエル達は急いでバミューダ本拠地へと船を飛ばして行った。
第22章 バミューダでの戦闘
襲撃されているバミューダの中に突入すると、そこにはかつてマリアナに襲撃して来たあの黒い粘液状のエネミーの大群と、その格上の指揮官と思しきエネミーが人々に襲い掛かっていた。バミューダの戦士達も応戦しているが、数が多すぎて対処が追いついていない。
アリエルはマリアナ空賊達に指示を飛ばして船を使い半分は民間人の避難を、もう半分はアリエルと共にバミューダの戦士達と協力してこの黒い粘液のエネミーを殲滅することを指示する。
ドーマには『ファイア08改』を、自身は『ショックウェーブ10改』を装備して、仲間たちを引き連れて戦場に身を躍らせた。
『ケテリリ』
相変わらず訳の分からない不気味な鳴き声を上げながらバミューダの戦士を食い殺そうとするエネミーを衝撃波で粉砕し、彼らを助けていくアリエルやその仲間達。戦場を走り回りながら、このエネミーは打撃が効きにくいこと、体内への攻撃が有効であること、姿や形状を自由に変えられる異能を持っていることを伝え情報共有していく。
途中、バミューダの兵士を指揮する戦士長であるアヤタカを捕まえて事情を問いただす。
彼が言うには、突然バミューダの幹部であったウラギリオルが黒い巨大なエネミーに変貌すると、粘液状のエネミーを召喚してバミューダの住民を襲い始めたらしい。サルガッソーの時と同じく内部に潜り込んでいた内通者ということだろう。
とりあえず彼に自身達が味方であることを伝えて、再びエネミーの殲滅作業に移行する。
アリエル達の奮闘もあり、黒い粘液状のエネミーの数が大きく減って来たタイミングで、そいつらを指揮していた指揮官エネミーが自ら戦場に出て暴れ始めた。
こいつを倒せば決着が付く。
そう考えて、アリエルとドーマ、そしてバミューダの戦士達は一斉に攻撃を仕掛け始めた。
第23章 神触・汚泥触腕のエネミー
粘液状のエネミーを指揮しているそれは、バミューダの内通者が変化した姿である。その姿は醜悪であり、ドス黒く変色したブヨブヨした肉を中心に無数の触手が生えた奇怪な化け物のようであった。便宜上、粘液状のエネミーを『黒泥のエネミー』、醜悪なエネミーを『汚泥触腕のエネミー』と呼称する。
バミューダの戦士達はそれぞれバミューダパワーを解放して三角のオーラを展開する。さらにアリエル率いるマリアナ空賊達もまたマリアナパワーを解放して伸ばして来る触手を引き千切って応戦する。
だが、汚泥触腕のエネミーは引き千切られても、引き千切られても、その触手を再生させ続ける。マリアナ空賊達が炎で焼いても、バミューダの戦士達が水流で肉を抉っても圧倒的再生スピードで治癒して来る。
これが汚泥触腕のエネミーの異能力『超再生』。一瞬で体力を全快にして来る絶望感にバミューダの戦士達も、マリアナ空賊も心が折れそうになる。
だがアリエルは気が付いていた。このエネミーには核があり、それを破壊すればこの超再生は打ち止めであるということに。その為にはまず肉を削ぐ必要がある。
アリエルは『ショックウェーブ10改』から衝撃を一点狙いで放ち肉を削る。そして空賊やバミューダの戦士達を鼓舞して一点狙いに絞るように指示を飛ばす。
彼らの集中攻撃により、遂に再生が追いつかない程に肉を抉り、一点に核まで届く穴を広げる。
『今だドーマ!やれ!』
その言葉を聞くや否や空賊のリーダー、ドーマが自身の異能を発動させて鉄棒を操り核まで突っ込ませる。ドーマの異能は『鉄塊』。金属を自由自在に操ることの出来る彼女は、地面から金属を抽出して固めると鉄棒を作り上げて核まで届かせたのだ。
さらにそこに戦士長アヤタカが、自身の異能『降魔弓』による光の矢を打ち込み、トドメを刺す。
核を潰された汚泥触腕のエネミーは最後の抵抗として爆発的に増加させた触手を凄まじい勢いで発射して人々を貫き道連れを増やそうとする。
『敵対者を滅ぼすバミューダの光の奇跡』
しかしそこに天から太い光の光線が降り注ぎ、汚泥触腕のエネミーの最後の抵抗を容易く踏み躙って焼き滅ぼした。エネミーは断末魔を上げながら黒い塵となって消滅してしまった。
『マリアナの方々。我々バミューダの民を救ってくれた事を感謝する。本来なら異教徒はこの地に足を踏み入れることは許されないが、緊急事態故に不問としよう』
アリエルの前に錫杖を持った眼鏡の男が進み出る。彼こそがバミューダ教皇である。彼もまたこの襲撃の際に別の場所でエネミーの殲滅に尽力していたのだ。
『何故、ここに来たのか。まずはその要件から聞かせてもらおう……と言いたいところだが、我々は人々の治療とある程度の復興を優先しなければならない。しばらく待って貰いたい』
バミューダ教皇との話し合いはまた後日必ずという事で決定された。
しかし、この出来事から数日後、アトランティス大王からバミューダ、マリアナ、サルガッソーに緊急会議の要請が入る。
今、アトランティス、バミューダ、マリアナ、サルガッソーによる海底四国会談が行われようとしていた。
第24章 海底4カ国会談
海底4カ国会議。かつて行われていたのはアトランティス、サルガッソー、バミューダによる海底3カ国会議であり、そこに入る事を許されるほどマリアナは認められたとも言える。
ちなみに会場はマリアナ海底基地である。この事実はそれだけの信頼を得たとも言える。
マリアナ海底基地の会議室に集まった各国のリーダーとその護衛は物々しい雰囲気に包まれていた。
『アリエル、今日もまた一段と美しいな。結婚してくれ』
『お断りします』
……いつも通り求婚するカイザー・サルガッソー以外は物々しい雰囲気に包まれていた。
ゴホン、とアトランティス大王が咳払いをして弛緩した空気を元に戻すと会議が始まる。各国の挨拶や近況報告を終えると、すぐさま本題の『この海底戦争を裏で糸を引き操る存在』についての議題に移る。
実際に被害の出たバミューダ、襲撃を受けたマリアナ、サルガッソーと同様に、アトランティスもまた内部に潜り込んでいたエネミーによる攻撃を受けたという。そしてアトランティスの保有するサイコメトリーの異能者によりその記憶を読み取らせて、全ての黒幕の存在を知ったという。以後、この黒幕を『アンノウン』と呼称することが決まった。
『今回会議を開いた理由は他でもない。我々アトランティスの傘下に加わり、この黒幕打倒に協力して欲しいということだ』
だがアトランティス大王のこの物言いに、各国の代表は反感を覚える。黒幕打倒のため協力するのは願ったりだ。しかし、アトランティスの傘下に加わるつもりはないのだと。
サルガッソー、マリアナでアトランティスを攻めてもいいんだぞ?とカイザーは凄む。それに追従するように蛮族で有名なアリエルも頷く。
しかしそれでもアトランティス大王は頷かない。それは大国のプライドか、それとも他に理由があるのか。
しかしここで、ここまで沈黙を保っていたバミューダがカイザーとアリエルを援護する。
バミューダはマリアナに助けられた借りがあるから、対立するならばマリアナに付くと。
これには大王も弱り、4カ国は誰かの傘下に入る事なく対等な立場で対アンノウン同盟を結ぶことが決まった。
歴史上初めて、海底4カ国が手を取り合った歴史的瞬間である。
第25章 アンノウンの正体
マリアナにあるネパール人の本場インドカレー屋から出されたマリアナカレーを食べた休憩の後、会議は続く。
アトランティス大王からアンノウンについての詳細な情報が提供された。これは元々アトランティスが保有していた情報と、サイコメトリーで読み取った情報を合わせたものであると伝えて。
アトランティスは今の形を取る前は、地上で繁栄していた国家であったがとある事件をきっかけに崩壊してしまったということ。そして、アンノウンは昔存在したアトランティスの一員だったが、沈んだ時に崩壊して二つに分かれた片割れの存在であり、星辰が正しい位置を示して海より拠点が浮上し今復活したのだということが伝えられた。
つまりアトランティスが黒幕の出所か?というカイザーの茶々を無視して大王は続ける。
アンノウンのリーダーは『神触のエネミー』。
アトランティスに伝わっている話によると、それはかつてのアトランティスの人々が抱いた
『限度を知らずもっともっと繁栄したいという強欲』
『神をも超えるだけの力を手に入れたという傲慢』
