真実の口。
僕の祖国イタリア、ローマにある有名な彫刻。
手を口の中に入れると、偽りの心があるものはその手首を切り落とされるか、あるいは手が抜けなくなるとかいう伝説がある。
だけど、所詮伝説。
あの神父の腕がなお顕在であるからといって、嘘をついていないという確証になるわけじゃあない。
「ローマの休日」みたいな伝説の再現をされても、状況が状況なので笑えないけど。
しかし、教会にあるものをコロッセオに持ってくるなんて、荒木は一体どういう神経をしているのか。
真実の口から、コロッセオ地下へ通じるギミックも奴によって付け足されたものなのだろうか?
疑問は尽きない。
「
エシディシ……」
「気にするな。奴も戦いの中で死ねて本望だろう」
巨漢――エシディシと言ったか――がそう答えた時、彼の目線は神父の方へ向いていなかった。
おそらく、放送で知人の名が呼ばれたのだろう。態度で察することができた。
僕も、ボスの娘――トリッシュの死を放送で知らされたのだが。
この
ジョルノ・ジョバァーナには夢がある。ギャングスターになることだ。
そのために、パッショーネのボスを倒し、町を乗っ取ろうとした。
トリッシュ護衛の任務はその点に関して重要な意味を持っていたかもしれない。
だが、僕は『上へのし上がるための手段』としてトリッシュの護衛を行っていたなんてことはない。
自分たちの利益のため、子供にさえ麻薬を売るような奴らは、関係のない者を巻き込むような奴らは許せない。
そんな思いからなる夢だった。
トリッシュだって、ボスとの血の繋がりはあったが、数日前まで平穏な日常を過ごしてきた女の子。
そんな普通の女の子を襲う組織の連中に容赦はしなかった。
でも、好きな音楽も知れなかった子を相手に、そんなことがいえた口だろうか。
どこにいたか分からないから助けられなかった、というのは正しい意見だろうし、実際そう信じているけれど、
心の内では、階段を掃除していた爺さんを死なせたときのようにドス黒い気分を感じてしまう……。
「さて。各々思うこともあるかもしれないが、まずは私の話を聞いてほしい」
頭部に独特の剃り込みのある神父、
エンリコ・プッチが言う。
僕の父親の友人らしいが、エシディシが好戦的な人物であった以上、おいそれと彼を信用できるはずもなく。
父の話を聞きたいのは山々だが、今は監視を続けるしかない。
「私たちは『時を越えて集められた』。これはまぎれもない事実と言っていい。
荒木の能力か、あるいは協力者というのも考えられるが」
「記憶を操作しているという可能性は無いのか? 波紋使いでも軽い催眠術なら出来るぞ」
エシディシが反論する。
波紋というのが何なのかはおいといて、確かに僕も記憶操作は候補の一つとして見ていた。
だが。
「僕はないと見ています」
「MM? 何故だ? 俺がスタンドの知識に乏しいのは認めるが、そう言いきれるものでもあるまい」
「荒木の目的は知りませんが、そんな能力なら、仮に『参加者が殺し合うこと』それ自体を目的としていればですが、
最初から参加者全体を敵視するような記憶を植え付ければいいだけのことです。
僕たちのように荒木に抗おうとする者たちが集っていること、それでいて尚首輪を爆破するなりして殺そうとしないことからその線は薄い。
娯楽的な目的なら……観客の思う通りに展開し過ぎる舞台は見ていて楽しいのか、とでも言えばいいでしょうか」
エシディシがフム、と感嘆の息を漏らすのが聞こえた。
「要はそんな能力なら保身に使えばいいということだろう。何を長々と」
先ほどまで押し黙っていた
ディオ・ブランドー――将来僕の父親になる人らしい――が、存在を主張するかのように声を上げる。
常識を逸脱した能力を持たず、数時間前までその存在をも知らなかった者が、こうも早く順応してくれるのはありがたい。
当人からすれば、嫌味以外の何物でもないのだろうけど。
「その時間のズレ、とでも言えばいいだろうか。たとえば、私とディオの時間のズレは実に一世紀以上ある」
「俺からすれば初対面の貴様に、馴れ馴れしく名を呼ばれたくはないがな」
「……すまない」
彼の苛立ちも、あながち分からないものではない。
見ず知らずの他人に、自分の未来を知っているだなんて言われて、いい気分する人はいないだろう。
「で、何が言いたいのだプッチよ。その仮説、いや、もはや事実に近いだろうが、既にこの二人は聞いているだろう」
「ああ、本題はここからだ。一世紀以上のズレは特例と取りたいところだが、そうでなくとも、
知っている者同士に時間のズレが見られる可能性がある、ということだ。私のように、自分の常識が通用しない場合もあるだろう」
知っている者同士の時間のズレ、そのことから想定されるケース。
かつて僕は「涙目のルカ」をブッ倒した報復として、ブチャラティと戦ったことがある。
仮にもし、ブチャラティがその時、この世界に来ていたら?
