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【異世界の戦争と軍事力1】

【あくまで公式なものでなく他のSSなどを参考にした個人の妄想の産物であり、作中の軍事力云々は地球人作者の視点でのものです】


○はじめに


まず本屋の数多にある書物の中で本書を手に取ってくれた事に感謝を。
この本は私が長い月日をかけて異世界の戦闘についての資料と考察をまとめたものである。
何分異世界の資料や情報は集めにくく推論の多い部分や不確かな部分もあると思うが、この本が読者の方にとって少しでも役に立てば幸いである。

○序


みなさんは考えた事はあるだろうか?今日までの地球と同じく、異世界でも多くの戦争が行われ、それにより多くの戦闘に関する技術が方法が生まれたことを…

まず、異世界で今現在一番新しい戦争は30年前に停戦となった新天地都市国家群独立戦争であろう。
これは大国オルニトの飛翔軍に対して飛べない鳥や寄る辺なき民兵達の独立軍が考案した様々な近代的戦術が駆使された戦争で戦史としても興味深いものである。
次に最古の戦争であるが、これははっきりしない。
神代の時代に大きな戦があったという伝説やドラゴンや巨人、今は亡き古代民族たちの戦い、はたまたラ・ムールやオルニトの建国戦争であるなど多くの説がある。

また、大戦というと地球では第一次・二次世界大戦が思い起こされるが、蜻蛉人の各国侵攻などから各国が個別にマセ・バズークに挑んだマセ・バズーク防衛戦争や異世界では既存国家連合軍が敗北し、多民族国家群スラフが消え去ったスラヴィア建国戦争が大戦として人々の歴史に刻まれている。

これらの事からわかるように我々の世界と同じく異世界の歴史も戦乱の歴史を刻んできているのである。その中で生まれた戦闘技術や武器などをこれから各国ごとに記していきたい。
では、まず最初は我々が考えるファンタージー世界らしい国と言えるイストモスから始めよう。


○イストモス


・民族

主要種族は支配種族(士族)のケンタウロス及び、奉仕種族(従士)の狗人。内戦状態とはいえないが国が東西に分かれている。

・文化

東西ともに文化レベルは中世のヨーロッパやモンゴルなどの騎馬民族に近く、武器・兵器なども地球で見るものと同じ物が多い。(西部イストモスは地球人が思うファンタジー世界の国に一番近い国ではないかと思われる)

西方では、キリスト教とイスラム教が混ざったような神星教という主に天文学の研究を中心に発達した宗教を国教としており、星教会が西方の文明文化に多大な影響を与え、教会内での教育・研究施設などで教育機関と同じ活動を行なっており、ほぼ一律に中世ヨーロッパ程度の文明レベルとなっている。
逆に東方では部族ごとにその宗教などの捉え方は違い、部族によっては星神は西方と同じく唯一の神であったり、神々の一人であったり、または畏れ敬うべき荒々しい原初の神のような認識をされている。
一律な認識は祖霊への畏敬の念と大地への感謝の気持ちぐらいだと言え、文明レベルも東方の部族をまとめる大君主スヴォーロフの部族や他の有力な数部族が独自に攻城用の大型兵器を作り出すほど高い程度で様々である。

・軍備

武器は金属製で主に鉄を使った物が多く、鉱石などの3割はクルスベルグからの輸入で、武器防具などの軍備自体の輸入は3割を超える。それ以外の自国内の鍛冶は殆ど、狗人の鍛冶屋組合が一手に引き受けている。

武器の中で主力となりうる鋼の武器は殆どケンタウロスの上流士族ぐらいしか持っていない。
防具も同じく近年開発された板金鎧などはまだ西の上流士族のみでほとんどはサーコートや鎖帷子、小札鎧などで資金が無いものや駆け出しは膠やワックスで煮締めた革鎧などである。
しかし、それらの人は防御力を補うために大概は鉄製の盾を所有している。
また東方は、西方と違い機動性を重視した鋲や鉄板で補強した革鎧や分厚いキャンパス地の軽装鎧を主流としており、武器の形もどちらかと言えば曲刀や複合弓などの地球で言うアジア的な武器が多い。

