午後9時 カウェルサント西7キロ
「ひどい雨だ。あれから全く止む様子が無い。」
防衛線の塹壕の中で、カーロ・オウルアン少佐は眉をひそめた。
「しかし、敵はどうしたんでしょうかね。たったちょっとの砲撃だけで、後は何もなしですよ。」
となりの若い士官が不思議そうな表情問いかけてきた。
「まあ、詳しくは分からないが、撹乱部隊の攻撃がかなり功を奏したようだ。大雑把な情報だけしかないが、
高地に陣取った敵の砲兵部隊を壊滅させたり、進軍中の敵部隊を足止めしたそうだ。」
高地に陣取った敵の砲兵部隊を壊滅させたり、進軍中の敵部隊を足止めしたそうだ。」
オウルアン少佐は、伸びた無精髭をさすりながら語った。
「だが、一番の効果は、この雨だろう。天候が悪くなると、敵側が出来ない事がある。それは何だと思うね?」
「ワイバーンロードの支援・・・・ですか?」
「そうだよ。継戦側は、まず砲撃で地ならしをした後、ワイバーンロードでここやカウェルサントをある程度焼く。
その後、地上部隊で攻撃する腹積もりだったんだろう。だが、最初の砲撃は撹乱部隊が阻止したし、
肝心の航空支援は、なぜか現れず、ついには天候が荒れてできなくなっちまった。」
「ワイバーンロードの支援・・・・ですか?」
「そうだよ。継戦側は、まず砲撃で地ならしをした後、ワイバーンロードでここやカウェルサントをある程度焼く。
その後、地上部隊で攻撃する腹積もりだったんだろう。だが、最初の砲撃は撹乱部隊が阻止したし、
肝心の航空支援は、なぜか現れず、ついには天候が荒れてできなくなっちまった。」
彼は空を見上げた。夜の空は真っ暗に染まっており、大粒の雨がこれでもかとばかりに降り注ぐ。
「このまま突入させたんじゃ、被害は抑えられないから、一度は待機してるんだ。」
「てことは、明日が勝負ですね。」
「明日じゃない。」
「てことは、明日が勝負ですね。」
「明日じゃない。」
オウルアン少佐はかぶりを振った。
「雨が止み次第、と言った方が正しい。雨もいつまで続くか分からない。1時間後か・・・・
それとも明日の朝か。とりあえず、雨がやむまでは、少し気楽にできるというわけさ。敵を恐れずにね。」
それとも明日の朝か。とりあえず、雨がやむまでは、少し気楽にできるというわけさ。敵を恐れずにね。」
そう言って、彼は微笑む。それを聞いた若い士官も苦笑した。
「できれば、ずーっと続いて欲しいですけどね。ワイバーンロードさえ来なければ、自分らも派手に暴れ回れますから。」
「それに関しては同感だね。」
「それに関しては同感だね。」
オウルアン少佐はそう言って頷いた。
彼の身長は190センチあり、体つきは幾分がっしりしている。
しかし、はたから見ればのっぽのようにもみえる。
顔つきは穏やかで、部下からは面倒見の良い上官として部下から慕われている。
彼の身長は190センチあり、体つきは幾分がっしりしている。
しかし、はたから見ればのっぽのようにもみえる。
顔つきは穏やかで、部下からは面倒見の良い上官として部下から慕われている。
「例のものは、確か20体しかなかったな。あっちは師団規模で来るから、5、60体ぐらいで来る。
奴らが本気で押してきたら、ちと危ないな。」
「危ない時はどうしましょうか?」
「打ち合わせどおりに、後方に退くさ。」
奴らが本気で押してきたら、ちと危ないな。」
「危ない時はどうしましょうか?」
「打ち合わせどおりに、後方に退くさ。」
そう言って、彼は顎をしゃくった。
「だが、俺は最後に戻る。部下達を置いては行けないからね。」
少佐はニヤリと笑みを浮かべた。
その時、少佐の耳に何か違う音が紛れ込んできた。
「その時は、自分も一緒に闘います」
その時、少佐の耳に何か違う音が紛れ込んできた。
「その時は、自分も一緒に闘います」
士官の声を、手を上げて制した。オウルアン少佐は、耳を傾けて、一定方向の音を聞き取っている。
その方向は、西側だった。
雨音に混じって、何かの音が聞こえてくる。それは、次第に大きくなってきた。
しばらく経つと、パキッという枝を踏んだような音が聞こえた。
誰かが木の枝を踏んだのか?若い士官はそう思ったが、次の瞬間
その方向は、西側だった。
雨音に混じって、何かの音が聞こえてくる。それは、次第に大きくなってきた。
しばらく経つと、パキッという枝を踏んだような音が聞こえた。
誰かが木の枝を踏んだのか?若い士官はそう思ったが、次の瞬間
「総員戦闘配置!敵が来るぞ!!」
オウルアン少佐は大音声を上げて、防御戦の将兵達に伝えた。
その声は、雨音をかき消してそれぞれの耳にしっかりと入っていった。
誰もが、オウルアン少佐を向き、一瞬ポカンと、間の抜けた表情を浮かべる。
しかし、どことなく、地鳴りのような者が、地面を微かに振るわせた。
それが、彼らの警戒心を沸き立たせた。その直後には、全ての将兵が、慌てながらも配置につこうとした。
