かなた、青空を背に凄まじいスピードで前進する影が一つ。
俊敏なその動きを例えるならば、まるで砂漠の獣の様。
その人物は息一つ乱さず砂ぼこりを巻き上げながら、みるみるうちに近づいてくる。

(お!早速来たぜぇ。来訪者はインディアンってか…にしても走るの早すぎじゃね?)

その姿を発見した音石明は、口の端を釣り上げた。
黒衣の男、リゾット・ネエロにナチス研究所周辺の監視を任された音石は依然ラジコン「スピットファイアー」上より監視状態を保つが、いつまでもこうしてはいられない。
迫り来る人間はリゾットに教えられた人物でもなければ、杜王町の連中でもなく、風体はさながらどこかの先住民族。
20世紀人の音石にとっては怪しいことこの上もないが、差し当たって判断しなくてはならない事柄は決まっている。
リゾットへ報告すべきか、独断にて攻撃を仕掛け首輪を回収するか。

(報告してるうちにたどり着かれちまう…先手必勝。誰か知らんがくらえ!)

何よりもあんな胡散臭い見た目。
人数減らし及び首輪確保の口実にはもってこいだ。
スピットファイヤーを旋回させ、相手への接近を開始する。
依然接近を続ける相手も、ラジコンの存在に気付いた様子を見せた。
音石は上空から回り込んで直接電撃を叩き込もうと考え、機体を降下させかけた。
が、突如現れたラジコンに驚いたのか相手は速度を緩めつつ一瞬屈み込む。
そして次の瞬間には、地面の砂を掴んで投げつけてきた。
スタンドの視界が覆われ一瞬相手が見えなくなる。

(おいおい、餓鬼の喧嘩かっつうの)

児戯のような反撃に笑みをこぼした音石だったが。
少しの間の後視界が開けたと思った時。

「あ。」

レーダーのように放射された赤い光に、プロペラの先端が削られた。
バランスを崩し、傾いた機体。
思わず声が零れる。
一呼吸の焦りの後、今の光が相手のスタンド能力かと考えつつ、持ち直そうと神経を集中させかけた。
しかし、次の瞬間には首根っこを引っ張りあげられ。

「何をしている。」

墨のように真っ黒な瞳に至近距離で睨み付けられ震え上がるはめになった。

※  ※  ※

薄暗がりの廊下で芋虫の様にのたうつ影。
その奇妙な影は頭を振り上体を反らしたかと思うとまた赤ん坊のように体を曲げて縮こまる、という動きを繰り返している。

『ああ、彼のデイバックは置いていこう。』

『いいんですか?』

彼の瞼は塞がり、その目で己の姿を確認することは不可能なのだが……。
彼の腕は交差し、手のひらがそれぞれ反対の二の腕へと溶け込むように馴染んでいる。
また、足は胡座の状態で、ヨガ行者の如く各々対になる腿へと組み込まれている状態である。

『こんなやつの荷物に怖気を震うのも癪だが、何か仕掛けがあるかもしれないだろう?』

彼は小さく息を吐きながらうつ伏せになり、肘と膝で匍匐前進を始めた。
そうして、暫く闇雲な様子であたりを探っていたが、ある地点で彼の唇からは笑みが漏れる。

『今の我々が早急に必要とする物も無いし、中身が安全かどうか確認している時間は無い』

『そうですね…では、何はともあれ屋上へ。』

探し当てた己のデイバックをすがるように抱え込むと、ジッパーを歯で噛み引いて開く。
さらにデイバックの底に噛みつき引っくり返すと中身を床へとぶちまけた。

瞬間、白い塊が躍り出る。

乱暴に訪れた外部世界との接触をものともせず、それはしなやかな動きで両の羽を広げると真昼の空へと上って行く。
やがて一定の高さに到達すると羽ばたきをやめて風へとその身を委ねた。
青い空に一点の白が移動して行くその様は美しかったが、怒りに煮えたぎる男___ラバーソールの預かり知ることでは無かった。

……殺す。殺す殺す殺す。
あいつら許さねえ。
こんなことが許されるわけがねえ。
サウンドマンにこの俺の姿を見せ、奴等を危険人物として排除しに行かせてやる。
そして生きたまま俺の前に引きずり出させ、最も屈辱的な死に様を与えてやる。

奴への手紙は屋上ですでに書き終えて結びつけた…こういう緊急事態に備えてな。
場所の指定はこの館。
鳩よ、おめえを頼りにしてんぜ。
行け!そして俺に勝利を呼び込め!



