自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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だれでも歓迎! 編集
インド洋上 某海面
「暑い!つうか熱い!焼け死ぬぞいい加減!」
迷彩柄のズボンを履いた男が、灰色の船の甲板で叫ぶ。
彼は現在情勢が滅茶苦茶になっている、イラク派遣部隊の一員である。
海上自衛隊の輸送艦に乗り組み、ペルシャ湾へと向かっている。

「まあそう愚痴るな。ここら辺は暑いのが当たり前なんだから」
「でもなあ、こう暑いといい加減死ぬぜ?雨でも降ればいいんだが」

「ははは。ここら辺の雨に降られたい?冗談じゃない、それこそ死ぬよ」
迷彩ズボンの男が振り向くと、そこにはセーラー服を着た男が居た。
彼は陸自輸送の任務に就いている、輸送艦の乗組員である。

「この辺は嵐や季節風のせいで、無茶苦茶な大時化が起こるんだ。
しかももうその時期に入ってる。悪いことは口に出すなよ?」

「はいはい。ま、涼しくなれば何でもいいや。何かないか?」
「じゃ、夜に怪談でもやるか?納涼の基本だし」
「それしかないか。まったく経済的なことで」

彼らはその晩、存分に怪談を楽しんだ。しかしその後、もっと肝を冷やす
出来事に巻き込まれる事になるのだが・・・

一応出だしはこんな感じ。ラノベだから地の文の薄さは勘弁しる。

インド洋上 某海面
「うおえっ!げっ、げっ、はーっ・・・うげっ」
迷彩服の男たちが、船のそこら中に吐瀉物を撒き散らす。
ひとりふたりの船酔いではないため、そこら中にゲロバケツが置かれている。
鼻から飯粒を吹き出す者、口の周りが妙に白茶けている者、泪と胃液の区別が
付かないくらい、顔中が汚れている者もいる。

派遣部隊を載せた艦は、大嵐に巻き込まれていた。激しいピッチングとローリング
(縦揺れと横揺れ)を繰り返し翻弄される艦に、男達もまた翻弄されていた。

「な?だから、死ぬって、うおえっ!いったろ?」
「ば、バカヤロウ!ゲロ撒きながら話すんじゃ、ぐえっ!ぶり返した
じゃねーかぁ、うぶべ、しかしおま、う、船乗りなのに何でよっべ、げっ」
「船乗りと船酔いは、げっ、関係、うえげ、ない!うええ」

二人が仲良くバケツの容量を満たしているころ、周辺ではとんでもない
事態が起こっていた。

輸送艦 艦橋
「周囲の状況はどうか?」
大嵐の中、椅子にかじり付くようにしている艦長が問いかける。
「現在嵐は風速25m以上、激しい雷雨を伴っています。僚艦は良く付いて
来ています。通信には雑音が混じっていますが、支障はありません。ただ・・・」
「ただ、何だ?」
「衛星やラジオ局等からの情報が一切入ってきません。通信可能なのは
周辺の僚艦だけです。付近を航行中の他国船とも連絡が付きません」
「どう思う、副長?」
副長と呼ばれた男が、無表情に返答する。
「恐らく長距離用のアンテナだけが壊れたのでしょう。嵐を抜け次第、
修理を行わせるつもりです」

艦長はただ無言で頷くと、真っ黒な雲が支配する窓の外を見つめた。
この時は誰もが、事態の本質に気付いていなかった。

いったん投下終了-。

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