その声は、雨音をかき消してそれぞれの耳にしっかりと入っていった。
誰もが、オウルアン少佐を向き、一瞬ポカンと、間の抜けた表情を浮かべる。
しかし、どことなく、地鳴りのような者が、地面を微かに振るわせた。
それが、彼らの警戒心を沸き立たせた。その直後には、全ての将兵が、慌てながらも配置につこうとした。
「少佐、もしかして・・・・」
「そのもしかしてだよ。」
「そのもしかしてだよ。」
オウルアン少佐は、持っていた小銃に弾を入れ終えると、それを肩にかけずに、そのまま両手で持ち続けた。
彼の戦闘準備は既に完了していた。
彼の戦闘準備は既に完了していた。
「奴ら、我慢しきれなくて行動を起こしやがった。それも、ゴーレムを前面に出してな。」
午後9時 第77歩兵師団の第1、第2大隊はついに前進を開始した。
本来ならば、午後5時頃には敵陣地に向けて兵を進めていた筈なのだが、予定が狂いに狂い、
攻撃の決断が出されたのは9時を迎える少し前である。
前線より3キロの地点に進出していた第1連隊は、まず第1、第2大隊を順番に突入させる事にし、第3大隊は
第1、第2大隊が敵陣に突っ込んで、しばらく経ってから突入を開始する。
本当ならば、3個大隊が一斉に突入する予定であったが、急遽、予定を変更して突入部隊を2つに分ける事にした。
これは敵に息をつかせぬように仕組まれたもので、第1、第2大隊の戦闘に敵軍が忙殺されている間に、
第3大隊が敵陣地の後方に回りこんで包囲する、という狙いである。
全部隊が一斉に突入すれば、圧力も高められるものの、敵側の攻勢魔法や、銃火器が向けられる方向も
一方向に限られるため、敵の反撃の密度が高くなる。
その場合、連隊が丸ごと撃退される恐れがあった。
それよりかは、第1、第2大隊が敵に圧力をかけつつも、視線前方に注目させ、その隙に第3大隊が機動を行って敵陣地を包囲、火力を別方向にまで割かねばならなくなった敵に対して一気に突入し、雌雄を決するというものである。
本来ならば、午後5時頃には敵陣地に向けて兵を進めていた筈なのだが、予定が狂いに狂い、
攻撃の決断が出されたのは9時を迎える少し前である。
前線より3キロの地点に進出していた第1連隊は、まず第1、第2大隊を順番に突入させる事にし、第3大隊は
第1、第2大隊が敵陣に突っ込んで、しばらく経ってから突入を開始する。
本当ならば、3個大隊が一斉に突入する予定であったが、急遽、予定を変更して突入部隊を2つに分ける事にした。
これは敵に息をつかせぬように仕組まれたもので、第1、第2大隊の戦闘に敵軍が忙殺されている間に、
第3大隊が敵陣地の後方に回りこんで包囲する、という狙いである。
全部隊が一斉に突入すれば、圧力も高められるものの、敵側の攻勢魔法や、銃火器が向けられる方向も
一方向に限られるため、敵の反撃の密度が高くなる。
その場合、連隊が丸ごと撃退される恐れがあった。
それよりかは、第1、第2大隊が敵に圧力をかけつつも、視線前方に注目させ、その隙に第3大隊が機動を行って敵陣地を包囲、火力を別方向にまで割かねばならなくなった敵に対して一気に突入し、雌雄を決するというものである。
第1大隊の先鋒を務めるデューツ・ジュフパン大尉の中隊は、ストーンゴーレムを前面に押し立てて、ゆっくりと前進しつつあった。
前進を始めてから20分が経過した。ストーンゴーレムは、邪魔な木々を叩き倒し、跳ね除けながら進んでいく。
そのやや離れた後方に、兵員が続く。誰もが緊張と興奮で、殺気立った表情を浮かべていた。
前進を始めてから20分が経過した。ストーンゴーレムは、邪魔な木々を叩き倒し、跳ね除けながら進んでいく。
そのやや離れた後方に、兵員が続く。誰もが緊張と興奮で、殺気立った表情を浮かべていた。
それぞれが、左右を振り返ってしきりに警戒している。
ある者は、突然草の陰に向けて銃弾をぶち込んだ。
その草の陰が大きく動いたため、兵は隠れていた敵がいると判断して銃を撃った。
しかし、そこには人がおらず、大きな木の実が砕け散っているだけであった。
その木の実は枝に生えている果実で、ストーンゴーレムの歩く振動で落ちたものである。
それを敵と間違えて撃ったのだ。
昼間に、連隊の各部隊は突如として、革命派の攻撃を受けている。戦闘は凄まじく、いずれの戦闘地区でも、攻撃を受けた側のほうが損害は多かった。
ある者は、突然草の陰に向けて銃弾をぶち込んだ。
その草の陰が大きく動いたため、兵は隠れていた敵がいると判断して銃を撃った。
しかし、そこには人がおらず、大きな木の実が砕け散っているだけであった。
その木の実は枝に生えている果実で、ストーンゴーレムの歩く振動で落ちたものである。
それを敵と間違えて撃ったのだ。
昼間に、連隊の各部隊は突如として、革命派の攻撃を受けている。戦闘は凄まじく、いずれの戦闘地区でも、攻撃を受けた側のほうが損害は多かった。