【C-4 DIOの館内部/1日目 日中】
【ラバーソール】
[時間軸]:承太郎と戦闘中、ザリガニ食べてパワーアップした辺り。
[状態]:健康。人間拘束具状態。仗助、重ちー、マイク・O、スカーレットを食べてパワーアップ!?、DISCが戻らない限りスタンド使用不可。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)、ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1 (未確認)
    サブマシンガン(消費 小)、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)
    二分間睡眠薬×1、剃刀&釘セット(約20個)
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残り、優勝。溺れるほどの金を手に入れる。
0.許さねえ……
1.サウンドマンが到着次第、自分の現状を説明し、ジョルノとプッチを殺すための段取りを整える。
2.参加者をできるだけ減らす。
3.七人の同盟とDIO軍団を上手くぶつけて一人勝ちを狙う。
[備考]
※ラバーソールは承太郎、花京院とロワで会った人間に変装できます(その場の状況で考えるようです)。
 偽のスタンド像も出せますが性能はイエローテンパランスです。
 死者の変装は“特殊な状況”にならない限りやらないようです。
※ラバーソールは仗助が自分自身の怪我も治せると勘違いしています。
※J・ガイル、アンジェロのスタンドについては理解し切れていません。水、及びそれに順ずるものを媒介とするとだけ把握しています。
※悪魔の虹メンバーとほとんど情報交換を行っていません。お互いの名前と姿ぐらいしか正確には把握していません。
※また、駅にいた悪魔の虹メンバーはイエローテンパランスの能力を「顔を変える」と誤解している可能性があります。
※DIOの館にて遭遇した人物に名前・素顔を明かしてません。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※リンゴォのスタンドを時を巻き戻すスタンドだと推測しています。
※由花子の髪の毛が「ラバーソール」についたのか、「イエロー・テンバランス」についたかは以降の書き手さんにお任せします。
→ラバーソウルに付いていました。ジョルノとプッチは誰の物かは分かっていませんが、異物が付いている事には気付きました。
※プッチとジョルノに記憶DISCを読まれました。
※サヴェジガーデンはまっすぐにサウンドマンを目指します。どの地点で彼の手元に届くかは、後の書き手さんにお任せします。


※  ※  ※

「やめ…ぢっぞぐす、うえっ」

掴んでいた襟首を乱暴に離すと、リゾットは床に這いつくばって息を荒げる音石を見下ろした。
先程行った情報交換の内容をペッシに伝えるため、数分ほど地下に降りていただけだったのにも関わらず。
自分が伝えた人物以外の接近は、報告をするように言い伝えてあったのにこの体たらくだ。
やはり信頼のおけるかつてのチームのような扱いは厳禁だと考えながら、リゾットは吐き捨てた。

「どちらが先に仕掛けた。言え。」

「あっ…」

あっちが先に、と偽りかけた音石だったが。
泣く子もさらに泣き出しそうな威圧感に押し負け、目を斜め下にそらしながら事実を告げることにした。
ばれたならば、ただでは済まない。そんな雰囲気が痛いほど伝わってきたのだ。

「お、俺だけど!でも怪しかったか「余計な事を喋るな。」

言い放ち音石を黙らせる。
自分達の目的は脱出のための勢力拡大である。
片端から訪問客を襲って、この施設は危ないという噂を立てられでもしたら。
荒木にたどり着く前に、自分達が討伐対象になりかねない。