他には平野部が多いということもあり狗人や帰化ドワーフの技術者が開発した大型兵器類は多いが、精霊魔法は東西どちらも自身や武器・兵器の能力を高めるものや傷病者の容態悪化を『遅らせる』もの(精霊を使った回復魔法はこの世界に存在しないので)など補助的なものが主流で大規模魔法の類は星教会や東方の巫術師が使う『星見・星読み』以外で殆ど使われない。
このイストモス宗教独特の『星見・星読み』や星教会などについてはまだ資料も少なく、ある程度まとまった情報が欲しい方は、2011年1月クマ出版発行の月刊アトランティス『イストモス特集号』に記載されている【星見の起源】を参考にされるのが良いかと思われる

特筆すべき武器兵器と言えば、ケンタウロスが馬体に背負う武器架や7メートルを超える長大なランスを固定し重量と衝撃を上手く受けて馬体へ流すためのランスレスト、東方部族が超長距離から身の丈を超える強力な狙撃用の複合長弓で敵を射るための反動を大地へ逃がす人馬体固定杭や相手を絡めたり強制的に方向転換するための鉤付き縄などが挙げられる。

・軍事力

軍の主力は士族であるケンタウロス兵、その馬体の高機動性や衝突力を生かした西方の重装突撃や東方の強力な複合弓を使ったヒットアンドアウェイ戦法、また奇襲・追撃、高い積載力を生かした兵器の輸送・輜重部隊など交通インフラが弱く、自動車などの乗り物がほぼない異世界では武力的な決定力だけでなく非常に多くの重要な部分を占める種族である。

また、彼らの従者である狗人は戦闘に置いてもその器用さ忠実さを発揮し、歩兵・斥候・工作・鍛冶・精霊魔法兵など大概の職をこなしてしまう。特に海軍力はほぼ完全に狗人任せであり、そのオールマイティさはイストモス軍の要といえる。

・戦史と紛争

若い国ということもあるが、幸いな事に他国との大規模な交戦の記録は殆どなく、スラフへの義勇軍派兵が一番大きな交戦記録と思われる。(単に後に述べる事件のせいで積極的に攻め入ろうと考える国がないだけかも知れないが…)
細かな交戦では東西各地方での小競り合いや毎年ラ・ムールからクルスベルグを迂回して来る嫌がらせの遠征軍との小競り合いが挙げられる。


東西の境界線近くでの小競り合いは西方の若き騎士王マリアンヌと東方の大君主スヴォーロフの両部族長の取り決めで、近年はかなり減少している上に星神が停戦に一役買っている事例も見受けられる。

ラ・ムールとの例年の小競り合いはイストモス建国前のエクソダス当時、ケンタウロスの青年に率いられて逃げる狗人奴隷を追撃するラ・ムール兵が、逃げ遅れた狗人の奴隷達を虐殺した事が発端になった星神による『涙の雨事件』のせいで、世界中(特にラ・ムールの首都)が流星雨により崩壊しかけたことから、ケンタウロス達に対する報復の大規模な戦争が起こせなかった事に起因する。

現在の国交の状態からわかるように奴隷や都市、水源、肥沃だった土地という財産の多くを一気に失った上に、大規模神災の引き金を引いたことで他国から非難の的にされたラ・ムール国民の感情は未だに燻っているようだ。
イストモスも長年、東西諸部族の統制で手一杯で、ラ・ムールに対してどんなものであれ積極的なアプローチが取れたためしがなく、しばらくはこの非生産的な小競り合いの状態が続くと思われる。


○エリスタリア


・民族

現在の主要民族は人口数順にエルフホビット、樹人、フェアリーが主なものとなっている。
種族としての登場時期は樹人、エルフ、ホビット、フェアリーとなっており、この中でホビットだけが世界樹と無関係な他地域から来た帰化人となっている。

・文化

世界樹の使徒として創られた経緯から非常に性に対してオープンな者が多く、異世界の他国からも奇異な目で見られている。
文明レベルとしては、国王ディオマー が新しく作った新都が高いのみで全体では軒並み低く、文化様式は地球で言うとケルト人などの文化に近いと思われる。
文明レベルだけで言えば渡来人であるホビットの方が高いかもしれない。
ただし、薬学や医術、植物利用に関する技術は異世界において他国の追随を許さない。