「前進中にも、急に敵に襲われるかもしれない」
誰もが、そう確信しており、ストーンゴーレムの後ろに隠れつつも、彼らはどこに潜んでいるかわからぬ敵に怯えていた。
幸い、前進中には敵の攻撃は全く無かった。
「ジュフパン大尉、先頭の第1小隊が間もなく敵陣地前面に突出します。」
「よし。俺達もすぐに突っ込むぞ。急げ!」
「よし。俺達もすぐに突っ込むぞ。急げ!」
そう言って、大尉は後ろの魔道師に視線を送った。
彼の真意を受け取った魔道師は、ゴーレムに対して魔法通信を送る。
やがて、石造りのゴーレムの巨体はスピードを上げ始めた。
体重は3トン、体長2.2メートルもあるゴーレムが前進していくさまは、どこか安心感がある。
彼の真意を受け取った魔道師は、ゴーレムに対して魔法通信を送る。
やがて、石造りのゴーレムの巨体はスピードを上げ始めた。
体重は3トン、体長2.2メートルもあるゴーレムが前進していくさまは、どこか安心感がある。
「敵陣地まであと20メートル!」
その時、前方で激しい銃撃音が轟いた。連続して音が発せられているから、敵か味方のどちらかが、機銃を撃ちまくっているのだろう。
「第1小隊が敵に突っ込んだぞ!奴らに遅れを取るな!」
ゴーレムもさらにスピード上げる。目の前の木を、固い石の手で跳ね除ける。
そして、ついに敵陣地の前面に躍り出た。
その時、突然目の前のゴーレムに何かが突っかかってきた。それは、味方と同じゴーレムであった。
だが、
そして、ついに敵陣地の前面に躍り出た。
その時、突然目の前のゴーレムに何かが突っかかってきた。それは、味方と同じゴーレムであった。
だが、
「敵もゴーレムを突っ込ませてきた!まずは敵のゴーレムを薙ぎ払え!」
ジュフパン大尉は早口でそうまくしたてた。第1小隊は、敵が繰り出してゴーレムに、自分達のゴーレムを相手取られてしまった。
敵が顔面に拳を叩きつければ、味方のゴーレムは足を払って倒そうとする。
しかし、敵のゴーレムはそれを避けて、渾身の一撃を味方のゴーレムに叩き付けた。
バガアン!
石が砕ける音が発せられ、第1小隊についていたゴーレムの1体が胴体を叩き潰された。
敵が顔面に拳を叩きつければ、味方のゴーレムは足を払って倒そうとする。
しかし、敵のゴーレムはそれを避けて、渾身の一撃を味方のゴーレムに叩き付けた。
バガアン!
石が砕ける音が発せられ、第1小隊についていたゴーレムの1体が胴体を叩き潰された。
頑丈さで定評のあるゴーレムだが、その自重は叩かれた胴体を余計に圧迫する。
構造に限界を来たし、ついには体が真っ二つに折れてしまい、その場に倒れ付した。
第1小隊の将兵らは、ゴーレムがやられる前に、敵陣に向けて突入したが、あと一歩で塹壕に切り込もうとした
時に、敵側も飛び出して第1小隊の相手をする。
しかし、その時には第1小隊は、機銃や攻勢魔法の攻撃で24人いたのが、たったの7人まで減っていた。
それに対し、相手は17人いた。
相手側は、塹壕から飛び出してくるなり、剣を抜き放ち、第1小隊の残余と激しく斬り合った。
4人を殺害し、2人に負傷を負わせたところで第1小隊は力尽き、全員戦死した。
しかし、攻撃側の戦力はますます増えつつあった。後ろの森のあちらこちらから、継戦側の部隊が踊りだしてきた。
ジュフパン大尉が直率する第3小隊は、2体のゴーレムを率いている。
そのうち1体を叩き潰されたものの、1体は生きており、敵側のゴーレムを2体破壊している。
構造に限界を来たし、ついには体が真っ二つに折れてしまい、その場に倒れ付した。
第1小隊の将兵らは、ゴーレムがやられる前に、敵陣に向けて突入したが、あと一歩で塹壕に切り込もうとした
時に、敵側も飛び出して第1小隊の相手をする。
しかし、その時には第1小隊は、機銃や攻勢魔法の攻撃で24人いたのが、たったの7人まで減っていた。
それに対し、相手は17人いた。
相手側は、塹壕から飛び出してくるなり、剣を抜き放ち、第1小隊の残余と激しく斬り合った。
4人を殺害し、2人に負傷を負わせたところで第1小隊は力尽き、全員戦死した。
しかし、攻撃側の戦力はますます増えつつあった。後ろの森のあちらこちらから、継戦側の部隊が踊りだしてきた。
ジュフパン大尉が直率する第3小隊は、2体のゴーレムを率いている。
そのうち1体を叩き潰されたものの、1体は生きており、敵側のゴーレムを2体破壊している。
敵の塹壕まであと60メートルという所だが、革命側は盛んに銃を撃ちまくり、攻勢魔法を放ってくる。
ゴーレムの後ろから、ジュフパン大尉らは姿勢をかがめ、適度に銃で応戦しながら前進していく。
部下の魔道師が一瞬の隙を突いて、ゴーレムからそっと体を飛び出し、手を敵陣に向ける。
青白い閃光が両手から放たれた。