リゾットが窓ガラス越しに外へと目を向けると、インディアンの姿をした客人は既に制止し、建物内の様子をうかがっていた。
手には赤く光る宝石のようなものを握っている。
こちらがもめて隙が生じてしまったのにも関わらず何もしてこない様子を認め、リゾットは相手が乗っていない可能性が高いと踏む。
彼はいつでも能力を発動できるように気を張りつつ扉から外へと出、接触を試みることにした。
対峙しても、インディアンの青年は沈黙を保ったままだった。

「先に攻撃をしかけたことは謝る。此方に戦意はない…そちらはどうだ。」

この言葉を受けると、相手はデイバックに赤い宝石をしまい込み頷いた。
リゾットは慎重に言葉を選ぶ。
一つ一つの積み重ねが、後でどこにどう響いてくるか分からない。
いつもの仕事のように、ターゲットの様子を窺う。
だが今回狙うのは相手の命ではなく、心だ。
自分達と組むことが、いかに有益か。
それを伝えることができれば、賢明な人間なら取る行動は一つ。協力。

「我々が求めるのは情報だ。あんたもそうだろうと思う。こちらで話し合わないか。」

相手は数秒そこで考えている風だったが、よろよろと飛び続けるラジコンを横目に警戒しながらもリゾットの方へと歩み始めた。

※  ※  ※

先刻、湖畔で睡眠を取り体を休めたサウンドマンは、放送を聞き逃すこともなく把握し、予定通りに湖を回り込むと南下を開始した。
だが、初めのチェックポイントであった豪華客船ではたいした収穫も無く無駄足となり、ジョースター邸に至っては跡形もなく倒壊していた。
さらに地図上で数マスに渡って移動を続けるも、誰に出会う事もなく。
訝りながらも根気よく南下を続け、このナチス研究所にてやっと参加者と出会えたという訳であった。

「こちらからは以上だ、リゾット。」

サウンドマンがナチス研究所に来てから数十分の内に、全ての情報交換が手際よく進んだ。
今まで出会った参加者、そこで見聞きした事柄全て。
誰が危険なのか、既に徒党を組んでいる参加者たちは何を考えているのか、このゲームの開催理由の予想、首輪の機能。
時には筆談を交え、荒木や首輪、参加者に関する新情報がお互いにもたらされた。

話を一通り終え、お互いの利点は一致していた。
荒木の打倒及び、障害になる者の排除。
筆談に用いていたペンをはたと置き、リゾットは切り出した。

「ベネ…こちらの行動方針としては、先程言った通りだ。次にあんたはどう考えているか聞きたい。」

「俺は一か所には留まらない。集団で行動もしない。」

このサウンドマンの発言に、音石は食いつく様に突っかかった。
自分のラジコンを破損させられたことを根に持っているのか、彼に詰め寄り唸る。

「おい!こっちの情報だけ食い逃げする気かよ!」

音石の大声にも動じることなくちらりと視線を向け、サウンドマンはペットボトルの水を取り出した。

「こいつを黙らせてくれリゾット。」

水を飲みながら呑気な様子でそう言う。
一方、リゾットはそんな2人を見ながら考えに沈む。
無言のリゾットへ向き直り、音石は腕を組むと床を足でタップした。

「リゾットさんよ…こいつ、信用できんのかよ?俺なら答えはNO!だぜぇ~?」

奴の態度が気に入らないと、イラつきながらなおも食い下がる。
そんな様子など何処吹く風で、サウンドマンは走り通しだった身体を休めようと手近な場所に腰掛けた。
問いかけられたリゾットは音石を真正面から見据えると、非難を含めたニュアンスで言う。

「その言葉はお前自身に向けて使うべきだな。先程お前は指示以外の行動を取った。なぜ人影を認めた時点で俺に報告しない?
単独での勝手な行動は、全体の統率を著しく乱す。個人の信用度も下がる。」

「それは!間に合わなさそうだったから…」

「呼べば聞こえる距離のはずだ。…もういい。」

音石の言い訳にリゾットはため息をこぼした。
逃げる途中で“わざわざ”回収したというデイバックの事といい、こいつはやはりくさい。
クセの強いゴロツキたちをまとめあげてきたリゾットにとって、音石の様な三下奴の考えることを見破るのは容易い事。

(こいつは、状況次第で裏切る可能性がある…。そんな人物に施設周辺の見張りを任せるのは果たして得策か?)

