京葉線の置き換えの背景
京葉線(京葉車両センター)には、開業当初は103系電車10両編成7本が導入されていた。1990(平成2)年3月10日の東京開業用として、205系電車が10両編成12本投入された。2000(平成12)年度から2001(平成13)年度にかけて、中央・総武線(旧・三鷹電車区)から転入した201系電車が10両編成7本、205系電車が10両編成1本転用され、2002(平成14)年度から2005(平成17)年度には山手線(旧・山手電車区→東京総合車両センター)から205系電車が10両編成6本転用されたことに伴って、103系電車10両編成14本は全て引退し、運用数削減によって201系900番台10両も廃車となっていた。2005年度にはE331系電車の量産先行車も14両編成1本投入されている。
大転配の終了後は、千ケヨ21編成と千ケヨ23編成が他路線へ転出するため、中央線快速電車(豊田車両センター)から201系電車10両編成2本を転用して対応したが、2008(平成20)年度に京浜東北・根岸線(浦和電車区)から209系500番台10両編成4本が転入したことにより、同数の201系電車が置き換えられていた。
これにより、2009(平成21)年4月1日時点では、201系電車が10両編成4本(全て4+6分割編成)、205系電車が10両編成17本(110km/h対応編成が12本、非対応編成が5本)、209系電車が10両編成4本、E331系電車が14両編成1本となっていた。
201系電車はJR東日本の首都圏で運用される通勤型電車としては最古参となっており、2009年度に仙石線(仙台車両センター)の103系電車が全廃となったことで、JR東日本所属の車両としても最古参となっていた。また、201系電車と同世代の203系電車も、常磐線各駅停車(松戸車両センター)へのE233系2000番台導入によって置き換えが決まったことで、205系電車も経年に伴う陳腐化を理由とした置き換えが開始されることになった。
経年を理由とした205系電車の最初の置き換え対象には、京葉線が選ばれた。京葉線所属の201系電車は、4両編成と6両編成に分割しての運用があるため他路線からの転配によって置き換えることが出来なかったこと、内房線・外房線直通列車での110km/h運転に201系電車や205系電車の他路線からの転用車が対応できないこと、所属している205系電車の中に量産先行車が含まれるなど特に経年の高い車両が多かったことなどが背景事情として考えられた。
このため、E233系5000番台を10両編成24本(うち4本が4+6分割編成)導入して201系電車、205系電車と209系電車の一部を置き換えることになった。201系電車は全て廃車となったが、205系電車は短編成化して他の路線へ転用し、209系電車は8両編成に短縮して武蔵野線(京葉車両センター)へ転用することで、同線の205系電車を他の路線へ転用させることになった。
205系電車の転用先としては、107系電車が運用されている日光線(小山車両センター)と、211系電車が運用されている宇都宮線黒磯口ローカル運用(小山車両センター)が選ばれた。107系電車は老朽化のため廃車とし、211系電車は高崎車両センター・長野総合車両センター・豊田車両センター所属の115系電車を置き換えるために転配することになった。107系電車は2両編成、211系電車は5両編成となっていたが、205系電車での置き換えに当たっては4両編成で導入し、同じ車両センターに所属することから予備車を共通化して、日光線向け車両で宇都宮線の運用に投入することや、宇都宮線向け車両で日光線の運用に投入することに対応させた。また、宇都宮線では2本連結した8両編成での運転を行うため、電気連結器も設置された。205系電車の2本併結での営業運転は、これが初めてである。半自動ドアボタンの設置やトイレの設置なども行ったことから、転用に合わせて205系600番台に改造されている。
京葉線から転用されるのは4両編成10本に留まることから、この編成の中間車60両と、残る10両編成7本は廃車となった。205系電車で初めての編成単位廃車となったが、このうち18両は富士急行へ譲渡された。
転用対象外の車両の廃車
置き換えられた205系電車は、千ケヨ12編成から順次、解体場所まで運ばれた。4両編成に短縮して日光線・宇都宮線黒磯口ローカルへ転用される車両については4両編成に短縮した上でJR東日本管内の各地に改造工事開始まで疎開留置(ただし千ケヨ10編成は最終撤退車のため疎開せず、4両編成で京葉車両センターに留置)をしていたが、千ケヨ1編成、千ケヨ2編成、千ケヨ5編成は編成単位で解体場所の長野総合車両センターまで一旦運んでから4両編成へ短縮し疎開、他の7編成は京葉車両センターで4両編成を組んで各地へ疎開とし、残った6両だけを解体場所まで輸送する形態を採った。また、千ケヨ24編成は一部車両を大宮総合車両センターの訓練用教材(車籍なし)として使用するため、廃車体が教材として使用される車両と解体処分になる車両に分けて輸送された。