次の瞬間、敵陣に爆炎が吹き上がり、何人かの敵兵が宙に舞った。
機銃弾の弾薬箱にでも命中したのだろう、しきりに火花を飛び散らした。
彼らに向かってくる銃弾の数は少しは減少した事になる。
ゴーレムの後ろから、ジュフパン大尉らは姿勢をかがめ、適度に銃で応戦しながら前進していく。
部下の魔道師が一瞬の隙を突いて、ゴーレムからそっと体を飛び出し、手を敵陣に向ける。
青白い閃光が両手から放たれた。
次の瞬間、敵陣に爆炎が吹き上がり、何人かの敵兵が宙に舞った。
機銃弾の弾薬箱にでも命中したのだろう、しきりに火花を飛び散らした。
彼らに向かってくる銃弾の数は少しは減少した事になる。
「よし、これでまた進みやすくなったな。」
彼が少しばかり安堵した瞬間、青白い閃光が左斜めから向かってきた、と思った瞬間、バーン!という鼓膜を破らんばかりの音が響いた。
爆風が背中に叩きつけられ、思わず前のめりに倒れる。悲鳴や罵声が、背後から聞こえてきた。
爆風が背中に叩きつけられ、思わず前のめりに倒れる。悲鳴や罵声が、背後から聞こえてきた。
「畜生!敵の攻勢魔法だ!」
「う、腕が!腕が無い!」
「誰かこいつの面倒を見てやれー!!」
「う、腕が!腕が無い!」
「誰かこいつの面倒を見てやれー!!」
後ろで負傷者と、それを慌てて介抱する味方兵の悲痛な叫び声が聞こえてくる。
だが、今はそれにかまっている暇は無い。
戦死者や、負傷者の無念を晴らすためにも、今はひたすら前進し、敵陣地を突破するのみだ。
銃火は前進するにつれて激しくなってきた。
盾の役割を果たしているゴーレムに数え切れないほどの銃弾が命中する。
しかし、10ミリ未満の機銃弾では、表面を傷つけることしか出来ない。
ジュフパン大尉の部隊は17人に減ってしまったが、今尚、全員が戦意を失っていない。
彼らと同じように、ゴーレムを盾にして進む小隊は幾つもいる。
革命側はいくつかのゴーレムに攻撃を集中している。そのゴーレムは第3中隊のゴーレムである。
しきりに爆発や、機銃弾の弾着で土や水しぶきが舞い上がる。
それでも、彼らは諦めておらず、ひたすら前進を続けている。
その傍らには、無念にも戦死した味方の死体や、ゴーレムの破壊された巨体が横たわっている。
だが、今はそれにかまっている暇は無い。
戦死者や、負傷者の無念を晴らすためにも、今はひたすら前進し、敵陣地を突破するのみだ。
銃火は前進するにつれて激しくなってきた。
盾の役割を果たしているゴーレムに数え切れないほどの銃弾が命中する。
しかし、10ミリ未満の機銃弾では、表面を傷つけることしか出来ない。
ジュフパン大尉の部隊は17人に減ってしまったが、今尚、全員が戦意を失っていない。
彼らと同じように、ゴーレムを盾にして進む小隊は幾つもいる。
革命側はいくつかのゴーレムに攻撃を集中している。そのゴーレムは第3中隊のゴーレムである。
しきりに爆発や、機銃弾の弾着で土や水しぶきが舞い上がる。
それでも、彼らは諦めておらず、ひたすら前進を続けている。
その傍らには、無念にも戦死した味方の死体や、ゴーレムの破壊された巨体が横たわっている。
敵ゴーレムのうち、5、6体はなんとか破壊したようだが、こちら側も何体のゴーレムがやられたか、全く分からない。
最初のゴーレム同士の白兵戦では、敵のほうがやや押していたから、恐らくは味方のほうが、敵よりも多くやられているに違いない。
そう思うと、ジュフパン大尉はやや陰鬱な気分になった。
その耳元を、機銃弾が掠めていき、彼は慌てて首を引っ込ませた。
最初のゴーレム同士の白兵戦では、敵のほうがやや押していたから、恐らくは味方のほうが、敵よりも多くやられているに違いない。
そう思うと、ジュフパン大尉はやや陰鬱な気分になった。
その耳元を、機銃弾が掠めていき、彼は慌てて首を引っ込ませた。
「こんな雨の日に攻め入ってくるとはね!思いもよらなんだ!」
オウルアン少佐は、口々に文句を言いながら、機銃を撃ちまくっていた。
本来ならば、彼のほかに機銃手はいたのだが、その本命の射手は彼の右隣でただのモノと化している。
よく見てみると、額に銃弾が命中した後があり、後頭部には目を背けたくなるようなモノが飛び出している。
敵はゴーレムを前面に押し立てて進撃を続けている。
頑丈なゴーレム相手では、機銃弾は通用しておらず、空しく弾着の音を上げているだけだ。
本来ならば、彼のほかに機銃手はいたのだが、その本命の射手は彼の右隣でただのモノと化している。
よく見てみると、額に銃弾が命中した後があり、後頭部には目を背けたくなるようなモノが飛び出している。
敵はゴーレムを前面に押し立てて進撃を続けている。
頑丈なゴーレム相手では、機銃弾は通用しておらず、空しく弾着の音を上げているだけだ。
「おい!お前!」
彼は側でしきりに魔法通信を送る魔道兵に声をかけた。
「なんでありますか!?」