今までの全ての情報を総括して考えてみる。
要するに音石は、自分の得になる風が吹くところへと向き直る風見鶏なのではないだろうか?
先の仲間たちとも『はぐれた』のではなくこっそりと見捨てて逃げてきたのでは?だからこそデイバックを回収する時間もあったのだろう。
いずれにせよ断言はできない。それに探索能力は捨てがたい音石の長所。

考えつつもリゾットは目を瞑って首を降り、音石との水掛け論を終わらせるとサウンドマンに向き直った。

「つまり、お前はこの場には留まらず、移動したいということだな。」

「そうだ。俺は情報を収集し、あるいは伝える。全ては再び故郷の地をこの足で踏みしめるため。」

リゾットは考えあぐねていた。
サウンドマンを自分達の身内へと引き入れ、かつ脱出へ向けて組む組織の構成要因としてふさわしいかどうか。

だが、何より自分達は『チーム』である。単なる烏合の衆でもなければ、リゾットの独裁でもない。
リーダーは確かに自分だが、メンバーの考えを聞かずに無理やりに事を推し進める気などなかった。

「ペッシ!!上がってきてくれ!」

そうリゾットが声をあげた数秒後、泣きはらした目をこすりつつも姿を現した、一番信用できる部下。
彼は放送直後よりも幾分か落ち着いた様子ではあるが、まだ暗く沈んだ様子がありありと受け取れた。
逝ってしまった彼の大切な兄貴は、あまりにも大きな存在だった。
チームの中で最も慕い、目標としていたプロシュートの死にペッシが何を感じているのか、想像に難くはない。

リゾットはしかし、今は気遣いよりも現状を伝えることを優先する。
今は何よりも、自分達の目的を達成することが大切なのだから。

「リゾットがいいなら、俺からは何も言う事はねえ。」

一通りのいきさつを把握したペッシは、鼻声ながらもはっきりと意思を伝えてくれた。
これで決断ができると心の中で礼を言い、リゾットは再びペッシに持ち場へと戻るよう促した。
「しっかり監視するよ」と言い残し、ゆっくりと去っていくペッシの些か猫背気味な背中を見送ると、リゾットは要望を口にする。
サウンドマンの類稀なる俊脚、確固とした行動方針を聞き、この男には脱出の糸口を広げるためのメッセンジャー役が適任だと考えたのだ。

「では、我々からも一つ言伝てを預かってもらいたい。」

「俺はお人好しではないぞ。それ相応の見返りがなくては。」

リゾットはサウンドマンのこの言い分に、こいつは信用できると思った。
意志が強く目的が揺らがず、変にへつらいもせず、己の言い分をはっきり述べてその場の空気や情に流されない。
この男が脱出を目標とし、自分達の利害が完全に同じである以上、大きな戦力になるだろう。

「脱出の為に協力し合うのだ。貸しだの借りだのの話をしているうちに何者にも変えられぬ時間は過ぎ、戻らなくなるぞ。」

「……いいだろう、単独で出来ることに限界があることも事実。それが脱出に繋がるものであれば、内容を聞こう。」

何かと自分に託されるメッセージにサウンドマンは肩を竦めたが、脱出を目指すための礎となるのならばと引き受けることとした。
音石は流される自分の意見に納得がいかないのか、小声で悪態を付いている。
それも聞こえぬふりを決め込み、リゾットは荒木に関するメモの纏め書きの複写をサウンドマンへ手渡した。

「大した事ではない。我々がここにいて、参加者の情報を待っていることを伝えてくれればいい。当然同じように脱出を目指している人間にだ。」

「分かった、伝えて回ろう…」

先程の情報交換の際、リゾットはブチャラティチームのことをかつていた組織での敵対勢力であると告げていた。

お互い争い合い、命を奪い合ったと。
そして、協力をする気は無いことも。
だが他の参加者と同じように、余計なことは言わずにここへ来るよう告げてほしいと頼んだ。
むしろ優先的にここへ来るよう進言して欲しいと。