そもそもチームのみんなが集められたのが、僕と知り合う以前でないという保証はない。付きあった時間を考えれば。
神父はそのことを言いたいのだろう。
「一旦話をそらすが、我々は元の世界、時代に戻ることを目標としている。さしあたって必要なことは何か?
荒木打倒の筋道は置いておくとして、まずは『コレ』をどうにかしなくてはならない」
コンコンと、神父は自らの枷をつついた。荒木が生殺与奪を握るカギ、首輪だ。
「解除のあてはあるのですか? 工学知識とか」
「残念ながら専門外でね、人任せになりそうだ。技術者を探したいが、そう都合よくいくものでもない。
だが、外せる者ならどこへ向かうかは……分かるね?」
「ナチス研究所ですね」
首輪を外す機材を揃え得るのは地図を見る限り【F-2】、ナチス研究所くらいだろう。
もっとも、ナチスは敗戦に伴い消滅したから、当時の工具が首輪の解体に通用するかは微妙なところだ。
「そう、ナチス研究所。繁華街というのも考えたが、そこでは手に入らない専門的な機材が必要になるかもしれない。
これは実際行ってみないと分からないことだがね」
「それに研究所にはここからなら向かいやすい。そうだろうプッチ?」
「ああ。電車……まあ機関車やトロッコが発展したようなものとさっき説明したね? それならすぐだ」
真実の口が地下への入り口(洒落のつもりだろうか)になっていたこと以上に、地下にも線路があった事実は僕たちを驚愕させた。
路線図を遅れて発見し、『ネアポリス駅』、『食屍鬼街駅』、『ポンペイ遺跡駅』、『サンタ・ルチア駅』、『ナチス研究所駅』、
そして『コロッセオ駅』というルートが明らかになった。コロッセオを縦断する線路に意味があるかは分からない。
余談だが、ディオはともかくエシディシに『電車』の説明をするのには手間を取られた。
これまでの話を聞いて、僕は大方研究所を拠点にするつもりなのだろうと思っていた。が、
「そこで今後の方針だが、一旦エシディシ以外の全員でコロッセオ付近を捜索。技術者は最優先で保護。
出来れば
第三回放送までに戦力を整え……ナチス研究所を襲撃する」
想定外の提案を言い放った神父。
その眼に光は無く、黒ずんでいるようにさえ見えた。
★
「僕の仲間がそこにいる可能性があります」
「さっき話しただろう? 『知っている者同士に時間のズレが見られる可能性がある』と。
君の知人でも、相手は君のことを知らないかもしれない」
「それは今断定できる段階じゃあないです。そうやって、むやみに敵を増やすつもりですか?」
「何も殺そうなどとは言っていない。有事に備えての戦力確保だよ。それに技術者は必要だから、見敵必殺だなんて殺伐としたことはできない」
この反応は予想の範疇だった。
ジョルノは冷静に振る舞ってはいるが、根本はお人好し。
『時を6秒戻すスタンド使い』リンゴォに止めを刺さず放置するくらいには、な。
このディオにそれは無い。今の話を聞いてもせいぜいジョージが犠牲になることを危惧する程度だ。
いればだが、ドサクサ紛れにジョナサンを始末することだってできるかもしれないチャンス、逃すわけにはいかない。
他人の策に乗っかるのは癪だがな。
「地下鉄を通る以上、罠を仕掛けられている可能性があります。狭い車内に閉じ込められれば全滅の危険性もある」
「二手に分かれるというのは? 地上と地下、挟み撃ちの形にすれば全滅は避けられる。そもそも地下鉄にこだわる理由もない」
「……協力という形は、どうしても考えられませんか?」