『自分より優れた者や優れた生活をする者の足を引っ張りたいという嫉妬』
『後先考えずに子を成し醜いほど増え続ける色欲』
『全ての自然を食い潰しそれを当然とする暴食』
『自然と向き合うことなくその恩恵だけを得たいという怠惰』
『驕り高ぶった自身を諌めようとするあらゆる者に対する憤怒』
これらの想いが集約し1つになって産まれた概念エネミーであると。つまり大罪全部乗せエネミーである。不遜にも自分を『神の領域に触れる』と思い上がったエネミー。だからこそ『神触のエネミー』だという。
しかもその異能力は完全に不明だ。
『神触のエネミー』の目的は海底のパワースポット全ての力を自身の力として、神に成り上がる事。そこに自然への敬意はない。それは旧アトランティスが滅びた原因でもあるのだと。
かつてのアトランティスは『神触のエネミー』を産み出してしまったが故に滅んでしまったらしい。
そして神触のエネミーは強大な兵器を有していると大王は言う。その名は『偽神のエネミー』。
偽神のエネミーは元々は旧アトランティスにて生物兵器として作られたエネミーだ。それを神触のエネミーが目覚めさせ手駒として呼び起こしたらしい。
偽神の数の合計は8体。強力な8体のエネミーに加えて、神触のエネミーの手駒の『黒泥のエネミー』の軍団、その上位個体の『汚泥触腕のエネミー』を倒さなければならない。
アンノウン本拠地の場所は南緯47度9分西経126度43分、または南緯49度51分 西経128度34分にあるという。
そこは異常極まりない非ユークリッド幾何学的な外形を持つ多くの建造物からなっているとのことだ。
第26章 襲撃!偽神のエネミー・重骸
倒すべき敵を認識した各国の代表達。しかしそのタイミングでマリアナが大きく揺さぶられる。
彼らが急いで外に出ると、マリアナの防衛部隊が空に向かって吹き飛ばされていく光景を目の当たりにしてしまう。
襲撃してきたのは巨人のようなエネミー。天使のような翼を生やし骨のような外骨格で覆われたソレは一見すれば神々しく見えるかもしれない。だが、近くから見ればそれが見せかけだと分かるほどその形相は欲望に塗れて醜悪だった。
それが両腕を振り回しながら重力を撒き散らし飛び跳ねている。
『お前の苦労をずっと見ていたぞ。本当によく頑張ったな。散々苦しんだのだからもう楽になれ。これでダメだからもう人生を諦めろ』
一方的にそう告げると自身に攻撃するマリアナ・イルカソルジャーエネミーの軍団に腕を向ける。すると、周囲に凄まじい力の重力が発動し、全てのイルカソルジャー達をあっという間に押し潰し海底の染みに変えてしまった。
その圧倒的な力に息を呑む代表たち。だが彼らは護衛と共に武器を構えて戦闘体制に移る。
アリエルは『アルラウネシード23改』から次々に種子爆弾を射出する。しかしその全てが偽神のエネミー・重骸の周囲に展開された超重力によって地面に叩き落とされてしまう。
唖然としたアリエルは、飛び込んできたカイザーに突き飛ばされて転がっていく。目を向けると先程まで自分が居た場所は圧倒的重力により、底が抜けていた。しかし偽神のエネミー・重骸は真横に重力を発動して全員を一気に障害物諸共吹き飛ばしてしまう。
近づいただけでもその重力に潰される。攻撃しても重力で届かない。そして彼方からの攻撃は常に必殺レベルの破壊力。
どうすればいい?と頭をフル回転させるアリエルの隣にアトランティス大王とカイザー・サルガッソー、バミューダ教皇が前に並び立つ。
『せっかくの同盟だ。我々の力を新入りのマリアナに見せるとしよう』
『バミューダの奇跡をお見せしますとも』
『アリエル、傷ついて尚そこまで美しいとはな。結婚してくれ』
三者三様の反応を見せながら彼らは共に敵へと立ち向かって行った。
第27章 共闘
『敵を封じるバミューダの奇跡』
バミューダ教皇の異能力は『奇跡』。
自身のバミューダパワーを代償に『バミューダ聖書』に記されたバミューダ・トライアングルの奇跡を実行できる能力だ。それにより多種多様な奇跡を再現することができる。
それにより偽神のエネミー・重骸を縛り付けるように三角型のエネルギーが纏わりつき拘束する。
そこにアトランティス大王が距離を詰め、その掌を向ける。大王に上から押し潰そうとする重力が襲い掛かるが、大王は気にした様子も見せずに偽神を逆に吹き飛ばす。それは同じ重力を操る異能のように見える。
それを見て驚くアリエルに『驚いているお前も美しいな。結婚してくれ』と言いながらカイザーは答える。アトランティス大王の異能力は変わり種のコピーであると。
コピー条件は『コピーしたい対象以外の相手からコピーしたい対象を読み取ること』。もし読み取った相手がコピー相手を過小評価していたり、そいつが相手の全力を読み取れていないならそれは再現範囲が狭められ本家より弱くなる。しかし、相手を過大評価していたなら本家より遥かに強くコピーできる癖の強い能力だ。
その異能の名は『贋作想起』。
ストックは3つまで。同時使用はできず、一度切り替えると暫くは切り替えることができないなどの制限がある。今使用しているのは『ベクトル操作』の能力だ。本来使い手より過大評価されたその力は制約はあれど、かなりの強さを大王に与えている。
大王がベクトル操作で相手の防御に穴を開け、バミューダ教皇が拘束している。そこにカイザーと共にアリエルが強襲を掛ける。
『ハリケーン15改』により産み出した突風に乗せて、カイザーをエネミーの胸元に射出する。先程のダメージでパワーアップを果たしたカイザーの一撃は、偽神のエネミーにかなりの手傷を負わせた。
『まだ甘い!畳みかけろ!』
その言葉に合わせてアリエルは暴風の刃を放ち、大王はベクトル操作による空気砲を発射する。教皇は雷撃の奇跡を降らせ、カイザーはロングソードを突き立てようと再び跳躍する。
しかし次の瞬間、偽神のエネミーの周りの空間が歪み彼らの真後ろに瞬間転移する。極まる重力で空間を歪めて短距離間の転移をしたのだ。さらに全員に掛かる重力を乗せて動きを拘束、そこに重力で圧縮したエネルギー波を一気に叩きつけた。
咄嗟に大王のベクトル操作で軽減したものの、全員海底に叩きつけられ重傷を負うことになった。
第28章 決着!偽神のエネミー・重骸
叩き付けられた彼らの前に立った偽神のエネミーは、腕を振り上げ頭上に重力の球体を作り上げる。それは自身に重力方向を向かせてあらゆる物を吸い上げようとしていた。
バミューダ教皇は呟く。
『好都合だ。皆の攻撃を合わせて球体を破壊するぞ。狙う必要はない。自動で吸い上げられるからな』
全員の身体が引力に引き寄せられ浮かび上がったそのタイミングで、一斉に皆は遠距離攻撃を発射する。それにより重力球は耐えきれずに爆散した。
爆散した重力球に気を取られた隙に、遠距離技を持たなかったカイザーが接近する。常時展開されている重力がカイザーを襲うが、ここまでの重傷を負わされたカイザーのバフがそれらを平然と弾く。そしてその胸元に渾身の拳を叩き込み大穴を開けた。
カイザーの後に続き、間髪入れずにアリエルが両手に竜巻を展開する。重力は大王が無力化し、進むべき道は教皇が奇跡で作り上げた。
皆の想いを乗せて、カイザーが作った傷跡に渾身の一撃を叩き込み内側から炸裂させる。
内側から暴風を解放された偽神のエネミー・重骸はその身体を爆裂させられ、全身バラバラになった状態でマリアナの最深部へと落ちていった。
『敵対者を封印するバミューダの奇跡』
そしてバミューダ教皇の封印により2度と目覚めることなくマリアナの地下で封印されることとなる。後に、このエネミーがマリアナパワーを吸収しマリアナ・ティターンエネミーと呼ばれる存在に変化することになるのだがそれはまた別の話。
第29章 一瞬の安寧
偽神のエネミーの内一体を倒した彼らは、その恐ろしさを身をもって体感した為、軍備を整えるべく一時的に自国に戻って行った。カイザーはいつもの如くアリエルに求婚していたが普通に拒否られていた。
そのアリエルだが、偽神のエネミーの強さを目の当たりにして装備の新調を迫られていた。マリアナ海溝の番人達から作った装備は強い。だが、あのレベルのエネミーが複数存在することを考えると、これでは到底敵わない。
『Over technology』をフルパワーで使用して、今までの戦闘データやマリアナの異能者やエネミー達、それら全てを組み合わせて新しい装備開発へと徹夜で身を投じるのだった。
