自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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「実は、その事についてなのですが、我々は防御魔法をこれに保存することができました。」
リリアは、テーブルにバケツのようなものを置いた。中にはなにやら青っぽい色をした塗料
が入っていった。
「これは?」
「この塗料は、防御魔法の特性を保存したものです。従来の防御魔法は、魔法発動と同時に
エネルギーが外気に放出されていたため、効き目が30分ほどしかありませんでした。ですが、
エネルギーを閉じ込めれば、何日でも保存が可能で、ある程度の被弾には耐え切ることが
できると思います。」
リリアは淡々とした口調でそう語った。ミッチャーとバークは、その後の彼女の説明に熱心に
に聞き入った。

4日後、王都から東に20キロ離れた所に、長さ120メートル、幅50メートルほどの的が
置かれていた。その的は青みががった黒い塗料で塗られており、その上から赤い×点が記されている。
上空に爆音が響いてきた。東から黒い点粒が6つ現われた。
それは米海軍の主力艦爆であるSB2Cヘルダイバーであった。6機はしばらく高度5000メートル
から、的を伺うように何度か旋回した後、1機がその的めがけて急降下を始めた。
ヘルダイバーは甲高い音を上げて的に急降下を続ける。まるで猛禽さながらである。高度が800になった
時に腹から黒い物が落ちた。1000ポンド爆弾だ。

それはまっしぐらに的に向かっていった。そしてその爆弾が的の真ん中に吸い込まれた瞬間、一瞬だけ青白い
光が光った。直後、ダーン!という轟音と共に爆炎があがった。
的の周りは黒煙に包まれて見えなくなった。やがて黒煙が晴れると、そこには破壊されていない的があった。
さらに2機目、3機目が続いた。心臓をわし掴みにするような音を撒き散らしながらヘルダイバー群は次々と
投弾した。轟音と共に爆炎が広がる。的はよく耐えた。だが、その耐久性もついに6発目で破綻した。
ズドーン!という音が鳴り響き、バラバラになったチーク材を使った的が宙を待った。
「ああ・・・・・・」
女性の悲しげな声がした。魔道師のリリアは、失望した表情で煙をあげている場所を見つめていた。
「5発か・・・・・・・・」
リリアの隣にいたスプルーアンスが、表情を変えずに呟いた。
「まあまあと言うところですな。」
腕を組んでいたミッチャー中将が頷いた。この日、リリア達が開発した防御魔法を取り込んだ塗料を、
実際に空母の飛行甲板に使われているチーク材に塗って耐爆実験行った。
実験にはヘルダイバーに搭載されている1000ポンド(454キロ)爆弾を使用。パイロットはどれも
ベテランに協力してもらった。
「本当なら、10発を目標にしていたのですが・・・・・」
ターナー魔道師が複雑な表情を浮かべてそう言う。そこにミッチャーが助け舟を出した。
「いや、そう失望するほどでもない。あの的には、爆弾がほぼ同じような位置で着弾している。実際の
戦闘では、空母はあの的のように静止していない。常に回避運動を行いながら敵弾を避けようとしている。
一転に集中して投下されればああなるが、被弾箇所が必ず時も同じとはいえないからな。、1箇所で5発も
耐え切ればなんとかなる。」
ミッチャーの言葉に、リリアとターナーは顔にやや明るさを取り戻した。

チーク材に塗ってあった塗料は、リリアとターナーが中心となって開発した防御用の塗料である。
この塗料は、従来使われていた防御魔法を応用して作られたものであり、防御塗料は実際に戦場で
盾などに使われ、ある程度の弓矢などをはじき返していた。
この塗料はその拡大版であり、リリアとターナーが新たに作った強力な防御魔法が注ぎ込まれていた。
色は青みがかっていて、傍目から見たらちょっと深い青色をしたペンキみたいなものだ。
この実験の結果、暫定的ながらも、1箇所に集中されれば、最低でも5発の1000ポンド爆弾に
耐えられる事が分った。