ジョルノの攻勢がわずかに弱まる。
間違いなく、ヤツは知人の死に――素振りに表われないくらい僅かにだが――負い目を感じている。
初めて俺の傷を治した時に見せた減らず口が影もなく、プッチとやらの論に押されているのだから。
「……既に話した通り、エシディシの次に会ったのが、黴に感染して四肢をもがれた男だったんだ。
その次に会ったのが明らかに殺し合いに乗った男、ヘリを襲撃された。教戒師失格だと罵ってくれてもいいが、
既に『みんなで手を取り合い仲良くしましょう』と悠長なことを言っていられない場だと思わせるには十分な仕打ちを食らった身でね」
「荒木打倒のための戦力は多いに越したことはありません。それに、襲撃した後協力するとなると、信頼を築くのが難しい」
しかし、こうも粘られると厄介だ。
そうこうしている間にもジョージが危険な目に晒されているかもしれないのだ。
チンタラ議論を続けてる場合か。
「もういいだろう、ジョルノ。貴様が嫌ならその件は保留とでもしておけばいい」
「ッ! ですが……」
「無為に時を過ごすのは無駄な事だ」
ジョルノは反省の表情を浮かべ下を向き、同時にプッチが心底驚いたような顔をしてこちらを見つめる。
何を勘違いしているというのか、こいつは。
「ディオ……」
「馴れ馴れしくするなと言ったはずだ!
貴様のためではない、貴様とて無駄な事をしている場合か、と言いたいのだ!」
怒号を上げると、プッチは委縮した。
デカブツ、エシディシが感心しているかのような視線を向けているがこの際無視する。
これでいい。
スタンド使いにスタンドなしで対抗するのは不可能、これは認めざるを得ない。
既に二度、身をもって痛感したことだ。
ならば俺はこいつらに対して、主人に従う犬のようにへーこらしていなくちゃあならないのか?
否ッ! そんなのは断じて認めん!
プッチからまだ未来の俺の話を聞いていないが、様子を見るに少なくとも俺を騙して襲うとかするような奴ではない。
騙さずとも俺を殺し、エシディシと二人でジョルノと戦えばあちらが圧倒的に優勢。
そう考えれば、嘘をついて同行するメリットは無い(ジョルノが未来の息子というのは信じがたい話ではあるがな)。
だからこそ、自称未来の友を筆頭にスタンド使いを『上に立って利用してやる』のだッ!
そのために、さっきのようにわざわざ信用を得るためプッチの案に『乗っかってやって』いる。
軍における指揮官のように二人をまとめ上げたのも、俺に従わせるためでしかない。
友情だとか信頼だとか、そんなきれいごとを並べてニコニコする気は毛頭ないがな!
スタンド使いであろうと何であろうと、俺の前でイバらせはしないッ!
ああ、そうだ。上に立つための過程や、方法なぞ……どうでもよいのだ!
★
(これは『試練』だ、『天国』へ到達するための。ただそれだけのこと。荒木の目的などどうでもいい)
先ほどジョルノが触れた、荒木の目的。
私は最初、荒木は『天国に到達する』ためにこの殺し合いをしているのではないか、と考えた。
私が肌身離さず保管していたDIOの骨が没収されていたからだ。
更に天国に到達するのに必要な『極罪を犯した36名以上の魂』を、この殺し合いで得ようとしているならば辻褄は合う。
だが、私はこの可能性を暫しの熟考を経て却下した。
非効率的すぎる。
もし残り人数が35人以下になった場合、その計画は言うまでもなく破綻するからだ。
そもそも、都合よく極罪を犯した人間が最低でも36人も残るものだろうか?