そして数日の開発期間により、アリエルは新しい装備を手に入れる。それは全身に纏う装備であり、これまで作った武器の要素を取り入れあらゆる状況に対応できる高性能スーツだ。何よりもマリアナパワーを受け取りそれを増幅させる機能を取り付けることにも成功している。
その名も『マリアナ・アルゴノーツ』
これならば偽神のエネミーにも負けない。アリエルはそう確信していた。ただし、これは未完成であり完全に完成させるにはまだ時間が必要だった。
突然アリエルにサルガッソーに居るサナから連絡が入る。
『お義姉様!サルガッソーが……サルガッソーが!偽神のエネミー7体の襲撃を受けています!!』
第30章 サルガッソーの滅亡
アリエルがサルガッソーに到着した時には全てが遅かった。
サルガッソーの建物は全て破壊され、辺りには黒泥のエネミーや汚泥触腕のエネミーがサルガッソーの戦士達の死体を貪り喰っていた。
目を向けるとサルガッソーの本拠地には、マリアナに襲撃してきた偽神のエネミーと同じ姿をしたエネミーが6体羽ばたいている。
間に合ってくれ……!そう願いながらアリエルは危険を覚悟で本拠地に突撃する。
そこでアリエルは目撃する。
全身重傷を負いながらも、偽神のエネミーを殴り飛ばすカイザーの姿と、その背後に隠れるように集まるサナを始めとしたサルガッソーの非戦闘員及び、負傷して動けなくなった人々を。そしてその側には偽神のエネミーの死体が一体転がっている。
『っ!……よお、アリエル。今日も美しいな。結婚してくれ。悪いがソイツらを安全な場所まで避難させてやってくれ。ここは俺が引き受ける』
カイザーはいつもの様に笑うと背後のサナ達を指差す。
アリエルはそれを拒否して一緒に戦うと叫ぶ。しかしカイザーはこれを一蹴。今は避難民を安全な場所に連れて行くことが最優先だと答えてアリエルに通信機などが入った袋を投げ渡す。
『コイツらが居ると俺が全力を出せねぇ。サナだけじゃ敵から身を守れない。頼む、アリエル。お前さんにしか頼めないんだ』
カイザーは偽神のエネミー6体を相手に立ち回っているが、長く持つかどうかは分からない。アリエルは断腸の思いで避難民を連れて動き出した。
できるだけ速く避難民を連れてサルガッソーからの脱出を試みる。しかしサルガッソーには敵エネミーが大量に暴れており、負傷している避難民達を連れて行くのは非常に至難の業だった。その間にも通信機からはカイザーの怒号と激しい戦闘音が鳴り響いている。アリエルの焦りは増すばかりだった。
連れて来たマリアナ修行者たちにエネミーの相手をさせて、避難民達を空賊船に乗せてマリアナまで運ばせる。
全ての工程を終えてサルガッソー本拠地へ走りながら通信機越しにカイザーに呼び掛ける。途中からほとんどカイザーの声が聞こえなくなったことがアリエルにとっては気がかりだった。
『カイザー!カイザー!返事して!』
『…………無……事か……アリエル……?サナ達……は……?』
『全員無事だ!皆避難させた!今から私もそっちに行くから持ち堪えて!』
『……なあ、アリエル……生きて…帰れたら……俺と、けっ……婚……』
『する!結婚でも何でもするから死なないで!!』
『は…はは……やった……ぜ……やっと……返…事……くれ……たな……』
『カイザー!返事をしてくれ!もうすぐそっちに着くから!!』
『………アリエル……おれ……ほん…とうに……おまえのこと……あい……し…て……』
『カイザー!!!』
アリエルがカイザーの元に戻って来た時には、既にカイザーは息絶えていた。側にはカイザーが討ち果たした2体の偽神のエネミーの死体が転がっている。アリエルは涙を流しながらカイザーの亡骸を抱きしめ続けた。カイザーの懐から1つの箱が転がり出る。落ちた衝撃で開いたそれには、アリエルとカイザーの名が刻まれた指輪が入っていた。
カイザーとサルガッソーの戦士達は死んだ。非戦闘員しか残っていないサルガッソーは事実上の滅亡を迎えたのだった。
第31章 幕間 そしてアルプスへ
カイザー・サルガッソーは、自身の体力が10%以下になるという特別な条件でのみ発動できる『異能極点』を使用して、2体の偽神のエネミーを討ち倒し、その上で3体目に瀕死の重傷を負わせていたのだ。
その3体目、『偽神のエネミー・磁壊』は死に近い身体を動かして海底から脱出しできる限りそこから離れた場所へと向かった。
神触のエネミーの命令である『自然エネルギーを奪え』が脳内にインプットされていたのか、それとも偶然か。運命は彼をアルプス山脈へと導くことになる。
これが、後にマダガスカルからの外来種であるアルプスゴリラ一族、アルプスのライトサイド&ダークサイドが共闘し討ち倒すことになる32代目総師範アルプス・ティターンエネミーとなるのであった。
第32章 アリエルの覚悟
カイザーの死から数日。マリアナはサルガッソーからの避難民を完全に受け入れる体制を用意して、彼らの生活環境を整えていた。サルガッソーからの難民達は皆嘆き悲しんでいたが、絶望している者は1人も居なかった。皆、非戦闘員ながらもマリアナの元でアンノウンを討ち倒す気概に燃えていた。
そんな中、アリエルは1人指輪を握りしめて感傷に浸っていた。
ずっとカイザーの結婚の誘いを断り続けて来たが、自分はカイザーの事は嫌いではなかった。まだ結婚など考えられなかっただけで、あの直情的な性格も悪くないと思っていた。
カイザーが死んでからようやく理解できた。きっと自分は本当はカイザーのことが……。
どのみち、今更意味のない話である。
アリエルはカイザーからの指輪を嵌めると、決意を固める。カイザーの墓に神触のエネミーと、偽神のエネミーの首を捧げて弔いとすると。
だからマリアナは蛮族なのだ。
そのタイミングでマリアナ警報が鳴り響く。
駆け込んできたイルカソルジャーが叫ぶ。
『偽神のエネミー4体がマリアナに襲撃でイルカ!!現在マリアナの戦士で応戦中でイルカ!!』
ついに来たか……と呟くと、アリエルは未完成のスーツを身に付け、バミューダとアトランティスに援軍要請をしてから窓から飛び出して偽神のエネミーを迎え討ちに行った。
第33章 マリアナの危機
第33章 マリアナの危機
サルガッソーの各個撃破で味を占めたアンノウンは次なるターゲットをマリアナに選択。4体の偽神のエネミーを全て送り込んだ。
送り込まれた偽神のエネミーは
『偽神のエネミー・飢喰』異能力『神触・飢喰聖徒』
『偽神のエネミー・赫炎』異能力『神触・赫炎聖徒』
『偽神のエネミー・冥霊』異能力『神触・冥霊聖徒』
『偽神のエネミー・凶運』異能力『神触・凶運聖徒』
である。それぞれ最初に現れた偽神のエネミー・重骸同様マリアナの住民を殺し建物を破壊して大きな被害を出していた。
到着したアリエルは4体の偽神のエネミーと対峙して睨み付ける。かなり厳しい状況なのは理解していた。こちらの装備は未完成のスーツであり、あちらは以前4人がかりでやっと1体倒した相手が4体。
言葉を選ばずに言えば負け確であった。
偽神のエネミー達はアリエルを発見すると、アリエルに狙いを付けて4体で総攻撃を仕掛ける。
『飢喰』は半透明の牙の生えた口の様な物を大量に生み出しアリエル目掛けて手当たり次第に捕食を始め、『赫炎』は周囲の海水を爆発させ、『冥霊』は地面から黒い手を生やしアリエルを引き摺り込もうとし、『凶運』は何故か楽しそうに手持ちのスロットを回し始めた。
アリエルはマリアナパワーによる強化をスーツの効果でパワーアップして、地面から生えた黒い手は手に持った刀で切り裂きながら爆発と口から逃げ回る。
凶運の持つスロットが出目を指し示すと、突然アリエルの身体が重くなり動きが鈍くなる。おそらく凶運の異能でスロットの出目により何かしらの効果を与える効果があるのだろう。
そこまで分析できても状況が改善する訳ではなく、赫炎の放った爆発によって大きく吹き飛ばされてしまう。
あまりにもにも状況が厳しすぎる。マリアナのメンバーも戦っているが、他国の援軍が来るまで間に合うか怪しい。
アリエルは諦めずに立ちあがろうとするが、そこに4体の偽神のエネミーの蹴りが振り下ろされる。終わりか……と思い目を閉じる。だが一向に衝撃が来ない。
困惑しながら目を開くと、そこには何故かインド映画の最後のシーンの如く踊り狂う偽神のエネミー達の姿が!!