「問題は量ですな。」
作戦参謀のフォレステル大佐がうなるような口調で言ってきた。
「お2人から聞いたところでは、塗料の量が正規空母4隻分に塗れる分しかないところです。
我々としてはなるべく、多くの艦船にこの塗料を塗って防御力を高めたいのですが。」
「それは、少し難しいですね。」
ターナーが苦虫を噛み潰したような表情で言う。
「この塗料は、アレイラの木というもので、西の辺境でしか生えていない木の樹液が原材料なのです。それに、
防御魔法は、他の塗料で試してもあまり合わず、一番相性がいいのは、アレイラの木が原材料
となっているこの塗料なのです。それにアレイラの木事態、本数が少なく、あなた方の艦船に
塗る量をとれば、アレイラの木は絶滅してしまいます。」
「そうですか・・・・・」
そう言ってフォレステルは頭を抱えたい気持ちになった。
「しかし、アレイラの木の塗料はまだ魔力を注入していない文もあります。この分の魔力付加を
終えれば、あなた方の主力である高速空母部隊の大型空母の全艦、小型空母の半数に塗る分があります。」
それを聞いて、スプルーアンスは考えた。2~3分考えた後、スプルーアンスは頷いた。
「それでいい。その分さえあれば、なんとなるだろう。あなた方の努力には本当に感謝する。」
そう言ってスプルーアンスは頭を下げた。
「いや、そんなんではありません!提督、私のような下級の身に頭なぞ下げなくても。」
タイラーとリリアは慌ててスプルーアンスにそう言った。
「そんな事はない。君達は十分に価値のあることをしてくれた。本当なら100回頭を下げても
足りないぐらいだ。」
彼は微笑みながらそう言った。

の日の夜。ここはウルシーより東北600キロ離れた小島。その小島は全体が岩一つのような
岩だらけの島で、大きさは東西に1キロ、南北に500メートルほどである。
その岩島の唯一の砂浜に、1人の男が立っていた。その男は青年で、端正な顔立ちに痩せ型の
体つきである。だが、どこか酷薄そうな印象がある。彼の着ている紫色の上着がそれを冗長させ
ているように思える。
ふと、波が押し寄せてきた。ザーンという音と共に、波が浜に迫る。その時、その波の中から
体調が最低でも10メートルはあろうかという巨大な海蛇が出来た。
普通なら逃げねばならない。なぜなら、巨大海蛇は人を襲うのである。この世界で海竜と呼ばれている
この巨大海蛇は、同族がすでに4匹も米機動部隊に襲い掛かったが、すべて返り討ちに合っている。

だが。

「来たか。」
男は逃げるそぶりも見せず、顔には待ち人がやって来たような喜びの表情が浮かんでいた。
巨大海蛇は、なんと、彼を襲わずに、そのまま頭を彼の側にさしだした。

よく見ると海竜の頭には何かの模様が刻印されている。男はその頭に手を置き、目をつぶった。
「奥に宿り記憶よ、我にそれを見せられたし」
呪文のようなものを言うと、男はそのままじっと動かなかった。数分ほどそのままの姿勢でいた。
男が目を開けると、彼は口を開いた。
「ウルシーに・・・・・異世界軍が陣取ったか。あの白い星の悪魔が。」
彼の脳裏には、すっかり様変わりしたウルシー泊地の姿があった。その姿は、遠めで分りづらかった
が、その泊地を埋め尽くさんばかりの大量の船が停泊していた。
「まあいい。警戒が厳重な泊地によく近づけたな。褒めてやるぞ。」
彼がそう言うと、海竜は首を下げた。彼が行けと言うと、海竜は砂浜から海に戻って行った。
この岩島は彼、ロバルト・グッツラ騎士中佐率いるバーマン海軍第23海竜情報収集隊の根拠地である。
第23海竜情報収集隊は、主に魔道師で編成されており、30人の魔道師と200人の兵士が駐屯している。
魔道師達は、魔法で海竜を操り、ヴァルレキュア船籍の輸送船を探す任務を行っている。
この海竜情報収集隊の主役が、先の海竜であり、収集隊は300匹の海竜を使い、任務遂行している。
海竜には、特別に開発した超長距離魔法通信が発進できる魔道式を取り込んであり、魔道師はいつでも
情報を受け取ることができ、海軍の通商破壊船に予想位置を伝える事が出来、これまで大きな功績を
残してきた。
そして、今日。第23収集隊は新たな任務を海竜に伝えた。それはウルシーに停泊するアメリカ艦隊
の監視作業であった。
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