・軍備
地球の常識から見れば非常に貧弱である。

世界樹から生まれた種族の多くは火の他に金属器、特に鉄器を忌避する性質があるのかナイフなどでも青銅や真鍮などが多く、下手をすると一般の国民は磨製石器を使っている。
その中で、近衛兵やハイランダーなどに属するワイルドエルフだけはクルスベルグから輸入した鋼の武器防具やホビットの鍛冶師が作った鉄製の武器などを支給されて使っている。

輸入に頼った貧弱な軍備が多いが、多種多様な木材を重ねて樹脂で固めて作られた複合弓や特殊な樹脂から作った軽装鎧、よくしなり金属のように強靭な長棍に非常に丈夫な植物性繊維の布鎧はエリスタリアの軍事力を押し上げている。
また正確には軍備とは言えないが強力な毒薬や霊薬はどの国よりも豊富に所有しており、大型兵器や火を使う魔法の少ないエリスタリア人の戦闘時の助けになっている

・軍事力

現在エリスタリアでは常備軍と言えるものが殆どいない。
軍といえるものは王族や新旧の城都を守護する近衛兵団と謎に包まれた世界樹の守護役ハイランダー部隊の他は国境警備隊がいるくらいである。

エリスタリアの公式に発表されている軍事の文献はかなり少なく、殆どが口伝か他国の文献を頼りにするしか無いが、現在異世界中に散っているダークエルフと呼ばれる者たちは元々エリスタリア本国での軍の主力となっていたものであるらしい。どういう経緯で本国から離れたのかわからないが、彼らと同じく主力となっていた巨大樹人(ウッドジャイアント)達が環境の変化で死滅(または散り散りになった?)後に何らかの理由で国を離れたらしい。

従って、現在の主力はエルフの他に樹人・ホビット・フェアリーが混ざった正規近衛兵とハイランダーのみとなり、大型の兵器を運用する力はほぼ無く身軽さを隠密性を生かした奇襲・急襲 やゲリラ戦法、または精霊魔法に長けた者たちによる大魔術を主な戦法にしているということだ。
以下に各種族の主な兵種などを記す。

ハイエルフ:ほぼ絶滅種で肉体的にも弱く基本的に戦場には出ないが、大規模精霊魔法や限定的な神力が使えるので国難の際に招集されることもあるらしい。
ウッドエルフ:ハイエルフよりは肉体的に強健だが神力は使えない。能力的に偏った者が多いようであり、各専門技術の兵士とされることが多いようだ。
エルフ:非常にノーマルな種族で正規軍主力の中核をなす者たちである。士官にも殆ど彼らが就いており実質、近衛兵団の運用者である。
ワイルドエルフ:エルフに珍しく肉体的に頑健で体液が強力な毒性を帯びており戦闘能力は高い。独立した権能を持つハイランダー部隊を構成する種族である。
フェアリー:肉体的に最弱であり、殆ど軍には属していないが伝令や魔法師として使われることはあるようだ。
樹人:エリスタリアで一番頑健で強い種族である。彼らはその頑丈さと力の強さで国境警備隊などで拠点の防衛や破壊に重宝されているらしい。
ホビット:射撃や工作、輜重、武器の制作に重用される種族であり、戦闘は苦手というか戦闘を忌避する性質が強いようだ。

またエリスタリアでは、他国と違いほぼ軍団単位として動くことは少なく、小隊単位の散兵として活動する事が多いようだ。

・戦史と紛争

イストモスよりも戦争に関する資料が少なく、数少ない記録は一部の種族が本国と世界樹への攻撃をしたマセ・バズークとスラヴィア建国戦争時のスラフへのハイランダーや少数の正規兵の派兵のみであり、どちらも失敗に終わっている。また、珍しいことに周辺国との小競り合いは殆ど無いようだ。
そればかりか門が開いた近年は、地球人と外見が似ていることから需要があり、少しづつエルフ・フェアリー系種族が他国へ流入していくことも多く(大概は居留地での娼婦としてだが)、それが良きにせよ悪しきにせよ他国に受け入れられていると見るべきなのだろう。

これはどちらかと言うとエリスタリアが戦争向きではない種族の国であり、彼らはそれ以外の外交・政治などで国の独立を保っているということなのだろうか?


