自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 24

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匿名ユーザー

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300 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/29(日) 19:51 [ imAIk9NE ]
    質問のために用意された部屋は思いのほか居心地が良かった。
    こざっぱりとした部屋に木製の家具が置かれている。
    なんでも向こうの世界の人、要はセフェティナなのだが、をリラックスさせるための配慮らしい。

    そして彼女には青島以外の男を怖がるきらいがあるため監視の自衛官も女性であった。
    お役所の仕事としては驚くほど気が利いているといえるだろう。
    そんなリラックスした雰囲気で質問は始まった。

    「私の分かる範囲で説明しますけど・・・、完璧ではないので許してくださいね。
    まず、魔法と言うものは術者の精神力をマナにかよわせ、様々な現象を起こす、と言うものです。
    といってもこのことをきっちりと理解して魔法を使っているのは王都魔術院卒業生かエルフだけなんですけどね。」
    そして早速良く分からない単語が次々と現れ青島は面食らった。

301 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/29(日) 19:51 [ imAIk9NE ]
    「精神力でマナを・・・?そもそもマナ、とはいったいなんなんだ?」
    「マナですか・・・?えっと、身近すぎて逆に説明しにくいんですけど・・・。」
    まぁ自分もいきなり酸素について詳しく説明しろ、と言われたら少し戸惑う。

    「マナというのは空気中に漂う目に見えない粒、と言われています。
    マナは精神力がかようと薄く光って見えるんです。
    マナは空気中だけじゃなくて鉄以外のものは何でも通り抜けてしまって、
    銀や金、白金、それらは逆にマナをその物質中に保っておく性質があるんです。」
    「へぇ、けどそれって何の役に立つんだい?」
    「何言っているんですか、銀で作った剣にアルジェクトを埋め込んで・・・」
    「アルジェクト?」
    また知らない単語が出てきて青島は思わず呟いた。

    「あ、知りませんか。この私の篭手についている宝石です。こういう一部の宝石はマナを引き付ける力があるんです。
    しかも特にこのアルジェクトは精神力のマナへの伝達を補助する力もあってとても重宝します。」
    ・・・わからなくなってきたかも・・・。青島は苦笑した。

    「それで銀などマナ保持率の高い金属で作った剣にアルジェクトを埋め込んで刀身に特定の呪文・・・後で説明します。を書けば精神力を送り込むだけで熱を帯びたり切れ味が鋭くなったりする魔法剣が作れるんですよ。
    これらは実際に身体に身に付けるものだから多少魔法が苦手な人でも扱えるんです。高価なんですけどね。」

302 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/29(日) 19:52 [ imAIk9NE ]
    「魔法が苦手・・・?じゃあ人の魔法の得手不得手ってどうやって決まるんだ?」
    「それは精神力の最大量と魔力で決まるんです。」
    さあ、また分からない単語が出てきた。青島はメモの用意をした。
    「魔力・・・精神力と何か違いが?」
    「はい、精神力が送る力そのものとすれば魔力は精神力を送り出す力です。」

    「うーん・・・つまり精神力がバケツの水で魔力がポンプの力、精神力最大量はバケツの容積ってところかな・・・?」
    「なんですか・・・ポンプって?」
    今度は逆にセフェティナが青島に聞き返した。
    「後で説明するよ。けれど精神力って具体的になんだい?根性がある人が強いってこと?」
    「違いますよ。だったら魔術師はみんな熱血漢じゃないですか。」
    セフェティナが笑って答える。青島もつられて笑った。

303 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/29(日) 19:53 [ imAIk9NE ]
    「今のところ見た魔術師は君とジファンと一部の船員達・・・確かに熱血漢からは程遠いな。」
    「でしょ?精神力というのは紛らわしいんですけど別に心の強さみたいなものじゃありません。
    魔法を使うための人間やエルフに備わっている、体力と同じ鍛錬することで強くなる力です。」

    「鍛錬?どうやってするんだい?」
    たしかに走り込みを毎日やっていれば人間の体力はどんどん伸びていく。
    しかし精神力の鍛錬とはちょっと想像がつかない。
    「えっと、普通は魔法学校や魔術院でやるんですけど・・・体の回りにマナを集めて長時間耐えるとか・・・。」

    「(よくわからない・・・。)けど魔法学校や魔術院・・・魔法を教える機関のことかい?」
    「はい。富裕な一般庶民が通う事ができるのが魔法学校、貴族や才能ある魔法学校生が行くのが魔術院です。」
    「へぇ・・・じゃあ僕も魔法学校に行けば魔法を使えるようになるのかな?」
    日本人が魔法を使えるようになれば産業革命どころの話ではないだろう。
    「いや、それは無理です。」
    「あ、そうなの、なんだ・・・。けどなんで?」