なお、千ケヨ8編成は運用離脱後、しばらく付随車2両を抜いた8両編成を組成して武蔵野線の乗務員訓練に使用されていた。武蔵野線での使用に伴い編成札は「ウラ81」(209系電車の千ケヨ34編成が京浜東北・根岸線時代に使用していた編成札を使い回しただけであり、浦和電車区へ貸し出されたわけではない)が掲げられたが、営業運転には使用しないため京葉線色のまま使用された。乗務員訓練終了後は元の10両編成に戻された。
京葉 |
|
10号車 |
9号車 |
8号車 |
7号車 |
6号車 |
5号車 |
4号車 |
3号車 |
2号車 |
1号車 |
廃車日 |
備考 |
クハ205 |
モハ205 |
モハ204 |
サハ205 |
モハ205 |
モハ204 |
サハ205 |
モハ205 |
モハ204 |
クハ204 |
1 |
|
|
290 |
290 |
176 |
291 |
291 |
177 |
|
2010.09.15 |
解体(長野総合車両センター) |
108 |
|
292 |
292 |
108 |
|
長野配給後転用 |
2 |
|
|
293 |
293 |
178 |
294 |
294 |
179 |
|
2010.11.17 |
解体(長野総合車両センター) |
109 |
|
295 |
295 |
109 |
|
長野配給後転用 |
3 |
|
|
296 |
296 |
180 |
297 |
297 |
181 |
|
2010.12.08 |
解体(長野総合車両センター) |
4 |
|
|
299 |
299 |
182 |
300 |
300 |
183 |
|
2011.03.10 |
解体(長野総合車両センター) |
5 |
|
|
302 |
302 |
184 |
303 |
303 |
185 |
|
2010.09.23 |
解体(長野総合車両センター) |
112 |
|
304 |
304 |
112 |
|
長野配給後転用 |
6 |
|
|
305 |
305 |
186 |
306 |
306 |
187 |
|
2010.10.06 |
解体(長野総合車両センター) |
7 |
|
|
308 |
308 |
188 |
309 |
309 |
189 |
|
2010.10.27 |
解体(長野総合車両センター) |
8 |
|
|
311 |
311 |
190 |
312 |
312 |
191 |
|
2011.01.07 |
解体(長野総合車両センター) |
9 |
|
|
314 |
314 |
192 |
315 |
315 |
193 |
|
2011.06.09 |
解体(郡山総合車両センター) |
10 |
|
|
317 |
317 |
194 |
318 |
318 |
195 |
|
2011.07.14 |
解体(長野総合車両センター) |
11 |
|
118 |
320 |
320 |
196 |
321 |
321 |
197 |
322 |
322 |
|
2010.07.24 |
解体(長野総合車両センター) |
|
118 |
長野スキルアップセンター訓練用教材 |
12 |
|
119 |
323 |
323 |
198 |
324 |
324 |
199 |
325 |
325 |
119 |
2010.07.13 |
解体(長野総合車両センター) |
22 |
|
11 |
|
33 |
33 |
11 |
2011.01.25 |
富士急行譲渡 |
|
31 |
31 |
21 |
32 |
32 |
22 |
|
解体(長野総合車両センター) |
24 |
|
|
1 |
2 |
2 |
2 |
3 |
3 |
1 |
2011.09.14 |
解体(長野総合車両センター) |
1 |
1 |
1 |
|
2011.09.30 |
大宮総合車両センター訓練用教材 |
25 |
|
|
4 |
4 |
|
5 |
5 |
4 |
|
2011.03.30 |
解体(長野総合車両センター) |
2 |
|
6 |
6 |
2 |
2011.04.01 |
富士急行譲渡 |
|
3 |
|
交通安全環境研究所譲渡 |
26 |
|
3 |
|
9 |
9 |
3 |
2012.01.11 |
富士急行譲渡 |
|
7 |
7 |
5 |
8 |
8 |
6 |
|
解体(長野総合車両センター) |
27 |
|
4 |
10 |
10 |
|
12 |
12 |
4 |
2012.02.24 |
富士急行譲渡 |
|
7 |
11 |
11 |
8 |
|
解体(長野総合車両センター) |
日光線・宇都宮線黒磯口ローカルへの転用
京葉線(京葉車両センター)から日光線(小山車両センター)へ転用となったのは4両編成4本、宇都宮線(小山車両センター)へ転用となったのは4両編成6本であるが、日光線仕様と宇都宮線仕様での差異は外装のみであり、保安機器やサービス面で違いはなく、どちらも205系600番台に区分されている。日光線向けと宇都宮線向けは同じ車両センターに所属しているため予備車が共通化されており、宇都宮線仕様の車両が日光線の運用を代走することは珍しくない。一方、日光線仕様の車両数は日光線での運用数の都合で、宇都宮線の運用を代走することは滅多にない。