ブローノ・ブチャラティを筆頭とするチームについては恐らく脱出を目指していると考えられる。
どういう考えの元、組織に反旗を翻したのかは分からないが…。
ネアポリス市民や幹部から信頼の厚かった彼らが、軽薄な殺人ゲームに積極的に参加しているとは考えられない。

ナチス研究所で脱出のために動いている我々の話を聞けば、必ずやって来る…。
そしてうまく行けば自分の手で仕留めることが出来るだろう。

「殺すのか?そいつらを。」

彼らの因縁を聞かされたサウンドマンは、別れ際に心底不思議だという様子で首をかしげた。
脱出を目指しておきながら、同じく脱出を目指すと予想される人物たちと協力する気はないと言う。
サウンドマンにはリゾットの気持ちは分からなかった。
確かに自分が部族にいた頃、族内の誰かに外部の人間が危害を加えれば報復に出ただろうとは思うのだが、リゾットの話す事はそれとも少し性質の違う『こだわり』の様な気がした。

「そうだ。これはこのゲームとは関係の無い、我々のけじめ。いずれはやらねばならない事柄…そうしなければ俺たちは自分の人生を歩めない。」

ともあれ、サウンドマンは自分が第三者の立場であることを十分理解している。
余計な茶々を入れるつもりはなかった。
彼らが潰し合って果てたとしても、それは彼らの選択した道の末路。
だがリゾットの表情は何とも複雑で、一言お節介を焼いてしまうのを止められなかった。

「その者達に対するお前の執着、まるで尖り過ぎた針のようだ。折れるまでそのままでいるつもりか?」

「…、…折れる前に刺してやるさ。」

低く呟かれたその台詞に、サウンドマンはくっと喉を鳴らす。

「要らぬ世話だったか。では、お互いが折れてしまわぬよう祈ろう。」

そう残すと踵を返してドアから外に出、振り向くこと無く走り出した。

リゾットはサウンドマンの背中を追い、窓の外を見る。
加速を経て最高速度へと達したサウンドマンのスピードは目を見張る様な有様だった。
土埃と共に瞬く間に施設から遠ざかってゆく。
上空ではレッド・ホット・チリペッパーを乗せたラジコンが施設の周辺を旋回しているが、プロペラ先端の破損により機体が傾いている。
飛行は可能ではあるが、安定性に問題が生じてしまっているようだ。
その様子をしばらく見送ってからリゾットは静寂を取り戻した室内に目を向け、ふと自分のつま先を見つめ思案に暮れた。

(尖った針だなどと。)

自ら後ろ向きな行動という自覚があるだけに、サウンドマンの一言が消化できない塊のように留まっている。
数刻前のホル・ホースの言葉も、また頭に浮かんだ。

脱出を目指すためには何でもするが、ブチャラティチームと協力だけはできない。
それは心に決まっているつもりだった。
自分の下に付き、命令を遂行する過程で死んでいった部下たちの事を考えればそれが当然と思っていた。

だがこのキリングフィールドで、何度も自分の精神は揺らぐ。
他者との接触の度に、仲間が死ぬ度に。
自分の目指すものと、その過程に生じる軋轢に揺れる心は自分が未熟な証拠か。

リゾットは堂々巡りになりかけた思考を振り切るように、長いコートを翻すと元居た研究室へと戻って行った。


【F-2 ナチス研究所 研究室/1日目 日中】

【暗殺チーム(現在メンバー募集中)】
【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:メタリカ
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左肩に裂傷、銃創(『メタリカ』による応急処置済み)
[装備]:フーゴのフォーク、首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
0.俺は未熟だな…
1.サウンドマンをメッセンジャー役に任命。自分達の事をふれて回らせ、首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
2.ホル・ホースを信頼。サウンドマンもまあ信頼。ミューミュー、音石はそうでもない。
3.暗殺チームの合流と拡大。人数が多くなったら拠点待機、資材確保、参加者討伐と別れて行動する。
4.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断、皆殺しにする。ブチャラティチームに関しては後ろ向きな行動だろうがやむなし。
5.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
F・Fのスタンドを自分と同じ磁力操作だと思いこんでいます
※F・Fの知るホワイトスネイクとケンゾーの情報を聞きましたが、徐倫の名前以外F・Fの仲間の情報は聞いてません
※情報交換の際ホル・ホースから空条承太郎ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフイギーの能力を教わりました。
※ホル・ホースとサウンドマンの言葉に若干揺らぎましたが、現在ブチャラティチームと協力する気はさらさらありません
 ただし、カタギの人間(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる(バレたり、その後のことはケースバイケース)。
※盗聴の可能性に気が付いています。