○オルニト


・民族

支配層である飛翔可能な鳥人と奴隷階級の飛翔不能な鳥人が主な構成であり、少数民として頭部と胴が地球人に近いハルピュイア系、ヒトに近い腕と翼を持つ翼人系の部族がいる。

・文化

元軍事大国でもあり大王(トラトアニ)を頂点とする士族と神官の支配の色が非常に濃い。

文明レベルとしては非常に低く、独特なハピカトル信仰と相まって新天地独立戦争までは黒曜石などの石器を多用し、技術はあっても錬度が低く脆い青銅器など金属製武器の使用はごく少数であった。しかし、逆に貴金属や宝石を使った装飾・美術品などには眼を見張るほどの技術力を有している。
これは信仰だけでなく、古代の中南米国家と同じく金属の精錬ができる鳥人や翼人が少ない事と、士族階級の手間の割には脆すぎて実践で使えない(という認識だった)低練度の金属器への需要が低い事、上流士族や王族の宝飾品などの需要の方が大きかった事という現実的な理由も大きい。

独立戦争中、盛大なお家騒動の末に大王となったキュアカァコールによって冶金や精錬技術の成長が急ピッチで進められているが先は見えない。
文化様式的にはアステカなどの中南米国家が近く、奴隷制と生贄の儀式が特徴的である。

・軍備

現在急ピッチで金属製武器が製造されているが器用な腕を持つ翼人族は数が少なく、また武器を作って反乱を起こされることへの恐怖から、数のいる比較的器用な飛べない鳥人達を殆ど回せないため武器の一新計画はなかなか進まない。

従って主力は頑丈な木製の棍棒や長槍に黒曜石の刃を付けた切り裂ける棍棒や長槍、同じく黒曜石の穂を付けた投槍などの高度な石器とその投槍器となる。弓などもあるが飛行中に使用するのが難しく、また位置エネルギーと重量を考えると投槍を使う方が効果が高かったのだろう。
この高度な石器武器はアステカなど中南米の武器、マクワフティルやテポストピリーによく似ている(鳥人のこれは下手な金属鎧くらいは断ち切れるために威力は段違いだが)。

防具は厚めのフェルトや木綿で作られた布の軽い防具が使われ、たまに肩から掛けて固定する軽い木製盾が併用される。
これは飛翔するための労力を減らすという目的と、高高度まで飛翔し高速で戦場を飛ぶ鳥人に有効な攻撃を加えられる者がなかなかいなかったためと思われる。

だが、飛翔する蟲人戦士や大甲蟲騎士団のいるマセ・バズークへの侵攻、飛べる種族出身の屍徒が多数存在するスラヴィアへの派兵、そして決定的なのが飛べない鳥人や他種族主体の軍でも新しい戦術や兵器を使って対抗してきた新天地の独立阻止に失敗した事から近年やっと戦術や防御面などの見直しをしようとする動きが大きくなっている。

・軍事力

現在は衰退したとは言え、非常に大きな軍事力を持っている。
常備軍の数は異世界で最大数の大延国の次に多く、非常時に強制招集する奴隷兵の数を入れれば大延国に匹敵する程だ。

戦術として要になるものは飛べる鳥人士族による高い索敵術による情報収集と、高高度からの投槍・投石攻撃や急降下からの重い斬撃や打撃を敵戦列に散発的に浴びせかけるヒットアンドアウェイ戦法。また随伴の翼人兵士による空中での護衛や戦闘支援、空中劇場を無くしたことから生まれた神官たちの楽団が精霊を呼び戦士に加護を授け、ハルピュイア達が数多くの歌を歌い精霊魔法を放つ。
また、それに加えて飛べない鳥人達の戦奴を地上に置いての二面攻撃が巨人を失った後のオルニトの常套戦術である。

かつて巨人がいた頃、巨人により移動する浮島からの無限とも言える補給と空中劇場による精霊魔法の支援を受け、絶大な航空戦力で他国を侵略する大軍事国家であったオルニトが、マセ・バズーク侵攻の敗戦を機にだんだんと巨人を失いどう現在の戦術のように変わっていったのか…
この戦術の移り変わりをより詳しく知りたい場合は、有名な歴史家である○○氏著の【歴史家達は語る 〔オルニトの戦術〕】が拙著よりも詳しいだろう。