「あれを攻勢魔法で吹き飛ばせ!」
「攻勢魔法で!?」
「そうだ!頭を狙えよ!」
「あれを攻勢魔法で吹き飛ばせ!」
「攻勢魔法で!?」
「そうだ!頭を狙えよ!」
雨音が大きいため、声を大きくしないと相手に伝わらない。
この会話は、他から見ると怒鳴りあいの喧嘩に思えた。
頷いた魔道師は、魔法通信を一旦終了して両手を伸ばし、狙いをつける。
意識を集中する。術式を頭の中で素早く組み立て、そして完成する。
広げられた両手から雷のような青白い光が飛び出した。光はゴーレムの体に命中して、爆発音をあげた。
しかし、煙が晴れると、ゴーレムは傷を負いながらも全身を続ける。
この会話は、他から見ると怒鳴りあいの喧嘩に思えた。
頷いた魔道師は、魔法通信を一旦終了して両手を伸ばし、狙いをつける。
意識を集中する。術式を頭の中で素早く組み立て、そして完成する。
広げられた両手から雷のような青白い光が飛び出した。光はゴーレムの体に命中して、爆発音をあげた。
しかし、煙が晴れると、ゴーレムは傷を負いながらも全身を続ける。
「馬鹿野郎!頭を狙え!」
「狙ってます!しかし、この雨の影響で、青雷を放つときには誤差が生じるんです。
正確に狙うと、撃つまでの時間が長くなっちまいます!」
「なら仕方が無い。通常の方法でやれ!」
「狙ってます!しかし、この雨の影響で、青雷を放つときには誤差が生じるんです。
正確に狙うと、撃つまでの時間が長くなっちまいます!」
「なら仕方が無い。通常の方法でやれ!」
そう言って、彼は再び前を向いて機銃を撃った。
機銃の曳光弾がゴーレムに向かっていくが、それらは当たった瞬間、別の方向に飛んで行ったり、弾けたりする。
その時、魔道兵の放った青白い光、青雷よばれる攻勢魔法が放たれ、それがゴーレムの頭部に突き刺さった。
ゴーレムの頭部が爆発し、それまで前進を続けていた体が急に停止する。
この時、青雷はゴーレムの唯一、脆弱な(といっても銃弾は跳ね返す程度の強度がある)頭部に命中した。
爆発は魔法通信の受信源をたたきのめし、一切の情報が入らなくなった。
機銃の曳光弾がゴーレムに向かっていくが、それらは当たった瞬間、別の方向に飛んで行ったり、弾けたりする。
その時、魔道兵の放った青白い光、青雷よばれる攻勢魔法が放たれ、それがゴーレムの頭部に突き刺さった。
ゴーレムの頭部が爆発し、それまで前進を続けていた体が急に停止する。
この時、青雷はゴーレムの唯一、脆弱な(といっても銃弾は跳ね返す程度の強度がある)頭部に命中した。
爆発は魔法通信の受信源をたたきのめし、一切の情報が入らなくなった。
そして、ゴーレムは動きをやめてしまったのだ。敵の災難はこれだけではなかった。
前進中のゴーレムは左足を上げた瞬間に青雷が命中した。
急停止をかけられたゴーレムは、バランスを失ってそのまま後ろ向きに倒れていく。
後ろで姿勢をかがめながら前進していた継戦側の兵が、いきなり倒れてくるゴーレムに仰天し、慌てて離れていく。
が、不運な者もいた。3人が間に合わずに押し潰され、圧死した。
前進中のゴーレムは左足を上げた瞬間に青雷が命中した。
急停止をかけられたゴーレムは、バランスを失ってそのまま後ろ向きに倒れていく。
後ろで姿勢をかがめながら前進していた継戦側の兵が、いきなり倒れてくるゴーレムに仰天し、慌てて離れていく。
が、不運な者もいた。3人が間に合わずに押し潰され、圧死した。
「やったぞ!」
「すげえ、まぐれ当たりだ。」
「すげえ、まぐれ当たりだ。」
オウルアン少佐が快哉を叫ぶ横で、魔道兵はやや信じられない取った口調でそう言った。
倒れたゴーレムの左右に散らばった敵兵は、すぐに横を前進している別のゴーレムの影に隠れようとした。
その前に革命側の集中射撃を受けて、ほとんどが薙ぎ倒されてしまった。
倒れたゴーレムの左右に散らばった敵兵は、すぐに横を前進している別のゴーレムの影に隠れようとした。
その前に革命側の集中射撃を受けて、ほとんどが薙ぎ倒されてしまった。
「少佐!」
隣の魔道兵が森の方向を指差す。
敵の突入部隊の後ろから、さらなる敵部隊が姿を現してきた。
数は今突進中の敵部隊とほぼ同数である。
敵の突入部隊の後ろから、さらなる敵部隊が姿を現してきた。
数は今突進中の敵部隊とほぼ同数である。
「次から次へと!」
少佐は忌々しげにそう叫んだ。
敵の第1波は既に半数以上の兵を失っているものの、まだ前進を続けている。その残余が塹壕に侵入しようとしている。
この敵部隊を追い払うにはかなりの手間がかかる。
そこに新手が出てくると、ただでさえ押され気味なのにこちら側が陣地から追い出される可能性がある。
そうなれば、後はカウェルサントの砦に篭城して戦うしかない。
「もっと、兵力があれば・・・・・・」
現在、防御陣地には1400人の兵がいる。それに対し、敵は2000以上いる。
