自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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「えー、艦内の諸君、落ち着いて聞いて貰いたい・・・」
艦内に妙な緊迫感に満ちた、艦長の声が響き渡る。幹部会議の招集は終わり、
各艦では同じような内容の放送が流れている。

内容を要約すると、『嵐の後、インド方面及びアラビア半島方面と
原因不明の通信途絶が発生、衛星とのリンクも消滅。燃料の都合上、
艦隊はこのままペルシャ湾に進入し、燃料の都合をつける』といった事だった。

この放送は、少なからず隊員達を動揺させた。流石にパニックにまでは
陥らなかったが、状況の不明瞭さに疑問を抱く声は多かった。
インドに戦争が起きた可能性に付いては触れられなかった。そこまで放送すると
動揺が大きくなりすぎるとの判断だった。

しかしもっとも混乱と動揺が起こったのは、航海科だった。なにせ衛星情報が
一切消滅し、天気予報図も送られてこない。殆どが前時代に逆戻りした。

幸い星の位置に変化は無かったので、天測と海図とレーダーを組み合わせて
何とか海を渡ろうとした。しかし地形に大きな変化が見られたため、海図は
信用度が急速に落ちていった。

その大きな変化とは、島である。地図のどこにも載っていない、それでいて
絶対に見逃されない様な大きな島がいくつも発見された。
海図に詳しくない隊員は気にしなかったが、担当航海士などは頭を抱えた。

それでも何とかペルシャ湾内に進入したとき、更に追い打ちを掛けるような
酷い事態が発生した。帆船が発見されたのである。

さて、今回はここまで。帆船は話に関係ないので、ちょい役。

艦隊が湾内の半ばを過ぎた辺りから、レーダーに船団が映るようになった。
それは最初どこかの国の輸送船と思われたが、相手は一切無電に反応しなかった。
そして何かあるのかと接触してみたとき、不安は驚愕に変わった。

全部の船が、帆を張っていたのだ。航海禁止海域なので、映画の撮影で
無いことはすぐに分かった。それでもなお近付くと、弓矢で威嚇射撃を
加えられ、甲板にぎらつく白刃の群が並べられた。

どう考えてもこれは敵対行動であり、近付くべきでは無かった。
それ以降3度ほど同じ目にあい、接近は禁止とされた。

この数度の事実は、帰国派と前進派の双方を混乱させた。自分たちの今いる
所は、どう考えても自分たちの知っている海ではないからだ。

しかしそれでも艦隊は、進むのをやめられなかった。いつまでも海に浮かんでは
いられないからだ。船団の感知頻度が上がったことから、湾の奥に港が有ることは
間違いなかった。であるならば、そこがどんな所であろうと進むしかなかった。

こうして艦隊は、不安を抱えながらも前進した。そして、彼らは見知らぬ港に
たどり着いたのだった。

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