『ワタシガ踊ラセマシタ』
『貴方は本格インドカレー屋のネパール人!?』
『ワタシノ異能。誰デモ踊ラセルネ。長クハ持タナイヨ』
『すまない!助かった!』
まさかの展開。
ここに来てインドカレー屋のネパール人が自身の異能で偽神のエネミー達を強制的に踊らせる超展開に。
今のうちに体勢を立て直すアリエル。その間に、スーツを起動させ『竜巻』『爆炎』『猛毒』『バードアロー』『オイル』の能力を同時に使用。それら全てを踊り狂う偽神のエネミー達に叩き込んだ。さらにそれに合わせて他のマリアナの戦士達も攻撃を放っていく。
煙が晴れると、そこには手傷を負いながらも五体満足の偽神のエネミーが踊り続けていた。しかもタイミングの悪い事にネパール人の異能も切れて自由に動ける様になってしまった。
万事休すか……。誰ともなく呟いたその言葉。しかしそれを否定する様に遠くから無数の攻撃が偽神のエネミー達に降り注ぐ。
『間に合った様だな。マリアナ同盟国、アトランティス及びバミューダ・トライアングル。参戦だ』
攻撃を行ったのはバミューダとアトランティスの連合軍。バミューダ教皇とアトランティス大王に率いられた彼らがマリアナの援軍に間に合ったのだ。
第34章 反撃の連合軍
アトランティス大王が連れて来た回復系異能者によって回復していくアリエルとマリアナメンバー。彼らは回復するや否や、連合に礼を告げて戦場に舞い戻っていく。アリエルもまた、リベンジに燃えて偽神のエネミーの前に立つ。
こうして戦場で四つのマッチアップが成立した。
アトランティス大王vs偽神のエネミー・赫炎
マリアナ総帥アリエルvs偽神のエネミー・飢喰
バミューダ教皇vs偽神のエネミー・凶運
海底連合軍vs偽神のエネミー・冥霊
まずは海底連合軍vs偽神のエネミー・冥霊戦。
アトランティス、バミューダ、マリアナ、そしてマリアナに避難した避難民の中で回復したサルガッソーの戦士、彼らは協力して偽神のエネミーの内一体に攻撃を仕掛ける。
各々、アトランティスパワー、バミューダパワー、マリアナパワー、サルガッソーパワーを解放しながら自身の異能や武器で攻撃していく。しかし、連合メンバー達は次々に地面から生えた黒い手に地中に引き摺り込まれて強制的に成仏させられてしまう。
冥霊の異能力『神触・冥霊聖徒』は地面から手を伸ばして、捕まえた対象を地面に引き摺り込む異能だ。さらに、囚われて一定時間地面の中に埋葬されていると強制的に成仏させるという最悪のおまけ付き。
この最悪の効果により、連合の仲間達はどんどんその数を減らして行ってしまう。
『ははは!見ろ!敵がゴミの様だ!』
『40秒で支度しな!』
『ポニォ アイツ コロス』
『我が名はバミューダの戦士長アヤタカ!さぞや名のある戦士とお見受けする!』
『黙れ小僧!貴様にマリアナが救えるか!』
『偽神のエネミー・冥霊?贅沢な名前だね。今日からお前の名前は『ー』だよ』
だが連合も負けてはいない。
マリアナ空賊の操る船に乗り込み地面から生えた手を交わしながらヒットアンドアウェイを続けて着実にダメージを与えていったり、アスカ大佐の異能力『浮遊』により、ドーマが作り上げた鉄の要塞を浮かばせその中に乗り込み、『降魔弓』で上からの攻撃で対応するなど各々工夫を凝らして攻撃し始めた。
さらに急拵えながらも各国協力体制を敷き、アトランティス・ウルフエネミー達の背に乗ったマリアナ蛮族とバミューダの戦士がその機動力を活かして戦場を駆け回り暴れるなどの活躍を見せていた。
ここで遂に、アトランティス出身のパズという男がマリアナで旅館を営む名前奪い婆から借り受けたラッパ型の異産により威力を高めた『音撃』の異能で冥霊の腕を吹き飛ばした。
それは、サルガッソーのサナの異能『異能強化』によるバフや、バミューダ出身の戦士長のアヤタカの『降魔弓』による援護があっての事だ。各国の力が合わさった事で相手に致命的ダメージを与えることができたのだ。
その隙を逃さず、全員で海底自然パワーを解放して一斉に攻撃を仕掛ける。総攻撃が終わった後、冥霊の死体は原型も残っていなかった。
やっぱり戦いは数だよ数。
第35章 アトランティス大王vs赫炎
次は、アトランティス大王vs偽神のエネミー・赫炎だ。
アトランティス大王は交戦前に2つ目のコピー異能である『アナライズ』を使用する。本来ならば弱点なども暴き出せるが、コピー元がその本来の能力を知らなかった為に弱体化してしまったこの異能は相手の異能しか見抜けない。しかしそれで十分であり、これを使って相手の異能を見抜こうという判断だ。
偽神のエネミー・赫炎の異能力である『神触・赫炎聖徒』の能力はシンプルに『あらゆる物を爆発させる』能力だと『アナライズ』は見抜く。それが水であろうが空気であろうが、触れられるならなんでも爆破できるらしい。
赫炎の放つ爆撃をコピー異能を『ベクトル操作』に切り替えて弾き返し、アトランティスパワーを解放して反撃する大王。しかし弾いた爆炎は偽神のエネミーに届く前に相殺されてダメージは見込めない。そして再び周囲の海水を爆発させて大王へと攻撃を仕掛ける。
大王は巧みにベクトル操作で逸らしていくが、イマイチ決め手に欠ける。ここで一度ベクトル操作の能力を最後のコピーストックと切り替えることを決意する。
赫炎は接近して大王の目の前の海水を叩き、爆発を引き起こして大王を吹き飛ばそうとする。しかし、突然大王から展開された白い翼が大王の身を守る。それらは全て塩で出来ていた。
使用した異能力は『塩害』。塩を操る能力であり、同時に光線を当てた物を生物非生物問わず塩に変える能力も持ち合わせている。
赫炎が放つ爆発も、爆炎も、塩のガードで身を守り、あらゆる障害を全て光線を発射して塩に変えてしまう。この光線の直撃は危険と判断した赫炎は全方向にガムシャラに爆撃を発動して近づけさせないようにする。
相手の周囲を片っ端から爆発させられては、近づくことも光線を当てることもできない。
だが、これを必中させる奥義が大王にはある。
『心領結界 四海創世』
大王が印を結ぶと大王と赫炎を包む様に、終わりを見通せないほど広大な大西洋の海原を模した結界が展開される。この結界内ではコピーした3つの能力のうちどれか1つを必中させられる。
その効果により『塩害』の異能が必中となり、結界に対する対策を持たない赫炎は、なす術なく全身を塩に変えられてしまい、アトランティスパワーを解放した大王に砕かれ敗北した。
第36章 バミューダ教皇vs凶運
奇跡を操るバミューダ教皇とスロットを操る凶運の対決。凶運はスロットの出目によって様々な効果を得ることができる異能を持つ。しかもこのスロット、奪い取れば相手も使えるという一風変わった異能になっている。
それに対してバミューダ教皇は面白い、とらしからぬ狂った笑みを浮かべる。そして誰にも聞かれていないのに唐突に語り出した。
『バミューダ・トライアングルでは何を主にした産業を行っていると思う?カジノだよ。そして僕がどうやって休日を過ごしているか知っているかい?僕のポケットマネーとバミューダの国費を使ってカジノで遊んでいるのさ。お忍びでね。なに、倍にして返すから問題ないよ』