※サウンドマンと情報交換しました。

  • 荒木について分かっていること(リゾットたちのメモの内容をそのままサウンドマンに伝えた)
  • 首輪について分かっていること(盗聴の可能性があること、電気がどこから来ているのか不明であること)
  • 今まで出会った人物の人相、名前、能力。
  • 危険だと思われる人物

お互い、自分達及び仲間のスタンド能力は伝えていません。

※リゾット、及びペッシのメモには以下のことが書かれています。(複写してサウンドマンに渡したメモも同じ内容です)
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り


※フーゴの辞書(重量4kg)、ウェッジウッドのティーセット一式が【F-2 ナチス研究所】に放置されています。


※  ※  ※

……俺ってちょっとやばい?

いや…この探索能力があれば、しばらくはここに置いてもらえるはずだ。
大丈夫だよな?

俺は優勝するんだ。
首輪解除して荒木を倒す事ができれば万々歳だろうけどよ…リスクはでかいぜ、だろ?

俺は確実に生き残る事が出来る道を選ぶだけだ。

うぜえサウンドマンにもいずれひと泡吹かせてやる。
スピットファイヤー壊しやがって、覚えてやがれ。
億泰、お前もだ…ま、運命の導きで巡り合えれば、だけどな。ケッ。

だが焦ったり、感情的になるのはだめだ。
さっきはちょっと先走っちまったな。
もっとうまく立ち回って、今はこのリゾットに取り入るんだ。

見てろよ?
俺は……反省すると、強いぜ。

【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色)
[状態]:体中に打撲の跡(中)、『レッド・ホット・チリ・ペッパー』をスピットファイヤー(プロペラの一部に欠損あり)に乗せて飛行中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、不明支給品×1、ノートパソコンの幽霊、スピットファイヤーのコントローラ、バッテリー充電器
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
0.しばらくこの駅に待機せざるを得ないかもな、能力的に考えて 。もっとリゾットに気に入られないとヤベえ!
1.ナチス研究所周辺を監視中。チャンスがあれば攻撃を仕掛ける
2.首輪解除なんて出来んのか?
3.サウンドマンむかつく!いい気になるなよ!
4.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
 しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
ミセス・ロビンスンをスタンド使いだと思っています
※早人とジョセフとディアボロが駅を出た理由を知りません。
※盗聴の可能性に気がつきました
※ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました。ホルマジオの容姿を知りました。
※サウンドマンとリゾットの情報交換はすべて聞きました。
※スピットファイヤーをナチス研究所周辺に旋回させていますが、プロペラの欠損により動作に安定感がありません。


【F-2 ナチス研究所地下鉄駅ホーム/1日目 日中】
【ペッシ】
[時間軸]:ブチャラティたちと遭遇前
[状態]:頭、腹にダメージ(小)、喉・右肘に裂傷、強い悲しみ、硬い決意
[装備]:リゾットにタメ口の許可認証
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、重ちーが爆殺された100円玉
[思考・状況] 基本行動方針:『荒木』をぶっ殺したなら『マンモーニ』を卒業してもいいッ!
0.リーダー、色々まかせっきりですまねえ…監視頑張るよ。
1.兄貴ィ…… でも立ち直らなきゃ…
2.誰も殺させない。殺しの罪を被るなら暗殺チームの自分が被る。
3.ホル・ホースはいいとして、ミューミューは頼りになるのか? 音石とサウンドマンはよくわからないから、リゾットに任せる。
4.チームの仲間と合流する
5.ブチャラティたちを殺す?或いは協力するべきなのか?信頼できるのか?
[備考]
※100円玉が爆弾化しているかは不明。とりあえずは爆発しないようです。
※音石の経歴や、サウンドマンとリゾットが交換した情報の内容を知りました。

