大転配計画の変更
205系電車の大転配は、中央・総武線(三鷹電車区)と山手線(山手電車区)へのE231系電車投入により転出することになった車両を原資として計画されており、改造工期の都合も考慮し2001(平成13)年度から2005(平成17)年度にかけて実施されることになっていた。
しかし、この間のダイヤ改正などで、205系電車使用線区で状況の変化があったため、大転配計画にも変更が生じることになった。変更後の大転配計画は、2004(平成16)年度から実施されることになったため、ここでは変更があった路線のみを記載する。
埼京・川越線
一連の大転配計画の変更は、この路線の状況変化が理由だった。2002年12月1日に全線開通した相互直通運転先の東京臨海高速鉄道りんかい線は、線内折り返し列車に6両編成で運転される列車があった。しかし、埼京線直通の列車が全て10両編成であることから線内折り返しの列車も10両編成に統一することになり、同社は70-000形電車の中間車を新造した上で6両編成5本を組み替え、10両編成3本を仕立てた。また、2004年10月16日ダイヤ改正から埼京線とりんかい線の直通列車が増加したこともあり、JR東日本持ちの運用数が増加することになった。これに対応するためには、埼京・川越線用の車両を増配置するしかなく、同線は205系電車で統一されていることから、205系電車10両編成1本を急遽配置することになった。
この時、埼京・川越線(川越電車区→川越車両センター)へ配置されることになったのは、山手線(山手電車区→東京総合車両センター)から武蔵野線(京葉車両センター)へ転用される予定だった、東ヤテ54編成のうち10両であり、6扉車のない10両編成の宮ハエ32編成を組成することで埼京・川越線の運用増加に対応したが、武蔵野線では10両が不足することになった。この10両分を確保するため、他の路線も巻き込んだ大転配計画の変更が行われることになった。
八高・川越線
八高・川越線には、205系3000番台が4両編成7本配置される予定であった。このうち、サハ205-27、モハ205/204-40、サハ205-28から改造の3006番編成(宮ハエ86編成)と、サハ205-31、モハ205/204-46、サハ205-32から改造の3007番編成(宮ハエ87編成)の改造をキャンセルし、代わりに209系3100番台を4両編成2本投入することになった。
209系3100番台は、東京臨海高速鉄道で同社の70-000形電車を6両編成5本から10両編成3本へ組み換えるにあたって余剰となった6両が種車となっている。このうち中間車は2両(電動車ユニット1組)だけで、残る4両は制御車2組であることから、中間車を新造する必要があったが、209系電車の製造は1999(平成13)年度限りで終了していることから、リピートオーダーは極力少なくしたいという思惑もあった。このため、209系電車の運用線区の中では最短の4両編成で運用されており、今回の大転配計画で205系電車の転用先にもなっている八高・川越線(川越電車区→川越車両センター)で、70-000形電車からの編入車と新造車を組み合わせて組成・配置された。
南武線
当初は、サハ205-27から改造のクハ205-1206とサハ205-28から改造のクハ204-1206に、八高・川越線(川越電車区→川越車両センター)へ配置される予定だった残りの6両を組み込み、205系5000番台に改造した上で、埼京・川越線への増配置車の分だけ車両不足となった武蔵野線(京葉車両センター)へ直接配置することが検討されていた。しかし、原型先頭車と改造先頭車では運転台機器の取り扱いが異なるため、1編成だけ改造先頭車を配置することは武蔵野線の乗務員らにとっては不都合な状況であった。
そのため、元々原型先頭車と改造先頭車が混在していた南武線(中原電車区)へ、サハ205-31・32を除いた6両を配置するように計画変更し(モハ205/204-40・46の205系5000番台への改造もキャンセル)、横ナハ51編成として配置された。
これにより、南武線へ配置されている原型先頭車の編成を6両編成1本置き換えて、これを武蔵野線へ転用することになり、既に山手線から転入済みだった横ナハ45編成が、武蔵野線へ再転属することになった。
鶴見線
埼京・川越線の運用増とは直接関係ないものの、鶴見線でも計画の変更があり、205系1100番台の3両編成で運転される鶴見線と、205系1000番台の2両編成で運転される南武支線の予備車を共通化するため、205系1000番台の増結用としてクハ205-1110号を中原電車区へ配置する予定が当初の計画ではあった。しかし、鶴見線の運用を見直した結果、205系1100番台の3両編成9本だけで十分に対応可能という結論に達したため、クハ205-1110号は不要と判断されて投入が取りやめとなり、改造がキャンセルされた種車のサハ205-208号は、川越電車区→川越車両センター所属の保留車になっていた。
武蔵野線
武蔵野線(京葉車両センター)が、埼京・川越線(川越電車区→川越車両センター)で増配置となった10両(東ヤテ54編成のうち10両)の本来の配置先であった。このため不足した10両を補うための原資は、東京臨海高速鉄道から購入した70-000形電車6両(209系3100番台に編入)、川崎重工で新造した209系3100番台2両、そして大転配計画の当初からどうしても転用しきれず余剰車になる予定だった付随車2両が充てられた。209系3100番台は八高・川越線(川越電車区→川越車両センター)の配置となったため、同線へ転用される予定だった205系電車8両を武蔵野線へ配置することになり、原型先頭車へ統一するという観点からこのうちの6両を南武線(中原電車区)と交換して対応することになった。
改造工期のこともあり、最初に武蔵野線への転用改造工事を施工するための準備が整ったのは、八高・川越線にクハ205/204-3007として配置される予定だった、サハ205-31・32だった。この計画変更では、東ヤテ54編成のうちの10両として配置される予定だった制御車2両、電動車6両、付随車2両が、制御車2両、電動車4両、付随車4両となり、全体の数は合っていても比率は一致していなかった。そのため、当初計画では205系0番台(6M2T)のまま維持される予定だった5編成の生え抜き編成のうち1編成(千ケヨE1→M61編成)が急遽205系5000番台へ改造され、サハ205-31・32を組み込んだ4M4Tの編成へ組み換えられた。千ケヨM61編成から外された電動車2両は、山手線(山手電車区→東京総合車両センター)や埼京・川越線(川越電車区→川越車両センター)からの寄せ集めで構成されるタイプの千ケヨM32編成に組み込んだ。
残りの8両は、南武線から捻出された横ナハ45編成(6両編成)に、余剰付随車2両を組み込み、電動車を205系5000番台に改造することで組成した。余剰付随車については、当初計画から余剰車になる予定だったサハ205-153号と、鶴見線(中原電車区)のクハ205-1110号への改造がキャンセルになったサハ205-208号が充てられることになり、武蔵野線の205系5000番台編成で唯一、編成内に組み込まれている付随車2両が連番ではなく、かつ4号車のほうが5号車より大きな番号の車両という特異な編成を組むことになった。サハ205-208号が4号車、サハ205-153号が5号車になった背景には、埼京・川越線時代の連結位置があり、埼京・川越線時代に7号車だった付随車は武蔵野線では4号車、埼京・川越線時代に4号車だった付随車は武蔵野線では5号車に組み込まれるという規則性に則ったものと考えられる。また、この編成は実際の出場順では30編成目だったものの、東ヤテ54編成からの改造車で組成される予定だったモハ205/204の5029・5030を付番されたため、205系5000番台の第15編成(千ケヨM15編成)となった。
最終更新:2018年07月16日 14:19