そう言うや否や『奇跡』の異能を使って衝撃の告白にドン引きしている凶運からスロットを奪い取る。そしてキラキラした目でスロットを回し始めた。
デメリット効果が出ようが、メリット効果が出ようが、ひたすらにスロットを回し続ける。周りのことなど一切目に入らぬ様にただただギャンブルを楽しみ続けた。デメリット効果で自身に不利益が降り注ぐと奇跡の異能で回復して元に戻す。
そして気がついたらなんか凶運は死んでいた。あまりにもあんまりな死に方に凶運は涙を流しながら死んでいた。
世紀の豪運対決。その勝負を制したのは稀代のパチンカス、バミューダ教皇であった。
第37章 アリエルvs飢喰
バミューダ教皇が馬鹿なことをしている間に、アリエルと飢喰の戦いは熾烈を極めていた。
アリエルのスーツは今までに手に入れて来たエネミーを素材とした武器全ての力を扱える様に組み込まれている。そして本来なら、別の機能を有していたがそれはまだ未完成。
さらにもう1つ超火力技を扱える予定だったのだが其方はまだ調整も準備も終わっていない状態だ。
つまりこの不完全な状態で飢喰に対応しなければならない。
飢喰は牙を生やした球体状の口を無数に召喚して、アリエルを噛みちぎらせようとする。アリエルは蹴ったり殴ったり、『バレット』の能力で生み出した弾丸で撃ち抜いたり、踏み台にしたりして回避していくが数が多すぎる。一体一体は大したことないが数の暴力は厄介である。
これこそが飢喰の能力。『牙の生えた球体状の口を召喚してあらゆる物を食わせる能力』だ。しかもその大きさや数は自由に設定できる。
アリエルはスーツの能力を使いガトリングを展開して、球体状の口を次々に撃ち抜いて破壊していく。粗方始末し終えたところで、業を煮やした飢喰が今度は数ではなく、さらに巨大な『口』を召喚してアリエルを一息に噛みちぎろうとする。
デカすぎる『口』から咄嗟にマリアナパワー強化で飛び退いて躱そうとするが、左腕を掠って抉りとられてしまう。バジリスクの毒を使おうにも、数を出せる以上意味がない。
『口』は幾ら倒しても意味がない。ならば狙うべきは本体一択だ。
しかし、『口』を好きな様に召喚できる以上そのまま攻撃しても『口』を盾にして弾かれてしまう。どうするべきか考え、アリエルはマリアナ攻略の時を思い出す。まだ誰にも見せていない手札のアレがあったことを。
『口』から『フューチャー』の未来視や『ヴィジョン』の幻影なども使って上手く逃げ回っていたものの、それらの猛攻に耐えられず、遂にアリエルは四肢を噛み付かれて拘束される。
だが、アリエルに噛み付いていた個体とその周囲に居た個体が半透明なキューブ状の結界に閉じ込められる。拘束から解放されたアリエルはそれらにプラスして、キューブ状の結界を次々に飢喰に射出する。キューブに触れると閉じ込められるという事を『口』で目撃している以上、それらを迎撃するのではなく回避する事で対応しようとする。しかし、アリエルの放ったキューブは狙いが逸れて飢喰の背後に飛んで行ってしまう。
『狙いが逸れて万策尽きたか』
飢喰はアリエルを嘲笑うと、巨大な『口』を作り上げて一息にアリエルを飲み込んだ。
勝利を確信する飢喰。しかし、その背後には『マリアナ・塵外のエネミー』の能力を基にスーツに組み込んだ能力で結界内部に転移したアリエルが既に攻撃準備を終えていた。
飢喰が接近に気がついたがもう遅い。アリエルはスーツに組み込まれた全ての能力を解放して、至近距離からの全開放の一撃を叩き込んで飢喰を撃破した。
第38章 連合軍の勝利
偽神のエネミーを全て倒しマリアナを護り切った連合軍。皆満身創痍(バミューダ教皇のみ楽しそうだった)であったが、それを感じさせる事なく勝鬨を上げる。
これでアンノウンの首領である神触のエネミーを守る兵器は全て失われた事になる。新しい兵器を補充する前に電撃作戦を行わなければならない。
だが、連合軍の戦士達の疲労が激しいこの状態であれば暫くの休息が必要だ。
3日だ。
3日間ならば神触のエネミーが新しい戦力を補充できず、こちらもある程度回復できると見込んでの事。マリアナ、アトランティス、バミューダからそれぞれ医者や回復能力を持つ異能力者やエネミーを動員して兵士たちを癒していく。
アリエルもまた、急ピッチで自身のスーツである『アルゴノーツ』と決戦用兵器を完成させに急いでいた。
実を言うと『アルゴノーツ』とは別枠の決戦兵器はもう既にある程度作成済みだ。
あとは完成の一押しをするだけ。その為には、サルガッソー、バミューダ、アトランティスの人々にも協力をして貰う必要がある。既にサナには話を付けて、サルガッソーにある仕掛けを設置して貰った。アトランティスやバミューダにも話は通してあるので、設置が済み次第こちらはもう完成と言って良いだろう。
『アルゴノーツ』の方もまた、アトランティス、バミューダ、サルガッソーの協力が必要だ。
しかし、本当にこれをして良いのかアリエルは躊躇っていた。だが、今はそんな事を言っている場合ではないと考え直す。
そしてマリアナ海底基地内にいる連合軍のメンバーに話を付けに行った。
その後アリエルは、限られた残り時間を全て兵器開発に充てた。その甲斐あって、無事にどちらの兵器も完成させる事に成功したのだった。
第39章 本拠地への襲撃
ある程度回復し、準備を整えた連合軍達はそれぞれの技術を出し合って作った船に乗り、アンノウンの本拠地がある目標ポイントへと向かっていた。
南緯47度9分西経126度43分。2択ではあったが、そこにアンノウンの本拠地があった。
異常極まりない非ユークリッド幾何学的な外形を持つ多くの建造物が並び立つ不気味な島がそのポイントに浮かび上がっていたのだ。
その島の中央に一際目立つ神殿がある。
おそらくそこに神触のエネミーがいる。
連合軍は船から降りて島に上陸すると、神殿目掛けて一直線に進軍を開始した。
連合軍を阻む様に、汚泥触腕のエネミーに率いられた黒泥のエネミー達が現れて乱戦が巻き起こる。そして連合軍の戦士達と神触のエネミーの手下エネミーが争う中、少人数の精鋭部隊が神殿の中へと突入に成功した。
敵が防衛としてこのエネミーを使う事は予知出来ていた。その数が膨大であることも予測できる事だ。島に遠距離攻撃を仕掛けても良かったが、敵の防衛機能がわからない以上下手な事をするより真っ直ぐ向かった方が速いと考えた。
だからこそ連合軍が選んだ作戦は少数精鋭を送り込み、直接頭を潰すこと。連合軍メンバーは黒泥のエネミーや汚泥触腕のエネミーを撃破次第合流する手筈となっている。
選ばれた精鋭メンバーは、
アトランティス大王
バミューダ教皇
マリアナ総帥アリエル
マリアナ空賊統領ドーマ
バミューダ戦士長アヤタカ
元サルガッソー剣術指南役アーロン
全てのアトランティス・ウルフエネミーを従える魔狼 アトランティス・フェンリルエネミー
彼ら7人である。選出基準は簡単だ。
連合軍の中から強さ順で上から7人選んだ。
つまり強いやつを集めてチーム組ませたので、すごく強いチームになった筈である(小並感)。
第40章 最終決戦 神触のエネミー
神殿の壁にはかつてのアトランティスの栄華と滅亡が芸術的に描かれている。しかしそれに気を留めるものは殆ど居なかった。
皆、神触のエネミーを倒すべく前だけを見て走り続ける。