※暗殺チーム全体の行動方針は以下のとおりです。
基本行動方針:首輪を解除する
1.首輪解除のためナチス研究所を拠点として確保する。
2.首輪を分析・解除できる参加者を暗殺チームに引き込む。
3.1・2のために協力者を集める。
4.荒木飛呂彦について情報収集
5.人数が多くなれば拠点待機組、資材確保組、参加者討伐組と別れて行動する

※  ※  ※

リゾット・ネエロ…奇妙な人物だ。
このフィールドに呼ばれているのは一癖も二癖もある連中ばかりだな。

ブチャラティという者がどういう人物なのかはわからないが、よほど遺恨を抱いているのだろう。
その話の時は、あの男の黒い目が燃えていた。
あの魂の慟哭の様な光、なかなか良いものだった。

だが俺は音のように駆け抜けるだけ。
この場所から脱出するために全身全霊を懸ける。
メッセージは伝えよう、ブチャラティだろうと、他の者だろうと、同様に。全く同じに。

ここから向かうべきは…特別懲罰房という場所。
コロッセオが最も近いが、マップ中央寄りのあまりにも目立ちすぎる施設は…リスクが高い。
ゲームに乗った者、乗っていない者、その他諸々集まっているだろう。
億泰がいるかもしれないが、今は合流は優先事項ではない。
だから俺は避ける…他のエリアで、コロッセオに行ったことのある者から情報を頂ける可能性もある。

…空が明るい。姉も同じ空を見ているのだろうか。


【F-2 ナチス研究所/1日目 日中】

サンドマン
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康、満腹、暗殺チーム仮入隊(メッセンジャー)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1~3(本人確認済み) 、紫外線照射装置 、音を張り付けた小石や葉っぱ、スーパーエイジャ、荒木に関するメモの複写
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
0.ややこしい考え方の人間もいるものだ。一先ず地図上の主要施設を回る。今は特別懲罰房へ向かってみる。
1.「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」というメッセージを、脱出を目指す人物へ伝えて回る。
2.ツェペリの『荒木は死者を復活させて命を弄ぶ』論に少し興味。荒木の言葉の信憑性に疑問。
3.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
4.遺言は伝えた。その他に彼らを知る人間とも一応会ってみたい(優先はしない)
5.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
6.ジョルノの話に興味。 だがリゾットとの会話によりプッチには警戒。あるいはジョルノも同様に警戒すべきなのか?
7.鳩が来たら一応その場に向かう。が、従うかどうかはその場で判断する。

【備考】
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※スカーレットが大統領夫人だと知っています。
ンドゥールに奇妙な友情を感じています。 康一、ツェペリにも近い感情を持っています。
※億泰と情報交換をしました。
内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「放送の内容」です。
※チーム・ザ・ウェーブの遺志は億泰に託しました。
エンヤ婆を攻撃した石は、I-7  中央部(果樹園跡)での大規模な戦闘中に集めて小石や葉っぱに張り付けて置いた音の残りです。まだ余りがあるようです。
何の音を保存しているかは、次の書き手さんにお任せします。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。
※リゾットと情報交換しました。が、ラバーソールとの約束については、2人だけの密約と決めたので話していません。
※F・F、ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました(F・Fの能力は、リゾットが勘違いしている能力)。ホルマジオの容姿を知りました。
※盗聴の可能性に気付きました。

投下順で読む


時系列順で読む


キャラを追って読む

130:ボヘミアン・ラプソティ(前編) サンドマン 169:アイ・コール・ユア・ネーム
155:「首輪」のパワーの謎とは!! ペッシ 164:ペッシ・サウンズ
155:「首輪」のパワーの謎とは!! リゾット 164:ペッシ・サウンズ
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153:我たとえ死の淵を歩むとも ラバーソール 161:悪意の継承者(前編)

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最終更新:2010年04月18日 19:04