条件に見合う魂を得たければ私のように教戒師をやればいいものを、こんな回りくどいことをする必要はない。
『極罪』の定義次第だから断定はできないが、他にやりようはあっただろう。
天国へ到達しようというのなら荒木に協力したかもしれないが、邪魔するようなら容赦しない。
生きて元の世界に帰るのが先決だ。
「では、僕たち三人がまとまってコロッセオ東側周辺を捜索。出来る限り交戦は避け、仲間ができるできないにかかわらず、
第二回放送前に一旦ここに戻ってくる。その後の方針は放送次第。ですね?」
「そうだ、二度も言わせるんじゃあないぞ」
一人そんな思索にふけっている間、ディオが私たちに代わって今後の方針を上手く折り合いをみつけてまとめてくれた。
ジョルノはエシディシ一人を置いていくのに反対したが、ディオが一旦様子を見に戻ることを提案し、しぶしぶ合意。
彼は未だエシディシを信頼していない。あんな出会い方をすれば当然なのだが。
そして、禁止エリアになることもありうるからだろうが、『放送次第で動きを決める』と上手くぼかすことで、
それがジョルノの苦情を抑えるのに一役買っている。
彼自身がどう思っているかは知らないが。
それにしても、私と知り合う以前の彼だが、DIOはこの頃から人を引き付ける何かを持っていたらしい。
そう、まるで星々を照らす太陽のような力を。
いずれ太陽の光に弱い体質になるのに、太陽のようだなんて実におかしな話だが。
私のせいで少々苛立たせてしまったみたいだが、今はさっきより機嫌がいいはずだ。
「ではエシディシ、行ってくるよ。誰か来たら無理にとは言わないが……」
「人材を確保したいのだろう? 考えておこうじゃあないか。だが、厄介な波紋戦士どもは始末させてもらうぞ」
「……頼む」
勢い余って殺してしまうかもしれないが、太陽の下を歩けない以上同行できるわけがなく、エシディシとは口上の約束を交わすだけとなった。
ディオとジョルノの後を追うように、私もコロッセオ地下を出た。
『人はなぜ、肉を食べるのか?』
生きるためだ、と言う者もいるだろう。
実際それは間違っていない。鶏、豚、牛などの肉は今や広く食されているのだから。
だが、実のところ飼料として家畜に与えられる穀物を人間に与えれば、度々問題視される飢餓は理論的には発生しない。
ではそれでいて尚、人はなぜ肉を食べるのか。
――味を覚えたから。
習慣というのは恐ろしい。
このように、身を滅ぼすことにつながってしまうこともあるのだから。
覚えた以上、それを忘れ去るのも難しい。
そして誰の言葉だったか。『常識とは、18歳までの間に身につけた偏見である』というのは。
ことスタンド使い同士の戦いは、常識という名の偏見が重大なミスとなり得る。
更にこの場は、『知り合いとの時間のズレ』の存在があり、習慣を用いて痛い目に会うこともあるだろう。
習慣や常識のために死ぬのは避けねばならない。
イザというときジョルノは習慣を捨てされるのか、目的のため知人を手にかけるという『運命』を乗り越えることができるのか、
あの一言で試すつもりだった。
結果としてディオの機嫌を損ねてしまったし、あの様子では厳しいという評価を下すほかないがね。
「ところで、僕の父親の話、聞かせてもらえますか?」
「すまないが、機を見図らせてくれ。ここじゃあいつどこで襲われるかしれないからね」
三人並んで歩くようになってから、突き付けられたジョルノの要求を却下する。
ジョルノに父親、DIOの話をすれば、ディオに「この会場に君を殺害した者がいる」と間接的にだが伝えることになるのでためらってしまう。
だがいずれ話さねばなるまい。ジョースター家抹殺のためにも、ジョルノが『運命』を乗り越えるためにも。
懸念事項はまだある。
エシディシ、ディオに与えるスタンドDISCの確保。
何せ片っ端から集めるわけにもいかない。入手にはリスクを背負うことになるし、手に入れても扱うには相応の素質が必要だからだ。
素質というと、ディオに扱えそうなスタンドはやはり……
『スター・プラチナ』
本来あるべき未来において、彼が扱うことになる『ザ・ワールド』と同じタイプのスタンド。
素質という点で言えば、これ以上なく適しているだろう。
だが、
空条承太郎の場所も分からないし、『スター・プラチナ』と真っ向から立ち向かえるスタンドなどそうそうあるものではない。
まあ、妻や仲間の死に動揺しているようなら、やってみる価値はあるかもしれないな。
更に、首輪の解析・解体もしなければならない。
専門家がいない以上、機材よりも人材の確保の方が大切だ。死んだ者は生き返らないからな。
『首輪を爆破させずに解体する』という命令のDISCを作ることも考えたが……そんな複雑な命令を下したことは無い。
『10メートル飛んだら破裂しろ』などのような、多少無理な命令でもこなせるが、これは無理がありすぎる。
そういえば、分解癖のある男囚がいたな。彼ならあるいは出来るかもしれない。
『ホワイトスネイク』の正体を知られるリスクがあるが、その時は始末してしまえばいい。
さて、どこへ向かったものか。一度戻る以上、あまり遠出はできないからな。
★
放送を聞いたのち、ホルホースと別れを告げた俺は、繁華街へ向かおうとした。
不意に足が止まる。
ストレイツォ、
ダイアー、そしてツェペリのおっさんの三人は死んでしまった。
決意したところで俺はやっぱり傍観者よ。何も出来ねェし、してやれなかった。
ならいっそこのまま傍観者として立ち止まるか? いいや、動かなくちゃあならねえ!