そして口に剣を咥えたフェンリルエネミーの一撃により固く閉ざされた扉が砕かれ、ついに神触のエネミーへの道が開かれた。
扉から真正面の位置に神触のエネミーは玉座に腰掛けて座っていた。
甲殻に覆われつつも黒い海洋生物のようなブヨブヨした肌を持ち、無数の瞳が気泡のように浮かんでは弾けを繰り返している。無数の触手に囲まれた身体の中心に大きな口が開いており、血の様な赤の鋭い牙が生えた怪物。それが神触のエネミーの正体だ。
『逶ョ髫懊j縺ェ鄒ス陌ォ蜈ア繧≫ヲ窶ヲ謌代′蜷阪�繝、繝ォ繝繝舌�繝�。逵溘↑繧狗・槭〒縺ゅk。霍ェ縺�』
神触のエネミーは彼らに何かを言っているが、誰1人として何を言っているのかまるで理解出来ない。
まずはアトランティス大王が『アナライズ』を使用して神触のエネミーを解析する。
解析が終わる前に、アヤタカの弓の支援を受けたフェンリルエネミーが刃をその首に振り下ろす。
『荳肴噴』
一言発すると全身から衝撃波を放ち、フェンリルとアヤタカの弓矢を弾き返す。その隙を付く形でレイピアを突き刺そうとするアーロンと、鉄塊を発射したドーマの攻撃を甲殻の鎧で受け止め、今度は水流と雷撃で反撃を行う。
吹き飛ばされたアーロンとドーマと交代して、バミューダ教皇とアリエルが前に出る。
バミューダ教皇が起こした奇跡により、地面から伸びた茨が神触のエネミーを拘束する。さらにそこでアリエルは完成した『マリアナ・アルゴノーツ』を全身に纏い、紺色の騎士の様な姿へと完全変身を遂げる。そしてショックウェーブを放ちその身体に穴を開けようとする。
『縺ゅ∪繧翫↓繧よ�縺九』
インパクトの瞬間、神触のエネミーの身体からサルガッソー、バミューダ・トライアングル、アトランティス、マリアナ、どれとも似つかないがどれにも当てはまる様な異様な幻影が浮かび上がり爆発的な力を与える。
それにより、拘束を振りちぎりショックウェーブを正面から受け止め、反撃に触れた物を腐らせる息を吐き出してアリエルと教皇を強制的に飛び退かせた。
強い……。皆がそれを感じ、警戒をさらに一段引き上げる。そこにアトランティス大王の解析が終わったとの知らせが入った。
第41章 神触のエネミーの能力
『アナライズ』で解析した神触の能力をアトランティス大王は語る。
その能力の本質は『奪う』こと。
神触のエネミーはありとあらゆる物を奪うことができる。それは自然エネルギーや異能に留まらない。戦闘技能、戦闘経験値、結界術の才能、その魂さえも。
神触のエネミーに異能を発動された者、または神触のエネミーやその力を与えられた者に殺された者は、魂を解放されることなく神触のエネミーに取り込まれ、その魂は死ぬ際の身代わりの残機として消費されるまで永劫にエネルギー源として消費されてしまう。
つまり、これまでの戦いで死んでいった皆の魂と力と戦闘技能と異能と自然エネルギーは全て、コイツに奪われ利用されていると言うことだ。先程の炎や雷撃も奪った異能で、謎の幻影も奪ったサルガッソー、アトランティス、マリアナ、バミューダパワーを自分の物としてごちゃ混ぜにしたのだろう。
神触のエネミーと戦うと言う事は、今までコイツの手に掛かって死んでいった人々やエネミーを全て相手取るのと同じことを意味するのだ。
難敵であることが改めて再認識される。
だがアトランティス大王は策を思いついたらしく、アヤタカを連れて後ろに下がり時間を稼ぐ様に皆に頼んだ。
『時間を稼ぐのは構わないが……別に倒してしまっても構わないのだろう?』
アーロンは盛大にフラグを立てるとサルガッソーパワーを解放して足元に渦を展開し、異能を行使する。
アーロンの異能は『ソード・マテリアライズ』
自身が触れたことのある剣を、その内蔵された仕組みや異能も完全再現して複製できる。
炎を放つ大剣を両手で握り締めて、此方に伸ばされる触手を切り裂きながら前に進む。
その後に続く様にフェンリル、アリエル、教皇も走り出す。
『バミューダの敵に落ちる落雷の奇跡』
教皇の雷撃が神触のエネミーに直撃するも、大したダメージは受けていない。そこにフェンリルが咥えた剣を突き刺して、一直線に走り抜けて斬りつける。
『辟。鬧�□』
しかしその傷は光と共に回復し始めてしまう。だが、その隙を逃さずアリエルは『アルゴノーツ』の能力で毒を刀に付与し、傷口に突き刺して回復を阻害する。
流石の神触のエネミーも苦痛に叫び声を上げる。
『サルガッソーの皆の仇だ。受け取れ化け物め!』
その隙を狙って、大量の魔剣や妖刀を複製して展開したアーロンが一斉掃射で串刺しにすると、その全てを爆発させて壮絶な破壊を齎した。
『やったか!?』
圧倒的な破壊力で先程まで神触のエネミーが居た場所は、床が抜けて崩落してしまっている。
だが、次の瞬間凄まじい速度で肉肉しい触手が伸ばされ、またしてもフラグを建てた一級フラグ建築士アーロンを突き刺してしまう。
アーロンは苦悶の表情で絶叫すると、その身体から色が抜ける様に灰色に変色し、全てを吸い尽くされて全身がボロボロに崩壊して死んでしまった。
地面の穴から無傷の神触のエネミーが這い上がってくると、ショッキングな場面を前に動きの止まった面々に向かって奪ったばかりの『ソード・マテリアライズ』を発動。
大量の剣による爆撃を開始した。
第42章 神殺しの魔狼
『全てを守護するバミューダの奇跡』
バミューダ教皇が奇跡を使ってバリアを貼る。加えて、アリエルもまた巨大なキューブ結界を多重に展開してバミューダ教皇のバリアに重ねがけを行った。
しかし、神触のエネミーは剣の爆撃に加えて毒、炎、雷、氷、水、岩など多様な属性の異能を合わせて発動し、バリアを強引に打ち砕こうとしてくる。
1枚、また1枚とバリアが破壊されていく。
アリエルと教皇の顔に焦りが浮かぶが、頭に打開策は浮かばない。そんな中、アトランティス・フェンリルエネミーが動きだした。
その場で口を大きく開けて一噛みする。
すると、降り注ぐ無数の剣と神触のエネミーが空間ごと『噛み砕かれた』。
神触のエネミーは即座に回復するが、間髪入れずに2度、3度と繰り返し空間ごと噛み潰していく。
アトランティス・フェンリルエネミーの異能力は『神殺し』。
その能力は空間の崩壊。噛み付く動作を行うことで指定の空間を噛み潰して、その中にあるあらゆる物を防御無視で粉砕することが出来る。射程範囲内にいるのであれば神様だって殺してみせる。それが『神殺し』の能力。
しかしデメリットもある。一噛み事に相当量の寿命を必要とする。伝説でオーディンを飲み込んだフェンリルがその息子に討ち取られたように、この力を複数回使用すればフェンリルは死亡する。
計20回の『神殺し』の使用の後、アトランティス・フェンリルエネミーは倒れ伏し動かなくなった。だが、神触のエネミーは空間破壊であってもその身体を再生させて復活する。奪った魂がコイツの残機の代わりとなるのだ。
復活した神触のエネミーは、動かなくなったフェンリルへと目を向けてその死体を奪い取ろうと触手を伸ばす。それを防ぐべく、アリエルと教皇、ドーマは各々『ペーパーカッター』による紙手裏剣や、奇跡による斬撃、鉄の刃により触手を切り落としていくが数が多すぎる。
だが突然触手の攻撃が終わりを迎える。