・戦史と紛争

オルニトが誇る大図書館には非常に多くの歴史書が残されており、その資料に記された数から他国への侵攻の回数は異世界随一と言えるであろう。
特に初期の巨人との盟約が生きている内に行われた侵攻作戦は万に近くオルニト周辺の諸国をほぼ全て平らげてしまった後、遠く大延国やラ・ムール、ミズハミシマ、帝政クルスベルグとも小競り合いを起こしている。

他にも今では現存しない国との交戦記録があり、非常に好戦的な国家であったことが伺われるが、オルニトが今の東大陸の国土と元国土であった新天地以外に飛び地の国土を持っていない事を考えると、古代の常套戦術であった浮島を巨人が引く事による大規模遠距離侵攻をしたはいいが、侵攻した先で獲得した領土を支配・維持することは難しかったと考えるのが妥当だろう。

現在のオルニトは新天地との停戦後、他国への侵攻は行なっていないが新天地からの敗退も相まって内部での燻りを見せる。
軍人の需要低下からか浮島同士での諍いや軽犯罪が多く、王への不満も高い。
大王キュアカァコールは事実はどうであれ、一般の国民には暗愚で奇矯な言動の多い王という認識が高く人気は低い、その代わりに嵐神を崇めるオルニトの神殿に属し、神官たちの長で宰相のような役割もこなす大神官ヒュアキュゴアルの方がやり手として知られ国民人気が高い。

個人的な意見を言わせてもらえば、政争多き軍国オルニトで10代から30年もの間、王位に就けるほどの人材は長い歴史を見てもなかなかいないのではないかと考えるが…
この本の主旨に合わず、他国の政情にとやかく言う権利も私自身には無いのでオルニトの内政についてはここで終わりにする。


○クルスベルグ


・民族

主な種族は採掘や鍛冶を主な職としているドワーフ、細工や商業などを主な職としているノームが挙げられる。

・文化

一部とは言え地球の技術力を遥かに超える帝政時代と比べ、文明がかなり衰退しているようだが、それでも未だに異世界の主要11国内では文明や工業力のレベルが一番高い国であろう。
国の多くが険しい山岳地帯であるが、豊富な鉱物資源を有している。
そのため主要産業が第一次産業である鉱業や第二次産業の工業で、鉱石やそれを精錬、加工した物の輸出で成り立っていて、国土の狭い割にかなり豊かな国である。
文化様式として似ているのは中世ドイツといったところだろう。

また、クルスベルグについて一般的な風土や文化をもっと知りたい方は、ドイツ新聞Berliner Morgenpost に連載中のヨハン・ゲーレン氏のコラムである【クルスベルグからグーテンターク】をぜひご一読頂きたい。クルスベルグ在住記者の方で日常的な向こうの文化・風土などが自身の体験を交えて大変分かりやすく書かれている。

・軍備

工業が発達していることもあり、異世界で唯一といっていいほど武器や防具、兵器などの自給自足に成功している。
製造している武器防具の質も高く、数も十分に揃っている上に山岳地帯が多い国に珍しく大型の攻城兵器なども製造保有している軍事大国であり、その生産力から他国にも大量に武器防具の輸出を行なっている。

武器などの輸出では他国では製造が難しい華美な装飾や複雑な機構を備えた物が多いが、自国で使われる武器は戦斧、戦鎚、大剣など装飾が少なくドワーフ達の腕力が生かせるような無骨な大型武器、またはノーム達用のショートソードやメイス、投石紐など小回りの効く武器が好まれる。
また、使われている防具も板金鎧など高度な技術を使った物が多く、軽装でも胸甲を着けた鎖帷子など他国と一線を画するものである。ただ、年かさの兵には、先祖伝来のブリガンダインや裾の長い鎖帷子など古い鎧を改修して使っている者も一定数いる。

最後に、この国独特の軍備としては山岳地帯ということもあり、少数ながら飛行船とグリフォンを所有している。
帝国時代にはどちらもかなりの隊員数を誇り、オルニトの威力偵察兵などから帝国の空を守っていたようであるが、現在は大幅にその数を減らし、微々たるものであるが伝令・輸送などで険しい山岳の空を守る要となっているようだ。