なお、小山車両センターには、武蔵野線(京葉車両センター)からの転入車も導入される予定であり、京葉線へのE233系5000番台導入によって置き換えられた209系500番台を8両編成に短縮して武蔵野線へ投入したが、2010(平成22)年12月4日ダイヤ改正で武蔵野線の運用数が増加したため(このダイヤ改正で定期列車化した「むさしの号」と、新設された「しもうさ号」が武蔵野線車両での運転となったため)、武蔵野線から車両を捻出することができず、宇都宮線での211系電車の運用が残ることになった。
京葉 |
|
10号車 |
9号車 |
8号車 |
7号車 |
6号車 |
5号車 |
4号車 |
3号車 |
2号車 |
1号車 |
|
転出日 |
クハ205 |
モハ205 |
モハ204 |
サハ205 |
モハ205 |
モハ204 |
サハ205 |
モハ205 |
モハ204 |
クハ204 |
1 |
|
108 |
|
292 |
292 |
108 |
|
2013.02.01 |
2 |
|
109 |
|
295 |
295 |
109 |
|
2013.07.01 |
3 |
|
110 |
|
298 |
298 |
110 |
|
2013.03.29 |
4 |
|
111 |
|
301 |
301 |
111 |
|
2012.11.12 |
5 |
|
112 |
|
304 |
304 |
112 |
|
2012.12.10 |
6 |
|
113 |
|
307 |
307 |
113 |
|
2013.04.26 |
7 |
|
114 |
|
310 |
310 |
114 |
|
2013.03.07 |
8 |
|
115 |
|
313 |
313 |
115 |
|
2013.03.14 |
9 |
|
116 |
|
316 |
316 |
116 |
|
2012.10.15 |
10 |
|
117 |
|
319 |
319 |
117 |
|
2013.07.22 |
小山 |
|
4号車 |
3号車 |
2号車 |
1号車 |
改造 |
転入日 |
クハ205 |
モハ205 |
モハ204 |
クハ204 |
Y1 |
|
601(109) |
601(295) |
601(295) |
601(109) |
大宮 |
2013.07.01 |
Y2 |
|
602(108) |
602(292) |
602(292) |
602(108) |
大宮 |
2013.02.01 |
Y3 |
|
603(111) |
603(301) |
603(301) |
603(111) |
大宮 |
2012.11.12 |
Y4 |
|
604(110) |
604(298) |
604(298) |
604(110) |
東京 |
2013.03.29 |
Y5 |
|
605(113) |
605(307) |
605(307) |
605(113) |
大宮 |
2013.04.26 |
Y6 |
|
606(112) |
606(304) |
606(304) |
606(112) |
大宮 |
2012.12.10 |
Y7 |
|
607(115) |
607(313) |
607(313) |
607(115) |
大宮 |
2013.03.14 |
Y8 |
|
608(114) |
608(310) |
608(310) |
608(114) |
東京 |
2013.03.07 |
Y9 |
|
609(117) |
609(319) |
609(319) |
609(117) |
大宮 |
2013.07.22 |
Y10 |
|
610(116) |
610(316) |
610(316) |
610(116) |
大宮 |
2012.10.15 |
※編成番号下線は日光線仕様。無印は宇都宮線仕様。
参考:富士急行への譲渡
富士急行には京葉線から18両の205系電車が譲渡された。富士急行では6000系電車となったが、実際に営業運転に投入されたのは3両編成4本の12両に留まる。これは、譲渡対象となった千ケヨ22編成(6051編成)、千ケヨ25編成(6001編成)、千ケヨ26編成(6002編成)、千ケヨ27編成(6003編成)は最短で4両編成以上でないと組成できないことからモハ205形を先頭車化改造する必要が生じ、クハ205形を部品取りとして使用したためであり、部品取り用のクハ205形も書類上は譲渡されたが、部品を外された後は長野総合車両センターで解体となっているからである。また、モハ205/204-10は、車体の表記を隠すなどしたほかは一切手を付けないまま富士急行へ引き渡され、富士急行側で部品取りとして使用されている。
最終更新:2018年07月20日 19:34