砕かれた結界の隙間から覗くと、そこには地面から生えた黒い手に取り込んだ魂を奪い取られる神触の姿があった。
『待たせたな!策は成った!』
アトランティス大王と、アヤタカが帰ってきたのだ。
第43章 アトランティス大王の秘策
アトランティス大王の秘策。それは『神触のエネミーが取り込んだ魂を全て引き剥がせば弱体化するんじゃね?少なくとも残機は消える』作戦だ。
だからこそアトランティス大王は、異能を使いコピーしたのだ。偽神のエネミー・冥霊の異能力『神触・冥霊聖徒』を。
その効果は地面から手を伸ばして、捕まえた対象を地面に引き摺り込む異能だ。さらに、囚われて一定時間地面の中に埋葬されていると強制的に成仏させる力だ。
これを使って魂を引き剥がす。そのために直接交戦して異能の詳細なデータを持つアヤタカからコピーを行ったのだ。そのために『ベクトル操作』を失うことになったが安い代償だ。
『縺ェ繧薙□窶ヲ窶ヲ縺薙l縺ッ�√≠繧雁セ励↑縺�ヲ�∫・槭↓蟇セ縺励※縺ェ繧薙◆繧倶ク肴噴!縺ェ繧薙◆繧倶ク埼●!逕溘°縺励※霑斐☆縺ィ諤昴≧縺ェ繧医▲��シ�』
アトランティス大王の見立て通り、その効果は絶大で圧倒的なオーラを放っていた神触のエネミーは魂を剥がされる度に大きく弱体化をし始めた。
だが無抵抗でやられる訳もなく、アトランティス大王目掛けて触手から無数のレーザーを発射して最優先で殺そうとする。
『なら僕も本気を見せる時だ。結界武装『Triangle Miracle Magic』』
バミューダ教皇は眼鏡を押し上げるとバミューダパワーを全開にして静かに宣言する。
そしてその手に結界武装である錫杖が握られる。そして錫杖で地面を叩くと複数の奇跡が同時に発動した。
『バミューダを守護する炎の壁』
『味方を癒すバミューダの光』
『敵を滅ぼすバミューダの裁きの扇風』
炎、光、風、3つの奇跡が大王と連合の仲間を護るように展開される。これらは味方を癒やし、襲い掛かるレーザーの嵐から大王を護り続けた。
そして遂に、神触のエネミー以外の魂を全て奪い返すことに成功する。だが、最後の神触のエネミーから命を奪おうとしたその時にアトランティス大王は異能の過剰使用により目と鼻と口から血を吐いて倒れてしまった。
規格外の異能をコピーし使用した代償で脳が焼き切れてしまったのだ。アトランティス大王はもう2度と目覚めることはなかった。
だが命を賭けて手に入れたその功績は大きい。生き残った4人はアトランティス大王への敬意と、希望を宿した目で疲弊した神触のエネミーへと立ち向かって行った。
第44章 神触のエネミーの逆襲
アヤタカと空賊ドーマが、『降魔弓』による光の矢と鉄の槍を雨のように降らせて串刺しにしようとする。さらにそこを『オイル』を足元に展開して滑り込んだアリエルが、マリアナパワーで高めた『シャコパンチ』を胴体に叩き込む。
『バミューダから放たれる煉獄の奇跡』
『敵を拘束するバミューダの奇跡』
『闇を支配するバミューダの奇跡』
光の矢や鉄の槍に串刺しにされて、シャコパンチに怯んだ隙をついて放たれた3つの奇跡が神触を焼き払う。
『縺雁燕驕泌ヲゅ″縺ォ縺薙l繧剃スソ縺�セス逶ョ縺ォ縺ェ繧阪≧縺ィ縺ッ縺ェ窶ヲ窶ヲ窶ヲ逡ー閭ス讌オ轤ケ』
だが、そこにあったのは神触のエネミーの炎上死体などではなかった。甲殻を脱ぎ捨てて、さらに禍々しく進化したその姿は『異能極点』と呼ばれる物だ。
触手を一振りする。
その瞬間、ドーマは喉を抑えて混乱しながらもがき苦しむ。『酸素』を『奪った』のだ。
その隙を逃さず、上から触手が振り下ろされ叩き潰されその魂ごと奪われてしまう。
これで1人。
触手を一振りする。
その瞬間、走り出そうとしたアヤタカはその場で横転して滑って壁に激突してしまう。『摩擦』を『奪った』のだ。突然のフィールドチェンジにもなんとか対応しようと立ち上がったアヤタカに、鉄塊が突き刺さり串刺しにされて殺されてしまう。奪われたドーマの異能だ。
これで2人目。
触手を一振りする。
その瞬間、奇跡を使って身を守っていた筈のバミューダ教皇は神触のエネミーの目の前にそのバリアが転送されて無防備な姿を晒してしまう。咄嗟に奇跡でバリアを貼るも、なぜか教皇から離れた位置にまたしても転送されてしまう。『異能の制御』を『奪った』のだ。
触手の薙ぎ払いでバミューダ教皇の上半身と下半身が両断される。
これで3人目。
触手を一振りする。
その瞬間、アリエルのスーツが機能停止してしまう。『機械制御』を『奪った』のだ。
突然動けなくなってしまったアリエルの腹にアヤタカから奪った『降魔弓』による光の矢が突き刺さる。
これで4人目。
一瞬にして、連合軍の精鋭部隊は全滅した。
第45章 再会
『縺ッ縺ッ縺ッ縺ッ縺ッ縺ッ縺ッ��シ�シ�』
死屍累々の状況で神触のエネミーの笑い声だけが響き渡る。そんな中、アリエルの意識はサンズリバーへと流れて行った。
冥界で薄れゆくアリエルの意識。
何かやらねばならないこと、やりたかった事があった筈なのに思い出せない。もう……良いか、と目を瞑ろうとする。
だが、そんな彼女にサンズリバーの水をぶっかける人達がいた。
さらにそんな彼女の肩をポンと叩く懐かしい動きをする者もいた。
『おいおいあの程度のやつなら工場勤務の方が大変だったろ?』
『オーシャ……』
『絶望するなんてお前らしくもない。諦めが悪いのが唯一の取り柄じゃなかったのか?まあこれを言うのは2度目だけどね』
『ブルー……』
『意外と君は諦めやすいタチだったみたいだね。死んでから意外な発見だ』
『アクアポリン吉岡……』
『エジプト行きはまだ諦めてませんよ。私はエジプト行くまで何度でも復活します』
『知らない人……』
それはかつてマリアナ制覇の前段階で散って行った仲間達。彼らがアリエルを激励して現世に送り返そうとしている。
『そうだ……私は……まだやらねばならない事がある!……ありがとう、皆』
『そう、それで良いんだ。アリエル。諦めないお前はこの世の誰よりも美しい。さすがは俺の妻だ』
懐かしい声と共に誰かに背中を押し出される。身につけた指輪を握りしめてアリエルは前に進む。
『………ありがとう、行ってくる』
第46章 アリエルの意地 海底の誇り
サンズリバーから追い返されたアリエルは、目覚めるとすぐに『Over technology』を使って『マリアナ・アルゴノーツ』に改造を施して制御を奪い返す。そして強化したマリアナパワーで傷口を抑え、治癒能力を高めてなんとか無理矢理動ける状態にまで持っていく。
勝利の余韻に浸っている神触のエネミーはまだアリエルに気が付いてない。チャンスは一度きりだ。『アルゴノーツ』の『カメレオン』の能力を使い透明化しながら、ここで切り札を切る。
神触のエネミーが気がついた時には全てが遅かった。既に透明化したアリエルが目の前に迫っていたのだ。
だがカメレオンの能力を解除したアリエルを目の前にしても余裕は崩れない。たかが瀕死の女の攻撃など大したダメージにならないと侮っていたのだ。
アリエルはスーツの能力を最大限に使用して、自然エネルギーを乗せた拳を神触の心臓目掛けて全力で振り抜く。