俺なんかよりはるかに強い波紋使いが既にやられちまった。
ジョースターさんならきっと何とか……なんて甘えことを言ってられる状況じゃあねえのは明らかだ。
出来ることは限られるだろーが、生憎おれぁおせっかい焼きのスピードワゴン! やれることなら何でもすんのよ!
いいか荒木、決意ってのはな、揺らがねえから決意なんだ!
宣言もビシッと決めたことだし一刻も早く弱者の救済を、といきたいところだったが、そうもいかなくなっちまったらしい。
コロッセオからこちらに向かう人影三つ。
集団で襲われちゃあ逃げることもできねえ。俺は隠れて様子を見る。
するとなんと、消滅したはずの、吐き気を催す邪悪の化身が歩を進めていたのが目に入った。
「ディオッ!? そんな……ジョースターさんは確かに止めを刺したハズッ!」
見紛うはずもねえ、生まれついての悪、ディオ・ブランドー。
面食らい、つい口が動いちまった。そんなことして場所を悟られた日にゃあ目も当てられねーってえのに。
名簿でその名前は見たが、目の当たりにするまで信じられるはずがねえし、こうも早く再会するたぁ思わなんだ。
だが、奴がなぜ生きているかは一先ずおいといて、様子がおかしい。
何故吸血鬼であるにもかかわらず、日が照る中ああも堂々と歩ける?
特に日除けとなる道具を用いているわけじゃあなさそうだ。引き連れている二人も屍生人とは考えられない。
じゃあ何か?『波紋で清められた結果ディオは人間として蘇りました』なんて童話みてーな事が起きたとでも?
あり得ねえ。
黒騎士ブラフォードは波紋で人間の魂を取り戻したが、肉体が崩れるのを止められはしなかったんだから。
だが現にディオは生きて太陽の下を歩いている。これをどう説明する?
「後をつけるしか、ねえようだな」
が、ディオを見つけちまった以上は放っておけねえ。
最悪、誰かに『ディオ・ブランドーは危険人物である』と伝えなければなるまい。
「ごちゃ混ぜの地図といい、太陽の光に強いディオといい、この世界は一体どうなってやがんだッ!」
悪態をついて、後を追う。
ったく、あいつが石仮面をかぶってから、おれっちのまわりじゃ信じらんねー超常現象がいっぱい起こりすぎだぜ!
確かな事はただ一つ。奴の存在が何であれ、『ディオ・ブランドー』であることに、変わりはねえってことだ。
【E-4 コロッセオ前/1日目 朝】
【崩れかけた帝王の城】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、体力消耗(小)、プライドがズタズタ(悪化)、スタンド使いへの激しい嫉妬、ジョルノ、シーザー(と荒木)への憎しみ、自分に対する無力感、ストレス(軽減)
[装備]:なし
[道具]:チャーイ(残量1.5㍑)、基本支給品 不明支給品0~1
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
1.コロッセオ周辺で協力してくれる人物を探し、第二回放送までにコロッセオ駅に戻る。その後は放送の内容次第で決める
2.スタンド使い(特にプッチ)を『上に立って従わせる』。従わせてみせる。だが信頼などできるか!