敵の第1波は既に半数以上の兵を失っているものの、まだ前進を続けている。その残余が塹壕に侵入しようとしている。
この敵部隊を追い払うにはかなりの手間がかかる。
そこに新手が出てくると、ただでさえ押され気味なのにこちら側が陣地から追い出される可能性がある。
そうなれば、後はカウェルサントの砦に篭城して戦うしかない。
「もっと、兵力があれば・・・・・・」
現在、防御陣地には1400人の兵がいる。それに対し、敵は2000以上いる。
明らかに不利だ。
そんな思いをよそに、敵第1波が塹壕まで目と鼻の先に迫って来る。
ストーンゴーレムが急に速度を上げて、防御陣地に向けて走ってくる。
敵ストーンゴーレムの残余は5体。
そのうち2体が攻勢魔法の攻撃を受けて頭部を吹き飛ばされたり、足を叩き割られて先頭不能に陥った。
しかし、2体が防御陣地に暴れ込んだ。
この2体は攻勢魔法の乱打で破壊されたが、それまでに21人の兵が殺され、12人が傷を負わされた。
ストーンゴーレムが急に速度を上げて、防御陣地に向けて走ってくる。
敵ストーンゴーレムの残余は5体。
そのうち2体が攻勢魔法の攻撃を受けて頭部を吹き飛ばされたり、足を叩き割られて先頭不能に陥った。
しかし、2体が防御陣地に暴れ込んだ。
この2体は攻勢魔法の乱打で破壊されたが、それまでに21人の兵が殺され、12人が傷を負わされた。
「ウオオオーーーー!」
続いて、敵兵が雄叫びを上げて陣地に暴れ込んで来た。
「近寄るな!どこかに行けえ!!」
オウルアン少佐は突入してくる敵兵の群れに対して機銃を乱射する。3、4人の敵兵がばたばたと撃ち倒されたが、そこまでだった。
機銃から手を放し、彼は長剣を抜き放つ。そして、敵兵が勢いをつけて、彼を剣で串刺しにしようと、猛然と駆け寄ってきた。
機銃から手を放し、彼は長剣を抜き放つ。そして、敵兵が勢いをつけて、彼を剣で串刺しにしようと、猛然と駆け寄ってきた。
「死ねえ!裏切り者!!!」
物凄い形相で、敵兵は塹壕の上から落ちてくるように突っ込んできた。
「それはお前だよ!」
すかさずその突きを、体を捻ってよけた。敵の長剣は脇腹を横切っていく。
飛び込んできた敵兵が満足に着地できず、一瞬よろめく。
その敵兵の背中に、オウルアン少佐は容赦なく剣撃を放った。
肉を深く切り裂く感触が伝わる。背中を深く、真一文字に薙ぐ。悲鳴をあげるが、少佐は容赦しない。
今度は血の吹き出た背中に思いっきり剣を刺した。
突き刺された敵兵がビクンと体を反り返らせ、あっという間に脱力した。
すぐに剣を抜き放ち、彼は死に絶えた敵兵の長剣を奪い取る。
そして、後ろから切りかかろうとした髭面の敵兵めがけてそれを投げた。
剣は敵の腹に深く突き刺さった。背中から突き出てはいないが、それでも人間の生活に必要な臓器をいくつか使用不能にしてしまった。
すぐに塹壕から這い出し、彼は周りを見てみる。
あちらこちらで敵味方が剣を混じり合わせ、互いを銃で撃ち合っている。
あたりは乱戦の巷と化していた。既に多数の死体が塹壕や地面に横たわり、血だまりを作っている。
その敵兵の背中に、オウルアン少佐は容赦なく剣撃を放った。
肉を深く切り裂く感触が伝わる。背中を深く、真一文字に薙ぐ。悲鳴をあげるが、少佐は容赦しない。
今度は血の吹き出た背中に思いっきり剣を刺した。
突き刺された敵兵がビクンと体を反り返らせ、あっという間に脱力した。
すぐに剣を抜き放ち、彼は死に絶えた敵兵の長剣を奪い取る。
そして、後ろから切りかかろうとした髭面の敵兵めがけてそれを投げた。
剣は敵の腹に深く突き刺さった。背中から突き出てはいないが、それでも人間の生活に必要な臓器をいくつか使用不能にしてしまった。
すぐに塹壕から這い出し、彼は周りを見てみる。
あちらこちらで敵味方が剣を混じり合わせ、互いを銃で撃ち合っている。
あたりは乱戦の巷と化していた。既に多数の死体が塹壕や地面に横たわり、血だまりを作っている。
「死んだ戦友の仇だ!」
オウルアン少佐は、後ろの声に振りむくまでもなく、すぐに体をかがめた。
何かが頭の上を横切った。それが通り過ぎてから、彼は後ろを振り向く。
見ると、将校らしき人物が、血走った目つきで彼を睨んでいる。
見ると、将校らしき人物が、血走った目つきで彼を睨んでいる。
「くそ、いくらでもいるな。」
彼は小さく呟く。その時、敵兵が剣を腰の左側に構えて突っ込んできた。かなり早い。
(逃げたらやられる!)
そう思った彼は、後ろに下がるのをやめた。鋭い剣撃が逆袈裟に放たれる。
オウルアン少佐は自分の剣をかばうようにして前面に構えた。甲高い金属音が鳴り、火花が散った。
それだけに留まらず、敵の将校は右から切り下ろしてくる。少佐はすかさず、剣を頭の前に上げた。
再び、金属音が鳴り響く。間一髪のところで、頭を叩き割れる事は避けられた。
(逃げたらやられる!)