    「マナを動かすには幼い頃からのマナを動かす練習が不可欠なんですよ、だから今赤ちゃんのニホンに居る人ならあるいは。」
    「そうなんだ・・・。」
    これは重要な事項である。もしかしたら日本に魔法を導入することになるかもしれないのだ。

304 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/29(日) 19:53 [ imAIk9NE ]
    「それでさっきの呪文っていったい?」
    「はい、呪文と言うのは術者の精神力がかよったマナに様々な現象を起こさせるものです。
    だから術者というのはどんなに精神力を使っても呪文がなければマナを動かしたり集めたりすることしかできないんですよ。
    呪文は普通口でぼそぼそ言うんですけど魔法剣などは銀などに特殊な液体で掘り込みますし、大規模な魔法の場合は魔方陣で補助することが多いです。」

    セフェティナはポンッと手を叩いた。
    「つまり魔法の手順を簡単に説明すると、

    精神力をマナに通わせ自分の近くに集める→マナを自分の望む魔法が撃てる形に動かす→
    呪文を詠唱して自分の精神力を変質させる→マナが様々な現象を起こす。

    これが魔法なんです。そして大規模な魔法ほど多くの精神力を必要として、多くの精神力を使うには強い魔力が必要なんですよ。」

305 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/29(日) 19:53 [ imAIk9NE ]
    「・・・。」
    中世レベルの世界なのに随分良く研究されて体系化されている、こちらの世界の科学と比べてもあまり遜色が無いほどだ。青島は感心した。
    「どうしました?」
    「いや、なんでもない。魔法を使う際に自分の近くにマナを集める・・・ということは魔法を使った直後は術者の周りや魔法を使った対象の近くはマナの濃度が高くなっている、ということ?」

    「はい、マナはかなり速いスピードで濃度の高いところから低いところへ移動するんですけれど、
    それでも頻繁に魔法が使われる戦場などではマナの濃度は高くなります。だから被害も大きくなってしまうんです・・・。
    だけど例外もあってエルフの森などの一部の場所では不思議と常にマナの濃度が高いんです。」
    セフェティナが悲しげな顔をした。
    「戦場・・・マナに治療魔法なんてないのかい?」

    「そんな、傷や病気を治療するなんて神のなせる業ですよ。魔法なんかでできるわけがありません。」
    「そ、そうなのか・・・。」
    回復魔法が無いというのは少し意外だった。
    ゲームで一番使うのが回復魔法だったのだが、この世界にはそんなものは無いらしい。
    「そうですよ、そんなことができたらどんなに便利か、と思いますけどね。
    魔法で人間の身体を強くしたりすることはできないんです。
    硬化したマナを集めて圧縮して盾代わりにする。とかならできますけど精神力が幾らあっても足りませんよ。」
    そういった後セフェティナは一部例外も居ますけど、と小さく呟いた。

306 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/29(日) 19:54 [ imAIk9NE ]
    「・・・そういえば今まで見た魔法で炎を出したり釘みたいのを飛ばしたり、氷を出す物があったけど、他にどんなものがあるんだ?」
    少し話しが湿っぽくなってしまったので青島は話題を切り替えた。
    「あ、魔法の種類ですか?魔法は結構系統だっているんですよ。
    例えばマナの温度を上げる熱系、下げる冷却系、硬度を上げたり切れ味を出したりする物質系、他にもあるんですけれどそれはまた・・・。
    それで術者は系統に好き嫌いがあったりするんです、ちなみに私が得意なのは・・・分かりますか?今の三つの中にあるんですけど。」
    セフェティナがいたずらっぽい目で青島を見る。突然のことに青島も驚いてしまった。
    「え?・・・そうだな・・・冷却系?」
    と完全に勘で答える。
    「すごい青島さん!当たりです!」
    しかしそれが正解だったらしくセフェティナは手を叩いて笑った。

    「おお、勘だったのに。・・・う。」
    凄まじい殺気を感じて振り返る。するとそこには監視員が仁王立ちしていた。
    『何をいちゃついているんだこいつらは。』監視の隊員の目はそう語っていた。

    「コホン。・・・つまり僕達日本が召還されてさらに言葉まで通じるのはそういう呪文があるからなのか?」
    「えっと・・・たぶん・・・そうだと思います。」
    「たぶん?」
    青島は自信なさげな答えに眉を寄せた。

    「はい・・・あの召還魔法は特別なんです。」

    「特別?」
    青島はオウム返しに聞き返した。

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