3.ジョルノが憎いが、借りを返すまではジョルノと行動を共にする。返した後は不明(現在は腹を立てているので借りについては保留)
4.勿論ジョルノとの行動の途中でジョナサン、エリナ、ジョージを見つけたら彼らとも合流、利用する
5.なるべくジョージを死なせない、ジョナサンには最終的には死んでほしい(現時点ではジョルノにジョナサンを殺させたい)
6.ジョルノが……俺の息子だと!?(半信半疑)
7.プッチとやらはスタンドを与える能力を持っているようだが、頼むのも癪だ!
[備考]
1.見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
2.チャーイは冷めません
3.着替えは済んでいます
4.ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
5.ジョナサン、ジョージの名前をジョルノに教えました。
エリナは9割方死んでいるだろうと考えていたのでまだ教えていません。(万が一見つけたら合流するつもりではいます)
6.シーザー戦で使用したロードローラ(3部のあれ)はD-3南部に放置されています。
壊れたか、燃料が入っているかは不明です。
7.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました(本人は信じざるを得ないと思っていますが、実感はありません)
【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:健康、トリッシュの死に対し自責の念
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0~3
[思考・状況]
1.コロッセオ周辺で協力してくれる人物を探し、第二回放送までにコロッセオ駅に戻る。その後は放送の内容次第で決める。
2.トリッシュ……
3.ディオに変な違和感(父という事には半信半疑)
4.ジョナサンの名前が引っ掛かる
5.プッチとエシディシに対して不信感
6.プッチとエシディシを警戒。エシディシを放っておくのはまずいが、仕方あるまい
[備考]
1.
ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
2.ディオにスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教えました。
仲間や敵のスタンド能力について話したかは不明です。(仲間の名前は教えました)
3.彼が感じた地響きとは、スペースシャトルが転がった衝撃と、鉄塔が倒れた衝撃によるものです。
方角は分かりますが、正確な場所は分かりません。
4.ジョナサン、ジョージの名前をディオから聞きました。ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
5.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
(他の可能性が考えられない以上、断定してよいと思っています。ただし、ディオが未来の父親であるという実感はありません)
【エンリコ・プッチ】
[時間軸]:JC6(69)巻、ヤドクガエルに“破裂する命令”をした直後
[状態]:健康 腕の辺りの服がちょっと燃えてる
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ヘリコの鍵(ヘリコプターはコミックス60巻で
チョコラータが乗ってたもの)、ウェザーの記憶DISC
不明支給品0~2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ&ジョルノのもとへ、天国へ
1.コロッセオ周辺で協力してくれる人物を探し、第二回放送までにコロッセオ駅に戻る。その後は放送の内容次第で決める
2.首輪解析のため、ナチス研究所を手に入れたい
3.ジョルノが『運命』を乗り越えられるか不安
4.エシディシは良い奴のようだ。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい。
5.ディオが違う時代から来ていたことに少しショック。
6.ジョースター一族はチャンスがあれば抹殺(無理はしない)
7.DISCの確認
8.エシディシ、ディオに相応しいスタンド探し(ディオ優先。ディオはスター・プラチナを使いこなせるのでは?)
[備考]
※エシディシとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※ヘリは墜落しました。残骸はD-2の南部にあります
※影響を恐れ、ジョルノ、ディオにディオの未来に関する情報を教えていません。
※ジョルノは『運命』に対する恐れ持っており、それを克服するべきと考えているため、今のところジョルノに対する不信感は持っていません。
※ディオは『スター・プラチナ』を使いこなせるのではと考えていますが、実際のところは不明です。
【
ロバート・E・O・スピードワゴン】
[スタンド]:なし
[時間軸]:コミックス五巻「悪鬼の最期」にて、ジョナサンとエリナを発見した直後。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(不明支給品1、確認済)、リサリサのマフラー、民家で見つけた包帯。
(※時計と方位磁石は、ジャケットのポケットに入っています)
[思考・状況]
基本:ジョナサン一人に負担をかけぬよう、自分も弱者を守る。
1.ディオだと!? 後を追いかけるしかねえ!
2.最悪、誰かにディオ・ブランドーの危険性を伝える
3.