そう思った彼は、後ろに下がるのをやめた。鋭い剣撃が逆袈裟に放たれる。
オウルアン少佐は自分の剣をかばうようにして前面に構えた。甲高い金属音が鳴り、火花が散った。
それだけに留まらず、敵の将校は右から切り下ろしてくる。少佐はすかさず、剣を頭の前に上げた。
再び、金属音が鳴り響く。間一髪のところで、頭を叩き割れる事は避けられた。
しかし、
(手がしびれてる!)
重い剣撃を受けた両腕は、ぶるぶると震えている。敵将校はかなりの腕前だ。
オウルアンより、剣技は上だろう。このまま互いに打ち合えば、オウルアンのほうが剣を弾き飛ばされてしまう。
少佐は剣を押しのけて、後ろに引いた。
(手がしびれてる!)
重い剣撃を受けた両腕は、ぶるぶると震えている。敵将校はかなりの腕前だ。
オウルアンより、剣技は上だろう。このまま互いに打ち合えば、オウルアンのほうが剣を弾き飛ばされてしまう。
少佐は剣を押しのけて、後ろに引いた。
「逃がさないぞ!裏切り者!!」
敵将校は憎悪に捕らわれた口調でがなりたてた。
「貴様らのような奴らがいるから、あのような悪魔の艦隊までもがしゃしゃり出てくるのだ!!」
そう喚き散らしながら、敵将校は再び向かってきた。
再び、2人は剣を打ち合った。敵将校の剣撃を、オウルアンはうまく交わすが、左腕に刃先が当たり、血が吹き出る。
敵将校は何度も何度も剣を繰り出してくる。
最初は互角に打ち合ってきた2人だが、矢継ぎ早に繰り出される敵将校の攻撃に、オウルアンは対応が遅れ始めた。
再び、2人は剣を打ち合った。敵将校の剣撃を、オウルアンはうまく交わすが、左腕に刃先が当たり、血が吹き出る。
敵将校は何度も何度も剣を繰り出してくる。
最初は互角に打ち合ってきた2人だが、矢継ぎ早に繰り出される敵将校の攻撃に、オウルアンは対応が遅れ始めた。
「ほらほらぁ!情けないぞ!戦いはまだまだ始まったばかりだ!」
敵将校は獰猛な笑みを浮かべながら、オウルアンを挑発してくる。しかし、息も絶え絶えのオウルアン少佐はそれに答える暇が無い。
敵将校の剣撃を受け流すのが精一杯だ。
(・・・・・野郎、次第に技が大振りになってやがる)
そして、幾度が剣を打ち据え、オウルアンの手や足に切り傷が3つ新たに出来た時、ついに致命的な事態が起こった。
ギィン!!
敵将校が振り上げた剣が、オウルアン少佐の剣を跳ね上げた。
既に重い剣撃を何度も受け止めた両腕は、既に本来の力を喪失していた。
敵将校の剣撃を受け流すのが精一杯だ。
(・・・・・野郎、次第に技が大振りになってやがる)
そして、幾度が剣を打ち据え、オウルアンの手や足に切り傷が3つ新たに出来た時、ついに致命的な事態が起こった。
ギィン!!
敵将校が振り上げた剣が、オウルアン少佐の剣を跳ね上げた。
既に重い剣撃を何度も受け止めた両腕は、既に本来の力を喪失していた。
「殺ったあ!」
思いっきり長剣を振り上げて、一気に切りかかる。
その直後、一か八か、少佐は回し蹴りを敵将校に放った。
ドスン!という鈍い音が鳴って、蹴りは見事に、敵将校の脇腹に命中した。
突然の激痛に、呻き声を上げた敵将校は、一瞬だけバランスを崩した。そして、少佐はその敵将校に体当たりをかます。
振り上げた長剣が手元から離れ、敵将校はあえなく倒されてしまった。
馬乗りになったオウルアンは、両腕に最後の力を振り絞って顔面を殴りつけた。
これまでの憂さを晴らすかのように、2度、3度と殴りつける。
悲鳴をあげた敵将校が少佐を押しのけて、顔面を押さえつけてのた打ち回る。
起き上がったオウルアンは、容赦なしに敵の体を蹴り上げ、側にあった小銃を拾うとその敵将校に対し、銃弾を4発撃ち込んで射殺した。
思いっきり長剣を振り上げて、一気に切りかかる。
その直後、一か八か、少佐は回し蹴りを敵将校に放った。
ドスン!という鈍い音が鳴って、蹴りは見事に、敵将校の脇腹に命中した。
突然の激痛に、呻き声を上げた敵将校は、一瞬だけバランスを崩した。そして、少佐はその敵将校に体当たりをかます。
振り上げた長剣が手元から離れ、敵将校はあえなく倒されてしまった。
馬乗りになったオウルアンは、両腕に最後の力を振り絞って顔面を殴りつけた。
これまでの憂さを晴らすかのように、2度、3度と殴りつける。
悲鳴をあげた敵将校が少佐を押しのけて、顔面を押さえつけてのた打ち回る。
起き上がったオウルアンは、容赦なしに敵の体を蹴り上げ、側にあった小銃を拾うとその敵将校に対し、銃弾を4発撃ち込んで射殺した。
敵の第1波は陣地内に殴り込んだものの、優勢の革命側に追い立てられて塹壕からたたき出されてしまった。
だが、休む暇も無く敵の第2大隊が突入してきた。
これらに対して残り12体となったストーンゴーレムが迎え撃つ。
今度も互いのゴーレム同士が激しい肉弾戦を繰り広げる。