・軍事力

この国の現在の基本的な戦術としては、優れた装備を纏った重装歩兵によるまるで鉄の津波のような突撃と、優れた兵器類による長射程大威力広範囲の攻城、殲滅攻撃であろう。

しかし、実際のことを言うとクルスベルグの戦術・用兵術その他諸々の軍の運営・活動は軍備に対して非常に見劣りのするものとなっている。
帝国時代には優秀な軍団兵のみならず、鉄巨兵や自動兵器などを駆使し、強大な古強者であるラムールや仙術国家大延国などと互角以上に戦っていたが、現在は軍内部の不正や犯罪が横行しオルニト大図書館にある歴史書(クルスベルグでは帝国時代の資料が軒並み閲覧禁止か禁書扱いされている)などで見られた昔日の面影は無い。

一番問題となるのが、主力となるはずの重装歩兵団がまともに運用できていないことだろう。
つてを頼って新兵訓練を兼ねた対戦式の軍事演習に潜り込んだが、熟練兵達の行軍中に予定進路とズレるのか何度も司令官である少将が進行方向の変更を命令し、隊列中の兵たちがぶつかる大きな音と、命令が出されるたびに前よりもズレる隊列が非常に目立った。
正直に言うと、対戦していた叩き上げの准将が指揮する新兵たちの方がまだマシな動きをしていた。
また、兵器運用の技術者も足りないらしく演習中に射程の目測を謝ったり故障を起こしたりとなかなかに前途多難な状態であった。

・戦史と紛争

クルスベルグの歴史はオルニトと似て戦争の歴史と言えるだろう。
現在の11国でクルスベルグと事を構えなかった国は30年ほどまえに建国されたばかりの若い国である新天地くらいのものだろう。

ただし、オルニトのそれが領土拡大のための侵略戦争の歴史であるのと違い、この国は自国の技術レベルを戦争によって上げようとしていたフシがある。
例を挙げると、帝国の悪行の代名詞となっている鉄巨兵などは不要とされたクルスベルグ国民や他国から連れられた奴隷を大量に虐殺してその圧搾して燃料と化した魂を原動力としていたという。(その技術は恐ろしいことに神力で造られたスラヴィアン達の魂ですら搾り取って良質な燃料に変えていたとも聞く)
他にも共和制になってから現在の議会によって破棄された技術の中には国民や他国にとって破滅的なダメージを与えるようなモノが多々あり、まるで国として発展しようとしていたというより、ただただ破滅的なスピードで技術の頂点を目指していたように見える。

そして、そういった恐ろしい国の運営を変えるために数百年前、数多いクルスベルグの戦史の中で一番重要と言える革命戦争が起こったのだ。
今日、クルスベルグが(技術などの衰退もあったにしろ)周辺国と休戦協定を結びまっとうな民主主義国家として歩めているのはこの偉大な戦争のおかげである。

しかし、歴史書に載るべきその偉大な戦争の顛末についての記述はあまりにも少ない。
現在のクルスベルグで発行されている殆どの歴史書を調べても主導者の名前どころか俗に『アインヘフベルグの奇跡』と言われるレジスタンス達の逆転劇も殆ど詳しい記述が無く、さらにレジスタンスの関係者達が高齢などで亡くなる中、当時の革命がいかに行われたかの情報は失われるばかりだ。
一体、クルスベルグの革命はいかに行われたのか?そして今のクルスベルグの現状を見てそれは本当に正しいものだったのか?疑問は残る…


蛇足
こういった設定モノの需要があるのかわかりませんが、読まれた方が戦闘や戦記モノのSSを書くきっかけになれば幸いです。
1とありますがあまりにも冗長すぎるSSモドキなので続きを書くか決めていません。
修正した方がいい部分があればご指摘頂けると幸いです。

  • ぜひ11国全部をやってもらいたい! -- (名無しさん) 2012-10-21 04:09:36
  • 上手く国の要素を分けてまとめているので説得力がある。色んなものが見える分かる -- (としあき) 2012-10-21 15:50:15
  • オルニト以外は強力な軍事力が国内で分散しててそれが争ってて外に出れなかったみたいな? -- (名無しさん) 2012-10-21 19:49:51
  • 各項のまとめ方もさることながらwikiページ上の表現を利用した書き方が上手い -- (としあき) 2012-10-30 22:46:20
  • それぞれの国々で強力な軍事力を持っているにもかかわらず国同士の戦争がわずかしか起こらなかったというのは異世界の豊かさと神の影ながらの影響力を感じました -- (名無しさん) 2015-03-15 18:23:15
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最終更新:2013年03月28日 19:45