アルゴノーツの力で増幅した『マリアナ、サルガッソー、バミューダ・トライアングル、アトランティスの四つの自然エネルギー』を乗せた拳は、神触のエネミーの心臓を貫き、その身体を吹き飛ばして神殿を叩き壊しながら神触のエネミーを神殿の外までぶち抜いた。
これは連合軍の皆と話をつけてその自然エネルギーをスーツに封じさせて貰ったのだ。
この自然エネルギー四十奏こそが『マリアナ・アルゴノーツ』を完成させる新機能であり直前まで使用を渋っていた能力である。
なぜならアリエルはマリアナを信仰している。
これは信仰する神とは別の神に祈りを捧げるような蛮行なのである。
例えるなら、神道の神主が仏教の経典を読経しながら聖書とコーランでぶん殴ってくるくらい技術的にも信仰的にもメチャクチャなことであるのだ。なんなら直前まで取り付ける事すら拒否しかけていたのだ。それに、上手くいくかどうかの確証も無かった。ぶっつけ本番であったのだ。
この先、これを行える技術を持ち尚且つ信仰に囚われずに力を混ぜるという発想を取れる人物が現れたら、それはまさしく天才と呼べる存在であろう。
一方、心臓とその周囲をまとめて吹き飛ばされた神触のエネミーは、先程までの余裕は何処へやら混乱し、発狂して奇声を発しながら暴れ狂う。奪ったドーマの異能を使い鉄の弾丸をアリエル目掛けて大量に発射して蜂の巣にしようとする。
だがそれをアリエルはアルゴノーツで作り出した4色自然乗せガトリングで真っ向から破壊して返り討ちにする。
先程まで勝っていた筈なのに圧倒されてる現状を認められない神触のエネミーは、『機械制御』をもう一度奪おうとするが、四重のパワーアップで身体能力が桁違いに上がったアリエルを異能対象に捉えきれずに身体を引き千切られて圧倒されてしまう。『酸素』を奪おうにも、奪った場所から即座に移動されて意味がない。
もう完全に詰みだった。
『縺ゅj蠕励↑縺�▲�√≠繧雁セ励↑縺�▲�√≠繧雁セ励↑縺�▲��』
パニックになって顔を掻きむしるが状況は変わらない。トドメを指すべくアリエルは最後の最終兵器である『マリアナ・メガバスター』を取り出して構えをとる。
第47章 海底戦争の決着
『縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠��シ�シ�シ�シ�シ�』
神触のエネミーはもはや恥も外聞も投げ捨てた。自身の身体を変形させて翼を作り出すと島から、アリエルから逃げ出そうと空に飛び立つ。
『させん!』
だがその瞬間、アトランティス・フェンリルエネミーの首だけが動いて神触のエネミーの翼を片方喰い千切る。最後に意地を見せたフェンリルエネミーは本当にこれで絶命した。
『……飛行する物を……バミューダに……引き摺り込む……奇跡………』
さらに片翼だけでも、触手で補い飛ぼうとする神触のエネミーを地面に描かれたバミューダ・トライアングルの模様から伸びた青い光が引き摺り下ろす。
上半身だけになったバミューダ教皇の最後の奇跡により、神触のエネミーは地面に叩き付けられる。
アリエルが用意した最終兵器。それはマリアナ、サルガッソー、バミューダ・トライアングル、アトランティスの四つの自然エネルギーを取り込み、そのエネルギーを破壊光線として射出するマリアナ・メガバスター。貯めや隙が多い為、敵を拘束するまで使えないがその破壊力は最高級である。
自然エネルギーを自己強化ではなく破壊光線として扱う事ができた規格外の怪物は、この世では今も昔も初代アルプス総師範ただ1人。それは植物が光合成の為に集めた光で光レーザーを発射するようになるくらいあり得ない現象なのだ。
アリエルはそれを知らずに『Over technology』の異能で再現したのだ。
しかもこれはただの自然エネルギーレーザー砲ではない。マリアナ、サルガッソー、バミューダ・トライアングル、アトランティスの四つの力を混ぜ合わせた4倍パワーである。
これらのエネルギーは、あらかじめサナ達に頼んで各パワースポットにエネルギー吸収&転送装置を設置して貰ったのだ。
全ては神触のエネミーを討ち倒すために、皆信仰を曲げてまで協力してくれた。
その想いは決して無駄にはしない。
『これで……終わりだ!!』
翼を捥がれ、動きを封じられた神触のエネミーを、海底4カ国が力を合わせて生み出した裁きの光が包み込み最後に残っていた残機ごと跡形もなく消し飛ばした。
これで神触のエネミー率いるアンノウンは滅びた。
海底戦争の黒幕は討ち倒されたのだ。
第48章 エピローグ
神触のエネミーを撃破すると同時に、負荷に耐えきれずに最終兵器のメガバスターは爆発を起こして砕け散った。
同時に、四重パワーを扱うのはやはり無理があったのか『アルゴノーツ』もその機能を停止させた。
『アルゴノーツ』の停止。
それが意味する事はすなわち、アリエルの死。元よりサンズリバーに行くレベルの重傷をマリアナパワーと他の自然エネルギーで誤魔化していたのだ。マリアナパワーだけでは到底助からない。
だがそれでもアリエルは満足だった。
最後に海底戦争を操る巨悪を討てたのだから。これで海底はきっと平和になっていくのだろうと夢想した。
残りの命僅かな自分ができる事。それは『Over technology』の異能を改造してこの世界に解き放つ事。自分の死後、この異能が他の誰かに宿るようにして、平和獲得の為に役立てて貰おうと考えたのだ。
そして全ての工程をやり遂げた後、アリエルは全ての敵エネミーを討ち取り駆け付けた連合軍メンバーに勝利を伝えると、満足そうに笑みを浮かべながら息を引き取った。
こうして多くの犠牲を出しながらも海底戦争は黒幕を失い幕を閉じ、海底に一時の平和が訪れた。
しかし、アリエルの望みとは裏腹にその平和も長くは続かず、海底はまたしても戦乱の時代へと飲み込まれていくのであった。
マリアナ神話ーfinー
添付ファイル
- IMG_4281.jpeg
- IMG_5004.jpeg
- IMG_5005.jpeg
- IMG_5006.jpeg
- IMG_5013.jpeg
- IMG_5024.jpeg
- IMG_5206.jpeg
- IMG_5208.jpeg
- IMG_5215.jpeg
- IMG_5216.jpeg
- IMG_5223.jpeg
- IMG_5224.jpeg
- IMG_5226.jpeg
- IMG_5227.jpeg
- IMG_5229.jpeg
- IMG_5230.jpeg
- IMG_5231.jpeg
- IMG_5232.jpeg
- IMG_5236.jpeg
- IMG_5255.jpeg
- IMG_5260.jpeg
- IMG_5262.jpeg
- IMG_5263.jpeg
- IMG_5264.jpeg
- IMG_5265.jpeg
- IMG_5266.jpeg
- IMG_5267.jpeg
- IMG_5294.jpeg
- IMG_5295.jpeg
- IMG_5296.jpeg
- IMG_5297.jpeg
- IMG_5300.jpeg
- IMG_5301.jpeg
- IMG_5302.jpeg
- IMG_5303.jpeg
- IMG_5304.jpeg
- IMG_5305.jpeg