ホル・ホースを警戒しつつ、共に目的を同じくする者との合流を図る。
4.ホル・ホースと分担で仲間を探す。繁華街に向かいたかったがディオを追いかけるのを優先
5.地図が正確か確認する(それほど疑っているわけではない)
6.食料・武器の調達もしたい
7.ホル・ホースは信用しきれない。そのために保険をかけた。だが心の奥底では信用してやりたいとも思っている。
8.あの隕石は自然現象か、それとも……?(一応確認したいかな、程度の思考です)
[備考]
1.ホル・ホースが戦ったのは波紋使いではないかと薄々考えています。
2.スタンドについて未だ知りません。
3.ネズミについての真相はスピードワゴンしか知りません。
4.向かった方向が違うので、ホルホースはコロッセオから出た三人組に気が付いていません。
5.ディオが太陽の下を歩いているのに疑問を感じていますが、悪人であることに変わりは無いと考えています。
また、同行者二人は間違いなく人間と考えています。
※三人がどの方向へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。
★
「幼少から共にいた……あの『戦闘の天才』
ワムウが……こうも簡単に……」
悠久の付き合いの幕切れは、アッサリとしすぎていた。
「うう……あんまりだ……
あああああああああああああんまりだあああああああああああああああああああ」
慟哭が、狭い地下で反響しているのが自分でもわかる。
「HEEEYYYYY AHYYYYY AHYYYYY」
涙が、鼻水が、滝のように流れていることだろう。
「AHYYYYYYYYYYYYYYYYY」
時に声が裏返っても、喉に焼けるような痛みが走っても、構わず叫ぶ。
「WHOOOOOOOHHHHHHH!」
泣くのをやめた。叫ぶのをやめた。だが、溢れんばかりの激情に、身を任せざるを得なかった。
「……あえて認めてやろうじゃあないか、人間の強さを」
自分が荒っぽい性格なのは認める。トチ狂った際、泣きわめいて頭を冷やす必要があるくらいには。
だが、力量からして赤ん坊程度の者含め、4人しかいなかった同族2人の死をそう簡単に受け入れることができようか。
友情とも愛情とも言えぬ形容し難い、しかし固い絆で結ばれていたのだから。
動揺が伝わってはまずいと、さっきまで落ち着いて振る舞ってはいたが、許容量をはるかに超える思いに頭がパンクしそうだった。
「プッチにはああ言ったが、事が起きた以上、その脅威認めるしかあるまいッ!」
把握しきれていない未知の能力、『スタンド』もある。
波紋を使えぬスタンド使いがワムウを仕留めたとは到底思えないが、プッチの言う通りだ。『常識は捨てるべき』。
仇討ちなどというつもりはないが、ここに向かってくる者が我々一族にとって脅威になるようなら始末は必要だ。
将来成長する可能性のある波紋戦士のように!
「来るなら来い! 波紋戦士ッ! そしてスタンド使いッ! この「炎のエシディシ」容赦せん!」
【E-3 コロッセオ地下/1日目 朝】
【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(回復中)、ワムウと
サンタナの死にやや動揺(戦闘に支障が出る?)、あえて人間の強さを認めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部~6部コミックスの最初に載ってるあれ)
不明支給品0~2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
1.プッチにはああ言われたが、脅威となる人間は始末するつもり
2.常識は捨てる必要があると認識
3.プッチはなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
4.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
5.自分のスタンドを探す
[備考]
※プッチとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※波紋使いやスタンド使いに対して、自分や
カーズにとって脅威となるなら容赦するつもりはありません。
ただし、ワムウやサンタナの仇討ちのために戦うつもりはありません
『地下鉄の駅』
地下に駅があるようです。駅は地上と繋がっているのかもしれません。
他にも駅があるのかどうかはわかりません。
※確定しているルート
『E-7・ネアポリス駅』→『G-6・食屍鬼街(オウガーストリート)駅』→『H-5・ポンペイ遺跡駅』→『H-3・サンタ・ルチア駅』→『F-2・ナチス研究所駅』→『E-3・コロッセオ駅』
投下順で読む
時系列順で読む
キャラを追って読む
最終更新:2009年08月05日 20:39