そのゴーレム達の死闘も長続きはしなかった。
次第に革命側のゴーレム達は継戦側の数に押され始める。その横を敵兵達が防御陣地に向けて駆け寄ってきた。
対して革命側は生き残った機銃や各人の小銃を撃ちまくる。
またもや何人もの継戦側の兵達がばたばたと撃ち倒されるが、第1波を迎え撃ったような激しさは無かった。
再び、敵兵達が陣地に殴りこんできた。前回は300人と少なかったが、今回は600人が殴り込んで来た。
互いに銃を撃ち、剣で刺し合い、首を絞めあったりする。
壮絶な白兵戦が繰り広げられた。
だが、休む暇も無く敵の第2大隊が突入してきた。
これらに対して残り12体となったストーンゴーレムが迎え撃つ。
今度も互いのゴーレム同士が激しい肉弾戦を繰り広げる。
そのゴーレム達の死闘も長続きはしなかった。
次第に革命側のゴーレム達は継戦側の数に押され始める。その横を敵兵達が防御陣地に向けて駆け寄ってきた。
対して革命側は生き残った機銃や各人の小銃を撃ちまくる。
またもや何人もの継戦側の兵達がばたばたと撃ち倒されるが、第1波を迎え撃ったような激しさは無かった。
再び、敵兵達が陣地に殴りこんできた。前回は300人と少なかったが、今回は600人が殴り込んで来た。
互いに銃を撃ち、剣で刺し合い、首を絞めあったりする。
壮絶な白兵戦が繰り広げられた。
午前10時30分、後方に回ろうとした第3大隊は、たまたま帰還中であった撹乱部隊と遭遇し、20分ばかり戦闘を行った。
戦闘は互いに戦死者1名を出し、負傷者継戦側が21名と多く出した。この20分のタイムロスが、防御戦の革命派将兵の運命を決定付けた。
10時50分に、第3大隊は防御戦の後方2キロに進出し、敵部隊に対して攻撃を行ったが、それは敵部隊ではなく、
陣地を占領し、革命派の追撃に当たっていた第2大隊の部隊だった。
この攻撃で、5人の継戦側の兵が命を落とした。
本当ならば、命を落としているのは敵側のはずだった。しかし、奪った命は味方のものであっだ。
そう、第3大隊は敵の退路を断つことに失敗したのである。
人員の極度の損耗を恐れたガルファン将軍派、魔法通信で敵にある程度の打撃を与えた後に防御陣地から離脱せよと命じた。
防衛部隊は適度に反撃しながらも、敵の第2波攻撃が落ち着いた隙を見て戦線から脱出を始めた。
損害の多さに、しばらく攻撃を中断していた第1、第2大隊はすぐに攻撃を再開。
もぬけの空となった防御陣地を占領した後、2個中隊を持って敵革命軍の追撃にあたった。
後一歩で追いつくはずだったが、いきなり第3大隊から攻撃を受けて前進はストップ。
敵の残存部隊を取り逃がしてしまった。
第1連隊の包囲殲滅作戦は失敗したのである。
戦闘は互いに戦死者1名を出し、負傷者継戦側が21名と多く出した。この20分のタイムロスが、防御戦の革命派将兵の運命を決定付けた。
10時50分に、第3大隊は防御戦の後方2キロに進出し、敵部隊に対して攻撃を行ったが、それは敵部隊ではなく、
陣地を占領し、革命派の追撃に当たっていた第2大隊の部隊だった。
この攻撃で、5人の継戦側の兵が命を落とした。
本当ならば、命を落としているのは敵側のはずだった。しかし、奪った命は味方のものであっだ。
そう、第3大隊は敵の退路を断つことに失敗したのである。
人員の極度の損耗を恐れたガルファン将軍派、魔法通信で敵にある程度の打撃を与えた後に防御陣地から離脱せよと命じた。
防衛部隊は適度に反撃しながらも、敵の第2波攻撃が落ち着いた隙を見て戦線から脱出を始めた。
損害の多さに、しばらく攻撃を中断していた第1、第2大隊はすぐに攻撃を再開。
もぬけの空となった防御陣地を占領した後、2個中隊を持って敵革命軍の追撃にあたった。
後一歩で追いつくはずだったが、いきなり第3大隊から攻撃を受けて前進はストップ。
敵の残存部隊を取り逃がしてしまった。
第1連隊の包囲殲滅作戦は失敗したのである。
この攻撃で、革命側は1400人中233人が死亡、300人が負傷した。
継戦側は420人が死亡し、720人が負傷。第1連隊は戦力の40%以上を失うという大損害を受けた。
当初の目的である、敵の包囲殲滅は果たせなかったものの、敵革命軍に痛撃を与えて後退させた戦果は大きい。
一方、人名の損耗を恐れて、なんとか退却に成功した革命軍であったが、これで革命軍側は後が無くなった。
こうして、戦いは新たな局面を迎える事になった。p5
継戦側は420人が死亡し、720人が負傷。第1連隊は戦力の40%以上を失うという大損害を受けた。
当初の目的である、敵の包囲殲滅は果たせなかったものの、敵革命軍に痛撃を与えて後退させた戦果は大きい。
一方、人名の損耗を恐れて、なんとか退却に成功した革命軍であったが、これで革命軍側は後が無くなった。
こうして、戦いは新たな局面を迎える事になった。p5